(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る有機物の炭化処理装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。この装置は、家庭やオフィスから出る生ごみや紙屑、食品端材、プラスチック等の樹脂系廃棄物、家畜類廃棄物や生花物類廃棄物、電線コード等類廃棄物、蒸着フィルム類廃棄物、繊維類廃棄物といった様々な廃棄物を過熱水蒸気により炭化処理するのに好適に用いられるものである。
【0017】
前記炭化処理装置1は、有機物等の処理対象物を収容するための収容容器2と、該収容容器を移送する移送コンベア3、長さ方向の両端に開口部を有する管状体の炭化処理炉4と、過熱水蒸気発生装置(図示せず)と、該過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉の内部に供給する供給管部5のほか、水蒸気用貯水タンク(図示せず)、ボイラー(図示せず)と、を備える。
【0018】
前記炭化処理炉4は、長さ方向の両端に開口部4a、4bを設けた管状体をなす。開口部4aは、前記収容容器2を該処理炉4へ
送り込むための入り口であり、他方の開口部4bは、前記収容容器2を該処理炉4の外へ排出するための出口である。
【0019】
前記炭化処理炉4は、横断面形状が略矩形状をなす。該処理炉4は、底面壁が床面で形成され、該床面の上に断面形状が略コ字状の長尺体が密閉状態に載置されてなる。
【0020】
前記炭化処理炉4の一端の開口部4aに、開閉自在な端部シャッター6aが取り付けられ、開閉用シリンダー(図示せず)その他同等の機構により該端部シャッター6aを上下移動させることができる。該端部シャッター6aを下降移動させることによって前記炭化処理炉4の一端の開口部4aを閉鎖することができ、該端部シャッター6aを上昇移動させることで前記炭化処理炉4の一端の開口部4aを開くことができる。
【0021】
前記炭化処理炉4の他端の開口部4bに、開閉自在な端部シャッター6bが取り付けられ、開閉用シリンダー(図示せず)その他同等の機構により該端部シャッター6bを上下移動させることができる。該端部シャッター6bを下降移動させることによって前記炭化処理炉4の他端の開口部4bを閉鎖することができ、該端部シャッター6bを上昇移動させることで前記炭化処理炉4の他端の開口部4bを開くことができる。
【0022】
また、前記炭化処理炉4の長さ方向に離間して、該処理炉4の内部空間を仕切る仕切シャッター7a〜7fが開閉自在に設けられ、各仕切シャッターは、開閉用シリンダー(図示せず)その他同等の機構により上下移動させることができる。
【0023】
前記炭化処理炉4において、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d、第5仕切シャッター7e、第6仕切シャッター7f、端部シャッター6bがこの順に配置され、これら隣り合うシャッターが相互に炭化処理炉4の長さ方向に等間隔で離間して配置されることによって、これらすべてのシャッターが閉鎖した(下降移動した)ときに、前記炭化処理炉4の内部空間が、一方の開口部
(入口)4a側から他方の開口部(出口)4b側に向けて順に、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2、第3独立内部空間S3、第4独立内部空間S4、第5独立内部空間S5、第6独立内部空間S6、第7独立内部空間S7が、それぞれ独立して密閉空間を形成するものとなる。
【0024】
第1独立内部空間〜第4独立内部空間の領域毎に前記炭化処理炉4の上面壁には開閉自在な排気口(図示せず)が設けられている。
【0025】
第5独立内部空間〜第7独立内部空間の領域毎に前記炭化処理炉4の上面壁には開閉自在な通気口(図示せず)が設けられている。更に排気ダクト(図示せず)の一端が接続され、該ダクトの他端に排気ファン(図示せず)が取り付けられている。前記排気ファンからの排気は、上端が開口されている排気煙突管(図示せず)を介して行われる。即ち、前記通気口を開いた状態で排気ファンを駆動させることで各独立内部空間内の気体を排気ダクト、排気煙突管を介して排気することができ、該独立内部空間を空冷することができる。
但し、本発明では、冷却工程において過熱水蒸気を使用することから排気ダクト等を用いた空冷機構は必要に応じて適宜使用すれば良い。
【0026】
前記炭化処理炉4の内部空間に前記移送コンベア3b、3c、3d、3e、3f、3g、3hが設定されている。即ち、一方の開口部(入り口)4a側から他方の開口部(出口)4b側へ向けて順に、第1移送コンベア3b、第2移送コンベア3c、第3移送コンベア3d、第4移送コンベア3e、第5移送コンベア3f、第6移送コンベア3g、第7移送コンベア3h、が配置されている。各移送コンベアは、コンベア駆動装置(図示せず)により他のコンベアとは独立して駆動する構造である
。
【0027】
前記収容容器を炭化処理炉4へ供給する供給コンベア3aは、コンベア駆動装置(図示せず)により、他のコンベアとは独立して駆動し、炭化処理が完了した処理対象物を収容した収容容器を炭化処理炉4から外へ排出する排出コンベア3iは、コンベア駆動装置(図示せず)により、他のコンベアとは独立して駆動する構造である。
【0028】
供給コンベア3a、移送コンベア3b〜3h、排出コンベア3iは、前記収容容器2を下から支持して入口4a側から出口4b側へ向けて順次移送することができる。
【0029】
前記収容容器2は、食品廃棄物等の処理対象物を中に収容するための容器である。該収容容器2は、上部少なくとも一部(好ましくは上部位置)が開放されていればよく、本実施の形態においては、上面が開放された略直方体の容器とする。該収容容器の2の素材としては、特に限定されないが、高温処理に耐え得るセラミック等などが挙げられる。該収容容器2の底面は、中央の水平面部と、該水平面部の両端から外方へ向けて下から上へ傾斜する左右一対の傾斜面とからなる形状(図示せず)をなす。更に、該収容容器2の底面の一部に複数個の小孔(図示せず)が形成され、収容容器内に混在していた金属分が過熱水蒸気により溶融し、前記傾斜により前記中央の水平面部に向けて流動し、前記小孔を通過して回収可能な構成をなす。この場合、該収容容器を移送する移送コンベアにも該溶融金属を回収できるような構造が求められ(例:コンベアが炭化処理炉の幅方向に離間した一対のコンベアとした構造など)、落下する溶融金属を回収する金属回収容器も必要となる。
【0030】
前記小孔の大きさは特に限定されるものでなく、長径(円形状の場合には直径、正方形の場合には対角線の長さ)が0.1mm〜10mmに設定されるのが好ましく、中でも小孔の長径は2mm〜5mmに設定されるのが特に好ましい。
【0031】
また、前記収容容器2の内部空間内に複数個の孔を設けた載置板(図示せず)を設けることとしてもよい。該孔の大きさは、特に限定されるものでないが、長径(円形状の場合には直径、正方形の場合には対角線の長さ)が7mm〜15mmに設定されるのが好ましい。かかる載置板を設けることにより処理対象物に混在する少し大きい異物等を載置板から下方へ移行するのを防ぐことができる。
【0032】
過熱水蒸気は、水蒸気用の貯水タンク(図示せず)から供給される水をボイラー(図示せず)(例:貫流蒸気ボイラー)で生成し、連通管(図示せず)を介して過熱水蒸気発生装置(図示せず)に送られる。
【0033】
過熱水蒸気発生装置(図示せず)は、水蒸気から過熱水蒸気を発生させる装置であり、前記ボイラーで生成された水蒸気から過熱水蒸気を発生させる。本実施の形態においては、各独立内部空間S1〜S7に1台ずつ接続される過熱水蒸気発生装置を配置する。
【0034】
過熱水蒸気発生装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、誘導過熱式の過熱水蒸気発生装置などが挙げられる。該過熱水蒸気発生装置で発生させる過熱水蒸気の温度としては、600℃などを例示できるが、特にこのような条件に限定されない。有機物を十分に炭化させるには該過熱水蒸気発生装置で150℃以上の過熱水蒸気を発生させるのが好ましい。中でも、エネルギ―コストを抑制しつつ有機物の炭化処理を十分に行わせるためには、150℃〜1,000℃の過熱水蒸気を発生させる能力を備えていることが好ましい。
【0035】
供給管部5は、一端が前記過熱水蒸気発生装置に接続され、他端が前記炭化処理炉4の内部空間で開口している。前記炭化処理炉4へは上方から又は下方から或は上下から供給することとしても良い。図示しないが、必要に応じて供給管部5の途中位置を加熱する加熱装置(例:加熱バーナー)を別途設けることとしても良い。
【0036】
本実施の形態の「加熱工程」について説明する。第1独立内部空間S1内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は150℃になるように制御される。第2独立内部空間S2内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は300℃に制御される。第3独立内部空間S3内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は450℃に制御される。第4独立内部空間S4(=最高温度到達空間)内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は600℃になるように制御される。前記各独立内部空間内に供給される過熱水蒸気の温度は、一例であり、特にこのような条件に限定されるものではない。
【0037】
続く「冷却工程」について説明する。第5独立内部空間S5内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は450℃になるように制御される。第6独立内部空間S6内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は300℃になるように制御される。第7独立内部空間S7内に前記供給管部5から供給される過熱水蒸気の温度は150℃になるように制御される。前記各独立内部空間内に供給される過熱水蒸気の温度は、一例であり、特にこのような条件に限定されるものではない。
【0038】
次に、本発明の特徴である循環路8について説明する。
図2に示すように、本発明に係る炭化処理装置1には、循環路8a、8b、8cが設けられ、それぞれ一対の独立内部空間が相互に繋がれた構造となっている。詳しくは、第5独立内部空間S5と第3独立内部空間S3とが循環路8aにより繋がれ、第6独立内部空間S6と第2独立内部空間S2とが循環路8bにより繋がれ、第7独立内部空間S7と第1独立内部空間S1とが循環路8Cにより繋がれた構造である。
【0039】
次に、本発明の炭化処理装置1を用いて有機物を炭化処理する方法の一例について説明する。
【0040】
炭化処理の対象となる有機物としては、特に限定されるものではないが、例えば、食品廃棄物(生ごみ、食品端材等)、木材(鉄道の枕木も含む)、プラスチック、魚網、基盤(IC基板等)、タイヤ等が挙げられる。
【0041】
先ず、炭化処理中は、炭化処理炉4の排気口(図示せず)は開放し、通気口(図示せず)も開放しておく。
【0042】
処理対象の有機物を収容した収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第一移送コンベア3bに移して更に移送することで該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0043】
しかる後、端部シャッター6a及び第1仕切シャッター7aを閉じて第1独立内部空間S1を形成せしめる。この第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
【0044】
次に、端部シャッター6a及び第1仕切シャッター7aを開いて、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
これと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0045】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a及び第2仕切シャッター7bを閉じて、第1独立内部空間S1と第2独立内部空間S2を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0046】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a及び第2仕切シャッター7bを開いて、第2独立内部空間S2内の収容容器2を第2移送コンベア3cで移送し、次の第3移送コンベア3dに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第3領域F3に配置せしめる。
これと同時並行して、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
また、これらと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0047】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b及び第3仕切シャッター7cを閉じて、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2及び第3独立内部空間S3を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第3独立内部空間S3内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:270分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0048】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b及び第3仕切シャッター7cを開いて、第3独立内部空間S3内の収容容器2を第3移送コンベア3dで移送し、次の第4移送コンベア3eに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第4領域F4に配置せしめる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内の収容容器2を第2移送コンベア3cで移送し、次の第3移送コンベア3dに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第3領域F3に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
さらに、これらと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0049】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c及び第4仕切シャッター7dを閉じて、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2、第3独立内部空間S3及び第4独立内部空間S4を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第3独立内部空間S3内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:270分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
さらに、これらと同時並行して、第4独立内部空間S4内に供給管部5から600℃の過熱水蒸気を所定時間(例:360分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0050】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c及び第4仕切シャッター7dを開いて、第4独立内部空間S4内の収容容器2を第4移送コンベア3eで移送し、次の第5移送コンベア3fに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第5領域F5に配置せしめる。
これと同時並行して、第3独立内部空間S3内の収容容器2を第3移送コンベア3dで移送し、次の第4移送コンベア3eに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第4領域F4に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第2独立内部空間S2内の収容容器2を第2移送コンベア3cで移送し、次の第3移送コンベア3dに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第3領域F3に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
さらに、これらと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0051】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d及び第5仕切シャッター7eを閉じて、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2、第3独立内部空間S3、第4独立内部空間S4及び第5独立内部空間S5を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第3独立内部空間S3内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:270分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第4独立内部空間S4内に供給管部5から600℃の過熱水蒸気を所定時間(例:360分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
さらに、これらと同時並行して、第5独立内部空間S5内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:450分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0052】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d及び第5仕切シャッター7eを開いて、第5独立内部空間S5内の収容容器2を第5移送コンベア3fで移送し、次の第6移送コンベア3gに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第6域F6に配置せしめる。
これと同時並行して、第4独立内部空間S4内の収容容器2を第4移送コンベア3eで移送し、次の第5移送コンベア3fに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第5領域F5に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第3独立内部空間S3内の収容容器2を第3移送コンベア3dで移送し、次の第4移送コンベア3eに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第4領域F4に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第2独立内部空間S2内の収容容器2を第2移送コンベア3cで移送し、次の第3移送コンベア3dに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第3領域F3に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
さらに、これらと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0053】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d、第5仕切シャッター7e及び第6仕切シャッター7fを閉じて、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2、第3独立内部空間S3、第4独立内部空間S4、第5独立内部空間S5及び第6独立内部空間S6を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第3独立内部空間S3内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:270分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第4独立内部空間S4内に供給管部5から600℃の過熱水蒸気を所定時間(例:360分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第5独立内部空間S5内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:450分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
さらに、これらと同時並行して、第6独立内部空間S6内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:540分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0054】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d、第5仕切シャッター7e及び第6仕切シャッター7fを開いて、第6独立内部空間S6内の収容容器2を第6移送コンベア3gで移送し、次の第7移送コンベア3hに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第7領域F7に配置せしめる。
これと同時並行して、第5独立内部空間S5内の収容容器2を第5移送コンベア3fで移送し、次の第6移送コンベア3gに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第6領域F6に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第4独立内部空間S4内の収容容器2を第4移送コンベア3eで移送し、次の第5移送コンベア3fに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第5領域F5に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第3独立内部空間S3内の収容容器2を第3移送コンベア3dで移送し、次の第4移送コンベア3eに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第4領域F4に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第2独立内部空間S2内の収容容器2を第2移送コンベア3cで移送し、次の第3移送コンベア3dに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第3領域F3に配置せしめる。
また、これと同時並行して、第1独立内部空間S1内の収容容器2を第1移送コンベア3bで移送し、次の第2移送コンベア3cに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第2領域F2に配置せしめる。
さらに、これらと同時並行して、処理対象の有機物を収容した新たな収容容器2を供給コンベア3aに載せて移送し、次の第1移送コンベア3bに移して更に移送することによって、該収容容器2を炭化処理炉4の第1領域F1に配置せしめる。
【0055】
しかる後、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d、第5仕切シャッター7e、第6仕切シャッター7f及び端部シャッター6bを閉じて、第1独立内部空間S1、第2独立内部空間S2、第3独立内部空間S3、第4独立内部空間S4、第5独立内部空間S5、第6独立内部空間S6及び第7独立内部空間S7を形成せしめる。第1独立内部空間S1内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:90分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理を進行させる。
これと同時並行して、第2独立内部空間S2内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:180分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第3独立内部空間S3内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:270分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第4独立内部空間S4内に供給管部5から600℃の過熱水蒸気を所定時間(例:360分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第5独立内部空間S5内に供給管部5から450℃の過熱水蒸気を所定時間(例:450分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
また、これらと同時並行して、第6独立内部空間S6内に供給管部5から300℃の過熱水蒸気を所定時間(例:300分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
さらに、これらと同時並行して、第7独立内部空間S7内に供給管部5から150℃の過熱水蒸気を所定時間(例:630分)供給することによって収容容器2内の有機物の炭化処理をさらに進行させる。
【0056】
次に、端部シャッター6a、第1仕切シャッター7a、第2仕切シャッター7b、第3仕切シャッター7c、第4仕切シャッター7d、第5仕切シャッター7e、第6仕切シャッター7f及び端部仕切シャッター6bを開いて、第7独立内部空間S7内の収容容器2を第7移送コンベア3hで移送し、次の排出コンベア3iに移して、該収容容器2内の有機物の炭化処理を終了する。該排出コンベア3iに排出された収容容器2内には炭化処理により得られた炭化物(炭)が存在する。
【0057】
以上、収容容器2内の処理対象物は、炭化処理炉4の各領域における過熱水蒸気処理により処理対象物の性質や特性に応じた温度で炭化処理が施され炭となって回収され、また諸金属が溶融回収されることとなる。尚、図示しないが、凝縮器を用いて有機物からの気化成分(熱分解成分、経由分、重油分、灯油分等)を凝縮させて液体(凝縮液)にして回収することも可能である。
【0058】
以上、見てきたように、上記処理工程においては、独立内部空間毎に過熱水蒸気発生装置及びこれに付随する各種機器を稼動させて適宜過熱水蒸気を供給し続ける必要がある。しかし乍ら、大量の有機物を処理する場合、24時間の連続運転が望まれるところ、このような連続運転時には石油等燃料資源の消費は最小限に留めることが望ましい。処理対象物を選ばず、無臭且つ低音処理を実現したことから環境特性にも優れ、油や炭といった燃料回収が可能な過熱水蒸気による有機物処理を広く浸透させるためには、この燃料コストの問題を解決する必要がある。
【0059】
そこで、本発明者は連続運転を前提とした炭化処理において、
図2に示すように、一対の独立内部空間を相互に繋ぐ循環路8a、8b、8cをそれぞれ設け、該循環路を介して、一の独立内部空間内の過熱水蒸気を他の独立内部空間へと循環させることで、この問題を解決した。
【0060】
〔循環路8a〕
循環路8aは、第5独立内部空間S5と第3独立内部空間S3を繋いだものである。
第2独立内部空間S2内で300℃まで加熱された収容容器2は第3独立内部空間S3内へ移送されて450℃の過熱水蒸気が供給されている。即ち、該第3独立内部空間S3内では300℃から450℃までの温度変化が生じる加熱工程にある。
【0061】
一方、第5独立内部空間S5内においては、第4独立内部空間S4内で600℃まで加熱された収容容器2が第5独立内部空間S5内へ移送されて450℃の過熱水蒸気が供給されている。即ち、第5独立内部空間S5内では600℃から450℃までの温度変化が生じる冷却工程にある。
【0062】
かかる第5独立内部空間S5と第3独立内部空間S3とを循環路8aで過熱水蒸気を流出入可能に繋ぎ合わせることで、第5独立内部空間S5内に充満する600℃から450℃までの冷却過程にある過熱水蒸気が第3独立内部空間S3内へと流入することから、第3独立内部空間S3内への450℃の過熱水蒸気を供給すべく過熱水蒸気発生装置等を稼動させることなく、該第3独立内部空間S3内を300℃から450℃へと上昇させることが可能となる。
【0063】
〔循環路8b〕
循環路8bは、第6独立内部空間S6と第2独立内部空間S2を繋いだものである。
第1独立内部空間S1内で150℃まで加熱された収容容器2は第2独立内部空間S2内へ移送されて300℃の過熱水蒸気が供給されている。即ち、該第2独立内部空間S2内では150℃から300℃までの温度変化が生じる加熱工程にある。
【0064】
一方、第6独立内部空間S6内においては、第5独立内部空間S5内で
450℃まで冷却された収容容器2が第6独立内部空間S6内へ移送されて300℃の過熱水蒸気が供給されている。即ち、第6独立内部空間S6内では450℃から300℃までの温度変化が生じる冷却工程にある。
【0065】
かかる第6独立内部空間S6と第2独立内部空間S2とを循環路8bで過熱水蒸気を流出入可能に繋ぎ合わせることで、第6独立内部空間S6内に充満する450℃から300℃までの冷却過程にある過熱水蒸気が第2独立内部空間S2内へと流入することから、第2独立内部空間S2内への300℃の過熱水蒸気を供給すべく過熱水蒸気発生装置等を稼動させることなく、該第2独立内部空間S2内を150℃から300℃へと上昇させることが可能となる。
【0066】
〔循環路8c〕
循環路8cは、第7独立内部空間S7と第1独立内部空間S1を繋いだものである。
第1独立内部空間S1内で150℃まで加熱されようとしている収容容器2には150℃の過熱水蒸気が供給されようとしている。即ち、該第1独立内部空間S1内では常温から150℃までの温度変化が生じる加熱工程にある。
【0067】
一方、第7独立内部空間S7内においては、第6独立内部空間S6内で300℃まで冷却された収容容器2が第7独立内部空間S7内へ移送されて150℃の過熱水蒸気が供給されている。即ち、第7独立内部空間S6内では300℃から150℃までの温度変化が生じる冷却工程にある。
【0068】
かかる第7独立内部空間S7と第1独立内部空間S1とを循環路8cで過熱水蒸気を流出入可能に繋ぎ合わせることで、第7独立内部空間S7内に充満する300℃から150℃までの冷却過程にある過熱水蒸気が第1独立内部空間S1内へと流入することから、第1独立内部空間S1内への150℃の過熱水蒸気を供給すべく過熱水蒸気発生装置等を稼動させることなく、該第1独立内部空間S1内を常温から150℃へと上昇させることが可能となる。
【0069】
以上、本発明によれば、最高温度到達空間である第4独立内部空間S4と、冷却工程にある第5独立内部空間S5、第6独立内部空間S6、第7独立内部空間S7に対して所定の過熱水蒸気を供給すべく過熱水蒸気発生装置及びこれに付随する各種機器を稼動させるだけで連続運転が可能となり、上記循環路8がない装置と比べると大幅に消費燃料を削減することが可能となる。