(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る広告審査支援装置、広告審査支援方法および広告審査支援プログラムの実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る広告審査支援装置、広告審査支援方法および広告審査支援プログラムが限定されるものではない。
【0011】
[1.広告審査支援処理]
まず、
図1を用いて、実施形態に係る広告審査支援処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る広告審査支援装置が実行する広告審査支援処理の一例を示す説明図である。
【0012】
実施形態に係る広告審査支援装置1は、広告コンテンツである画像広告コンテンツがウェブページに掲載される広告として相応しいか否かを審査する広告審査の支援ツールとして機能するものである。
図1に示すように、広告審査支援装置1は、記憶部12と、取得部14と、判定部15と、処理部16とを備える。
【0013】
記憶部12は、審査の基準情報となる第1の画像広告コンテンツ3を記憶する。基準情報となる第1の画像広告コンテンツ3(以下、「基準コンテンツ3」とする場合がある)は、審査条件を満たす画像広告コンテンツであり、例えば、広告主から受け付けた画像広告コンテンツのうち、既に審査を終え、審査によって承認された審査済広告コンテンツである。したがって、過去の審査履歴を有効に用いた広告審査支援処理が行える。
【0014】
取得部14は、広告主から受け付けた複数の画像広告情報を、それぞれ審査対象となる第2の画像広告コンテンツ4として取得する。かかる第2の画像広告コンテンツ4(以下、「審査対象コンテンツ4」とする場合がある)には、主となる画像コンテンツの他、キャッチコピーや説明文等のテキストコンテンツが含まれる。なお、画像広告情報としては、動画広告も含まれるが、以下では、ウェブページ内の所定の枠内に静止画が主に表示される広告としている。
【0015】
判定部15は、取得部14によって取得された審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との類似状態を判定する。すなわち、判定部15は、広告主から受け付けた審査対象コンテンツ4が、既に審査で承認された基準コンテンツ3に対して、どの部分がどの程度類似しているのかを判定する。
【0016】
例えば、審査対象コンテンツ4に含まれるコンテンツ構成要素と、基準コンテンツ3に含まれるコンテンツ構成要素とを、それぞれ抽出し、判定部15は、抽出したコンテンツ構成要素ごとの類似度合を比較して、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を判定することができる。
【0017】
なお、本実施形態に係る広告審査支援装置1では、広告コンテンツを画素情報の集合である画像広告コンテンツとし、それを構成するコンテンツ構成要素についても同様に画像として抽出している。したがって、本実施形態では、文字として視認できるものであっても、テキスト情報ではなく画像情報として認識するが、後述するように、テキスト情報として抽出し、これを基準コンテンツ3のテキスト情報と比較して類似判定することもできる。
【0018】
図1に例示する審査対象コンテンツ4は、ホテルの広告として入稿されたものであり、図示するように、相対的に縦長の矩形枠状に構成されている。そして、審査対象コンテンツ4は、上側から下側にかけてコンテンツ構成要素としての第1構成要素A1〜第5構成要素E1に区分できる。
【0019】
第1構成要素A1は、「京都観光に最適!!」というキャッチコピーが表示されている。第2構成要素B1は、広告主体となるホテル名が「○×△ホテル」と表示されている。第3構成要素C1は、「京都駅⇔ホテル」「無料送迎バス運行」等、送迎バスの案内が表示されている。第4構成要素D1は、「30分間隔」、「7:00〜23:00」といった送迎バスの時間に関する補足内容が表示されている。また、第5構成要素E1は、ホテルの外観が表示されている。
【0020】
かかる審査対象コンテンツ4に対し、基準コンテンツ3は、正方形に近い方形枠状に構成されており、コンテンツ構成要素としての第1基準構成要素A2〜第3基準構成要素C2、および第5基準構成要素E2に区分できる。
【0021】
最上部に位置する第1基準構成要素A2は、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1に対応する要素が表示される領域であり、キャッチコピー部分として、「東京・横浜に至近」と表示されている。また、最下部に位置する第2基準構成要素B2は、審査対象コンテンツ4の第2構成要素B1に対応する要素が表示される領域であり、「○×△ホテル」とホテル名が表示されている。中段右側に位置する第3基準構成要素C2は、審査対象コンテンツ4の第3構成要素C1に対応する要素が表示される領域であり、「シャトルバス運行中」、「羽田⇔○×△ホテル」と記されたシャトルバスの案内が表示されている。また、中段左側に位置する第5基準構成要素E2は、審査対象コンテンツ4の第5構成要素E1に対応する要素が表示される領域であり、ホテルの外観が表示されている。
【0022】
このように、基準コンテンツ3には、審査対象コンテンツ4の第4構成要素D1に相当する構成要素、すなわち、送迎バスの時間に関する補足内容が表示された構成要素に対応する基準構成要素は存在しない。
【0023】
判定部15は、上述の審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との間で、それぞれ構成要素ごとに類似度合を比較することにより、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を判定する。
【0024】
このときの構成要素ごとの類似度合を比較は、例えば、第1構成要素A1〜第5構成要素E1と、第1基準構成要素A2〜第3基準構成要素C2、第5基準構成要素E2との間で、それぞれ、画像の特徴量同士を周知のマッチングソフトを用いることにより行うことができる。
【0025】
なお、構成要素同士の類似度合の判定方法については、上述した手法に限定されるものではない。第1構成要素A1〜第5構成要素E1と第1基準構成要素A2〜第5基準構成要素E2との間での類似度合を判定できるものであれば、いかなる手法を用いても構わない。
【0026】
また、判定部15は、例えば、構成要素内に文字が含まれていると判断した場合、光学文字認識ソフト等を用いてテキスト変換し、テキスト情報における特徴語同士を比較することによって類似度合を判定することができる。
【0027】
処理部16は、判定部15による判定結果に基づく所定の処理を行う。処理の一例として、処理部16は、判定部15による判定結果を示す判定画像5を生成し、この判定画像5を基準コンテンツ3および審査対象コンテンツ4と共に表示する。
【0028】
このとき、判定部15は、判定画像として、コンテンツ構成要素同士の類似度合が視覚的に識別可能な類似マップ5を生成することができる。
【0029】
類似マップ5は、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1に対応する第1判定領域A3〜第5判定領域E3に区画されており、各判定領域A3〜E3は、例えば温度の高さに応じて領域が色分けされるヒートマップのように表示される。
【0030】
本実施形態に係る類似マップ5では、類似度が最も低いレベル1から類似度が最も高いレベル4までの4段階に類似度合が設定されている。なお、実際には、判定領域A3〜E3は類似度合に応じて色分けされるものであるが、便宜上、
図1においては、レベル1を無地で表示し、レベル2をドット表示し、レベル3をハッチング表示し、最も類似度が高いレベル4は、網掛け表示している。
【0031】
ここで、レベル1〜レベル4の度合について説明すると、レベル1は、互いに類似していない(両者は異なる)、あるいは基準コンテンツ3には存在しないため、精緻な審査が必要なレベルである。レベル2は、文字の置換等があり、類似しているとも類似していないとも判断が難しく、通常の審査は必要なレベルである。レベル3は、例えば画像部分であって、類似カテゴリのオブジェクト(被写体)であるため、簡易審査でよいレベルである。レベル4は、略同一内容と判定でき、審査を省略できるレベルである。
【0032】
上述のように、類似度合がレベル分けされて表示される類似マップ5から、本実施形態における審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との類似状態は次のように判断することができ、いかなる審査が必要であるかが分かる。
【0033】
すなわち、類似マップ5の第1判定領域A3からは、審査対象コンテンツ4は、キャッチコピー部分(第1構成要素A1に相当)については、基準コンテンツ3のキャッチコピー部分(第1基準構成要素A2に相当)との類似度はレベル2であることが分かるため、通常審査を行うと判定できる。また、第2判定領域B3からは、広告主体となる名称部分(第2構成要素B1に相当)についてはレベル4であるため、審査は省略してよいと判定できる。また、第3判定領域C3からは、送迎バスの案内部分(第3構成要素C1に相当)については、レベル2であるため、通常審査を行うと判定できる。第4判定領域D3からは、送迎バスの補足情報部分(第4構成要素D1に相当)についてはレベル1であるため、慎重な審査が必要であると判定できる。さらに、第5判定領域E3からは、ホテルの外観写真部分(第5構成要素E1に相当)についてはレベル3であるため、簡易審査を要すると判定できる。
【0034】
このように、コンテンツ構成要素ごとの類似度合が分かるため、例えば、第2構成要素B1のように、類似度合が相対的に高い構成要素については無審査とする等、広告審査について省力化することが可能となる。
【0035】
上述してきたように、実施形態に係る広告審査支援装置1によれば、審査対象コンテンツ4におけるどの構成要素が基準コンテンツ3に対してどの程度一致しているのかを、視覚的に容易に判定することが可能となる。したがって、広告審査支援装置1は、広告審査の手間を省くことができるため、広告審査の際の支援ツールとして大きく貢献することができる。
【0036】
なお、類似マップ5における判定領域A3〜E3の表示態様としては、
図1に示す表示態様に限らず、例えば色分け、あるいは彩度や明度を段階的に異ならせる他、例えば、類似度合を数値で表示する態様であってもよい。
【0037】
[2.広告審査支援装置]
次に、
図2を用いて、実施形態に係る広告審査支援装置1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る広告審査支援装置1の構成例を示す説明図である。
【0038】
図2に示すように、実施形態に係る広告審査支援装置1は、複数の広告主の端末装置6,6等に、ネットワーク7を介して、有線または無線により相互に通信可能に接続される。なお、端末装置6は、ディスプレイなどの表示装置61を備える。ネットワーク7は、例えば、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0039】
端末装置6,6は、広告主による操作に従って、広告審査支援装置1に画像広告情報を入稿する。なお、
図2に示す例では、端末装置6,6を複数台示したが、1台であってもよい。
【0040】
また、広告主は、端末装置6,6を用いて、広告審査支援装置1に広告情報を入稿せずに、かかる入稿を代理店に依頼する場合もある。この場合、広告審査支援装置1に広告情報を入稿するのは代理店となる。したがって、以下では、「広告主」といった表記は、広告主だけではなく代理店をも含む概念であり、「端末装置」といった表記は、広告主の端末装置だけではなく代理店の端末装置をも含む概念であるものとする。
【0041】
広告審査支援装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部(コントローラ)13とを備えたサーバである。かかる広告審査支援装置1は、単体の処理装置である必要はなく、クラウドシステム等の複数の処理装置が協調して動作することで実現されてもよい。
【0042】
通信部11は、ネットワーク7を介して広告主の端末装置6,6等と通信するための通信インターフェイスであり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0043】
記憶部12は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部12は、基準情報DB121および広告情報DB122を格納する。
【0044】
基準情報DB121には、審査条件を満たした広告情報、すなわち、審査済広告コンテンツである基準コンテンツ(第1の画像広告コンテンツ)3(
図1参照)が少なくとも1つ登録される。なお、かかる基準コンテンツ3には、基準情報IDが割り当てられるが、かかる基準情報IDには、広告主を識別する情報、さらには、広告主体となる情報も関連付けられる。
図1に示す基準コンテンツ3の広告主体は「ホテル」である。
【0045】
広告情報DB122には、広告主から受け付けた広告情報である審査対象コンテンツ(第2の画像広告コンテンツ)4(
図1参照)が登録される。なお、かかる審査対象コンテンツ4には、受付順に審査対象IDが割り当てられるが、かかる審査対象IDには、広告主を識別する情報、広告主体となる情報が関連付けられる。
図1に示す審査対象コンテンツ4の広告主体は「ホテル」である。
【0046】
本実施形態に係る広告審査支援装置1は、入稿された審査対象コンテンツ4に対し、カテゴリが同一の基準コンテンツ3とコンテンツ要素毎に類似度合を比較し、相対的に類似度合の高い基準コンテンツ3を、実際の審査基準とする基準コンテンツ3に選定する。例えば、広告主や広告主体が一致するコンテンツを優先的に選択して審査対象コンテンツ4との類似度合を比較し、類似度合が最も高いコンテンツを基準コンテンツ3として選定する。こうすることにより、互いに類似するコンテンツ構成要素が含まれる可能性が高い基準コンテンツ3を選定することができ、広告審査支援をより効率的に行うことができる。
【0047】
制御部13は、例えば、CPUやMPU等によって、制御部13内部の記憶装置に記憶されている各種の処理プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0048】
図2に示すように、制御部13は、取得部14と、判定部15と、処理部16と、抽出部17とを備える。なお、制御部13の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する類似度判定処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部13が有する各部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限るものではない。
【0049】
取得部14は、広告主から入稿される画像広告情報(第2の画像広告コンテンツ)を審査対象コンテンツ4として取得する。なお、取得部14においては、審査対象コンテンツ4を広告主の端末装置6,6から直接取得しても、他の装置を介して取得してもよい。取得部14は、取得した審査対象コンテンツ4を広告情報DB122に登録する。
【0050】
抽出部17は、基準コンテンツ3および審査対象コンテンツ4から、それぞれコンテンツ構成要素を抽出する。すなわち、前述したように、適宜の処理プログラムを用いることにより、審査対象コンテンツ4からは、互いに区分された第1構成要素A1〜第5構成要素E1を抽出するとともに、基準コンテンツ3からは、それぞれ区分された第1基準構成要素A2〜第5基準構成要素E2を抽出する(
図1参照)。
【0051】
判定部15は、抽出部17がそれぞれ抽出したコンテンツ構成要素同士の類似状態、すなわち、
図1に示す第1構成要素A1〜第5構成要素E1と基準構成要素A2〜E2とを、それぞれ1対1で対応させて比較し、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を判定する。このとき、各コンテンツ構成要素毎の比較は、例えば、要素毎の特徴量を周知のマッチングソフトなどを用いることができる。
【0052】
処理部16は、判定部15による判定結果を示す判定画像としての類似マップ5を生成する。そして、通信部11を介して判定結果である類似マップ5を広告主の端末装置6に送信する。
【0053】
かかる一連の処理の中で、本実施形態における判定部15は、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を数値化するようにしている。例えば、前述したレベル1〜レベル4の設定もその概念に含まれるが、別途、類似度合に応じた値を付与することもできる。
【0054】
そして、処理部16は、判定部15による類似状態の判定結果が閾値を超える場合、審査対象コンテンツ4を基準コンテンツ3として記憶部12に記憶する。
【0055】
例えば、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1の基準コンテンツ3の第1基準構成要素A2〜第5基準構成要素E2に対する類似度を示す値の合計が所定の値(閾値)を超えた場合、今後の審査の基準になりうると判断し、当該審査対象コンテンツ4を基準コンテンツ3として記憶部12に記憶する。このように、審査対象コンテンツ4に適した基準コンテンツ3が経時的に充実していくため、広告審査の支援レベルを向上させることができる。
【0056】
なお、審査対象コンテンツ4が基準コンテンツ3になるか否かについては、当該審査対象コンテンツ4がその後の実際の審査結果で審査にパスするか否かとは特に関係するものではない。
【0057】
図3は、判定結果の表示態様の一例を示す説明図である。
図3に示すように、広告主の端末装置6の表示装置61には、判定結果として、基準コンテンツ3および審査対象コンテンツ4と共に類似マップ5が表示される。
【0058】
この例においては、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1と類似マップ5の第1判定領域A3〜第5判定領域E3とを対応付けやすくするために、類似マップ5と審査対象コンテンツ4とを並べて表示している。
【0059】
また、図示するように、表示装置61には、基準コンテンツ3、審査対象コンテンツ4、および類似マップ5に加え、コンテンツ構成要素毎の類似度合を示す構成要素別判定枠8と、レベル説明枠9とが表示される。
【0060】
構成要素別判定枠8には、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1に関し、基準コンテンツ3との類似度合を示すレベルが4段階で表示される。
【0061】
したがって、構成要素別判定枠8における表示により、以下のことを即座に把握することができる。すなわち、(a)第1構成要素A(キャッチコピー部分)についてはレベル2であり、通常審査が必要であること。(b)第2構成要素B1(広告主体となる名称部分)については、レベル4であり、審査不要であること。(c)第3構成要素C1(送迎バスの案内部分)については、レベル2であり、通常審査が必要なこと。(d)第4構成要素D1(送迎バスの補足情報部分)については、レベル1であり、精緻な審査が必要であること。(e)第5構成要素E1(ホテルの外観写真部分)については、レベル3であり、簡易審査が必要なこと。
【0062】
かかる判定結果を参照し、引き続き審査対象コンテンツ4の審査がなされていく。このように、本実施形態に係る広告審査支援装置1によれば、審査対象コンテンツ4がウェブページに掲載する画像広告として相応しいか否かについて、コンテンツ構成要素毎の判定結果を視覚的に、かつ直感的に把握することができる。したがって、広告審査の手間を省くことができるため、本広告審査支援装置1は、広告審査を行う際の有用な支援ツールとなる。
【0063】
ところで、構成要素別判定枠8に表示される類似度合を示すレベル値を、そのまま類似状態を数値化したものと捉えると、
図3に示す審査対象広告コンテンツ4は、第1構成要素A1〜第5構成要素E1のレベル値の合計が「12」となる。ここで、閾値が例えば「15」に設定されていた場合、審査対象広告コンテンツ4は基準コンテンツ3になることはない。なお、閾値の設定は、審査側において適宜設定することもできる。
【0064】
また、処理部16は、類似マップ5を、
図4に示すように、審査対象コンテンツ4に重畳させて合成マップ45として表示することもできる。
図4は、判定結果の表示態様の一例を示す説明図である。なお、
図4において
図3と異なるのは、審査対象コンテンツ4と類似マップ5とに代えて合成マップ45を表示した点のみであるため、以下では合成マップ45についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0065】
図4に示した例では、類似マップ5を、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1に対応するように、略同形同サイズとした第1判定領域A3〜第5判定領域E3に区画して生成している。
【0066】
すなわち、図示するように、第1領域A100は、第1構成要素A1と第1判定領域A3とが重畳した状態で、同様に、第2領域B100は、第2構成要素B1と第2判定領域B3とが、第3領域C100は、第3構成要素C1と第3判定領域C3とが、第4領域D100は、第4構成要素D1と第4判定領域D3とが、第5領域E100は、第5構成要素E1と第5判定領域E3とが重畳した状態で合成表示される。
【0067】
このように、類似マップ5を審査対象コンテンツ4に重畳させ、合成マップ45を生成して表示した場合、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1と類似マップ5の第1判定領域A3〜第5判定領域E3とを1対1で対応付けることができるため、類似度合を直感的に把握することが可能となる。
【0068】
[3.広告審査支援装置1の処理フロー]
次に、広告審査支援装置1による広告審査支援処理の流れについて説明する。
図5は、広告審査支援装置1による支援処理の処理手順の一例を示すフローチャート、
図6は、同上の支援処理における判定処理手順の一例を示すフローチャート、
図7は、同上の支援処理における判定画像生成処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図5に示す処理は、広告審査支援装置1の制御部13によって繰り返し実行される。
【0069】
図5に示すように、制御部13は、第2の画像広告コンテンツ(審査対象コンテンツ)4が端末装置6,6から入稿されたか否かを判定する(ステップS110)。制御部13は、広告情報の入稿がないと判定した場合(ステップS110,No)、以降の処理をスキップしてプログラムを終了する。一方、制御部13は、広告情報の入稿があったと判定した場合(ステップS110,Yes)、第1の画像広告コンテンツ(基準コンテンツ)3を取得する(ステップS120)。すなわち、制御部13は、入稿された審査対象コンテンツ4に対し、相対的に類似度合の高い基準コンテンツ3を基準情報DB121から取得する。
【0070】
続いて、制御部13は、後述する判定処理を実行し(ステップS130)、さらに、これも後述する判定画像生成処理を実行する(ステップS140)。そして、判定画像生成処理を終えると、制御部13は、広告主に対して判定結果を通知して(ステップS150)本支援処理プログラムを終了する。
【0071】
ここで、ステップS130の判定処理およびステップS140の判定画像生成処理について、
図6および
図7を参照しながら以下に説明する。
【0072】
判定処理では、制御部13は、先ず、第2の画像広告コンテンツ(審査対象コンテンツ)4から、コンテンツ構成要素(第1構成要素A1〜第5構成要素E1)を抽出する(ステップS210)。次いで、制御部13は、第1の画像広告コンテンツ(基準コンテンツ)3から、コンテンツ構成要素(第1基準構成要素A2〜第5基準構成要素E2)を抽出する(ステップS220)。
【0073】
続いて、制御部13は、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4とについて、コンテンツ構成要素同士を比較する(ステップS230)。
【0074】
次いで、制御部13は、判定結果を生成する(ステップS240)。すなわち、制御部13は、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似度合を数値化する。例えば、前述したように、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1の基準コンテンツ3の第1基準構成要素A2〜第5基準構成要素E2に対する類似度合をレベル値として導出する。そして、これらレベル値の合計を演算して判定結果を数値化する。
【0075】
判定結果を数値化した制御部13は、かかる判定結果が閾値を超えるか否かを判定する(ステップS250)。判定結果が閾値を超えると判定した場合(ステップS250:Yes)、制御部13は、審査対象コンテンツ4を記憶部12の基準情報DB121に記憶する(ステップS260)。すなわち、審査対象コンテンツ4は、今後入稿される審査対象コンテンツ4を審査する際の判定基準となる基準コンテンツ3として利用可能になる。
【0076】
また、ステップS260を終えた後、および判定結果が閾値を超えないと判定した場合(ステップS250:No)、制御部13は、処理を広告審査支援処理(
図5)に戻す。
【0077】
なお、本判定処理において、制御部13は、ステップS210とステップS220の処理は、順番が入れ替わっても構わない。
【0078】
次に、判定画像生成処理について説明する。
図7に示すように、制御部13は、先ず、コンテンツ構成要素毎に類似状態をマップ化する(ステップS310)。すなわち、判定処理(
図6)で抽出した審査対象コンテンツ4のコンテンツ構成要素(第1構成要素A1〜第5構成要素E1)に対応する第1判定領域A3〜第5判定領域E3を生成し、各判定領域A3〜E3を、温度に応じて色分けされるヒートマップのように、類似度合に応じて色分けする。
【0079】
そして、制御部13は、第1判定領域A3〜第5判定領域E3を集合し、審査対象コンテンツ4と略同サイズで、かつ第1構成要素A1〜第5構成要素E1と対応する並びの類似マップ5を生成する(ステップS320)。そして、制御部13は、ステップS330において、かかる類似マップ5を含む判定結果を示す画像を生成し(
図3または
図4を参照)、その後、処理を広告審査支援処理(
図5)に戻す。
【0080】
[4.変形例]
広告審査支援装置1は、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。以下、上記広告審査支援装置1の変形例について説明する。
【0081】
変形例に係る広告審査支援装置1は、審査済み広告コンテンツの中でも、広告審査に通らず不合格となった画像広告コンテンツであるNG画像広告を、ネガティブ基準コンテンツとして、記憶部12に記憶している。そして、この広告審査支援装置1は、かかるNG画像広告と審査対象コンテンツ4とを、判定前に予め比較する判定前処理を行うことで審査を支援することができる。
【0082】
図8は、変形例に係る広告審査支援装置1の支援処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図示するように、制御部13は、先ず、入稿された審査対象コンテンツ4に対し、例えば、広告主や広告主体が同一のNG画像広告の中から、相対的に類似度合の高いNG画像広告をネガティブ基準コンテンツとして記憶部12から取得する(ステップS510)。
【0083】
次いで、制御部13は、NG画像広告から審査に通らなかったNGコンテンツ構成要素を取得する(ステップS520)。すなわち、取得されたNG画像広告は、予め、審査に通らなかった要因となったNGコンテンツ構成要素を含む複数のコンテンツ構成要素に区画されており、制御部13は、複数のコンテンツ構成要素の中からNGコンテンツ構成要素を取得する。
【0084】
次いで、制御部13は、審査対象コンテンツ(第2の画像広告コンテンツ)4から、コンテンツ構成要素である第1構成要素A1〜第5構成要素E1(
図1参照)を抽出する(ステップS530)。
【0085】
続いて、制御部13は、コンテンツ構成要素同士を比較する(ステップS540)。すなわち、NGコンテンツ構成要素と、審査対象コンテンツ4のコンテンツ構成要素を、第1構成要素A1〜第5構成要素E1から順次比較していく。
【0086】
そして、制御部13は、審査対象コンテンツ4のコンテンツ構成要素がNGコンテンツ構成要素と一致するか否かを判定する(ステップS550)。すなわち、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1のうち、一つでもNGコンテンツ構成要素と一致するか否かを判定する。なお、ここで、一致の概念は、必ずしも完全同一ということではなく、前述した類似度を示すレベル表示におけるレベル4に相当する程度までも含む。
【0087】
ステップS550において、審査対象コンテンツ4のコンテンツ構成要素がNGコンテンツ構成要素と一つでも一致すれば(ステップS550:Yes)、その時点で、制御部13は、審査対象コンテンツ4を不合格と判定し(ステップS560)、本プログラムを終了する。
【0088】
他方、ステップS550において、審査対象コンテンツ4のコンテンツ構成要素がNGコンテンツ構成要素と一致しない場合(ステップS550:No)、制御部13は本プログラムを終了するが、制御部13は、本処理における審査対象コンテンツ4を、引き続き広告審査支援処理(
図5参照)に受け渡す。
【0089】
このように、変形例に係る広告審査支援装置1では、判定前処理を実施することで、通常の広告審査を実施する前に、不合格となるべき審査対象コンテンツ4を除外することができるため、広告審査支援をより効率的に行うことができる。
【0090】
[5.ハードウェア構成]
なお、上述した実施形態における広告審査支援装置1は、例えば、
図9に示すような構成のコンピュータ100がプログラムを実行することによって実現される。
図9は、プログラムを実行するコンピュータ100のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ100は、CPU101、RAM102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、通信インターフェイス(I/F)105、入出力インターフェイス(I/F)106、およびメディアインターフェイス(I/F)107を備える。
【0091】
CPU101は、ROM103またはHDD104に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM103は、コンピュータ100の起動時にCPU101によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0092】
HDD104は、CPU101によって実行されるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス105は、ネットワーク7を介して他の機器からデータを受信してCPU101へ送り、CPU101が生成したデータを、ネットワーク7を介して他の機器へ送信する。
【0093】
CPU101は、入出力インターフェイス106を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU101は、入出力インターフェイス106を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU101は、生成したデータを、入出力インターフェイス106を介して出力装置へ出力する。
【0094】
メディアインターフェイス107は、記録媒体108に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM102を介してCPU101に提供する。CPU101は、当該プログラムを、メディアインターフェイス107を介して記録媒体108からRAM102上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体108は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0095】
コンピュータ100が上述した実施形態に係る広告審査支援装置1として機能する場合、コンピュータ100のCPU101は、RAM102上にロードされたプログラムを実行することにより、例えば、制御部13の機能を実現する。また、HDD104には、記憶部12内のデータが記憶される。コンピュータ100のCPU101は、プログラムを、記録媒体108から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、ネットワーク7を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0096】
[6.効果]
(1)実施形態に係る広告審査支援装置1は、記憶部12と、取得部14と、判定部15と、処理部16とを備える。記憶部12は、基準コンテンツ(第1の広告コンテンツ)3を記憶する。取得部14は、審査対象である審査対象コンテンツ(第2の広告コンテンツ)4を取得する。判定部15は、取得部14によって取得された審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との類似状態を判定する。処理部16は、判定部15による判定結果に基づく処理を行う。これにより、広告情報の審査を、適切に支援することができる。
【0097】
(2)また、広告審査支援装置1は、上記(1)において、基準コンテンツ3および審査対象コンテンツ4から、それぞれコンテンツ構成要素を抽出する抽出部17をさらに備え、判定部15は、抽出部17が抽出したコンテンツ構成要素同士の類似状態をそれぞれ比較して、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を判定する。これにより、広告情報の審査をより適切に支援することができる。
【0098】
(3)また、広告審査支援装置1は、上記(2)において、処理部16は、判定部15による判定結果を示す判定画像を生成し、当該判定画像を基準コンテンツ3および審査対象コンテンツ4と共に表示する。これにより、審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との類似度合の判定を、容易かつ効率的に行うことができる。
【0099】
(4)また、広告審査支援装置1は、上記(3)において、処理部16は、判定画像として、コンテンツ構成要素同士の類似度合が視覚的に識別可能な類似マップ5を生成する。これにより、審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との類似度合の判定を、より容易かつ効率的に行うことが可能となる。
【0100】
(5)また、広告審査支援装置1は、上記(4)において、処理部16は、類似マップ5を、審査対象コンテンツ4に重畳させて表示する。これにより、審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3との、コンテンツ構成要素毎の類似度合をより容易に把握することができる。
【0101】
(6)また、広告審査支援装置1は、上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、判定部15は、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4との類似状態を数値化する一方、処理部16は、判定部15による類似状態の判定結果が閾値を超える場合、審査対象コンテンツ4を基準コンテンツ3として記憶部12に記憶する。これにより、審査対象コンテンツ4に適した基準コンテンツ3が経時的に充実していくため、広告審査の支援レベルを向上させることができる。
【0102】
(7)また、広告審査支援装置1は、上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、基準コンテンツ3は、既に審査を終えた審査済みの広告コンテンツである。これにより、過去の審査履歴を有効に用いた広告審査支援処理が行える。
【0103】
(8)また、広告審査支援装置1は、上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、広告コンテンツは、画像広告コンテンツである。これにより、例えば、周知のマッチングソフトを用いて、容易に画像の特徴量同士の比較を行うことができる。
【0104】
[7.その他]
以上、本願の実施形態の一態様を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0105】
例えば、上述した実施形態では、広告審査支援処理において、基準コンテンツ3と審査対象コンテンツ4とを比較する場合、画像の特徴量同士を周知のマッチングソフトを用いて行うとした。その際に、特徴量をモノクロ表示のように、二値化して表す場合が考えられるが、その場合、反転値同士でも形状的な一致をみれば、類似していると判定することができる。
【0106】
また、上述した実施形態では、広告コンテンツを画像情報の集合である画像広告コンテンツとしたが、テキスト情報が混在したものであってもよく、審査対象コンテンツ4と基準コンテンツ3のテキスト情報からなるコンテンツ構成要素同士を比較するようにしてもよい。
【0107】
また、広告審査支援処理を行う際に、先ず、審査対象コンテンツ4と同一カテゴリの基準コンテンツ3を選定するとしたが、当初から、カテゴリを超えてコンテンツ構成要素同士を比較するようにしてもよい。すなわち、審査対象コンテンツ4を、例えば、第1構成要素A1〜第5構成要素E1に区分してそれぞれ抽出した場合、これらの各要素と、基準情報DB121に含まれる全ての基準コンテンツ3のコンテンツ構成要素とそれぞれ比較するのである。
【0108】
かかる処理を行った結果、例えば、審査対象コンテンツ4の第1構成要素A1〜第5構成要素E1が全てレベル4と判定された場合、これまで行っていた広告審査は省略可能となる。すなわち、広告審査の自動化の一部が実現されることになる。
【0109】
また、上述した広告審査支援装置1は、それぞれ複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現する等、構成は柔軟に変更できる。
【0110】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、検出部は、検出手段や検出回路に読み替えることができる。