特許第6791644号(P6791644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791644
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20201116BHJP
   F21S 43/33 20180101ALI20201116BHJP
   F21S 43/40 20180101ALI20201116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201116BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201116BHJP
【FI】
   F21S43/20
   F21S43/33
   F21S43/40
   F21Y115:10
   F21Y115:30
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-59505(P2016-59505)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-174637(P2017-174637A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】八木 隆之
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−314321(JP,A)
【文献】 特開2014−065499(JP,A)
【文献】 特開2012−164585(JP,A)
【文献】 特開2011−100684(JP,A)
【文献】 特開2011−142000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/33
F21S 43/40
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光源と、蛍光体と、励起光源から出射した光を揺動可能に形成された反射鏡の反射面で受け、反射光を前記蛍光体に向けて走査する走査機構と、前記蛍光体からの出射光を透過させて配光パターンを形成する投影レンズと、を有する車両用前照灯において、
前記励起光源から出射した光を前記反射鏡の反射面上に集光させる集光レンズを有し、
前記反射光を素通しさせる第1領域と、揺動する前記反射鏡の向きに応じて前記反射光を集光または拡散するように透過させる第2領域と、を備え、前記反射鏡の反射面と前記蛍光体との間に配置された偏向レンズを有することを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記集光レンズは、第1方向の集光倍率を変更可能な第1レンズと、前記第1レンズに対して直列に配置され前記第1方向に直交する方向である第2方向の集光倍率を変更可能な第2レンズと、を有することを特徴とする、請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記蛍光体は、前記投影レンズの光軸に直交する方向に対して傾斜して配置されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記走査機構による走査領域の一部において揺動する前記反射鏡による反射光を再反射する再反射鏡を有することを特徴とする、請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記集光レンズがアナモルフィックレンズであることを特徴とする、請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記反射面から前記蛍光体に入射する反射光の光像を前記反射面への入射光の光像よりも大きく形成したことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記反射面から前記蛍光体に入射する反射光の光像を前記反射面への入射光の光像よりも小さく形成したことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
形状の自在性が高い配光パターンを形成可能で安全な車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源であるレーザー装置による出射光を二次元的に傾倒可能なMEMSミラーによって蛍光体パネルに反射しつつ走査して配光パターンを形成する車両用前照灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−65499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用前照灯においてレーザー光から出射する光は、MEMSミラーに向かって拡散するため、MEMSミラーによる反射光は、投影レンズの後方焦点近傍に配置された蛍光体パネルの位置で焦点を結ぶように反射される場合がある。焦点を結ぶように蛍光体パネルに入射した光を二次元的に傾倒可能な1枚のMEMSミラーで走査した場合、投影レンズを介して形成される配光パターンの形状は、棒形状に限定されるため、自在な形状の配光パターンが形成されない点で問題がある。
【0005】
本願は、上記問題に鑑みて、形状の自在性が高い配光パターンを形成可能で安全な車両用前照灯を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、励起光源と、蛍光体と、励起光源から出射した光を揺動可能に形成された反射鏡の反射面で受け、反射光を前記蛍光体に向けて走査する走査機構と、前記蛍光体からの出射光を透過させて配光パターンを形成する投影レンズと、を有する車両用前照灯において、前記励起光源から出射した光を前記反射鏡の反射面上に集光させる集光レンズを有するようにした。
【0007】
(作用)走査機構から蛍光体に入射する光は、蛍光体上で二次元的に揺動する反射鏡の揺動方向に直交する方向に拡散しつつ反射鏡の揺動方向に走査される。
【0008】
また、車両用前照灯において、前記集光レンズは、第1方向の集光倍率を変更可能な第1レンズと、前記第1レンズに対して直列に配置され前記第1方向に直交する方向である第2方向の集光倍率を変更可能な第2レンズと、を有するようにした。
【0009】
(作用)本来楕円状に拡散するレーザー光が、第1レンズと第2レンズを順に通過することによって2方向にされ、円形などの自在な光像を蛍光体上に照射する。
【0010】
また、車両用前照灯において、前記蛍光体を前記投影レンズの光軸に直交する方向に対して傾斜して配置した。
【0011】
(作用)蛍光体が、走査機構の反射鏡の反射面により正対するように配置されることにより、蛍光体に入射する反射光の光像の形状が、投影レンズに対する反射鏡の傾斜方向に狭く形成される。
【0012】
また、車両用前照灯において、前記反射光を素通しさせる第1領域と、揺動する前記反射鏡の向きに応じて前記反射光を集光または拡散するように透過させる第2領域と、を備え、前記反射鏡の反射面と前記蛍光体との間に配置された偏向レンズを設けた。
【0013】
(作用)走査機構の反射鏡は、高速で揺動することにより、偏向レンズの第1領域と第2領域に交互に向けられ、揺動する反射鏡によって反射された光は、偏向レンズの第1領域と第2領域に交互に入射したあと蛍光体を通過する。偏向レンズの第1領域に入射する光は、屈折せずに通過して配光パターンの外殻領域を形成し、偏向レンズの第2領域を通過する光は、所定の方向に集光または拡散されることによって外殻領域の内側に照射され、外殻領域よりも明度の高い領域(ホットスポット)を配光パターンに形成する。
【0014】
また、車両用前照灯において、前記走査機構による走査領域の一部において揺動する前記反射鏡による反射光を再反射する再反射鏡を有するようにした。
【0015】
(作用)走査機構の反射鏡による反射光は、走査機構による走査領域の一部の領域において再反射鏡によって投影レンズに向けて再反射される。再反射鏡に入射せずに投影レンズを通過した光は、配光パターンの外殻領域を形成し、再反射鏡によって再反射されて投影レンズを通過した光は、外殻領域の内側に照射され、外殻領域よりも明度の高い領域(ホットスポット)を配光パターンに形成する。
【0016】
また、車両用前照灯において、前記集光レンズをアナモルフィックレンズとした。
【0017】
(作用)本来楕円状に拡散するレーザー光が、アナモルフィックレンズを通過することによって光像を圧縮及び拡張されることにより、円形などの自在な光像を蛍光体上に照射する。
【0018】
また、車両用前照灯において、前記反射面から前記蛍光体に入射する反射光の光像を前記反射面への入射光の光像よりも大きく形成した。
【0019】
(作用)走査機構の反射鏡の反射面上に集光するように入射した光が拡散反射しながら蛍光体に入射する。
【0020】
また、車両用前照灯において、前記反射面から前記蛍光体に入射する反射光の光像を前記反射面への入射光の光像よりも小さく形成した。
【0021】
(作用)走査機構の反射鏡による反射光が、集光されつつ蛍光体に入射する。
【発明の効果】
【0022】
車両用前照灯によれば、反射鏡の揺動方向に直交する方向に拡散する光が二次元的に走査されるため、棒状に限られることなく形状の自在性が高い配光パターンが形成される。
【0023】
車両用前照灯によれば、蛍光体上に照射される光像の形状を自在に変形させることが出来るため、当該光像を走査することでより自在性が高い配光パターンが形成される。
【0024】
車両用前照灯によれば、蛍光体上に照射される光像の形状を投影レンズに対する反射鏡の傾斜方向により狭く形成出来るため、当該光像を走査することでより自在性が高い配光パターンが形成される。
【0025】
車両用前照灯によれば、所定形状の拡散領域と拡散領域よりも狭くて明るい所定形状の集光領域を拡散領域の内側の所定に位置に形成出来ることで自在性の高い配光パターンが形成され、または光線の分布が均等な配光パターンが形成される。
【0026】
車両用前照灯によれば、蛍光体上に極小のスポット光像が照射されることにより走査に利用される反射光の分解能が向上して配光パターンの解像度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】各実施例における車両用前照灯の正面図。
図2】光透過型の蛍光体を有する第1実施例の車両用前照灯の縦断面図(図1のI−I断面図。)
図3】(a)走査機構をほぼ正面から見た斜視図。(b)車両用前照灯によるハイビーム用配光パターンに関する説明図。
図3A】(a)蛍光体上に照射される光像を反射鏡上に照射される光像よりも大きくした前照灯ユニットの拡大部分断面図。(b)蛍光体上に照射される光像を反射鏡上に照射される光像よりも小さくした前照灯ユニットの拡大部分断面図。
図4】反射型の蛍光体を有する第2実施例の車両用前照灯の縦断面図。
図5】第1実施例の車両用前照灯の集光レンズの変形例を示す斜視図。
図6】(a)光反射型の蛍光体を有する第3実施例の車両用前照灯の横断面図(図1の切断線II-IIの位置で切断した図)。(b)第3実施例の車両用前照灯によって形成される光路及び光像の説明図。
図7】光透過型の蛍光体を有する第4実施例の車両用前照灯の横断面図(図1の切断線II-IIの位置で切断した図)。
図8】第4実施例の車両用前照灯によって形成される光路及び光像の説明図。
図9】(a)光透過型の蛍光体を有する第5実施例の車両用前照灯の横断面図(図1の切断線II-IIの位置で切断した図)。(b)第5実施例のホルダー及び蛍光体のみを示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図1から図9に基づいて説明する。各図においては、車両用前照灯の各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。
【0029】
図1図2に示される第1実施例の車両用前照灯1は、光透過型の蛍光体を有する右側前照灯の一例を示すものであり、ランプボディ2と、前面カバー3と、前照灯ユニット4と、を備える。ランプボディ2は、車両の前方側に開口部を有する。前面カバー3は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成され、ランプボディ2の開口部に取り付けられることによって内側に灯室Sを形成する。図1に示す前照灯ユニット4は、ハイビーム用前照灯ユニット5及びロービーム用前照灯ユニット6を金属製の支持部材7で一体化することによって構成され、灯室Sの内側に配置される。
【0030】
ハイビーム用前照灯ユニット5とロービーム用前照灯ユニット6は、図2に示す励起光源8、集光レンズ9,蛍光体10、走査機構11及び投影レンズ12をそれぞれ有し、これらはいずれも支持部材7に取り付けられる。支持部材7は、水平方向に伸びる板状の底板部7aと、底板部7aの先端から前方に伸びるレンズ支持部7bと、底板部の基端から鉛直方向に伸びる板状の基礎板部7cと、を有する。
【0031】
図2に示す通り、励起光源8と蛍光体10は、金属製の底板部7aに固定される。走査機構11は、取付部7dによって基礎板部7cの前面に固定される。集光レンズ9は、底板部7aまたは基礎板部7cのいずれかに固定される。投影レンズ12は、レンズ支持部7bの先端の上面に固定される。前照灯ユニット4の支持部材7は、ランプボディ2に回動自在に保持された3つのエイミングスクリュー14を基礎板部7cに螺着されることにより、ランプボディ2に対して傾動自在に支持される。
【0032】
励起光源8は、青色または紫色のLED光源またはレーザー光源によって構成され、基礎板部7cよりも上下に厚く形成された金属製の底板部7aを介して点灯中の熱を放熱される。集光レンズ9と投影レンズ12は、光の出射面を凸形状とした透明または半透明の平凸レンズである。集光レンズ9は、励起光源8と走査機構11の反射面24との間に配置されるように図示しない指示部によって支持部材7に固定され、励起光源8からの光B11を集光して反射面24に入射させる。蛍光体10は、励起光源8の光に基づいて白色光を発生するように構成される。励起光源8が青色である場合、蛍光体10は、黄色蛍光体として形成されるようにする。励起光源8が紫色である場合、蛍光体10は、黄色かつ青色蛍光体として形成されるか、または赤色かつ緑色かつ青色(RGB)の少なくとも3色を有する蛍光体として形成されるようにする。
【0033】
また、蛍光体10は、枠体7eを介して底板部7aに固定されることによって走査機構11の反射面24と投影レンズ12の光入射面12bの間に配置され、反射面24からの青色または紫色の反射光B12を白色光W1として投影レンズに向けて透過させる。投影レンズ12は、灯室S内に設けられたエクステンションリフレクター13の前端開口部13aの近傍に配置され。蛍光体10を通過した光を前面カバー3に向けて透過させる。
【0034】
図3(a)に示す走査機構11は、2軸方向に傾動可能な反射鏡を有するスキャンデバイスである。本実施例では一例としてMEMSミラーを採用しているが、走査機構11には、ガルバノミラー等の多彩な走査機構を採用出来る。走査機構11は、ベース16、第1回動体17、第2回動体18、一対の第1トーションバー19、一対の第2トーションバー20、一対の永久磁石21,一対の永久磁石22及び端子部23を有する。第2回動体18は、板状に形成された反射鏡であり、第2回動体18の前面には、銀蒸着やメッキなど処理等によって反射面24が形成される。
【0035】
板状の第1回動体17は、一対の第1トーションバー19によって左右に傾動可能な状態でベース16に支持され、第2回動体18は、一対の第2トーションバー20によって上下に回動可能な状体で第1回動体17に支持される。一対の永久磁石21及び一対の永久磁石22は、ベース16において一対の第1及び第2トーションバー(19、20)の伸びる方向にそれぞれ設けられる。一対の第1及び第2回動体(18、19)にはそれぞれ端子部23を介して通電される第1及び第2のコイル(図示せず)が設けられる。図示しない前記第1及び第2のコイルは、図示しない制御機構によってそれぞれ独立した通電制御を行われる。
【0036】
図3(a)に示す第1回動体17は、第1コイル(図示せず)への通電のオンまたはオフに基づいて第1トーションバー19の軸線回りに往復傾動し、第2回動体18は、第2コイル(図示せず)への通電のオンまたはオフに基づいて第2トーションバー20の軸線回りに往復傾動する(図2の符号18及び18’を参照)。反射面24は、第1または第2コイル(図示せず)への通電に基づいて上下左右に傾動し、反射光を蛍光体10に向けて上下左右に走査する。反射面24による反射光B12は、第1回動体17の揺動に基づいて左右に走査され(図示せず)、かつ図2に示すように第2回動体18の揺動に基づいて上下に走査される(図2の符号B12及びB12’を参照)。蛍光体を通過した光W1は、上下左右に走査されつつ(符号W1’を参照)投影レンズ12と前面カバー3を透過し、車両の前方に走査に基づいた所定形状の白色配光パターンを表示する。
【0037】
ここで、図3(b)により、一例としてハイビーム用前照灯ユニット5が行う走査によって車両前方に表示される配光パターンを説明する。符号S1は、走査機構11による走査線の軌跡を示す。車両前方の矩形の走査領域(符号Sc1)内において、図3(a)の走査機構11は、図3(b)に示すように反射面24の傾動によって左端S11から右端S12への走査を行った後、左端S11から微小距離d1だけ下方にずれた次の左端S13に向けて反射面24を左斜め下方に傾動させ、再び右端S14へ走査することを高速で繰り返し行う。配光パターンを表示する位置において励起光源8は、点灯制御装置(図示せず)に基づいて配光パターンを表示しないP1からP2までの区間において消灯し、ハイビーム用配光パターンLaを表示するP2からP3までの区間において点灯し、表示終了後のP3からP4までの区間において再び消灯する。走査機構11は、前記走査を下方に向けて高速に繰り返し行い、線像を上下に積層することによってハイビーム用配光パターンLaを車両前方に表示する。また、ロービーム用前照灯ユニット6もまた、同様の走査を行うことでロービーム用配光パターンを表示する(図示せず)。
【0038】
尚、図3A(a)に示すように走査機構11の反射光B12によって蛍光体10に照射される反射光B12による光像P32の大きさ(高さh12)は、集光レンズ9によって反射面24a上に照射される光B11による光像P31の大きさ(高さh11)を小さくするほど大きくなる。光像(P31,P32)の大きさがh12>h11となる場合、車両用前照灯1は、走査用の光像の高さが拡大することにより、形状の自在性が高い配光パターンを形成する。一方、図3A(b)に示すように反射光B12によって蛍光体10に照射される光像P32の大きさ(高さh12)は、集光レンズ9による光B11による光像P31の大きさ(高さh11)を大きくするほど小さくなる。光像(P31,P32)の大きさをh12<h11とし、蛍光体10に極小のスポット光像を照射した場合、車両用前照灯1は、反射光B12の分解能の向上により解像度の高い配光パターンを形成出来る。
【0039】
図4に示す第2実施例の車両用前照灯31は、光反射型の蛍光体37を有する右側前照灯の一例を示すものであり、前照灯ユニット32が第1実施例の前照灯ユニット4と異なる他、第1実施例の車両用前照灯1と共通する構成を有する。図4の前照灯ユニット32は、ハイビーム用前照灯ユニット33及びロービーム用前照灯ユニット(図示せず)を金属製の支持部材34で一体化することによって構成され、灯室Sの内側に配置される。
【0040】
ハイビーム用前照灯ユニット33とロービーム用前照灯ユニット(図示せず)は、図4に示す励起光源35、集光レンズ36,蛍光体37、走査機構38及び投影レンズ39(これらは、それぞれ第1実施例の励起光源8、集光レンズ9,蛍光体10、走査機構11及び投影レンズ12と同一の形状及び構成を有する)をそれぞれ有し、これらはいずれも支持部材34に取り付けられる。支持部材34は、水平方向に伸びる板状の底板部34aと、底板部34aの先端から上方に伸びた後に前方に屈曲するレンズ支持部34bと、底板部34aの基端から鉛直方向に伸びる板状の基礎板部34cと、を有する。基礎板部34cは、スクリュー固定部34dとスクリュー固定部34dよりも前後の奥行きが厚い放熱部34eによって形成される。
【0041】
図4に示す通り、励起光源35と蛍光体37は、支持部材34の放熱部34eの前面に固定され、蛍光体37aの前面は、光入射面及び光出射面となる。発光時に励起光源35に発生した熱と、レーザー光等の熱量の高い光を受光する際に蛍光体37に発生した熱は、放熱部34eを介して放熱される。反射する際に蛍光体37に走査機構38は、取付部34fによって底板部34aの上面に固定される。集光レンズ36は、底板部34aまたは基礎板部34cのいずれかに固定される。投影レンズ39は、レンズ支持部34bの先端の上面に固定される。前照灯ユニット32の支持部材34は、ランプボディ2に回動自在に保持された3つのエイミングスクリュー14をスクリュー固定部34dに螺着されることにより、ランプボディ2に対して傾動自在に支持される。
【0042】
図4の励起光源35は、青色または紫色のLED光源またはレーザー光源によって構成される。励起光源35が青色である場合、蛍光体37は黄色蛍光体として形成され、励起光源35が紫色である場合、蛍光体37は、黄色かつ青色蛍光体として形成されるようにして白色光を発生させる。集光レンズ36と投影レンズ39は、光の出射面を凸形状とした透明または半透明の平凸レンズである。走査機構38は、走査機構11と同様に2軸方向に傾動可能な反射鏡を有するスキャンデバイスとして形成される。
【0043】
図4の投影レンズ39は、励起光源35と走査機構38の反射鏡40の反射面40aとの間に配置されるように支持部材34に固定され、励起光源35の光を集光して反射面40aに入射させる。走査機構38は、励起光源35から出射して集光レンズ36によって集光された光B22を反射面40aによって蛍光体37に向けて反射しつつ反射鏡40を揺動させる(符号40及び40’を参照)ことで走査を行う(符号B22及びB22’を参照)。蛍光体37は、支持部材34の放熱部34eに固定されることにより、走査機構38の反射鏡40の反射面40aと投影レンズ39の光入射面39aの双方に対向するように配置され、反射面40aから受けた青色または紫色の光B22を白色光W2として投影レンズ39に再反射する。投影レンズ39は、灯室S内に設けられたエクステンションリフレクター13の前端開口部13aの近傍に配置され。蛍光体37によって反射されて上下左右に走査された光(符号W2及びW2’を参照)を前面カバー3に向けて透過させ、車両の前方に走査に基づいた所定形状の白色配光パターンを表示する。
【0044】
次に、図5により第1実施例の集光レンズ9の変形例となる集光レンズ41を説明する。集光レンズ41は、第1実施例の集光レンズ9(図2を参照)を第1レンズ42と第2レンズ43との組み合わせからなるレンズ群に置き換えたものである。第1レンズ42及び第2レンズ43は、共に透明または半透明の樹脂、ガラス等で形成され、かつ上面(42a、43a)が凸面で下面(42b、43b)が平面となる同一形状の四角型の平凸レンズとして形成される。第1レンズ42及び第2レンズ43の上面(42a、43a)は、共に平面を円弧状に湾曲させた凸形状を有する。第1レンズ42の下面42bは、励起光源8の上面8aに平行かつ対向するように配置される。第2レンズ43は、上面43aが反射面24と対向するように配置され、下面43bが第1レンズ42の上面42aに対向すると共に下面42bと平行になるように配置される。また、第2レンズ43は、第1レンズ42に対し、励起光源8から反射面24に至る光束の中心を通る線WOを中心として90°ずれた位置に配置される。
【0045】
図5に示すように励起光源8からの光束W3によって第1レンズ42の下面42bに入射する光像P1は、第1レンズ42を透光することで左右方向(請求項2の第1方向)に圧縮された光像P2となって第2レンズ43の下面43bに入射する。光像P2は、第1レンズ42と同形状かつ90°ずれて配置された第2レンズ43により更に前後方向(請求項2の第2方向)に圧縮された光像P3となって走査機構11の反射面24に入射する。光像P3を形成する光束W3は、反射面24によって前方に反射され、蛍光体10、投影レンズ12及び前面カバー3を順番に透過することによって車両の前方に図3(b)に示すような配光パターンLaを形成する。図5の集光レンズ41は、第1レンズ42及び第2レンズ43の順で光束W3を通過させることによって光束を互いに直交する2つの方向に偏向させ、円形などの自在な光像を蛍光体10に照射し、自在性の高い配光パターンLaの形成に寄与する。尚、集光レンズ41は、第1レンズ42及び第2レンズ43の代わりにアナモルフィックレンズとして形成されても良い。
【0046】
次に図6(a)と図6(b)により車両用前照灯の第3実施例を説明する。図6(a)は、第3実施例の車両用前照灯50のハイビーム用前照灯ユニット51の水平断面図(図1のハイビーム用前照灯ユニット5におけるII-IIの位置と同じ位置で切断した水平断面図)である。車両用前照灯50は、光反射型の蛍光体を有する右側前照灯の一例を示すものであり、ハイビーム用前照灯ユニット51は、光軸Lhに対する蛍光体54の向きが異なること、支持部材57の形状が支持部材34と異なること、励起光源52、集光レンズ53及び走査機構55を蛍光体54の横方向に配置していることを除き、第2実施例のハイビーム用前照灯ユニット33と共通した構成を有する。
【0047】
ハイビーム用前照灯ユニット51とロービーム用前照灯ユニット(図示せず)は、図6(a)に示す励起光源52、集光レンズ53,蛍光体54、走査機構55及び投影レンズ56(これらは、それぞれ第2実施例の励起光源35、集光レンズ36,蛍光体37、走査機構38及び投影レンズ39と同一の形状及び構成を有する)をそれぞれ有し、これらはいずれも支持部材57に取り付けられる。支持部材57は、水平方向に伸びる板状の底板部57aと、底板部57aの左端部及び右端部からそれぞれ上方に伸びる側板部(57b、57c)と、側板部(57b、57c)の先端部に一体化されたレンズ支持部57dと、左右の側板部(57b、57c)の基端部に一体化された基礎板部57eと、を有する。レンズ支持部57dは、投影レンズ56を内側に保持する円筒部57d1と、円筒部57d1の基端部に形成されて側板部(57b、57c)の先端に一体化されるフランジ部57d2によって構成される。基礎板部57eは、スクリュー固定部57fとスクリュー固定部57fよりも前後の奥行きが厚い放熱部57gと、放熱部57gから前方に突出する蛍光体支持部57hによって構成される。蛍光体支持部57hは、水平断面において、光軸Lhに直交し、かつ水平方向に伸びる直線をL1とした場合、に対して角度θだけ傾斜する蛍光体支持面57iを有する。
【0048】
図6(a)に示す蛍光体54は、支持部材57の蛍光体支持面57iに固定されることによって投影レンズ56の光軸Lhに直交する方向に伸びる直線L1に対して角度θだけ傾斜し、励起光源52は、蛍光体54の側において前方に向けられた状態で基礎板部57eに固定され、走査機構55は、励起光源52の前方において左の側板部57bに固定され、集光レンズ53は、励起光源52と走査機構55の反射鏡58に形成された反射面59との間に配置される。走査機構55の反射面59は、集光レンズ53と蛍光体54の双方に対向するように配置される。励起光源52を出射した光B4は、集光レンズ53によって走査機構55の反射面59上に集光され、反射鏡58の左右の揺動(符号58’を参照)及び上下(図示せず)の揺動に基づいて走査される(符号B41及びB41’を参照)。反射面59による反射光B41は、拡散した状態で走査されながら蛍光体54に入射し、蛍光体54によって投影レンズ56に向けて再反射される。再反射された光W4は、左右(符号W4及びW4’を参照)及び上下(図示せず)に走査されつつ投影レンズ56と前面カバー3を透過して図示しない車両の前方に図3(b)に示すような所定形状の白色ハイビーム用配光パターンLaを形成する。
【0049】
次に図6(b)によって蛍光体54に照射される光像を説明する。通常、反射型の蛍光体は、図4の蛍光体37のように投影レンズ39の裏面に平行に、つまり光軸に対して直交するように配置される。図6(b)の符号54’は、その場合の光軸Li(光軸Liは、光軸Lhと平行)に対して直交するように配置されたと仮定した反射型の蛍光体を示す。反射面59から拡散反射されて走査された光W5〜W5’(3点鎖線部分を参照)が蛍光体54’に入射したと仮定した場合、蛍光体54’における反射光W5〜W5’の入射幅は、B1となる。一方、蛍光体54は、反射面59に対向しつつ光軸Lhに直交する直線L1に対して角度θ傾いて配置されているため、蛍光体54に対して入射する反射光W4の入射幅は、B2となってB1より短くなる。
【0050】
蛍光体54に照射された反射光W4〜W4’による光像P4は、蛍光体54’に照射されたと仮定された反射光W5〜W5’による光像P5と同じ高さh1を保持しつつ、長手方向の幅がB1より短いB2となる横長の楕円形状として形成される。第3実施例の車両用前照灯50によれば、光像P4の形状を直線L1に対する蛍光体54の傾斜角に基づいて自在に変形させることが出来るため、自在性が高い配光パターンを形成出来る。
【0051】
次に図7及び図8によって第4実施例の車両用前照灯60を説明する。図7は、第4実施例の車両用前照灯60のハイビーム用前照灯ユニット61の水平断面図(図1のハイビーム用前照灯ユニット5におけるII-IIの位置と同じ位置で切断した水平断面図)である。車両用前照灯60は、光透過型の蛍光体64を有する右側前照灯の一例を示すものであり、ハイビーム用前照灯ユニット61は、支持部材67の形状が支持部材7と異なること、励起光源62を走査機構65の反射鏡68(反射鏡68は、図2及び図3に示す第1実施例の走査機構11の第2回動体18に相当する)の反射面69の左斜め前方に配置していること及び偏向レンズ63bを備えたことを除き、第1実施例のハイビーム用前照灯ユニット5と共通した構成を有する。
【0052】
ハイビーム用前照灯ユニット61とロービーム用前照灯ユニット(図示せず)は、図7に示す励起光源62、集光レンズ63a、偏向レンズ63b、蛍光体64、走査機構65及び投影レンズ66をそれぞれ有し、これらはいずれも支持部材67に取り付けられる。励起光源62、集光レンズ63a、蛍光体64、走査機構65及び投影レンズ66は、それぞれ第1実施例の励起光源8、集光レンズ9,蛍光体10、走査機構11及び投影レンズ12と同一の形状及び構成を有する。支持部材67は、水平方向に伸びる板状の底板部67aと、底板部67aの左端部及び右端部からそれぞれ上方に伸びる側板部(67b、67c)と、前記側板部の先端部に一体化されたレンズ支持部67dと、左右の側板部(67b、67c)の基端部に一体化された基礎板部67eと、ホルダー67hを有する。左側板部67bには、励起光源62を走査機構65の反射面69に対向するように固定可能な光源支持部67iが設けられる。集光レンズ63aは、励起光源62と走査機構65の反射面との間に配置され、走査機構65の反射鏡68は、左右に揺動する。レンズ支持部67dは、投影レンズ66を内側に保持する円筒部67d1と、円筒部67d1の基端部に形成されて側板部(67b、67c)の先端に一体化されるフランジ部67d2によって構成される。基礎板部67eは、スクリュー固定部67fと放熱部67gによって構成される。ホルダー67hは、円筒状に形成されて中央に角穴状の中空部67jと、左側後端部に励起光源62による光束を避けるように形成された切欠部67kを有する。蛍光体64は、投影レンズ66に対向するように中空部67jの先端に固定され、偏向レンズ63bは、前方の蛍光体64と後方の反射面69の双方に対向するように中空部67jの後端に固定される。
【0053】
図8に示すように励起光源62からの出射光B6は、集光レンズ63aによって走査機構65の反射鏡68の反射面69上に集光され、反射光B61は、反射鏡68の左右の揺動(符号58’及び58’’を参照)及び上下(図示せず)の揺動に基づいて走査(符号B61’及びB61’’を参照)されることによって偏向レンズ63bに向けて反射される。偏向レンズ63bは、中央の素通し部63c(第1領域)と、素通し部の左右に配置された第1及び第2集光部(63d,63e:第2領域)によって形成される。素通し部63cは、平板状に形成され、第1及び第2集光部(63d,63e)は、それぞれ前方に凸となる平凸形状を有するように形成される。揺動する反射鏡68が第1集光部63dに向けられることにより、第1集光部63dを通過した光W6は、配光パターンの集光領域Ldを形成する。また、反射鏡68が符号68’の位置に揺動して素通し部63cに向けられることにより、素通し部63cを通過した光W7(二点鎖線部分を参照)は、配光パターンの拡散領域Lcを形成する。更に、反射鏡68が符号68’’の位置に揺動して第2集光部63eに向けられることにより、第2集光部63eを通過した光W8(三点鎖線部分を参照)は、光W6と共に配光パターンの集光領域Ldを形成する。第1及び第2集光部(63d、63e)をそれぞれ通過した光W6及びW8は、共に素通し部63cを通過した光の内側に集光されて拡散領域Lcよりも明るい集光領域Ld、即ちホットスポットを配光パターンLbに形成する。
【0054】
第3実施例の車両用前照灯60によれば、反射鏡68が左揺動端(左方向への最大揺動位置)近傍及び右揺動端(右方向への最大揺動位置)近傍に配置された際に発生する反射光W6及びW8を偏向レンズ63bの第1及び第2集光部(63d、63e)によって集光することで配光パターンのホットスポットに利用出来るため、自在性の高い配光パターンを形成出来る。
【0055】
尚、第4実施例の車両用前照灯60においては、集光部と素通し部によって偏向レンズ63bを構成しているが、偏向レンズ63bの少なくとも一部に拡散部を含むようにしても良い。また偏向レンズ63bの集光部または拡散部は、ホットスポットを形成する代わりに光W6及びW8による光像を均光に分布させつつW7の光像に一致させるように構成されてもよい。
【0056】
次に図9(a)、図9(b)によって第5実施例の車両用前照灯70を説明する。図9(a)は、第5実施例の車両用前照灯70のハイビーム用前照灯ユニット71の水平断面図(図1のハイビーム用前照灯ユニット5におけるII-IIの位置と同じ位置で切断した水平断面図)である。図7の第5実施例の車両用前照灯70は、光透過型の蛍光体74を有する右側前照灯の一例を示すものであり、ハイビーム用前照灯ユニット71は、偏向レンズ63bを備えずに集光レンズ73のみを備えていること、蛍光体74の形状が蛍光体64と異なること、及びホルダー77hの形状がホルダー67hと異なることを除き、第4実施例のハイビーム用前照灯ユニット61と共通した構成を有する。
【0057】
ハイビーム用前照灯ユニット71とロービーム用前照灯ユニット(図示せず)は、図9(a)に示す励起光源72、集光レンズ73、蛍光体74、走査機構75及び投影レンズ76をそれぞれ有し、これらはいずれも支持部材77に取り付けられる。支持部材77は、水平方向に伸びる板状の底板部77aと、底板部77aの左端部及び右端部からそれぞれ上方に伸びる側板部(77b、77c)と、前記側板部の先端部に一体化されたレンズ支持部77dと、左右の側板部(77b、77c)の基端部に一体化された基礎板部77eと、円筒形状のホルダー77hを有する。左側板部77bには、励起光源72を走査機構75の反射面79に対向するように固定可能な光源支持部77iが設けられる。集光レンズ73は、励起光源72と走査機構75の反射面79との間に配置され、走査機構75の反射鏡78は、左右に揺動する。レンズ支持部77dは、投影レンズ76を内側に保持する円筒部77d1と、円筒部77d1の基端部に形成されて側板部(77b、77c)の先端に一体化されるフランジ部77d2によって構成される。基礎板部77eは、スクリュー固定部77fと放熱部77gによって構成される。ホルダー77hは、金属によって形成されて中央に角孔状の中空部77jを有する。
【0058】
図9(a)、図9(b)に示すように蛍光体74は、中空部77jと同じ奥行きD1と同じ幅D3を有するように形成される。蛍光体74は、前後端面(74a,74b)をそれぞれ中空部77jの前後端面(77h1,77h2)と面一にした状態で中空部77jに固定される。走査機構75の反射面79は、反射鏡78の揺動によって蛍光体74の左側面の内側に画成される第1内側部74c(再反射鏡)、蛍光体74の前端面74aまたは蛍光体74の右側面の内側に画成される第2内側部74d(再反射鏡)のうちいずれかに向けられる。
【0059】
図9(a)に示されるように励起光源72からの出射光B7は、集光レンズ73によって集光されつつ走査機構75の反射鏡78の反射面79によって蛍光体74に向けて反射される。蛍光体74の内側で第1内側部74cに入射した光B7’は、前方に再反射され、再反射光W9は、投影レンズ76を通過して前方に配光パターンの集光領域Lgを形成する。また、反射鏡78が符号78’の位置に揺動することにより、蛍光体74の内側で第1内側部74c及び第2内側部74dのいずれにも入射することなく前端面74aを通過した光W10(二点鎖線部分を参照)は、投影レンズ76を通過して配光パターンLeの拡散領域Lfを形成する。更に、反射鏡78が符号78’’の位置に揺動し、蛍光体74の内側で第2内側部74dに入射した光B7’’ (三点鎖線部分を参照)は、前方に再反射され、再反射光W11(三点鎖線部分を参照)は、再反射光W9と共に投影レンズ76を通過して前方に配光パターンの集光領域Lgを形成する。蛍光体74の第1及び第2内側部(74c、74d)による反射光W9及びW11は、共に前端面74aを通過した光W10の内側に集光されて拡散領域Lfよりも明るい集光領域Lg、即ちホットスポットを配光パターンLeに形成する。
【0060】
図9(a)の第5実施例の車両用前照灯70によれば、反射鏡78が左揺動端(左方向への最大揺動位置)近傍または右揺動端(右方向への最大揺動位置)近傍に配置された際に発生する反射光W9及びW11を蛍光体74の第1内側部74c及び第2内側部74dによって反射することで配光パターンのホットスポットに利用出来るため、自在性の高い配光パターンLeを形成出来る。
【0061】
尚、第5実施例の第1及び第2内側部(74c、74d)は、ホットスポットを形成する代わりに反射光(W9,W11)による光像を均光に分布させつつW10の光像に一致させるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 車両用前照灯
8 励起光源
9 集光レンズ
10 蛍光体
11 走査機構
12 投影レンズ
18 反射鏡である第2回動体
24 反射面
31 車両用前照灯
35 励起光源
36 集光レンズ
37 蛍光体
38 走査機構
39 投影レンズ
40 反射鏡
40a 反射面
41 集光レンズ
42 第1レンズ
43 第2レンズ
50、60,70 車両用前照灯
52、62,72 励起光源
53、73 集光レンズ
54、64 蛍光体
55、65,75 走査機構
56、66,76 投影レンズ
58、68,78 反射鏡
59、69,79 反射面
63a 集光レンズ
63b 偏向レンズ
63c 素通し部(第1領域)
63d 第1集光部(第2領域)
63e 第2集光部(第2領域)
74 蛍光体
74c 第1内側部(再反射鏡)
74d 第2内側部(再反射鏡)
La 配光パターン
Lb 配光パターン
Lc 拡散領域
Ld 集光領域
Le 配光パターン
Lf 拡散領域
Lg 集光領域
Lh 光軸
P31 反射面上の光像
P32 蛍光体上の光像
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9