【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための第一の態様は、生体電位測定装置であって、
生体に刺激を印加する刺激部と、
前記生体に装着される第一導出電極および第二導出電極と、
前記刺激により誘発されて生じる前記第一導出電極と前記第二導出電極の電位差を増幅する第一増幅回路と、
少なくとも前記刺激が印加されている間、前記第一導出電極および前記第二導出電極と前記第一増幅回路との電気的接続を解除する第一スイッチと、
コンデンサを含み、前記第一増幅回路の出力における所定値以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタと、
前記第一増幅回路からの出力を増幅する第二増幅回路と、
少なくとも前記第一スイッチが前記第一導出電極および前記第二導出電極と前記第一増幅回路との電気的接続を解除している間、前記コンデンサの充放電を停止させるとともに前記第二増幅回路の利得を低減する第二スイッチと、
を備えている。
【0009】
刺激に伴って第一導出電極と第二導出電極から第一増幅回路に電流が流れ込むと、生体と第一増幅回路の接地電位の間に電位差が発生し、前期アーチファクトテールの原因となる。しかしながら、上記の動作によれば、少なくとも刺激が印加されている間は第一導出電極と第二導出電極がオープンとされるため、第一導出電極と第二導出電極に流入する電流を抑制できる。したがって、導出波形に重畳する前期アーチファクトテールを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0010】
第一スイッチの開閉動作時、および第一スイッチが第一導出電極と第二導出電極をオープンにしている間は、第一増幅回路にノイズが混入しやすい。この場合、当該ノイズが後段の第二増幅回路によって増幅されてしまう。しかしながら、上記の動作によれば、少なくとも第一導出電極および第二導出電極と第一増幅回路との電気的接続が解除されている間は第二増幅回路の利得が低減されるため、導出波形に重畳するノイズを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0011】
生体に刺激が印加されている期間は、第一導出電極および第二導出電極と第一増幅回路との電気的接続が解除されている期間に含まれている。すなわち、刺激部による刺激が印加されている期間は、第二増幅回路の利得が低減されている。したがって、刺激が印加されている間に取得される導出波形の電位を抑制できる。よって、刺激とほぼ同時に発生するアーチファクトスパイクの導出波形への重畳を阻止し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0012】
コンデンサの充放電は、後期アーチファクトテールが導出波形に重畳する原因となる。しかしながら、上記の動作によれば、少なくとも刺激部による刺激が印加されている間はコンデンサの充放電が停止されるため、導出波形に重畳する後期アーチファクトテールを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0013】
上記の目的を達成するための第二の態様は、生体電位測定装置であって、
生体に刺激を印加する刺激部と、
前記生体に装着される第一導出電極および第二導出電極と、
前記刺激により誘発されて生じる前記第一導出電極と前記第二導出電極の電位差を増幅する増幅回路と、
少なくとも前記刺激が印加されている間、前記第一導出電極および前記第二導出電極と前記増幅回路との電気的接続を解除するスイッチと、
を備えている。
【0014】
このような構成によれば、少なくとも刺激が印加されている間は第一導出電極と第二導出電極がオープンとされるため、第一導出電極と第二導出電極に流入する電流を抑制できる。したがって、導出波形に重畳する前期アーチファクトテールを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0015】
上記の目的を達成するための第三の態様は、生体電位測定装置であって、
生体に刺激を印加する刺激部と、
前記生体に装着される第一導出電極および第二導出電極と、
前記刺激により誘発されて生じる前記第一導出電極と前記第二導出電極の電位差を増幅する増幅回路と、
コンデンサを含み、前記増幅回路の出力における所定値以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタと、
少なくとも前記刺激が印加されている間、前記コンデンサの充放電を停止させるスイッチと、
を備えている。
【0016】
このような構成によれば、少なくとも刺激部による刺激が印加されている間はコンデンサの充放電が停止されるため、導出波形に重畳する後期アーチファクトテールを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0017】
上記の目的を達成するための第四の態様は、生体電位測定装置であって、
生体に刺激を印加する刺激部と、
前記生体に装着される第一導出電極および第二導出電極と、
前記刺激により誘発されて生じる前記第一導出電極と前記第二導出電極の電位差を増幅する第一増幅回路と、
少なくとも前記刺激が印加されている間、前記第一導出電極および前記第二導出電極と前記第一増幅回路との電気的接続を解除する第一スイッチと、
前記第一増幅回路からの出力を増幅する第二増幅回路と、
少なくとも前記第一スイッチが前記第一導出電極および前記第二導出電極と前記第一増幅回路との電気的接続を解除している間、前記第二増幅回路の利得を低減する第二スイッチと、
を備えている。
【0018】
このような構成によれば、少なくとも第一導出電極および第二導出電極と第一増幅回路との電気的接続が解除されている間は第二増幅回路の利得が低減されるため、導出波形に重畳するノイズを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。
【0019】
上記の目的を達成するための第五の態様は、生体電位測定装置であって、
生体に刺激を印加する刺激部と、
前記生体に装着される第一導出電極および第二導出電極と、
前記刺激により誘発されて生じる前記第一導出電極と前記第二導出電極の電位差を増幅する増幅回路と、
コンデンサを含み、前記増幅回路の出力における所定値以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタと、
前記刺激の印加後に前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を高くするスイッチを備えている。
【0020】
刺激部による刺激に付随して、第一導出電極と第二導出電極の各々には分極が生じる。分極電圧は、直流成分である。ハイパスフィルタによって入力波形が基線電位に戻るまでの間、当該直流成分が刺激アーチファクトとして導出波形に重畳する。当該直流成分は、ハイパスフィルタの時定数が短いほど、短時間で基線電位に戻る。上記の構成によれば、分極電圧に起因して導出波形に重畳する刺激アーチファクトを抑制し、生体電位の測定精度を向上できる。