特許第6791671号(P6791671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791671
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20201116BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61B8/00
   H04R17/00 332B
   H04R17/00 330J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-141408(P2016-141408)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2017-109072(P2017-109072A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-241745(P2015-241745)
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝本 弘一
(72)【発明者】
【氏名】牧田 裕久
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−278766(JP,A)
【文献】 特開2011−152303(JP,A)
【文献】 特開2004−363746(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0178407(US,A1)
【文献】 特開2010−184114(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0204583(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101797166(CN,A)
【文献】 特開2006−110140(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0119718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジマス方向とエレベーション方向との両方向にそれぞれ複数の素子が配列された超音波プローブであって、
圧電効果を有する圧電体と、
前記圧電体の音響照射方向に積層された整合層と、
導電性を有すると共に音響吸収効果を有する背面材と、
分割された前記圧電体それぞれの信号を取り出す回路基板と、
を備え、
前背面材は、前記圧電体の前記整合層が積層されている面の反対側に設けられ、かつ、前記圧電体と前記回路基板との間に設けられ、
前記圧電体、前記整合層、及び前記背面材は、前記アジマス方向に複数に分割されると共に、前記エレベーション方向においては、前記整合層は分割されることなく、前記圧電体及び前記背面材が複数に分割されて、前記複数の素子を形成する
超音波プローブ。
【請求項2】
前記圧電体には、分割された前記圧電体それぞれの前記音響照射方向側に共通する電極から、前記圧電体の前記音響照射方向とは反対の方向側の面の端部まで回り込んだ回し電極と、分割された前記圧電体のそれぞれに接続される信号電極とが形成され、
前記回路基板は、
前記回し電極と接続するグランド導電体と、前記信号電極のそれぞれに接続される複数の信号導電体とを同一面に形成して、前記圧電体と前記回路基板とが一括接合されるように構成される一方、当該回路基板を貫通するスルーホールを介し、前記信号電極それぞれの信号が前記回路基板の裏面で配線されるように構成される
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記圧電体と前記背面材を、前記アジマス方向と前記エレベーション方向に分割する複数の溝には、接着剤が充填される、
請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置として、被検体の体内を超音波で走査して、その被検体の体内からの反射波から生成した受信信号を基にその被検体の内部の状態を画像化する超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、超音波プローブから被検体の体内に超音波を送信し、被検体の体内で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波プローブで受信して、受信信号を生成する。
【0003】
また、超音波プローブは、圧電振動子を備えており、その圧電振動子が走査方向に複数個、アレイ上に配列されている。圧電振動子は、送信信号に基づいて振動して、超音波を発生させるとともに、反射波を受けて受信信号を生成する。
【0004】
ここで、第1の素子配列方向(アジマス方向)と第1の素子方向に直交する第2の素子配列方向(エレベーション方向)との両方向に素子配列を有する超音波プローブが開発されている。例えば、1.5Dアレイの圧電素子を備える超音波プローブが知られており、この素子配列を有する超音波プローブは、アジマス方向の素子を電子的に走査することができるとともに、エレベーション方向の素子も電子的に走査することができるので、より理想的な超音波の送受信音場を形成することができる。
【0005】
一般的な超音波プローブは、例えば、圧電体、圧電体表面に電圧を印加するための電極層、圧電体の音響放射方向から電極層を引き出すためのフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit)、および音響整合層から構成されている。
【0006】
しかしながら、例えば、1.5Dアレイの圧電素子を備える超音波プローブの場合は、圧電素子の素子サイズが微細となることによって素子の強度が低下し、製造不良や信頼性の低下が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−278766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、2次元的な素子配列を有する超音波プローブにおいて、素子の強度が高く高品質であって、かつ信頼性の高い超音波プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の超音波プローブは、アジマス方向とエレベーション方向との両方向にそれぞれ複数の素子が配列された超音波プローブであって、圧電効果を有する圧電体と、前記圧電体の音響照射方向に積層された整合層と、を備え、前記圧電体と前記整合層の両方は、前記アジマス方向に複数に分割されると共に、前記エレベーション方向においては、前記整合層は分割されることなく、前記圧電体が複数に分割されて、前記複数の素子を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の超音波プローブの概略の構成の一例を示した概略構成図。
図2】第1の実施形態の超音波プローブをアジマス方向に見た場合の説明図。
図3】第1の実施形態の超音波プローブのIII−III’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図。
図4】従来の超音波プローブをアジマス方向に見た場合の説明図。
図5】従来の超音波プローブのV−V’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図。
図6】第1の実施形態の超音波プローブで使用されるフレキシブルプリント基板を示した説明図。
図7】第2の実施形態の超音波プローブをアジマス方向に見た場合の説明図。
図8】第2の実施形態の超音波プローブのVIII−VIII’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の超音波プローブについて、添付図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の超音波プローブ10の概略の構成の一例を示した概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態の超音波プローブ10は、フレキシブルプリント基板FPC、複数の圧電体PI、回し電極EP、第1整合層ML1、第2整合層ML2および音響レンズSLを備えて構成されている。
【0014】
フレキシブルプリント基板FPCは、複数の圧電体PIのそれぞれの信号を取り出すとともに、圧電体PIの表面に共通グランドを形成するようになっている。なお、共通グランドについては、後述する回し電極EPと共に、形成されるようになっている。
【0015】
複数の圧電体PIは、それぞれ非常に細長い振動子によって構成されており、くしの歯のように沢山並んで振動子群を構成している。振動子は、例えば、圧電素子であり、電圧と音とを相互に変換することが可能な圧電効果を備えている。図1では、1.5Dアレイとして、エレベーション方向に圧電体PIが3つ入った状態で、アジマス方向に14個に分割されているが、あくまで構造を判り易く示すための示であり、これに限定されるものではない。実際には、アジマス方向には、多数の、例えば、128〜256個の圧電体PIが配列される。
【0016】
なお、本実施形態では、超音波プローブ10において、複数の圧電体PIが紙面に対して右方向に配列されている方向をアジマス方向といい、そのアジマス方向に直交する方向であって3つの圧電体PIが配列されている長手方向をエレベーション方向という。また、複数の圧電体PIから音響レンズSLが設けられている方向を音響放射方向という。
【0017】
回し電極EPは、複数の圧電体PIそれぞれの音響照射方向面に共通するグランド電極であって、圧電体PIの音響照射方向とは反対の面の端部まで、グランド電極が形成されている。換言すれば、第1整合層ML1と第2整合層ML2の音響放射方向から、圧電体PIそれぞれのエレベーション方向に、圧電体PIを取り囲むようにグランド電極を形成している。なお、この形状については、別途、説明する。
【0018】
第1整合層ML1と第2整合層ML2は、音響整合層であり、複数の圧電体PIである振動子と生体とのマッチングを行うようになっている。
【0019】
音響レンズSLは、音響放射方向に超音波ビームを絞るために生体の音速よりも音速の遅い材質をレンズ状にして、それぞれの圧電体PIである振動子の前面に貼り付けられている。音響レンズSLは、超音波ビームを絞ることにより、全体として細いビームを形成する。
【0020】
また、本実施形態の超音波プローブ10は、アジマス方向とエレベーション方向との両方向に、それぞれ複数の素子が配列された2次元的な素子配列を有する超音波プローブを対象とする。なお、第1の実施形態では、一例として、1.5Dアレイによって圧電素子が配列された超音波プローブ10を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、2Dアレイによって圧電素子が配列された超音波プローブであってもよい。
【0021】
以下、第1の実施形態の超音波プローブ10について、より詳細に説明する。
【0022】
図2は、第1の実施形態の超音波プローブ10をアジマス方向に見た場合の説明図である。また、図3は、第1の実施形態の超音波プローブ10のIII−III’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図である。なお、図2および図3では、音響レンズSLは、省略している。
【0023】
図2に示すように、第1の実施形態の超音波プローブ10は、フレキシブルプリント基板FPC、複数の圧電体PI、回し電極EP、第1整合層ML1および第2整合層ML2を備えて構成されている。複数の圧電体PIは、フレキシブルプリント基板FPC側に、それぞれ信号電極PNを備えている。
【0024】
複数の圧電体PIのそれぞれは、送信時においては、それぞれ対応する信号電極PNから電圧が加えられると、信号電極PNと、グランド電極である回し電極EPとの間の電圧の大きさに応じた圧電効果により、超音波信号を発生するようになっている。一方、受信時においては、受信した超音波信号が圧電体PIに印加され、信号電極PNと、グランド電極である回し電極EPとの間に、受信した超音波信号の大きさに応じた電圧が発生する。
【0025】
本実施形態において、圧電体は複数に分割されており、複数の圧電体PIにより超音波プローブ10が形成されている。なお、一例として、1.5Dアレイの圧電素子を備える超音波プローブ10で説明することとし、エレベーション方向に3つの圧電体PIが存在するものとする。
【0026】
また、図2および図3に示すように、第1整合層ML1および第2整合層ML2は、複数の圧電体PIの音響照射方向に積層されている。
【0027】
本実施形態では、圧電体PIと、第1整合層ML1および第2整合層ML2との両方は、アジマス方向に複数に分割されると共に、エレベーション方向においては、第1整合層ML1および第2整合層ML2は分割されることなく、圧電体PIが複数に分割されて、複数の素子を形成する。
【0028】
このような構成を採用したことにより、第1の実施形態では、それぞれの圧電体PIの素子サイズが微細化しても、第1整合層ML1および第2整合層ML2がエレベーション方向には分割されていないため、素子の強化を維持することができ、超音波プローブ10の品質を高い状態で保つことができる。また、品質を高い状態で保つことができることによって、超音波プローブ10の信頼性を高く維持することができる。
【0029】
なお、第1整合層ML1は、非導電材で形成された場合を想定し、第1整合層ML1の回し電極EP側にグランド電極GEが設けられている。グランド電極GEと回し電極EPとが接続されることにより、第1整合層ML1と、複数の圧電体PIのそれぞれを、基準電位で接地することができる。例えば、第1整合層ML1が、導電材で形成された場合は、グランド電極GEを設ける必要はない。
【0030】
ここで、従来の超音波プローブ10Aとの差異を明確にするため、従来の構成について説明する。
【0031】
図4は、従来の超音波プローブ10Aをアジマス方向に見た場合の説明図である。図5は、従来の超音波プローブ10AのV−V’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図である。
【0032】
図4に示すように、従来の超音波プローブ10Aは、図2に示す超音波プローブ10と比較して、第1整合層ML1と第2整合層ML2がエレベーション方向に分割されている。隣接する第1整合層ML1と第2整合層ML2は、エレベーション方向に接着剤ATで接着されているが、分割されることにより素子の強度が低下することが想定される。
【0033】
これに対し、図2に示す第1の実施形態の超音波プローブ10は、エレベーション方向の素子間において第1整合層ML1と第2整合層ML2とが分割されていないので、素子の強度の低下を招くことなく、素子の強度を高く保った高品質を維持することができる。また、第1整合層ML1と第2整合層ML2とを分割する作業が生じないため、作業工程においても、信頼性の高い超音波プローブを提供することができる。
【0034】
図5は、従来の超音波プローブ10AのV−V’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図である。
【0035】
図5では、従来の超音波プローブ10AのV−V’断面をエレベーション方向に見た場合、図3に示した第1の実施形態の超音波プローブ10のIII−III’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図と同一の構成なっていることを示している。
【0036】
すなわち、第1の実施形態の超音波プローブ10は、従来の超音波プローブ10Aと対比して、従来の超音波プローブ10Aと製造工程があまり変わらないことを示している。つまり、第1の実施形態の超音波プローブ10は、第1整合層ML1と第2整合層ML2とをエレベーション方向に分割する工程が無い点を除き、従来の超音波プローブ10Aの製造工程とほぼ同様の製造工程を適用することができる。
【0037】
なお、エレベーション方向の素子サイズは、アジマス方向の素子サイズに対して大きいため、第1整合層ML1および第2整合層ML2が分割されていないことによる音響的なクロストークの影響は、十分無視することができる。
【0038】
次に、フレキシブルプリント基板FPCおよび回し電極EPについて説明する。
【0039】
図2および図3に示すように、超音波プローブ10には、分割された圧電体PIそれぞれの信号を取り出すフレキシブルプリント基板FPCが備えられている。
【0040】
圧電体PIには、分割された圧電体PIそれぞれの音響照射方向側に共通する電極から、圧電体PIの音響照射方向とは反対の方向側の面の端部まで回り込んだ回し電極EPと、分割された圧電体PIのそれぞれに接続される信号電極PNとが形成されている。
【0041】
回し電極EPは、圧電体PIの音響照射方向側に共通する電極から、圧電体PIの音響照射方向とは反対の方向側の面の端部まで、電極が共通グランド(GND)として形成されている。換言すれば、回し電極EPは、圧電体PIのエレベーション方向に圧電体PIを取り囲むように、電極層を形成し、共通グランド(GND)を形成している。
【0042】
なお、本実施形態では、回し電極EPは、図1に示したように、アジマス方向に複数に配列されている。
【0043】
一方、圧電体PIそれぞれの音響照射方向の反対側には、フレキシブルプリント基板FPCが設けられている。
【0044】
図6は、第1の実施形態の超音波プローブ10で使用されるフレキシブルプリント基板FPCを示した説明図である。
【0045】
図6(a)では、フレキシブルプリント基板FPCの表面、すなわち音響照射方向の面を示している。また、図6(b)では、フレキシブルプリント基板FPCの裏面を示している。
【0046】
図6(a)及び図6(b)において、フレキシブルプリント基板FPCに空いている穴は、スルーホールTHを示している。図6(a)において、ハッチングされている箇所は、圧電体PIを取り囲む回し電極EPの端部が接続されるグランド導電体GDのグランドパターンを示している。また、図6(b)において、ハッチングされている箇所は信号の接続箇所を示しており、スルーホールTHを介して複数の圧電体PIのそれぞれから信号が取り出され、フレキシブルプリント基板FPCの裏面において、信号線によって配線されていることを示している。
【0047】
すなわち、フレキシブルプリント基板FPCは、圧電体PIが設けられている面(表面)から、そのフレキシブルプリント基板FPCの反対側の面(裏面)に貫通するスルーホールTHを備え、共通グランドとしての回し電極EPの両端部と、フレキシブルプリント基板FPCの表面のグランド導電体GDのグランドパターンとが接続される。
【0048】
さらに、フレキシブルプリント基板FPCは、フレキシブルプリント基板FPCを貫通するスルーホールTHを介し、分割された圧電体PIそれぞれの信号電極PNがフレキシブルプリント基板FPCの裏面で配線されている。このような構成を採用することにより、フレキシブルプリント基板FPCと各圧電体PIとが一括接合されている。
【0049】
これにより、フレキシブルプリント基板FPCは、回し電極EPと接続するグランド導電体GDと、信号電極PNのそれぞれに接続される複数の信号導電体SDとを同一面に形成して、圧電体PIとフレキシブルプリント基板FPCとが一括接合されるように構成される一方、そのフレキシブルプリント基板FPCを貫通するスルーホールTHを介し、信号電極PNそれぞれの信号がフレキシブルプリント基板FPCの裏面で配線されるように構成される。
【0050】
したがって、第1の実施形態の超音波プローブ10は、複数であってそれぞれのスルーホールTHを介して、複数の圧電体PIのそれぞれの信号を取り出すことができると共に、圧電体PIが設けられているフレキシブルプリント基板FPCの面と同一の面に、回し電極EPの端部を、共通グランドの電極として形成することができる。
【0051】
以上説明したように、第1の実施形態の超音波プローブ10は、圧電体PIの素子サイズが微細化しても、第1整合層ML1と第2整合層ML2とがエレベーション方向には、分割されていないため、素子の強化を維持することができ、超音波プローブ10の品質を高い状態で保つことができる。また、品質を高い状態で保つことができることによって、超音波プローブ10の信頼性を高く維持することができる。
【0052】
また、第1の実施形態の超音波プローブ10のフレキシブルプリント基板FPCは、回し電極EPと接続するグランド導電体GDと、信号電極PNのそれぞれに接続される複数の信号導電体SDとを同一面に形成し、圧電体PIとフレキシブルプリント基板FPCとが一括接合されるように構成される一方、そのフレキシブルプリント基板FPCを貫通するスルーホールを介して、信号電極PNそれぞれの信号がフレキシブルプリント基板FPCの裏面で配線されるように構成されている。
【0053】
これにより、超音波プローブ10は、フレキシブルプリント基板FPCの構造の複雑化を回避することができ、フレキシブルプリント基板FPCの裏面にて信号線の配線を施すことにより、配線の自由度を向上させることができる。
【0054】
なお、第1の実施形態において、圧電体PIと、回し電極EPと、図6に示したフレキシブルプリント基板FPCとが一括接合する構成は、従来技術において開示されておらず、有利な効果を奏している。
【0055】
このため、圧電体PIと、回し電極EPと、図6に示したフレキシブルプリント基板FPCとが一括接合する構成により、第1の実施形態の超音波プローブ10を単独で構成するようにしてもよい。
【0056】
すなわち、第1の実施形態の超音波プローブ10は、圧電体PIと、第1整合層ML1および第2整合層ML2とが、分割されていても、または分割されていなくても、圧電体PIと、回し電極EPと、図6に示したフレキシブルプリント基板FPCとが一括接合する構成を適用することができる。
【0057】
これにより、超音波プローブ10は、フレキシブルプリント基板FPCの構造の複雑化を回避することができ、フレキシブルプリント基板FPCの裏面にて信号線の配線を施すことにより、配線の自由度を向上させることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態に加え、バッキングと呼ばれる背面材を、さらに備えるようになっている。
【0059】
図7は、第2の実施形態の超音波プローブ10をアジマス方向に見た場合の説明図である。図8は、第2の実施形態の超音波プローブ10のVIII−VIII’断面をエレベーション方向に見た場合の説明図である。
【0060】
図7および図8に示すように、第2の実施形態の超音波プローブ10では、圧電体PIには、第1整合層ML1および第2整合層ML2が積層されている面の反対側の面に、背面材BMが備えられている。
【0061】
背面材BMは、アジマス方向とエレベーション方向との両方向に、複数の圧電体PI、第1整合層ML1および第2整合層ML2と共に分割され、複数の圧電体PIのそれぞれと、それぞれ素子を形成するようになっている。
【0062】
背面材BMは、例えば、導電性を有する材料で構成され、音響吸収効果を有するだけでなく、圧電体PIの配列の補強を行うことができる。なお、エレベーション方向に沿って配列される背面材BMは、相互に接着剤ATで接着されていてもよい。
【0063】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、1.5Dアレイや2Dアレイなどの2次元的な素子配列を有する超音波プローブにおいて、素子の強度が高く高品質であって、かつ信頼性の高い超音波プローブを提供することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10…超音波プローブ
FPC…フレキシブルプリント基板
EP…回し電極
PI…圧電体
ML1…第1整合層
ML2…第2整合層
SL…音響レンズ
TH…スルーホール
PN…信号電極
GD…グランド導電体
SD…信号導電体
GE…グランド電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8