特許第6791685号(P6791685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツインバード工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000002
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000003
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000004
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000005
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000006
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000007
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000008
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000009
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000010
  • 特許6791685-コーヒーメーカー 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791685
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20201116BHJP
   A47J 31/057 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A47J31/44 190
   A47J31/057
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-170539(P2016-170539)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-33772(P2018-33772A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 収
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0119308(US,A1)
【文献】 実開昭52−011096(JP,U)
【文献】 特開2005−192801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
A47J 31/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリッパー内のコーヒー粉に湯を注ぐコーヒーメーカーにおいて、コーヒー豆を粉砕して前記コーヒー粉にし、該コーヒー粉を前記ドリッパーの中央に落下供給するミルと、前記コーヒー粉に湯を注ぐ複数のノズルを備え、前記複数のノズルは、前記ドリッパーの中心位置より外側に位置し、湯を該ノズルの真下より前記ドリッパーの中央側に噴出することで、落下供給された前記コーヒー粉の中央に凹みが形成されるように、複数のノズルのノズル通路が角度付けされることを特徴とするコーヒーメーカー。
【請求項2】
前記中心位置を挟んで対をなす前記ノズルが配置されていることを特徴とする請求項1記載のコーヒーメーカー。
【請求項3】
前記ノズルは、斜めに形成されたノズル通路の先端に噴出口を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のコーヒーメーカー。
【請求項4】
前記一のノズル通路から流出した湯の中心線と他のノズル通路から流出した湯の中心線との距離が、最小抽出量に対応するコーヒー粉の上面よりも下方で最小となるように、前記複数のノズルが角度付けされることを特徴とする請求項1記載のコーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーメーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコーヒーメーカーとしては、水を貯留する水タンクと、この水タンクからの水を加熱沸騰させる水加熱手段と、この水加熱手段で加熱沸騰された湯を外部に注出する湯注出口とを有し、この湯注出口をドリッパーの中心に備えてなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前記コーヒーメーカーでは、ドリッパーの中央のみに湯が滴下されるため、ドリッパー内のコーヒー粉全体に、湯を均一に注ぐことができない。
【0004】
これに対して、コーヒードリッパーに温湯をシャワー状に注ぐコーヒー抽出装置(例えば特許文献2参照)や、ドリッパーに臨むシャワーノズルを設けたコーヒードリッパマシン(例えば特許文献3参照)や、熱湯を自重でシャワーノズルより吐出させるコーヒー抽出装置(例えば特許文献4参照)がある。
【0005】
これらのシャワー状に湯を供給するものでは、ドリッパーに対して湯を均一に注ぐことができるが、ドリッパー内のコーヒー粉の量が少ないと、外側のコーヒー粉のない部分にも湯が注がれ、コーヒー液が薄くなるという問題がある。また、コーヒー粉の中央が僅かに窪み外周に壁状の部分が形成された状態でコーヒー液を抽出することが好ましいとされているが、シャワー状に湯を供給すると、抽出杯数が少ない場合、コーヒー粉の周辺部分に湯が当たり、コーヒー粉の外周部に壁状部分が形成され難いという問題もある。
【0006】
一方、シャワーが、各給湯路と同数の互いに独立した複数のシャワー室と、これらシャワー室の底壁に夫々設けられた小孔とを有してなり、前記各シャワー室に前記各給湯路の給湯先端部を夫々別々に連通させて前記シャワーを配置し、かつ、前記複数のシャワー室に夫々別々に対応する前記複数のヒーターに対する選択的通電を前記コーヒー粉の使用量に応じて設定する制御部を備えた電気コーヒー沸かし器(例えば特許文献5参照)がある。
【0007】
前記電気コーヒー沸かし器では、複数の給湯系統を備え、これらの系統の少なくとも一
つの選択により、シャワーの一つのシャワー室の小孔による湯の拡散パターン、または前記一つのシャワー室と他の少なくとも一つのシャワー室との各小孔が組み合わさってできる湯の拡散パターンのいずれかを選択できる。従って、コーヒー粉の量に適合した湯の拡散パターンを得て、コーヒー液を抽出することができるが、構造が複雑になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5845814号公報
【特許文献2】実公平3−8212号公報
【特許文献3】特公平4−26846号公報
【特許文献4】特開平8−280542号公報
【特許文献5】実用新案登録公報第2595365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の問題点を解決し、構造を簡易にして、抽出杯数によらず良質なコーヒー液を抽出することができるコーヒーメーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーは、ドリッパー内のコーヒー粉に湯を注ぐコーヒーメーカーにおいて、コーヒー豆を粉砕して前記コーヒー粉にし、該コーヒー粉を前記ドリッパーの中央に落下供給するミルと、前記コーヒー粉に湯を注ぐ複数のノズルを備え、前記複数のノズルは、前記ドリッパーの中心位置より外側に位置し、湯を該ノズルの真下より前記ドリッパーの中央側に噴出することで、落下供給された前記コーヒー粉の中央に凹みが形成されるように、複数のノズルのノズル通路が角度付けされることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載のコーヒーメーカーは、請求項1において、前記中心位置を挟んで対をなす前記ノズルが配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載のコーヒーメーカーは、請求項1又は2において、前記ノズルは、斜めに形成されたノズル通路の先端に噴出口を備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の請求項4に記載のコーヒーメーカーは、請求項1において、前記一のノズル通路から流出した湯の中心線と他のノズル通路から流出した湯の中心線との距離が、最小抽出量に対応するコーヒー粉の上面よりも下方で最小となるように、前記複数のノズルが角度付けされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーは、以上のように構成することにより、前記複数のノズルが、前記ドリッパーの中心位置より外側に位置し、湯を該ノズルの真下より前記ドリッパーの中央側に噴出するので、コーヒー粉の中央部に凹みが形成され且つ外周部に壁状部分が形成された状態で、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0015】
また、前記中心位置を挟んで対をなす前記ノズルが配置されているので、コーヒー粉に湯を略均一に給湯することで、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0016】
また、斜めのノズル通路から湯が噴出し、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0017】
更に、前記一のノズル通路から流出した湯の中心線と他のノズル通路から流出した湯の中心線との距離が、最小抽出量に対応するコーヒー粉の上面よりも下方で最小となるよう
に、前記複数のノズルが角度付けされることで、湯がフィルターに直接かかることなく、確実にコーヒー粉の中央部に凹みが形成され且つ外周部に壁状部分が形成された状態として、良質なコーヒー液を注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1を示すコーヒーメーカーの要部の縦断面図ある。
図2】同上、湯供給部の分解斜視図である。
図3】同上、ドリッパーとサーバーの斜視図であり、ドリッパーの止液弁を分解した状態を示す。
図4】同上、全体説明図である。
図5】同上、湯供給部の拡大断面図である。
図6】同上、要部の平断面図であり、湯供給部を下から見た状態を示す。
図7】同上、斜め上から見た斜視図である。
図8】同上、斜め下から見た斜視図である。
図9】同上、コーヒー液を抽出する前のコーヒー粉の状態を示す斜視図である。
図10】同上、コーヒー液を抽出した後のコーヒー粉の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1について、図1図10に基づいて説明する。1はコーヒーメーカーであり、このコーヒーメーカー1のケース本体2は、後側の立設部3と、この立設部3の下部と一体的に形成された前側の載置部4と、前記立設部3の上部と一体的に形成された庇部5とを備える。そして、前記立設部3に貯水部6が設けられており、この貯水部6には、外部の水を供給することができ、この例では、前記貯水部6のタンクが前記ケース本体2に着脱可能に設けられている。
【0021】
前記ケース本体2内には、前記貯水部6の水を加熱する加熱手段7と、この加熱手段7により加熱して得られた湯を、後述する湯供給部22に送る送液手段8が設けられ、この送液手段8としてはポンプ等が例示される。
【0022】
前記載置部4は、上方が開口していると共に、この開口を塞ぐように、略平面状の加熱板11が設けられている。そして、この加熱板11の下面には、ヒーター12が熱的に接して設けられている。
【0023】
前記加熱板11上には、サーバー13が着脱可能に載置される。このサーバー13は、上方が開口した耐熱ガラス製の容器本体14と、この容器本体14の側面に取り付けられた合成樹脂製の把持部15と、前記容器本体14の上部開口を覆う合成樹脂製の蓋体16とを備えている。
【0024】
前記立設部3の側部には、前記載置部4のサーバー13の上方に、上からミル21と、湯供給部22と、ドリッパー23とが配置されている。なお、図中Sは前記ドリッパー23の中心である。
【0025】
前記ミル21は、上部に投入口24を有するホッパー25を備えると共に、前記投入口24を開閉する蓋体26を備える。また、前記ミル21は、前記ホッパー25に投入したコーヒー豆を粉砕するものであり、前記ホッパー25内のコーヒー豆は、シューター部27に送られる。このシューター部27に送られたコーヒー豆は、図示しないミルモーターにより回転させられるミルスクリュー29により回転刃30と固定刃31との間に向けて送られ、前記回転刃30と固定刃31との間で挽かれてコーヒー粉(挽き豆)111となる。また、前記ミル21の下部には落下口32が設けられ、この落下口32から前記コーヒー粉111が前記ドリッパー23の中央に落下供給される。なお、前記落下口32は円筒状となる。
【0026】
前記ミル21の落下口32に前記湯供給部22が取付けられている。この湯供給部22は、前記送液手段8に接続された送液路8Aに接続された接続部35と、この接続部35に連通する環状の連続流路36と、この連続流路36に接続された複数のノズル37,37Aとを備える。なお、前記連続流路36は前記落下口32の周囲を囲むように連続して形成されている。
【0027】
前記複数のノズル37,37Aは、図6に示すように、前記ドリッパー23の中心Sを中心とした同心円上に配置され、一側の複数のノズル37,37,37と他側の複数のノズル37A,37A,37Aが、後述するシャッター41を挟んでそれぞれ円周方向等間隔な位置に設けられる。そして、一側のノズル37,37,37と他側のノズル37A,37A,37Aは、前記中心Sに対して対称な位置に設けられている。なお、前記ノズル37とノズル37Aは同一構成である。また、前記ノズル37,37Aのノズル通路88の延長線上に、前記中心Sが位置している。
【0028】
前記一側のノズル37,37,37と他側のノズル37A,37A,37Aの間には、前記湯供給部22の下面に沿って進退する水平方向のシャッター41が設けられている。このシャッター41は略同一幅の板状をなし、前記シャッター41の先端部42は幅狭に形成される。そして、前記シャッター41の中央には、前記落下口32に連通可能な連通開口部43が設けられている。また、前記湯供給部22又は前記庇部5の下部には、前記シャッター41が出没する出没孔44を設けると共に、前記シャッター41の先端部42が挿入される挿入受部45を設けている。なお、前記シャッター41の上面に、前記落下口32の下端が挿入される筒状パッキン76の下端面が当接する。また、前記シャッター41は前記ケース本体2の前後方向に対して斜めに進退する。
【0029】
図6は前記シャッター41により前記落下口32を閉塞した状態を示す。この状態からシャッター進退手段(図示せず)により前記シャッター41を後退させ、このシャッター41の基端側を前記ケース本体2内に収納し、連通開口部43を前記落下口32に合う位置で停止させることにより、この落下口32を開くことができる。
【0030】
前記ドリッパー23は、上部に円形の上部開口51を有し、この上部開口51から下方に向かって縮径する円弧状側板部52を有し、この円弧状側板部52の前後に傾斜した前,後斜め側板部53,53を設けている。これら前,後斜め側板部53,53は平板状をなし、前記ドリッパー23の略直線状の底部54に連結されている。そして、底部54は左右方向に長く形成されている。
【0031】
図7及び図8等に示すように、前記ドリッパー23は収納ケース55内に収納されている。この収納ケース55は、前記ドリッパー23と共に、前記ケース本体2に対して出没自在に設けられている。(図7及び図8では、構造を分かりやすくするために、前記収納ケース55を前記ケース本体2から外しているが、実際には、軸受凹部2Aに対し回動突起55Aが軸支されることで、水平方向に回動する。)また、前記ドリッパー23内には、ペーパーフィルター56が配置される。
【0032】
前記底部54の中央に縦方向の弁孔57が設けられ、この弁孔57に止液弁58が設けられている。この止液弁58は、前記弁孔57に挿通する弁棒59と、この弁棒59の外周に縦設され前記弁孔57との間に隙間を形成する複数の縦凹部60と、前記弁棒59の上部に設けられ前記弁孔57を閉塞する弁体61と、この弁体61の下部に設けられ下面が湾曲面状の弁頭部62とを備え、前記底部54と弁頭部62との間に設けられた付勢手段たるコイルスプリング63により、前記弁棒59を下方に付勢し、常時は前記弁体61により前記弁孔57が閉塞されている。また、前記弁頭部62には、前記縦凹部60に対応して透孔62Aが穿設されている。
【0033】
また、前記サーバー13の蓋体16の中央には、前記弁頭部62に当接する湾曲面状の凸部66が設けられ、この凸部66の下部に複数の透孔67が穿設されている。従って、前記載置部4に前記サーバー13を載せると、図1のように、前記凸部66が前記弁頭部62を押し上げるので、前記止液弁58が開き、前記ドリッパー23内のコーヒー液が前記透孔67を通って前記容器本体14内に落下できるようになる。
【0034】
前記湯供給部22は、平板状のホルダー71と、第1ノズル構成体81と、第2ノズル構成体82と、環状の外パッキン74と、前記落下口32に外装する筒状パッキン76とを備える。前記ホルダー71は、前記落下口32が挿通する挿通孔72と、前記ホルダー71の下面に設けられて前記外パッキン74が嵌入する環状のパッキン溝73と、前記挿通孔72の周囲で前記ホルダー71の下面に設けられた環状の嵌合凹部75とを有する。そして、この嵌合凹部75に、前記筒状パッキン76の上部外側が嵌入する。また、前記ホルダー71には、前記パッキン溝73の周囲に下筒部77が突設形成されている。この下筒部77は、前記中心Sと同軸状に形成されており、一部が切り欠かれている。なお、前記下筒部77の上部に前記パッキン溝73が設けられている。そして、前記ホルダー71の下面には、前記嵌合凹部75の外周側に、複数の取付ボス部78が突設される。この例では、前記挿通孔72を中心とした同心円上に、複数(4つ)の取付ボス部78,78,78,78が設けられている。なお、図2においては、前記取付ボス部78を1つのみ鎖線で図示している。
【0035】
前記筒状パッキン76には、その本体76Aの上部外側に、前記嵌合凹部75に嵌合する径大な嵌合部79が設けられる。そして、この嵌合部79の外周に、前記取付ボス部78の外周の内側に外嵌する半円状の内嵌合溝部80を設けている。なお、この内嵌合溝部80は、前記取付ボス部78に対応して4つ設けられている。
【0036】
前記第1ノズル構成体81には、円環状の平板部83の内周部に上向きの筒部84を設け、この筒部84に、前記取付ボス部78の外周の外側に外嵌する半円状の外係合溝部85を設けている。また、前記第1ノズル構成体81には、前記ノズル37,37Aの一部を構成するノズル内側部86が前記平板部83の外周部から下方に突設されている。前記ノズル内側部86の外側側には、曲面状の傾斜面86Aが形成され、この傾斜面86Aの中央に縦溝部87が縦設されている。
【0037】
前記第2ノズル構成体82は、前記筒状パッキン76の本体76Aに外嵌する外嵌筒部91と、この外嵌筒部91の周囲に設けたベース部92とを一体に備えている。そして、このベース部92には、4つの前記取付ボス部78に対応して、4つの透孔93が穿設されている。また、前記ベース部92の周囲には外筒部94が突設されている。更に、この外筒部94の内側で且つ前記ベース部92の外周側の下部には、ノズル外側部95が斜設されている。なお、前記ノズル外側部95は、前記縦溝部87を除いて前記ノズル内側部86と略同形の凹部であり、上下が開口している。また、前記ノズル外側部95の内面95Aには、前記ノズル内側部86が収納されている。また、前記透孔93の周囲の上部には、係合段部97が設けられ、この係合段部97が前記第1ノズル構成体81の外係合溝部85の下部に係合する。
【0038】
図5に示すように、下から前記透孔93を挿通したビス98を、取付ボス部78に螺合させることにより、前記ホルダー71,第1ノズル構成体81,筒状パッキン76,外パッキン74及び第2ノズル構成体82が一体に組み立てられる。そして、前記組立状態で、前記ノズル外側部95の内面95Aに前記傾斜面86Aが当接し、前記内面95Aと縦溝部87とにより、ノズル通路88を有する前記ノズル37,37Aが構成される。そして、前記ノズル通路88の先端が噴出口89となる。また、前記パッキン溝73と前記外筒部94の先端との間に挟まれて前記外パッキン74が圧縮され、これにより前記ホルダー71と第1ノズル構成体81と第2ノズル構成体82とにより囲まれた水密な前記連続流路36が形成され、この連続流路36に前記ノズル37,37Aのノズル通路88が連通する。なお、このノズル通路88の長さは、その流通断面における最大幅より長い。また、前記各ノズル37,37Aのノズル通路88の流通断面積は、全て等しい。
【0039】
図2及び図5に示すように、前記第2ノズル構成体82には、前記連続流路36に連通する前記接続部35を設け、この接続部35に前記送液路8Aの一部を構成するホース100を接続している。
【0040】
また、前記ホルダー71及びミル21は、前記ケース本体2に固定される。
【0041】
図6に示したように、前記ノズル37,37Aの噴出口89は、中心Sよりも外側に位置する。また、中心Sに対して、前記ノズル37,37Aが対向するように配置されている。更に、図1等に示すように、前記ノズル通路88の垂直に対する角度は、最小抽出杯数である1杯分のコーヒー液に対応するコーヒー粉111の前記ドリッパー23内における上面Cminよりも下方で、前記ノズル37,37Aのノズル通路88から噴出した湯の中心線が交わる(即ち、前記各ノズル通路88から流出した湯の中心線間の距離が最小となる)ように設定されている。この角度は20度程度であり、前記円弧状側板部52の角度と略等しいか、それよりもやや大きいことが好ましい。即ち、前記噴出口89から前記ドリッパー23の中央側に斜めに噴出された湯は、重力により放物線状に落下するためである。
【0042】
なお、図7及び図8に示すように、前記庇部5の前面には、前記コーヒーメーカー1を操作する複数のスイッチ101が配置されている。
【0043】
次に、前記コーヒーメーカー1の使用方法の一例について説明する。まず使用者は、前記収納ケース55を前記庇部5の下方から水平に引き出して、前記ドリッパー23内に前記ペーパーフィルター56をセットした後、前記収納ケース55を前記庇部5の下方へ水平に押し込む。そして、前記サーバー13を前記載置部4の加熱板11上に載置する。なお、前記サーバー13が前記加熱板11上にセットされると、前記サーバー13の蓋体16に設けられた湾曲面状の凸部66が、前記止液弁58の湾曲面状の弁頭部62に当接することによって、前記止液弁58が押し上げられ、前記ドリッパー23の底部に設けられた前記弁孔57が解放する。そして、前記貯水部6内に、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量の水を入れる。更に、前記蓋体26を外し、前記投入口24から前記ホッパー25内に所定量のコーヒー豆を入れる。なお、この段階では、前記シャッター41が前記落下口32を塞いだ状態であり、前記ミル21とドリッパー23内とが連通していない。
【0044】
そして、使用者が前記スイッチ101を操作すると、四つの動作が同時に行われる。一つ目は、前記シャッター進退手段(図示せず)が前記シャッター41を前記出没孔44側に移動させることである。これによって、前記連通開口部43が前記落下口32と重なって、前記ミル21が前記ドリッパー23内と連通する。二つ目は、前記ミル21を動作さ
せることである。これによって、前記ミル21によりコーヒー豆が挽かれてコーヒー粉111が得られ、このコーヒー粉111が前記落下口32から前記ドリッパー23のペーパーフィルター56内に落下供給される。この一例を図9に示す。なお、前記所定量とは、例えばコーヒー液の1杯、2杯、3杯等の杯数に対応した量である。三つ目が、前記加熱手段7への通電を開始することである。これによって、前記貯水部6内の水が加熱されて湯となる。更に、四つ目が、前記ヒーター12への通電を開始することである。これによって、前記加熱板11に載置された前記サーバー13が温められる。
【0045】
前記ミル21は、所定量のコーヒー豆を全て挽くのに十分な時間が経過すると、停止する。そして、前記ミル21の動作が停止すると、前記シャッター進退手段(図示せず)が前記シャッター41を前記挿入受部45側に移動させることで、前記シャッター41が前記落下口32を塞ぐ。そして、前記シャッター41が前記落下口32を塞いだ後、前記貯水部6内の水が所定の温度(85〜90℃)の湯となる。この貯水部6内の湯が所定の温度に達したことが検知されると、前記加熱手段7への通電を停止した後、前記貯水部6内の湯が前記送液手段8により前記送液路8Aを介して前記湯供給部22に送られ、前記連続流路36に接続された複数の前記ノズル37,37Aから、湯が斜め下方に向かって噴射される。この噴射による給湯が、所定時間、例えば8秒間連続して行われた後、所定蒸らし時間である20秒間給湯が停止し、この間、コーヒー粉111が蒸らされる。
【0046】
蒸らし時間が経過したら、前記貯水部6内の湯を全て連続給湯する。なお、前述した通り、前記貯水部6内の水の量が、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量であるので、前記貯水部6内の全ての湯を前記ドリッパー23に供給すれば、所定の杯数のコーヒー液が得られることになると共に、前記貯水部6内が空になる。この場合、複数の前記ノズル37,37Aから前記ドリッパー23の中央側に向かって斜めに湯を噴射するため、コーヒー粉111の量が違っても、コーヒー粉111のない部分から湯が前記ペーパーフィルター56を通って落下することがなく、また、コーヒー粉111の外周部を噴射した湯が強く攪拌することがなく、抽出中に図10のように中央が凹んだ好適なコーヒー粉111の状態が保たれ、良質なコーヒー液を抽出することができる。また、前述した通り、最小抽出杯数である1杯分のコーヒー液に対応するコーヒー粉111の前記ドリッパー23内における上面Cminよりも下方で、前記ノズル37,37Aのノズル通路88から噴出した湯の中心線間の距離が最小となるように設定されていることで、湯が中心Sを挟んで前記ノズル37,37Aの反対側となる前記ペーパーフィルター56の部分に直接かかることもなく、且つ、前記ノズル37,37Aの反対側となるコーヒー粉111の外周部を噴射した湯が強く攪拌することもない。従って、確実にコーヒー粉111の中央部に凹み112が形成され、且つ外周部に壁状部分113が形成された状態として、良質なコーヒー液を抽出することができる。なお、図10はコーヒー液抽出後における前記ドリッパー23内のコーヒー粉111の写真であり、中央に凹み112が形成され、外周部に盛り上がり部分である壁状部分113が形成されていることが分かる。
【0047】
このように、コーヒー粉111に適切な凹み112及び壁状部分113が形成される場合、湯がほぼ均等に且つ確実にコーヒー粉111から前記ペーパーフィルター56を通過することになるので、良質なコーヒー液を得ることができる。一方、コーヒー粉111の外周部において、壁状部分113の形成が妨げられた場合、コーヒー粉111を通過する部位によって、湯が抽出したコーヒー液にムラが生じるので、得られたコーヒー液の味に悪影響がある。
【0048】
なお、抽出されたコーヒー液は、前記弁孔57を通過した後、前記弁頭部62の透孔62A及び前記サーバー13の蓋体16の透孔67を通過して、前記サーバー13内に溜まる。そして、このサーバー13を前記載置部4から取り外すと、前記コイルスプリング63によって前記止液弁58が押し下げられ、前記弁体61が前記弁孔57を塞ぐので、前記ドリッパー23からコーヒー液が滴下するのを防止することができる。
【0049】
以上のように本実施例は、ドリッパー23内のコーヒー粉111に湯を注ぐコーヒーメーカー1において、コーヒー豆を粉砕してコーヒー粉111にし、該コーヒー粉111をドリッパー23の中央に落下供給するミル21と、前記コーヒー粉111に湯を注ぐ複数のノズル37,37Aを備え、前記複数のノズル37,37Aが、前記ドリッパー23の中心位置より外側に位置し、湯を前記ノズル37,37Aの真下より前記ドリッパー23の中央側に噴出することで、落下供給されたコーヒー粉111の中央に凹み112が形成されるように、複数の前記ノズル37,37Aのノズル通路88が角度付けされているから、コーヒー粉111の中央に凹み112が、外周部に壁状部分113が形成された状態で、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0050】
また、複数の前記ノズル37,37Aを備え、前記中心位置Sを挟んで対をなす前記ノズル37,37Aが配置されているから、コーヒー粉111に湯を均一に給湯することで、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0051】
また、前記ノズル37,37Aは、斜めに形成された前記ノズル通路88の先端に噴出口89を備えるから、斜めの前記ノズル通路88,88から湯が噴出し、良質なコーヒー液を抽出することができる。
【0052】
更に、前記一のノズル通路88から流出した湯の中心線と他のノズル通路88から流出した湯の中心線が、最小抽出量に対応するコーヒー粉111の上面Cminよりも下方で交わるように、前記複数のノズル37,37Aが角度付けされることで、湯が中心Sを挟んで前記ノズル37,37Aの反対側となる前記ペーパーフィルター56の部分に直接かかることがなく、且つ、前記ノズル37,37Aの反対側となるコーヒー粉111の外周部を噴射した湯が強く攪拌することもないので、確実にコーヒー粉111の中央部に凹み112が形成され且つ外周部に壁状部分113が形成された状態として、良質なコーヒー液を注出することができる。
【0053】
以下、実施例上の効果として、前記ノズル37,37Aが共通する前記連続流路36に連通し、この連続流路36の流通断面積が前記ノズル通路88の流通断面積より大きく形成されているから、前記各ノズル37,37Aから略均一に湯を噴射することができる。また、前記ノズル37,37Aは、前記ノズル構成体81,82を組み立てて構成したから、1つ1つノズルを取付ける場合に比べて、安価に製造することができる。更に、前記ノズル構成体81,82と前記ホルダー71により、前記ノズル通路88に連通する連続流路36を簡便に構成することができる。また、一側の複数の前記ノズル37,37,37が、前記ドリッパー23の中心Sを中心とした同心円上に等間隔で配置され、他側の複数の前記ノズル37A,37A,37Aが、前記ドリッパー23の中心Sを中心とした同心円上に等間隔で配置されているから、湯を略均一に供給することができる。
【0054】
また、前記ノズル37,37Aの中央に、前記ミル21の落下口32を設けたから、コーヒー粉111を前記ドリッパー23の中央に落下供給することができる。また、前記落下口32を開閉手段たる前記シャッター41により閉めることができ、しかも、前記落下口32の周囲に筒状パッキン76を設け、この筒状パッキン76が前記シャッター41の上面に当接するから、前記ミル21内への蒸気の侵入を防止できる。
【0055】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変実施が可能である。例えば、図6ではノズル通路の平面における延長線上に中心Sが位置するが、ノズル通路の平面における延長線が中心Sとずれていてもよく、ノズルは、湯をノズルの真下よりドリッパーの中央側に噴出するものであればよい。また、ドリッパーの側板部の形状に対応してノズルから噴出する湯の角度を適宜選定することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 コーヒーメーカー
21 ミル
23 ドリッパー
37 ノズル
37A ノズル
88 ノズル通路
89 噴出口
111 コーヒー粉
112 凹み
S 中心
Cmin 最小抽出量に対応するコーヒー粉の上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10