特許第6791694号(P6791694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791694
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】巻取駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/686 20150101AFI20201116BHJP
   B66D 1/54 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   E05F15/686
   B66D1/54 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-185914(P2016-185914)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-48517(P2018-48517A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】内海 孝映
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−251407(JP,A)
【文献】 特開2001−48481(JP,A)
【文献】 実公平7−32875(JP,Y2)
【文献】 実開昭56−52572(JP,U)
【文献】 特公昭63−10265(JP,B2)
【文献】 実開平5−73129(JP,U)
【文献】 実開平3−71090(JP,U)
【文献】 特開平2−167978(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2957700(EP,A1)
【文献】 独国実用新案第9100295(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
B66D 1/54− 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性力若しくは重力を利用して窓を開く窓開閉装置、又は弾性力若しくは重力を利用して窓を閉じる窓開閉装置に用いられるワイヤを巻き取るとともに、巻き取られたワイヤを巻き戻し解放可能な電動式の巻取駆動装置において、
ワイヤを巻き取るための巻取ドラムであって、第1の向きに回転したときにワイヤを巻き取り、第2の向きに回転したときに当該ワイヤを巻き戻し解放する巻取ドラムと、
回転子及び固定子を有する電動モータであって、前記巻取ドラムを回転させる回転力を発生する電動モータと、
前記回転力を前記巻取ドラムに伝達する伝達機構であって、前記巻取ドラムを前記第2の向きに回転させる向きに前記回転子が回転したときに、当該回転力の伝達を遮断可能な伝達機構と
を具備する巻取駆動装置。
【請求項2】
前記回転力を前記巻取ドラム側に出力するための出力軸を具備し、
前記伝達機構は、前記回転力の伝達経路において、前記出力軸と前記巻取ドラムとの間に位置している請求項1に記載の巻取駆動装置。
【請求項3】
前記伝達機構は、
前記出力軸と同軸上の位置に前記巻取ドラムを回転可能に支持する支持部、
前記出力軸と一体的に回転するとともに、前記巻取ドラムと独立して回転可能な旋回部材であって、前記巻取ドラムに設けられた被係止部に対して離接変位可能な係止部を回転中心からずれた位置に有する旋回部材を備えており、
さらに、前記係止部が前記被係止部に接触して係止状態となったときに、前記回転力が伝達可能となる請求項2に記載の巻取駆動装置。
【請求項4】
前記支持部と前記巻取ドラムとの間には、滑り軸受部が配設され、
さらに、前記支持部は、前記旋回部材と一体的に回転する請求項3に記載の巻取駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、窓開閉装置に用いられる電動式の巻取駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、電動モータを正転させることによりワイヤを巻き取り、かつ、当該電動モータを逆転させることにより巻き取られたワイヤを送り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−32875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ばねやダンパーの弾性力又は重力を利用して窓を開く向きの力(以下、解放力という。)を発生させている窓開閉装置が実用化されている。巻取駆動装置は、解放力に対抗して巻取ドラムを正転させてワイヤを巻き取ることにより窓を閉じる。そして、巻取ドラムが回転自在な状態になると、解放力によって巻取ドラムが逆転し、巻き取られたワイヤが巻き戻し解放される。
【0005】
しかし、解放力によってワイヤが巻き戻し解放される際、電動モータの回転子が巻取ドラムと共に回転するため、窓が完全に開いて解放力が消失した場合であっても、回転子が回転慣性によって回転し続ける場合がある。
【0006】
回転子が回転し続けると、巻き戻し解放されたワイヤが逆転し続ける巻取ドラムに巻き取られてしまうので、開いた窓が再び閉じてしまうおそれがある。つまり、ワイヤを巻き戻し解放する際に、窓が完全に開いたタイミングで回転子が停止しないため、逆転する巻取ドラムにワイヤが再び巻き取られてしまう。
【0007】
本願は、上記点に鑑み、逆転する巻取ドラムにワイヤが再び巻き取られてしまうことを抑制可能な巻取駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願では、ワイヤ(9)を巻き取るための巻取ドラム(11)であって、第1の向きに回転したときにワイヤ(9)を巻き取り、第2の向きに回転したときに当該ワイヤ(9)を巻き戻し解放する巻取ドラム(11)と、回転子(12A)及び固定子(12B)を有する電動モータ(12)であって、巻取ドラム(11)を回転させる回転力を発生する電動モータ(12)と、回転力を巻取ドラム(11)に伝達する伝達機構(13)であって、巻取ドラム(11)を第2の向きに回転させる向きに回転子(12A)が回転したときに、当該回転力の伝達を遮断可能な伝達機構(13)とを具備する。
【0009】
これにより、窓が完全に開いたタイミングで回転子(12A)が停止しない場合であっても、巻取ドラム(11)が回転子(12A)から回転力を受けて第2の向きに回転しないので、ワイヤ(9)が再び巻き取られてしまうことを抑制できる。なお、「第1の向き」とは、上記「正転」に相当し、「第2の向き」とは、上記「逆転」に相当する。
【0010】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る窓開閉装置1の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る巻取駆動装置10を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る巻取駆動装置10の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る巻取駆動装置10の分解斜視図である。
図5】A〜Cは本発明の第1実施形態に係る巻取駆動装置10の作動説明図である。
図6】A及びB本発明の第2実施形態に係る巻取駆動装置10を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0014】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、当該部材が2以上設けられていてもよい。
(第1実施形態)
1.窓開閉装置の概要
本実施形態は、図1に示す窓開閉装置1に用いられる巻取駆動装置10に本発明を適用したものである。本実施形態に係る窓開閉装置1は、天窓を開閉するための開閉装置であって、リンク機構5、ダンパー7及び巻取駆動装置10等を有する。
【0015】
リンク機構5は、窓体3を閉塞位置と開放位置との間で変位させるため機構である。窓体3は、窓開口2に対して変位することにより当該窓開口2を開閉する部材である。なお、本実施形態に係るリンク機構5は、Xリンク機構である。
【0016】
ダンパー7は、筒状のシリンダ内に格納されたばね(図示せず。)により、窓体3を開放位置に向けて変位させる弾性力(以下、開放力という。)を発揮する。本実施形態に係るダンパー7は、リンク機構5を介して常に開放力を窓体3に作用させている。
【0017】
巻取駆動装置10は、ワイヤ9を巻き取るとともに、巻き取られたワイヤ9を巻き戻し解放可能な電動式の巻取駆動装置である。つまり、巻取駆動装置10が巻き戻し解放可能な状態となると、ダンパー7の開放力によりワイヤ9が巻き戻されるため、窓体3が開放位置側に変位する。
【0018】
なお、窓体3が開放位置に到達すると、窓体3又はリンク機構5に設けられたストッパ(図示せず。)により、窓体3の変位が停止する。したがって、ワイヤ9が巻き取られない限り、窓体3は開放位置に止まる。
【0019】
巻取駆動装置10に通電されると、当該巻取駆動装置10は、開放力による張力に抗しながらワイヤ9を巻き取る。巻取駆動装置10の巻取力によってワイヤ9に発生する張力は、窓体3を閉塞位置側に変位させるようにリンク機構5を作動させる。このため、巻取駆動装置10に通電されると、窓体3は閉塞位置側に変位する。
【0020】
2.巻取駆動装置
2.1 巻取駆動装置の概要
巻取駆動装置10は、図2に示すように、巻取ドラム11、電動モータ12及び伝達機構13等を少なくとも有する。巻取ドラム11は、ワイヤ9を巻き取るための部材であって、第1の向きに回転したときにワイヤ9を巻き取り、第2の向きに回転したときに当該ワイヤ9を巻き戻し解放する。
【0021】
なお、第2の向きとは第1の向きと逆向きである。以下、巻取ドラム11が第1の向きに回転することを「巻取ドラム11が正転する」ともいう。巻取ドラム11が第2の向きに回転することを「巻取ドラム11が逆転する」ともいう。
【0022】
電動モータ12は、回転子12A及び固定子12Bを有する電動モータであって、少なくとも巻取ドラム11を正転させる回転力を発生する。本実施形態では、電動モータ12で発生した回転力は、減速機構14を介して巻取ドラム11に伝達される。
【0023】
このため、減速機構14の構成によっては、回転子12Aの回転の向きと巻取ドラム11の回転の向きとが一致しない場合又は一致する場合がある。以下、巻取ドラム11が正転しているとき「回転子12Aが正転している」という。巻取ドラム11が逆転しているとき「回転子12Aが逆転している」という。
【0024】
伝達機構13は、電動モータ12の回転力を巻取ドラム11に伝達するとともに、回転子12Aが逆転したときに、回転力の伝達を遮断することが可能な機構である。つまり、伝達機構13は、回転子12Aが正転している場合には回転力を巻取ドラム11に伝達し、回転子12Aが逆転している場合には、回転力の伝達を遮断可能である。
【0025】
ブレーキ装置15は回転子12Aの回転を規制するための制動装置である。当該ブレーキ装置15は、少なくとも電動モータ12への通電が遮断されているときに、回転子12Aの回転を阻止するための制動力を回転子12Aに作用させる。
【0026】
ブレーキ装置15は、電動モータ12に通電されているときには、原則として、回転子12Aに制動力を作用させない。なお、本実施形態に係るブレーキ装置15は、回転子12Aと共に回転するロータ(図示せず。)に摩擦力を作用させて制動力を発生させる摩擦方式の制動装置である。
【0027】
2.2 伝達機構の詳細
<伝達機構の構造>
伝達機構13は、電動モータ12から巻取ドラム11に至る回転力の伝達経路において、出力軸14Aと巻取ドラム11との間に位置している。出力軸14Aは、電動モータ12で発生した回転力を巻取ドラム11側に出力するためのシャフトである。
【0028】
なお、本実施形態では、電動モータ12の出力側に減速機構14が設けられている。このため、本実施形態に係る出力軸14Aは、減速機構14の出力軸と一致する。因みに、本実施形態に係る電動モータ12は、減速機構14と電動モータ12とが一体化されたギヤードモータである。
【0029】
伝達機構13は、図3に示すように、支持部13A及び旋回部材13B等を少なくとも有する。支持部13Aは、出力軸14Aと同軸上の位置に巻取ドラム11を回転可能に支持するための部位である。
【0030】
支持部13Aには、図4に示すように、挿入穴13J及びキー溝13Kが設けられている。挿入穴13Jは、軸部14が挿入される穴である。キー溝13Kは、平行キー等の楔14B(以下、キー14Bという。)が挿入される溝状の凹部である。
【0031】
軸部14及びキー14Bは、図2に示すように、止めネジ14Cにより抜け止めされている。本実施形態では、支持部13Aと巻取ドラム11との間には、滑り軸受部16が配設されている。止め輪14Dは、巻取ドラム11が支持部13A等から脱落をすることを防止する。
【0032】
滑り軸受部16は、内周面が支持部13Aの円周状外周面に接触し、外周面が巻取ドラム11の内周面に滑り接触する。このため、止めネジ14Cは、滑り軸受部16により覆われた状態となるとともに、当該滑り軸受部16により抜け止めされた状態となる。
【0033】
旋回部材13Bは、図4に示すように、出力軸14Aと一体的に回転するとともに、巻取ドラム11と独立して回転可能な部材である。つまり、本実施形態では、旋回部材13Bと支持部13Aとは一体成形品であるので、支持部13Aは旋回部材13Bと一体的に回転する。
【0034】
巻取ドラム11は、滑り軸受部16を介して支持部13Aに対して回転自在である。このため、旋回部材13Bは、出力軸14Aと一体的に回転するとともに、巻取ドラム11と独立して回転できる。
【0035】
旋回部材13Bは係止部13Cを有する。係止部13Cは、巻取ドラム11に設けられた被係止部13Fに対して離接変位可能であって、旋回部材13Bの回転中心、つまり軸部14からずれた部位に位置に有する。
【0036】
<伝達機構の作動>
図5Aに示すように、係止部13Cの第1係止面13Dが被係止部13Fの第1被係止面13Hに接触して係止状態となったときに、正転向きの回転力が巻取ドラム11に伝達可能な状態となる。
【0037】
例えば、旋回部材13Bが二点鎖線で示す位置にあるときには、係止部13Cと被係止部13Fとが非係止状態であるため、電動モータ12の回転力は巻取ドラム11に伝達されない。
【0038】
回転子12Aが正転して旋回部材13Bが二点鎖線で示す位置から実線で示す位置、つまり第1係止面13Dと第1被係止面13Hとが接触して、係止部13Cと被係止部13Fとが係止状態となると、回転子12Aの正転回転力が巻取ドラム11に伝達され、ワイヤ9が巻き取られる。
【0039】
巻取ドラム11が停止しているときに回転子12Aが逆転すると、図5Bに示すように、第1係止面13Dが第1被係止面13Hから離間する向きに旋回部材13Bが回転変位する。これにより、係止部13Cと被係止部13Fとが非係止状態となるため、電動モータ12の回転力、つまり回転子12Aの逆転回転力は巻取ドラム11に伝達されない。
【0040】
3.本実施形態に係る巻取駆動装置の特徴
窓体3が、例えば閉塞位置にあるときにブレーキ装置15の制動力が消失すると、ダンパー7の開放力により、ワイヤ9が巻き戻されて巻取ドラム11が逆転の向きに回転すると、第1係止面13Dと第1被係止面13Hとが接触するため、旋回部材13Bは第1被係止面13Hを介して巻取ドラム11から逆転の向きの回転力を受ける(図5A参照)。
【0041】
このため、旋回部材13B及び回転子12Aは巻取ドラム11と一体的に逆転の向きに回転する。そして、窓体3が開放位置に到達すると、窓体3の変位が停止するので、ワイヤ9の巻き戻しが停止して巻取ドラム11の回転が停止する。
【0042】
そして、回転子12Aの慣性モーメントが巻取ドラム11に比べて大きく、かつ、減速機構14により回転子12Aの角速度が巻取ドラム11より大きくなっているため、巻取ドラム11が停止しても回転子12Aが逆転の向きに回転し続ける。
【0043】
しかし、巻取ドラム11が停止した状態で回転子12Aが逆転の向きに回転すると、旋回部材13Bが逆転の向きに回転するため、図5Bに示すように、第1係止面13Dが第1被係止面13Hから離間する。つまり、旋回部材13Bは、図5Bの二点鎖線で示す係止状態から図5Bの実線で示す非係止状態に旋回変位する。
【0044】
これにより、係止部13Cと被係止部13Fとが非係止状態となるため、電動モータ12の回転力、つまり回転子12Aの逆転回転力は巻取ドラム11に伝達されない。したがって、窓が完全に開いたタイミングで回転子12Aが停止しない場合であっても、巻取ドラム11が回転子12Aから回転力を受けて第2の向きに回転しないので、ワイヤ9が再び巻き取られてしまうことを抑制できる。
【0045】
巻取ドラム11の停止後、回転子12A(旋回部材13B)は、図5Cに示すように、第2係止面13Eが第2被係止面13Gに接触するまで巻取ドラム11に対して回転することができる。なお、減速機構14等の回転抵抗により、通常、第2係止面13Eが第2被係止面13Gに接触する前に回転子12Aの回転が停止する。
【0046】
本実施形態では、伝達機構13は、回転力の伝達経路において、出力軸14Aと巻取ドラム11との間に位置している。これにより、電動モータ12等に伝達機構13を内蔵する構造に比べて、簡素な構造で逆転する巻取ドラム11にワイヤ9が再び巻き取られてしまうことを抑制できる。
【0047】
本実施形態では、支持部13Aと巻取ドラム11との間には、滑り軸受部16が配設され、さらに、支持部13Aは、旋回部材13Bと一体的に回転する。これにより、巻取ドラム11を滑らかに回転させることができる。
【0048】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、旋回部材13Bは、正転時及び逆転時を問わず、回転軸線方向の位置が不動であった。これに対して、本実施形態では、正転時には、係止部13Cと被係止部13Fとが接触可能な回転軸線方向の位置にて旋回部材13Bが回転し、逆転時には、係止部13Cと被係止部13Fとが接触不可能な回転軸線方向の位置まで旋回部材13Bが変位する。
【0049】
すなわち、本実施形態では、図6Aに示すように、滑り軸受部16が廃止され、支持部13Aの外周面には雄ねじ部17Aが設けられている。巻取ドラム11には、雄ねじ部17Aと噛み合う雌ねじ部17Bが設けられている。
【0050】
雄ねじ部17A及び雌ねじ部17Bは、支持部13A(旋回部材13B)が正転の向きに回転するときに、係止部13Cが回転軸線方向に変位して被係止部13Fに近づくように構成されている。
【0051】
つまり、例えば、正転の向きが右向きである場合には、雄ねじ部17A及び雌ねじ部17Bは右ねじにて構成される。このため、巻取ドラム11が停止した状態で回転子12A、つまり支持部13A及び旋回部材13Bが逆転の向き(例えば、左向き)に回転すると、係止部13Cは、被係止部13Fから離間するように回転軸線方向に変位する(図6B参照)。
【0052】
なお、係止部13Cが被係止部13Fから予め決められた寸法まで離間すると、止め輪14Dが巻取ドラム11の端面に接触するため、支持部13Aが巻取ドラム11から離脱してしまうことが規制される(図6B参照)。
【0053】
したがって、本実施形態では、仮に、旋回部材13Bが巻取ドラム11に対して逆転の向きに360度以上回転した場合であっても、逆転の向きの回転力が巻取ドラム11に伝達されることはない。
【0054】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
(その他の実施形態)
上述の実施形態の実施形態に係る伝達機構13は、係止部13Cと被係止部13Fとを非係止状態とすることにより、逆転時に回転力が伝達されることを遮断した。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、いわゆる「一方向クラッチ機構」にて伝達機構13を構成してもよい。
【0055】
上述の実施形態では、伝達機構13は、回転力の伝達経路において、出力軸14Aと巻取ドラム11との間に位置している。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
上述の実施形態では、支持部13Aと巻取ドラム11との間には、滑り軸受部16が配設されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、支持部13Aの外周面を巻取ドラム11の内周面に直接的に滑り接触させてもよい。
【0057】
上述の実施形態では、支持部13Aと旋回部材13Bとが一体成形品であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。つまり、支持部13Aと旋回部材13Bとを別部品として、両者の機能を分離してもよい。
【0058】
この場合、電動モータ12の回転力は、支持部13Aを介すことなく、旋回部材13Bに伝達可能な構成とする必要がある。具体的には、支持部13Aが巻取ドラム11の支持のみ行い、例えば、回転力は歯車等を介して旋回部材13Bに伝達してもよい。
【0059】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1… 窓開閉装置 2… 窓開口 3… 窓体 5… リンク機構
7… ダンパー 9… ワイヤ 10… 巻取駆動装置
11… 巻取ドラム 12… 電動モータ 12A… 回転子
12B… 固定子 13… 伝達機構 13A… 支持部
13J… 挿入穴 13K… キー溝 13B… 旋回部材
13C… 係止部 13F… 被係止部 13D… 第1係止面
13H… 第1被係止面 13E… 第2係止面 13G… 第2被係止面
14… 減速機構 14A… 出力軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6