特許第6791697号(P6791697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791697
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61B6/00 360Z
   A61B6/12
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-188376(P2016-188376)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-50768(P2018-50768A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】江刺 智
(72)【発明者】
【氏名】大賀 信浩
(72)【発明者】
【氏名】岡田 淳
(72)【発明者】
【氏名】室井 稔雄
(72)【発明者】
【氏名】小倉 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】郡司 正則
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−073490(JP,A)
【文献】 特開2010−131048(JP,A)
【文献】 特開2002−095640(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/188874(WO,A1)
【文献】 特開2013−215275(JP,A)
【文献】 特開2000−262506(JP,A)
【文献】 特開2009−297457(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0085642(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0243650(US,A1)
【文献】 特開平01−277091(JP,A)
【文献】 特開昭64−011533(JP,A)
【文献】 特開2012−161537(JP,A)
【文献】 特開2014−42727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 8/00−8/15
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照射されるX線を発生するX線発生部と、
前記被検体を透過したX線を検出し、該検出結果に基づいてX線画像を動画として連続的に発生する画像発生手段と、
前記発生したX線画像を一時的に記憶する第1記憶手段と、
前記発生したX線画像を動画として表示する表示手段と、
前記表示中のX線画像に対し、前記第1記憶手段内の位置情報の記録を指示する入力操作を操作者から受け付ける記録指示手段と、
前記入力操作のタイミングに応じた、前記第1記憶手段内の一定区間の位置情報を記録する位置記録手段と、
前記X線の発生を停止した後、前記記録された位置情報に基づいて、前記第1記憶手段内のX線画像を動画として再生する再生手段と、
前記再生されたX線画像のうち、永続的な保存対象のX線画像を指定する指定手段と、
前記指定されたX線画像を第2記憶手段に書込む書込手段と
を具備するX線診断装置。
【請求項2】
前記書込手段は、前記指定されたX線画像を個別の画像ファイルとして前記第2記憶手段に書き込む、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記再生手段は、複数回のX線透視により得られた各々のX線画像を各X線透視の間に再生し、
前記指定手段は、前記各々のX線画像を操作者の操作に応じて指定する、請求項1又は請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記位置記録手段は、前記タイミングよりも過去の時点に対応する位置情報を始点とし、前記タイミングよりも未来の時点に対応する位置情報を終点とするように前記一定区間の位置情報を記録する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影検査やインターベンション治療を行う際に、X線透視画像を表示するX線診断装置が広く用いられている。この種のX線診断装置は、検査、手術中の透視中の動画像をバックグラウンドで保存可能となっている。保存された画像は、必要により、後で参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−262506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようなX線診断装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、以下の点で改善の余地があると考えられる。
【0005】
すなわち、保存した画像の中から必要な画像を参照する際に、不要な画像がじゃまになり、参照が困難となる場合がある点で改善の余地がある。また、保存した画像から不要な画像を削除する場合に、手間がかかる点で改善の余地がある。
【0006】
目的は、必要な画像を容易に参照でき、且つ不要な画像を削除する手間を削減し得るX線診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線診断装置は、X線発生部、画像発生手段、第1記憶手段、表示手段、記録指示手段、位置記録手段、再生手段、指定手段及び書込手段を備えている。
【0008】
前記X線発生部は、被検体に照射されるX線を発生する。
【0009】
前記画像発生手段は、前記被検体を透過したX線を検出し、該検出結果に基づいてX線画像を動画として連続的に発生する。
【0010】
前記第1記憶手段は、前記発生したX線画像を一時的に記憶する。
【0011】
前記表示手段は、前記発生したX線画像を動画として表示する。
【0012】
前記記録指示手段は、前記表示中のX線画像に対し、前記第1記憶手段内の位置情報の記録を指示する。
【0013】
前記位置記録手段は、前記指示をトリガとして、前記第1記憶手段内の一定区間の位置情報を記録する。
【0014】
前記再生手段は、前記X線の発生を停止した後、前記記録された位置情報に基づいて、前記第1記憶手段内のX線画像を動画として再生する。
【0015】
前記指定手段は、前記再生されたX線画像のうち、永続的な保存対象のX線画像を指定する。
【0016】
前記書込手段は、前記指定されたX線画像を第2記憶手段に書込む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、同実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、同実施形態における動作を説明するための模式図である。
図4図4は、同実施形態における動作を説明するための模式図である。
図5図5は、同実施形態における動作を説明するための模式図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るX線診断装置の動作を説明するための模式図である。
図7図7は、第3の実施形態に係るX線診断装置の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係るX線診断装置などについて図面を用いて説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成を示す模式図である。。同図に示すように本実施形態のX線診断装置は、X線管球2、検出器4、光学レンズ6、TVカメラ8、TVカメラインターフェース(I/F)回路10、画像メモリ12、入力インタフェース(I/F)回路13、記憶回路14、処理回路16、画像処理回路18、ビデオ信号変換回路20及び表示回路22により構成される。
【0020】
X線管球2は、被検体Pに照射されるX線を発生する。発生したX線は被検体Pを透過し、イメージインテンシファイアからなる検出器4に入射する。検出器4は入力蛍光面を有し、入射X線は該入力蛍光面にて電子に変換される。この電子は検出器4中で増幅され、その出力面にて光に変換される。この光は光学レンズ6により集光されたのち、TVカメラ8により撮像され、電気的な2次元画像が形成される。この2次元画像上における各点の光の強度は、透過X線の強度に比例する。
【0021】
TVカメラ8により撮像され、リアルタイムの2次元画像として得られるX線画像(X線透視画像)は、A/D変換された後、TVカメラインターフェース回路10を介して画像処理回路18に送られる。なお、検出器4、光学レンズ6、TVカメラ8、TVカメラインターフェース回路10及び画像処理回路18は、被検体を透過したX線を検出し、該検出結果に基づいてX線画像を動画として連続的に発生する画像発生手段を構成している。
【0022】
画像処理回路18は、送られてきた2次元画像に所定の画像処理を施し、ビデオ信号変換回路20に送る。所定の画像処理は、例えば、X線画像を補正する処理と、補正したX線画像を含む画面データを作成する処理とを含んでいる。画面データを作成する処理では、例えば、X線画像の表示領域と、当該X線画像に対する指示ボタン等に対応するGUIの表示領域とを割り付けることにより、画面データを作成する。
【0023】
画像メモリ12は、画像処理回路18により補正されたX線画像を継続的に入力し、最新から所定期間前までの一連のX線画像を一時的に記憶する。画像メモリ12は、例えば、電源による記憶保持動作を要する半導体メモリ等の揮発性記録媒体からなる。検査中におけるX線画像の記録時間は画像メモリ12の記憶容量によって制限される。このような画像メモリ12は、発生したX線画像を一時的に記憶する第1記憶手段を構成している。
【0024】
入力インタフェース回路13は、X線透視の開始及び終了を指示するためのフットスイッチ、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース回路13は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、処理回路16へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路13はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路13の例に含まれる。このような入力インタフェース回路13は、例えば、表示中のX線画像に対し、画像メモリ12内の位置情報の記録を指示するための記録指示機能と、再生されたX線画像のうち、永続的な保存対象のX線画像を指定する指定機能とを備えている。
【0025】
記憶回路14は、HDD(Hardware Disk Drive)など電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路とを備えている。記憶回路14は、処理回路16に実行されるプログラムと、処理回路16による処理結果、検査関連情報などを記憶している。処理回路16による処理結果は、例えば、画像メモリ12内のX線画像を指示する位置情報、永続的に保存されるX線画像の画像ファイルなどである。画像ファイルは、1回のX線透視における複数の区間のX線画像を一括して含むように作成されてもよい。あるいは、画像ファイルは、1回のX線透視における各々の区間のX線画像毎に作成されてもよい。このような記憶回路14は、永続的な保存対象のX線画像を記憶する第2記憶手段を構成している。
【0026】
処理回路16は、記憶回路14内のプログラムを呼び出し実行することにより、プログラムに対応する位置記録機能16a、再生機能16b及び書込機能16cを実現するプロセッサである。なお、図1においては単一の処理回路16にて位置記録機能16a、再生機能16b及び書込機能16cが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。なお、各機能16a〜16cは、概略的には、保存前のリアルタイムのX線透視画像の参照中に、関心のある区間だけを複数指定し、複数の指定部分の中から任意の部分だけを再生した後、所望の部分を選択して保存する動作を実現している。以下、具体的に説明する。
【0027】
ここで、位置記録機能16aは、入力インタフェース回路13から入力された指示をトリガとして、画像メモリ12内の一定区間の位置情報を記録する機能である。位置情報の記録先は、画像メモリ12又は記憶回路14のいずれでもよい。位置情報は、画像メモリ12内の番地を示すアドレス情報である。但し、位置情報としては、アドレス情報に限らず、画像メモリ12内の画像データを指示可能な情報であればよいので、例えば、日時情報を用いてもよい。位置情報は、入力インタフェース回路13から入力された指示に対応する情報に関連付けられて任意の区間のデータとして記録されてもよい。入力された指示に対応する情報としては、例えば、日時情報及び検査関連情報などが適宜、使用可能となっている。
【0028】
再生機能16bは、X線の発生を停止した後、位置記録機能16aにより記録された位置情報に基づいて、画像メモリ12内のX線画像を動画として再生する機能である。なお、再生されたX線画像は、表示回路22により表示される。
【0029】
書込機能16cは、再生機能16bにより再生されたX線画像のうち、入力インタフェース回路13により指定されたX線画像を記憶回路14に書き込む機能である。記憶回路14に書き込まれたX線画像は、永続的に保存される。なお、書込機能16cは、入力インタフェース回路13により指定されたX線画像を個別の画像ファイルとして記憶回路14に書き込む機能を含んでもよい。あるいは、書込機能16cは、入力インタフェース回路13により指定された複数のX線画像を1つの画像ファイルとして記憶回路14に書き込む機能を含んでもよい。
【0030】
ビデオ信号変換回路20は、画像処理回路18により画像処理が施された画面データをビデオ信号に変換し、当該ビデオ信号を表示回路22に送出する。
【0031】
表示回路22は、医用画像などを表示するディスプレイ(TVモニタ)、ディスプレイとビデオ信号変換回路20とを接続するコネクタやケーブルなどの周辺回路からなり、ビデオ信号変換回路20から受けたビデオ信号を表示する。
【0032】
次に、以上のように構成されたX線診断装置の動作について図2のフローチャート及び図3乃至図5の模式図を用いて説明する。
【0033】
いま、X線診断装置では、図2及び図3に示すように、フットスイッチ13aの操作により、X線管球2は、被検体Pに対するX線の照射を開始する(ステップST1)。
【0034】
被検体Pを透過したX線は、検出器4に検出されて光に変換される。この光は光学レンズ6により集光された後、TVカメラ8により撮像され、リアルタイム動画のX線画像に変換される。このX線画像は、A/D変換された後、TVカメラインターフェース回路10を介して画像処理回路18に送られ、所定の処理が施される。リアルタイムのX線画像を含む画面データは、画像処理回路18から送出され、ビデオ信号変換回路20を介して表示回路22により表示される(ステップST2)。
【0035】
一方、画像処理回路18により処理されたX線画像は画像メモリ12に継続的に入力される。画像メモリ12では、先頭番地から順番に画像を書き込んでゆき、最終番地まで画像が書き込まれて空き容量が無くなったら、先頭番地に戻って次の画像を書き込む。すなわち画像メモリ12はいわゆるリングバッファとして用いられる。このようなリングバッファとしての画像メモリ12の動作により、最新から所定期間前までの一連のX線画像を一時的に記憶する(ステップST3)。例えば、一連のX線画像は、1回以上のX線透視で得られる全てのX線画像を含む。
【0036】
X線画像のリアルタイム表示と一時的な記憶との実行中、処理回路16は、入力インタフェース回路13から指示がなければ(ステップST4:No)、ステップST6に移行する。また、処理回路16は、位置記録機能16aにより、入力インタフェース回路13から指示が入力されれば(ステップST4:Yes)、入力された指示をトリガとして、画像メモリ12内の一定区間の位置情報を記録する(ステップST5)。
【0037】
例えば図3に示すように、操作者は、リアルタイムのX線画像grtを見ながらステント留置の位置決めをしている際に、ボタン13bを操作することにより、表示中のX線画像に対し、画像メモリ12内の位置情報の記録を指示すればよい。このようにして、例えばX線画像g1に対応する一定区間の位置情報が記録される。なお、位置情報の記録の指示は、ボタン13bの操作に限らず、操作者による音声入力機能13cへの音声入力、造影剤の注入に連動するインジェクタ連動機能13dのいずれから入力してもよい。また、入力インタフェース回路13は、トリガのタイミングから数秒間(例、3秒間)の区間を位置情報として指定することができる。あるいは、入力インタフェース回路13は、開始位置と終了位置を指定する2回の指示を受けてもよい。
【0038】
実際のX線透視中の画面としては、例えば図4の左側に示すように、リアルタイムのX線画像grtが表示されており、X線画像grtの左上隅には、一時的な記憶中を示す録画マーカr1が表示される。また例えば、X線画像grtの下方には、X線照射時間の経過によって右方に移動する進捗マーカtと、位置情報記録済みを示すマーカmk1,mk2が表示される。また例えば、一箇所だけ例示するように、マーカmk2に近接してサムネイル画像gs2を表示してもよい。
【0039】
このようなステップST2〜ST5の処理は、フットスイッチ13aの操作によりX線管球2がX線の照射を終了するまで、繰り返し実行される(ステップST6:No)。この繰り返しにより、例えば図3に示すように、X線画像g2,g3の各々の一定区間の位置情報が記録される。
【0040】
X線の照射が終了すると(ステップST6:Yes)、処理回路16は、ステップST5で記録された位置情報に基づいて、画像メモリ12内のX線画像を動画として再生する(ステップST7)。再生されたX線画像は、表示回路22により表示される。なお、複数の区間の位置情報が記録されていた場合には、各々の区間のX線画像を動画として、順番に再生する。あるいは、最後の区間のX線画像のみを再生してもよい。または、通常のLIH(静止画)表示もできる。あるいは、各区間のX線画像のサムネイル画像を抽出したカタログ表示としてもよい。再生したいX線画像の選択は、例えば図3に示すように、前の画像選択ボタン13e及び後の画像選択ボタン13fの操作によってX線画像を選択し、再生ボタン13gを操作することにより、実行可能である。また、保存対象のX線画像は、図3に示すように、保存ボタン13hの操作により、記憶回路14に書き込み可能である。
【0041】
X線画像の再生中又は再生後に、処理回路16は、入力インタフェース回路13から保存対象の指定がなければ(ステップST8:No)、ステップST10に移行する。また、処理回路16は、書込機能16cにより、入力インタフェース回路13から保存対象の指定があれば(ステップST8:Yes)、指定されたX線画像を記憶回路14に書き込む(ステップST9)。実際のX線透視後の画面としては、例えば図4の右側に示すように、保存ボタン13hの操作により、再生したX線画像g2を記憶回路14に書き込むと、書き込み済みのX線画像g2を表すサムネイル画像gs2を画面の一部に表示してもよい。
【0042】
このようなステップST7〜ST9の処理は、今回のX線透視における保存対象の全てのX線画像を保存するまで、繰り返し実行される(ステップST10:No)。なお、図5に示すように、処理回路16は、書込機能16cにより、入力インタフェース回路13により指定されたX線画像g2,g3を個別の画像ファイルF2,F3として記憶回路14に保存してもよい。あるいは、処理回路16は、書込機能16cにより、指定された複数のX線画像g2,g3を1つの画像ファイルFsとして記憶回路14に保存してもよい。
【0043】
保存対象の全てのX線画像の保存が完了すると(ステップST10:Yes)、処理を終了する。なお、処理の終了後、次の透視が開始されると、一時的に記憶する一連のX線画像と、指定した位置情報とを記憶回路14の所定領域に保存してもよい。この所定領域に保存したX線画像及び位置情報は、適切なタイミングで自動的に破棄される。
【0044】
上述したように本実施形態によれば、表示中のX線画像に対し、第1記憶手段(画像メモリ12)内の位置情報の記録を指示し、この指示をトリガとして、第1記憶手段内の一定区間の位置情報を記録する。X線の発生を停止した後、記録された位置情報に基づいて、第1記憶手段内のX線画像を動画として再生する。再生されたX線画像のうち、永続的な保存対象のX線画像を指定する。指定されたX線画像を第2記憶手段(記憶回路14)に書込む。
【0045】
従って、必要な画像の位置情報を記録しておき、位置情報に基づく再生の後、永続的な保存対象のX線画像を書き込む構成により、必要な画像を容易に参照でき、且つ不要な画像を削除する手間を削減することができる。なお、従来は、保存した画像の中から必要な画像を参照する際に、不要な画像がじゃまになり、参照が困難となる場合があった。また、従来は、保存した画像から不要な画像を削除する場合に、手間がかかっていた。
【0046】
また、X線画像の表示中には、位置情報の記録を指示するだけでよいので、操作者がX線透視の操作、手技に集中でき、もって、操作性を向上できる。また、透視収集を中心に用いることにより、被曝量を低減できる。同様に、X線透視後、録画のためだけにX線撮影を実施することがないので、被曝量を低減できる。
【0047】
また、永続的な保存の前に、候補となるX線画像を確認することができる。また、候補の中から確認された区間の短いX線画像のみを永続的に保存することができる。さらに、不要と判断した場合は、画像メモリ12から自動的に削除されるため、記憶領域を圧迫することもなく、不要ファイルとして削除する手間もかからない。
【0048】
これに加え、X線透視中のX線画像を一時的に記憶する既存のシーケンスを損ねることなく、実施することができる。なお、既存のシーケンスは、一時的に記憶するX線画像のデータ量を低減したい場合に、記録する周期を事前予約する機能を使用可能となっている。この種の事前予約の機能は、手間がかかる上、事前予約した周期のX線画像に、適切なX線画像が含まれない可能性があるので、使用しない方が好ましい。これに対し、本実施形態は、この事前予約の機能を使用せずに実施することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、指定されたX線画像を個別の画像ファイルとして記憶回路14に書き込む場合、異なる区間の各々のX線画像を別々に扱うことができる。例えば、異なる世代のX線透視により得られた各々のX線画像を個別に扱うことができる。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0051】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、2回目のX線透視の完了後に、1世代前(または数世代)の登録した区間のX線画像を呼出し可能とし、且つ呼び出したX線画像を記憶回路14にに保存可能とした構成となっている。
【0052】
具体的には、再生機能16bは、前述した機能に加え、複数回のX線透視により得られた各々のX線画像を各X線透視の間に再生する機能をもっている。
【0053】
これに伴い、入力インタフェース回路13は、前述した機能に加え、当該各々のX線画像を操作者の操作に応じて指定する機能をもっている。
【0054】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
次に、以上のように構成されたX線診断装置の動作について図6を用いて説明する。
【0056】
いま、前述同様に、1回目のX線透視において、ステップST1〜ST10が実行されたとする。また、1つのX線画像g1−1は、マーカmk1−1に示すように位置情報が記録されたものの、記憶回路14に保存されなかったとする。
【0057】
続いて、2回目のX線透視において、ステップST1〜ST10が実行されたとする。また、2つのX線画像g2−1,g2−2は、マーカmk2−1,mk2−2に示すように位置情報が記録されたものの、両者とも記憶回路14に保存されなかったとする。
【0058】
ここで、操作者は、2回目のX線透視で得られたX線画像g2−1,g2−2よりも、1回目のX線透視で得られたX線画像g1−1の方が適切と判断したとする。
【0059】
この場合、入力インタフェース回路13は、操作者の操作により、1回目のX線透視におけるX線画像g1−1のマーカmk1−1を選択した後、保存ボタン13hによって、保存対象にX線画像g1−1を指定したとする。
【0060】
このとき、処理回路16は、書込機能16cにより、指定されたX線画像g1−1を記憶回路14に書き込む。これにより、1世代前のX線画像g1−1を永続的に記憶回路14に保存することができる。
【0061】
上述したように本実施形態によれば、複数回のX線透視により得られた各々のX線画像を各X線透視の間に再生し、当該各々のX線画像を操作者の操作に応じて指定する。
【0062】
従って、第1の実施形態の作用効果に加え、複数回のX線透視により得られた各々のX線画像を遡って再生でき、且つ、遡って再生したX線画像のうち、必要なX線画像を永続的に保存することができる。
【0063】
すなわち、2回目のX線透視の完了後に、1世代前(または数世代)の登録した区間を呼出すことができ、必要により、呼び出した世代の登録した区間のX線画像を記憶回路14に保存することができる。
【0064】
また、保存し忘れて、次のX線透視を開始してしまった場合にも、遡って、必要な区間のX線画像を永続的に保存することができる。
【0065】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態の変形例であり、位置情報の記録を指示した時点よりも遡った位置を記録する構成となっている。
【0066】
具体的には、位置記録機能16aは、入力インタフェース回路13により指示を受けた時点よりも過去の時点に対応する位置情報を始点とし、指示を受けた時点よりも未来の時点に対応する位置情報を終点とするように一定区間の位置情報を記録する機能を有する。
【0067】
他の構成は、第1又は第2の実施形態と同様である。
【0068】
次に、以上のように構成されたX線診断装置の動作について図7を用いて説明する。
【0069】
いま、前述同様に、フットスイッチ13aの操作により、X線の照射が開始され、X線画像のリアルタイム表示と一時的な記憶とが実行中であるとする。
【0070】
ここで、時刻t11の後、時刻t12において、位置情報を記録する指示が入力インタフェース回路13から入力されたとする。
【0071】
処理回路16は、位置記録機能16aにより、この指示を受けた時点(t12)よりも過去の時点(t11)に対応する位置情報を始点とし、指示を受けた時点よりも未来の時点(t13)に対応する位置情報を終点とするように一定区間の位置情報を記録する。例えば、1秒遡ってその後2秒間の合計3秒間の区間を示す位置情報が記録される。
【0072】
以下、前述同様に処理が実行される。記録された位置情報に基づくX線画像は、X線透視後に再生され、永続的な保存対象であることが確認された後、操作者の操作により、記憶回路14に保存される。
【0073】
上述したように本実施形態によれば、指示を受けた時点よりも過去の時点に対応する位置情報を始点とし、指示を受けた時点よりも未来の時点に対応する位置情報を終点とするように一定区間の位置情報を記録する。
【0074】
従って、第1又は第2の実施形態の作用効果に加え、指示を入力するタイミングが若干遅い場合でも、適切な位置情報を記録でき、もって、適切なX線画像を永続的に保存することができる。
【0075】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、、表示中のX線画像に対し、第1記憶手段(画像メモリ12)内の位置情報の記録を指示し、この指示をトリガとして、第1記憶手段内の一定区間の位置情報を記録する。X線の発生を停止した後、記録された位置情報に基づいて、第1記憶手段内のX線画像を動画として再生する。再生されたX線画像のうち、永続的な保存対象のX線画像を指定する。指定されたX線画像を第2記憶手段(記憶回路14)に書込む。
【0076】
従って、必要な画像の位置情報を記録しておき、位置情報に基づく再生の後、永続的な保存対象のX線画像を書き込む構成により、必要な画像を容易に参照でき、且つ不要な画像を削除する手間を削減することができる。
【0077】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0078】
第1の実施形態におけるX線管球2は、特許請求の範囲におけるX線発生部の一例である。第1の実施形態における検出器4、光学レンズ6、TVカメラ8、TVカメラインターフェース回路10及び画像処理回路18は、特許請求の範囲における画像発生手段の一例である。第1の実施形態における画像メモリ12は、特許請求の範囲における第1記憶手段の一例である。第1の実施形態における入力インタフェース回路13は、特許請求の範囲における記録指示手段及び指定手段の一例である。第1の実施形態における記憶回路14は、特許請求の範囲における第2記憶手段の一例である。第1の実施形態における表示回路22は、特許請求の範囲における表示手段の一例である。第1の実施形態における処理回路16及び位置記録機能16aは、特許請求の範囲における位置記録手段の一例である。第1の実施形態における処理回路16、再生機能16b及び表示回路22は、特許請求の範囲における再生手段の一例である。第1の実施形態における処理回路16及び書込機能16cは、特許請求の範囲における書込手段の一例である。
【0079】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
2…X線管球、4…検出器、6…光学レンズ、8…TVカメラ、10…TVカメラインターフェース(I/F)回路、12…画像メモリ、13…入力インタフェース(I/F)回路、14…記憶回路、16…処理回路、18…画像処理回路、20…ビデオ信号変換回路、22…表示回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7