特許第6791700号(P6791700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791700
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】被曝リスク管理支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/10 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A61B6/10 302
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-189408(P2016-189408)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-50891(P2018-50891A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真人
(72)【発明者】
【氏名】小池 成章
(72)【発明者】
【氏名】種元 貴行
(72)【発明者】
【氏名】吹上 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】二見 光
(72)【発明者】
【氏名】水口 麻希
(72)【発明者】
【氏名】柳田 陽介
【審査官】 相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−146081(JP,A)
【文献】 特開2003−215249(JP,A)
【文献】 特開2009−213709(JP,A)
【文献】 特開平04−357488(JP,A)
【文献】 特開昭60−120295(JP,A)
【文献】 特開2003−185749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G01T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼される検査に関する検査オーダ情報に基づき、前記検査にかかる設定情報に基づいて取得される被曝量に、線量測定器により過去に実測された放射線量に応じた補正をかけることで、前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出する被曝線量算出部を具備する被曝リスク管理支援装置。
【請求項2】
前記被曝線量算出部は、前記検査に係る設定情報に基づいて取得される被曝量に、前記検査で用いられる手技、及び/又は薬剤に関する補正、患者の状態に関する補正、若しくは患者への特殊な処置に関する補正をかけることで、前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出する請求項1記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項3】
前記被曝線量算出部は、前記設定情報に基づいて取得される被曝量に、前記検査の際に医療従事者が位置していた場所に応じた補正をかけることで、前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出する請求項又はに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項4】
前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量に基づき、医療従事者が所定期間において被曝する放射線量の累積値を算出する被曝線量予測部と、
前記累積値が線量限度以上となる場合、前記医療従事者が前記検査に従事することに対して警告を発する判定部と
をさらに具備する請求項1乃至のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記警告を発した後、又は警告表示を発すると共に、前記累積値が前記線量限度未満である医療従事者を、前記検査に従事可能な候補者として設定する請求項記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項6】
前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量に基づき、医療従事者が所定期間において被曝する放射線量の累積値を算出する被曝線量予測部と、
前記累積値が線量限度未満である医療従事者を、前記検査に従事可能な候補者として設定する判定部と
をさらに具備する請求項1乃至のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項7】
前記被曝線量予測部は、前記累積値を、線量測定器により実測された放射線量を利用して算出する請求項乃至のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項8】
前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量に基づき、医療従事者が一日に被曝可能な最大被曝量を算出する被曝線量予測部と、
前記検査が依頼される日に職業被曝する放射線量が前記最大被曝量以上である場合、前記医療従事者が前記検査に従事することに対して警告を発する判定部と
をさらに具備する請求項1乃至のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記警告を発した後、又は警告表示を発すると共に、前記検査が依頼される日に職業被曝する放射線量が前記最大被曝量未満である医療従事者を、前記検査に従事可能な候補者として設定する請求項記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項10】
前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量に基づき、医療従事者が一日に被曝可能な最大被曝量を算出する被曝線量予測部と、
前記検査が依頼される日に職業被曝する放射線量が前記最大被曝量未満である医療従事者を、前記検査に従事可能な候補者として設定する判定部と
をさらに具備する請求項1乃至のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【請求項11】
前記被曝線量予測部は、前記最大被曝量を、線量測定器により実測された放射線量を利用して算出する請求項乃至10のいずれかに記載の被曝リスク管理支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被曝リスク管理支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療技術は急速に発展し、様々な病巣の発見、及び病変の把握に大きく貢献している。特に、X線、ガンマ線、及び陽電子線等の放射線を利用した医用画像診断装置は、被検体の内部を、外科的処置を経ずに測定することが可能である。このため、この種の医用画像診断装置を利用した放射線診療は広く普及している。
【0003】
しかしながら、放射線診療に伴う、患者自身、又は患者の介護にあたる介助者への放射線被曝が、患者又は介助者の健康に被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような医療被曝を管理するため、以前より様々な方法が提案されている。
【0004】
一方で、放射線診療は、医師、看護師、診療放射線技師、及び臨床検査技師等の医療従事者も放射線を被曝するリスクがある。そこで、このような医療従事者の職業被曝を管理するため、医療従事者に線量測定器を携帯させ、医療従事者の被曝線量を管理する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、医療従事者に線量測定器を携帯させて被曝線量を管理する方法では、線量測定器を回収しなければ被曝線量を把握することができない。そのため、放射線診療の検査予約時に医療従事者の現状の被曝線量を把握することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−97909号公報
【特許文献2】特開2009−213905号公報
【特許文献3】特開2005−253689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで目的は、放射線診療の検査予約時に医療従事者の現状の被曝線量を把握することが可能な被曝リスク管理支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、被曝リスク管理支援装置は、依頼される検査に関する検査オーダ情報に基づき、前記検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出する被曝線量算出部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る被曝リスク管理支援装置が利用されるシステムを示すブロック図である。
図2図2は、図1に示されるRISサーバ、及びRIS端末の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示されるRISサーバで記憶される検査被曝線量マスタを示す図である。
図4図4は、図2に示されるRISサーバで記憶される検査被曝線量補正値マスタを示す図である。
図5図5は、図2に示されるRISサーバで記憶される患者状態被曝線量補正値マスタを示す図である。
図6図6は、図2に示されるRISサーバで記憶される距離補正値マスタを示す図である。
図7図7は、図2に示されるRISサーバで記憶される医療従事者補正値マスタを示す図である。
図8図8は、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバと、RIS端末との動作を説明する図である。
図9図9は、所定期間の累積被曝線量と線量限度とを比較する図である。
図10図10は、図2に示される表示回路で表示される警告表示を示す図である。
図11図11は、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバと、RIS端末との動作のその他の例を説明する図である。
図12図12は、図2に示される表示回路で表示される選択候補者を示す図である。
図13図13は、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバと、RIS端末との動作のその他の例を説明する図である。
図14図14は、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバと、RIS端末との動作のその他の例を説明する図である。
図15図15は、医療従事者データベースに記憶される現在被曝線量を更新する際のRISサーバと、RIS端末との動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る被曝リスク管理支援装置が利用されるシステムを示すブロック図である。図1に示されるシステムは、例えば、RIS(Radiology Information System)である。図1に示されるシステムは、RISサーバ10と、RIS端末20とをシステムを構成する要素の一部として具備する。なお、以下の説明では、被曝リスク管理支援装置が、RISサーバ10と、RIS端末20とにより実現される場合を例に説明するが、これに限定されない。被曝リスク管理支援装置は、一台の装置により実現されても構わない。
【0012】
RISサーバ10は、RISにおいて利用される、放射線検査業務に係る情報を管理する。例えば、RISサーバ10は、放射線科部門内における診療予約に関する情報、診断結果のレポートに関する情報、及び実績に関する情報等を管理する。
【0013】
RISサーバ10は、RIS端末20、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)を構成するHISサーバ、及び医用画像診断装置と、医療施設内の通信ネットワークであるLAN(Local Area Network)を介して接続する。なお、RISサーバ10は、LANに加え、又は、LANの代わりに、外部のネットワークを介してRIS端末20、HISサーバ、及び医用画像診断装置と接続しても構わない。
【0014】
RISサーバ10は、HISサーバから出力される患者情報、及び検査オーダ情報を受信する。患者情報には、患者ID、患者名、性別、身長、体重、年齢、血液型、及び要介護に関する情報等が含まれる。検査オーダ情報には、検査を識別可能なオーダ番号、患者ID、検査予定日時、検査種別、検査部位、及び依頼元情報等が含まれる。検査種別には、X線検査、CT(Computed Tomography)検査、MR(Magnetic Resonance)検査、及びRI(Radio Isotope)検査等が含まれる。検査部位には、ABDOMEN、BRAIN、及びCHEST等が含まれる。依頼元情報には、診療科名、及び担当医名等が含まれる。RISサーバ10は、検査オーダ情報に従って実施した検査に関する検査実施情報をHISサーバへ出力する。
【0015】
RISサーバ10は、所定の通信規格、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)を利用して医用画像診断装置と通信を行う。医用画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、及び超音波診断装置等を含む。RISサーバ10は、患者情報、及び検査オーダ情報を医用画像診断装置へ出力する。医用画像診断装置は、検査オーダ情報に従って検査を実施すると、検査実施情報をRISサーバ10へ出力する。
【0016】
図2は、本実施形態に係るRISサーバ10、及びRIS端末20の機能構成の例を示すブロック図である。図2に示されるRISサーバ10は、通信インタフェース回路11、記憶回路12、及び制御回路13を具備する。
【0017】
通信インタフェース回路11は、LANとの間で通信を実施する際のインタフェースである。通信インタフェース回路11は、例えば、通信ポート、及びルータ等により実現される。通信インタフェース回路11は、記憶回路12から読み出される情報を予め設定した方式に則って変換し、変換した情報をLANへ出力する。また、通信インタフェース回路11は、LANを介して情報を受信し、受信した情報を予め設定した方式に則って変換する。
【0018】
記憶回路12は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。記憶回路12は、放射線検査業務に係る情報、及び制御回路13が所定の機能を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0019】
記憶回路12には、医療従事者データベース121、予約データベース122、及び実績データベース123が構築される。医療従事者データベース121、予約データベース122、及び実績データベース123は、制御回路13が記憶回路12に記憶されるプログラムを実行することで管理される。
【0020】
医療従事者データベース121は、医療従事者が被曝する放射線量に関する情報が管理されるデータベースである。本実施形態において、医療従事者は、検査に職務上(資格、能力、及び勤務時間等)従事することが割り当てられる者を指し、例えば、医師、看護師、診療放射線技師、及び臨床検査技師等である。具体的には、医療従事者データベース121では、例えば、医療従事者を識別する識別情報(医療従事者ID)に、当該医療従事者の氏名、性別、生年月日、年齢、職種、所属科、及び線量測定器により実測された被曝線量等が関連付けられる。職種には、医師、看護師、診療放射線技師、及び臨床検査技師等が含まれる。線量測定器は、各医療従事者に常に携帯され、医療従事者が置かれる環境での放射線量を実測する。線量測定器は、所定の期間が経過する毎に回収される。回収に伴い、医療従事者に携帯されていた期間中に測定された放射線量は、RISへ報告される。
【0021】
予約データベース122は、診療予約に関する情報を管理するデータベースである。具体的には、予約データベース122では、例えば、検査を識別可能なオーダ番号に、患者情報、検査予定日時、検査種別、検査部位、手技、体位、撮影方向、依頼元情報、医用画像診断装置の機種名、及び検査に直接携わる医療従事者名等が関連付けられる。予約データベース122で管理される情報は、HISサーバから供給される患者情報、及び検査オーダ情報、並びに、検査オーダ情報を参照してRIS端末20から入力される情報に基づいて登録される。
【0022】
実績データベース123は、診断結果のレポートに関する情報を管理するデータベースである。具体的には、実績データベース123では、例えば、オーダ番号に、患者情報、検査施行日時、検査種別、検査部位、手技、体位、撮影方向、距離情報、依頼元情報、医用画像診断装置の機種名、医療従事者名、所見情報、及び診断情報等が関連付けられる。実績データベース123で管理される情報は、予約データベース122で管理される情報、及び検査を実施した後に、RIS端末20又は/及び医用画像診断装置から入力される情報に基づいて登録される。例えば、距離情報は、検査が終了した後、検査を実施した医療従事者により、検査中に医療従事者が位置した場所に応じた情報として入力される。
【0023】
また、記憶回路12は、医療従事者の被曝線量を算出するための各種マスタを予め記憶している。具体的には、記憶回路12は、例えば、検査被曝線量マスタ124、検査被曝線量補正値マスタ125、患者状態被曝線量補正値マスタ126、距離補正値マスタ127、及び医療従事者補正値マスタ128を予め記憶している。記憶回路12に記憶されているマスタは、RIS端末20からの要求に応じて読み出され、要求元のRIS端末20へ出力される。
【0024】
検査被曝線量マスタ124では、一秒間に職業被曝する放射線量と、検査に係る設定情報とが予め対応付けられる。検査に係る設定情報とは、例えば、検査種別、検査部位、医用画像診断装置の機種名等、属性が変更されることで医用画像診断装置から曝射される放射線量が変動する設定情報を表す。一秒間に職業被曝する放射線量は、経験的に推定される放射線量であり、検査種別、検査部位、医用画像診断装置の機種名等に基づいて予め設定される。検査被曝線量マスタ124は、例えば、検査種別、検査部位、医用画像診断装置の機種名、及び一秒間に職業被曝する放射線量をレコードとするテーブルであり、検査に係る設定情報、すなわち、検査種別、検査部位、医用画像診断装置の機種名等がキーとして用いられる。
【0025】
検査被曝線量補正値マスタ125では、職業被曝する放射線量の補正値と、特殊な手技、及び/又は特殊な薬剤等とが予め対応付けられる。特殊な手技は、職業被曝する放射線量に特徴がある手技を表す。特殊な薬剤は、放射線を発する薬剤を表す。特殊な手技、及び特殊な薬剤の組としては、例えば、「心筋血流イメージング」と、「Tc−99m MIBI」、又は「Tc−99m tetrofosmin」との組が挙げられる。「心筋血流イメージング」はRI(Radio Isotope)検査において実施される手技である。「Tc−99m MIBI」、及び「Tc−99m tetrofosmin」は、心筋血流イメージングで利用される、放射線量の高い薬剤である。また、特殊な手技としては、例えば、「人工股関節全置換術」、及び「パノラマ法」が挙げられる。「人工股関節全置換術」は、CT検査において実施される手技である。「人工股関節全置換術」は、患者の体格に応じ、医療従事者が職業被曝する放射線量が約2倍増減するという特徴がある。「パノラマ法」は、歯科撮影で用いられる手技である。「パノラマ法」は、医療従事者が職業被曝する放射線量が低いという特徴がある。特殊な薬剤としては、例えば、「18F−FDG」が挙げられる。「18F−FDG」は、PET(Positron-Emission Tomography)検査で用いられる薬剤である。PET検査は、患者にとっては被曝する放射線量の低い検査であるが、医療従事者にとっては職業被曝する放射線量が高くなる可能性がある検査である。職業被曝する放射線量の補正値は、一秒間に職業被曝する放射線量に対する補正値であり、例えば、倍率等により表される。検査被曝線量補正値マスタ125は、例えば、特殊な手技、特殊な薬剤、及び補正値をレコードとするテーブルであり、特殊な手技、及び特殊な薬剤等がキーとして用いられる。例えば、依頼された検査において特殊な手技、及び/又は、特殊な薬剤が使用される場合、一秒間に職業被曝する放射線量が、補正値により設定される割合だけ増加される。
【0026】
患者状態被曝線量補正値マスタ126では、職業被曝する放射線量の補正値と、患者の状態とが予め対応付けられる。患者の状態は、放射線量の増減が発生し得る患者の状態を表し、例えば、年齢、身長、体重、及び要介護に関する情報等が含まれる。患者状態被曝線量補正値マスタ126は、例えば、年齢、身長、体重、要介護に関する情報、及び補正値をレコードとするテーブルであり、年齢、身長、体重、及び要介護に関する情報等がキーとして用いられる。例えば、検査を依頼された患者が大柄であり、放射線量を増加させる必要がある場合には、一秒間に職業被曝する放射線量が、補正値により設定される割合だけ増加される。また、検査を依頼された患者が小児であり、放射線量を抑える必要がある場合には、一秒間に職業被曝する放射線量が、補正値により設定される割合だけ低減される。
【0027】
距離補正値マスタ127では、職業被曝する放射線量の補正値と、検査中に医療従事者が位置する場所とが予め対応付けられる。検査中に医療従事者が位置する場所は、放射線の発生源と医療従事者との位置関係を表す。検査中に医療従事者が位置する場所には、例えば、使用する検査室、検査室の内側か外側か、及び医用画像診断装置からの距離等を含む。距離補正値マスタ127は、例えば、使用する検査室、検査室の内側か外側か、医用画像診断装置からの距離、及び補正値をレコードとするテーブルであり、使用する検査室、検査室の内側か外側か、及び医用画像診断装置からの距離等がキーとして用いられる。例えば、依頼された検査中において、医療従事者が医用画像診断装置から離れた位置にいる場合、一秒間に職業被曝する放射線量が、補正値により設定される割合だけ低減される。
【0028】
医療従事者補正値マスタ128では、職業被曝する放射線量の補正値と、線量測定器により実測される放射線量に基づく値とが予め対応付けられる。線量測定器により実測される放射線量に基づく値には、例えば、直近nヶ月の間に実測された放射線量を平均した平均被曝放射線量が含まれる。医療従事者補正値マスタ128は、例えば、平均被曝放射線量の最小値、平均被曝放射線量の最大値、及び補正値をレコードとするテーブルであり、平均被曝放射線量がキーとして用いられる。
【0029】
また、記憶回路12は、医用画像診断装置から入力される患者情報被曝線量補正値を記憶している。患者情報被曝線量補正値は、例えば、医用画像診断装置に予め記憶される特殊処置マスタにおいて、所定の処置と対応付けられている。検査において、患者を手動で固定する等の特殊な処置が必要になった場合、検査を実施した医療従事者は、検査終了時に、実施した処置を特殊処置マスタから選択する。特殊処置マスタから処置が選択されると、選択された処置と対応する補正値が特殊処置マスタから読み出される。読み出された補正値は、患者情報被曝線量補正値として、RISサーバ10へ出力される。患者情報被曝線量補正値は、患者を識別可能な情報、例えば、患者IDと関連付けられて記憶される。
【0030】
制御回路13は、RISサーバ10の中枢として機能するプロセッサである。制御回路13は、記憶回路12に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。
【0031】
図2に示されるRIS端末20は、入力インタフェース回路21、表示回路22、通信インタフェース回路23、記憶回路24、及び制御回路25を具備する。
【0032】
入力インタフェース回路21は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路21は、操作者からの各種指示を受け付ける。入力インタフェース回路21は、例えばバスを介して制御回路25に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路25へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路21はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、RIS端末20とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路25へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路21の例に含まれる。
【0033】
表示回路22は、例えば、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。表示機器は、表示インタフェース回路で変換されたビデオ信号を表示する。
【0034】
通信インタフェース回路23は、LANとの間で通信を実施する際のインタフェースである。通信インタフェース回路23は、例えば、通信ポート、及びルータ等により実現される。通信インタフェース回路23は、記憶回路24から読み出される情報を予め設定した方式に則って変換し、変換した情報をLANへ出力する。また、通信インタフェース回路23は、LANを介して情報を受信し、受信した情報を予め設定した方式に則って変換する。
【0035】
記憶回路24、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。記憶回路24は、RISサーバ10から出力される情報、及び制御回路25が所定の機能を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0036】
制御回路25は、RIS端末20の中枢として機能するプロセッサである。制御回路25は、記憶回路24に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路25は、被曝線量算出機能251、被曝線量予測機能252、判定機能253、及び登録機能254を有する。
【0037】
被曝線量算出機能251は、検査オーダ情報により依頼される検査において、医療従事者が職業被曝する放射線量を、マスタ124〜128から読み出される値に基づいて算出する機能である。
【0038】
被曝線量予測機能252は、被曝線量算出機能251により算出された放射線量に基づき、将来に被曝すると予測される放射線量を算出する機能である。
【0039】
判定機能253は、被曝線量予測機能252により予測された放射線量が、線量限度以上となるか否かを判断する機能である。線量限度は、例えば、5年間で100mSv、1年間で50mSvと設定されている。また、女性については、3ヶ月間での線量限度が5mSvとも設定されている。さらに、妊娠中の女性については、妊娠の事実を知ったときから出産までの間、内部被曝が1mSv未満となるように設定されている。なお、判定機能253は、予測された放射線量に所定の幅を持たせて線量限度と比較するようにしても構わない。
【0040】
登録機能254は、RISサーバ10で管理される医療従事者データベース121、及び予約データベース122に対し、情報を登録する機能である。
【0041】
なお、上記では、被曝線量算出機能251、被曝線量予測機能252、判定機能253、及び登録機能254を、本実施形態に係る処理プログラムを構成するモジュールであるとした。しかしながら、これに限定されない。例えば、制御回路25は、被曝線量算出機能251を実現する専用のハードウェア回路、被曝線量予測機能252を実現する専用のハードウェア回路、判定機能253を実現する専用のハードウェア回路、及び登録機能254を実現する専用のハードウェア回路を有してもよい。また、制御回路25は、これらの専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。
【0042】
次に、以上のように構成されるRISにおいて、依頼された検査に医療従事者が割り当てられる際の処理について説明する。なお、以下の説明では、RISサーバ10の記憶回路12に記憶される検査被曝線量マスタ124は、図3に示されるテーブルで表され、検査被曝線量補正値マスタ125は、図4に示されるテーブルで表され、患者状態被曝線量補正値マスタ126は、図5に示されるテーブルで表され、距離補正値マスタ127は、図6に示されるテーブルで表され、医療従事者補正値マスタ128は、図7に示されるテーブルで表されるものとする。なお、図4で示される「−」は、設定がないことを表す。また、医療従事者は、被曝する放射線の放射線量を測定する線量測定器を常に携帯するものとする。線量測定器は、所定の期間が経過する毎、例えば、1ヶ月毎に回収される。回収に伴い、医療従事者に携帯されていた期間中に測定された放射線量は、RISへ報告される。
【0043】
図8は、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバ10と、RIS端末20との動作の例を説明する図である。
【0044】
図8において、まず、HISサーバから検査オーダ情報、及び患者情報が供給される(ステップS81)。RISサーバ10は、受信した検査オーダ情報、及び患者情報をRIS端末20へ出力する(ステップS82)。
【0045】
RIS端末20は、受信した検査オーダ情報、及び患者情報に基づき、操作者が検査予約に関する必要情報を入力可能な画面を表示回路22に表示する(ステップS83)。操作者は、表示回路22に表示される画面を参照し、入力インタフェース回路21を介して必要情報を入力する(ステップS84)。操作者により入力される必要情報には、例えば、検査で実施される手技、検査時の体位、撮影方向、医用画像診断装置の機種名、及び検査に直接携わる医療従事者名等が含まれる。なお、手技、体位、機種名、及び撮影方向、医用画像診断装置の機種名等は、HISサーバから供給される検査オーダ情報と、過去の検査実績等とに基づき、RISサーバ10で、予約データベース122に自動的に登録されてもよい。
【0046】
RIS端末20の制御回路25は、操作者により必要情報が入力されることで、医療従事者が選択されると、被曝線量算出機能251を実行する。被曝線量算出機能251が実行されると、制御回路25は、マスタ124〜128、患者情報被曝線量補正値、選択された医療従事者に関する情報、及び選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報を、RISサーバ10に対して要求する(ステップS85)。要求信号には、例えば、患者ID、及び医療従事者ID等が含まれる。
【0047】
RISサーバ10は、RIS端末20からの要求を受けると、記憶回路12からマスタ124〜128を読み出す。また、RISサーバ10は、例えば、患者IDをキーとして記憶回路12から患者情報被曝線量補正値を読み出す。また、RISサーバ10は、医療従事者IDをキーとして医療従事者データベース121から、選択された医療従事者に関する情報を読み出す。また、RISサーバ10は、医療従事者IDをキーとして実績データベース123から、選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報を読み出す。RISサーバ10は、読み出したマスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、選択された医療従事者に関する情報、及び選択された医療従事者が過去に携わった検査に関する情報を、RIS端末20へ出力する(ステップS86)。
【0048】
RIS端末20の制御回路25は、マスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、選択された医療従事者に関する情報、及び選択された医療従事者が過去に携わった検査に関する情報を受信すると、依頼された検査により職業被曝する放射線量を算出する(ステップS87)。
【0049】
具体的には、制御回路25は、検査オーダ情報、及び入力された必要情報に含まれる、検査に係る設定情報、例えば、検査種別、検査部位、及び機種名等をキーとして、検査被曝線量マスタ124から「一秒間に職業被曝する放射線量」を読み出す。図3に示される検査被曝線量マスタ124によれば、例えば、検査種別:CT検査、検査部位:CHEST、機種名:…である場合、「一秒間に職業被曝する放射線量」は、「x」と読み出される。
【0050】
「一秒間に職業被曝する放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、検査オーダ情報、及び入力された必要情報に含まれる、手技、及び薬剤等をキーとして、検査被曝線量補正値マスタ125から「検査被曝線量補正値」を読み出す。
【0051】
また、「一秒間に職業被曝する放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、患者情報に含まれる患者の状態、例えば、年齢、身長、体重、及び要介護に関する情報等をキーとして、患者状態被曝線量補正値マスタ126から「患者状態被曝線量補正値」を読み出す。
【0052】
続いて、制御回路25は、「検査被曝線量補正値」、「患者状態被曝線量補正値」、及び「患者情報被曝線量補正値」を比較する。制御回路25は、3つの補正値のうち、最大の補正値を採用する。例えば、図4に示されるように、「検査被曝線量補正値」が「1.2」であり、図5で示されるように、「患者状態被曝線量補正値」が「2」であり、かつ、「患者情報被曝線量補正値」が「1.5」である場合、制御回路25は、「2」である「患者状態被曝線量補正値」を採用する。
【0053】
検査を実施する前の状態では、検査実施時の正確な距離情報は入力されていない。そこで、距離補正値は、デフォルト値を利用して設定される。具体的には、制御回路25は、距離に関する補正値として、距離補正値マスタ127に記憶されている補正値のうち最大の補正値である「1」を、距離補正値として設定する。
【0054】
また、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる放射線量の実測値に基づき、直近nヶ月の平均被曝放射線量を算出する。制御回路25は、平均被曝線量をキーとして、医療従事者補正値マスタ128から「医療従事者補正値」を読み出す。図7に示される医療従事者補正値マスタ128によれば、例えば、平均被曝線量が「0.04μSv」である場合、「医療従事者補正値」は、「3」と読み出される。
【0055】
制御回路25は、以下の式を用い、検査被曝線量マスタ124から読み出した、「一秒間に職業被曝する放射線量」を補正する。
【0056】
「補正した一秒間に職業被曝する放射線量」=「一秒間に職業被曝する放射線量」×「最大の補正値」×「1」×「医療従事者補正値」
制御回路25は、検査の開始時刻と終了時刻とから、検査にかかる時間である検査時間を算出する。制御回路25は、以下の式を用い、補正した放射線量に、検査時間を乗算することで、検査において医療従事者が職業被曝する放射線量を算出する。
【0057】
「検査による職業被曝の放射線量」=「補正した一秒間に職業被曝する放射線量」×「検査時間」
「検査による職業被曝の放射線量」を算出すると、制御回路25は、線量測定器により放射線が測定された直近の期間が明けてから当該検査の前までに、選択された医療従事者が携わった過去の検査による職業被曝の放射線量を算出する(ステップS88)。
【0058】
具体的には、制御回路25は、選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報に含まれる、検査に係る設定情報をキーとして、検査被曝線量マスタ124から「一秒間に職業被曝した放射線量」を読み出す。
【0059】
「一秒間に職業被曝した放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報に含まれる、手技、及び薬剤等をキーとして、検査被曝線量補正値マスタ125から「検査被曝線量補正値」を読み出す。また、「一秒間に職業被曝した放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報に含まれる患者の状態をキーとして、患者状態被曝線量補正値マスタ126から「患者状態被曝線量補正値」を読み出す。制御回路25は、「検査被曝線量補正値」、「患者状態被曝線量補正値」、及び「患者情報被曝線量補正値」から、最大の補正値を採用する。
【0060】
また、制御回路25は、選択された医療従事者が携わった過去の検査に関する情報に含まれる、検査中に医療従事者が位置する場所についての情報、例えば、使用する検査室、検査室の内外、及び医用画像診断装置からの距離等をキーとして、距離補正値マスタ127から「距離補正値」を読み出す。図6に示される距離補正値マスタ127によれば、例えば、検査を実施した検査室が「検査室1」であり、医療従事者が検査室の「内」側に存在し、医用画像診断装置からの距離が「3m」であった場合、距離補正値は、「0.5」と読み出される。
【0061】
また、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる放射線量の実測値に基づき、直近nヶ月の平均被曝放射線量を算出する。制御回路25は、平均被曝線量をキーとして、医療従事者補正値マスタ128から「医療従事者補正値」を読み出す。
【0062】
制御回路25は、以下の式を用い、検査被曝線量マスタ124から読み出した、「一秒間に職業被曝した放射線量」を補正する。
【0063】
「補正した一秒間に職業被曝する放射線量」=「一秒間に職業被曝した放射線量」×「最大の補正値」×「距離補正値」×「医療従事者補正値」
制御回路25は、検査の開始時刻と終了時刻とから検査時間を算出する。制御回路25は、補正した放射線量に、検査時間を乗算することで、過去の検査において医療従事者が職業被曝した放射線量を算出する。
【0064】
「過去の検査による職業被曝の放射線量」=「補正した一秒間に職業被曝した放射線量」×「検査時間」
「検査による職業被曝の放射線量」と、「過去の検査による職業被曝の放射線量」とが算出されると、制御回路25は、被曝線量予測機能252を実行する。被曝線量予測機能252が実行されると、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる、実測された被曝線量に、「検査による職業被曝の放射線量」と、「過去の検査による職業被曝の放射線量」とを足し合わせ、累積加算の開始日から、現検査までの累積被曝線量を算出する。制御回路25は、算出した累積被曝線量を、開始日からの日数で割り、一日当たりの平均被曝線量を算出する。
【0065】
そして、制御回路25は、開始日から予め設定された期間の累積被曝線量を、平均被曝線量に基づいて算出する(ステップS89)。開始日をY年M月D日とし、予め設定された期間経過後の日付をY年M月D日とすると、Y年M月D日での累積被曝線量は、以下の式を用いて算出される。
【0066】
「開始日からY年M月D日までの累積被曝線量」=「現検査までの累積被曝線量」+「一日当たりの平均被曝線量」×(Y年M月D日−Y年M月D日)
「開始日からY年M月D日までの累積被曝線量」が算出されると、制御回路25は、判定機能253を実行する。判定機能253が実行されると、制御回路25は、算出した「開始日からY年M月D日までの累積被曝線量」が、法律で定められる線量限度以上となるか否かを判断する(ステップS810)。算出した「開始日からY年M月D日までの累積被曝線量」が、上記の規則に基づいて設定される線量限度以上となる場合(ステップS810のYes)、例えば、図9に示されるように、開始日から5年後の累積被曝線量が100mSv以上となる場合、制御回路25は、選択された医療従事者の被曝線量が線量限度以上となる可能性がある旨を、例えば、図10に示されるように表示回路22に表示させる(ステップS811)。算出した「開始日からY年M月D日までの累積被曝線量」が線量限度未満となる場合(ステップS810のNo)、制御回路25は、処理をステップS813へ移行する。
【0067】
ステップS811に続き、制御回路25は、累積被曝線量が線量限度以上となる医療従事者に対して選択を確定させる旨の入力があったか否かを判断する(ステップS812)。選択を確定させる旨の入力があった場合(ステップS812のYes)、制御回路25は、必要情報の入力を終了させる(ステップS813)。累積被曝線量が線量限度以上となる医療従事者に対する選択をキャンセルする旨の入力があった場合(ステップS812のNo)、制御回路25は、異なる医療従事者の選択を受け付け(ステップS814)、ステップS85からステップS812の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS813において必要情報の入力を終了させると、制御回路25は、登録機能254を実行し、入力された必要情報を登録する指示をRISサーバ10へ出力する(ステップS815)。
【0069】
RISサーバ10は、RIS端末20から登録指示を受けると、RIS端末20で入力された必要情報を予約データベース122に登録する(ステップS816)。
【0070】
なお、依頼された検査に医療従事者を割り当てる際のRISサーバ10と、RIS端末20との動作は、図8に限定されない。例えば、RISサーバ10、及びRIS端末20は、選択可能な候補者を操作者に提示するようにしても構わない。図11は、依頼された検査について選択可能な候補者を操作者に提示する際の、RISサーバ10、及びRIS端末20の動作を説明する図である。
【0071】
図11において、RIS端末20の制御回路25は、ステップS84で、操作者から必要情報が入力されると、被曝線量算出機能251を実行する。被曝線量算出機能251が実行されると、制御回路25は、マスタ124〜128、患者情報被曝線量補正値、医療従事者に関する情報、及び過去の検査に関する情報を、RISサーバ10に対して要求する(ステップS111)。
【0072】
RISサーバ10は、RIS端末20からの要求を受けると、記憶回路12からマスタ124〜128を読み出す。また、RISサーバ10は、例えば、患者IDをキーとして記憶回路12から患者情報被曝線量補正値を読み出す。また、RISサーバ10は、医療従事者データベース121から、医療従事者に関する情報を読み出す。また、RISサーバ10は、実績データベース123から、過去の検査に関する情報を読み出す。RISサーバ10は、読み出したマスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、医療従事者に関する情報、及び過去の検査に関する情報を、RIS端末20へ出力する(ステップS112)。
【0073】
RIS端末20の制御回路25は、マスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、医療従事者に関する情報、及び過去の検査に関する情報を受信すると、依頼された検査により職業被曝する放射線量を、登録される全ての医療従事者について算出する(ステップS113)。なお、具体的な算出方法は、図8で説明した方法と同様である。
【0074】
「検査による職業被曝の放射線量」を算出すると、制御回路25は、線量測定器により放射線が測定された直近の期間が明けてから当該検査の前までに、各医療従事者が携わった過去の検査による職業被曝の放射線量を算出する(ステップS114)。なお、具体的な算出方法は、図8で説明した方法と同様である。
【0075】
「検査による職業被曝の放射線量」と、「過去の検査による職業被曝の放射線量」とが算出されると、制御回路25は、被曝線量予測機能252を実行する。被曝線量予測機能252が実行されると、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる、実測された被曝線量に、「検査による職業被曝の放射線量」と、「過去の検査による職業被曝の放射線量」とを足し合わせ、累積加算の開始日から、現検査までの累積被曝線量を算出する。制御回路25は、算出した累積被曝線量を、開始日からの日数で割り、一日当たりの平均被曝線量を算出する。そして、制御回路25は、開始日から予め設定された期間の累積被曝線量を、平均被曝線量に基づいて算出する(ステップS115)。
【0076】
開始日から予め設定された期間の累積被曝線量が算出されると、制御回路25は、判定機能253を実行する。判定機能253が実行されると、制御回路25は、各医療従事者について算出された累積被曝線量が、法律で定められる線量限度以上となるか否かを判断する。制御回路25は、算出された累積被曝線量が線量限度未満となる医療従事者を選択候補者に設定する(ステップS116)。
【0077】
制御回路25は、選択候補者を、操作者が選択可能な画面を表示回路22に表示させる(ステップS117)。このとき、制御回路25は、累積被曝線量が少ない医療従事者を優先的に表示するようにしてもよい。優先的な表示には、例えば、累積被曝線量が少ない医療従事者を視認可能な字体で表示すること、及び累積被曝線量が少ない医療従事者から順に表示すること等がある。図12は、表示回路22に表示される選択候補者の表示例を示す模式図である。図12では、医療従事者の氏名と共に、職種を表示する場合を例に示している。
【0078】
操作者は、表示回路22に表示される画面を参照し、入力インタフェース回路21を介して必要情報を入力する(ステップS118)。
【0079】
制御回路25は、操作者による必要情報の入力が完了すると、必要情報の入力を終了させる(ステップS119)。必要情報の入力を終了させると、制御回路25は、登録機能254を実行し、入力された必要情報を登録する指示をRISサーバ10へ出力する(ステップS1110)。
【0080】
RISサーバ10は、RIS端末20から登録指示を受けると、RIS端末20で入力された必要情報を予約データベース122に登録する(ステップS1111)。
【0081】
なお、図8では、選択した医療従事者の累積被曝線量が線量限度以上となる場合、選択した医療従事者に対して警告表示を発する例を説明し、図11では、累積被曝線量が線量限度未満となる医療従事者を選択候補者として設定する例を説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路25の判定機能253は、累積被曝線量が線量限度以上となる医療従事者に対して警告表示を発した後、又は警告表示を発すると共に、累積被曝線量が線量限度未満となる医療従事者を選択候補者として設定して表示するようにしても構わない。
【0082】
また、図8、及び図11では、ステップS89、及びステップS115において、開始日から予め設定された期間後の累積被曝線量を算出する例を説明した。しかしながら、これに限定されない。RIS端末20の制御回路25は、被曝線量予測機能252を実行し、一日当たりの最大被曝線量を算出してもよい。
【0083】
具体的には、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる、実測された被曝線量に、「検査による職業被曝の放射線量」と、「過去の検査による職業被曝の放射線量」とを足し合わせ、累積加算の開始日から、現検査までの累積被曝線量を算出する。制御回路25は、医療従事者の線量限度から、算出した累積被曝線量を減算し、開始日から予め設定された期間までに被曝可能な可能被曝線量を算出する。
【0084】
そして、制御回路25は、一日当たりの最大被曝量を、可能被曝線量に基づいて算出する。予め設定された期間経過後の日付をY年M月D日とし、現在の日付をY年M月D日とすると、現在の一日当たりの最大被曝線量は、以下の式を用いて算出される。
【0085】
「現在の一日当たりの最大被曝線量」=「可能被曝線量」/(Y年M月D日−Y年M月D日)
「現在の一日当たりの最大被曝線量」が算出されると、制御回路25は、判定機能253を実行する。判定機能253が実行されると、制御回路25は、ステップS810において、過去の検査に関する情報を参照し、依頼日当日において、選択された医療従事者の一日分の被曝線量が、算出した「現在の一日当たりの最大被曝線量」以上となるか否かを判断する。
【0086】
また、制御回路25は、ステップS116において、過去の検査に関する情報を参照し、依頼日当日において、一日分の被曝線量が、算出した「現在の一日当たりの最大被曝線量」未満である医療従事者を選択候補者に設定する。
【0087】
なお、制御回路25の判定機能253は、一日分の被曝線量が最大被曝線量以上となる医療従事者に対して警告表示を発した後、又は警告表示を発すると共に、一日分の被曝線量が最大被曝線量未満となる医療従事者を選択候補者として設定して表示するようにしても構わない。
【0088】
以上のように、本実施形態において、RISサーバ10と、RIS端末20とからなる被曝リスク管理支援装置は、依頼される検査に関する検査オーダ情報に基づき、検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出するようにしている。これにより、放射線診療の検査予約時に、検査により医療従事者が職業被曝する放射線量が算出されることになる。
【0089】
したがって、本実施形態に係る被曝リスク管理支援装置によれば、放射線診療の検査予約時に医療従事者の現状の被曝線量を把握することができる。
【0090】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、検査に係る設定情報に基づいて取得される被曝量に、検査で用いられる手技、及び/又は薬剤に関する補正、患者の状態に関する補正、若しくは患者への特殊な処置に関する補正をかけることで、依頼された検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出するようにしている。これにより、算出する放射線量の精度が向上することになる。
【0091】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、検査に係る設定情報に基づいて取得される被曝量に、線量測定器により過去に実測された放射線量に応じた補正をかけることで、依頼された検査により医療従事者が職業被曝する放射線量を算出するようにしている。これにより、算出する放射線量の精度が向上することになる。
【0092】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、検査に係る設定情報に基づいて取得される被曝量に、検査の際に医療従事者が位置していた場所に応じた補正をかけることで、実施した検査により医療従事者が職業被曝した放射線量を算出するようにしている。これにより、算出する放射線量の精度が向上することになる。
【0093】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、算出した検査毎の職業被曝線量に基づき、医療従事者が所定期間において被曝する放射線量の累積値、すなわち、累積被曝線量を算出する。そして、被曝リスク管理支援装置は、算出した累積被曝線量が線量限度以上となる場合、その医療従事者が検査に従事することに対して警告を発するようにしている。これにより、放射線診療の検査予約時に、被曝線量の多い医療従事者を検査に従事させることを避けることが可能となる。また、医療施設に勤務する医療従事者が検査を実施することにより職業被曝する放射線量を、平坦化することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、算出した検査毎の職業被曝線量に基づき、医療従事者が一日に被曝可能な最大被曝量を算出する。そして、被曝リスク管理支援装置は、従事する検査により被曝する線量、及び従事する予定の検査により被曝する線量の一日分の累積が、算出した最大被曝量以上となる場合、その医療従事者が検査に従事することに対して警告を発するようにしている。これにより、放射線診療の検査予約時に、被曝線量の多い医療従事者を検査に従事させることを避けることが可能となる。また、医療施設に勤務する医療従事者が検査を実施することにより職業被曝する放射線量を、平坦化することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、累積被曝線量、又は一日に被曝可能な最大被曝量を算出する際に、線量測定器により実測された放射線量を利用するようにしている。これにより、算出する累積被曝線量、又は一日に被曝可能な最大被曝量の精度が向上することになる。
【0096】
また、本実施形態では、被曝リスク管理支援装置は、累積被曝線量、又は一日に被曝可能な最大被曝量に基づき、検査に従事することが可能な候補者を設定する。そして、被曝リスク管理支援装置は、設定した候補者を表示回路22に表示するようにしている。これにより、操作者は、被曝線量の低い者のうちから、検査に従事可能な者を選択することが可能となる。
【0097】
なお、上記実施形態では、医療従事者データベース121では、医療従事者IDに、当該医療従事者の氏名、性別、生年月日、年齢、職種、所属科、及び線量測定器により実測された被曝線量等が関連付けられる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。医療従事者データベース121では、医療従事者IDに、これらの情報に加え、現在被曝線量等が関連付けられても構わない。本実施形態において、現在被曝線量は、累積加算の開始日から直近の報告までの間に実測された放射線量の和と、直近の報告から検査依頼前までにRIS端末20によって算出される放射線量との和により算出されるものとする。図13は、医療従事者データベース121に現在被曝線量が含まれている場合の、RISサーバ10と、RIS端末20との動作の例を説明する図である。
【0098】
図13において、RIS端末20の制御回路25は、操作者により必要情報が入力されることで、医療従事者が選択されると、被曝線量算出機能251を実行する。被曝線量算出機能251が実行されると、制御回路25は、マスタ124〜128、患者情報被曝線量補正値、及び選択された医療従事者に関する情報をRISサーバ10に対して要求する(ステップS131)。
【0099】
RIS端末20の制御回路25は、マスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、及び選択された医療従事者に関する情報をRISサーバ10から受信すると(ステップS132)、依頼された検査により職業被曝する放射線量を算出する(ステップS133)。
【0100】
「検査による職業被曝の放射線量」を算出すると、制御回路25は、被曝線量予測機能252を実行する。被曝線量予測機能252が実行されると、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる現在被曝線量に、「検査による職業被曝の放射線量」を足し合わせ、累積加算の開始日から、現検査までの累積被曝線量を算出する。制御回路25は、算出した累積被曝線量を、開始日からの日数で割り、一日当たりの平均被曝線量を算出する。制御回路25は、開始日から予め設定された期間の累積被曝線量を、平均被曝線量に基づいて算出する(ステップS134)。
【0101】
開始日から予め設定された期間の累積被曝線量が算出されると、制御回路25は、判定機能253を実行する。判定機能253が実行されると、制御回路25は、算出した累積被曝線量が、法律で定められる線量限度以上となるか否かを判断する(ステップS135)。
【0102】
また、RISサーバ10、及びRIS端末20は、選択可能な候補者を操作者に提示するようにしても構わない。図14は、依頼された検査について選択可能な候補者を操作者に提示する際の、RISサーバ10、及びRIS端末20の動作を説明する図である。
【0103】
図14において、RIS端末20の制御回路25は、操作者により必要情報が入力されると、被曝線量算出機能251を実行する。被曝線量算出機能251が実行されると、制御回路25は、マスタ124〜128、患者情報被曝線量補正値、及び医療従事者に関する情報をRISサーバ10に対して要求する(ステップS141)。
【0104】
RIS端末20の制御回路25は、マスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、及び医療従事者に関する情報をRISサーバ10から受信すると(ステップS142)、依頼された検査により職業被曝する放射線量を、登録される全ての医療従事者について算出する(ステップS143)。
【0105】
「検査による職業被曝の放射線量」を算出すると、制御回路25は、被曝線量予測機能252を実行する。被曝線量予測機能252が実行されると、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる現在被曝線量に、「検査による職業被曝の放射線量」を足し合わせ、累積加算の開始日から、現検査までの累積被曝線量を算出する。制御回路25は、算出した累積被曝線量を、開始日からの日数で割り、一日当たりの平均被曝線量を算出する。制御回路25は、開始日から予め設定された期間の累積被曝線量を、平均被曝線量に基づいて算出する(ステップS144)。開始日から予め設定された期間の累積被曝線量が算出されると、制御回路25は、判定機能253を実行する。判定機能253が実行されると、制御回路25は、開始日から所定期間の累積被曝線量が線量限度未満となる医療従事者を選択候補者に設定する(ステップS145)。
【0106】
そして、制御回路25は、選択候補者を、操作者が選択可能な画面を表示回路22に表示させる(ステップS146)。
【0107】
医療従事者データベース121に記憶される現在被曝線量は、検査終了時に入力される距離情報を利用して、例えば、検査が終了する毎に更新される。図15は、医療従事者データベース121に記憶される現在被曝線量を更新する際のRISサーバ10と、RIS端末20との動作の例を説明する図である。
【0108】
図15において、まず、RISサーバ10は、検査が終了した医用画像診断装置から、検査実施情報を受信する(ステップS151)。RISサーバ10は、受信した検査実施情報をRIS端末20へ出力する(ステップS152)。
【0109】
RIS端末20は、受信した検査実施情報に基づき、操作者が検査実績に関する必要情報を入力可能な画面を表示回路22に表示する(ステップS153)。操作者は、表示回路22に表示される画面を参照し、入力インタフェース回路21を介し、検査中に医療従事者が位置した場所に応じた情報を、距離情報として入力する(ステップS154)。
【0110】
RIS端末20の制御回路25は、操作者により距離情報が入力されると、被曝線量算出機能251を実行する。被曝線量算出機能251が実行されると、制御回路25は、マスタ124〜128、患者情報被曝線量補正値、検査を実施した医療従事者に関する情報、及び実施した検査に関する情報を、RISサーバ10に対して要求する(ステップS155)。
【0111】
RISサーバ10は、RIS端末20からの要求を受けると、記憶回路12からマスタ124〜128を読み出す。また、RISサーバ10は、例えば、患者IDをキーとして記憶回路12から患者情報被曝線量補正値を読み出す。また、RISサーバ10は、医療従事者IDをキーとして医療従事者データベース121から、検査を実施した医療従事者に関する情報を読み出す。また、RISサーバ10は、オーダ番号をキーとして実績データベース123から、実施した検査に関する情報を読み出す。RISサーバ10は、読み出したマスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、検査を実施した医療従事者に関する情報、及び実施した検査に関する情報を、RIS端末20へ出力する(ステップS156)。
【0112】
RIS端末20の制御回路25は、マスタ124〜128の情報、患者情報被曝線量補正値、検査を実施した医療従事者に関する情報、及び実施した検査に関する情報を受信すると、実施した検査により職業被曝する放射線量を算出する(ステップS157)。
【0113】
具体的には、制御回路25は、実施した検査に関する情報に含まれる、検査に係る設定情報をキーとして、検査被曝線量マスタ124から「一秒間に職業被曝した放射線量」を読み出す。
【0114】
「一秒間に職業被曝した放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、実施した検査に関する情報に含まれる手技、及び薬剤等をキーとして、検査被曝線量補正値マスタ125から「検査被曝線量補正値」を読み出す。また、「一秒間に職業被曝した放射線量」が検査被曝線量マスタ124から読み出されると、制御回路25は、実施した検査に関する情報に含まれる患者の状態をキーとして、患者状態被曝線量補正値マスタ126から「患者状態被曝線量補正値」を読み出す。制御回路25は、「検査被曝線量補正値」、「患者状態被曝線量補正値」、及び「患者情報被曝線量補正値」から、最大の補正値を採用する。
【0115】
検査を実施した医療従事者は、ステップS154で入力される距離情報をキーとして、距離補正値マスタ127から「距離補正値」を読み出す。
【0116】
また、制御回路25は、医療従事者に関する情報に含まれる放射線量の実測値に基づき、直近nヶ月の平均被曝放射線量を算出する。制御回路25は、平均被曝線量をキーとして、医療従事者補正値マスタ128から「医療従事者補正値」を読み出す。
【0117】
制御回路25は、以下の式を用い、検査被曝線量マスタ124から読み出した、「一秒間に職業被曝した放射線量」を補正する。
【0118】
「補正した一秒間に職業被曝する放射線量」=「一秒間に職業被曝した放射線量」×「最大の補正値」×「距離補正値」×「医療従事者補正値」
制御回路25は、検査の開始時刻と終了時刻とから検査時間を算出する。制御回路25は、以下の式を用い、補正した放射線量に、検査時間を乗算することで、実施した検査において医療従事者が職業被曝した放射線量を算出する。
【0119】
「実施した検査による職業被曝の放射線量」=「補正した一秒間に職業被曝した放射線量」×「検査時間」
制御回路25は、「実施した検査による職業被曝の放射線量」を算出すると、医療従事者に関する情報に含まれる累積被曝線量に、算出した「実施した検査による職業被曝の放射線量」を加算し、実施した検査による被曝線量を含んだ累積被曝線量を算出する(ステップS158)。累積被曝線量を算出すると、制御回路25は、登録機能254を実行し、算出した累積被曝線量を登録する指示をRISサーバ10へ出力する(ステップS159)。
【0120】
RISサーバ10は、RIS端末20から登録指示を受けると、RIS端末20で算出された累積被曝線量を医療従事者データベース121に登録する(ステップS1510)。
【0121】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0122】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0123】
10…RISサーバ、11…通信インタフェース回路、12…記憶回路、121…医療従事者データベース、122…予約データベース、123…実績データベース、124…検査被曝線量マスタ、125…検査被曝線量補正値マスタ、126…患者状態被曝線量補正値マスタ、127…距離補正値マスタ、128…医療従事者補正値マスタ、13…制御回路、20…RIS端末、21…入力インタフェース回路、22…表示回路、23…通信インタフェース回路、24…記憶回路、25…制御回路、251…被曝線量算出機能、252…被曝線量予測機能、253…判定機能、254…登録機能。
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