【実施例1】
【0014】
図1は、角形二次電池100の外観斜視図である。
【0015】
角形二次電池100は、電池缶1および蓋(電池蓋)6を備える。電池缶1は、相対的に面積の大きい一対の対向する幅広面と相対的に面積の小さい一対の対向する幅狭面とを有する側面と底面を有し、その上方に開口部1a
(図2)を有する。
【0016】
電池缶1内には、捲回群3
(図2)が収納され、電池缶1の開口部1aが電池蓋6によって封止されている。電池蓋6は略矩形平板状であって、電池缶1の上方開口部1aを塞ぐように溶接されて電池缶1が封止されている。電池蓋6には、正極外部端子
12と、負極外部端子
14が設けられている。正極外部端子
12と負極外部端子
14を介して捲回群3に充電され、また外部負荷に電力が供給される。電池蓋6には、ガス排出弁10が一体的に設けられ、電池容器内の圧力が上昇すると、ガス排出弁10が開いて内部からガスが排出され、電池容器内の圧力が低減される。これによって、角形二次電池
100の安全性が確保される。
【0017】
図2は、角形二次電池
100の分解斜視図である。
【0018】
角形二次電池
100の電池缶1は、矩形の底面
1dと、底面
1dから立ち上がる角筒状の側面
1bと、側面
1bの上端で上方に向かって開放された開口部1aとを有している。電池缶1内には、絶縁保護フィルム2を介して捲回群3が収容されている。
【0019】
捲回群3は、扁平形状に捲回されているため、断面半円形状の互いに対向する一対の湾曲部と、これら一対の湾曲部の間に連続して形成される平面部とを有している。捲回群3は、捲回軸方向が電池缶1の横幅方向に沿うように、一方の湾曲部側から電池缶1内に挿入され、他方の湾曲部側が上部開口側に配置される。
【0020】
捲回群3の正極電極箔露出部
32cは、正極集電板(集電端子)
24を介して電池蓋6に設けられた正極外部端子
12と電気的に接続されている。また、捲回群3の負極電極箔露出部
34cは、負極集電板(集電端子)
44を介して電池蓋6に設けられた負極外部端子
14と電気的に接続されている。これにより、正極集電板
24および負極集電板
44を介して捲回群3から外部負荷へ電力が供給され、正極集電板
24および負極集電板
44を介して捲回群3へ外部発電電力が供給され充電される。
【0021】
正極集電板
24と負極集電板
44、及び、正極外部端子
12と負極外部端子
14を、それぞれ電池蓋6から電気的に絶縁するために、ガスケット5および絶縁板7が電池蓋6に設けられている。また、注液口9から電池缶1内に電解液を注入した後、電池蓋6に注液栓11をレーザ溶接により接合して注液口9を封止し、角形二次電池
100を密閉する。
【0022】
ここで、正極外部端子
12および正極集電板
24の形成素材としては、例えばアルミニ
ウム合金が挙げられ、負極外部端子
14および負極集電板
44の形成素材としては、例え
ば銅合金が挙げられる。また、絶縁板7およびガスケット5の形成素材としては、例えばポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂材が挙げられる。
【0023】
また、電池蓋6には、電池容器内に電解液を注入するための注液
口9が穿設されており、この注液
口9は、電解液を電池容器内に注入した後に注液栓11によって封止される。ここで、電池容器内に注入される電解液としては、例えばエチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を適用することができる。
【0024】
正極外部端子
12、負極外部端子
14は、バスバー等に溶接接合される溶接接合部を有している。溶接接合部は、電池蓋6から上方に突出する直方体のブロック形状を有しており、下面が電池蓋6の表面に対向し、上面が所定高さ位置で電池蓋6と平行になる構成を有している。
【0025】
正極接続部12
a、負極接続部14
aは、正極外部端子
12、負極外部端子
14の下面からそれぞれ突出して先端が電池蓋6の正極側貫通孔
26、負極側貫通孔
46に挿入可能な円柱形状を有している。正極接続部
12a、負極接続部
14aは、電池蓋6を貫通して正極集電板
24、負極集電板
44の正極集電板基部
21、負極集電板基部
41よりも電池缶1の内部側に突出しており、先端がかしめられて、正極外部端子
12、負極外部端子
14と、正極集電板
24、負極集電板
44を電池蓋6に一体に固定している。正極外部端子
12、負極外部端子
14と電池蓋6との間には、ガスケット5が介在されており、正極集電板
24、負極集電板
44と電池蓋6との間には、絶縁板7が介在されている。
【0026】
正極集電板
24、負極集電板
44は、電池蓋6の下面に対向して配置される矩形板状の正極集電板基部
21、負極集電板基部
41と、正極集電板基部
21、負極集電板基部
41の側端で折曲されて、電池缶1の幅広面に沿って底面側に向かって延出し、捲回群3の正極箔接続部
32c、負極箔接続部
34cに対向して重ね合わされた状態で接続される正極側接続端部
22、負極側接続端部
42を有している。正極集電板基部
22、負極集電板基部
42には、正極接続部
22、負極接続部
42が挿通される正極側開口穴
23、負極側開口穴
41がそれぞれ形成されている。
【0027】
捲回群3の扁平面に沿う方向でかつ捲回群3の捲回軸方向に直交する方向を中心軸方向として前記捲回群3の周囲には絶縁保護フィルム2が巻き付けられている。絶縁保護フィルム2は、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製の一枚のシートまたは複数のフィルム部材からなり、捲回群3の扁平面と平行な方向でかつ捲回軸
方向に直交する方向を巻き付け中心として巻き付けることができる長さを有している。
【0028】
図3は、捲回電極群の一部を展開した状態を示す分解斜視図である。
【0029】
捲回群3は、負極電極32と正極電極
34を間にセパレータ33を介して扁平状に捲回することによって構成されている。捲回群3は、最外周の電極が負極電極32であり、さらにその外側にセパレータ
35が捲回される。セパレータ33
,35は、正極電極31と負極電極32との間を絶縁する役割を有している。
【0030】
負極電極32の負極合剤32bが塗布された部分は、正極電極
34の正極合剤
34bが塗布された部分よりも幅方向に大きく、これにより正極合剤
34bが塗布された部分は、必ず負極合剤32bが塗布された部分に挟まれるように構成されている。正極箔露出部
34c、負極箔露出部32cは、平面部分で束ねられて溶接等により接続される。尚、セパレータ33は、幅方向で負極合剤32bが塗布された部分よりも広いが、正極箔露出部
34c、負極箔露出部32cで端部の金属箔面が露出する位置に捲回されるため、束ねて溶接する場合の支障にはならない。
【0031】
正極電極
34は、正極集電体である正極電極箔の両面に正極活物質合剤を有し、正極電極箔の幅方向一方側の端部には、正極活物質合剤を塗布しない正極箔露出部
34cが設けられている。
【0032】
負極電極32は、負極集電体である負極電極箔の両面に負極活物質合剤を有し、正極電極箔の幅方向他方側の端部には、負極活物質合剤を塗布しない負極箔露出部32cが設けられている。正極箔露出部
34cと負極箔露出部32cは、電極箔の金属面が露出した領域であり、捲回軸方向の一方側と他方側の位置に配置されるように捲回される。
【0033】
負極電極32に関しては、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練した負極合剤を作製した。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔(負極電極箔)の両面に溶接部(負極未塗工部)を残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断工程を経て、銅箔を含まない負極活物質塗布部厚さ70μmの負極電極32を得た。
【0034】
尚、本実施形態では、負極活物質に非晶質炭素を用いる場合について例示したが、これに限定されるものではなく、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi2等)、またはそれの複合材料でもよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0035】
正極電極
34に関しては、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練した正極合剤を作製した。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔(正極電極箔)の両面に溶接部(正極未塗工部)を残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断工程を経て、アルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部厚さ90μmの正極電極
34を得た。
【0036】
また、本実施形態では、正極活物質にマンガン酸リチウムを用いる場合について例示したが、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウムや一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物や層状結晶構造を有すコバルト酸リチウムやチタン酸リチウムやこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム-金属複合酸化物を用いるようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、正極電極
34、負極電極
32における塗工部の結着材としてPVDFを用いる場合について例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。また、軸芯としては例えば、正極
電極34、負極
電極32、セパレータ33
,35のいずれよりも曲げ剛性の高い樹脂シートを捲回して構成したものを用いることができる。
【0038】
続いて
図4を用いて、本実施形態に係る二次電池モジュール101のブロック概念図について説明する。本実施形態の二次電池モジュール101は、角形二次電池100を複数個直列に接続されているとともに演算部107等の制御回路を含んで構成される。この直列回路に接続されるのが電流測定手段104であり、この直列回路に流れる電流を検出している。
【0039】
そして、電流測定手段104で検出された電流情報は演算部107に送信される。また、一方で、この直列回路とは並列に電圧測定手段103が設けられている。この電圧検出手段103で測定された電圧情報も演算部107に出力される。
【0040】
さらに演算部107には角形二次電池100の温度情報及び、タイマー
106から出力される時間情報が入力される。そして、演算部107はこれらの情報からSOCを算出し、電流時間積算総量値の区分けテーブル108と対応付けるように値を記録していく。このような方法を取ることによって、現在使用されている角形二次電池100の現実のデータが蓄積されるようになる。
【0041】
図5は温度とSOC範囲を対応づける表で、それぞれ電流時間積算量が格納されていく。このデータは電池コントローラに記憶された記憶部(不図示)にA1,A2,A3,B1,B2,・・・C3と格納されていくことになる。なお、本実施例では3×3のマトリクスを用いて説明するが、マトリクスの数が増えれば増えるだけより正確な劣化予測が可能となる。一方で、マトリクスの数が少ない方が計算の負荷が少なくなるというメリットもある。
【0042】
また、本実施形態では
図6に記載されるような各温度―SOC範囲に対応する劣化カーブの近似式を有している。そのため、
図7に示すような制御をおこなうことが可能となり、実走行を想定していないような基準劣化モードを介さずに劣化予測ができる。従って、より正確な劣化予測を行うことが可能となる。
【0043】
続いて
図7を用いて本実施形態の制御方法を説明する。
【0044】
まずステップS1では、SOC範囲0〜30%、温度‐30〜25℃のA1の電流時間積算量から劣化カーブの近似式を使用し、劣化率を算出する。
【0045】
そしてステップS2でSOC範囲0〜30%、温度25〜45℃の劣化カーブの近似式からステップS1で算出された劣化量に相当する電流時間積算量X1を算出する。
【0046】
その後ステップS3では、ステップS2で算出された電流時間積算量X1とSOC範囲0〜30%、温度25〜45℃での電流時間積算量A2を加算し、SOC範囲0〜30%、温度25〜50℃の劣化カーブの近似式から劣化率を算出する。
【0047】
そして、最後にステップS4に記載されるように繰り返し計算によって算出された電流時間積算量X8にSOC範囲50〜100%、温度45〜60℃での電流時間積算量C3を加算し、 SOC範囲50〜100%、温度45〜60℃の劣化カーブの近似式から総劣化率を算出するようにする。
【0048】
図8は繰り返しの計算順序を示す図である。本実施形態ではA1,A2,A3の順に計算し、その後B1,B2,B3,そして最後にC1,C2,C3の順に計算する流れとなる。一方で、同じSOC範囲内であれば計算順序にこだわる必要は無くA1から順に計算するのではなくB1から順に計算してもよいし、C1から先に計算しても良い。
【0049】
図9は
図8におけるC2からC3の計算を視覚的に示した図である。このようにC2での劣化率をC3に対応する劣化式の電流時間積算量X8に換算し、そこからさらにC3を加えてまた劣化式に代入することによって最終的な総劣化率が算出されることとなる。
【0050】
以上のように制御することによって、実走行を想定していないような基準劣化モードを介さずに劣化予測ができる。そのため、より正確な劣化予測を行うことが可能となる。
【0051】
簡単に実施例1についてまとめる。本発明に記載の劣化予測装置は、二次電池と、二次電池の電圧を測定する電圧測定部と、二次電池の電流を測定する電流測定部と、測定された電流及び電圧から二次電池の電流時間積算量及び使用SOC範囲を算出する演算部を有する劣化予測装置において、演算部は、所定SOC範囲における第一の温度範囲及び第二の温度範囲での電流時間積算量を算出し、第一の温度範囲における電流時間積算量を第二の温度範囲における電流時間積算量に変換し、第二の温度範囲における電流時間積算量と前記変換された電流時間積算量とを合算した値を用いて総劣化率を算出することを特徴とする。このような構成にすることによって、実走行を想定していないような基準劣化モードを介さずに劣化予測ができる。そのため、より正確な劣化予測を行うことが可能となる。