特許第6791708号(P6791708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791708
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】眠気推定装置及び眠気推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 5/0456 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61B5/16 130
   A61B5/04 312R
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-195181(P2016-195181)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-57450(P2018-57450A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】真尾 朋行
(72)【発明者】
【氏名】奥富 秀俊
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/114865(WO,A1)
【文献】 特開2009−018091(JP,A)
【文献】 特表2011−526511(JP,A)
【文献】 福島怜、金子成彦,RR間隔と眠気の強さの相関関係を利用した眠気推定手法の考案,生活生命支援医療福祉工学系学会連合大会2010講演論文集,2010年 9月18日,pp.430-433
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段と、
前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段と、
前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段と、
前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、
前記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算する補正指標値計算手段と、
を具備し、
前記眠気推定手段は、前記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定することを特徴とする眠気推定装置。
【請求項2】
前記補正指標値計算手段は、指標値計算手段により計算される前記指標値と前記近似関数とにより前記補正指標値関数を求めることを特徴とする請求項1に記載の眠気推定装置。
【請求項3】
前記補正指標値計算手段は、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正指標値関数に適用して前記補正指標値関数を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の眠気推定装置。
【請求項4】
前記補正指標値計算手段には、少なくとも、第1の補正指標値関数と、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数とのいずれかを設定して計算可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の眠気推定装置。
【請求項5】
心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段と、
前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段と、
前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段と、
前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、
前記近似関数に基づき補正閾値関数を作成し、この補正閾値関数により補正閾値を計算する補正閾値計算手段と、
を具備し、
前記眠気推定手段は、前記指標値を補正閾値により評価し眠気を推定することを特徴とする眠気推定装置。
【請求項6】
前記補正閾値計算手段は、前記閾値と前記近似関数とにより前記補正閾値関数を求めることを特徴とする請求項5に記載の眠気推定装置。
【請求項7】
前記補正閾値計算手段は、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正閾値関数に適用して前記補正閾値関数を作成することを特徴とする請求項5または6に記載の眠気推定装置。
【請求項8】
前記補正閾値計算手段には、少なくとも、第1の補正閾値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを設定して計算可能であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の眠気推定装置。
【請求項9】
コンピュータを、
心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段、
前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段、
前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段、
前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段、
前記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算する補正指標値計算手段、
として機能させ、
更に、前記眠気推定手段を、前記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定するように機能させることを特徴とする眠気推定プログラム。
【請求項10】
前記補正指標値計算手段を、指標値計算手段により計算される前記指標値と前記近似関数とにより前記補正指標値関数を求めるように機能させることを特徴とする請求項9に記載の眠気推定プログラム。
【請求項11】
前記補正指標値計算手段を、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正指標値関数に適用して前記補正指標値関数を作成するように機能させることを特徴とする請求項9または10に記載の眠気推定プログラム。
【請求項12】
前記補正指標値計算手段を、少なくとも、第1の補正指標値関数と、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数とのいずれかを設定して計算可能であるように機能させることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の眠気推定プログラム。
【請求項13】
コンピュータを
心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段、
前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段、
前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段、
前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段、
前記近似関数に基づき補正閾値関数を作成し、この補正閾値関数により補正閾値を計算する補正閾値計算手段、
として機能させ、
更に、前記眠気推定手段を、前記指標値を補正閾値により評価し眠気を推定するように機能させることを特徴とする眠気推定プログラム。
【請求項14】
前記補正閾値計算手段を、前記閾値と前記近似関数とにより前記補正閾値関数を求めるように機能させることを特徴とする請求項13に記載の眠気推定プログラム。
【請求項15】
前記補正閾値計算手段を、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正閾値関数に適用して前記補正閾値関数を作成するように機能させることを特徴とする請求項13または14に記載の眠気推定プログラム。
【請求項16】
前記補正閾値計算手段を、少なくとも、第1の補正閾値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを設定して計算可能であるように機能させることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の眠気推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眠気推定装置及び眠気推定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、RRI取得手段、指標値計算手段、眠気推定手段を備える眠気推定装置の出願を行った。この発明は、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段と、前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する複数種の活動指標について指標値を計算する指標値計算手段と、各活動指標に関する閾値により評価する推定関数によって構成される眠気推定ルールに基づき、前記指標値計算手段により算出された指標値を評価し眠気を推定する眠気推定手段とを備えるものである(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、作業開始に比べて心拍数は時間と共に低下してゆく傾向にあることが知られている。また、上記発明において用いた活動指標であるSDSD(RMSSD)、pNN50などの副交感神経に関係する活動指標は、時間経過と共にその値が大きくなる傾向にある。
【0004】
しかしながら、上記発明の眠気推定ルールに用いられている閾値は、活動指標の平均値や最小値或いは最大値である。つまり、当該閾値は時間経過に関わりなく一定の値のものである。従って、閾値が一定値であるのに対し、この閾値を用いて評価する対象の活動指標が時間経過と共に変動するため、ある時点では不適切な閾値によって評価が行われていることになり、適切な眠気推定を行うことができないという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2には、居眠り判定装置において、照度に応じて瞬き検出用の閾値を変更するようにして適切な判定に繋げている。しかしながら、時間経過による変動に追従できるものとはなっていない。
【0006】
更に、特許文献3には、眠気レベルが所定警報閾値よりも高い場合に警報を出力する警報出力部を備えた居眠り運転防止装置が開示されている。この特許文献3の発明では、警報閾値を補正する警報閾値補正部を備えるものの、眠気レベルが閾値を超えた回数や、眠気レベルが閾値を超えた合計時間等に基づき、補正を行うもので、人間の生理に基づく時間経過を考慮したものとなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−120061号公報
【特許文献2】特開平8−153288号公報
【特許文献3】特開2015−219771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような眠気推定技術の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、人間の生理に基づく時間経過を考慮し、時間変化する活動指標に追従して適切な眠気推定を可能とする眠気推定装置及び眠気推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る眠気推定装置は、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段と、前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段と、前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段と、前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、前記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算する補正指標値計算手段と、を具備し、前記眠気推定手段は、前記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正指標値計算手段は、指標値計算手段により計算される前記指標値と前記近似関数とにより前記補正指標値関数を求めることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正指標値計算手段は、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正指標値関数に適用して前記補正指標値関数を作成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正指標値計算手段には、少なくとも、第1の補正指標値関数と、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数とのいずれかを設定して計算可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る眠気推定装置は、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段と、前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段と、前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段と、前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近
似関数算出手段と、前記近似関数に基づき補正閾値関数を作成し、この補正閾値関数により補正閾値を計算する補正閾値計算手段と、を具備し、前記眠気推定手段は、前記指標値を補正閾値により評価し眠気を推定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正閾値計算手段は、前記閾値と前記近似関数とにより前記補正閾値関数を求めることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正閾値計算手段は、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正閾値関数に適用して前記補正閾値関数を作成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る眠気推定装置では、前記補正閾値計算手段には、少なくとも、第1の補正閾値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを設定して計算可能であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る眠気推定プログラムは、コンピュータを、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段、前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段、前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段、前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段、前記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算する補正指標値計算手段、として機能させ、更に、前記眠気推定手段を、前記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定するように機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正指標値計算手段を、指標値計算手段により計算される前記指標値と前記近似関数とにより前記補正指標値関数を求めるように機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正指標値計算手段を、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正指標値関数に適用して前記補正指標値関数を作成するように機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正指標値計算手段には、少なくとも、第1の補正指標値関数と、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数とのいずれかを設定して計算可能に機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る眠気推定プログラムは、コンピュータを心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサにより得られる信号からR−R間隔のデータであるRRIデータを取得するRRI取得手段、前記RRIデータを統計処理した結果及び/または前記RRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する指標値計算手段、前記指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する眠気推定手段、前記RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し前記指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関
数を算出する近似関数算出手段、前記近似関数に基づき補正閾値関数を作成し、この補正閾値関数により補正閾値を計算する補正閾値計算手段、として機能させ、更に、前記眠気推定手段を、前記指標値を補正閾値により評価し眠気を推定するように機能させることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正閾値計算手段を、前記閾値と前記近似関数とにより前記補正閾値関数を求めるように機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正閾値計算手段を、前記相関図からRRIデータの値に対する指標値の平均値を得て、この平均値を前記補正閾値関数に適用して前記補正閾値関数を作成するように機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る眠気推定プログラムでは、前記補正閾値計算手段には、少なくとも、第1の補正閾値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを設定して計算可能に機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し、指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、前記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算する補正指標値計算手段を備えるので、人間の生理に基づく時間経過を考慮し、時間変化する活動指標に追従して適切な眠気推定を可能とする。
【0026】
本発明によれば、RRI取得手段によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し、指標値計算手段によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、前記近似関数に基づき補正閾値関数を作成し、この補正指閾値関数により補正閾値を計算する補正閾値計算手段とを備えるので、人間の生理に基づく時間経過を考慮し、時間変化する活動指標に追従して適切な眠気推定を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態を示すブロック図。
図2】本発明に係る眠気推定装置の実施形態の動作モードを示すフローチャート。
図3】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態の関数生成モードの動作を示すフローチャート。
図4】本発明に係る眠気推定装置の実施形態における相関図作成動作を示す図。
図5】本発明に係る眠気推定装置の実施形態における相関図から近似関数作成動作を示す図。
図6】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態において、活動指標としてpNN50を用いた相関図から近似関数作成動作を示す図。
図7】本発明に係る眠気推定装置の実施形態における相関図からRRIの平均値算出を示す図。
図8】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態の実用モードの動作を示すフローチャート。
図9】本発明に係る眠気推定装置の実施形態におけるRRI平均値算出動作を示す図。
図10】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態の補正指標値関数を用いた場合の評価例と、補正指標値関数を用いない場合の評価の例を示す図。
図11】本発明に係る眠気推定装置の第2の実施形態を示すブロック図。
図12】本発明に係る眠気推定装置の第2の実施形態の関数生成モードの動作を示すフローチャート。
図13】本発明に係る眠気推定装置の第2の実施形態において、活動指標としてHFを用いた相関図から近似関数作成動作を示す図。
図14】本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態の実用モードの動作を示すフローチャート。
図15】本発明に係る眠気推定装置の第2の実施形態の補正閾値関数を用いた場合の評価例と、補正閾値関数を用いない場合の評価の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付図面を参照して、本発明に係る眠気推定装置及び眠気推定プログラムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明に係る眠気推定装置の第1の実施形態のブロック図が示されている。本実施形態では、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサ10として、心拍センサを用いることができる。
【0029】
このRRIセンサ10は、心拍センサ以外に、心電計の心電図信号を取り出す部分の構成や脈波センサを用いても良い。RRIセンサ10は、生体に設けられ、無線或いは有線により心電図信号を検出して、RRI(整形前)1001を出力する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の眠気推定装置では、端末20が、RRI取得手段21、データ整形手段22、指標値計算手段23、眠気推定手段24、出力手段25を備える。これらの手段の機能と動作については特許文献1に詳述されている。本実施形態の眠気推定装置では、更に、近似関数算出手段26と補正指標値計算手段27を備える。
【0031】
040
RRI取得手段21は、上記RRIセンサ10により送出されるRRIデータを取得するものである。RRIセンサ10としては、心電図信号を出力するものでもよく、この場合には、RRI取得手段21が心電図信号に基づきRRIデータを作成する。データ整形手段22は、所定周波数成分の除去であるトレンド除去、異常値除去、データ補間、フィルタ処理の少なくとも1つを行う構成を備えている。これらの構成の詳細は特許文献1に記載の通りである。
【0032】
指標値計算手段23は、上記RRIデータに基づいて自律神経の指標値を算出するもので、例えば、上記RRIデータを統計処理した結果及び/または上記RRIデータのスペクトル解析の結果に基づいて、複数種類である自律神経の活動指標について、その指標値を算出するように構成することができる。指標値計算手段23は、第1の時間毎のRRIデータを用いて単位時間の指標値を算出し、単位時間の指標値を活動指標の種類分集めてベクトル化し、ベクトル化された指標を時系列に並べて指標値ベクトル時系列を作成する。
【0033】
また、眠気推定手段24は、活動指標に関する閾値及び/または変動状態により評価する推定関数によって構成される眠気推定ルールに基づき、上記指標値計算手段23により算出された活動指標を評価し眠気を推定する。
【0034】
出力手段25は、眠気推定手段24による推定結果を出力し、警報発生や機器の動作停止、警告などに用いられるようにする。上記端末20は、スマートフォン、タブレット端末、モバイル端末などにより構成することができる。
【0035】
端末20には、クラウドストレージ30が接続されている。クラウドストレージ30には、センサ特性情報1101、眠気推定ルール1102が予め備えられている。センサ特性情報1101は、データ整形手段22がデータ整形を実行するときに用いられる。眠気推定ルール1102は、眠気推定手段24が眠気を推定するときに用いられる。クラウドストレージ30には、端末20において取得した取得済RRIデータを履歴データの取得済RRI1012Xとして記憶しておいても良いことを示しており、この取得済RRI1012Xは、眠気推定ルール1102の更新のために用いても良い。
【0036】
端末20は、CPUの制御によって処理を行うものであり、上記各手段は、上記CPUがプログラムを実行することにより実現される。近似関数算出手段26は、RRI取得手段21によって得られたRRIデータとこのRRIデータの値に対し上記指標値計算手段23によって得られた指標値をそれぞれ複数プロットした相関図から、RRIデータの値に対する指標値の関係を示す近似関数を算出するものである。補正指標値計算手段27は、上記近似関数に基づき補正指標値関数を作成し、この補正指標値関数により補正指標値を計算するものである。このようにして補正指標値が得られると、眠気推定手段24は、上記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定する。
【0037】
以上のように構成された本実施形態に係る眠気推定装置は、図2に示すように、予備運用モードS11、関数生成モードS12、実用モードS13により動作する。予備運用モードS11は、特許文献1に示された処理が行われるモードであり、本発明の前提となる。予備運用モードS11の動作は、特許文献1に詳述されているので、その説明を省略する。
【0038】
関数生成モードS12では、図3に示されるように、指標値計算手段23が取得済RRI1012Xの取得済RRIデータを用いて自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算する(S21)。なお、予めこの計算を行ってクラウドストレージ30に記憶しておくのであれば、この処理は省略される。また、指標値の評価に閾値を用いない場合には、当該指標値についても、この処理は行わない。
【0039】
次に、上記指標値とRRIデータを用いて、RRIデータの値に対する指標値を複数プロットした相関図を図4に示すように作成する(S22)。更に、この相関図に基づき、近似関数を例えば回帰分析により求める(S23)。近似関数f(x)を求める例を図5に示す。近似関数は、n(整数)次多項式、対数関数、指数関数等が一般的である。また、RRIデータは個人に固有のものであるから、近似関数f(x)の回帰係数も個人毎に異なるものとなる。
【0040】
図6には、指標値をpNN50として、近似関数f(x)を求めた例を示す。ここでは、近似関数f(x)がf(x)=0.000690373x-0.41594として得られている。次に、相関図に基づき、RRIデータの値に対する指標値の平均値mを図7に示すように求める(S24)。また、図6においても平均値mが求められており、m=0.0986823である。
【0041】
次に、上記で求めた近似関数に基づき補正指標値関数を作成する(S25)。補正指標値関数νは、近似関数f(x)を用いて次の式(1)により表すことができる。
【数1】
【0042】
上記の補正基準定数Cは、補正の基準となる値であり、変化させない値とする。特に、平均値mを補正基準定数Cとしてもよい。また、補正強度定数Kの値は通常1に設定することができる。近似関数f(x)の特性により、例えば、正の値をとるべき指標値が負の値となるなどの不都合が生じるような場合には、上記補正強度定数Kの値を適当に(オペレータが)設定することができ、補正強度の調整が可能である。
【0043】
本実施形態では、補正指標値計算手段27は、少なくとも、第1の補正指標値関数である上記式1の補正指標値関数νと、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数とのいずれかを設定して計算可能である。この第2の補正指標値関数を以下の式2により示す。C、Kについては式1と同じである。
【数2】
【0044】
上記のように、補正指標値計算手段27は、第1の補正指標値関数と、この第1の補正指標値関数により大きく指標値を変動させて補正指標値を計算する第2の補正指標値関数のいずれかを用いても良く、或いは、例示しないこれ以外の補正指標値関数を用いて計算を行ってもよい。




【0045】
以上のようにして補正指標値関数が得られると、図2に示した実用モードS13により動作することができる。この処理は、図8に示すように行われる。即ち、式1または式2の補正指標値関数に適用するxtを求める(S31)。具体的は、図9に示すように、現時点がtとして、時点tより前のT1時間を指標値算出区間であり、時点tより前のT2(T1<T2)時間をRRI平均値算出区間とする。RRI平均値算出区間におけるRRIデータの値に対する指標値の平均値をxtとする。
【0046】
また、補正指標値関数内の指標値νは、従来通り指標値計算手段23が計算して求め、これを用いて補正指標値関数により補正指標値νを求める(S32)。眠気推定手段24は、上記補正指標値を閾値により評価し眠気を推定する(S33)。眠気推定手段24が既に用いている閾値をbとすると、この評価は、ν≧bのとき、眠気ありとする。図10に補正指標値関数を用いた場合の評価例と、補正指標値関数を用いない場合の評価の例を示す。
【0047】
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る眠気推定装置の構成図を図11に示す。この実施形態では、第1の実施形態の補正指標値計算手段27を補正閾値計算手段28に置き換えた以外は異なるところはない。本実施形態に係る眠気推定装置は、図2に示すように、予備運用モードS11、関数生成モードS12、実用モードS13により動作する。予備運用モードS11の動作は第1の実施形態と同じである。
【0048】
関数生成モードS12では、図12に示されるように動作が行われる。このフローチャートにおいてステップS21からS24は、図3と全く同様であるので処理を省略する。
【0049】
図13には、指標値をHFとして、近似関数f(x)を求めた例を示す。ここでは、近似関数f(x)がf(x)=0.00141895x2-2.03121x+823.339として得られている。また、図13では、平均値mが求められており、m=107.621である。
【0050】
次に、上記で求めた近似関数に基づき補正閾値関数を作成する(S45)。補正閾値関数は、近似関数f(x)を用いて次の式(3)により表すことができる。
【数3】
【0051】
上記の補正基準定数Cは、補正の基準となる値であり、変化させない値とする。特に、平均値mを補正基準定数Cとしてもよい。また、補正強度定数Kの値は通常1に設定することができる。近似関数f(x)の特性により、例えば、正の値をとるべき指標値が負の値となるなどの不都合が生じるような場合には、上記補正強度定数Kの値を適当に(オペレータが)設定することができ、補正強度の調整が可能である。
【0052】
本実施形態では、補正閾値計算手段28は、少なくとも、第1の補正閾値関数である上記式3の補正閾値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを設定して計算可能である。この第2の補正閾値関数を以下の式4により示す。C、Kについては式3と同じである。
【数4】
【0053】
上記のように、補正閾値計算手段28は、第1の補正指標値関数と、この第1の補正閾値関数により大きく閾値を変動させて補正閾値を計算する第2の補正閾値関数とのいずれかを用いても良く、或いは、例示しないこれ以外の補正閾値関数を用いて計算を行ってもよい。
【0054】
以上のようにして補正閾値関数が得られると、図2に示した実用モードS13により動作することができる。この処理は、図14に示すように行われる。即ち、式3または式4の補正閾値関数に適用するxtを求める(S61)。具体的は、図9に示すように、現時点がtとして、時点tより前のT1時間を指標値算出区間であり、時点tより前のT2(T1<T2)時間をRRI平均値算出区間とする。RRI平均値算出区間におけるRRIデータの値に対する指標値の平均値をxtとする。
【0055】
また、補正閾値関数内の閾値bは、従来通り指標値計算手段23が備えているので、補正閾値関数により補正閾値を求める(S62)。眠気推定手段24は、指標値計算手段23が計算した指標値を補正閾値により評価し眠気を推定する(S63)。指標値計算手段23が計算した指標値をνとすると、この評価は、ν≧のとき、眠気ありとする。図15に補正閾値関数を用いた評価例と、補正閾値関数を用いない場合の評価例を示す。
【0056】
以上2つの実施形態では、指標値計算手段23が、RRIデータを統計処理した結果及びRRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算するが、RRIデータを統計処理した結果またはRRIデータのスペクトル解析の結果とに基づいて、自律神経の活動に関する活動指標について指標値を計算するものであって良い。
【0057】
また、上記2つの実施形態において眠気推定ルール1102は、各活動指標に関する閾値及び/または変動状態により評価する推定関数によって構成されるが、各活動指標に関する閾値により評価する推定関数を含んで構成される眠気推定ルールであれば良い。即ち、特許文献1において、眠気推定手段は、「各活動指標に関する閾値及び/または変動状態により評価する推定関数によって構成される眠気推定ルールに基づき、前記指標値計算手段により算出された指標値を評価し眠気を推定する」ものであったが、本発明では、眠気推定手段は、特許文献1の眠気推定手段の機能の内、指標値計算手段により算出された指標値を閾値により評価し眠気を推定する機能(構成)を備えるものとなっている。
【0058】
上記2つの実施形態で用いる活動指標は、RRIデータを統計処理した結果の活動指標として、
SDNN:(RRIの標準偏差)
RMSSD:(隣接するRRIの差の二乗平均値の平方根)
SDSD:(隣接するRRIの差の標準偏差)
pNN50:(隣接するRRIの差が50(ミリ秒)を超える割合)
の少なくとも1つを用いる。この活動指標の詳細については特許文献1に記載したので、その説明を省略する。
【0059】
上記2つの実施形態で用いる活動指標は、上記RRIデータのスペクトル解析の結果の活動指標として、
LF:(PSD(パワースペクトル密度関数)の0.04〜0.15[Hz]のパワー)
HF:(PSDの0.15〜0.40[Hz]のパワー)
HF/(LF+HF)
pi(i=0,1,2,・・・,9):(PSDの0.15+i×0.025 〜 0.15 +( i+1)×0.025 [Hz]のパワー)
の少なくとも1つを用いる。この活動指標の詳細については特許文献1に記載したので、その説明を省略する。
【0060】
上記2つの実施形態のステップS31,S61の処理は、RRIが突発的に変位した場合に、補正が不適切な値を採らないために極めて有効である。しかしながら、RRIが突発的に変位することが極めて少ない場合等、必要性が乏しい場合には、必須な処理としなくとも良い。
【0061】
また、図1の構成は一例に過ぎず、クラウドストレージ30が保持するものを端末20が備えても良い。また、クラウドストレージ30に代えてサーバを設け、クラウドストレージ30の代りを行っても良い。更に、また、クラウドストレージ30に代えてサーバを設け、クラウドストレージ30の代りを行うと共に、端末20の機能の一部をサーバにおいて行っても良い。その他、システム構成は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 センサ
20 端末
21 取得手段
22 データ整形手段
23 指標値計算手段
24 眠気推定手段
25 出力手段
26 近似関数算出手段
27 補正指標値計算手段
28 補正閾値計算手段
30 クラウドストレージ




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15