特許第6791710号(P6791710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791710
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】イネーブル信号生成回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/08 20060101AFI20201116BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H03K19/08 210
   H03K19/0175 220
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-196423(P2016-196423)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-61115(P2018-61115A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安坂 信
【審査官】 及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−199441(JP,A)
【文献】 特開2013−171914(JP,A)
【文献】 特開2000−349609(JP,A)
【文献】 特開2004−072681(JP,A)
【文献】 特開2007−159059(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102244508(CN,A)
【文献】 特開2012−010037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00−19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モード切替のためのイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成回路であって、
イネーブル入力端子と、
前記イネーブル入力端子の電圧レベルが第1の参照電圧を超えたかを判定して反転信号を出力するイネーブル検出回路と、
前記イネーブル検出回路に接続される出力手段とを備え、
前記イネーブル検出回路は、少なくとも2つのトランジスタが差動形式で構成され、さらに前記2つのトランジスタには動作電圧を異ならせるオフセット電圧が与えられ、
前記出力手段は、前記反転信号に応じた前記イネーブル信号を出力し、
前記イネーブル入力端子と接地電位との間に、NチャネルMOSトランジスタ及び前記第1の参照電圧を生成する参照電圧生成回路が直列に接続され、前記参照電圧生成回路から第1の電圧が取り出される第1回路点に前記2つのトランジスタの一方の制御電極が、第2の電圧が取り出される第2回路点に前記2つのトランジスタの他方の制御電極がそれぞれ接続されており、
前記NチャネルMOSトランジスタのゲートには固定電圧が印加されており、前記イネーブル入力端子の電圧レベルが前記固定電圧に到達した時に前記NチャネルMOSトランジスタのドレイン・ソース間に流れる電流が前記固定電圧によって一定とされる、イネーブル信号生成回路。
【請求項2】
前記2つのトランジスタがバイポーラトランジスタで構成される時、前記オフセット電圧は、前記2つのバイポーラトランジスタのエミッタ・ベース間の順方向電圧を異ならせて与えられている請求項1に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項3】
前記オフセット電圧は互いに前記バイポーラトランジスタのエミッタ面積を異ならせて設定される請求項2に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項4】
前記2つのトランジスタがMOSトランジスタで構成される時、前記オフセット電圧は、前記2つのMOSトランジスタのゲート・ソース間の閾値電圧を異ならせて与えられている請求項1に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項5】
前記オフセット電圧は互いに前記MOSトランジスタのゲート幅及びゲート長の少なくとも一方の大きさを異ならせて設定される請求項4に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項6】
前記イネーブル入力端子電圧レベルが前記第1の参照電圧を超えた後、低くなる方向に変化した場合に前記イネーブル検出回路は、前記第1の参照電圧よりも低い第2の参照電圧で前記反転信号の論理レベルを切り替える請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項7】
前記イネーブル入力端子から前記接地電位に向かってカレントミラー回路、前記NチャネルMOSトランジスタのドレイン・ソース導電路、及び前記参照電圧生成回路が、この順で接続される請求項に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項8】
前記イネーブル入力端子から前記接地電位に向かって前記NチャネルMOSトランジスタのドレイン・ソース導電路、カレントミラー回路、及び前記参照電圧生成回路が、この順で接続される請求項に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項9】
前記参照電圧生成回路は少なくとも2つの抵抗が直列に接続された直列接続体で構成される請求項または請求項に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項10】
前記直列接続体の1つの抵抗の一端が前記第1回路点に、前記1つの抵抗の他端が前記第2回路点にそれぞれ接続される請求項に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項11】
前記第1の参照電圧及び前記第2の参照電圧は前記直列接続体の接続が切り換えられて生成される請求項または請求項10に記載のイネーブル信号生成回路。
【請求項12】
前記イネーブル入力端子と前記NチャネルMOSトランジスタのドレインとの間の導電路に前記カレントミラー回路の入力側トランジスタが接続されており、前記カレントミラー回路の出力側トランジスタで生成されたミラー電流が前記イネーブル検出回路を構成する前記2つのトランジスタの負荷電流として設定される請求項に記載のイネーブル信号生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イネーブル信号生成回路に関し、通常モードとスタンバイモードとを切替えるイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンバイモードに切替え可能なシステムでは、動作モード切替えのための入力信号に応じて動作モードの設定が行われる。このため、イネーブル信号の信号レベルを所定の基準信号と比較するための検出回路部を備えている場合が多い。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2013−171914号公報)の図1に記載のイネーブル検出回路では、イネーブル信号を受けるイネーブル端子と、内部回路と、イネーブル検出回路と、電源遮断回路とを備える。内部回路は、通常動作モードと低消費電力モードとを有する。イネーブル検出回路は、イネーブル信号の電圧レベルが第1の参照電圧を超えたか否かを判定し、イネーブル信号の電圧レベルが第1の参照電圧を超えたときに、内部回路を低消費電力モードから通常動作モードに切替えるための信号を出力する。電源遮断回路は、イネーブル信号の電圧レベルが、第1の参照電圧よりも低い第2の参照電圧以下になったか否かを判定し、イネーブル信号の電圧レベルが第2の参照電圧以下になったときに、イネーブル検出回路を駆動するための駆動電流の経路を遮断する。イネーブル検出回路は、さらに、イネーブル信号の電圧レベルが第1の参照電圧と第2の参照電圧の間の第3の参照電圧以下になったか否かを判定し、イネーブル信号の電圧レベルが第3の参照電圧以下になった時に、内部回路を通常動作モードから低消費電力モードに切替えるための信号を出力する。
【0004】
また、特許文献2(特開2013−5196号公報)の図1に記載のイネーブル検出回路では、イネーブル信号を受ける制御入力端子と、イネーブル検出回路と、定電流源とを備える。イネーブル検出回路は、イネーブル信号の電圧レベルが参照電圧を超えたか否かを判定し、イネーブル信号の電圧レベルが参照電圧を超えたときに、低消費電力モードから通常動作モードに切替えるための信号を出力する。イネーブル検出回路は、さらに、イネーブル信号の電圧レベルが参照電圧以下になったか否かを判定し、イネーブル信号の電圧レベルが参照電圧以下になった時に、通常動作モードから低消費電力モードに切替えるための信号を出力する。定電流源は、電源電圧が高くなっても消費電流が増加しないように働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−171914号公報
【特許文献2】特開2013−5196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載されたイネーブル検出回路では、実使用時にはイネーブル端子を安定させるために、イネーブル端子を抵抗で接地電位GNDに対してプルダウンしておく必要があり、イネーブル端子に印加される電圧に比例してイネーブル端子の消費電流が増えるという不具合が懸念される。
【0007】
また、特許文献2に記載されたイネーブル検出回路では、制御入力端子に印加される電圧に比例して制御入力端子の消費電流が増えるという不具合が懸念される。
【0008】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、イネーブル信号生成回路において、従来よりも消費電流を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のイネーブル信号生成回路は、イネーブル入力電圧を受けるイネーブル入力端子と、前記イネーブル入力電圧レベルが第1の参照電圧を超えたかを判定して反転信号を出力するイネーブル検出回路とを備える。前記イネーブル検出回路に接続される出力手段を備え、前記イネーブル検出回路は、少なくとも2つのトランジスタが差動形式で構成され、さらに前記2つのトランジスタには動作電圧を異ならせるオフセット電圧が与えられ、前記出力手段から前記反転信号に応じた信号を出力する。
【0010】
また本発明の一態様のイネーブル信号生成回路は、前記2つのトランジスタがバイポーラトランジスタで構成される時、前記オフセット電圧は、前記2つのバイポーラトランジスタのエミッタ・ベース間の順方向電圧を異ならせて与えられている。
【0011】
また本発明の一態様のイネーブル信号生成回路は、前記オフセット電圧は互いに前記バイポーラトランジスタのエミッタ面積を異ならせて設定される。
【0012】
また本発明の一態様のイネーブル信号生成回路は、前記2つのトランジスタがMOSトランジスタで構成される時、前記オフセット電圧は、前記2つのMOSトランジスタのゲート・ソース間の閾値電圧を異ならせて与えられている。
【0013】
また本発明の一態様のイネーブル信号生成回路は、前記オフセット電圧は互いに前記MOSトランジスタのゲート幅及びゲート長の少なくとも一方の大きさを異ならせて設定されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、イネーブル信号生成回路において、従前よりも消費電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る構成を示すブロック図である。
図2図1の構成の一例を示す回路図である。
図3図2でのイネーブル入力電圧と各部電圧と消費電流を示す図である。
図4図1の構成の例に係る別の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態による構成を示すブロック図である。
【0018】
イネーブル入力電圧VENが印加されるイネーブル入力端子ENは、MOSトランジスタM31のドレインDに接続されており、そのゲートGは、クランプ回路CC1に接続されている。クランプ回路CC1には電源電圧VCCが供給されている。MOSトランジスタM31のソースSは、抵抗R31の一端に接続され、その他端は抵抗R32の一端とコンパレータCP1の非反転入力端子+とが接続されている。抵抗R32の他端は、抵抗R33の一端とコンパレータCP1の反転入力端子−とに接続されている。抵抗R33の他端は、抵抗R34の一端とMOSトランジスタM32のドレインDとに接続されている。抵抗R34の他端は、接地電位GNDに接続されている。MOSトランジスタM32のソースSは接地電位GNDに接続されている。コンパレータCP1の出力はMOSトランジスタM32のゲートGと接続されている。
【0019】
コンパレータCP1の反転入力端子−にオフセット電圧Voffsetを持たすことにより、イネーブル入力端子ENに印加されるイネーブル入力電圧VENが所定のレベルまで到達していない時にはイネーブル出力端子ENがロウLを出力するようになる。そしてイネーブル入力電圧VENが大きくなり、抵抗R32の両端間電圧Vdropがオフセット電圧Voffsetを超えた時にイネーブル出力端子ENがハイHを出力することになる。
【0020】
電源電圧VCCがクランプ回路CC1に十分に与えられ、かつMOSトランジスタM31が十分にオン状態であり、そのオン抵抗すなわちMOSトランジスタM31のドレインDとソースSとの間の抵抗成分を無視すると、イネーブル入力端子ENと接地電位GNDとの間に介在される総抵抗値r30はほぼ
r30=r31+r32+r33+r34
で表される。ここで、MOSトランジスタM31のドレイン電圧VD、ソース電圧VS及びイネーブル入力電圧VENとの間には次の関係が成立する。
VD=VEN、VD=VS
してみれば、イネーブル入力端子ENから接地電位GNDに向かって流れる消費電流IENは、
EN=VEN/r30
となる。
【0021】
さらにイネーブル入力電圧VENを大きくしていくと、イネーブル出力端子ENがハイHになりMOSトランジスタM32がオンし、抵抗R34がショートされる。これにより、消費電流IENは、
EN=VEN/(r31+r32+r33)
となる。
【0022】
ここでMOSトランジスタM31のゲートGとソースSとの間の閾値電圧をVth、ゲートGに印加される電圧をVzとすると、イネーブル入力電圧VENを大きくしていくと、MOSトランジスタM31のソース電圧VSが(Vz−Vth)にクランプされ、消費電流IENは、
EN=(V−Vth)/(r31+r32+r33)
となり、消費電流IENのイネーブル入力電圧VENへの依存性を抑制することができる。
【0023】
なお、抵抗R31〜R34は本発明で参照電圧生成回路を構成しているが、抵抗R31,R33は必ずしも必要ではなく、抵抗R32,R34の2つの抵抗で十分である。また、ヒステリシスを持たない構成も本発明には含まれる。その場合は抵抗R32だけでも成立することができる。
【0024】
図2は、図1のブロック図を具体的な回路図で示した一例である。図2のイネーブル信号生成回路は、イネーブル入力端子ENから接地電位GNDに向かってバイポーラトランジスタQ11,Q12で構成されるカレントミラー回路、NチャネルMOSトランジスタM11のドレイン・ソース導電路、及び抵抗R11〜R14で構成される参照電圧生成回路が、この順で接続されている
【0025】
イネーブル入力端子ENは、バイポーラトランジスタQ11のエミッタとバイポーラトランジスタQ12のエミッタとに接続されている。バイポーラトランジスタQ11のベースとコレクタとバイポーラトランジスタQ12のベースとMOSトランジスタM11のドレインDとが接続されており、MOSトランジスタM11のソースSと抵抗R11の一端とが共通接続されている。抵抗R11の他端と抵抗R12の一端とバイポーラトランジスタQ14のベースとが接続されており、抵抗R12の他端と抵抗R13の一端とバイポーラトランジスタQ13のベースとが接続されており、抵抗R13の他端と抵抗R14の一端とMOSトランジスタM12のドレインDとが接続されている。抵抗R14の他端が接地電位GNDに接続されており、MOSトランジスタM12のソースが接地電位GNDに接続されており、バイポーラトランジスタQ12のコレクタとバイポーラトランジスタQ13のエミッタとバイポーラトランジスタQ14のエミッタとが共通接続された差動形式を成しイネーブル検出回路を構成している。バイポーラトランジスタQ13のコレクタとバイポーラトランジスタQ15のコレクタと抵抗R15の一端とMOSトランジスタM13のゲートとが共通接続されており、バイポーラトランジスタQ14のコレクタとバイポーラトランジスタQ15のベースとバイポーラトランジスタQ16のコレクタとベースとが接続されている。バイポーラトランジスタQ15のエミッタとバイポーラトランジスタQ16のエミッタとが接地電位GNDに接続されており、抵抗R15の他端が接地電位GNDに共通接続されており、MOSトランジスタM13のソースSが接地電位GNDに接続されている。抵抗R16の一端が電源電圧VCCに接続されており、抵抗R16の他端とMOSトランジスタM13のドレインDとインバータINV11の入力とが接続されており、インバータINV11の出力とMOSトランジスタM12のゲートGとが接続されている。抵抗R17の一端は電源電圧VCCに接続されており、その他端はツェナーダイオードZD11の一端とMOSトランジスタM11のゲートGが接続されており、ツェナーダイオードZD11の他端が接地電位GNDに接続されている。
【0026】
イネーブル入力端子ENにイネーブル入力電圧VENが印加されていくと、バイポーラトランジスタQ11のエミッタ・ベースの順方向電圧Vf程度の電圧が印加されたところから消費電流IENが流れ始める。これは、バイポーラトランジスタQ11とバイポーラトランジスタQ12によって構成されるカレントミラー回路が動き出すことによる。電源電圧VCCがツェナーダイオードZD11に十分に与えられ、かつMOSトランジスタM11がオン状態ではイネーブル入力端子ENと接地電位GNDとの間に介在される総抵抗値rTotalはほぼ、
Total=(r11+r12+r13+r14)
で表される。ここで、MOSトランジスタM11のドレイン電圧VD、ソース電圧VS及びイネーブル入力電圧VENとの間には次の関係が成立する。
VD=(VEN−V)、VD=VS
消費電流IENはバイポーラトランジスタQ11に流れる電流の2倍となる。これはカレントミラー回路を構成するバイポーラトランジスタQ12にも同じ大きさの電流が流れるためであり、消費電流IENは次式で表される。
EN=2*(VEN−V)/rTotal
ただし、Q11・Q12は必ずしも同サイズである必要はなく、その時は流れる電流が2倍ではなくサイズ比に応じた電流に設定される。
【0027】
さらにイネーブル入力電圧VENを大きくしていくと、イネーブル出力端子ENがハイHになりMOSトランジスタM12がオンし、抵抗R14がショートされる。これにより消費電流IENは、
EN=2*(VEN−V)/(r11+r12+r13)
となる。
【0028】
ここでMOSトランジスタM11のゲートGとソースSとの間の閾値電圧がVth、ゲートGに印加される電圧がVz、バイポーラトランジスタQ11のエミッタ・ベース間の順方向電圧がVfでそれぞれ示すと、イネーブル入力電圧VENを大きくしていき(Vz−Vth+Vf)に到達すると、MOSトランジスタM11のソース電圧VSがVS=(Vz−Vth)にクランプされ、消費電流IENは、
EN=2*(V−Vth)/(r11+r12+r13)
となる。消費電流IENのイネーブル入力電圧VENへの依存性を抑制することができる。
【0029】
ここで、イネーブル出力端子ENがハイHになる時のイネーブル入力電圧VENを第1の参照電圧VEN1とし上記(Vz−Vth+Vf)を第3の参照電圧VEN3とすると、第3の参照電圧VEN3は以下の式を満たす必要がある。
EN3=Vz−Vth+Vf>VEN1
そうしなければイネーブル出力端子ENがハイHになれないからである。なお、第3の参照電圧VEN3とは別に第2の参照電圧VEN2が存在する。これについては後述する。
【0030】
図3は、図2のイネーブル信号生成回路におけるイネーブル入力電圧VENとイネーブル入力端子ENの消費電流IENとMOSトランジスタM11のドレイン電圧VDとソース電圧VSとイネーブル出力端子ENの関係を示す。
【0031】
図3(a)は、イネーブル出力端子ENとイネーブル入力電圧VENとの関係を示す。第1の参照電圧VEN1を超えると出力がハイHになる。イネーブル出力端子ENがハイHに置かれた後イネーブル入力電圧VENを下げていき、第2の参照電圧VEN2より下がるとイネーブル出力端子ENはロウLになることを示す。すなわち、イネーブル入力電圧VENを上げていった場合と下げていった場合にハイHとロウLとの切り替わる電圧が異なるという、ヒステリシス特性を示す。こうしたヒステリシス特性はMOSトランジスタM12のオン、オフによって生成される。
イネーブル検出回路がヒステリシスを持たない場合、イネーブル出力端子ENをロウLからハイHへ変化させた瞬間に、イネーブル入力端子ENにノイズが入ると、本来ハイHを保持しないといけないイネーブル出力端子ENが、一瞬ロウLになることが起こる。またこの逆も起こりうる。このような誤動作を防ぐために閾値にヒステリシスを持たすことが一般的である。
【0032】
ここで、図3(a)に示した第1の参照電圧VEN1及び第2の参照電圧VEN2を求めるために再度、図2の説明に戻る。
【0033】
図2において、差動形式を成しイネーブル検出回路を構成するバイポーラトランジスタQ13とバイポーラトランジスタQ14のエミッタ面積比は1:N(Nは1以上の自然数)に設定されている。これによりVlnNのオフセット電圧Voffsetを発生させている。ここで熱電圧V=KT/qであり、qは電子の電荷、Kはボルツマン定数、Tは絶対温度であり、常温での熱電圧Vは、約26mVであることが知られている。図2において、イネーブル出力端子ENがハイHを出力する第1の参照電圧VEN1は、数式(1)を満たすときである。
lnN≦(VEN1−V)*r12/rTotal …(1)
【0034】
図2にはイネーブル検出回路をバイポーラトランジスタで構成したものを示した。しかし、バイポーラトランジスタQ13及びバイポーラトランジスタQ14をMOSトランジスタに置き換えることも可能である。この場合にはオフセット電圧は、2つのMOSトランジスタのゲート・ソース間の閾値電圧を異なるようにゲート幅、ゲート長を調整してやると良い。
【0035】
イネーブル出力端子ENがハイHになるとMOSトランジスタM12がオンし、抵抗R14がショートされる。これによりイネーブル出力端子ENがロウLを出力する第2の参照電圧VEN2は、数式(2)を満たすときである。
lnN≧(VEN2−V)*r12/(r11+r12+r13) …(2)
ここで
=(VEN1−V)、V=(VEN2−V
とみなすと、数式(1)、(2)より
≧V(RTotal/(r11+r12+r13))
となる。
【0036】
Total/(r11+r12+r13)>1
であるので、V>Vとなる。ここで
V1=(VEN1−Vf)、V2=(VEN2−Vf)
とすると、VEN1>VEN2となる。このことから、ヒステリシスコンパレータを構成できていることがいえる。
【0037】
また、上式より第1の参照電圧VEN1と第2の参照電圧VEN2はそれぞれ数式(3)及び数式(4)で表わされる。
EN1=VlnN*rTotal/r12+Vf …(3)
EN2=VlnN*(r11+r12+r13)/r12+Vf …(4)
【0038】
数式(3),(4)に基づき第2の参照電圧VEN2を第1の参照電圧VEN1を用いて表すと数式(5)で表される。
EN2=VEN1−(r14/r12)VlnN …(5)
なお、数式(5)で抵抗値r14は抵抗R14の抵抗値であるが、抵抗値r14は、抵抗rTotalから抵抗値(r11+r12+r13)を差し引いた大きさに等しいので数式(5)に置き換えることができる。
【0039】
数式(5)から明らかになるように、第1の参照電圧VEN1と第2の参照電圧VEN2との差は所定の関係をもって設定される。これによって、ヒステリシス特性の精度を高めることができる。
【0040】
本発明の一実施の形態ではバイポーラトランジスタを差動形式で用い両者トランジスタの間にオフセット電圧を持たせるようにしたが、MOSトランジスタの閾値電圧に差を持たせて設定してもかまわない。MOSトランジスタでオフセット電圧を生成する時には2つのMOSトランジスタのゲート幅及びゲート長のいずれか一方を調整して行うとよい。
【0041】
図3(b)は、イネーブル入力端子ENの消費電流IENとイネーブル入力電圧VENとの関係を示す。特性Y1は本発明によって提供される。特性Y2は本発明が完全に適用されない場合を示す。特性Y1,Y2とも消費電流IENは、第3の参照電圧VEN3(Vz−Vth+Vf)までの区間、イネーブル入力電圧VENに比例して増加する。イネーブル入力電圧VENが第3の参照電圧VEN3を超えると本発明が適用される特性Y1から分かるように、消費電流IENはほぼ一定となり、消費電流IENの増加による消費電力の増加を抑制できていることが分かる。一方、本発明が適用されない特性Y2は、イネーブル入力電圧VENに比例して増加し、消費電力の増加が抑制できていないことが分かる。
【0042】
図3(c)は、ドレイン電圧VDとソース電圧VSとイネーブル入力電圧VENとの関係を示す。第3の参照電圧VEN3を超えるまでは、MOSトランジスタM11のドレイン電圧VDは、VD=(VEN−V)であり、MOSトランジスタM11のソース電圧VSは、VS=VDが成り立ち、その後第3の参照電圧VEN3を越えるとVS=(Vz−Vth)が成り立つことを示す。
【0043】
図4は、本発明の別の実施の形態の回路図を示す。図4に示すイネーブル信号生成回路は、イネーブル入力端子ENから接地電位GNDに向かってNチャネルMOSトランジスタM21のドレイン・ソース導電路、カレントミラー回路を構成するトランジスタQ21,Q22、及び抵抗R21〜抵抗R24で構成される参照電圧生成回路が、この順で接続されている。
【0044】
図4のイネーブル信号生成回路が、図2と異なる点はバイポーラトランジスタQ21,Q22で構成したカレントミラー回路をイネーブル入力端子ENに直結するのではなく、MOSトランジスタM21のソースSに接続したことである。こうした回路構成によれば、バイポーラトランジスタQ21,Q22には比較的高いイネーブル入力電圧VENが印加されないので低耐圧トランジスタで構成できる。
【0045】
しかし電源電圧VCCが十分に高くない場合は、バイポーラトランジスタQ22のエミッタ−コレクタ間電圧を十分に確保できないことが起こりうるので、電源電圧VCCの大きさに配慮しなければならない。例えば電源電圧VCC=2V程度の時には、MOSトランジスタM21のゲート・ソース間の閾値電圧Vthを仮に0.7VとみなすとMOSトランジスタM21のソース電圧VSは、
VS=VCC−Vth=2.0−0.7=1.3[V]
程度となる。したがって、バイポーラトランジスタQ21のベース電圧VB21およびコレクタ電圧VC21
VB21=VC21=1.3−0.7=0.6[V]
程度となる。ここで抵抗R21による電圧降下が0.1[V]程度とみなすと、バイポーラトランジスタQ24のベース電圧VB24が、
VB24=0.6−0.1=0.5[V]
程度となる。したがって、バイポーラトランジスタQ24のエミッタ電圧VE24は、
VE24=0.5+0.7=1.2[V]
程度となる。この時、バイポーラトランジスタQ22のエミッタ電圧VE22=VS=1.3[V]、コレクタ電圧VC22=VE24=1.2[V]となりエミッタ−コレクタ間電圧が十分に確保できなくなる。
【0046】
本発明では、クランプ回路にツェナーダイオードを使用したが、推奨されるツェナーダイオードは温度係数が低くほぼ0に近い値のものである。一般的にツェナー電圧が5.2V付近のものが最も温度係数が小さいため、本提案回路でもそのツェナーダイオードを用いることを推奨する。
【0047】
また、本回路よりも低い電圧でクランプしたいときは、よりツェナー電圧の低いツェナーダイオードを用いるか、ダイオードの直列接続を用いればよい。しかし、温度係数に注意しておく必要がある。負の温度係数を持っているため、温度が上がれば上がるほど、クランプ電圧が下がるということに配慮しなければならない。
【0048】
また、本回路よりも高い電圧でクランプしたいときは、よりツェナー電圧の高いツェナーダイオードを用いる。もしくは、ツェナーダイオードにダイオードの直列接続を用いる。どちらの場合も温度係数に注意して使用する。しかし、ツェナーダイオードとダイオードの直列接続の場合は、正と負の温度係数同士が打ち消しあうことが考えられるので、こちらの使用方法が推奨される。ただし、クランプ電圧が高くなるということは消費電流が大きくなるということに注意する必要がある。
【0049】
本発明では、オフセットコンパレータの差動入力部をバイポーラトランジスタで表わしたが、当然MOSトランジスタでも同様のことが実現可能であることは言うまでもない。
【0050】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、近年求められている省電力化に大いに貢献するイネーブル信号生成回路である。そのため、本発明は、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0052】
CC1 クランプ回路
CP1 コンパレータ
EN イネーブル入力端子
EN イネーブル出力端子
GND 接地電位
EN 消費電流
INV11,INV21 インバータ
M11−M13,M21−M23,M31−M32 MOSトランジスタ
Q11−Q16,Q21−Q26 バイポーラトランジスタ
R11−R17,R21−R27,R31−R34 抵抗
VCC 電源電圧
VD ドレイン電圧
Vdrop 抵抗R32の両端間の電圧
EN イネーブル入力電圧
EN1 第1の参照電圧
EN2 第2の参照電圧
EN3 第3の参照電圧
Vf 順方向電圧
Voffset オフセット電圧
VS ソース電圧
Vth ゲート閾値電圧
Vz ツェナー電圧
ZD11,ZD21 ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4