特許第6791716号(P6791716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791716
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20201116BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   E06B9/58 A
   E06B9/13 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-205345(P2016-205345)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-66188(P2018-66188A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋一
(72)【発明者】
【氏名】堤 貴洋
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−169584(JP,A)
【文献】 特開2008−169589(JP,A)
【文献】 特開2015−48613(JP,A)
【文献】 特開2016−44499(JP,A)
【文献】 実開昭62−49595(JP,U)
【文献】 特開2011−99270(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0698757(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する可撓性シート状の開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着されるとともに該開閉体の面から厚み方向へ突出する係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を前記係合子よりも幅の狭い開口のガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸とを備え、
前記ガイドレールは、その閉鎖方向端部側に、前記ガイド溝の開口が弾性的に拡がるのを抑制する剛性部を有し、且つ、前記剛性部よりも開放方向側に、前記ガイド溝の開口を弾性的に拡げて前記係合子を通過可能な弾性部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記ガイドレールは、開閉体開閉方向へ連続して前記ガイド溝を有するレール本体と、該レール本体における閉鎖方向端部側の一部分に装着されて該レール本体の溝幅拡大方向への弾性変形を抑制する補強部材とを備えることで、前記補強部材を有する部分を前記剛性部とし、前記補強部材を有さない部分を前記弾性部としていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記レール本体に対し開閉体厚さ方向の両側に位置して前記レール本体の弾性変形を抑制する二つの側壁部と、これら側壁部を溝底側で連結する底壁部とを一体的に具備していることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
レール本体の閉鎖方向端部側には、前記係合子を開閉体厚さ方向へ逃がすための切欠部が設けられ、前記補強部材は、前記切欠部よりも開放方向側に配置されていることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記二つの側壁部は、前記レール本体に対し開閉体厚さ方向の両側から接触又は近接する両接触片部と、これら両接触片部からそれぞれ延設されて開閉体厚さ方向の間隔を徐々に拡げている両傾斜片部とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記レール本体は、不動部位に対し、開閉体横幅方向へ所定量移動するように支持されるとともに、付勢部材によって開閉体横幅方向へ拡がる方向へ付勢されていることを特徴とする請求項2乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記レール本体は、不動部位に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項2乃至6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
前記レール本体は、該レール本体よりも開閉体厚さ方向の幅が広い着脱プレートに支持され、前記着脱プレートが不動部位に対し着脱可能に止着されていることを特徴とする請求項2乃至6何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部や内部に配設され、開閉体によって空間を仕切ったり開放したりする開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、空間を仕切るようにして閉鎖動作するシートカーテン(11)と、シートカーテン(11)の横幅方向端部に止着された係合子(17)と、係合子(17)を含むシートカーテン(11)の横幅方向の端部側を係合子(17)よりも幅の狭い開口のガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内する縦レール部材(10a)と、縦レール(10a)の上方側で回転するシート駆動ギヤ(12)とを備え、シート駆動ギヤ(12)の外周に係合子(17)を噛み合わせてシートカーテン(11)を繰り出したり引き込んだりするようにした複合シャッターがある。なお、前記括弧内の数値は、特許文献1に用いられた符号である。
この従来技術によれば、閉鎖動作中のシートカーテン(11)が障害物に当接した場合に、係合子(17)を縦レール部材(10a)から外部に抜け出させて、シートカーテン(11)を撓ませて、その当接の際の衝撃を緩和することができる。また、このシートカーテン(11)を開放動作した際には、係合子(17)をアクセス通路(20)に挿通して、縦レール内に戻すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−169588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、例えば、シートカーテン(11)が閉鎖状態において強風で煽られた場合に、縦レール部材(10a)の下端側において、係合子(17)が、縦レール部材(10a)の内壁を押圧し変形させ、縦レール部材(10a)から外部に抜け出て、シートカーテン(11)による閉鎖性が損なわれてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する可撓性シート状の開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着されるとともに該開閉体の面から厚み方向へ突出する係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を前記係合子よりも幅の狭い開口のガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸とを備え、前記ガイドレールは、その閉鎖方向端部側に、前記ガイド溝の開口が弾性的に拡がるのを抑制する剛性部を有し、且つ、前記剛性部よりも開放方向側に、前記ガイド溝の開口を弾性的に拡げて前記係合子を通過可能な弾性部を有することを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、ガイドレールの閉鎖方向端部側で、係合子がガイドレールから外れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2】同開閉装置の縦断面図であり、開閉体の全開状態を示す。
図3】開閉体の要部拡大図である。
図4】ガイドレールの要部拡大斜視図である。
図5】ガイドレールを開口側から視た要部拡大図である。
図6】ガイドレールの要部横断面図である。
図7】ガイドレールの要部横断面図であり、着脱プレートを固定支持プレートから外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態の第1の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する可撓性シート状の開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着されるとともに該開閉体の面から厚み方向へ突出する係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を前記係合子よりも幅の狭い開口のガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸とを備え、前記ガイドレールは、その閉鎖方向端部側に、前記ガイド溝の開口が弾性的に拡がるのを抑制する剛性部を有し、且つ、前記剛性部よりも開放方向側に、前記ガイド溝の開口を弾性的に拡げて前記係合子を通過可能な弾性部を有する。
この構成によれば、閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接した場合には、弾性部の変形により係合子をガイドレールから離脱させて、その当接時の衝撃を緩和することができる。また、開閉体の閉鎖時には、開閉体が強風等により煽られて、開閉体閉鎖方向側において係合子がガイドレールを変形させて該ガイドレールから抜け出てしまうのを、剛性部によって防ぐことができる。
【0009】
第2の特徴として、前記ガイドレールは、開閉体開閉方向へ連続して前記ガイド溝を有するレール本体と、該レール本体における閉鎖方向端部側の一部分に装着されて該レール本体の溝幅拡大方向への弾性変形を抑制する補強部材とを備えることで、前記補強部材を有する部分を前記剛性部とし、前記補強部材を有さない部分を前記弾性部としている。
【0010】
第3の特徴として、前記補強部材は、前記レール本体に対し開閉体厚さ方向の両側に位置して前記レール本体の弾性変形を抑制する二つの側壁部と、これら側壁部を溝底側で連結する底壁部とを一体的に具備している(図6参照)。
【0011】
第4の特徴として、レール本体の閉鎖方向端部側には、前記係合子を開閉体厚さ方向へ逃がすための切欠部が設けられ、前記補強部材は、前記切欠部よりも開放方向側に配置されている(図5参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記二つの側壁部は、前記レール本体に対し開閉体厚さ方向の両側から接触又は近接する両接触片部と、これら両接触片部からそれぞれ延設されて開閉体厚さ方向の間隔を徐々に拡げている両傾斜片部とを有する(図6参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記レール本体は、不動部位に対し、開閉体横幅方向へ所定量移動するように支持されるとともに、付勢部材によって開閉体横幅方向へ拡がる方向へ付勢されている(図6参照)。
【0014】
第7の特徴として、前記レール本体は、不動部位に対し着脱可能に設けられている(図7参照)。
【0015】
第8の特徴として、前記レール本体は、該レール本体よりも開閉体厚さ方向の幅が広い着脱プレートに支持され、前記着脱プレートが不動部位に対し着脱可能に止着されている(図7参照)。
【0016】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する可撓性シート状の開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着されるとともに該開閉体の面から厚み方向へ突出する係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を前記係合子よりも幅の狭い開口のガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内するレール本体と、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸とを備え、前記レール本体は、不動部位に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする(図7参照)。
この発明によれば、レール本体の交換や修理等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」及び「開閉体の横幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない前記開閉体の幅方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において開閉体の「面方向」とは、閉鎖状態で開閉体の表面又は裏面が連続する方向を意味し、この方向には、前記開閉体開閉方向及び前記開閉体幅方向を含む。
【0018】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
この開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、この開閉体10の横幅方向端部の係合子12を開閉方向へ案内するガイドレール20と、ガイドレール20の開放方向側で開閉体10を収納したり繰り出したりする収納部30とを備え、シャッター装置を構成している。
【0020】
開閉体10は、可撓性シート状の開閉体本体11と、この開閉体本体11の幅方向の端部に開閉方向へわたって止着された複数の係合子12とを具備している。
【0021】
開閉体本体11は、当該開閉装置1によって開閉される開口部の略全面を覆う広さの矩形状に形成される。この開閉体本体11は、単一の可撓性シートから形成してもよいし、複数毎の可撓性シートを開閉方向及び/又は横幅方向に接続したものであってもよい。
前記可撓性シートは、合成樹脂製のシート材(例えば、塩化ビニル樹脂シート材等)である。
なお、この可撓性シート材の他例としては、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材、遮煙性や耐火性(難燃性を含む)を有するその他のシート材とすることが可能である。
【0022】
この開閉体本体11の下端側には、縦断面袋状の座板部11aが形成される。この座板部11aは、開閉体本体11とは別体のシート材を断面袋状に加工して開閉体本体11の下端に止着した態様や、開閉体本体11の下端側を袋状に曲げて縫い合わせた態様等とすればよい。
この座板部11aは、左右のガイドレール20,20間の幅よりも狭く形成され、ガイドレール20内には挿入されていない。
【0023】
係合子12は、硬質の剛性樹脂材料や金属材料等から形成された円柱状の部材である。
この係合子12は、開閉体本体11の横幅方向端部側で、中心軸を開閉体横幅方向へ向けて開閉方向へ複数並ぶように設けられ、それぞれが、開閉体本体11に止着されている。
この係合子12の外径は、開閉体本体11の厚み寸法よりも大きく設定される。したがって、各係合子12の外周面は、開閉体本体11の面から開閉体厚さ方向へ突出している。
【0024】
ガイドレール20は、開閉体10の横幅方向の両端部側にそれぞれ設けられる。各ガイドレール20は、係合子12を含む開閉体10の横幅方向端部側を、係合子12よりも幅の狭い開口を有するガイド溝21aによって囲んで開閉方向へ案内する。
このガイドレール20は、その閉鎖方向端部側に、ガイド溝21aの開口が弾性的に拡がるのを抑制する剛性部Aを有し、且つ、剛性部Aよりも開放方向に、ガイド溝21aの開口を弾性的に拡げて係合子12を通過可能にする弾性部Bを有する。
【0025】
詳細に説明すれば、このガイドレール20は、開閉体10の横幅方向端部側を横断面凹状に囲むレール本体21と、レール本体21における閉鎖方向端部側の一部分に装着されてレール本体21の溝幅拡大方向への弾性変形を抑制する補強部材22と、レール本体21を支持する支持ブラケット23と、これらレール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23を、開閉体横幅方向へ所定量移動するように支持する着脱プレート24(不動部位)と、該着脱プレート24が着脱可能に止着される固定支持プレート25とを有する。
【0026】
このガイドレール20において、剛性部Aは、補強部材22によって覆われたレール本体21の下側の部分である。また、弾性部Bは、補強部材22によって覆われていないレール本体21の上側の部分であり、補強部材22と収納部30の間の範囲に位置する。
【0027】
剛性部Aの高さ寸法は、閉鎖動作中の開閉体10によって当接されることが想定される障害物(例えば、フォークリフト等)の高さよりも短く設定される。
この剛性部Aは、前記障害物を感知するための障害物感知センサ28よりも下側に位置する。特に、図示例では、剛性部Aの上端近傍に、障害物感知センサ28が位置している。
この障害物感知センサ28は、障害物を非接触感知するセンサ(例えば、光電管センサ等)であり、その感知信号を収納ケース31内の制御回路34に送信する。制御回路34は、前記感知信号があった場合に、閉鎖動作中の開閉体10を停止や反転等する。
【0028】
弾性部Bは、開閉体10が障害物に当接した場合に係合子12がガイドレール20から外れることにより、障害物に対する衝撃を緩和するとともに開閉体10の損傷等も緩和する目的で設けられているため、ガイドレール20におけるある程度の開閉方向の範囲を有していることが必要である。このため、剛性部Aのガイドレール20における開閉方向の範囲が大きすぎることは好ましくなく、剛性部Aの開閉方向の範囲は、開閉体10がレール本体21から抜け出るのを防止し開閉体10による閉鎖性を維持できる必要最小限の範囲であることが好ましい。このような観点から剛性部Aの高さ寸法は、ガイドレール20全長の1/2程度以下であることが好ましく、さらにはガイドレール20全長の1/3または1/4程度以下であることが好ましい。
【0029】
レール本体21は、係合子12よりも幅の狭い開口のガイド溝21aを有する横断面略凹状の部材であり、当接対象部位X(例えば、床面や下枠等)との間に若干の隙間を置いてその上方へ連続し、その上端部を収納部30に接続している。
このレール本体21は、ガイド溝21aの両側壁を弾性的に撓ませて、開口幅を変化させるように、適宜な弾性を有する合成樹脂材料によって形成されている。
なお、図示を省略するが、下端側において、レール本体21の両側(図5によれば左右側)には、レール本体21内への害虫や異物の侵入を防ぐようにブラシ状部材が設けられる。
【0030】
図6に示すように、ガイド溝21aは、その開口側の両内壁に、内向き突起21a1,21a1を有する。これら内向き突起21a1,21a1の幅は、係合子12の外径よりも狭く、且つ開閉体本体11の厚みよりも大きく設定される。
そして、ガイド溝21aは、内向き突起21a1,21a1よりも溝底側の部分を係合子12の外径よりも若干大きく形成し、挿通される係合子12が上方方向へ移動するようにしている。
【0031】
また、レール本体21におけるガイド溝21aよりも反開口側(図6によれば左側)の両側面には、それぞれ、嵌合溝21a2が上下方向へ連続して設けられる。
これら嵌合溝21a2,21a2には、後述する支持ブラケット23が嵌り合っている。
【0032】
レール本体21の閉鎖方向端部側には、係合子12を開閉体厚さ方向へ逃がすための切欠部21bが設けられる(図5参照)。
この切欠部21bは、レール本体21のガイド溝21aにおける両側壁のうち、その一方の側壁の下端側を、係合子12を挿通可能に切欠したものである。
【0033】
そして、レール本体21は、支持ブラケット23を介して、該レール本体21よりも開閉体厚さ方向の幅が広い着脱プレート24に支持される。
支持ブラケット23は、金属材料からなる横断面C字状の部材であり、その開口端部を、レール本体21の嵌合溝21a2,21a2に嵌め合わせて、レール本体21を不動に支持している。この支持ブラケット23は、全閉時の開閉体10の当接対象部位と収納部30の間にわたるように上下方向へ連続している。
【0034】
補強部材22は、剛性の比較的高い金属材料から形成され、レール本体21における下端側に部分的に装着されて、レール本体21の溝幅拡大方向への弾性変形を抑制する剛性部Aを構成している。
この補強部材22は、レール本体21の切欠部21bを露出するように、該補強部材22の下端部を切欠部21bよりも若干上側に配置している。
【0035】
詳細に説明すれば、補強部材22は、レール本体21に対し開閉体厚さ方向の両側に位置してレール本体21の弾性変形を抑制する二つの側壁部22a,22aと、これら側壁部を溝底側で連結する底壁部22bとを一体的に具備している。
二つの側壁部は、前記レール本体に対し開閉体厚さ方向の両側から接触又は近接する両接触片部22a1,22a1と、これら両接触片部22a1,22a1からそれぞれレール底部側へ延設されて開閉体厚さ方向の間隔を徐々に拡げている両傾斜片部22a2,22a2とを有する。
これら傾斜片部22a2,22a2によれば、レール本体21におけるガイド溝21aの開口が弾性的に拡がるのを効果的に抑制することができる。
【0036】
上記構成のレール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23は、着脱プレート24に対し、開閉体横幅方向へ所定量移動するように支持され、且つ付勢部材27によって開閉体横幅方向へ拡がる方向へ付勢されている。
詳細に説明すれば、レール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23は、着脱プレート24に遊挿された軸状部材26の端部側に固定されている。そして、この軸状部材26には、圧縮コイルスプリングである付勢部材27が環状に装着されている。この付勢部材27は、一端側が着脱プレート24に係止され、他端側が軸状部材26の他端側に係止されており、軸状部材26を開閉体横幅方向へ拡がる方向(図6によれば左方向)へ付勢している。
【0037】
着脱プレート24は、当接対象部位Xと収納部30の間にわたる金属板であり、図示例によれば、横断面略L字状に形成される。
この着脱プレート24は、補強部材22の底壁部22bの裏面を受けるとともに、貫通孔(図示せず)に軸状部材26を遊挿し、止着具24c(例えば、ネジ又はボルト等)によって固定支持プレート25に止着固定されている。
この着脱プレート24の下端には、閉鎖動作した際の開閉体10が、万が一、全閉位置で停止しなかった場合に、該開閉体10の下端側の係合子12を当接させるための被当接片24aや、係合子12を外部へ逃がすための切欠部24b等が設けられる(図5参照)。
【0038】
被当接片24aは、レール本体21の下方に設けられた板状の部材である。なお、この被当接片24aを省き、係合子12を床面等に当接させて外部へ逃がすようにしてもよい。
【0039】
固定支持プレート25は、当接対象部位Xと収納部30の間にわたる金属板であり、図示例によれば、横断面略クランク形状に形成される。この固定支持プレート25は、不動部位(例えば、当該開閉装置1の設置対象物等)に対し固定されている。
【0040】
なお、着脱プレート24及び固定支持プレート25の断面形状は、図示例に限定されるものでない。
また、着脱プレート24及び固定支持プレート25の周囲には、レール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23や、レール本体21及び補強部材22等を覆い隠すように、必要に応じて、化粧プレート29が設けられる。
【0041】
上記構成のガイドレール20によれば、開閉体本体11の撓み等に起因して、係合子12が開閉体10中央側へ引っ張られると、これに追従するようにして、レール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23が、付勢部材27の付勢力に抗して、開閉体10中央側へ移動する。
また、前記引っ張り力が除去されると、レール本体21,補強部材22及び支持ブラケット23は、付勢部材27の付勢力によって元の位置に戻される。
【0042】
収納部30は、開閉体横幅方向へ長尺な直方体箱状の収納ケース31内に、開閉体10の係合子12を上半部側に噛み合わせて開閉方向に対する交差方向へ導く開閉駆動軸32と、開閉駆動軸32よって導かれた開閉体10を巻き取る巻取軸33とを具備している。
【0043】
開閉駆動軸32は、軸方向の端部側に係合子12と噛み合うギヤを有する略円筒状の部材であり、その軸心部がブラケット等を介して不動部位に回転自在に支持されている。
この開閉駆動軸32の内部又は端部側には、該開閉駆動軸32を駆動回転させるための開閉機(図示しないモータ)や、該開閉機の回転力を該開閉駆動軸32に伝達する歯車機構等が設けられる。
【0044】
また、巻取軸33は、開閉体10の開放方向側の端部を外周面に止着した略円筒状の部材であり、その両端側が収納ケース31に回転自在に支持されている。この巻取軸33は、内在する付勢部材(図示しないコイルスプリング)により巻き取り方向へ付勢されている。
【0045】
収納ケース31は、開閉体横幅方向へ長尺な直方体状に構成され、その下端側に、ガイドレール20の上端側に連通し、開閉体10を繰り出したり引き込んだりする開口部31aを有する。
この開口部31aの内縁と、ガイドレール20における切欠部21b側の外面との間には、開閉体10の開放動作時に、ガイドレール20から外れた係合子12を通過させるための隙間31a1が設けられる。すなわち、開閉体10の閉鎖動作中、係合子12がガイドレール20から外れた場合、この係合子12は、開閉体10の開放動作の際に前記隙間31a1を通って、レール本体21の真上側に戻される。
【0046】
次に上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体10の閉鎖動作中、この開閉体10の下端が、障害物(例えば、フォークリフト等)に当接した場合、開閉体本体11の下端側が上方へ折れ曲がるようにして撓み、該開閉体本体11の横幅方向端部側の係合子12が開閉体10中央側へ強く引っ張られ、レール本体21の弾性部Bを弾性変形させて、レール本体21から外れる。
したがって、前記障害物に対する衝撃を緩和することができる。
【0047】
レール本体21から外れた係合子12は、上述したように、開閉体10の開放動作の際に、収納ケース31下端の隙間31a1(図2参照)を通過して、収納ケース31内におけるレール本体21の真上側へ収納される。したがって、再度閉鎖動作が行われる際には、係合子12が、レール本体21内へ挿入される。
【0048】
また、開閉体10の全閉状態において、強風等に起因して、開閉体10の下端側で、係合子12が開閉体10中央側へ強く引っ張られた場合には、レール本体21の開口が拡がるのを剛性部Aの補強部材22により抑制し、該係合子12がレール本体21から抜け出るのを防ぐことができる。よって、全閉状体の開閉体10による閉鎖性を維持することができる。
特に、本実施の形態の好ましい一例によれば、補強部材22が傾斜片部22a2を有する形状としているため、この傾斜片部22a2によって、側壁部22aの変形を効果的に抑制することができる。
【0049】
なお、係合子12が開閉体10の中央側へ引っ張られた際の移動量が比較的小さい場合には、この移動に、レール本体21,補強部材22、支持ブラケット23及び軸状部材26等が追従するため、係合子12が簡単にレール本体21から脱落してしまうのを防ぐことができる。
【0050】
また、調整不良等により、閉鎖動作した際の開閉体10が全閉位置で停止しなかった場合には、開閉体10の下端側の係合子12を外部へ逃がして(図5参照)、開閉体10上部側の係合子12が開閉体10の弛みにより開閉駆動軸32から外れるのを防ぐことができる。
【0051】
また、長期使用により摩耗したレール本体21を交換する場合等、メンテナンス時には、ガイドレール20から止着具24cを着脱して、レール本体21、補強部材22、支持ブラケット23、軸状部材26、付勢部材27及び着脱プレート24等を一体的に取り外したり装着したりすることができ、その作業性が良好である(図7参照)。
【0052】
なお、上記実施態様によれば、レール本体21の下端側を補強部材22によって覆うことにより剛性部Aを構成するようにしたが、この剛性部Aの他例としては、レール本体21の下端側を部分的に剛性の高い材料とした態様等とすることも可能である。
【0053】
また、上記実施態様では、特に好ましい具体例として、補強部材22に傾斜片部22a2を設けたが、補強部材22の他例としては、傾斜片部22a2を有さない横断面コ字状や、その他の形状とすることも可能である。
【0054】
また、上記実施態様によれば、レール本体21、補強部材22、支持ブラケット23、軸状部材26、付勢部材27及び着脱プレート24等の複数の部材を一体的に着脱できる態様としたが、他例としては、レール本体21のみを着脱可能にする態様や、レール本体21と他の一部の部材のみを着脱可能にする態様とすることも可能である。
【0055】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
10:開閉体
11:開閉体本体
12:係合子
20:ガイドレール
21:レール本体
21a:ガイド溝
22:補強部材
22a:側壁部
22a1:接触片部
22a2:傾斜片部
22b:底壁部
24:着脱プレート
25:固定支持プレート
26:軸状部材
27:付勢部材
30:収納部
32:開閉駆動軸
33:巻取軸
A:剛性部
B:弾性部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7