(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
図1および
図2を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、従来の販売システムの一例を示す図である。
図2は、本発明の概要を示す図である。
【0018】
図1に示すように、従来の販売システムにおいて、取引先に設定した内容から債権債務管理情報を紐付けてマスタで管理していた。ここで、債権管理における売上計上時(債権計上時)の売上伝票に含まれる債権管理情報は、請求先マスタにより決定められていた。しかしながら、この方法では、請求先マスタから得た債権管理情報の変更、または、債権計上後の変更等ができず、取引先の管理および運用が煩雑になる場合があった。
【0019】
例えば、
図1の例(1)に示すように、一つの企業(請求先A)に対して、当該企業の各拠点(A営業所、B営業所、C営業所の3か所)で取引が存在し、且つ、取引通貨がJPY(日本円)、USD(米ドル)と2種類ある場合に、(企業の拠点数「3」に取引通貨の種類「2」を掛けた)6つの取引先コードを請求先マスタに設定する必要があった。
【0020】
また、例えば、
図1の例(2)に示すように、EUR(ユーロ)による取引が各拠点に対して更に発生した場合、各拠点用に3つの取引先コードを請求先マスタに設定する必要があった。
【0021】
したがって、例えば、
図1の例(3)に示すように、請求先Aに対して横浜営業所で取引が発生した後、横浜営業所が東京営業所と統合され、債権が東京営業所管轄に変更された場合、債権を横浜営業所から東京営業所への修正仕訳が必要となる。しかしながら、従来の販売システムでは、請求先マスタの値を変更(請求先マスタの債権管理事業所の項目を、「横浜」から「東京」に変更)しただけでは仕訳は発生しないため、債権管理事業所が「東京」の請求先マスタのデータを新たに設ける必要があった。すなわち、従来の販売システムでは、正しい事業所の取引先コードが請求先マスタに新たに設定されている必要があった。
【0022】
このように、従来の販売システムでは、債権債務管理情報が変更または追加になる度に取引先を新たに追加する必要があり、その件数が膨大となると運用や管理が煩雑になるというマスタ管理上の問題点があった。そこで、取引データ単位で管理することも考えられるが、各取引データに対して都度情報を設定するのは運用が煩雑になるおそれがあった。
【0023】
そこで、
図2に示すように、本実施形態においては、債権債務管理情報を管理する際の入力時における負荷を軽減し、精度を向上させるために、システムに基本動作を持たせる仕組みを提供している。ここで、本実施形態においては、計上時に債権債務管理事業所および取引通貨等を宣言するようにしている。
【0024】
また、
図2に示す債権管理を行う場合、ユーザにより請求先が選択された場合、当該請求先の売上入力時に、当該債権管理情報が初期表示され、ユーザは、初期表示された債権管理情報のうち、債権管理事業所、債権管理部門、および、通貨(取引通貨)等を自由に変更できるようにしている。
【0025】
図2に示すように、1つの請求先に対して、拠点(A営業所、B営業所、C営業所)毎で取引が存在し、且つ、取引通貨がJPY、USDであった場合(例えば、
図1の例(1)等)でも、初期表示された債権管理情報のうち、債権管理事業所および通貨の項目を修正入力すればよい。また、本実施形態においては、EURによる取引が発生した場合(例えば、
図1の例(2)等)でも、初期表示された債権管理情報のうち、通貨の項目を修正入力すればよい。
【0026】
また、本実施形態においては、
図1の例(3)のように、債権管理事業所が取引途中で変更になった場合(例えば、
図1の例(3)等)でも、債権管理事業所の項目のデータを「横浜」から「東京」へ修正する入力を行い、振替の仕訳を発生させればよい。このように、本実施形態においては、1つの請求先に複数の拠点、複数の取引通貨がある場合に、事業所等の変更がある場合あった際でも、請求先コード1つ(初期表示用の債権管理情報)を用意しておくだけで運用可能となっている。
【0027】
[2.構成]
本実施形態に係る債権債務管理装置の構成の一例について、
図3を参照して説明する。
図3は、債権債務管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
債権債務管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、債権債務管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0029】
債権債務管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。債権債務管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0030】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、債権債務管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、債権債務管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0031】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、基本情報ファイル106a、取引データファイル106j、および、入力権限ファイル106kを備えている。
【0032】
基本情報ファイル106aは、取引先の取引先データに、初期表示用の債権債務管理事業所の事業所データと、初期表示用の債権債務管理部門の部門データと、を紐づけた基本情報を記憶する。ここで、基本情報ファイル106aは、更に、取引先データに、基本通貨の通貨データを紐づけた基本情報を記憶してもよい。また、取引先とは、請求先、または、支払先等であってもよい。
【0033】
ここで、
図3に示すように、基本情報ファイル106aは、請求先マスタ106b、部門マスタ106c、支払先マスタ106d、基本情報管理マスタ106e、担当者マスタ106f、オペレータ構成マスタ106g、販売共通セキュリティマスタ106h、および、セキュリティパターンマスタ106iを備えている。
【0034】
請求先マスタ106bは、取引先の債権債務管理事業所の事業所データと、担当者データと、基本通貨の通貨データとを含む基本情報を記憶するマスタである。
【0035】
なお、請求先マスタ106bは、例えば、コード(請求先コードおよび支払先コード)、請求先名、支払先名、請求先および支払先の代表事業所、担当者、ならびに、基本通貨などのデータを記憶するマスタであってもよい。
【0036】
部門マスタ106cは、取引先の債権債務管理事業所の事業所データと、取引先の債権債務管理部門の部門データとを含む基本情報を記憶するマスタである。
【0037】
なお、部門マスタ106cは、例えば、コード(担当者が所属する部門(所属部門)コード)、取引に係る伝票を計上する担当者の所属部門の名称、所属部門の請求先の事業所(債権管理事業所)、当該請求先の部門(債権管理部門)、所属部門の支払先の事業所(債務管理事業所)および当該支払先の部門(債務管理部門)などを記憶するマスタであってもよい。
【0038】
支払先マスタ106dは、取引先(支払先)の債権債務管理事業所の事業所データと、基本通貨の通貨データとを含む基本情報を記憶するマスタである。
【0039】
なお、支払先マスタ106dは、例えば、コード(支払先コード)、支払先名、支払先の代表事業所、担当者および基本通貨等のデータを記憶するマスタであってもよい。
【0040】
基本情報管理マスタ106eは、請求先マスタ106b、部門マスタ106c、または、支払先マスタ106dのいずれかに従って基本情報を出力装置114に初期表示するか否かを管理するマスタである。
【0041】
なお、基本情報管理マスタ106eは、例えば、債権管理事業所初期表示区分、および、債務管理事業所初期表示区分等の項目を含んでもよい。ここで、債権管理事業所初期表示区分には、「請求先マスタに従う」または「部門マスタに従う」旨を示す変数等を設定可能であり、債務管理事業所初期表示区分には、「支払先マスタに従う」または「部門マスタに従う」旨を示す変数等を設定可能であってもよい。
【0042】
担当者マスタ106fは、取引先の担当者が所属する部門の部門データを記憶するマスタである。
【0043】
なお、担当者マスタ106fは、例えば、コード(担当者コード)、担当者名および取引先の部門等を記憶するマスタであってもよい。
【0044】
オペレータ構成マスタ106gは、オペレータ(ユーザ)を識別するためのオペレータデータを記憶するマスタである。
【0045】
なお、オペレータ構成マスタ106gは、例えば、オペレータが所属するオペレータグループ、および、オペレータ名等を記憶するマスタであってもよい。
【0046】
販売共通セキュリティマスタ106hは、オペレータデータに紐付けて、オペレータが入力可能な基本情報に関する販売共通セキュリティデータを記憶するマスタである。
【0047】
なお、販売共通セキュリティマスタ106hは、例えば、オペレータが所属するオペレータグループ、セキュリティ区分およびパターンコード等を記憶するマスタであってもよい。
【0048】
セキュリティパターンマスタ106iは、販売共通セキュリティデータに紐付けて、
オペレータが入力可能な、取引先の債権債務管理事業所の事業所データ、取引先の債権債務管理部門の部門データ、および/または、取引通貨の通貨データに関するセキュリティパターンデータを記憶するマスタである。
【0049】
なお、セキュリティパターンマスタ106iは、例えば、パターンコード、および、セキュリティ要素(例えば、基本情報に含まれる項目等)を記憶するマスタであってもよい。
【0050】
取引データファイル106jは、取引先データを含む、取引先に対する債権または債務に関する取引データを記憶する。ここで、取引データは、債権債務管理情報、および、債権債務管理情報に対応する金額と取引日と取引方法とを含む取引詳細データを含んでいてもよい。また、取引データは、回収予定の債権に関する回収予定データ、または、支払予定の債務に関する支払予定データであってもよい。また、取引データファイル106jは、複数の回収予定データに基づく、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債権の合計金額を含む債権残高データ、および/または、複数の支払予定データに基づく、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債務の合計金額を含む債務残高データを記憶していてもよい。
【0051】
例えば、取引データは、取引先(請求先または支払先)との取引金額、取引先の債権債務管理事業所の事業所データ、取引先の債権債務管理部門の部門データ、および、取引通貨を示す通貨データを含んでいてもよい。
【0052】
また、回収予定データは、例えば、回収予定Guid、伝票番号、伝票行番号、事業所(債権管理事業所)、部門(債権管理部門)、取引通貨、請求先、金額、回収予定日、および、回収方法等を含んでいてもよい。
【0053】
また、支払予定データは、例えば、支払予定Guid、伝票番号、伝票行番号、事業所(債務管理事業所)、部門(債務管理部門)、取引通貨、支払先、金額、支払予定日、および、支払方法等を含んでいてもよい。
【0054】
入力権限ファイル106kは、ユーザが入力権限の無い債権債務管理事業所および債権債務管理部門に関する入力権限データを記憶する。
【0055】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0056】
制御部102は、債権債務管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、基本情報表示部102aと、取引データ取得部102bと、取引データ登録部102cと、入力権限チェック部102dと、紐付チェック部102eとを備えている。
【0057】
基本情報表示部102aは、ユーザ(オペレータ)により入力装置112を介して取引先データが選択された場合、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる事業所データと部門データとを変更可能に出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して当該基本情報が変更された場合、変更後の債権債務管理事業所の事業所データおよび/もしくは変更後の債権債務管理部門の部門データを含む変更データ、ならびに、当該基本情報の未変更データを含む債権債務管理情報を取得する。
【0058】
ここで、基本情報表示部102aは、ユーザにより入力装置112を介して取引先データが選択された場合、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる事業所データと部門データと通貨データとを変更可能に出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して当該基本情報が変更された場合、変更後の債権債務管理事業所の事業所データ、変更後の債権債務管理部門の部門データおよび/もしくは変更後の通貨の通貨データを含む変更データ、ならびに、当該基本情報の未変更データを含む債権債務管理情報を取得してもよい。
【0059】
また、基本情報表示部102aは、更に、入力権限チェック部102dにより入力権限が無いと判定された場合、エラー通知を出力装置114を介して出力させてもよい。また、基本情報表示部102aは、更に、紐付チェック部102eにより紐付けが無いと判定された場合、エラー通知を出力装置114を介して出力させてもよい。
【0060】
また、基本情報表示部102aは、ユーザにより入力装置112を介して取引先データが選択された場合、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる事業所データと部門データと通貨データとを変更可能に出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して当該基本情報が変更されなかった場合、基本情報を含む債権債務管理情報を取得してもよい。
【0061】
取引データ取得部102bは、ユーザに入力装置112を介して債権債務管理情報に対応する金額と取引日と取引方法とを含む取引詳細データを入力させるように制御し、債権債務管理情報と取引詳細データと含む取引データを取得する。ここで、取引データ取得部102bは、更に、複数の回収予定データに基づいて、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債権の合計金額を含む債権残高データを取得する、または、複数の支払予定データに基づいて、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債務の合計金額を含む債務残高データを取得してもよい。
【0062】
取引データ登録部102cは、取引データ取得部102bにより取得させた取引データを取引データファイル106jに登録する。ここで、取引データ登録部102cは、更に、債権残高データまたは債務残高データを取引データファイル106jに登録してもよい。
【0063】
入力権限チェック部102dは、変更後の債権債務管理事業所および変更後の債権債務管理部門の入力権限をチェックする。
【0064】
紐付チェック部102eは、変更後の債権債務管理事業所と変更後の債権債務管理部門との紐付けをチェックする。
【0065】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図4から
図17を参照して説明する。
【0066】
[債権債務管理処理]
ここで、
図4を参照して、本実施形態における債権債務管理処理の一例について説明する。
図4は、債権債務管理装置100における処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図4に示すように、まず、基本情報表示部102aは、オペレータにより入力装置112を介して取引先データが選択された場合、基本情報ファイル106aに記憶された、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる事業所データと部門データと通貨データとを変更可能に出力装置114に表示させる(ステップSA−1)。
【0068】
そして、基本情報表示部102aは、オペレータにより入力装置112を介して当該基本情報が変更された場合、変更後の債権債務管理事業所の事業所データ、変更後の債権債務管理部門の部門データおよび/もしくは変更後の通貨の通貨データを含む変更データ、ならびに、当該基本情報の未変更データを含む債権債務管理情報を取得する(ステップSA−2)。
【0069】
そして、入力権限チェック部102dは、変更後の債権債務管理事業所および変更後の債権債務管理部門の入力権限をチェックする(ステップSA−3)。
【0070】
そして、入力権限チェック部102dは、入力権限が無いと判定した場合(ステップSA−3:No)、処理をステップSA−4に移行させる。
【0071】
そして、基本情報表示部102aは、エラー通知を出力装置114を介して出力させ(ステップSA−4)、処理をステップSA−1に移行させる。
【0072】
一方、入力権限チェック部102dは、入力権限が有ると判定した場合(ステップSA−3:Yes)、処理をステップSA−5に移行させる。
【0073】
そして、紐付チェック部102eは、変更後の債権債務管理事業所と変更後の債権債務管理部門との紐付けをチェックする(ステップSA−5)。
【0074】
そして、紐付チェック部102eは、変更後の債権債務管理事業所と変更後の債権債務管理部門との紐付けが無いと判定した場合(ステップSA−5:No)、処理をステップSA−4に移行させる。
【0075】
一方、紐付チェック部102eは、変更後の債権債務管理事業所と変更後の債権債務管理部門との紐付けが有ると判定した場合(ステップSA−5:Yes)、処理をステップSA−6に移行させる。
【0076】
そして、取引データ取得部102bは、ユーザに入力装置112を介して債権債務管理情報に対応する金額と取引日と取引方法とを含む取引詳細データを入力させるように制御し、債権債務管理情報と取引詳細データと含む取引データ(回収予定の債権に関する回収予定データ、または、支払予定の債務に関する支払予定データ)を取得する(ステップSA−6)。ここで、取引データ取得部102bは、更に、複数の回収予定データに基づいて、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債権の合計金額を含む債権残高データを取得してもよい。また、取引データ取得部102bは、更に、複数の支払予定データに基づいて、同一の債権債務管理事業所毎もしくは債権債務管理部門毎の債務の合計金額を含む債務残高データを取得してもよい。
【0077】
そして、取引データ登録部102cは、取引データ取得部102bにより取得させた回収予定データまたは支払予定データを取引データファイル106jに登録し(ステップSA−7)、処理を終了する。ここで、取引データ登録部102cは、更に、債権残高データまたは債務残高データを取引データファイル106jに登録してもよい。
【0078】
[債権管理処理]
また、
図5から
図13を参照して、本実施形態における債権債務管理処理の一例について説明する。
図5から
図8は、債権債務管理装置100の債権管理を行う場合のシステムフローの一例を示す図である。
【0079】
図5に示すように、基本情報表示部102aは、オペレータにより入力装置112を介して請求先Aの取引先データが選択された場合、基本情報ファイル106aに記憶された、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる債権管理事務所(東京)の事業所データと債権管理部門(経理部)の部門データと通貨(JPY)の通貨データとを変更可能に出力装置114に初期表示させ、オペレータにより入力装置112を介して当該基本情報が変更された場合、変更後の債権管理事業所(横浜)の事業所データ、変更後の債権管理部門(第1営業部)の部門データおよび/もしくは変更後の通貨(USD)の通貨データを含む変更データ、ならびに、当該基本情報の未変更データ(取引先データ)を含む債権債務管理情報を取得する(ステップSB−1)。
【0080】
そして、
図6に示すように、取引データ取得部102bは、オペレータに入力装置112を介して債権債務管理情報に対応する金額と取引日(回収予定日)と取引方法(回収方法)とを含む取引詳細データを入力させるように制御し、債権債務管理情報と取引詳細データと含む回収予定データを取得し、複数の回収予定データに基づいて、同一の債権管理事業所(横浜)毎もしくは債権管理部門(第1営業部)毎の債権の合計金額(当月売上金額)を含む債権残高データを取得する(ステップSB−2)。
【0081】
そして、
図7に示すように、制御部102は、債権管理事業所毎、債権管理部門毎、通貨毎、または、請求先毎に回収予定データを集計することで、請求データおよび残高データを取得する請求(請求書発行)処理を実行する(ステップSB−3)。なお、請求処理では、残高自体の変化はない。
【0082】
そして、
図8に示すように、制御部102は、オペレータにより入力装置112を介して請求先Aからの入金データが入力された場合、当該入金データに基づいて、入金消込データを取得し、回収予定データ、請求データおよび残高データの更新処理を実行し(ステップSB−4)、処理を終了する。
【0083】
ここで、
図9から
図11を参照して、本実施形態における初期表示設定について説明する。
図9は、債権債務管理装置100のマスタ設定の一例を示す図である。
図10および
図11は、本実施形態における初期値設定処理の一例を示す図である。
【0084】
図9に示す請求先マスタ106b、部門マスタ106c、支払先マスタ106d、基本情報管理マスタ106eおよび担当者マスタ106fが、基本情報ファイル106aに含まれる場合、且つ、
図10に示すように、基本情報管理マスタ106eにおける債権管理事業所初期表示区分が請求先マスタ106bに従うと設定されている場合、基本情報表示部102aは、オペレータにより選択された請求先(請求先A)に基づいて、請求先マスタ106bと担当者マスタ106fとの紐付けを行い、債権管理事業所:東京、および、債権管理部門:経理部を初期表示用の初期値として設定する。すなわち、本実施形態においては、請求先毎に初期表示する債権債務管理事業所が予め決められていてもよい。なお、通貨は、取引先の基本通貨を初期値として設定してもよい。
【0085】
また、
図9に示す請求先マスタ106b、部門マスタ106c、支払先マスタ106d、基本情報管理マスタ106eおよび担当者マスタ106fが、基本情報ファイル106aに含まれる場合、且つ、
図11に示すように、基本情報管理マスタ106eにおける債権管理事業所初期表示区分が部門マスタ106cに従うと設定されている場合、基本情報表示部102aは、オペレータにより選択された請求先の請求先担当者に基づいて、売上計上する請求先担当者の所属部門:第1営業部と部門マスタ106cとの紐付けを行い、債権管理事業所:東京、および、債権管理部門:経理部を初期表示用の初期値として設定する。すなわち、本実施形態においては、担当者所属部門に対応して初期表示する債権債務管理事業所が予め決められていてもよい。
【0086】
また、
図12を参照して、本実施形態におけるセキュリティチェックの一例について説明する。
図12は、本実施形態におけるセキュリティチェックの一例を示す図である。
【0087】
図12に示すように、入力権限チェック部102dは、売上入力を担当するオペレータが田中氏である場合、オペレータ構成マスタ106gと販売共通セキュリティマスタ106hとセキュリティパターンマスタ106iとの紐付けを行う。そして、入力権限チェック部102dは、田中氏により東京事業所への変更が入力された場合、入力権限が有ると判定し、取引データ取得処理に移行する。一方、入力権限チェック部102dは、田中氏により東京事業所以外の事業所への変更が入力された場合、入力権限が無いと判定し、基本情報表示部102aは、エラー通知を出力させる。すなわち、本実施形態においては、オペレータにより入力権限のない債権管理事業所が入力された場合、エラーとなってもよい。
【0088】
また、
図13を参照して、本実施形態における事業所内の紐付けチェックの一例について説明する。
図13は、本実施形態における事業所内の紐付けチェックの一例を示す図である。
【0089】
図13に示すように、紐付チェック部102eは、オペレータにより債権管理事業所として東京事業所、および、債権管理部門として大阪経理部への変更が入力された場合、部門マスタ106cを参照して、東京事業所と大阪経理部との紐付けをチェックし、大阪経理部は東京事業所に所属していないので、紐付けが無いと判定し、基本情報表示部102aは、エラー通知を出力させる。すなわち、本実施形態においては、オペレータが入力した債権管理事業所に所属していない部門が入力された場合、エラーとなってもよい。
【0090】
[債務管理処理]
また、
図14から
図17を参照して、本実施形態における債権債務管理処理の一例について説明する。
図14から
図17は、債権債務管理装置の債務管理を行う場合のシステムフローの一例を示す図である。
【0091】
図14に示すように、基本情報表示部102aは、オペレータにより入力装置112を介して支払先Aの取引先データが選択された場合、基本情報ファイル106aに記憶された、当該取引先データに対応する基本情報に含まれる債務管理事務所(東京)の事業所データと債務管理部門(経理部)の部門データと通貨(JPY)の通貨データとを変更可能に出力装置114に初期表示させ、オペレータにより入力装置112を介して当該基本情報が変更された場合、変更後の債務管理事業所(横浜)の事業所データ、変更後の債務管理部門(第1営業部)の部門データおよび/もしくは変更後の通貨(USD)の通貨データを含む変更データ、ならびに、当該基本情報の未変更データ(取引先データ)を含む債権債務管理情報を取得する(ステップSC−1)。
【0092】
そして、
図15に示すように、取引データ取得部102bは、オペレータに入力装置112を介して債権債務管理情報に対応する金額と取引日(支払予定日)と取引方法(支払方法)とを含む取引詳細データを入力させるように制御し、債権債務管理情報と取引詳細データと含む支払予定データを取得し、複数の支払予定データに基づいて、同一の債務管理事業所(横浜)毎もしくは債務管理部門(第1営業部)毎の債務の合計金額(当月仕入金額)を含む債務残高データを取得する(ステップSC−2)。
【0093】
そして、
図16に示すように、制御部102は、債務管理事業所毎、債務管理部門毎、通貨毎、または、支払先毎に支払予定データを集計することで、支払方法確定データおよび残高データを取得する支払締処理を実行する(ステップSC−3)。なお、支払締処理では、残高自体の変化はない。
【0094】
そして、
図17に示すように、制御部102は、オペレータにより入力装置112を介して支払先Aへの支払データが入力(支払決済入力)された場合、当該支払データに基づいて、支払消込データを取得し、支払予定データ、支払方法確定データおよび残高データの更新処理を実行し(ステップSC−4)、処理を終了する。
【0095】
このように、本実施形態に係る債権債務管理装置100では、債権債務管理情報をシステム上設定することを可能としている。例えば、債権情報の事業所・部門を設定するにあたって、基本情報管理マスタ106eの債権管理事業所初期表示区分に、「請求先マスタに従う」と「部門マスタに従う」という2つのパターンを用意している。そして、「請求先マスタに従う」場合は、請求先の代表事業所や請求担当者の所属部門を表示させている。また、「部門マスタに従う」場合は、売上担当者の所属部門の債権管理事業所や部門を表示させている。これらはあくまでも初期表示であり、各取引データにて修正が可能である。さらに、想定外の入力を防ぐため、登録時に以下のチェック項目を実装してもよい。例えば、債権情報の事業所・部門の登録時に、オペレータの入力不可事業所および入力不可部門をチェックし、事業所と部門との紐付けをチェックしてもよい。
【0096】
また、本実施形態に係る債権債務管理装置100は、同一取引先を使用して複数事業所および複数通貨での取引、ならびに、債権債務管理を可能としている。
【0097】
また、本実施形態に係る債権債務管理装置100によれば、内訳を計上する際に新たに債権債務管理事業所、部門、および/または、通貨などの項目を自由に設定することが可能となり、項目を追加する際には、請求先のマスタとは違う値を入力することが可能となっている。これにより、1つの請求先コードによって債権債務管理事業所、部門、および/または、通貨などの残高データを管理することができるようになった。なお、設定項目例として、本実施形態では債権債務管理事業所、部門、および/または、通貨などを例に挙げ説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、これ以外の任意の項目を設定することも可能である。
【0098】
また、本実施形態に係る債権債務管理装置100によれば、オペレータによる入力品質のバラツキを防止して、入力情報の正確性を向上させることを可能としている。さらに、入力情報の正確性を向上させるため、入力情報の組み合わせの中であり得ない情報入力があった場合は、オペレータに対してアラートを出すように構成することも可能としている。
【0099】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0100】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0101】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0102】
また、債権債務管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0103】
例えば、債権債務管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権債務管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0104】
また、このコンピュータプログラムは、債権債務管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0105】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータに読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0106】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0107】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0108】
また、債権債務管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、債権債務管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0109】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。