(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の表示システムを、マラソン競技中にランナー宛てのメッセージを表示するシステムに適用した場合を説明する。即ち、ランナーが本発明の「ユーザ」に相当する。また、メッセージを表示する表示体は、応援者が持つ表示装置の表示体であるものとする。
【0013】
図1は、本実施形態に係る表示システム1の全体構成を示す図である。表示システム1は、サーバ装置10と、複数の表示装置20(20A,20B,20C,20D,20E)と、複数のユーザ装置30(30A,30B)と、複数のメッセージ登録装置40とを備える。表示装置20は応援者210により所持され、ユーザ装置30はランナー310により所持される。本実施形態では、応援者210は、自身の表示装置20にメッセージを表示させつつ、自身と同じグループに属するランナー310を応援する。応援者210は、マラソン競技のコースC沿いに居る。コースCは、本実施形態では、1区、2区、3区、4区、という具合に区分されているものとする。応援者210A〜210Eが持つ表示装置20を、以下では、表示装置20A〜20Eという具合に、符号の末尾のアルファベットを一致させて表す。
図1には、応援者210A,210Eが1区、応援者210Bが2区、応援者210C,210Dが4区に居る場合が示されている。また、ランナー310Aが持つユーザ装置30を「ユーザ装置30A」、ランナー310Bが持つユーザ装置30を「ユーザ装置30B」とする。
なお、コースCの区分数や、各区間の距離は特に問わない。
【0014】
表示システム1に含まれる各装置は、ネットワークNW経由の通信を行う。ネットワークNWは、例えば、インターネット、無線通信網、及びゲートウェイ装置を含む通信回線である。複数の表示装置20、及び複数のユーザ装置30は、ネットワークNWとの間に、無線の通信路を確立する。サーバ装置10、及びメッセージ登録装置40は、ネットワークNWとの間に、有線又は無線の通信路を確立する。
なお、
図1に示す各装置の台数は一例であり、それぞれ何台存在してもよい。
【0015】
メッセージ登録装置40は、ランナー310宛てのメッセージを、サーバ装置10に登録する。メッセージ登録装置40は、例えばパーソナルコンピュータであるが、これ以外の装置であってもよい。メッセージ登録装置40を用いてメッセージを登録する登録者は、登録者ID、グループIDと、ランナーIDと、表示位置とを指定する操作を行う。登録者IDは、登録者の識別子である。
【0016】
グループIDは、ランナー310、及び応援者210が属するグループの識別子である。ランナーIDは、ランナー310の識別子である。ランナーIDは、例えばランナー310に割り当てられたゼッケンの番号であるが、これ以外の識別子が用いられてもよい。表示位置は、表示装置20にメッセージを表示させる位置を示す。表示位置は、本実施形態では、コースCの区間によって特定されるものとする。メッセージは、複数の文字からなるが、アイコン、写真、及びその他の文字以外の要素を含んでもよい。
【0017】
サーバ装置10は、表示装置20にメッセージを表示させるための制御を行う。サーバ装置10は、表示装置20、及びユーザ装置30から収集した情報に基づいて、どのメッセージを、どのタイミングで、どの表示装置20に表示させるかを決定する。
【0018】
表示装置20は、表示体261にメッセージを表示する。表示装置20は、応援者210が容易に持ち運びできる程度の、軽量且つ小型の装置である。よって、表示体261は、応援者210の移動に伴って移動する。表示装置20は、例えばタブレット型コンピュータ等の携帯型の表示装置であるが、これ以外の表示装置であってもよい。表示体261は、例えば電子ペーパであるが、液晶ディスプレイ又はその他の表示体であってもよい。
【0019】
ユーザ装置30は、ランナー310の身体の部位に装着される装置である。ユーザ装置30は、本実施形態では、ランナー310の頭部に装着される帽子型のウェアラブル型端末である。ユーザ装置30は、ランナー310の現在の位置を示す位置情報等を、サーバ装置10へ送信する機能を有する。ユーザ装置30は、例えば、GPS(Global Positioning System)方式に従って位置情報(緯度情報、及び経度情報)を生成するが、これ以外の方式に従って位置情報を生成してもよい。
【0020】
図2は、サーバ装置10、及び表示装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置10は、物理的には、プロセッサ11、メモリ12、ストレージ13、通信装置14、入力装置15、出力装置16、及びバス17等を含むコンピュータ装置として構成される。
なお、以下の説明では、「機器」、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニット等に読み替えることができる。サーバ装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0021】
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。
また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ13及び/又は通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。各種処理は、1つのプロセッサ11で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ11は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介して受信されてもよい。
【0022】
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。
【0023】
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)等の光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ等の少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及び/又はストレージ13を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0024】
通信装置14は、コンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えば通信モジュール等ともいう。
【0025】
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサ等)である。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプ等)である。
なお、入力装置15及び出力装置16は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0026】
また、プロセッサ11やメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス17で接続される。バス17は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0027】
また、サーバ装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
サーバ装置10における各機能は、プロセッサ11、メモリ12等のハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ11が演算を行い、通信装置14による通信や、メモリ12及びストレージ13におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0028】
表示装置20は、物理的には、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、通信装置24、入力装置25、出力装置26、及びバス27等を含むコンピュータ装置として構成される。
図2では、表示装置20のハードウェア要素の符号を括弧書きで表している。表示装置20の各ハードウェアは、サーバ装置10の同名のハードウェアの構成と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、通信装置24は、近接した他装置とペアリングする機能を有する。ペアリングは、本実施形態では、Bluetooth(登録商標)に従って、無線の通信路を確立させる処理である。Bluetooth以外の規格(例えば、Wi−Fi(登録商標))が採用されてもよいが、近接した2以上の装置間で無線の通信路が確立されるようにする。
【0029】
図3は、サーバ装置10のプロセッサ11、及び表示装置20のプロセッサ21の機能構成の一例を示すブロック図である。
表示装置20のプロセッサ21は、情報送信部211と、表示処理部212と、通知処理部213とを含む。情報送信部211は、通信装置24を用いて、メッセージの表示に必要な情報を、サーバ装置10へ送信する。この情報は、測位装置251から取得した位置情報を含む。測位装置251は、入力装置25に含まれる。測位装置251は、表示装置20の位置(換言すると、表示体261の位置)を測定し、測定した位置を示す位置情報を生成する。測位装置251は、例えば、GPS方式に従って位置情報(緯度情報、及び経度情報)を生成するが、これ以外の方式に従って位置情報を生成してもよい。
【0030】
表示処理部212は、表示体261にメッセージを表示させる。表示体261は、出力装置26に含まれる。表示処理部212は、通信装置24を用いてサーバ装置10から取得(受信)したメッセージを、表示体261に表示させる。
【0031】
通知処理部213は、応援者210に対して情報を通知する。具体的には、通知処理部213は、サーバ装置10からの移動案内通知に応じて、応援者210に所定の場所へ移動するよう促す旨の通知を行う。この通知は、例えば表示体261への表示により行われるが、音声出力等の他の方法が用いられてもよい。
【0032】
サーバ装置10のプロセッサ11は、登録部111と、第1位置特定部112と、第2位置特定部113と、作成部114と、表示制御部115と、通知部116とを含む。
登録部111は、少なくとも表示位置を指定したメッセージを、メッセージDB131に登録する。本実施形態では、登録部111は、メッセージ登録装置40から、通信装置14を用いて、登録者IDと、グループIDと、ランナーIDと、表示位置と、メッセージとを取得し、これらを対応付けてメッセージDB131に登録する。なお、メッセージDB131は、ストレージ13に含まれる。
【0033】
図4は、メッセージDB131の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、複数のメッセージの各々に、メッセージIDと、登録者IDと、グループIDと、ランナーIDと、表示位置とが対応付けられている。メッセージDB131のメッセージID「M001」、「M003」、「M005」、及び「M006」のメッセージは、ランナー310A宛てのメッセージであって、それぞれ異なる表示位置が指定されたメッセージである。ランナー310AのランナーIDは、「603」である。メッセージID「M004」のメッセージは、ランナー310B宛てのメッセージである。ランナー310BのランナーIDは、「112」である。これらのメッセージは、グループID「G001」のグループに属する表示装置20A,20B,20C,20Dのいずれかを用いて表示されるものとする。なお、表示装置20Eは、グループID「G002」のグループに属するものとする。
なお、各表示装置20がどのグループの応援者210により所持されるかについては、別途テーブルを用いる等して、サーバ装置10により管理されればよい。
【0034】
第1位置特定部112は、表示体261の位置を特定する。第1位置特定部112は、通信装置14を用いて、表示装置20から位置情報を取得することにより、当該位置情報が示す位置を表示体261の位置と特定する。
【0035】
第2位置特定部113は、ランナー310の位置を特定する。第2位置特定部113は、通信装置14を用いて、ユーザ装置30から位置情報を取得することにより、当該位置情報が示す位置をランナー310の位置と特定する。
【0036】
作成部114は、登録部111により登録されたメッセージと、複数の表示体261の各々の位置とに基づいて、各表示体261におけるメッセージの表示のスケジュール(以下「表示スケジュール」という。)を作成する。本実施形態では、作成部114は、メッセージDB131から特定される情報(例えば、メッセージの数、指定された表示位置、グループID)と、複数の表示体261の各々の位置とに基づいて、メッセージの表示スケジュール132を作成し、ストレージ13に記憶する。
【0037】
図5は、或る時点での表示スケジュール132の構成の一例を示す図である。
図5に示すように、複数のメッセージIDの各々に、表示体IDと、分割数と、表示時間とが対応付けられている。メッセージIDは、メッセージDB131のメッセージIDと対応している。表示体IDは、当該メッセージIDのメッセージを表示させる表示体261の識別子である。1台の表示装置20が1つの表示体261を備えるとすれば、表示体IDは、表示装置20の識別子と同視することができる。表示スケジュール132の表示体IDは、表示装置20A〜20Eの符号と対応している。分割数は、表示体261に1以上のメッセージを表示する際の画面の分割数を示す。「分割数」が「1」である場合、表示体261の表示領域を分割せずに一のメッセージが表示される。「分割数」が「N」(Nは2以上の自然数)である場合、表示体261の表示領域をN個(本実施形態では縦方向にN個)に分割して、各表示領域に1つずつメッセージが表示されるものとする。表示時間は、当該メッセージIDが示すメッセージを表示体261に表示する時間の長さを示す。
例えば、メッセージが宛てられた2以上のランナー310が同時に同一区間を通過する場合に、そのランナー310の数と同じ分割数にすると、表示体261に表示されるメッセージが小さくなり過ぎることがある。このため、作成部114は、分割数が予め定めた分割数「Nmax」を超えてしまう場合には、その分割数での分割をせずに、表示時間を規定してメッセージを時間的に切り替えることにより、全てのメッセージを表示してもよい。
図5において、「‐」は、まだ内容が確定していないことを示す。
【0038】
表示制御部115は、表示スケジュール132に従って、各表示装置20の表示体261にメッセージを表示させる。表示制御部115は、表示体261の位置とランナー310の位置とが所定距離内に近づいた場合に、当該表示体261の位置に応じた表示位置が指定された当該ランナー310宛てのメッセージを、表示体261に表示させる。ここにおいて、表示制御部115は、第1位置特定部112で特定された位置と、第2位置特定部113で特定された位置とに基づいて、表示体261の位置とランナー310の位置とが所定距離内に近づいたかどうかを判定する。そして、表示制御部115は、例えば、表示体261が存在するコース上の区と一致する表示位置(区)が指定されたメッセージを、その表示体261に表示させる。
【0039】
通知部116は、メッセージDB131に登録されたメッセージに指定された表示位置において、表示体261が存在しない場合又はその数が不足している場合、別の位置に存在する表示体261に対して、当該表示位置に移動するように促す旨の通知を行う。
【0040】
次に、本実施形態の動作を説明する。
<A:メッセージの登録>
図6は、表示システム1で実行されるメッセージの登録に係る処理を示すシーケンス図である。
メッセージ登録装置40は、登録者ID、グループID、ランナーID、表示位置、及びメッセージを、サーバ装置10へ送信する(ステップS1)。登録者は、ランナーIDとして、自身が応援したいランナー310のランナーIDを指定する。更に、登録者は、どのグループに属する表示装置20を用いて、どの場所をメッセージの表示位置とするかを指定する。登録者は、メッセージを表示させたい場所を、例えば、1区、2区、3区、4区のいずれかから指定して、メッセージを登録する。なお、表示位置は、5km地点のようなコース上の地点を用いて指定がされてもよいし、緯度、及び経度を用いて指定されてもよい。
【0041】
サーバ装置10の登録部111は、メッセージ登録装置40から取得した登録者IDと、グループIDと、ランナーIDと、表示位置と、メッセージとを対応付けて、メッセージDB131に登録する(ステップS2)。この際、登録部111は、既に発行したものと重複しないメッセージIDを発行して、メッセージDB131に登録する。
なお、メッセージの登録は、マラソン競技の開催前、及び開催中のどちらに行われてもよい。
【0042】
<B:メッセージの表示>
図7は、表示システム1で実行されるメッセージの表示に係る処理を示すシーケンス図である。表示システム1においては、マラソン競技中に、以下で説明する処理が逐次実行される。
表示装置20の情報送信部211は、当該表示装置20の表示体ID、表示可否ステータス、及び位置情報を、サーバ装置10へ送信する(ステップS11)。表示可否ステータスは、当該表示装置20へのメッセージの表示の可否を示すデータである。表示可否ステータスは、応援者210が応援の準備ができていない状態(例えば、表示装置20をランナー310に向けて掲げることができない状態)である場合に、メッセージの表示が不可であることを示す。表示可否ステータスは、例えば、応援者210により手動設定される。ただし、手動設定に限られず、表示装置20がセンサ等で得られた情報に基づいて判断してもよい。例えば、表示装置20の移動中はメッセージの表示が不可とされ、そうでない場合はメッセージの表示が可能とされる。
【0043】
サーバ装置10の第1位置特定部112は、情報送信部211により送信された表示体ID、表示可否ステータス、及び位置情報を取得すると、当該表示体IDの表示体261の位置を、当該位置情報が示す位置と特定する(ステップS12)。一方で、ユーザ装置30は、ランナーID、及び位置情報を、サーバ装置10へ送信する(ステップS13)。次に、第2位置特定部113は、ユーザ装置30により送信されたランナーID、及び位置情報を取得すると、当該ランナーIDのランナー310の位置を、当該位置情報が示す位置と特定する(ステップS14)。
【0044】
次に、作成部114は、登録部111により登録されたメッセージと、複数の表示体261の各々の位置とに基づいて、表示スケジュール132を作成する(ステップS15)。作成部114は、表示可否ステータスがメッセージの表示が可能であることを示す表示装置20を対象とし、そうではない表示装置20を除外して、表示スケジュール132を作成する。作成部114は、例えば、或る区間で表示するメッセージを、その区間内、又はメッセージの表示位置の最も近くに存在する表示装置20に表示させるように、表示スケジュール132を作成する。また、作成部114は、位置情報の時間的な変化により特定される、表示装置20、又はランナー310の移動する速度、及び移動方向に基づいて、表示スケジュール132を作成してもよい。例えば、作成部114は、ランナー310の位置と移動速度とに基づいて、表示装置20の位置を通過する時刻を推測し、その推測した時刻に当該ランナー310宛てのメッセージを表示させるように、表示スケジュール132を作成する。表示スケジュールの作成は、更に、メッセージの属性(重要度等)や、表示体261の属性(表示領域のサイズ等)に基づいて行われてもよい。
【0045】
次に、表示制御部115は、いずれかのランナー310と、表示体261とが所定距離内に近づいたかどうかを判断する(ステップS16)。ステップS16で「NO」と判断された場合、サーバ装置10の処理は、ステップS11に戻される。ステップS16で「YES」と判断した場合、表示制御部115は、メッセージDB131において当該ランナー310のランナーIDに対応付けられたメッセージを、当該表示体261を有する表示装置20へ送信する(ステップS17)。表示装置20の表示処理部212は、受信したメッセージを、表示体261へ表示させる(ステップS18)。
【0046】
ここで、メッセージDB131が
図5に示す構成であるときのメッセージの表示例を説明する。
図8は、1区におけるメッセージの表示例である。ランナー310Aが表示装置20Aから所定距離内に近づくと、表示装置20Aは、そのランナー310A宛てのメッセージであって、1区が表示位置として指定されたメッセージ(具体的には、「Aさん、ペース配分に気をつけて頑張って!」というメッセージ)を表示させる。
【0047】
図9は、2区におけるメッセージの表示例である。この例では、グループID「G001」のグループに属するランナー310A,310Bが、ほぼ同じタイミングで表示装置20Bに近づいているものとする。また、2区には、グループID「G001」のグループに属する他の応援者210は居ないものとする。
この場合、表示装置20Bは、2人のランナー310向けのメッセージを同時に表示する。つまり、表示装置20Bの表示処理部212は、表示体261を、表示領域T1,T2に分割する。そして、表示処理部212は、表示領域T1にランナー310A宛てのメッセージ(具体的には、「Aさん、水分補給を忘れずに!」というメッセージ)を、表示領域T2にランナー310B宛てのメッセージ(具体的には、「Bさんへ、自宅から応援しています。」というメッセージ)を表示させる。
【0048】
<C:応援者210に移動を促す通知>
メッセージに指定された表示位置に表示体261が存在しない場合、又は或る表示位置が指定されたメッセージの数に対して、その表示位置に存在する表示体261の数が不足している場合、ランナー310に対するメッセージを満足に表示できない可能性がある。そこで、サーバ装置10は、応援者210に移動を促す旨の通知を行う機能を有する。
【0049】
図10は、表示システム1で実行される、応援者210に移動を促す通知に係る処理を示すシーケンス図である。
サーバ装置10の通知部116は、メッセージDB131に登録されたメッセージで指定されている表示位置と、各表示体261の位置とを特定する(ステップS21)。通知部116は、例えば、表示体261の位置を、第1位置特定部112が特定した位置に基づいて特定する。次に、通知部116は、メッセージに指定された表示位置に、予め定められた閾値以上の数の表示体261が存在するかどうかを判断する(ステップS22)。閾値は、1又は2以上の値である。ステップS22で「YES」と判断された場合、サーバ装置10の処理はステップS21に戻される。
なお、通知部116は、ランナー310の現在の位置と、当該表示位置との距離が閾値未満になった場合に、ステップS21,S22の処理を行ってもよい。
【0050】
ステップS22で「NO」と判断した場合、通知部116は、応援者210に移動を促す旨を通知する移動案内通知を、通信装置14を用いて表示装置20へ送信する(ステップS23)。表示装置20の通知処理部213は、移動案内通知に基づいて、応援者210に対して移動を促す通知を行う(ステップS24)。
【0051】
図11は、表示装置20が行うステップS24の通知例を説明する図である。
図11には、3区に表示体261が存在しない場合の通知例が示されている。この場合、3区に最も近い表示装置20Bに、「3区の応援メッセージがあります。3区へ移動してください。」というメッセージが表示される。なお、かかる通知を表示するのは、表示装置20上の、表示体261とは異なる表示体、例えば当該通知専用の表示体であってもよい。
【0052】
情報送信部211は、ステップS24の通知に応じて応援者210が指定された場所へ移動したと判断すると、移動完了通知を、サーバ装置10へ送信する(ステップS25)。作成部114は、この移動完了通知に応じて、表示スケジュール132を再作成する(ステップS26)。この再作成をする理由は、表示体261の配置に変更があったためである。応援者210Bが3区に移動した場合、作成部114は、3区が表示位置として指定されたランナー310A宛てのメッセージを、表示装置20Bに表示させるように、表示スケジュール132を再作成する。これにより、3区に移動した表示装置20Bに、ランナー310A宛てのメッセージが表示されるようになる。なお、表示装置20からの明示的な移動完了通知ではなく、表示装置20からの表示体ID、及び位置情報の更新の通知をもって、サーバ装置10が表示装置20が移動したことを判断し、更に表示スケジュール132を再作成してもよい。
【0053】
ステップS23において、通知部116は、ランナー310が既に通過した位置に存在する表示体261に対し、移動案内通知を送信してもよい。かかる表示体261は、メッセージを少なくとも一度は表示した表示体261である。これにより、既にメッセージを表示する役割を果たした表示体261を、再びメッセージの表示に利用することができる。
【0054】
<D:メッセージの合同表示>
例えばマラソン競技の終盤は、メッセージの表示に用いることのできる表示体261の数に余裕ができる可能性がある。多数の応援者210がゴール地点付近に集結することがあるからである。そこで、表示システム1は、近接した状態にある複数の表示装置が合同して、一つのメッセージを表示させる機能を有する。
【0055】
図12は、表示システム1で実行されるメッセージの合同表示に係る処理を示すシーケンス図である。ここでは、表示装置20A,20C,20Dが互いに近接しているものとする。この場合、表示装置20A,20C,20Dがペアリングする(ステップS31)。この場合、表示装置20A,20C,20Dのうちのいずれかの表示装置20は(例えば、表示装置20Aは)、近接した状態にある複数の表示装置20を示す表示体IDを、サーバ装置10へ通知する(ステップS32)。この通知には、更に、表示装置20A,20C,20Dの位置関係が含まれるものとする。サーバ装置10の作成部114は、この通知に応じて、表示スケジュール132を作成する(ステップS33)。具体的には、作成部114は、近接した状態にある複数の表示装置20の表示体IDに、同じメッセージIDを対応付ける。ここでは、
図13に示すように、メッセージ「M006」が、表示体ID「20A」、「20C」、及び「20D」に対応付けられている。
【0056】
次に、表示制御部115は、表示スケジュール132に従い、ランナー310A宛ての表示位置として4区が指定されたメッセージを、表示装置20A,20C,20Dのそれぞれに送信する(ステップS34,S35,S36)。この際、表示制御部115は、表示装置20A,20C,20Dの位置関係に基づいて、各表示装置20の表示体261に、メッセージのどの部分を表示させるかを決定する。
【0057】
次に、表示装置20の表示処理部212は、受信したメッセージを、表示体261に表示させる(ステップS37,S38,S39)。この際、表示装置20A,20C,20Dでは、メッセージのうちの自装置が担当する部分を、表示体261に表示させる。ここでは、
図14に示すように、横に並ぶ表示装置20A,20C,20Dを用いて、「自己記録更新できる!!」という一つのメッセージが表示される。換言すると、表示装置20A,20C,20Dには、メッセージのそれぞれ異なる部分が表示される。
【0058】
ステップS37,S38,S39のメッセージの表示にあっては、一の表示体261だけを用いてメッセージの全体を表示する場合に比べて、文字のサイズを大きくする。これにより、表示体261を有効活用して、ランナー310からメッセージが視認しやすくなるようにすることができる。また、表示装置20A,20C,20Dの位置関係に応じて、各表示体261にメッセージのどの部分が表示されるかが決まるため、応援者210に大きな負担も強いられない。
【0059】
なお。ステップS32の通知に、表示装置20A,20C,20Dの位置関係が含まれなくてもよい。この場合、表示制御部115は、各表示装置20の表示体261に、メッセージのどの部分を表示させるかについては、どのような方法で決めてもよい。表示装置20の表示体261にメッセージが表示されてから、ランナー310からメッセージが視認できるように、応援者210A,210C,210D(表示装置20A,20C,20D)が互いの位置関係を調整すればよいからである。
【0060】
以上説明した実施形態の表示システム1によれば、ランナー310に視認させる位置が指定されたメッセージを、そのランナー310が表示体261に近づきその表示を視認し得る状況のときに、表示させることができる。
【0061】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施してもよい。また、以下に示す変形例は、各々を組み合わせてもよい。
(変形例1)
本発明の表示装置は、移動体に設けられてもよい。移動体は、ここではランナー310に追従して移動する移動体で、例えば自転車や自動車等の車両がある。車両がランナー310に追走する場合、そのランナー310は、表示体261の表示を比較的長い期間視認できる。そこで、サーバ装置10(表示制御部115)は、特定のランナー310に追従して移動している移動体に設けられた表示体261には、特定の情報を表示させてもよい。この特定の情報として、例えば、重要度の高いメッセージ、閲覧に時間が掛かるようなメッセージ(例えば、長文のメッセージ)がある。
【0062】
(変形例2)
本発明のユーザ装置は、帽子型に限られない。本発明のユーザ装置は、ヘアバンド型等の帽子型以外の機器、ウォッチ型やリスト型等の頭部以外の装着されるウェアラブル端末、スマートフォン等の携帯端末装置であってもよい。
また、本発明の表示システムでは、表示装置20にカメラを設け、表示装置20がこのカメラの画像に基づいて、近接したランナーの顔を認識してもよい。この場合、ユーザ装置30がなくとも、ランナー310が表示体261に近接してきたことを特定できる。
【0063】
(変形例3)
上述した実施形態でサーバ装置10が有していた機能の少なくとも一部を、表示装置20、又はユーザ装置30が有してもよい。例えば、サーバ装置10の機能が、表示装置20で全て実現されてもよい。
【0064】
(変形例4)
上述した実施形態で説明した構成、又は動作の一部が省略されてもよい。本発明では、表示スケジュールを作成せずに、各表示体に表示するメッセージ、又は表示タイミングを決定してもよい。また、<C:応援者210に移動を促す通知>、又は<D:メッセージの合同表示>に係る構成が省略されてもよい。また、上述した実施形態で説明した、表示可否ステータスが用いられなくてもよい。この場合、サーバ装置10は、位置情報、及び表示IDを送信してきた全ての表示装置20を、メッセージを表示可能な表示装置20として、表示スケジュールを作成してもよい。
【0065】
本発明は、ランナーへの応援メッセージの表示以外のシーンにも適用してもよい。マラソン以外の競技(自転車、トライアスロン、山岳レース、自動車レース、クロスカントリースキー等)への適用、競技以外への適用(ウォーキングイベント)であってもよい。
【0066】
(変形例5)
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャート等は、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0067】
(変形例6)
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0068】
(変形例7)
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0069】
(変形例8)
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0070】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0071】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。また、ソフトウェア、命令等は、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)等の有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波等の無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0072】
本明細書で説明した情報、信号等は、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップ等は、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0073】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0074】
明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0075】
また、本明細書で説明した情報、パラメータ等は、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0076】
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)したことを「判断」「決定」したとみなすこと等を含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)したことを「判断」「決定」したとみなすこと等を含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)等したことを「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。
【0077】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0078】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。更に、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0079】
(変形例9)
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。