(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
嵌合板部材にボルト植設孔が貫通形成されており、該ボルト植設孔に植設ボルトが挿通されて、該植設ボルトの軸部が該ボルト植設孔に嵌合固定されているボルト植設構造において、
前記嵌合板部材の一方の面に連結板部材が重ね合わされて固定されており、
該連結板部材には前記ボルト植設孔よりも大径のボルト挿通孔が貫通形成されていると共に、該ボルト植設孔と該ボルト挿通孔が相互に位置合わせされて直列的に接続されており、
該嵌合板部材における該植設ボルトを挿通された前記ボルト植設孔の周囲には、該連結板部材への重ね合わせ面とは反対側の面において、該嵌合板部材が該ボルト植設孔の貫通方向に押圧変形された凹陥部が形成されており、該植設ボルトの該軸部の外周面と該嵌合板部材における該ボルト植設孔の孔内面に作用する面圧が該凹陥部の形成によって高められて該植設ボルトの抜け抗力が増大せしめられている一方、
該連結板部材における該ボルト挿通孔が、挿通された該植設ボルトの外径よりも大きくされていると共に、
該嵌合板部材に形成された前記凹陥部が、該連結板部材における該ボルト挿通孔よりも外周側に位置せしめられていることを特徴とするボルト植設構造。
前記嵌合板部材に向けて突出する突出部を備えた金型を該嵌合板部材に押し当てることで、該突出部に対応する前記凹陥部を該嵌合板部材に形成する工程を有していると共に、該突出部における前記ボルト植設孔側の側面が突出先端に向けて該ボルト植設孔から離れる傾斜面とされている請求項9に記載のボルト植設構造の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、植設ボルトの形成材料や構造などを大きな自由度で選択可能としつつ、植設ボルトの嵌合板部材への固定強度を大きく得ることができる、新規な構造のボルト植設構造を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、上記の新規なボルト植設構造を備えるアッパサポートと、上記の新規なボルト植設構造を実現するためのボルト植設構造の製造方法を提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、嵌合板部材にボルト植設孔が貫通形成されており、該ボルト植設孔に植設ボルトが挿通されて、該植設ボルトの軸部が該ボルト植設孔に嵌合固定されているボルト植設構造において、
前記嵌合板部材の一方の面に連結板部材が重ね合わされて固定されており、該連結板部材には前記ボルト植設孔よりも大径のボルト挿通孔が貫通形成されていると共に、該ボルト植設孔と該ボルト挿通孔が相互に位置合わせされて直列的に接続されており、該嵌合板部材における
該植設ボルトを挿通された前記ボルト植設孔の周囲には、
該連結板部材への重ね合わせ面とは反対側の面において、該嵌合板部材が該ボルト植設孔の貫通方向に押圧変形された凹陥部が
形成されており、該植設ボルトの該軸部の外周面と該嵌合板部材における該ボルト植設孔の孔内面に作用する面圧が該凹陥部の形成によって高められて該植設ボルトの抜け抗力が増大せしめられている
一方、該連結板部材における該ボルト挿通孔が、挿通された該植設ボルトの外径よりも大きくされていると共に、該嵌合板部材に形成された前記凹陥部が、該連結板部材における該ボルト挿通孔よりも外周側に位置せしめられていることを、特徴とする。
【0010】
このような第一の態様に従う構造とされたボルト植設構造によれば、植設ボルトが挿通されたボルト植設孔の周囲において嵌合板部材に凹陥部を形成することで、嵌合板部材がボルト植設孔の内周側へ膨らむように変形する。これにより、嵌合板部材におけるボルト植設孔の内周面が植設ボルトの軸部の外周面により強く押し当てられることから、植設ボルトの塑性加工を要することなく、植設ボルトの抜け抗力を増大させることができる。従って、植設ボルトの形成材料や構造などを制限することなく、植設ボルトを十分な固定強度で嵌合板部材に植設することが可能となる。
また、本態様によれば、例えば、植設ボルトを挿通するための孔を嵌合板部材と連結板部材に重ね合わせ前にそれぞれ形成する場合などに、連結板部材のボルト挿通孔を嵌合板部材のボルト植設孔よりも大径とすることで、嵌合板部材と連結板部材の寸法や相対的な位置などの誤差を許容することができる。しかも、植設ボルトを連結板部材に固定することなく嵌合板部材に固定する構造とされて、植設ボルトの嵌合板部材に対する嵌合面積を大きく得難い場合であっても、凹陥部の形成によって植設ボルトの抜け抗力を十分に確保することができる。
【0011】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載されたボルト植設構造において、前記凹陥部が前記ボルト植設孔の周方向に延びる溝状とされているものである。
【0012】
第二の態様によれば、凹陥部がボルト植設孔の周囲でボルト植設孔の周方向に延びて設けられていることにより、ボルト植設孔の孔内面と植設ボルトの軸部の外周面が凹陥部の形成によって周方向のより広い範囲で押し当てられることから、植設ボルトの抜け抗力をより大きく得ることができる。
【0013】
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載されたボルト植設構造において、前記凹陥部が前記ボルト植設孔の周囲を全周に亘って連続的に延びる環状溝とされているものである。
【0014】
第三の態様によれば、ボルト植設孔の内周面と植設ボルトの軸部の外周面が凹陥部の形成によって全周に亘って押し当てられることから、凹陥部の形成による植設ボルトの抜け抗力の増大をより効果的に実現することができる。しかも、植設ボルトが挿通されたボルト植設孔の周囲に凹陥部を形成する際に、凹陥部の形成による嵌合板部材の面方向の変形が、凹陥部の周方向で生じるのを防ぐことで内周側へ効率的に生ぜしめられて、植設ボルトの抜け抗力をより効果的に大きく設定することができる。
【0015】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載されたボルト植設構造において、前記植設ボルトの前記軸部における前記ボルト植設孔への嵌合部分には、セレーションが設けられているものである。
【0016】
第四の態様によれば、植設ボルトにナットなどが螺着される際に、植設ボルトの回転がセレーションによって防止されることから、植設ボルトに作用する回転力に対する反力を十分に得ることができる。更に、凹陥部の形成によってボルト植設孔の内周側へ変形した嵌合板部材が、セレーションの凹溝に入り込むことから、植設ボルトの回転がより有利に防止されると共に、当接面積が大きく得られることによる抜け抗力の増加も実現される。
【0017】
加えて、凹陥部の形成による嵌合板部材のボルト植設孔の内周側への変形が、セレーションの凹溝によって許容されることから、凹陥部を形成する際に嵌合板部材の厚さ方向への変形が抑えられて、ボルト植設孔と凹陥部の間において嵌合板部材の表面が凸状に盛り上がるのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の第
五の態様は、第一〜第
四の何れか1つの態様に記載されたボルト植設構造において、前記凹陥部の前記ボルト植設孔側の壁内面が該ボルト植設孔の貫通方向に対して傾斜しており、該凹陥部が開口側に向けて拡開しているものである。
【0021】
第
五の態様によれば、例えば嵌合板部材に金型を押し当てて凹陥部を形成する場合に、凹陥部の形成による嵌合板部材のボルト植設孔側への変形がより効率的に生じることから、植設ボルトの抜け抗力をより有利に得ることができる。
【0022】
本発明の第
六の態様は、第一〜第
五の何れか1つの態様に記載されたボルト植設構造において、前記植設ボルトが前記嵌合板部材よりも硬さの大きな材料で形成されているものである。
【0023】
第
六の態様によれば、植設ボルトよりも硬さの小さな材料で形成された嵌合板部材に凹陥部を形成することで、植設ボルトの抜け抗力を比較的容易に高めることができる。更に、植設ボルトの塑性変形が必要とされないことから、高硬度の植設ボルトを採用することが可能であり、植設ボルトの意図しない曲げなどの変形を防止することもできる。
また、本発明の第七の態様は、第一〜第六の何れか1つの態様に記載されたボルト植設構造において、前記嵌合板部材と前記連結板部材とが相互に固定されていると共に、該嵌合板部材が該連結板部材よりも薄肉とされているものである。
【0024】
本発明の第八の態様は、サスペンション機構を構成するショックアブソーバのピストンロッドに取り付けられて、該ピストンロッドを車両ボデーに防振連結するアッパサポートであって、前記ピストンロッドに取り付けられるインナ部材に本体ゴム弾性体が固着された防振本体部が、前記車両ボデーに取り付けられる中空構造のアウタ部材に収容されており、該アウタ部材が相互に重ね合わされる第一の板部材と第二の板部材を含んで構成されていると共に、該第一の板部材及び該第二の板部
材が請求項1〜7の何れか一項に記載されたボルト植設構造の前記嵌合板部材
及び前記連結板部材とされており、該嵌合板部材に前記ボルト植設孔が貫通形成されて、該ボルト植設孔に前記植設ボルトの前記軸部が挿通されていると共に、該ボルト植設孔の周囲に前記凹陥部が形成されて、該植設ボルトの該軸部の外周面と該嵌合板部材における該ボルト植設孔の孔内面に作用する面圧が該凹陥部の形成によって高められて該植設ボルトの抜け抗力が増大せしめられていることを、特徴とする。
【0025】
このような第八の態様に従う構造とされたアッパサポートによれば、第一の板部材と第二の板部材の少なくとも一方を、本発明に係るボルト植設構造の嵌合板部材とすることにより、中空構造のアウタ部材を構成するために比較的に薄肉とされる第一の板部材と第二の板部材に対して、植設ボルトの塑性変形を要することなく、植設ボルトを強固に固定することができる。
【0026】
しかも、第一の板部材と第二の板部材は、相互に重ね合わされて中空構造のアウタ部材を構成することから、植設ボルトを挿通するための孔を重ね合わせ前に各別に形成する場合もある。その場合には、植設ボルトが第一の板部材と第二の板部材の何れか一方だけに嵌合されることになるが、このような場合にも、ボルト植設孔の周囲に凹陥部を形成することで、植設ボルトの抜け抗力を十分に大きく設定することが可能となる。
【0027】
本発明の第九の態様は、ボルト植設構造の製造方法であって、
ボルト植設孔が形成された嵌合板部材の一方の面に対して、該ボルト植設孔よりも大径のボルト挿通孔が形成された連結板部材を重ね合わせて、該ボルト植設孔と該ボルト挿通孔が相互に位置合わせされて直列的に接続された状態で、該嵌合板部材と該連結板部材とを固定する工程と、該ボルト植設孔
及び該ボルト挿通孔に植設ボルトを挿通する工程と、該植設ボルトを該ボルト植設孔に挿通した後で、該嵌合板部材を該ボルト植設孔の周囲において該連結板部材
への重ね合わせ面とは反対側の面から該ボルト植設孔の貫通方向に押圧して該嵌合板部材における該ボルト植設孔の周囲を塑性変形させることによって、
該連結板部材への重ね合わせ面とは反対側の面で該ボルト挿通孔よりも外周側に位置する凹陥部を
該嵌合板部材に対して形成し、該植設ボルトの軸部の外周面と該嵌合板部材における該ボルト植設孔の孔内面に作用する面圧を高める工程とを、有することを、特徴とする。
【0028】
このような第九の態様に従う構造とされたボルト植設構造の製造方法によれば、嵌合板部材のボルト植設孔に植設ボルトを挿通した状態で、嵌合板部材に凹陥部を形成することによって、植設ボルトの抜けに対する抗力を大きくすることができる。しかも、嵌合板部材に凹陥部を形成する塑性加工を施す一方で、植設ボルトに塑性加工を施す必要がなく、植設ボルトの形成材料や構造などを大きな自由度で選択することができる。
【0029】
本発明の第十の態様は、第九の態様に記載されたボルト植設構造の製造方法において、前記嵌合板部材に向けて突出する突出部を備えた金型を該嵌合板部材に押し当てることで、該突出部に対応する前記凹陥部を該嵌合板部材に形成する工程を有していると共に、該突出部における前記ボルト植設孔側の側面が突出先端に向けて該ボルト植設孔から離れる傾斜面とされているものである。
【0030】
第十の態様によれば、金型に設けられる突出部のボルト植設孔側の側面が傾斜面とされていることによって、金型を嵌合板部材にボルト植設孔の貫通方向で押し当てて突出部に対応する凹陥部を形成する際に、突出部の傾斜面によって嵌合板部材がボルト植設孔側へ変形し易く、植設ボルトの抜け抗力をより大きく得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、植設ボルトを挿通されたボルト植設孔の周囲において嵌合板部材に凹陥部が形成されることにより、植設ボルトの軸部の外周面と嵌合板部材におけるボルト植設孔の孔内面に作用する面圧が高められて、植設ボルトの抜け抗力が増大せしめられている。これにより、植設ボルトの塑性加工を要することなく、植設ボルトの抜け抗力を増大させることができて、植設ボルトの形成材料や構造などを制限することなく、植設ボルトを十分な強度で嵌合板部材に固定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図1,2には、本発明の第一の実施形態としてのボルト植設構造10を示す。ボルト植設構造10は、嵌合板部材12と連結板部材14が相互に重ね合わされていると共に、植設ボルト16がそれら嵌合板部材12と連結板部材14を貫通して設けられた構造を有している。以下の説明において、上下方向とは、原則として
図1中の上下方向を言う。
【0035】
より詳細には、嵌合板部材12は、普通鋼やアルミニウム合金といった金属やカーボン繊維で補強された合成樹脂などで形成されており、厚さ方向に貫通する円形のボルト植設孔18を備えている。一方、連結板部材14は、嵌合板部材12と同様に金属や樹脂などで形成されており、ボルト植設孔18よりも大径のボルト挿通孔20が厚さ方向に貫通形成されている。
【0036】
嵌合板部材12と連結板部材14は厚さ方向で相互に重ね合わされており、嵌合板部材12のボルト植設孔18と連結板部材14のボルト挿通孔20が相互に位置決めされて、上下方向で直列的に接続されている。本実施形態では、予めボルト植設孔18が形成された嵌合板部材12とボルト挿通孔20が形成された連結板部材14が、相互に重ね合わされるようになっている。また、ボルト植設孔18とボルト挿通孔20を相互に位置決めした状態で嵌合板部材12と連結板部材14を相互に重ね合わせる際に、ボルト挿通孔20がボルト植設孔18よりも大径とされていることから、仮に各板部材12,14に寸法誤差があったとしても、ボルト植設孔18の全体がボルト挿通孔20の上下方向の投影上に配置されるようになっている。
【0037】
さらに、ボルト植設孔18とボルト挿通孔20には、植設ボルト16が挿通されている。植設ボルト16は、
図1に示すように、軸部22の先端部分の外周面に雄ねじが形成されていると共に、軸部22における頭部24側の基端部付近にセレーション26が設けられている。セレーション26は、軸部22の軸方向に直線的に延びる多数の凹溝と凸条を周方向で交互に形成することで構成されており、軸部22の外周面に全周に亘って設けられている。本実施形態の植設ボルト16は、嵌合板部材12よりも硬さの大きな材料で形成されており、例えばクロムモリブデン鋼などの合金鋼で形成されている。なお、植設ボルト16や嵌合板部材12の硬さは、ショア硬さ試験やビッカース硬さ試験などの一般的な硬さ試験によって特定可能である。
【0038】
そして、植設ボルト16は、嵌合板部材12のボルト植設孔18と連結板部材14のボルト挿通孔20に下方から挿通されており、植設ボルト16の頭部24がボルト挿通孔20の開口周縁部で連結板部材14の下面に当接している。本実施形態では、植設ボルト16のセレーション26が嵌合板部材12のボルト植設孔18に圧入されて嵌め合わされており、植設ボルト16は、ボルト植設孔18に挿通されることによって、ある程度の抜け抗力をもってボルト植設孔18およびボルト挿通孔20への挿通状態に保持されるようになっている。尤も、植設ボルト16は、ボルト植設孔18に対して、嵌め合わされることなく容易に抜差し可能な態様で挿通されていても良い。
【0039】
また、植設ボルト16の軸部22は、ボルト植設孔18に挿入されたセレーション26の上部が嵌合板部材12に嵌合されている一方、ボルト挿通孔20に挿入されたセレーション26の下部が、連結板部材14に嵌合されることなく、ボルト挿通孔20の孔内面に対して隙間を持って配されている。なお、セレーション26は、ボルト植設孔18の上開口よりも上側には突出しておらず、ボルト植設孔18およびボルト挿通孔20の内周に収容状態で配されている。
【0040】
また、嵌合板部材12には、植設ボルト16が挿通されたボルト植設孔18の周囲において、凹陥部28が形成されている。この凹陥部28は、嵌合板部材12の上面に開口してボルト植設孔18の外周側を周方向に延びる溝状とされており、特に本実施形態ではボルト植設孔18の外周側を全周に亘って連続して延びる環状溝とされている。また、凹陥部28は、ボルト植設孔18に対して外周側に離れた位置に設けられており、凹陥部28とボルト植設孔18の間には、凹陥部28の内周壁部を構成する環状の密着部30が形成されている。更に、凹陥部28の内周側の側壁内面が、上方へ行くに従って内周側へ傾斜するテーパ面32とされており、凹陥部28が開口側となる上側へ行くに従って径方向で次第に幅広となるように拡開している。
【0041】
この凹陥部28は、ボルト植設孔18の周囲において嵌合板部材12の上面を下向きに加圧して、嵌合板部材12の上面における加圧部分を下向きに押圧することで下方へ凹ませて形成されている。ここにおいて、嵌合板部材12に凹陥部28が形成されることにより、嵌合板部材12の密着部30がボルト植設孔18の内周側へ変形して、植設ボルト16が挿通されたボルト植設孔18の孔内面が、植設ボルト16のセレーション26の外周面に押し当てられている。これにより、ボルト植設孔18の孔内面と植設ボルト16のセレーション26の外周面に作用する面圧が、凹陥部28の形成によって高められて、植設ボルト16のボルト植設孔18からの抜けに対する抗力が増大せしめられている。なお、本実施形態の嵌合板部材12は、凹陥部28が形成されることにより、密着部30において上方へ僅かに盛り上がっているが、例えば、密着部30の上面を金型などで押さえながら凹陥部28を形成することにより、密着部30における嵌合板部材12の上方への盛り上がりを防ぐようにしても良い。
【0042】
さらに、嵌合板部材12は、凹陥部28の形成によって、
図3に示すように、植設ボルト16のセレーション26の凹溝に入り込むように変形せしめられて、セレーション26の外周面が全周に亘って嵌合板部材12におけるボルト植設孔18の孔内面に嵌合されている。なお、
図3では、分かり易さのために、セレーション26の凹凸を誇張して示した。
【0043】
このような本実施形態に従うボルト植設構造10によれば、嵌合板部材12に凹陥部28が形成されることによって、植設ボルト16の軸部22の外周面とボルト植設孔18の孔内面に作用する面圧が高められて、植設ボルト16の抜けに対する抗力を大きく設定することが可能とされている。それゆえ、嵌合板部材12の厚さが小さく、植設ボルト16の嵌合板部材12に対する嵌合面積が十分に得られない場合であっても、目的とする抜け抗力を設定することができる。
【0044】
特に本実施形態では、嵌合板部材12のボルト植設孔18と連結板部材14のボルト挿通孔20との相対的な位置の誤差を許容するために、ボルト挿通孔20がボルト植設孔18よりも大径とされていることから、植設ボルト16が連結板部材14に固定されることなく嵌合板部材12だけに固定されている。このような構造であっても、嵌合板部材12に凹陥部28を形成することにより、植設ボルト16の抜け抗力を十分に確保することができる。
【0045】
さらに、ボルト植設構造10では、植設ボルト16の抜け抗力を向上させるために、嵌合板部材12を塑性加工して凹陥部28を形成する一方で、植設ボルト16には塑性加工が必要とされない。したがって、植設ボルト16の形成材料や材質、構造などは、特に限定されず、大きな選択自由度で設計することができることから、植設ボルト16に要求される耐久性や寸法精度などを高度に実現することが可能になる。
【0046】
特に、本実施形態の植設ボルト16のように、嵌合板部材12よりも硬さの大きい材料で形成することにより、植設ボルト16の意図しない曲げなどの変形を防止することができると共に、嵌合板部材12に凹陥部28を形成する加工が容易になって、植設ボルト16の抜け抗力を比較的容易に高めることができる。
【0047】
また、嵌合板部材12に形成された凹陥部28が、ボルト植設孔18の周方向に延びる溝状とされていることから、ボルト植設孔18の内周面と植設ボルト16の軸部22の外周面が、凹陥部28の形成によって周方向のより広い範囲で押し当てられて、植設ボルト16の抜け抗力がより効果的に増大せしめられる。
【0048】
さらに、本実施形態では、凹陥部28がボルト植設孔18の周囲を全周に亘って連続的に延びる環状溝とされている。これにより、植設ボルト16が挿通されたボルト植設孔18の周囲に凹陥部28を形成する際に、凹陥部28の形成による嵌合板部材12の面方向の変形が、凹陥部28の周方向で生じるのを防止することができる。その結果、凹陥部28の形成による嵌合板部材12の変形がボルト植設孔18の内周側へ効率的に生ぜしめられて、凹陥部28の形成による植設ボルト16の抜け抗力の増大がより一層効果的に実現される。
【0049】
また、植設ボルト16の軸部22におけるボルト植設孔18の孔内面への嵌合部分にセレーション26が設けられていることから、凹陥部28の形成によってボルト植設孔18の内周側へ変形した嵌合板部材12が、セレーション26の凹溝に入り込む。それゆえ、嵌合板部材12におけるボルト植設孔18の孔内面と植設ボルト16との当接面積が大きく得られて、より効果的な抜け抗力の増加や、植設ボルト16の回転の防止などが実現される。
【0050】
しかも、凹陥部28の形成による嵌合板部材12のボルト植設孔18の内周側への変形が、セレーション26の凹溝によって許容されることから、嵌合板部材12の厚さ方向への変形が抑えられて、ボルト植設孔18と凹陥部28の間において嵌合板部材12の表面が凸状に盛り上がるのを防ぐことができる。
【0051】
また、凹陥部28のボルト植設孔18側の壁内面が、ボルト植設孔18の貫通方向に対して傾斜するテーパ面32とされていることにより、例えば後述する金型34を押し当てて凹陥部28を形成する場合に、凹陥部28の形成による嵌合板部材12のボルト植設孔18側への変形がより効率的に生じることから、植設ボルト16の抜け抗力をより有利に得ることができる。
【0052】
かくの如き本実施形態に従う構造のボルト植設構造10は、例えば、以下に示す製造方法によって得ることができる。なお、以下の説明で参照する
図4は、ボルト植設構造の製造方法を説明するための概略図である。
【0053】
先ず、予め準備したボルト植設孔18を備えた嵌合板部材12と、ボルト挿通孔20を備えた連結板部材14とを、相互に重ね合わせて、ボルト植設孔18とボルト挿通孔20を直列的に接続されるように位置決めする。ここでは、
図4(a)に示すように、嵌合板部材12に凹陥部28は形成されていない。なお、嵌合板部材12と連結板部材14は、後述する植設ボルト16の嵌合固定によって相互に固定されていても良いし、植設ボルト16の挿通前或いは挿通後に溶接などの手段で相互に固定されていても良い。また、嵌合板部材12と連結板部材14の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、金属製の場合には、金属素板を所定の形状にプレス加工することで得ることができる一方、合成樹脂製の場合には、射出成形などによって得ることができる。
【0054】
次に、
図4(a)に示すように、予め準備した植設ボルト16を、嵌合板部材12のボルト植設孔18と連結板部材14のボルト挿通孔20に挿通する。本実施形態では、植設ボルト16の軸部22のセレーション26が、ボルト挿通孔20に隙間をもって挿通されると共に、ボルト植設孔18に圧入される。なお、植設ボルト16の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、金属線材を鍛造によって所定の形状に加工することで得ることができる。
【0055】
また次に、
図4(b)に示すように、金型34を嵌合板部材12の上面に向けて図中の矢印の方向へ移動させる。この金型34は、嵌合板部材12よりも硬さの大きな合金鋼などの材料で形成されており、植設ボルト16の軸部22が隙間をもって挿通される貫通孔36を備えていると共に、下方へ突出する環状の突出部38が形成されて、突出部38が貫通孔36の外周側を囲んで周方向へ延びている。更に、金型34の突出部38の内周面は、突出先端へ向けて次第に貫通孔36から離れて外周へ傾斜する傾斜面とされており、突出部38が基端側に向けて次第に幅広とされている。
【0056】
そして、
図4(c)に示すように、植設ボルト16がボルト植設孔18に挿通された状態で金型34を嵌合板部材12の上面に押し当てて、金型34の突出部38に対応する凹陥部28を嵌合板部材12に形成する。即ち、金型34の突出部38を嵌合板部材12に押し当てると、突出部38の押圧によって嵌合板部材12が変形して、嵌合板部材12に凹陥部28が塑性変形によって形成されると共に、凹陥部28の内周側に設けられた密着部30がボルト植設孔18の内周側へ変形して、ボルト植設孔18の孔内面が、ボルト植設孔18の内周側へ膨らむように変形する。これにより、嵌合板部材12におけるボルト植設孔18の孔内面を、植設ボルト16における軸部22のセレーション26により強く押し当てて、面圧の上昇による植設ボルト16の抜け抗力の増大を図ることができる。なお、凹陥部28の形成時には、適宜に温度を管理することもできる。
【0057】
特に本実施形態では、突出部38が突出先端に向けて幅狭となっており、突出部38の内周側の側面が金型34の嵌合板部材12への押当て方向に対して傾斜する傾斜面とされていることから、金型34を嵌合板部材12に押し当てると、嵌合板部材12における突出部38の内周側面への当接部分に対して、ボルト植設孔18側へ向かう分力が作用する。これにより、嵌合板部材12がボルト植設孔18の内周側へ変形して、嵌合板部材12におけるボルト植設孔18の孔内面が、ボルト植設孔18に挿通された植設ボルト16の軸部22の外周面により強く押し当てられることから、植設ボルト16の嵌合板部材12に対する抜け抗力が増大せしめられる。
【0058】
次に、金型34を嵌合板部材12から離れるように変位させて、金型34を取り除くことにより、ボルト植設構造の製造方法に係る製造工程を完了して、嵌合板部材12に植設ボルト16を嵌合固定した
図1のボルト植設構造10を得ることができる。
【0059】
ところで、
図1に示す本発明に係るボルト植設構造10は、例えば、
図5,6に示すような自動車用のアッパサポート40などに適用することができる。アッパサポート40は、サスペンション機構を構成するショックアブソーバのピストンロッド42に取り付けられて、ピストンロッド42をサブフレーム44などの車両ボデー側の部材に対して防振連結するものである。以下に、ボルト植設構造10を適用したアッパサポート40について説明する。
【0060】
より詳細には、アッパサポート40は、インナ部材46とアウタ部材48が本体ゴム弾性体50によって弾性連結された構造を有しており、特に本実施形態では、インナ部材46と中間部材52を本体ゴム弾性体50によって弾性連結した防振本体部54が、中空構造のアウタ部材48に収容配置された構造を有している。なお、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、軸方向となる
図5中の上下方向を言う。
【0061】
インナ部材46は、金属などで形成されて、全体として略円環板形状を有していると共に、内周端部が下方へ突出して厚肉とされている。このインナ部材46は、内孔に挿通されるショックアブソーバのピストンロッド42に対して、ピストンロッド42に螺着されるナット56によって連結されるようになっている。
【0062】
中間部材52は、金属などで形成されて、薄肉大径の略円筒形状を有しており、インナ部材46に対して径方向に隙間をもって外挿されている。
【0063】
そして、インナ部材46と中間部材52の間には、環状の本体ゴム弾性体50が配されており、本体ゴム弾性体50の内周部分がインナ部材46に加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体50の外周面が中間部材52に加硫接着されている。更に、本体ゴム弾性体50は、インナ部材46の外周部分の両面にも固着されており、インナ部材46に対して上下方向の両側へ突出していると共に、インナ部材46からの上下突出寸法を大きくされた部分と小さくされた部分が周方向で交互に設けられている。
【0064】
インナ部材46と中間部材52を本体ゴム弾性体50で弾性連結した防振本体部54は、アウタ部材48に取り付けられている。アウタ部材48は、略円環板形状の第一の板部材58と略浅底皿状の第二の板部材60とを、備えている。また、第二の板部材60は、上端部において外周側へ広がる補強フランジ62を備えており、第二の板部材60の補強フランジ62が第一の板部材58の外周部分に重ね合わされて、スポットまたはプロジェクション溶接などの手段で固定されている。但し、アウタ部材48が鋼材などで形成されている場合には、第一の板部材58と第二の板部材60が上記の如き溶接によって固定され得るが、アウタ部材48がアルミニウム合金や合成樹脂などで形成されている場合には、例えば、第一の板部材58と第二の板部材60がメカニカルクリンチングやかしめなどの手段で固定される。
【0065】
そして、第一の板部材58と第二の板部材60が上下方向で相互に重ね合わされて固定されており、第二の板部材60の開口部分が第一の板部材58で覆われて、第一の板部材58と第二の板部材60の間に空間が形成されている。そして、中間部材52が第二の板部材60の周壁部に圧入固定されることにより、防振本体部54が第一の板部材58と第二の板部材60の間に収容配置された状態でアウタ部材48に取り付けられている。なお、本体ゴム弾性体50は、インナ部材46の外周部分の上下に突出する部分が、インナ部材46と第一の板部材58の間と、インナ部材46と第二の板部材60の間とにおいて、それぞれ上下に挟み込まれて圧縮されている。これにより、軸方向及び軸直角方向の振動入力に対して、本体ゴム弾性体50の弾性変形による防振効果が発揮されるようになっている。
【0066】
ここにおいて、第一の板部材58の外周部分がボルト植設構造10の嵌合板部材12とされていると共に、第二の板部材60の補強フランジ62がボルト植設構造10の連結板部材14とされている。そして、嵌合板部材12としての第一の板部材58の外周部分には、3つのボルト植設孔18,18,18が貫通形成されている(
図6参照)一方、連結板部材14としての第二の板部材60の補強フランジ62には、第一の板部材58のボルト植設孔18,18,18と対応する位置にボルト挿通孔20,20,20が貫通形成されている。
【0067】
また、
図5に示すように、上下に直列的に接続されたボルト植設孔18とボルト挿通孔20には、植設ボルト16が下方から挿通されている。植設ボルト16は、軸部22の基端部分に設けられたセレーション26がボルト挿通孔20とボルト植設孔18に挿通されていると共に、セレーション26がボルト植設孔18に嵌め合わされている。更に、植設ボルト16の頭部24は、第二の板部材60の下面におけるボルト挿通孔20の開口周縁部に対して、全周に亘って当接状態で重ね合わされている。
【0068】
さらに、第一の板部材58における各ボルト植設孔18の外周側には、ボルト植設孔18に植設ボルト16が挿通された状態で、それぞれ環状の凹陥部28が形成される。これにより、第一の板部材58におけるボルト植設孔18の孔内面と植設ボルト16の軸部22の外周面とに作用する面圧が高められて、植設ボルト16の第一の板部材58に対する抜け抗力が増大せしめられている。その結果、第一の板部材58と第二の板部材60を備えるアウタ部材48には、
図5,6に示すように、3つの植設ボルト16,16,16が、軸部22が上向きに突出するように固設されており、それら植設ボルト16,16,16が第一の板部材58に嵌合固定された状態で安定して保持されている。
【0069】
そして、アウタ部材48には、車両ボデー側となるサブフレーム44が取り付けられる。即ち、サブフレーム44がアウタ部材48の第一の板部材58の上面に重ね合わされて、アウタ部材48の3つの植設ボルト16,16,16が、サブフレーム44に貫通形成されたボルト孔64に挿通されると共に、植設ボルト16,16,16にそれぞれナット66が螺着されることにより、サブフレーム44がアウタ部材48に取り付けられるようになっている。なお、サブフレーム44は、
図5中において、二点鎖線で仮想的に示されている。
【0070】
このような本実施形態に従う構造とされたアッパサポート40によれば、アウタ部材48と車両のサブフレーム44などとを連結する植設ボルト16が、中空構造のアウタ部材48を実現する板状の第一の板部材58に対して、ボルト植設構造10によって十分に大きな抜け抗力で植設される。それゆえ、アッパサポート40によるサブフレーム44とピストンロッド42の防振連結状態を、優れた信頼性で長期間に亘って安定して維持することができる。
【0071】
特に、第一の板部材58と第二の板部材60を重ね合わせることにより、中空構造のアウタ部材48が構成されていることから、第一の板部材58と第二の板部材60は、それらの重ね合わせ前にボルト植設孔18とボルト挿通孔20が予め形成されている。このような場合には、ボルト植設孔18とボルト挿通孔20の相対位置やサイズの誤差を許容するために、ボルト挿通孔20がボルト植設孔18よりも大径とされ得ることから、植設ボルト16は、第二の板部材60のボルト挿通孔20に嵌合されることなく、第一の板部材58のボルト植設孔18にのみ嵌合される場合がある。このように、植設ボルト16の嵌合面積が小さい構造であっても、凹陥部28の形成によって植設ボルト16の抜け抗力の向上を図ることにより、植設ボルト16を優れた信頼性で第一の板部材58に固定することができる。
【0072】
また、アッパサポート40の車両装着状態において、ボルト植設孔18が形成された第一の板部材58の外周部分の上面にサブフレーム44が重ね合わされることから、凹陥部28が形成された後の第一の板部材58の上面に凸部が形成されない、或いは形成されても突出寸法が小さく抑えられることが望ましい。本実施形態では、植設ボルト16のボルト植設孔18への嵌合部分にセレーション26の凹溝が形成されており、ボルト植設孔18の孔内面が凹溝内への変形を許容されていると共に、ボルト挿通孔20がボルト植設孔18よりも大径とされていることで、ボルト植設孔18の開口周縁部の下方への変形も許容されている。これにより、凹陥部28の形成によって嵌合板部材12がボルト植設孔18の周囲で変形せしめられる際に、上方への突出変形量が低減されて、サブフレーム44を第一の板部材58に安定した状態で重ね合わせることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、嵌合板部材12と連結板部材14を重ね合わせた構造が例示されているが、例えば、
図7に示すボルト植設構造70のように、連結板部材14を省略して嵌合板部材12だけを設けても良い。また、例えば、嵌合板部材12と複数枚の連結板部材14を重ね合わせた構造も採用することができる。
【0074】
また、前記実施形態では、嵌合板部材12が植設ボルト16の軸部22の先端側に設けられると共に、連結板部材14が植設ボルト16の頭部24側に設けられていたが、例えば、
図8に示すボルト植設構造80のように、植設ボルト16の頭部24を嵌合板部材12の下面に当接状態で重ね合わせると共に、連結板部材14が嵌合板部材12を挟んで頭部24と反対側に重ね合わされていても良い。
図8の構造において、ボルト挿通孔20は、ボルト挿通孔20の孔内面と植設ボルト16の径方向間に図示しない金型の突出部を挿通可能な程度に、ボルト植設孔18よりも大径とされており、嵌合板部材12の凹陥部28がボルト挿通孔20に向けて開口するように形成されている。
【0075】
また、植設ボルト16は、複数の板部材に嵌合されていても良い。具体的には、例えば、植設ボルト16を複数の板部材のボルト孔に挿通する際に、植設ボルト16におけるボルト孔への挿通部分をそれら複数の板部材の各ボルト孔の内周面に嵌合させると共に、それら複数の板部材の少なくとも一つに凹陥部28を形成することで、植設ボルト16をより強固に固定するようにしても良い。更に、凹陥部28が形成されて植設ボルト16に嵌合される嵌合板部材12を複数設けることも可能であり、例えば、2枚の嵌合板部材12,12を重ね合わせて採用する場合には、一方の嵌合板部材12のボルト植設孔18に植設ボルト16を挿通して凹陥部28を形成した後、他方の嵌合板部材12のボルト植設孔18に植設ボルト16を挿通して凹陥部28を形成するなどしても良い。
【0076】
また、前記実施形態において植設ボルト16の軸部22に設けられていたセレーション26は、必須ではなく、
図8のボルト植設構造80に示すように、植設ボルト16の軸部22における嵌合板部材12への嵌合部分の外周面が、セレーション(凹溝および凸条)が形成されていない円筒面とされていても良い。
【0077】
さらに、植設ボルト16の具体的な構造は特に限定されるものではなく、例えば、頭部24がなく、ねじ山を形成された軸部22がセレーション26から軸方向の両側に向けて延び出した構造の植設ボルトなども採用され得る。このような頭部を持たない植設ボルトを採用する場合には、嵌合板部材の両面に凹陥部28を形成しても良い。
【0078】
また、前記実施形態に示した凹陥部の具体的な形状は、あくまでも例示であって、例えば、ボルト植設孔18の周囲を一周に満たない長さで周方向に延びる溝状とすることも可能である。更に、一周に満たない溝をボルト植設孔18の周囲で周方向に複数並ぶように配することで、周方向の全周に亘って断続的に延びる凹陥部を形成することもできる。更にまた、凹陥部は、ボルト植設孔18の周方向に延びる溝状にも限定されず、例えば、円形凹所の複数をボルト植設孔18の周囲で周方向に並んで設けることによって、ボルト植設孔18の周囲を囲む凹陥部を得ることもできる。