特許 6791774 灯具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6791774

(24)【登録日】2020年11月9日

(45)【発行日】2020年11月25日

(54)【発明の名称】灯具

(51)【国際特許分類】

   F21S 43/236 20180101AFI20201116BHJP

   F21S 43/242 20180101ALI20201116BHJP

   F21S 43/249 20180101ALI20201116BHJP

   F21S 43/19 20180101ALI20201116BHJP

   F21V 19/00 20060101ALI20201116BHJP

   F21V 8/00 20060101ALI20201116BHJP

   F21W 107/10 20180101ALN20201116BHJP

   F21Y 115/10 20160101ALN20201116BHJP

   F21Y 115/30 20160101ALN20201116BHJP

【ＦＩ】

   F21S43/236

   F21S43/242

   F21S43/249

   F21S43/19

   F21V19/00 150

   F21V19/00 170

   F21V19/00 210

   F21V8/00 310

   F21V8/00 330

   F21V19/00 500

   F21W107:10

   F21Y115:10

   F21Y115:30

【請求項の数】6

【全頁数】14

(21)【出願番号】特願2017-15916(P2017-15916)

(22)【出願日】2017年1月31日

(65)【公開番号】特開2018-125143(P2018-125143A)

(43)【公開日】2018年8月9日

【審査請求日】2019年12月6日

(73)【特許権者】

【識別番号】000001133

【氏名又は名称】株式会社小糸製作所

(74)【代理人】

【識別番号】100099999

【弁理士】

【氏名又は名称】森山 隆

(72)【発明者】

【氏名】仲野 裕次

【審査官】 下原 浩嗣

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１６−１８４５４８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２０１４／０３３４１７２（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 特開２０１６−０４８６２５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１５−２０１２７８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｆ２１Ｓ ４３／２３６

Ｆ２１Ｓ ４３／１９

Ｆ２１Ｓ ４３／２４２

Ｆ２１Ｓ ４３／２４９

Ｆ２１Ｖ ８／００

Ｆ２１Ｖ １９／００

Ｆ２１Ｗ １０７／１０

Ｆ２１Ｙ １１５／１０

Ｆ２１Ｙ １１５／３０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

光源からの光を導く導光体を備えた灯具において、
上記光源として、灯具前後方向に延びる基準軸線から外れた位置に配置された発光素子を含む複数の発光素子を備えており、
上記導光体は、上記基準軸線上に位置する仮想点光源からの光を灯具正面方向に向かう光として入射させる入射部と、この入射部から入射した光を灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる反射部とを備えており、
上記反射部は、上記基準軸線を含む平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる直線形状に設定されており、
上記所定角度の値は、上記入射部から入射した上記複数の発光素子の各々からの光が上記反射部において全反射する大きさに設定されている、ことを特徴とする灯具。

【請求項2】

上記導光体は、上記反射部で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部と、この第２反射部で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部とを備えている、ことを特徴とする請求項１記載の灯具。

【請求項3】

上記反射部の複数箇所に、上記入射部から入射した上記複数の発光素子からの光の一部を前方へ出射させる第２出射部が形成されている、ことを特徴とする請求項１記載の灯具。

【請求項4】

上記複数の発光素子として、上記基準軸線上に配置された第１発光素子と、上記基準軸線から外れた位置に配置された複数の第２発光素子とを備えており、
上記第１発光素子と上記複数の第２発光素子とが、互いに異なる点灯モードで点灯するように構成されている、ことを特徴とする請求項１〜３いずれか記載の灯具。

【請求項5】

上記複数の発光素子は、共通の基板に搭載されている、ことを特徴とする請求項１〜４いずれか記載の灯具。

【請求項6】

上記基板は、他の灯具構成部材に対して着脱可能なプラグに支持されている、ことを特徴とする請求項５記載の灯具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本願発明は、光源からの光を導く導光体を備えた灯具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来より、テールランプやクリアランスランプ等の車両用灯具の構成として、光源からの光を導く導光体を備えたものが知られている。

【0003】

「特許文献１」には、このような灯具における導光体として、灯具前後方向に延びる基準軸線上に配置された発光素子からの光を灯具正面方向に向かう光として入射させる入射部と、この入射部から入射した光を灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる反射部と、この反射部で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部と、この第２反射部で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部とを備えたものが記載されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１６−１８４５４８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

上記「特許文献１」に記載された灯具において、その光源として複数の発光素子を備えた構成とした場合には、次のような問題が生じるおそれがある。

【0006】

すなわち、上記「特許文献１」に記載された灯具は、その導光体の反射部が基準軸線を中心軸とする円錐面状に形成されている。このため、基準軸線上に配置された発光素子からの出射光については反射部で全反射させることができても、基準軸線から外れた位置に配置された発光素子からの出射光については、その発光素子の配置によっては反射部で全反射させることができない場合が生じてしまう。そしてこのような場合には、その発光素子からの出射光の一部が反射部から前方へ漏れ出してしまうので、光源光束を有効に利用することができなくなってしまう。

【0007】

本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光源からの光を導く導光体を備えた灯具において、その光源として複数の発光素子を備えた構成とした場合であっても光源光束を有効に利用することができる灯具を提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本願発明は、導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。

【0009】

すなわち、本願発明に係る灯具は、
光源からの光を導く導光体を備えた灯具において、
上記光源として、灯具前後方向に延びる基準軸線から外れた位置に配置された発光素子を含む複数の発光素子を備えており、
上記導光体は、上記基準軸線上に位置する仮想点光源からの光を灯具正面方向に向かう光として入射させる入射部と、この入射部から入射した光を灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる反射部とを備えており、
上記反射部は、上記基準軸線を含む平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる直線形状に設定されており、
上記所定角度の値は、上記入射部から入射した上記複数の発光素子の各々からの光が上記反射部において全反射する大きさに設定されている、ことを特徴とするものである。

【0010】

上記「発光素子」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードやレーザダイオード等が採用可能である。

【0011】

上記「灯具前後方向」とは、灯具と該灯具の点灯状態を外部から観察し得る位置とを結ぶ方向を意味するものであって、その具体的な方向は特に限定されるものではない。

【0012】

上記「反射部」は、基準軸線を含む平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる直線形状に設定されていれば、上記平面以外の平面に沿った断面形状については特に限定されるものではない。

【発明の効果】

【0013】

本願発明に係る灯具は、その導光体が、灯具前後方向に延びる基準軸線上に位置する仮想点光源からの光を入射部において灯具正面方向に向かう光として入射させた後、反射部において灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる構成となっており、その反射部は基準軸線を含む平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる直線形状に設定されているが、上記所定角度の値は、基準軸線から外れた位置に配置された発光素子を含む複数の発光素子の各々から出射した光が反射部において全反射する大きさに設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。

【0014】

すなわち、基準軸線から外れた位置に配置された発光素子から出射して導光体に入射した光は、基準軸線上に配置された発光素子（または仮想の発光素子）から出射して導光体に入射した光に対して、反射部に到達する際の入射角が大きくなる場合と小さくなる場合とがある。その際、反射部に到達する際の入射角が導光体の臨界角よりも小さくなってしまうと、反射部に到達した光の一部が前方へ漏れ出してしまい、光源光束を有効に利用することができなくなってしまう。

【0015】

その点、本願発明においては、上記所定角度の値が、入射部から入射した複数の発光素子の各々からの光が反射部において全反射する大きさに設定されているので、反射部から前方へ光が漏れ出してしまうのを未然に防止することができ、これにより光源光束を有効に利用することができる。

【0016】

このように本願発明によれば、光源からの光を導く導光体を備えた灯具において、その光源として複数の発光素子を備えた構成とした場合であっても光源光束を有効に利用することができる。

【0017】

上記構成において、導光体として、反射部で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部と、この第２反射部で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部とを備えた構成とすれば、灯具正面視において出射部の部分が明るく光って見えるようにすることができる。

【0018】

ところで、本願発明の構成を採用した場合には、反射部からの光の漏れ出しが防止されるので、灯具正面視において反射部の部分が光って見えなくなる。

【0019】

そこで、上記構成において、反射部の複数箇所に、入射部から入射した複数の発光素子からの光の一部を前方へ出射させる第２出射部が形成された構成すれば、反射部の部分も離散的に光って見えるようにすることができる。その際、各第２出射部からの出射光は不用意に漏れ出した光ではなく制御された光であるので、比較的少ない光量で反射部の部分が適度に光って見えるようにすることができる。

【0020】

上記構成において、複数の発光素子として、基準軸線上に配置された第１発光素子と基準軸線から外れた位置に配置された複数の第２発光素子とを備えた構成とした上で、第１発光素子と複数の第２発光素子とが互いに異なる点灯モードで点灯する構成とすれば、灯具が各点灯モードでバランス良く光って見えるようにすることができる。

【0021】

上記構成において、複数の発光素子が共通の基板に搭載された構成とすれば、複数の発光素子の位置関係精度を高めて灯具の配光性能を高めることができ、かつ灯具構成を簡素化することができる。

【0022】

このような構成を採用した場合において、基板が他の灯具構成部材に対して着脱可能なプラグに支持された構成とすれば、複数の発光素子を１つの光源ユニットとして取り扱うことができ、これにより灯具の組付作業を容易に行うことができる。

【0023】

その際、上記「他の灯具構成部材」は、特定の部材に限定されるものではなく、例えばランプボディやあるいはこれに支持された部材等が採用可能である。

【図面の簡単な説明】

【0024】

【図1】本願発明の一実施形態に係る灯具を示す正面図

【図2】図１のII−II線断面図

【図3】図１の要部詳細図

【図4】図２の要部詳細図

【図5】（ａ）は上記実施形態の光源ユニットを単品で示す正面図、（ｂ）〜（ｄ）はその変形例を示す正面図

【図6】上記実施形態の第１変形例の要部を示す、図４と同様の図

【図7】上記実施形態の第２変形例の主要構成要素を示す正面図

【図8】図７のVIII−VIII線断面図

【発明を実施するための形態】

【0025】

以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。

【0026】

図１は、本願発明の一実施形態に係る灯具１０を示す正面図であり、図２は、そのII−II線断面図である。

【0027】

これらの図に示すように、本実施形態に係る灯具１０は、車両の右後部に配置されるテール＆ストップランプ（すなわち車両用灯具）であって、ランプボディ１２と透明のアウターカバー１４とで形成される灯室内に、光源ユニット２０の一部と導光体３０と導光体ホルダ１６とが組み込まれた構成となっている。

【0028】

光源ユニット２０は、光源として５つの発光素子２２Ａ、２２Ｂを備えており、ランプボディ１２に対して着脱可能に支持されている。

【0029】

導光体３０は、アクリル（ＰＭＭＡ）樹脂やポリカーボネート（ＰＣ）樹脂等の透明樹脂成形品であって、５つの発光素子２２Ａ、２２Ｂからの出射光を導光するように構成されている。

【0030】

導光体ホルダ１６は、導光体３０をランプボディ１２に対して位置決めした状態で支持するように構成されている。

【0031】

なお、灯具１０としては、図２において、Ｘで示す方向が「前方」（車両としては「後方」）であり、Ｙで示す方向が「前方」と直交する「右方向」（車両としても「右方向」）である。

【0032】

まず、光源ユニット２０の構成について説明する。

【0033】

図３は、図１の要部詳細図であり、図４は、図２の要部詳細図である。また、図５（ａ）は、光源ユニット２０を単品で示す正面図である。

【0034】

これらの図にも示すように、５つの発光素子２２Ａ、２２Ｂは、いずれも同一サイズの正方形の発光面を有する赤色発光ダイオードであって、発光素子２２Ａを中心にして残り４つの発光素子２２Ｂが縦横の十字状に配置された状態で共通の基板２４に搭載されている。この基板２４は、プラグ２６の前端面に位置決めされた状態で支持されている。

【0035】

そして、この光源ユニット２０は、そのプラグ２６の部分においてランプボディ１２の後壁部１２ａに形成された光源支持孔１２ｂに支持されている。この支持は、プラグ２６の前端部を光源支持孔１２ｂに後方から挿入した状態で、所定量回転させて後壁部１２ａと嵌合させることによって行われている。この嵌合が確実に行われるようにするため、プラグ２６にはパッキン２８が装着されている。このプラグ２６の後部には、複数の放熱フィン２６ａが形成されている。

【0036】

この光源ユニット２０は、ランプボディ１２に支持された状態において各発光素子２２Ａ、２２Ｂの発光面が灯具正面方向を向くように構成されている。そして、この光源ユニット２０は、中央に位置する発光素子２２Ａがテールランプ点灯モードで点灯し、残り４つの発光素子２２Ｂがストップランプ点灯モードで点灯するように構成されている。

【0037】

次に、導光体３０の構成について説明する。

【0038】

導光体３０は、灯具正面視（すなわち車両後方から見た状態）において横長矩形状の外形形状を有している。その際、導光体３０は、発光素子２２Ａの発光中心を通るようにして灯具前後方向に延びる基準軸線Ａｘを含む鉛直面に関して左右対称の形状を有している。

【0039】

この導光体３０は、発光素子２２Ａの発光中心に位置する仮想点光源Ａからの光を灯具正面方向に向かう光として入射させる入射部３２と、この入射部３２から入射した光を灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる左右１対の反射部３４と、これら左右１対の反射部３４で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる左右１対の第２反射部３６と、これら左右１対の第２反射部３６で内面反射した光を灯具前方へ出射させる左右１対の出射部３８とを備えている。

【0040】

この導光体３０は、基準軸線Ａｘを中心として円柱状に形成された後部領域３０Ａと、この後部領域３０Ａの前方側において左右両側へ向けてやや灯具前方側へ傾斜して延びるように形成された左右１対の前部領域３０Ｂとを備えている。

【0041】

後部領域３０Ａは、その後面が入射部３２として構成されている。また、各前部領域３０Ｂにおいて後部領域３０Ａの前方に位置する部分は、その前面が反射部３４として構成されている。また、各前部領域３０Ｂにおいて後部領域３０Ａの左右両側に位置する部分は、その後面が第２反射部３６として構成されており、その前面が出射部３８として構成されている。

【0042】

入射部３２は、基準軸線Ａｘを中心とする中心領域がレンズ部３２Ａとして構成されており、このレンズ部３２Ａを全周にわたって囲む周辺領域が３つの同心円状のプリズム部３２Ｂとして構成されている。

【0043】

レンズ部３２Ａは、後方へ膨らむ凸曲面状に形成されており、該レンズ部３２Ａに到達した仮想点光源Ａからの出射光を灯具正面方向へ屈折させるようになっている。各プリズム部３２Ｂは、その内周面３２Ｂ１において仮想点光源Ａからの光を基準軸線Ａｘから離れる方向へ屈折させた後、その外周面３２Ｂ２において灯具正面方向へ全反射により内面反射させるようになっている。

【0044】

左右１対の反射部３４は、平面視において基準軸線Ａｘの位置から灯具斜め前方へ向けてＶ字状に拡がるように形成された鉛直面で構成されている。すなわち、図４に示すように、各反射部３４は、基準軸線Ａｘを含む水平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度α傾斜した方向に延びる直線形状に設定されている。なお、左右１対の反射部３４の接続部分には僅かなコーナＲが付与されている。

【0045】

所定角度αの値は、入射部３２から入射した複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂの各々からの光が各反射部３４において全反射する大きさに設定されている。

【0046】

すなわち、図４に示すように、各反射部３４に到達する光は、基準軸線Ａｘに関して該反射部３４と同じ側に位置する発光素子２２Ｂから（正確には該発光素子２２Ｂの発光面における基準軸線Ａｘとは反対側の端縁から）出射して入射部３２のレンズ部３２Ａで屈折した光の入射角θが最も大きくなる。したがって、この入射角θが導光体３０の臨界角よりも僅かに小さくなるように所定角度αの値が設定されている。

【0047】

その際、基準軸線Ａｘに関して各反射部３４と同じ側に位置する発光素子２２Ｂからの光の入射角θは、該反射部３４における基準軸線Ａｘ側の端縁位置において最も大きくなるので、このときの入射角θが導光体３０の臨界角よりも僅かに小さくなるように所定角度αの値が設定されている。

【0048】

各第２反射部３６は、各反射部３４で全反射した光を灯具前方へ全反射により内面反射させる複数の反射素子３６ｓが階段状に形成された構成となっている。その際、複数の反射素子３６ｓは、左右方向に略等間隔をおいて上下方向に延びるように形成されている。

【0049】

各出射部３８は、各第２反射部３６で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射素子３８ｓが階段状に形成された構成となっている。その際、複数の出射素子３８ｓは、灯具正面視において縦横の格子状に区分けされた状態で形成されており、互いに隣接する出射素子３８ｓ相互間には前後方向の段差が設けられている。各出射素子３８ｓは、基準軸線Ａｘと直交する鉛直面で構成されている。

【0050】

次に、本実施形態の作用効果について説明する。

【0051】

本実施形態に係る灯具１０は、その導光体３０が、灯具前後方向に延びる基準軸線Ａｘ上に位置する仮想点光源Ａからの光を入射部３２において灯具正面方向に向かう光として入射させた後、反射部３４において灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させる構成となっており、その反射部３４は基準軸線Ａｘを含む平面に沿った断面形状が灯具正面方向に対して所定角度α傾斜した方向に延びる直線形状に設定されているが、所定角度αの値は、基準軸線Ａｘから外れた位置に配置された４つの発光素子２２Ｂを含む５つの発光素子２２Ａ、２２Ｂの各々から出射した光が反射部３４において全反射する大きさに設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。

【0052】

すなわち、基準軸線Ａｘから外れた位置に配置された発光素子２２Ｂから出射して導光体３０に入射した光は、基準軸線Ａｘ上に配置された発光素子２２Ａから出射して導光体３０に入射した光に対して、反射部３４に到達する際の入射角が大きくなる場合と小さくなる場合とがある。その際、反射部３４に到達する際の入射角θが導光体３０の臨界角よりも小さくなってしまうと、反射部３４に到達した光の一部が前方へ漏れ出してしまい、光源光束を有効に利用することができなくなってしまう。

【0053】

その点、本実施形態においては、所定角度αの値が、入射部３２から入射した５つの発光素子２２Ａ、２２Ｂの各々からの光が反射部３４において全反射する大きさに設定されているので、反射部３４から前方へ光が漏れ出してしまうのを未然に防止することができ、これにより光源光束を有効に利用することができる。

【0054】

このように本実施形態によれば、光源からの光を導く導光体３０を備えた灯具１０において、その光源として複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂを備えた構成とした場合であっても光源光束を有効に利用することができる。

【0055】

その際、本実施形態の導光体３０は、反射部３４で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部３６と、この第２反射部３６で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部３８とを備えているので、灯具正面視において出射部３８の部分が明るく光って見えるようにすることができる。

【0056】

本実施形態において、複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂとして、基準軸線Ａｘ上に配置された発光素子２２Ａ（第１発光素子）と基準軸線Ａｘから外れた位置に配置された４つの発光素子２２Ｂ（第２発光素子）とを備えており、発光素子２２Ａと４つの発光素子２２Ｂとが互いに異なる点灯モードで点灯する構成となっているので、灯具１０が各点灯モードでバランス良く光って見えるようにすることができる。

【0057】

本実施形態においては、複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂが共通の基板２４に搭載されているので、複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂの位置関係精度を高めて灯具１０の配光性能を高めることができ、かつ灯具構成を簡素化することができる。

【0058】

しかも、この基板２４は、ランプボディ１２に対して着脱可能なプラグ２６に支持されているので、複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂを１つの光源ユニット２０として取り扱うことができ、これにより灯具１０の組付作業を容易に行うことができる。

【0059】

上記実施形態においては、光源ユニット２０が、基準軸線Ａｘ上に配置された発光素子２２Ａと、基準軸線Ａｘを中心にして縦横の十字状に配置された４つの発光素子２２Ｂとを備えているものとして説明したが、これ以外の構成を採用することも可能である。例えば、図５（ｂ）に示す光源ユニット１２０のように、基準軸線Ａｘを中心にして４つの第２発光素子１２２Ｂが縦横の十字状に配置された構成（上記実施形態の発光素子２２Ａが存在しない構成）や、図５（ｃ）に示す光源ユニット２２０のように、基準軸線Ａｘを中心にして３つの第２発光素子２２２Ｂが円周方向に１２０°間隔で配置された構成や、図５（ｄ）に示す光源ユニット３２０のように、基準軸線Ａｘ上に配置された第１発光素子３２２Ａと、その左右両側に配置された２つの第２発光素子３２２Ｂとを備えた構成等を採用することも可能である。

【0060】

上記実施形態においては、光源ユニット２０が、ランプボディ１２に支持されているものとして説明したが、それ以外の灯具構成部材（例えば導光体ホルダ１６等）に支持された構成とすることも可能である。

【0061】

上記実施形態においては、発光素子２２Ａがテールランプ点灯モードで点灯し、４つの発光素子２２Ｂがストップランプ点灯モードで点灯するものとして説明したが、それ以外の態様で点灯する構成（例えば、４つの発光素子２２Ｂがテールランプ点灯モードで点灯し、発光素子２２Ａがストップランプ点灯モードで明るく点灯する構成等）を採用することも可能である。

【0062】

上記実施形態においては、灯具１０がテール＆ストップランプである場合について説明したが、それ以外の車両用灯具（例えば、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、ターンシグナルランプ、ルームランプ等）であってもよく、さらには車両用灯具以外の灯具であってもよい。

【0063】

次に、上記実施形態の変形例について説明する。

【0064】

まず、上記実施形態の第１変形例について説明する。

【0065】

図６は、本変形例に係る灯具４１０の要部を示す、図４と同様の図である。

【0066】

同図に示すように、本変形例に係る灯具４１０の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、その導光体４３０の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。

【0067】

すなわち、本変形例の導光体４３０は、その後部領域４３０Ａにおける入射部４３２の構成ならびに各前部領域４３０Ｂにおける反射部４３４、第２反射部４３６および出射部４３８の構成については上記実施形態の場合と同様であるが、各反射部４３４の複数箇所に、入射部４３２から入射した複数の発光素子２２Ａ、２２Ｂからの光の一部を前方へ出射させる第２出射部４４０が形成された構成となっている。

【0068】

これら複数の第２出射部４４０は、各反射部４３４において左右方向に略一定の間隔で３箇所に形成されている。各第２出射部４４０は、楔状の水平断面形状で反射部４３４の全高にわたって上下方向に延びるように形成されており、その出射面は基準軸線Ａｘと直交する鉛直面で構成されている。

【0069】

本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。

【0070】

すなわち、上記実施形態の導光体３０においては、各反射部３４からの光の漏れ出しが防止されるので、灯具正面視において各反射部３４の部分が光って見えなくなる。これに対し、本変形例の導光体４３０においては、各反射部４３４の複数箇所に第２出射部４４０が形成されているので、各反射部４３４の部分も離散的に光って見えるようにすることができる。その際、各第２出射部４４０からの出射光は不用意に漏れ出した光ではなく制御された光であるので、比較的少ない光量で各反射部４３４の部分が適度に光って見えるようにすることができる。

【0071】

上記第１変形例においては、各第２出射部４４０が楔状の水平断面形状で反射部４３４の全高にわたって上下方向に延びるように形成されているものとして説明したが、上下方向の複数箇所に離散的に形成された構成とすることも可能であり、また、楔状以外の水平断面形状で形成された構成とすることも可能である。

【0072】

次に、上記実施形態の第２変形例について説明する。

【0073】

図７は、本変形例に係る灯具５１０の主要構成要素を示す正面図であり、図８は、そのVIII−VIII線断面図である。

【0074】

これらの図に示すように、本変形例に係る灯具５１０も、その基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、その導光体５３０の構成が上記実施形態の場合と大きく異なっている。

【0075】

すなわち、本変形例の導光体５３０は、基準軸線Ａｘを中心として円柱状に形成された後部領域５３０Ａと、この後部領域５３０Ａの前方側において基準軸線Ａｘを中心とする回転体として構成された前部領域５３０Ｂとを備えており、灯具正面視において円形の外形形状を有している。

【0076】

後部領域５３０Ａの後面は、その全領域が基準軸線Ａｘを中心として後方へ膨らむ凸曲面状の入射部５３２として構成されており、該入射部５３２に到達した仮想点光源Ａからの出射光を灯具正面方向へ屈折させるようになっている。

【0077】

前部領域３０Ｂにおいて後部領域３０Ａの前方に位置する部分は、その前面が基準軸線Ａｘを中心として前方側へ拡がる円錐面状の反射部５３４として構成されている。そして、この反射部５３４において、入射部５３２から入射した光を灯具前後方向と交差する方向へ内面反射させるようになっている。その際、この反射部５３４は、基準軸線Ａｘを含む平面に沿った断面形状が、上記実施形態の反射部３４と同様、灯具正面方向に対して所定角度α傾斜した方向に延びる直線形状に設定されている。

【0078】

前部領域５３０Ｂにおいて後部領域５３０Ａの周囲に位置する部分の後面は、反射部５３４で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部５３６として構成されている。この第２反射部５３６は、複数の反射素子５３６ｓが階段状に形成された第２反射部５３６として構成されており、これら各反射素子５３６ｓによって反射部５３４で内面反射した光を全反射により内面反射させるようになっている。その際、複数の反射素子５３６ｓは、基準軸線Ａｘに関して径方向に略等間隔をおいて円周方向に延びるように形成されている。

【0079】

前部領域５３０Ｂにおいて後部領域５３０Ａの周囲に位置する部分の前面は、第２反射部５３６で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部５３８として構成されている。この出射部５３８は、複数の出射素子５３８ｓが径方向に階段状に形成された構成となっている。その際、複数の出射素子５３８ｓは、灯具正面視において基準軸線Ａｘに関して径方向および円周方向に格子状に区分けされた状態で配置されており、互いに隣接する出射素子５３８ｓ相互間には前後方向の段差が設けられている。各出射素子５３８ｓは、基準軸線Ａｘと直交する鉛直面で構成されている。

【0080】

本変形例の導光体５３０においても、所定角度αの値が、入射部５３２から入射した５つの発光素子５２２Ａ、５２２Ｂの各々からの光が反射部５３４において全反射する大きさに設定されているので、反射部５３４から前方へ光が漏れ出してしまうのを未然に防止することができ、これにより光源光束を有効に利用することができる。

【0081】

また、本変形例の導光体５３０も、反射部５３４で内面反射した光を灯具前方へ内面反射させる第２反射部５３６と、この第２反射部５３６で内面反射した光を灯具前方へ出射させる出射部５３８とを備えているので、灯具正面視において出射部５３８の部分が明るく光って見えるようにすることができる。

【0082】

上記実施形態およびその変形例において、各第２反射部３６、４３６、５３６を構成する複数の反射素子３６ｓ、５３６ｓ等の各々の構成あるいは各出射部３８、４３８、５３８を構成する複数の出射素子３８ｓ、５３８ｓ等の各々の構成として、光を拡散させるような曲面形状を有する構成とすることも可能である。

【0083】

なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。

【0084】

また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。

【符号の説明】

【0085】

１０、４１０、５１０ 灯具
１２ ランプボディ
１２ａ 後壁部
１２ｂ 光源支持孔
１４ アウターカバー
１６ 導光体ホルダ
２０、１２０、２２０、３２０ 光源ユニット
２２Ａ、３２２Ａ 発光素子（第１発光素子）
２２Ｂ、１２２Ｂ、２２２Ｂ、３２２Ｂ 発光素子（第２発光素子）
２４ 基板
２６ プラグ
２６ａ 放熱フィン
２８ パッキン
３０、４３０、５３０ 導光体
３０Ａ、４３０Ａ、５３０Ａ 後部領域
３０Ｂ、４３０Ｂ、５３０Ｂ 前部領域
３２、４３２、５３２ 入射部
３２Ａ レンズ部
３２Ｂ プリズム部
３２Ｂ１ 内周面
３２Ｂ２ 外周面
３４、４３４、５３４ 反射部
３６、４３６、５３６ 第２反射部
３６ｓ、５３６ｓ 反射素子
３８、４３８、５３８ 出射部
３８ｓ、５３８ｓ 出射素子
４４０ 第２出射部
Ａ 仮想点光源
Ａｘ 基準軸線
α 所定角度
θ 入射角

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】