(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のエレメントと第2のエレメントとの間隔が、前記各給電点から離れるほど大きくなっていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
前記支持体は、前記側周面として、前記第1の側面と対向する第4の側面を更に有し、前記各給電点は前記第1の面と前記第1の側面との境界近傍に配置され、前記各給電点に接続された前記給電ケーブルは前記第2及び第3の側面の間を通って前記第4の側面に設けられたケーブル挿通孔から支持体外部に延出していることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(アンテナ装置)
本発明の実施形態に係るアンテナ装置について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置1の上面斜視図である。
図2は、アンテナ装置1が備えるフィルムアンテナ10の展開図であり、
図3は、アンテナ装置1の分解下面側斜視図である。
図4は、
図1に示すアンテナ装置1のI−I´線に沿う断面図である。
【0016】
本実施形態のアンテナ装置1は、例えば自動車等の車体のルーフの後端に搭載される樹脂製スポイラーに内蔵される車載用アンテナ装置として用いることができる。この場合、アンテナ装置1は、図示したx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を前方、y軸負方向を後方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方とした状態(
図1参照)で車体のルーフ後端に配置される(
図5参照)。なお、以下の説明においては、図示したx軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向、z軸正方向、z軸負方向を、それぞれ、右、左、前、後、上、下と表現する。これらの表現は、記載を簡潔に保つための便宜上のものであり、アンテナ装置1の配置を制限するものではない。
【0017】
アンテナ装置1は、
図1に示すように、フィルムアンテナ10と、フィルムアンテナ10に接続される同軸ケーブル20と、フィルムアンテナ10を支持する支持体30とを備えている。なお、フィルムアンテナ10が、本発明におけるフィルムアンテナに相当し、同軸ケーブル20が、本発明における給電ケーブルに相当し、支持体30が、本発明における支持体に相当する。
【0018】
(フィルムアンテナ10)
アンテナ装置1が備えるフィルムアンテナ10は、
図2に示すように、基板13と、基板13上に形成された第1及び第2のエレメント11,12とから構成されている。基板13は、可撓性を有する樹脂製のフィルムからなり、本実施形態では、ポリイミド製フィルムを採用している。第1及び第2のエレメント11,12は、導体パターンからなり、本実施形態では、所定の形状に形成された導体箔(銅箔)により構成されている。なお、第1のエレメント11が、本発明における第1のエレメントに相当し、第2のエレメント12が、本発明における第2のエレメントに相当する。また後述する各給電点Ph,Pcが、本発明における各給電点に相当する。
【0019】
第1及び第2のエレメント11,12は、
図2に示すように、y軸方向に沿う方向に並んで配置されている。また、第1のエレメント11の幅W1が、第2のエレメント12の幅W2よりも大きくなっている。ここで、第1及び第2のエレメント11,12の幅W1,W2は、第1及び第2のエレメント11,12の配列方向(y軸方向)と交わる方向(x軸方向)における各エレメント長である。
【0020】
第1のエレメント11には、第2のエレメント12に向かて突出する凸部11aが形成され、凸部11a上に、同軸ケーブル20の内側導体21が接続される給電点Ph(ホット側)が設けられている。また、第2のエレメント12には、凸部11aに対応する凹部12aが形成され、凹部12a近傍に、同軸ケーブル20の外側導体22が接続される給電点Pc(コールド側)が設けられている。なお各給電点Ph,Pcには、同軸ケーブル20が半田付け等により接続される。
【0021】
また本実施形態では、第1のエレメント11が盃(グラス)型の形状を有し、第1のエレメント11の輪郭のうち第2のエレメント12に近い側の輪郭を構成する2つの縁111a,111bが傾斜している。すなわち、第1のエレメント11は、給電点Phから遠い位置ほど、第1及び第2エレメント11,12の配列方向に関して第2のエレメント12から離れるように形成されている。
【0022】
平面状のフィルムアンテナ10は、折り曲げることにより立体的なアンテナ構造を構成している。具体的には、
図2に示す直線A‐A´、直線B‐B´、直線C‐C´を折目として谷折りされることで、コの字形状に折り曲げられた第1のエレメント11が、第2のエレメント12に対して直交するように配置される立体的なアンテナ構造となっている。
【0023】
この構成によれば、第2のエレメント12と対向する位置に、第1のエレメント11が配置されていない。このため、フィルムアンテナ10に接続された同軸ケーブル20の配線経路を第2のエレメント12から離れるようにz軸負方向側に変化させても(
図4に示すように経路Bから経路Aに変化させても)、同軸ケーブル20が第1のエレメント11と接近することがない。したがって、支持体30にフィルムアンテナ10を巻き付けたアンテナ装置において、その放射特性が支持体30の内部における同軸ケーブル20の引き回し方の影響を受けないように、放射特性の安定性を高めることが可能となる。
【0024】
なお、本実施形態のフィルムアンテナ10では、第2のエレメント12と対向する位置に第1のエレメント11が配置されないように、第1のエレメント11は、第1及び第2のエレメント11,12の配列方向(y軸方向)に沿う方向におけるエレメント長が、従来のアンテナ装置におけるフィルムアンテナよりも短くなっている(
図2及び
図8参照)。そして代わりに、第1のエレメント11は、第1及び第2のエレメント11,12の配列方向(y軸方向)と交わる方向におけるエレメント長(幅W1)が、従来のアンテナ装置におけるフィルムアンテナよりも長くなっている(
図2及び
図8参照)。そのため、従来のアンテナ装置と同等な放射性能を維持したまま、放射特性の安定化を高めることが可能となっている。
【0025】
さらに、第1のエレメント11が盃型の形状に設計した場合、第1のエレメント11と第2のエレメントとの間隔G1,G2を連続的に変化させることができる(
図1及び
図2参照)。すなわち、これらエレメント11,12の間隔G1,G2を調整することによって、アンテナ装置の共振周波数を調整することができ、動作帯域における放射特性を平坦化することができる。
【0026】
(同軸ケーブル20)
同軸ケーブル20は、内側導体21及び外側導体22と、これら導体を隔てる絶縁層と、外側導体22の外側を覆う被覆層と、によって構成されている。同軸ケーブル20は、上述したように、フィルムアンテナ10の各給電点Ph,Pcに接続される。具体的には、
図4に示すように、内側導体21が、第1のエレメント11上の給電点Phに半田41によって接続され、外側導体22が、第2のエレメント12上の給電点Pcに半田42によって接続されている。
【0027】
本実施形態では、第1のエレメント11上の給電点Phと、第2のエレメント12上の給電点Pcとはy軸方向に沿って並んで配置されている。そして、y軸負方向側の給電点Phに同軸ケーブル20の内側導体21が接続され、y軸正方向側の給電点Pcに同軸ケーブル20の外側導体が接続される。このため、フィルムアンテナ10に接続された同軸ケーブル20は、y軸正方向に向かって引き出されることとなる。
【0028】
(支持体30)
支持体30は、略直方体の外形を有する剛性の樹脂成型品からなり、フィルムアンテナ10を支持してフィルムアンテナ10の立体構造を維持する機能を有している。本実施形態の支持体30は、
図3及び
図4に示すように、下方(z軸負方向側)が開口する低背型の角型中空体の樹脂成型品である。すなわち、内部に同軸ケーブル20を通すための空間が形成された立体形状の支持体30である。
【0029】
支持体30は、上方(z軸正方向側)に設けられた方形板状の上壁部31と、上壁部31の周縁から下方に向かって立設された周壁部32とを有し、支持体内部に同軸ケーブル20を通すための空間が形成されている。周壁部32は4つの側壁部(第1〜第4側壁部)321〜324からなり、上壁部31の周縁の4つの辺から4つの側壁部321〜424がそれぞれ立設されている。すなわち、支持体30は、上方(z軸正方向側)の上壁部31と、後方(y軸負方向側)の第1側壁部321と、左方(x軸負方向側)の第2側壁部322と、右方(x軸正方向側)の第3側壁部323と、前方(y軸正方向側)の第4側壁部324とから構成されている。また、支持体30の下方(z軸負方向側)は開口している。なお、上壁部31の外側表面が、本発明における支持体の第1の面に相当し、周壁部32の外側表面が、本発明における支持体の側周面に相当し、第1から第4側壁部321〜324の各外側表面が、本発明における支持体の第1から第4の側面に相当する。また、支持体30を分かりやすく説明するため、
図2に示す支持体30においては、上壁部31及び周壁部32の各壁部の厚さが表現されておらず、面(各壁部の外側表面)として表現されている。
【0030】
支持体30の上壁部31と周壁部32との境界近傍には、支持体30に巻き付けられたフィルムアンテナ10に接続されている同軸ケーブル20を支持体内部の空間に引き込むための開口部31aが形成されている。本実施形態では、上壁部31における第1側壁部321との境界近傍に開口部31aが形成されている。また、第4側壁部324の中央下方寄りに、支持体内部を通る同軸ケーブル20を支持体外部に引き出すためのケーブル挿通孔(切欠き)324aが形成されている。すなわち、支持体30に巻き付けられたフィルムアンテナ10に接続された同軸ケーブル20は、開口部31aを介して支持体内部の空間に引き込まれ、第2及び第3側壁部322,323の間を通って、第4側壁部324のケーブル挿通孔324aを介して支持体外部に引き出されている。これにより、支持体内部において、同軸ケーブル20を第1のエレメント11に接近させることなく支持体外部に引き回すことができる。
【0031】
(組立工程)
次に、アンテナ装置1の組立工程について説明する。本実施形態においては、フィルムアンテナ10が展開されている状態(
図2参照)から、(1)直線A‐A´を折目としてフィルムアンテナ10を谷折りして第2のエレメント12に対して第1のエレメント11を直交させ、(2)直線B‐B´を折目としてフィルムアンテナ10を谷折りして点P1を点P3に接近させるように第1のエレメント11を折り曲げ(
図2参照)、(3)直線C‐C´を折目としてフィルムアンテナ10を谷折りして点P2を点P4に接近させるように第1のエレメント11を折り曲げる(
図2参照)。これにより、平面状のフィルムアンテナ10を立体的なアンテナ構造とすることができる。
【0032】
フィルムアンテナ10は、立体的なアンテナ構造を維持するために支持体30に巻き付けられる。具体的には、支持体30の上壁部31に第2のエレメント12が沿うように配置され、支持体の第1から第3側壁部321〜323にわたって第1のエレメント11が沿うように配置される。なお本実施形態では、粘着テープなどの接着手段により、フィルムアンテナ10が支持体30の各表面に接着されている。これにより、フィルムアンテナ10を折り曲げることによって構成された立体的なアンテナ構造を安定して維持することができる。
【0033】
また、フィルムアンテナ10を支持体30に巻き付けるとき、フィルムアンテナ10の各給電点Ph,Pcを、支持体30の上壁部31と第1側壁部321との境界近傍に形成されている開口部31aに配置する。そして、第4側壁部324のケーブル挿通孔342aを介して支持体内部の空間に引き込まれている同軸ケーブル20の先端部(内側導体21,外側導体22)を、開口部31aを介して各給電点Ph,Pcに接続する。これにより、フィルムアンテナ10を支持体30に巻き付けることにより立体的なアンテナ構造を維持したアンテナ装置1を取得することができる。なお本実施形態では、支持体30の下方(z軸負方向側)が開口しているため、支持体内部に引き込んだ同軸ケーブル20の先端部を開口部31aを介してフィルムアンテナ10の各給電点Ph,Pcに接続する工程を容易に実施することができる。
【0034】
(自動車への搭載例)
アンテナ装置1を自動車に搭載する場合の搭載例について、
図5を参照して説明する。
図5の(a)は、アンテナ装置1を搭載する車体101の斜視図である。
図5の(b)は、
図5の(a)に示す車体101の拡大平面図である。
【0035】
本実施形態では、ハッチバック型の車体101のルーフ後端部に装着されるスポイラー110の内部にアンテナ装置1が収容されている。ルーフ後端部に装着されるスポイラー110は、電磁波を透過する誘電体(例えば樹脂等)によって構成されている。車体天井のルーフ120は、略水平(xyz軸座標系のxy平面)に延び、外板は鋼板やアルミ板等の金属部材によって構成されている。車体後部のハッチゲート121は、下部を構成するハッチゲートパネル121aと、上部を構成する枠体121cと、枠体121cの枠内のリアガラス121bとにより構成され、ハッチゲートパネル121a及び枠体121cの外板も金属部材によって構成されている。そして、ルーフ120の後端とハッチゲート121(枠体121c)の上端とで、スポイラー110が装着されるルーフ後端部を構成している。
【0036】
具体的には、ハッチゲート121(枠体121c)の上端に設けられた金属部材によって構成されるスポイラー固定部121dに、図示しない固定手段(例えばボルト等)によって樹脂製のスポイラー110が取り付けられている。このとき、スポイラー上面がルーフ120と略面一に並ぶように、アンテナ装置1を内蔵するスポイラー110がスポイラー固定部121dに装着される。このため、自動車の美観を損なうことなくアンテナ装置1を自動車に搭載することができる。なお、本実施形態では、アンテナ装置1とストップランプ119とが内蔵されたスポイラー110がスポイラー固定部121dに取り付けられている。また、スポイラー110に内蔵されれたアンテナ装置1から延びる同軸ケーブル20(図略)は、スポイラー固定部121d(ハッチゲート121の上端)に設けられた挿通孔(図略)を介して、車体101の内部に引き込まれる。
【0037】
アンテナ装置1は車種に応じてデザインされたスポイラー110に内蔵されるため、スポイラー110内のアンテナ装置1の配置位置や、スポイラー固定部121dに設けられた挿通孔の位置、スポイラーの形状などに応じて、同軸ケーブル20の配線経路は変化する。そして本実施形態のアンテナ装置1は、上述したように、同軸ケーブル20の経路が様々に変化した場合であっても、放射特性が同軸ケーブル20の経路の影響を受けることがない。
【0038】
なお、本搭載例は、アンテナ装置1を車体101に搭載する場合の一例を示すものであり、スポイラー110に内蔵されるアンテナ装置1の配置位置や向きは任意である。
【0039】
(フィルムアンテナの変形例)
続いて、本発明の実施形態に係るアンテナ装置1が備えるフィルムアンテナの変形例について、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、第1変形例に係るフィルムアンテナ60の展開図であり、
図7は、第2変形例に係るフィルムアンテナ70の展開図である。いずれの変形例に係るフィルムアンテナ60,70も、上述した本実施形態のアンテナ装置1が備えるフィルムアンテナ10と同様に、第1のエレメント11は十分なエレメント長を確保しつつ、支持体30に巻き付けたとき、第2のエレメントと対向する位置に第1のエレメント11が配置されない立体的なアンテナ構造となっている。
【0040】
(第1変形例)
第1変形例に係るフィルムアンテナ60は、上述したフィルムアンテナ10と同様、基板63と、基板63上に形成された第1及び第2のエレメント61,62を備える。本変形例では、上述したフィルムアンテナ10と異なる形状、向き及び配置位置の第1及び第2のエレメント61,62を有する。フィルムアンテナ60は、エレメント形状や折り曲げ方法が上述したフィルムアンテナ10と相違するものの、
図6に示す直線D‐D´、直線E‐E´、直線F‐F´を折目として谷折りすることにより、上述したフィルムアンテナ10と同様に、コの字形状に折り曲げられた第1のエレメント61が、第2のエレメント62に対して直交するように配置される立体的なアンテナ構造となる。
【0041】
フィルムアンテナ60において、第1のエレメント61は、第2のエレメント62よりもx軸負方向側に配置されている。したがって、本変形例では、第1及び第2のエレメント61,62はx軸方向に沿って並んで配置され、上述したフィルムアンテナ10における各エレメントの配列方向とは相違する。そして本変形例では、第2のエレメント62よりもx軸負方向側に配置された第1のエレメント61のy軸方向におけるエレメント長L3が、第2のエレメント62の幅W4よりも大きくなっている。ここで、第2のエレメント62の幅W4は、上述したフィルムアンテナ10の第2のエレメントの幅W2と同様、x軸方向に沿ったエレメント長である。
【0042】
また、第1のエレメント61には、第2のエレメント62に向かて突出する凸部61aが形成され、凸部61a上に、同軸ケーブル20の内側導体21が接続される給電点Ph(ホット側)が設けられている。また、第2のエレメント62には、凸部61aに対応する凹部62aがy軸負方向及びx軸負方向側の端部に形成され、凹部62a近傍に、同軸ケーブル20の外側導体22が接続される給電点Pc(コールド側)が設けられている。なお各給電点Ph,Pcには、同軸ケーブル20が半田付け等により接続される。
【0043】
また、第1のエレメント61は、第1のエレメント61の輪郭のうち第2のエレメント12が配置されている側の輪郭を構成する2つの縁611a,611bが傾斜している。すなわち、上述したフィルムアンテナ10の第1のエレメント11と同様に、各給電点Ph,Pcから遠い位置ほど、第1のエレメント61と第2のエレメント62の間隔が離れるように形成されている。
【0044】
そして、平面状のフィルムアンテナ60は、
図6に示す直線D‐D´、直線E‐E´、直線F‐F´を折目として谷折することで、コの字形状に折り曲げられた第1のエレメント61が、第2のエレメント62に対して直交するように配置される立体的なアンテナ構造となる。すなわち、本変形例に係るフィルムアンテナ60も、上述した本実施形態のアンテナ装置1が備えるフィルムアンテナ10と同様に、第1のエレメント61は十分なエレメント長を確保しつつ、支持体30に巻き付けたとき、第2のエレメント62と対向する位置に第1のエレメント61が配置されない立体的なアンテナ構造となっている。したがって、支持体30にフィルムアンテナ10を巻き付けたアンテナ装置において、その放射特性が支持体30の内部における同軸ケーブル20の引き回し方の影響を受けないように、放射特性の安定性を高めることが可能となる。
【0045】
(組立工程)
次に、フィルムアンテナ60を備えたアンテナ装置の組立工程について説明する。フィルムアンテナ60は、折り曲げ方法が異なるものの、フィルムアンテナ10の場合と同様に、支持体30に巻き付けられる。本変形例においては、フィルムアンテナ10が展開されている状態(
図6参照)から、(1)直線D‐D´を折目としてフィルムアンテナ60を谷折りして第2のエレメント62に対して第1のエレメント61を直交させ、(2)直線E‐E´を折目としてフィルムアンテナ60を谷折りして点P61を点P63に接近させるように第1のエレメント61を折り曲げ(
図6参照)、(3)直線F‐F´を折目としてフィルムアンテナ60を谷折りして点P62を点P64に接近させるように第1のエレメント61を折り曲げる(
図6参照)。これにより、平面状のフィルムアンテナ60を立体的なアンテナ構造とすることができる。
【0046】
なお本変形例においても、支持体に巻き付けられたフィルムアンテナ60の各給電点Ph,Pcに対して、支持体内部に引き込んだ同軸ケーブル20の先端部(内側導体21,外側導体22)を接続する。フィルムアンテナ60を備えたアンテナ装置も、フィルムアンテナ10を備えたアンテナ装置1と同様の効果を奏する。
【0047】
(第2変形例)
第2変形例に係るフィルムアンテナ70は、上述したフィルムアンテナ10と同様、基板73と、基板73上に形成された第1及び第2のエレメント71,72を備える。本変形例では、上述したフィルムアンテナ10と第2のエレメントの形状が相違するだけであり、第1及び第2のエレメント71,72の配列方向やフィルムアンテナの折り曲げ方法は上述したフィルムアンテナ10と同等である。すなわち、上述したフィルムアンテナ10における第1のエレメント11、凸部11a、凹部12a、給電点Ph,Pc、縁111a,111b、点P1〜4が、フィルムアンテナ70の第1のエレメント71、凸部71a、凹部72a、給電点Ph,Pc、縁711a,711b、点P71〜74にそれぞれ相当する。
【0048】
第2のエレメント72は、凹部721及び凹部722を有する。凹部721を設けることによって、凹部721が設けられていない場合(フィルムアンテナ10の第2のエレメント12)と比較して、点P75から点P76に至る経路長を長くすることができる。同様に、凹部722を設けることによって、凹部722が設けられてない場合(フィルムアンテナ10の第2のエレメント12)と比較して、点P77から点P78に至る経路長を長くすることができる。この構成によれば、第2のエレメント72の長さ(y軸方向に沿って測った場合の長さ)を上述したフィルムアンテナ10と変更させることなく、第2のエレメント72の共振周波数をより低周波側にシフトさせることができる。したがって、フィルムアンテナ70の動作帯域を低周波側に拡大することができる。なお、点P75から点P76に至る経路長と点P77から点P78に至る経路長とを異ならせることにより、第2のエレメント72の共振周波数を増やすことができる。これら2つの経路長を調整することによって、フィルムアンテナ70の動作帯域における放射特性を平坦化することができる。
【0049】
なお、凹部721の起点である点P75は、第2のエレメント72の互いに対向する短辺のうち、給電領域Rfに近い側の短辺(y軸負方向側の短辺)上にある。凹部721の終点である点P76は、第2のエレメント72の互いに対向する長辺のうち点P75と同じ側に位置する長辺(x軸正方向側の長辺)上にある。凹部721は、第2のエレメント72の幅(x軸方向に沿って測った場合の長さ)を狭める方向(x軸正方向)に向かって設けられている。直線A−A´から遠ざかる方向(y軸正方向)に沿ってみた場合に、凹部721は、その幅が一定である区間と、その幅が連続的に広くなる区間と、その幅が連続的に狭くなる区間と、により構成されている。
【0050】
凹部722の起点である点P77と、凹部722の終点である点P78は、何れも、点P76の逆側に位置する長辺(x軸負方向側の長辺)上にある。凹部722は、第2のエレメント72の幅を狭める方向(x軸負方向)に向かって設けられている。y軸正方向に沿ってみた場合に、凹部722は、その幅が一定である区間と、その幅が狭くなる区間と、その幅が広くなる区間と、その幅が再度狭くなる区間と、により構成されている。なお、点P78は、点P76よりもy軸正方向側に位置する。すなわち、凹部722は、凹部721よりも長い区間にわたって設けられている。
【0051】
(アンテナ装置の評価)
支持体30にアンテナが巻き付けられたアンテナ装置における同軸ケーブル20の配線経路の変化に伴うアンテナ特性への影響について評価した。
【0052】
<実施例>
実施例のアンテナ装置は、本実施形態のアンテナ装置1のフィルムアンテナ10に代えて、
図7に示すフィルムアンテナ70を使用したものである。フィルムアンテナ70のサイズは以下の通り定められている。なお、第1及び第2のエレメントの幅は、
図7に示す展開図においてx軸方向に沿って測定したエレメント長であり、第1及び第2のエレメントの長さは、
図7に示す展開図においてy軸方向に沿って測定したエレメント長である。
第1のエレメント71:幅109mm、長さ23mm
第2のエレメント72:幅40mm、長さ119.5mm
【0053】
<比較例>
比較例のアンテナ装置は、本実施形態のアンテナ装置1のフィルムアンテナ10に代えて、
図8に示すフィルムアンテナ80を使用したものである。フィルムアンテナ80は、基板83と、基板上に形成された第1及び第2のエレメント81,82とを備える。そして、フィルムアンテナ80では、第2のエレメント82の形状が、実施例のフィルムアンテナ70の第2のエレメント72と同一であるが、第1のエレメント81の形状が、実施例のフィルムアンテナ70の第1のエレメント71と相違する。具体的には、フィルムアンテナ80を直線G−G´、直線H−H´を折目として折り曲げて立体的なアンテナ構造としたときに、従来のアンテナ装置と同様に、第1のエレメント81には、第2のエレメント81と交わるように配置される区間81bと第2のエレメント82と対向するように配置される区間81cとが形成される。なお、フィルムアンテナ80の第2のエレメント82における凹部821,822は、実施例のフィルムアンテナ70の凹部721,722に相当する。また、フィルムアンテナ80の第1のエレメント81における縁811a,811bは、実施例のフィルムアンテナ70の縁711a,711bに相当する。
【0054】
<評価>
図9及び
図10は、アンテナ装置の実施例と比較例のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数依存性、すなわちVSWR特性を示すグラフであり、同軸ケーブル20が
図4に示す経路Aのように引き回されている場合のVSWRと、経路Bのように引き回されている場合のVSWRとがプロットされている。評価したアンテナ装置(実施例及び比較例)は、LTE(Long Term Evolution)用のアンテナ装置である。LTE用のアンテナ装置は、VSWRが3未満であれば十分に実用に足りると考えられるため、VSWRが3未満である周波数帯域をアンテナ装置の動作帯域とする。
【0055】
実施例のアンテナ装置では、
図9に示すように、経路A及び経路Bの何れの場合であっても、590MHz以上790MHz以下の周波数帯域においてVSWRが3未満であった。したがって、実施例のアンテナ装置は、同軸ケーブル20の引き回しが変化した場合であっても、590MHz以上790MHz以下の動作帯域を確保することができる。
【0056】
比較例のアンテナ装置では、
図10に示すように、同軸ケーブル20が経路Bで配線された場合、780MHzを上限とする周波数帯域においてVSWRが3未満となった。しかし、同軸ケーブル20が経路Aで配線された場合、経路Bで配線した場合と比較して、780MHz以下の周波数帯域においてVSWRが上昇し、600MHz以下の周波数帯域と、680MHz以上720MHz以下の周波数帯域において3を上回った。すなわち、比較例のアンテナ装置では、同軸ケーブル20の配線が経路Bから経路Aに変化することによって動作帯域が狭くなってしまった。
【0057】
以上の結果より、本実施例のアンテナ装置は、動作帯域において放射特性の一態様であるVSWR特性が支持体30の内側における同軸ケーブル20の引き回し方の影響を受けない。したがって、本実施例のアンテナ装置は、比較例のアンテナ装置と比較して、放射特性の安定性を高めることができた。
【0058】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。