(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記拡散抑制層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されている
請求項1に記載のスイッチ素子。
前記第1電極、前記第2電極は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されている
請求項1ないし請求項7に記載のスイッチ素子。
前記スイッチ層は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびビスマス(Bi)から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含む
請求項1または請求項2に記載のスイッチ素子。
前記スイッチ層は、BTe、CTe、BCTe、CSiTe、BSiTe、BCSiTe、BTeN、CTeN、BCTeN、CSiTeN、BSiTeNおよびBCSiTeNのうちのいずれかの組成を含む
請求項3に記載のスイッチ素子。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
拡散抑制層をスイッチ素子の周囲に設けることにより、
スイッチ層の酸素含有量を低減する例
2.変形例
変形例A:スイッチ素子がビット線またはワード線に沿って設けられている例
変形例B:拡散抑制層が省略されている例
変形例C:ビット線またはワード線が積層方向に延在している例
【0018】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係るメモリセルアレイ1の斜視構成の一例を表したものである。メモリセルアレイ1は、本開示の「記憶装置」の一具体例に相当する。メモリセルアレイ1は、所謂クロスポイントアレイ構造を備えており、例えば、
図1に示したように、各ワード線WLと各ビット線BLとが互いに対向する位置(クロスポイント)に1つずつ、メモリセル10を備えている。つまり、メモリセルアレイ1は、複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、クロスポイントごとに1つずつ配置された複数のメモリセル10とを備えている。このように、本実施の形態のメモリセルアレイ1では、複数のメモリセル10を平面(2次元,XY平面方向)に配置した構成とし、さらに、Z軸方向に積層させた3次元構造とすることができる。これにより、より高密度且つ大容量な記憶装置を提供することができる。また、本実施の形態のメモリセルアレイ1では、ワード線WLもしくはビット線BLのどちから一方がZ軸方向に平行に備わり、残りのもう一方がXY平面方向に平行に備わった、縦型のクロスポイント構造とすることが可能である。
【0019】
各ワード線WLは、互いに共通の方向に延在している。各ビット線BLは、ワード線WLの延在方向とは異なる方向(例えば、ワード線WLの延在方向と直交する方向)であって、かつ互いに共通の方向に延在している。複数のワード線WLは、1または複数の層内に配置されており、例えば、
図1に示したように、複数の階層に分かれて配置されている。複数のビット線BLは、1または複数の層内に配置されており、例えば、
図1に示したように、複数の階層に分かれて配置されている。
【0020】
複数のワード線WLが複数の階層に分かれて配置されている場合、複数のワード線WLが配置された第1の層と、複数のワード線WLが配置された、第1の層に隣接する第2の層との間の層内に、複数のビット線BLが配置されている。複数のビット線BLが複数の階層に分かれて配置されている場合、複数のビット線BLが配置された第3の層と、複数のビット線BLが配置された、第3の層に隣接する第4の層との間の層内に、複数のワード線WLが配置されている。複数のワード線WLが複数の階層に分かれて配置されるとともに、複数のビット線BLが複数の階層に分かれて配置されている場合、複数のワード線WLおよび複数のビット線BLは、メモリセルアレイ1の積層方向において交互に配置されている。
【0021】
メモリセルアレイ1は、基板上に2次元もしくは3次元配置された複数のメモリセル10を備えている。基板は、例えば、各ワード線WLおよび各ビット線BLと電気的に接続された配線群や、その配線群と外部回路とを連結するための回路などを有している。メモリセル10は、メモリ素子30と、メモリ素子30に直接接続されたスイッチ素子20とを含んで構成されている。スイッチ素子20は、本開示の「スイッチ素子」の一具体例に相当する。メモリ素子30、本開示の「メモリ素子」の一具体例に相当する。
【0022】
メモリ素子30は、例えば、ワード線WL寄りに配置され、スイッチ素子20が、例えば、ビット線BL寄りに配置されている。なお、メモリ素子30がビット線BL寄りに配置され、スイッチ素子20がワード線WL寄りに配置されていてもよい。また、ある層内において、メモリ素子30がワード線WL寄りに配置され、スイッチ素子20がビット線BL寄りに配置されている場合に、その層に隣接する層内において、メモリ素子30がビット線BL寄りに配置され、スイッチ素子20がワード線WL寄りに配置されていてもよい。また、各層において、メモリ素子30がスイッチ素子20上に形成されていてもよいし、その逆に、スイッチ素子20がメモリ素子30上に形成されていてもよい。
【0023】
(メモリ素子30)
図2A、
図2Bは、メモリセルアレイ1におけるメモリセル10の断面構成の一例を表したものである。メモリ素子30は、中間電極23と、中間電極23に対向配置された第2電極32と、中間電極23および第2電極32の間に設けられたメモリ層31とを有している。メモリ層31は、例えば、中間電極23側から抵抗変化層およびイオン源層が積層された積層構造、あるいは、抵抗変化層の単層構造によって構成されている。
【0024】
イオン源層は、電界の印加によって抵抗変化層内に伝導パスを形成する可動元素を含んでいる。この可動元素は、例えば、遷移金属元素、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、またはカルコゲン元素である。カルコゲン元素としては、例えば、テルル(Te)、セレン(Se)、または硫黄(S)が挙げられる。遷移金属元素としては、周期律表第4族〜第6族の元素であり、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、またはタングステン(W)などが挙げられる。イオン源層は、上記可動元素を1種あるいは2種以上含んで構成されている。また、イオン源層は、酸素(O)、窒素(N)、上記可動元素以外の元素(例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、または白金(Pt))、またはケイ素(Si)等を含んでいてもかまわない。
【0025】
抵抗変化層は、例えば、金属元素もしくは非金属元素の酸化物、または、金属元素もしくは非金属元素の窒化物によって構成されており、中間電極23および第2電極32の間に所定の電圧を印加した場合に抵抗変化層の抵抗値が変化するものである。例えば、中間電極23および第2電極32の間に電圧が印加されると、イオン源層に含まれる遷移金属元素が抵抗変化層内に移動して伝導パスが形成され、これにより抵抗変化層が低抵抗化する。また、抵抗変化層内で酸素欠陥や窒素欠陥等の構造欠陥が生じて伝導パスが形成され、抵抗変化層が低抵抗化する。また、抵抗変化層が低抵抗化するときに印加される電圧の向きとは逆方向の電圧が印加されることによって、伝導パスが切断されるか、または導電性が変化し、抵抗変化層は高抵抗化する。
【0026】
なお、抵抗変化層に含まれる金属元素および非金属元素は必ずしも全てが酸化物の状態でなくてもよく、一部が酸化されている状態であってもよい。また、抵抗変化層の初期抵抗値は、例えば数MΩから数百GΩ程度の素子抵抗が実現されればよく、素子の大きさやイオン源層の抵抗値によってもその最適値が変化するが、その膜厚は例えば1nm〜10nm程度が好ましい。
【0027】
また、本実施の形態のメモリセルアレイ1では、メモリ素子30は上記の構成に限られるものではない。メモリ素子30は、例えば、ヒューズやアンチヒューズーズを用いた一度だけ書き込みが可能なOTP(One Time Programable)メモリ、単極性の相変化メモリPCRAM、あるいは磁気抵抗変化素子を用いた磁気メモリ等、いずれのメモリ形態を採ることが可能である。
【0028】
中間電極23は、スイッチ素子20の電極を兼ねていてもよいし、スイッチ素子20の電極とは別体で設けられていてもよい。第2電極32は、ワード線WLまたはビット線BLを兼ねていてもよいし、ワード線WLおよびビット線BLとは別体で設けられていてもよい。第2電極32がワード線WLおよびビット線BLとは別体で設けられている場合には、第2電極32は、ワード線WLまたはビット線BLと電気的に接続されている。第2電極32は、半導体プロセスに用いられる配線材料によって構成されている。第2電極32は、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)、炭素(C)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタンタングステン(TiW)、またはシリサイド等により構成されている。
【0029】
中間電極23は、例えば、電界の印加によってスイッチ層22およびイオン源層に含まれるカルコゲン元素が拡散することを防ぐ材料によって構成されていることが好ましい。これは、例えば、イオン源層にはメモリ動作し書き込み状態を保持させる元素として遷移金属元素が含まれているが、遷移金属元素が電界の印加によってスイッチ層22に拡散するとスイッチ特性が劣化する虞があるためである。従って、中間電極23は、遷移金属元素の拡散およびイオン伝導を防止するバリア性を有するバリア材料を含んで構成されていることが好ましい。バリア材料としては、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)、炭素(C)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタンタングステン(TiW)、またはシリサイド等が挙げられる。
【0030】
(スイッチ素子20)
スイッチ素子20は、第1電極21と、第1電極21に対向配置された中間電極23と、第1電極21と中間電極23との間に設けられたスイッチ層22とを有している。第1電極21および中間電極23は、本開示の「第1電極」「第2電極」の一具体例に相当する。第1電極21は、ビット線BLを兼ねていてもよいし、ビット線BLとは別体で設けられていてもよい。第1電極21がビット線BLとは別体で設けられている場合には、第1電極21は、ビット線BLと電気的に接続されている。なお、スイッチ素子20がワード線WL寄りに設けられている場合には、第1電極21は、ワード線WLを兼ねていてもよいし、ワード線WLとは別体で設けられていてもよい。ここで、第1電極21がワード線WLとは別体で設けられている場合には、第1電極21は、ワード線WLと電気的に接続されている。
【0031】
中間電極23は、メモリ素子30の電極を兼ねていてもよいし、メモリ素子30の電極とは別体で設けられていてもよい。中間電極23がメモリ素子30の電極とは別体で設けられている場合には、中間電極23は、メモリ素子30の電極と電気的に接続されている。第1電極21は、半導体プロセスに用いられる配線材料によって構成されている。第1電極21は、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)、炭素(C)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタンタングステン(TiW)、またはシリサイド等により構成されている。第1電極21がCu等の電界でイオン伝導が生じる可能性のある材料により構成されている場合には、Cu等よりなる第1電極21の表面が、イオン伝導や熱拡散しにくいバリア性の材料で被覆されていてもよい。イオン伝導や熱拡散しにくいバリア性の材料としては、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)、または窒化タンタル(TaN)等が挙げられる。
【0032】
スイッチ層22は、周期律表第16族の元素、具体的には、テルル(Te)、セレン(Se)および硫黄(S)から選ばれる少なくとも1種のカルコゲン元素を含んで構成されている。OTS現象を有するスイッチ素子20では、スイッチングのための電圧バイアスを印加してもスイッチ層22はアモルファス構造を安定して維持することが好ましく、アモルファス構造が安定であるほど、安定してOTS現象を生じさせることができる。スイッチ層22は、上記カルコゲン元素のほかに、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(
Sb)およびビスマス(Bi)から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含んで構成されていることが好ましい。スイッチ層22は、上記カルコゲン元素のほかに、ホウ素(B)、炭素(C)ケイ素(Si)および窒素(N)から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含んで構成されていることがより好ましい。スイッチ層22は、BTe、CTe、BCTe、CSiTe、BSiTe、BCSiTe、BTeN、CTeN、BCTeN、CSiTeN、BSiTeN、BCSiTeNのうちのいずれかの組成を含んで構成されていることが好ましい。
【0033】
比較的原子半径の大きな元素に比較的原子半径の小さな元素が添加されると、構成元素の原子半径の差が大きくなり、結晶構造を形成することが容易ではなくなるので、アモルファス構造が安定化しやすくなる。よって、スイッチ層22のように、原子半径の比較的大きなTe等のカルコゲン元素を含む層内に比較的原子半径の小さなホウ素(B)等の元素が添加されている場合には、層内には原子半径の異なる複数の元素が存在することとなり、アモルファス構造が安定化する。
【0034】
ホウ素(B)では、半金属のなかでも特に単体でも導電性が低いので、スイッチ層22内にホウ素(B)が含まれることにより、スイッチ層22の抵抗値が高くなる。また、ホウ素(B)では、カルコゲン元素と比較して原子半径が小さいので、スイッチ層22内にホウ素(B)が含まれることにより、スイッチ層22のアモルファス構造が安定化し、OTS現象が安定して発現する。
【0035】
炭素(C)は、グラファイト等で見られるsp2軌道をとる構造以外では、スイッチ層22を高抵抗化することができる。また、炭素(C)では、カルコゲン元素と比較してイオン半径が小さいので、スイッチ層22のアモルファス構造が安定化し、OTS現象が安定して発現する。
【0036】
窒素(N)は、ホウ素(B)、炭素(C)、またはケイ素(Si)と結合する。そのため、スイッチ層22内に、窒素(N)と、ホウ素(B)、炭素(C)、またはケイ素(Si)とがスイッチ層22に含まれることにより、スイッチ層22の抵抗値が高くなる。例えば、窒素(N)とホウ素(B)とが結合したa−BNのバンドギャップは、アモルファス状態でも5.05となっている。このように、スイッチ層22内に、窒素(N)が含まれている場合には、スイッチ層22内に窒素(N)が含まれていない場合と比べて、スイッチ層22の抵抗値が大きいので、リーク電流が抑制される。また、窒素(N)と、ホウ素(B)、炭素(C)、またはケイ素(Si)との結合物がスイッチ層22内に分散することにより、アモルファス構造が安定化する。
【0037】
スイッチ層22は、印加電圧を所定の閾値電圧(スイッチング閾値電圧)以上に上げることにより低抵抗状態に変化し、印加電圧を上記の閾値電圧(スイッチング閾値電圧)より低い電圧に下げることにより高抵抗状態に変化するものである。即ち、スイッチ層22は、図示しない電源回路(パルス印加手段)から第1電極21および中間電極23を介した電圧パルスあるいは電流パルスの印加によらず、スイッチ層22のアモルファス構造が安定して維持されるものである。また、スイッチ層22は、電圧印加によるイオンの移動によって形成される伝導パスが印加電圧消去後にも維持される等のメモリ動作をしないものである。
【0038】
図3は、メモリセルアレイ1におけるスイッチ素子20とその周囲の断面構成の一例を表したものである。メモリセル10は、スイッチ素子20およびメモリ素子30の側面のうち、
図3のように少なくともスイッチ層22の側面に接する拡散抑制層14を備えている。拡散抑制層14は、第1電極21または中間電極23と、スイッチ層22との間とは異なる位置に設けられている。拡散抑制層14は、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する材料によって構成されている。拡散抑制層14は、絶縁性の窒化物、絶縁性の炭化物、または、絶縁性のホウ化物によって構成されている。拡散抑制層14は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化タンタル(TaN)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)および窒化炭化ホウ素(BCN)から選ばれる1種の単層もしくは2種以上の積層によって構成されている。拡散抑制層
14が、スイッチ層22を覆っており、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制している。
【0039】
図4A、
図4Bは、
図2Aのスイッチ素子20の一部とその周囲の断面構成の一例を表したものである。
図5A、
図5Bは、
図2Bのスイッチ素子20の一部とその周囲の断面構成の一例を表したものである。
図4A、
図5Aは、メモリセルアレイ1を、ビット線BLまたはワード線WLが奥行き方向となるように見たとき断面の一例を表したものである。
図4Bは、
図4AのA−A線での断面の一例を表したものである。
図5Bは、
図5AのA−A線での断面の一例を表したものである。
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bにおいて、第1電極21がビット線BLまたはワード線WLを兼ねており、第1電極21の幅が、第1電極21がスイッチ層22の上面または下面の一部にしか接していない程度に細くなっているとする。この場合には、スイッチ層22の上面または下面の一部が、第1電極21とは異なる部材(例えば層間絶縁膜13など)に接することになる。このとき、スイッチ層22の上面または下面のうち、第1電極21とは異なる部材に接している箇所を経由して、スイッチ層22に酸素が拡散する虞がある。そこで、このようにスイッチ層22と第1電極21がお互いに接する際のそれぞれの面において、第1電極21の面積がスイッチ層22の面積より小さい場合、各メモリセル10は、第1電極21と接するスイッチ層22の面において、第1電極21に接していない箇所を覆うように設けられた拡散抑制層15を有していることが好ましい。拡散抑制層15は、スイッチ層22の面において、第1電極21に接していない箇所に接しており、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する材料によって構成されている。拡散抑制層15は、絶縁性の窒化物、または、絶縁性の炭化物によって構成されている。拡散抑制層
15は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化タンタル(TaN)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)および窒化炭化ホウ素(BCN)から選ばれる1種の単層もしくは2種以上の積層によって構成されている。
【0040】
図4A、
図5Aにおいて、層間絶縁膜13は、拡散抑制層15と共通の材料で構成されていてもよい。また、スイッチ層22と中間電極23がお互いに接する際のそれぞれの面において、中間電極23の面積がスイッチ層22の面積より小さい場合、各メモリセル10は、中間電極23と接するスイッチ層22の面において、中間電極23に接していない箇所を覆うように設けられた拡散抑制層15を有していることが好ましい。このとき、拡散抑制層15は、スイッチ層22の面において、中間電極23に接していない箇所に接している。
【0041】
第1電極21および中間電極23は、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する金属材料によって構成されていることが好ましい。具体的には、第1電極21および中間電極23は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、
窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されていることが好ましい。
【0042】
図6は、スイッチ素子20の断面構成の一変形例を表したものである。スイッチ素子20は、さらに、スイッチ層22を挟み込む拡散抑制層24,25を有している。拡散抑制層24は、第1電極21とスイッチ層22との間に設けられており、スイッチ層22の表面に接している。拡散抑制層25は、中間電極23とスイッチ層22との間に設けられており、スイッチ層22の表面に接している。拡散抑制層24,25は、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する材料によって構成されている。拡散抑制層24,25は、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されている。拡散抑制層24,25の材料構成が互いに異なる場合、各々の拡散抑制層24,25の厚さが異なっていてもよい。第1電極21および中間電極23が拡散抑制層24,25とは異なる材料で構成されている場合、拡散抑制層24,25は、第1電極21および中間電極23よりも、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する効果の高い材料で構成されていることが好ましい。第1電極21および中間電極23が拡散抑制層24,25と共通の材料で構成されていてもよい。この場合、拡散抑制層24が第1電極21の一部を構成し、拡散抑制層25が中間電極23の一部を構成していることになる。
【0043】
第1電極21および中間電極23が拡散抑制層24,25とは異なる電極材料で構成されている場合、拡散抑制層24,25の膜厚は酸素拡散抑制の効果およびプロセスの観点から、0.1nmから500nmの範囲となっていることが望ましい。拡散抑制層24,25は、例えば窒化ハフニウム(HfN)や窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化タンタル(TaN)のような比較的抵抗が高い材料で構成されている場合は、拡散抑制層24,25の膜厚は、例えば0.1nmから10nm程度に薄く調整されていることが好ましい。
【0044】
拡散抑制層24,25は、例えば、窒化ケイ素(SiN)のような絶縁性がある膜であってもよい。この場合、拡散抑制層24,25は、スイッチ素子20のスイッチ特性に悪影響を及ぼさない程度に薄くなっていることが好ましい。拡散抑制層24,25は、例えば、膜厚が例えば0.1nmから5nmの窒化ケイ素(SiN)膜となっていることが好ましい。
【0045】
図7A、
図7B、
図7Cは、メモリセルアレイ1の一部の断面構成の一変形例を表したものであり、これまで上記で挙げてきた構成を組み合わせた例を表したものである。
図7Aは、
図4Aの構成を有するスイッチ素子20を備えたメモリセル10およびその周囲の断面構成の一例を表したものである。
図7Bは、
図7Aのメモリセルアレイ1において、拡散抑制層14がメモリ素子30の側壁まで覆っているときの、メモリセル10およびその周囲の断面構成の一例を表したものである。
図7Cは、
図7Bのメモリセルアレイ1において、拡散抑制層15が取り除かれたときの、メモリセル10およびその周囲の断面構成の一例を表したものである。これらの例のように、拡散抑制層14がスイッチ層22と層間絶縁膜13との間に配置されていることにより、層間絶縁膜13からスイッチ層22への酸素拡散が抑制される。特に層間絶縁膜13がSiOx等の酸化物からなる場合には、拡散抑制層14がスイッチ層22と層間絶縁膜13との間に配置されていることにより、層間絶縁膜13からスイッチ層22への酸素拡散が抑制される。なお、スイッチ層22への酸素拡散の抑制の観点からは、
図7A、
図7Bに示したように、スイッチ層22が、酸化物ではない層のみと接していることが好ましい。
【0046】
(メモリセル10のIV特性)
次に、メモリセル10のIV特性について説明する。
図8〜
図11は、メモリセル10の書き込み時(例えば、順バイアス)および消去時(例えば、逆バイアス)における印加電圧と電極に流れる電流値との関係を表したものである。実線は電圧印加時におけるIV特性を、点線は印加電圧を減少方向に掃引した際のIV特性を表している。
【0047】
図8は、スイッチ素子20のIV特性を表したものである。スイッチ素子20に順バイアス(ここでは、書き込み電圧)が印加されると、スイッチ素子20では、印加電圧の増加に伴って電流が上昇し、ある閾値電圧(スイッチング閾値電圧)を超えるとOTS動作により急激に電流が増大、あるいは抵抗が低くなり、オン状態となる。この後、印加電圧を減少させていくと、スイッチ素子20の電極に流れる電流値は徐々に減少する。例えば、スイッチ素子20を構成する材料および形成条件にもよるが、増加時とほぼ同等の閾値電圧で急激に抵抗が上昇してオフ状態となる。なお、
図8中のH1がスイッチ素子20の選択比である。
【0048】
図9は、メモリ素子30のIV特性を表したものである。
図9からわかるように、メモリ素子30では、印加電圧の増加に伴って電流値が上昇し、ある閾値電圧においてメモリ層31の抵抗変化層における伝導パスの形成による書き込み動作が行われ、メモリ層31が低抵抗状態へと変化して電流が増大する。即ち、メモリ素子30は、書き込み電圧の印加によって低抵抗状態となり、この低抵抗状態は印加電圧停止後も維持される。
【0049】
図10は、メモリセル10のIV特性を表したものである。メモリセル10の書き込み電圧の印加開始および停止における電流値のスイッチング挙動は、スイッチ素子20およびメモリ素子30のIV曲線A1,B1を合わせた
図10のIV曲線C1となる。このようなメモリセル10では、例えば、V/2バイアス方式において、メモリセル10の読み出し電圧(Vread)がIV曲線C1上の、2か所の急峻な抵抗変化を迎える電圧の
間の電圧に設定され、Vread/2がVreadの半分の電圧に設定される。これにより、VreadバイアスとVread/2バイアスとの電流比で定義される選択比(オン/オフ比)が大きくなる。また、上記のように、メモリセル10のIV曲線C1は、スイッチ素子20のIV曲線A1と、メモリ素子30のIV曲線B1とを合わせたものであるので、スイッチ素子20の閾値前後の抵抗変化(あるいは電流変化)が大きいほど選択比(オン/オフ比)が大きくなる。また、選択比が大きければ大きいほど読み出しマージンが大きくなるため、誤読み出しすることなくクロスポイントアレイサイズを大きくすることが可能となり、メモリセルアレイ1の更なる大容量化が可能となる。
【0050】
これは、読み出し動作だけでなく、書き込み動作についても同様である。
図11は、
図10と同様に、メモリセル10のIV特性を表したものである。上述したように、クロスポイントアレイでは、対象のメモリセル10と同じビット線BLあるいはワード線WLに多数のビットが接続されている。このため、
図11に示したように、Vwrite/2とIV曲線C1の点線のSet状態のIVループの交点で示される、Vwrite/2にバイアスされた非選択時のリーク電流が大きいと、非選択のメモリセル10で誤書き込みを生じる虞がある。よって、書き込み動作では、メモリ素子30を書き込む際に必要な電流が得られる電圧に書き込み電圧Vwriteが設定されたうえで、Vwrite/2にバイアスされた非選択のメモリセル10が誤書き込みを生じない程度のリーク電流に抑えることが好ましい。即ち、Vwrite/2にバイアスされた非選択時のリーク電流が小さければ小さいほど、大規模なクロスポイントアレイを誤書き込みなく動作させることができる。従って、書き込み動作時もスイッチ素子20のオン/オフ比を大きくすることが、メモリセルアレイ1の大容量化につながる。
【0051】
一方、逆バイアス(ここでは消去電圧)が印加されると、スイッチ素子20の消去電圧印加時における電流値の変化は、書き込み電圧を印加した際と同様の挙動を示す(
図8のIV曲線A2)。これに対して、メモリ素子30の消去電圧印加時における電流値の変化は、消去閾値電圧以上の電圧印加によって、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する(
図9のIV曲線B2)。更に、メモリセル10の消去電圧印加時における電流値の変化は、書き込み電圧印加時と同様に、スイッチ素子20のIV曲線A2とメモリ素子30のIV曲線B2とを合わせたものとなる(
図10または
図11のIV曲線C2)。
【0052】
なお、V/2バイアス方式では、例えば、読み出しバイアスが書き込み側に設定された場合でも、Vreset/2バイアスでの消去時のリーク電流が問題となる。即ち、リーク電流が大きい場合は、意図しない誤消去が生じる恐れがある。従って、正バイアスを印加する場合と同様に、スイッチ素子20のオン/オフ比を大きく、オフ時のリーク電流を小さくするほど、クロスポイントアレイの大規模化に有利となる。即ち、メモリセルアレイ1の大容量化につながる。
【0053】
ところで、
図8〜
図11からわかるように、スイッチ素子20、メモリ素子30およびメモリセル10は、消去電圧が印加されたときにも、書き込み電圧が印加されたときと同様のIVカーブが得られる。つまり、スイッチ素子20、メモリ素子30およびメモリセル10は、双方向特性を有している。スイッチ素子20、メモリ素子30およびメモリセル10のIV特性は、実際には、素子ごとにばらつきを持っている。そのため、メモリセルアレイ1に含まれる複数の(例えば120個の)メモリセル10は、例えば、
図12に模式的に示したような、閾値電圧ばらつきを有している。なお、
図12において、黒塗りした箇所は、素子ごとのIVカーブにばらつきが存在していることを示している。
【0054】
図12の書き込み時のIV特性において、右側のIVカーブは、スイッチ素子20がオフしているときのメモリセル10のIVカーブである。そのため、右側のIVカーブのばらつきは、メモリ素子30の閾値電圧ばらつきを表している。また、
図12の書き込み時のIV特性において、左側のIVカーブは、メモリ素子30がオンしているときのメモリセル10のIVカーブである。そのため、左側のIVカーブのばらつきは、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきを表している。
図12の書き込み時のIV特性において、右側のIVカーブと、左側のIVカーブとの間の隙間が、読み出しマージンRMである。この読み出しマージンRMが広ければ広いほど、クロスポイントアレイの大規模化に有利となる。即ち、メモリセルアレイ1の大容量化につながる。
【0055】
(スイッチ素子20の閾値電圧ばらつき)
次に、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきを検証するために行った種々の実験について説明する。
【0056】
(実験その1)
実験その1では、5つの試料(試料01〜05)を作成した。各試料の表面に、多数のスイッチ素子20を形成した。各試料を、以下のようにした形成した。まず、MOSトランジスタ回路とTiNからなる第1電極21を露出した状態で基板上に複数形成し、基板の表面を逆スパッタによってクリーニングする。次に、窒素をチャンバー内に流しながら、TeターゲットおよびB4Cターゲットを同時にスパッタすることにより、TiNからなる第1電極21の上に、BCTeN層を20nm成膜した。続いて、BCTeN層の表面に、W層を30nm成膜した。その後、パターニングを行うことにより、TiNからなる第1電極21と、BCTeN層からなるスイッチ層22と、W層からなる中間電極23が積層されたスイッチ素子20を基板上に多数形成した。このようにして形成した試料に対して、320℃、2時間の熱処理を行った。実験その1において、チャンバー内の真空度を、
図13に示したように試料ごとに変えた。なお、チャンバー内の真空度を変えるために、試料ごとにスパッタ装置を変えた。
【0057】
上記のようにして形成した各試料に対してXPS分析を行い、各試料におけるスイッチ素子20の各元素の組成を導出し、その結果酸素以外の元素比がほぼ同一であることを確認した。
図14に、各試料におけるスイッチ素子20の酸素含有量を示した。
図14から、チャンバー内の真空度が大きいほど、スイッチ素子20の酸素含有量も大きくなることがわかった。
【0058】
次に、試料ごとに、120個のスイッチ素子20に対して最大電流が80mAとなるように、各試料に設けたトランジスタのゲート電圧を調整し、ソース−ドレイン電圧を0Vから6Vまで0.1Vずつ上昇させ、急峻に抵抗変化したときの電圧を測定した。
図15に、試料05に設けた120個のスイッチ素子20から得られた測定結果を示した。図
15から、スイッチ素子20に印加する電圧がプラスであってもマイナスであっても、同様のIVカーブが得られており、スイッチ素子20が双方向特性を有していることを確認することができた。また、スイッチ素子20に印加する電圧がプラスであってもマイナスであっても、120個のスイッチ素子20の閾値電圧には、ばらつきΔVth1があることがわかった。
【0059】
次に、試料ごとに得られた、120個のスイッチ素子20の閾値電圧のばらつきの標準偏差を求めた。
図16に、求めた標準偏差を、横軸を酸素含有量、縦軸を閾値電圧のばらつきの標準偏差とするグラフ上に、試料ごとにプロットした。
図16から、酸素含有量が大きいほど、閾値電圧ばらつきが大きいことがわかった。つまり、成膜前のチャンバー内の真空度が悪いほど、スイッチ素子20の酸素含有量が増加し、それに伴い、閾値電圧ばらつきが悪化することがわかった。特に、酸素量が5at%を境に、閾値電圧ばらつきが急峻に悪化していることがわかる。ある成膜装置においては、チャンバー内の真空度が1.0E−5Pa台で成膜を行うが、この辺りの真空度で成膜を開始すると、酸素含有量が5at%を超えて、閾値電圧ばらつきが大きく悪化してしまう。そのため、より酸素含有量を減らして閾値電圧ばらつきを抑えるには、成膜前のチャンバー内の真空度を1.0E−6Pa、または、それよりも良い状態にした上で、成膜を行うことが好ましい。そのようにすることにより、スイッチ層22の酸素含有量が、5at%以下となり、スイッチ素子20の閾値電圧のばらつきが低く抑えられる。また、成膜前に酸素含有量を減らすために使用するターゲットのプリスパッタの十分な実施や、酸素を吸着するゲッター材料の放電、チャンバーのベーキングの十分な実施等の方法が考えられる。
【0060】
必ずしも明らかではないが、BCTeNのようなカルコゲナイド材料中に酸素が少量でも存在すると、酸素と、Teあるいは他の元素との結合により、結合した元素の部分的な偏析が生じ、それによって閾値電圧ばらつきが生じ始めるものと思われる。酸素含有量が5at%を超えると、Te−Oや他の元素と酸素との結合の割合も増加して、カルコゲナイド材料内の広い範囲に大きな偏析が生じ、それによって閾値電圧ばらつきが急激に大きくなっていくと考えられる。実際に、
図17に示した、酸素含有量が7at%のBCTeN層のTEM写真によると、BCTeN層のいたるところで偏析が生じていることがわかる。従って、酸素含有量は少なければ少ないほど、閾値電圧等のスイッチ素子特性が安定し、閾値電圧ばらつきが減少すると推定できる。
【0061】
スイッチ特性は、カルコゲン元素(Te)のOTS特性により得られている。そのため、B、CまたはNと、他の元素との組み合わせだけではなく、カルコゲン元素と他の元素との組み合わせでもスイッチ素子特性は得られる。このことから、カルコゲン元素(Te)に対する酸素の量が増えるに従い、閾値電圧ばらつきが大きくなることが理解できる。スイッチ素子材料を構成する元素としては、例えば、13族(B、Al、Ga)、14族(C、Si、Ge)、15族(N、P、As、Sb、Bi)等の元素が挙げられる。これらの元素を用いることにより、抵抗が大きく下がることがなく、さらに、カルコゲン元素と組み合わせて組成の調整を行うことで抵抗値が保持されることがないスイッチ素子特性を得ることができる。そのようなスイッチ素子特性を得ることのできるスイッチ素子材料としては、例えば、GaTeN、GeTeN、AsGeSiNTeなどが挙げられる。また、スイッチ素子特性が損なわれない範囲であれば、例えば、Ti、Zr、Hf等の遷移金属元素や、Mg、Gd等の他の金属元素がカルコゲン元素に添加されても構わない。そのようなスイッチ素子材料として、例えば、MgBTeNが挙げられる。これらの元素とカルコゲン元素を組み合わせたスイッチ素子材料中に含まれる酸素をできるだけ少なくすることで、閾値電圧ばらつきを小さくすることが可能である。
【0062】
(実験その2)
実験その2では、2つの試料(試料06、07)を作成した。各試料の表面に、多数のスイッチ素子20を形成した。各試料を、以下のようにした形成した。まず、試料06について説明する。MOSトランジスタ回路とTiNからなる第1電極21を露出した状態で基板上に複数形成し、基板の表面を逆スパッタによってクリーニングした。次に、TiNからなる第1電極21の上に、スパッタによりSiNx層を成膜した。次に、試料06を一旦、チャンバーから大気中に取り出したのち、試料06をフォトリソグラフィ工程に投入し、SiNx層にコンタクトホールを形成した。次に、試料06の表面を逆スパッタによりクリーニングしたのち、コンタクトホール内に10nmのTiN層を形成する。続いて、窒素をチャンバー内に流しながら、スパッタにより、TiN層の表面に20nmのBCTeN層を形成し、さらに、BCTeN層の表面に、30nmのW層を形成した。このときのBCTeN層の組成が、実験その1におけるBCTeN層の組成と同じである。その後、パターニングを行うことにより、TiNからなる第1電極21と、BCTeN層からなるスイッチ層22と、W層からなる中間電極23が積層されたスイッチ素子20を基板上に多数形成した。このようにして、TiNからなる第1電極21およびW層からなる中間電極23に挟まれたBCTeNと、それらの周囲をSiNxが覆う構造の試料06を作成した。この試料06に対して、320℃、2時間の熱処理を行った。なお、上記のプロセスにおいて、SiNx層の代わりに、SiOx層を形成することにより、試料07を形成した。
【0063】
次に、試料ごとに、120個のスイッチ素子20に対して最大電流が80mAとなるように、各試料に設けたトランジスタのゲート電圧を調整し、ソース−ドレイン電圧を0Vから6Vまで0.1Vずつ上昇させ、急峻に抵抗変化したときの電圧を測定した。次に、試料ごとに得られた、120個のスイッチ素子20の閾値電圧のばらつきの標準偏差を求めた。
図18に、求めた標準偏差を、試料ごとに示した。
図18から、スイッチ素子20の周囲がSiNx層で囲まれている場合、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきが小さくなっているが、スイッチ素子20の周囲がSiOx層で囲まれている場合、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきが大きくなっていることがわかった。
【0064】
スイッチ素子材料を形成した際に、スイッチ素子20と接する層に酸素が含まれている場合、成膜中やプロセス中の高温や熱処理によってスイッチ素子材料中へ酸素が拡散して酸素含有量が増加したと考えられる。実験その1によれば、スイッチ素子材料BCTeN中の酸素含有量が5at%以下の場合は、閾値電圧ばらつきは0.1を下回る。一方、実験その2で層間膜としてSiNx層を用いた場合は、スイッチ素子材料中の酸素含有量は膜中いずれの場所も5at%以下であると推定される。一方で実験その2で層間膜としてSiOx層を用いた場合は、酸素が層間膜からスイッチ素子20中へ拡散し、SiOxと接するスイッチ素子材料の表面あるいはスイッチ素子材料全体の酸素含有量が5at%以上に増加する。その結果、Teやその他の元素との結合により偏析が生じやすくなり、閾値電圧ばらつきが生じるようになると考えられる。
【0065】
(実験その3)
実験その3では、2つの試料(試料08、09)を作成した。各試料の表面に、多数のスイッチ素子20を形成した。各試料を、以下のようにした形成した。まず、試料08について説明する。MOSトランジスタ回路とTiNからなる第1電極21を露出した状態で基板上に複数形成し、基板の表面を逆スパッタによってクリーニングした。次に、窒素をチャンバー内に流しながら、TiNからなる第1電極21の上にBCTeN層を成膜し、BCTeN層の表面にW層を成膜した。その後、パターニングを行うことにより、TiNからなる第1電極21と、BCTeN層からなるスイッチ層22と、W層からなる中間電極23が積層されたスイッチ素子20を基板上に多数形成した。最後に、各スイッチ素子20全体をSiN層で覆った。これらの工程において、大気中や酸素にスイッチ層が一度も触れないようにプロセスを行った。このようにして形成した試料08とは異なり、320℃、2時間の熱処理を行った。なお、上記のプロセスにおいて、基板上に形成した多数のスイッチ素子20が大気暴露やアッシング等の酸素を利用した工程を経過した後に各スイッチ素子20全体をSiNx層で覆うことにより、試料09を形成した。
【0066】
図19に、試料08のTEM写真を示した。
図20に、試料09のTEM写真を示した。
図21に、各試料のスイッチ素子20の閾値電圧ばらつきを示した。
図19では、スイッチ素子20の周囲に酸化膜が形成されていないが、
図20では、スイッチ素子20の周囲に酸化膜が形成されていることがわかった。この酸化膜はSiやスイッチ素子20に含まれる元素の酸化物である。これは層間絶縁膜13としてSiNxを用いたとしても、途中のプロセスでスイッチ素子20が大気暴露により酸素にさらされたり、レジストリムーブのためのアッシング工程で酸素にさらされたりすることで、スイッチ層22と層間絶縁膜13との間に酸化物が生成してしまうことを意味している。
図21から、試料08のスイッチ素子20の閾値電圧ばらつきは、試料09のスイッチ素子20の閾値電圧ばらつきよりも非常に小さくなっていることがわかった。このことから、実験2のように意図して酸化膜を形成した場合、あるいは実験その3のようにプロセスによって意図せずに酸化膜が形成された場合でも、結果としてスイッチ層22の周囲に酸化膜が存在しスイッチ層22と触れている場合、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきが大きく悪化していると考えられる。したがって、スイッチ素子20の周囲が酸化膜ではない層のみと接する素子構造を作成することで、閾値電圧ばらつきを小さくすることが可能である。
【0067】
次に、本実施の形態のメモリセルアレイ1の効果について説明する。
【0068】
実験その2より、スイッチ素子20に接する層に酸化物が用いられている場合、スイッチ素子20の酸素含有量が増加し、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきが大きくなってしまう。従って、メモリセル10を覆う絶縁層を形成する場合には、その絶縁層として、SiOxなどの酸化層ではなく、SiNxなどの窒化層を用いることで、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。また、層間絶縁膜13が酸化物や酸素を多く含む場合、拡散抑制層14をスイッチ素子20の側面に設け、層間絶縁膜13が直接、スイッチ素子20の側面に接しないようにすることで、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。
【0069】
スイッチ層22が、メモリ素子30に酸素が使われるRRAMや、酸素が添加されたPCMメモリ材料と組み合わせて使用される場合などには、スイッチ層22の上下の電極(第1電極21および中間電極23)からの酸素の拡散によりスイッチ層22の酸素含有量が増加することも考えられる。また、メモリセルアレイ1では、層間絶縁膜13が使用されるので、同様に上下方向からの酸素の拡散が考えられる。しかし、そのような場合であっても、本実施の形態において、少なくともスイッチ層22の上下の電極(第1電極21および中間電極23)が、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する金属材料によって構成されているときには、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制することができる。その結果、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。また、本実施の形態において、スイッチ層22と、第1電極21および中間電極23との間に拡散抑制層24,25が設けられている場合にも、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制することができる。その結果、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。
【0070】
また、第1電極21および第2電極32が層間絶縁膜13に埋め込まれた構造となっている場合に、第1電極21に直接、スイッチ層22が接するとき、スイッチ層22の上面または下面の一部が、第1電極21で覆われないことがある。特に、第1電極21の線幅が細くなっているときに、スイッチ層22の上面または下面の一部が、第1電極21で覆われないことがある。このような場合であっても、本実施の形態において、スイッチ層22が直接、層間絶縁膜13に接することがないように、スイッチ層22と層間絶縁膜13との間に拡散抑制層15が設けられている場合には、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制することができる。その結果、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。
【0071】
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態のメモリセルアレイ1の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
【0072】
[変形例A]
図22は、上記実施の形態のメモリセルアレイ1の一変形例を表したものである。本変形例では、メモリセルアレイ1において、スイッチ素子20がビット線BLに接して設けられており、さらに、クロスポイントだけでなく、ビット線BLの延在方向に延在して設けられている。これにより、ビット線BLあるいはワード線WLとなる層と同時にスイッチ素子層あるいはメモリ素子層を成膜し、一括してフォトリソグラフィのプロセスによる形状加工を行うことができ、プロセス工程を削減可能となる。本変形例では、スイッチ層22に直接、接している層(例えば、第1電極21、中間電極23および周囲の層間絶縁膜13)が、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する材料によって構成されている。これにより、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。
【0073】
[変形例B]
図23は、上記実施の形態のメモリセルアレイ1の一変形例を表したものである。本変形例では、拡散抑制層14,15,24,25が設けられておらず、スイッチ層22が直接、層間絶縁膜13等に接している。本変形例では、スイッチ層22に直接、接している層(例えば、第1電極21、中間電極23および層間絶縁膜13)が、スイッチ層22への酸素の拡散を抑制する材料によって構成されている。これにより、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。なお、本変形例において、スイッチ素子20を形成する際に、上述の実験その1の試料01〜03と同様の製造プロセスを実行することが好ましい。このようにすることにより、スイッチ素子20の酸素含有量を5at%以下にすることができ、スイッチ素子20の閾値電圧ばらつきの上昇を抑えることが可能である。
【0074】
[変形例C]
上記実施の形態および変形例A,Bにおいて、ワード線WLまたはビット線BLがメモリセルアレイ1の積層方向に延在していてもよい。この場合、各ワード線WLと、各ビット線BLとは、メモリセルアレイ1の積層面内方向において互いに対向することになり、各メモリセル10に含まれるスイッチ素子20およびメモリ素子30は、メモリセルアレイ1の積層面内方向に直列に接続されることになる。
【0075】
以上、実施の形態およびその変形例A〜Cを挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本技術が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0076】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
第1電極と、
前記第1電極に対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、テルル(Te)、セレン(Se)および硫黄(S)から選ばれる少なくとも1種のカルコゲン元素を含むスイッチ層と、
前記スイッチ層の表面のうち少なくとも一部に接すると共に、前記スイッチ層への酸素の拡散を抑制する拡散抑制層と
を備えた
スイッチ素子。
(2)
前記スイッチ層は、印加電圧を所定の閾値電圧以上に上げることにより低抵抗状態に変化し、前記閾値電圧より低い電圧に下げることにより高抵抗状態に変化する
(1)に記載のスイッチ素子。
(3)
前記拡散抑制層は、前記第1電極または前記第2電極と、前記スイッチ層との間とは異なる位置に設けられており、絶縁性の窒化物、絶縁性の炭化物、または絶縁性のホウ化物によって構成されている
(1)または(2)に記載のスイッチ素子。
(4)
前記拡散抑制層は、窒化ケイ素(SiN)、窒化タンタル(TaN)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)および窒化炭化ホウ素(BCN)から選ばれる少なくとも1種の単層もしくは2種以上の積層によって構成されている
(3)に記載のスイッチ素子。
(5)
前記拡散抑制層は、前記第1電極または前記第2電極と、前記スイッチ層との間に設けられている
(1)または(2)に記載のスイッチ素子。
(6)
前記拡散抑制層は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されている
(5)に記載のスイッチ素子。
(7)
前記拡散抑制層は、膜厚が0.1nmから5nmの窒化ケイ素(SiN)膜である
(5)に記載のスイッチ素子。
(8)
前記第1電極、前記第2電極は、前記スイッチ層への酸素の拡散を抑制する金属材料によって構成されている
(1)ないし(7)のいずれか1つに記載のスイッチ素子。
(9)
前記第1電極、前記第2電極は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、酸化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)から選ばれる1種の単層膜、あるいは2種以上の合金層膜もしくは積層膜によって構成されている
(8)に記載のスイッチ素子。
(10)
前記スイッチ層は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Ab)およびビスマス(Bi)から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含む
(1)ないし(9)のいずれか1つに記載のスイッチ素子。
(11)
前記スイッチ層は、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)および窒素(N)から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含む
(1)ないし(10)のいずれか1つに記載のスイッチ素子。
(12)
前記スイッチ層は、BTe、CTe、BCTe、CSiTe、BSiTe、BCSiTe、BTeN、CTeN、BCTeN、CSiTeN、BSiTeNおよびBCSiTeNのうちのいずれかの組成を含む
(11)に記載のスイッチ素子。
(13)
前記スイッチ層の酸素含有量は、5at%以下となっている
(1)ないし(12)のいずれか1つに記載のスイッチ素子。
(14)
前記スイッチ層は、酸化物ではない層のみと接している
(1)ないし(13)のいずれか1つに記載のスイッチ素子。
(15)
第1電極と、
前記第1電極に対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、テルル(Te)、セレン(Se)および硫黄(S)から選ばれる少なくとも1種のカルコゲン元素を含むと共に、酸素含有量が5at%以下となっているスイッチ層と
を備えた
スイッチ素子。
(16)
複数のメモリセルを備え、
各前記メモリセルは、メモリ素子および前記メモリ素子に直接接続されたスイッチ素子
を含み、
前記スイッチ素子は、
第1電極と、
前記第1電極に対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、テルル(Te)、セレン(Se)および硫黄(S)から選ばれる少なくとも1種のカルコゲン元素を含むスイッチ層と、
前記スイッチ層の表面のうち少なくとも一部に接すると共に、前記スイッチ層への酸素の拡散を抑制する拡散抑制層と
を有する記憶装置。
(17)
複数のメモリセルを備え、
各前記メモリセルは、メモリ素子および前記メモリ素子に直接接続されたスイッチ素子
を含み、
前記スイッチ素子は、
第1電極と、
前記第1電極に対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、テルル(Te)、セレン(Se)および硫黄(S)から選ばれる少なくとも1種のカルコゲン元素を含むと共に、酸素含有量が5at%以下となっているスイッチ層と
を有する記憶装置。
【0077】
本出願は、日本国特許庁において2015年3月31日に出願された日本特許出願番号第2015−073054号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0078】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。