特許第6791849号(P6791849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791849輸液バック・ボトルのための収納袋、その使用方法および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791849
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】輸液バック・ボトルのための収納袋、その使用方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/00 20060101AFI20201116BHJP
   A61J 1/16 20060101ALI20201116BHJP
   A61J 1/14 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61J1/00 430
   A61J1/16 B
   A61J1/14 390T
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-514214(P2017-514214)
(86)(22)【出願日】2016年4月22日
(86)【国際出願番号】JP2016062773
(87)【国際公開番号】WO2016171258
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-89623(P2015-89623)
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392035721
【氏名又は名称】株式会社パルメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】上田 勉
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/099946(WO,A1)
【文献】 特開2011−143111(JP,A)
【文献】 特開平5−338674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00
A61J 1/14
A61J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液バック・ボトルのための袋であって、
開口端として設けられた第1端部、および、該第1端部と対向するように閉鎖端として設けられた第2端部を有しており、
前記第1端部に第1密閉機構が設けられていると共に、前記第2端部に第2密閉機構が設けられており、
切欠き開口または切込み部分が前記第2端部に設けられており、
前記切欠き開口または前記切り込み部分の破断でもたらされる開口は、前記輸液バック・ボトルの吊下部を袋内部から袋外部へと露出させるための開口になると共に、前記輸液バック・ボトルに取り付けられた輸液デバイスを袋内部から袋外部へと露出させるための開口にもなり、
前記第1端部における袋端エッジと前記第1密閉機構との間に穿孔が設けられている、袋。
【請求項2】
前記切欠き開口または前記切込み部分に対して相対的に内側となる位置に前記第2密閉機構が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項3】
前記第1密閉機構および前記第2密閉機構の少なくとも一方が、雄型嵌合部と雌型嵌合部とから成るジッパーであることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項4】
前記切欠き開口のサイズまたは前記切込み部分の破断によって形成される破断開口のサイズが、前記輸液バック・ボトルの吊下部サイズよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項5】
前記第1密閉機構と前記第2密閉機構との内側領域に形成される袋内容積が、前記輸液バック・ボトルと、該輸液バック・ボトルに接続される前記輸液デバイスとを少なくとも収納できる容積を有することを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項6】
前記穿孔が前記切欠き開口または前記切込み部分と同一の丈方向軸上にあることを特徴とする、請求項に記載の袋。
【請求項7】
前記輸液バック・ボトルが、がん治療に用いられる抗がん剤バックまたは抗がん剤ボトルであって、前記袋が該がん治療に用いられる袋であることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項8】
前記輸液バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋としてのみならず、該輸液バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋としても用いられる袋であることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項9】
前記輸液バック・ボトルの前記袋への収納に関連するインジケータ表示部が前記袋の胴部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項10】
前記切欠き開口または前記切込み部分の破断によって形成される破断開口に前記輸液デバイスまたはその一部が予め取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の袋。
【請求項11】
請求項1に記載の輸液バック・ボトルのための袋を製造する方法であって、
(i)開口端と閉鎖端とを備えた袋前駆体を用意する工程、
(ii)前記開口端に第1密閉機構を設けると共に、前記閉鎖端に第2密閉機構を設ける工程、および
(iii)前記閉鎖端に対して局所的にパンチング処理または切込み処理を施す工程
を含んで成る袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液バック・ボトルのための収納袋に関すると共に、その使用方法および製造方法に関する。より詳細には、本発明は、特に医療分野で用いられる輸液バックまたは輸液ボトルを収容、運搬および/または廃棄するための袋に関すると共に、かかる袋の使用方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、がんの主たる治療法として外科療法、放射線療法および化学療法などが存在する。このような治療法は、がんの種類や患者の全身状態などに応じて単独または併用して実施される。その中でも化学療法は、抗がん剤を点滴液などとして投与してがん細胞を殺傷するものであり、全身への薬効が一般に期待できる。
【0003】
抗がん剤はすべてのがんに対して同様に使用されるわけでなく、がんの発症部位や病期によって抗がん剤の種類を変える必要がある。これは、がん患者に応じて抗がん剤の種類が異なっており、個々のがん患者に適した処方がなされることを意味している。従って、抗がん剤の調剤のため混合調製(ミキシング)なる操作が一般になされる。混合調製された抗がん剤は最終的には“輸液バック”または“輸液ボトル”に収納された状態で得られ、抗がん剤の点滴液として使用される。
【0004】
ここで、抗がん剤自体は、がん細胞の殺傷効果を奏するものの、同時に他の細胞にも作用してしまう。つまり、がん細胞のみならず、正常細胞にも作用し得るので、抗がん剤の取り扱いには注意が必要である。このような観点に照らせば、患者のみならず、抗がん剤の点滴液を取り扱う医療従事者が抗がん剤に曝されないように対策を取ることが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nursing Mook 32 がん化学療法の理解とケア(編集:長場直子(神奈川県立足利上病院副看護局長)、発行人:藤沼稔、発行所:株式会社学習研究社、印刷:日本写真印刷株式会社、2005年12月30日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗がん剤曝露を防ぐものとして、抗がん剤の混合調製時や患者のベッドサイドでの投与準備時に起こり得る曝露を防止することが考えられる。本願発明者らは、特に輸液バックまたは輸液ボトル(以下では「輸液バック・ボトル」とも称する)の取扱いに関連した抗がん剤曝露の問題点に気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。
【0007】
具体的には以下の問題があることを本願発明者は見出した。薬剤師による混合調製やプライミング時において抗がん剤が飛散したり漏れたりする可能性があるところ、薬剤師自身は手袋をはめているので一般的に曝露の虞が少ない。薬剤師自身が曝露されないものの、混合調製やプライミングを経た輸液バック・ボトルには飛散・漏れに起因した抗がん剤が付着している可能性があり、それ以降に輸液バック・ボトルを扱う者にとっては曝露の危険にさらされる。つまり、抗がん剤が充填された輸液バック・ボトルを扱う者は知らずに抗がん剤曝露の危険にさらされている可能性がある。より具体的にいえば、看護師・患者自らが「病院の薬剤部から供された輸液バック・ボトル」を使用して抗がん剤投与を行う際、当然ながら輸液バック・ボトルを手で扱う作業が必要になるが、その輸液バック・ボトルの外面には抗がん剤が既に付着している可能性があり、それがゆえに看護師・患者らが抗がん剤に曝される虞がある。
【0008】
また、輸液バック・ボトルによる点滴を実施した後は、その輸液バック・ボトルを廃棄する必要がある。廃棄に際してはそのまま輸液バック・ボトルを破棄すればよいのではなく、残留する抗がん剤などによる悪影響を回避しなければならない。それゆえ、点滴後の輸液バック・ボトルを別個の廃棄袋に入れ、外界と遮断した状態にしなければならず、そのための手間が付加的に生じていた。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、特に輸液バック・ボトルの好適な取扱いに資する技術・手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記目的の達成を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された輸液バック・ボトル袋の発明に至ると共に、その使用方法および製造方法の発明にも至った。
【0011】
本発明では、輸液バック・ボトルのための袋であって、
開口端として設けられた第1端部、および、その第1端部と対向するように閉鎖端として設けられた第2端部を有しており、
第1端部に第1密閉機構が設けられていると共に、第2端部に第2密閉機構が設けられており、
切欠き開口または切込み部分が第2端部に設けられていることを特徴とする袋が提供される。
【0012】
本発明に係る袋の特徴の1つは、相互に対向する2つの袋端部がそれぞれ密閉機構を有していることであり、その一方の袋端部に切欠き開口または切込み部分が設けられていることである。より具体的には、本発明に係る袋は、互いに対向した関係を有する“開口端の第1端部”と“閉鎖端の第2端部”とがそれぞれ密閉機構を有しており、閉鎖端の第2端部に切欠き開口または切込み部分が設けられている。
【0013】
本明細書で用いる『輸液バック・ボトル』といった表現は、医療分野または介護分野などで用いられる輸液バックまたは輸液ボトルのことを指している。それゆえ、本発明における『輸液バック・ボトル収納袋』は、かかる輸液バックまたは輸液ボトルを少なくとも収納・収容するための袋のことを実質的に意味している。
【0014】
ある好適な態様では、切欠き開口または切込み部分に対して相対的に内側(袋の内部方向に向かう側)となる位置に第2密閉機構が設けられている。つまり、「第2密閉機構」と「切欠き開口または切込み部分」とを比べた場合、第2密閉機構が相対的に内側(特に袋の丈方向に沿って相対的に袋内側)に位置付けられている一方、「切欠き開口または切込み部分」が相対的に外側(特に袋の丈方向に沿って相対的に袋外側)に位置付けられていることが好ましい。
【0015】
第1密閉機構および第2密閉機構の少なくとも一方は、雄型嵌合部と雌型嵌合部とから成るジッパーとなっていてよい。つまり、第1密閉機構および第2密閉機構の少なくとも一方は、互いに合わせられる対向部分が相互に噛み合うことで“閉状態”にできると共に、その噛合いの解除により“開状態”にできるようになっていてよい。このような第1密閉機構および第2密閉機構によって、袋に収納された輸液バック・ボトルを外界からより好適に遮断できる。
【0016】
第2端部に設けられた切込み部分は、その破断に起因して破断開口が形成されることが好ましい。つまり、本発明に係る袋は、閉鎖端に設けられた切込み部分を基点に袋を破断することで袋開口が生じるように構成されている。
【0017】
ある好適な態様では、「切欠き開口のサイズ」または「切込み部分の破断によって形成される破断開口のサイズ」が、輸液バック・ボトルの吊下部サイズよりも大きくなっている。つまり、本発明に係る袋では、輸液バック・ボトルの吊下部が袋内側から「切欠き開口」または「破断開口」を介して露出できるようになっている。
【0018】
別のある好適な態様では、第1端部における袋端エッジ(開口側の袋端エッジ)と第1密閉機構との離隔寸法は、第2端部における袋端エッジ(閉鎖側の袋端エッジ)と第2密閉機構との離隔寸法と略同一または同一となっている。また、別のある好適な態様では、第2端部における袋端エッジ(閉鎖側の袋端エッジ)と第2密閉機構との離隔寸法が、第1端部における袋端エッジ(開口側の袋端エッジ)と第1密閉機構との離隔寸法よりも大きくなっている。かかる場合、袋の閉鎖端において袋端エッジ(即ち、袋の最外縁部)と第2密閉機構との間の距離をLとし、袋の開口端において袋端エッジ(即ち、袋の最外縁部)と第1密閉機構との間の距離をLとすると、L>Lとなっていることが好ましい。
【0019】
別のある好適な態様では、第1端部における袋端エッジと第1密閉機構との間に穿孔が設けられている。つまり、第1端部において袋端エッジと第1密閉機構との間の局所領域に開口部が設けられていてよい。これにより、穿孔を必要に応じて袋の懸架などのために利用できる。なお、穿孔は切欠き開口または切込み部分と同一の丈方向軸上にあることが好ましい(例えば、“穿孔”および“切欠き開口または切込み部分”の双方が幅中央に位置していてよい)。
【0020】
別のある好適な態様では、輸液バック・ボトルの袋への収納に関連するインジケータ表示部が袋の胴部に設けられている。例えば、輸液バック・ボトルの使用に用いるための袋であることやその使用法などを示す情報または図柄などが袋の胴部に印刷されていてよい。
【0021】
更に別のある好適な態様では、第1密閉機構と第2密閉機構との内側領域に形成される袋内容積が、輸液バック・ボトルと、その輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイスとを少なくとも収納できる容積となっている。つまり、袋の使用に際して袋の封止を行った際に、その袋が成す密閉空間が有し得る体積は、輸液バック・ボトルの体積と輸液デバイスの体積とを足し合わせた総体積よりも大きくなっていることが好ましい。尚、本明細書における「輸液デバイス」は、輸液バック・ボトルからの輸液供給に資するデバイス・部品のことを指しており、例えば特に制限されるわけではないが点滴チューブおよび/または“曝露防止システム”などの接続部品などである。
【0022】
本発明において輸液バック・ボトルは、がん治療に用いられる抗がん剤バックまたは抗がん剤ボトルであってよい、それゆえ、本発明の袋はがん治療に用いられる袋であってよい。つまり、本発明に係る袋は、好ましくはがん治療用袋といえる。
【0023】
ある好適な態様では、本発明の袋は、輸液バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋となっているのみならず、輸液バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋となっている。特に、がん治療に用いられるための“収納袋・運搬袋”かつ“廃棄袋”となっている。換言すれば、本発明に係る袋は、好ましくは、がん治療用の収納・運搬・廃棄のための袋である(“がん治療の収納・運搬・廃棄の袋”と称すこともできる)。
【0024】
更に別のある好適な態様では、“切欠き開口”または“切込み部分の破断によって形成される破断開口”に輸液デバイスが予め取り付けられている。つまり、本発明に係る袋は、輸液バック・ボトルに必要とされる輸液デバイスまたはそのデバイスの一部などが予め袋の切欠き開口または破断開口に取り付けられた形態を有していてよい。
【0025】
本発明では、上記の輸液バック・ボトル収納袋を使用する方法も提供される。これにつき、本発明の「輸液バック・ボトルのための袋の使用方法」は、
(a)第1端部を介して輸液バック・ボトルを袋内部に納めること、
(b)輸液バック・ボトルの使用に際して、“切欠き開口”または“切込み部分の破断によって形成される破断開口”を介して輸液バック・ボトルの吊下部を袋内部から袋外部へと露出させ、吊下部を利用して輸液バック・ボトルを吊り下げること、また
(c)吊下部を除き輸液バック・ボトルが袋に納められた状態を維持して輸液バック・ボトルによる点滴(即ち、輸液投与)を行うこと
を含んで成る。
【0026】
本発明の使用方法の特徴の1つは、輸液バック・ボトルの使用時における袋の一連の取り扱いにある。具体的には、本発明では、袋を輸液バック・ボトルの収納または運搬のために用いるのみならず、輸液バック・ボトルによる点滴に際しても袋をそのまま用いる。
【0027】
ある好適な態様では、(a)の収納に際して、第1密閉機構および第2密閉機構をそれぞれ閉状態にすることで袋の封止を行う。つまり、輸液バック・ボトルの収納後に第1密閉機構および第2密閉機構をそれぞれ機能させ、袋の密閉に寄与する“閉じ操作”を行い、袋の封止を行う。
【0028】
(b)の吊下部の露出に際しては、第2密閉機構の閉状態を解除することが好ましい。つまり、第2密閉機構が閉状態にされていた場合、それを解除して、輸液バック・ボトルの吊下部を切欠き開口または破断開口を介して袋内部から袋外部へと露出させることが好ましい。また、(c)の点滴に先立っては、第1密閉機構の閉状態を解除し、輸液バック・ボトルに対して輸液デバイスを接続することが好ましい。つまり、第1密閉機構が閉状態にされていた場合、それを解除してから、輸液ラインなどの含む輸液デバイスを輸液バック・ボトルへと接続することが好ましい。
【0029】
ある好適な態様では、(c)の点滴の後、輸液バック・ボトルが袋に収められた状態をそのまま維持することによって、袋を廃棄袋として用いる。つまり、点滴後において、輸液バック・ボトルを袋から一旦取り出したりすることなく、そのまま廃棄袋として袋を使用する。かかる場合、第1密閉機構および第2密閉機構をそれぞれ閉状態にして袋の再封止を行うことが好ましい。つまり、廃棄に際しては、第1密閉機構および第2密閉機構をそれぞれ機能させて袋の密閉に寄与する“閉じ操作”を行い、袋の封止を行う。また、そのように廃棄袋として使用するに際しては、輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイスを袋内部に収納することが好ましい。つまり、廃棄袋として使用するに際して、輸液バック・ボトルのみならず、輸液デバイスをも袋内部に収めることが好ましい。より好ましくは、廃棄袋として使用するに際して輸液バック・ボトルのみならず、輸液デバイスも袋内部に収めた状態で袋の再封止を行い、そのように再封止された袋をその中身ごと(即ち、袋内に収められた輸液バック・ボトルおよび輸液デバイスごと)廃棄する。このような態様は、輸液デバイスを輸液バック・ボトルから一旦取り外すことなく、そのまま袋に収めて廃棄できることを意味している。
【0030】
本発明では、上記の輸液バック・ボトルのための袋を製造する方法も提供される。かかる本発明の「輸液バック・ボトルのための袋の製造方法」は、
(i)開口端と閉鎖端とを備えた袋前駆体を用意する工程、
(ii)袋前駆体の開口端に第1密閉機構を設けると共に、袋前駆体の閉鎖端に第2密閉機構を設ける工程、および
(iii)閉鎖端に対して局所的にパンチング処理または切込み処理を施す工程
を含んで成る。
【0031】
本発明の製造方法の特徴の1つは、開口端に第1密閉機構を設け、閉鎖端に第2密閉機構を設けるだけでなく、閉鎖端を成す部分に局所的にパンチング処理または切込み処理を施すことである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に従えば、輸液バック・ボトルの取扱いに関連した抗がん剤曝露の防止を好適に図ることができる。特に、混合調製やプライミング時に飛散・漏れなどが生じて輸液バック・ボトルに抗がん剤が付着したとしても、それ以降で輸液バック・ボトルを扱う者が知らずに曝露される危険が減じられる。
【0033】
具体的には、本発明の輸液バック・ボトルのための袋は、そのような輸液バック・ボトルを収めて外界からの遮断に供するものであり、輸液バック・ボトルを使用する者が抗がん剤により曝露される危険が減じられる。
【0034】
また、輸液バック・ボトルが袋に納められた状態をそのまま維持して輸液バック・ボトルによる点滴などを行うことができると共に、そのような収納状態を変えることなく、そのまま廃棄袋として袋を用いることができる。よって、輸液バック・ボトルの使用およびその後の廃棄の操作が比較的簡易になると共に、輸液バック・ボトルを廃棄する者が抗がん剤によって曝露される危険が減じられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の袋を示した模式図である(図1(A):切欠き開口が設けられた袋、図1(B):切込み部分が設けられた袋)。
図2図2は、輸液バック・ボトルの形態を示した模式図である(図2(A):輸液バック、図2(B):輸液ボトル)。
図3図3(A)および3(B)は、切欠き開口から輸液バック・ボトルの吊下部を露出させる態様を示した模式図である。
図4図4は、本発明の袋の使用時(点滴使用時)の態様を表した模式図である。
図5図5(A)および5(B)は、破断開口から輸液バック・ボトルの吊下部を露出させる態様を示した模式図である。
図6図6は、本発明の袋の使用時(点滴使用時)の態様を表した模式図である。
図7図7(A)〜7(F)は、本発明の使用方法における態様を表した模式図である。
図8図8は、本発明の袋を廃棄袋として使用する態様を表した模式図である。
図9図9は、第2密閉機構がより内側に位置付けられた形態を有する袋を示した模式図である(図9(A):切欠き開口が設けられた袋、図9(B):切込み部分が設けられた袋)。
図10図10(A)〜10(C)は、本発明の製造方法を示した模式図である。
図11図11は、本発明の袋(“双方向収納型の袋”)を示した模式図である
図12図12(A)〜12(F)は、本発明の使用方法における態様(“双方向収納型の袋”)を表した模式図である。
図13図13(A)〜13(F)は、本発明の使用方法における態様(“双方向収納型の袋”)を表した模式図である。
図14図14は、“輸液デバイスの離脱防止の態様”を説明するための模式図である。
図15図15は、“輸液デバイス取付け態様”を説明するための模式図である。
図16図16は、“袋端エッジのズレ態様”を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付図面を参照して本発明のある態様を詳細に説明する。まず、本発明に係る「輸液バック・ボトルのための袋」を説明し、それに伴って又はその後において、かかる袋の使用方法および製造方法を説明する。
【0037】
本明細書で用いる“方向”については次の通り規定する。輸液バック・ボトルの収納時に輸液バック・ボトルと袋との相対的な位置関係が変化する方向(即ち、輸液バック・ボトルを袋内部へと収納する際に輸液バック・ボトルを移動させる方向)を「丈方向」とし、それに直交する方向を「幅方向」とする。これらの方向は図面(図1)に示している。本発明につきある1つの典型的な袋でいえば、袋の“長手方向”が「丈方向」に相当し、その袋の“短手方向”が「幅方向」に相当する。
【0038】
≪輸液バック・ボトルのための袋≫
図1に、本発明に係る「輸液バック・ボトルのための袋100」の外観を示すと共に、図2に、本発明の袋100と共に使用され得る「輸液バック・ボトル200」の外観を示す。輸液バック・ボトル200は、医療分野または介護分野などで用いられる輸液バックまたは輸液ボトルである。図2の態様でいうと、輸液バック200Aが図2(A)に示されており、輸液ボトル200Bが図2(B)に示されている。
【0039】
本発明に係る袋100は、互いに対向する第1端部10と第2端部20とを有している。好ましくは、袋の丈方向において互いに対向する第1端部10と第2端部20とを有している。第1端部10は開口端であり、第2端部20は閉鎖端である。つまり、本発明に係る袋100は、開口端として設けられた第1端部10、および、その第1端部と対向するように閉鎖端として設けられた第2端部20を有している。
【0040】
本明細書において「開口端」とは、全体として開口した形態を有する袋端部のことを意味している。換言すれば、袋の幅方向に沿うように全体的に開口した形態を有する袋の端部分が「開口端」である。一方、本明細書において「閉鎖端」とは、全体として閉じた形態を有する袋端部のことを意味している。換言すれば、袋の幅方向に沿うように全体的に閉じた形態を有する袋の端部分が「閉鎖端」である。
【0041】
本発明において、第1端部10は開口端であり、それゆえ、全体として開口した形態を有している。第1端部10は袋端エッジ(開口側の袋端エッジ)から丈方向にある程度の幅を有する部分といえ、袋丈寸法の例えば3%〜20%(一例として5%〜15%)に相当する幅を有している。同様にして、第2端部20は閉鎖端であり、それゆえ、全体として閉じた形態を有している。第2端部20も袋端エッジ(閉鎖側の袋端エッジ)から丈方向にある程度の幅を有する部分といえ、袋丈寸法の例えば3%〜20%(一例として5%〜15%)に相当する幅を有している。
【0042】
第1端部10においては第1密閉機構15が設けられている。同様にして、第2端部20においては第2密閉機構25が設けられている。図示するように、第1密閉機構15は、袋端エッジ(開口側の袋端エッジ)と実質的に平行となるように袋の幅方向に延在していることが好ましい。同様にして、第2密閉機構25は、袋端エッジ(閉鎖側の袋端エッジ)と実質的に平行となるように袋の幅方向に延在していることが好ましい。つまり、本発明のある好適な態様の袋100では、第1密閉機構15と第2密閉機構25とが相互に略平行な関係(延在関係)を有していることが好ましい。
【0043】
本明細書において「密閉機構」とは、袋内部と袋外部とを遮断することができる機構を指している。具体的には、密閉機構は、それを機能させて“閉状態”にすると、袋内部と袋外部(外界雰囲気)との間を遮断できる一方(即ち、袋内部を袋外部から遮断できる一方)、“開状態”にすると、袋内部と袋外部(外界雰囲気)との間を連通させることができる。
【0044】
第1密閉機構15および第2密閉機構25の各々は、例えば雄型嵌合部と雌型嵌合部とから成るジッパーであってよい。かかるジッパーは開口端を自在に開閉できる点で望ましい。即ち、雄型嵌合部と雌型嵌合部とを相互に噛み合わせると“閉状態”にできる一方、その噛み合わせを解除すると“開状態”にすることができる。また、それに限定されず、第1密閉機構15および第2密閉機構25の各々はスライダー式チャック、線ファスナーまたは面ファスナーなどの形態を有するものであってもよい。いずれの形態であっても、密閉機構によって、上記の“閉状態”と“開状態”とを切り替えることができるように構成されていることが好ましい。
【0045】
本発明の袋100では、切欠き開口30(図1(A))または切込み部分40(図1(B))が第2端部20に設けられている。つまり、図1(A)および1(B)に示すように「袋の一部を切欠いた形態の切欠き開口30」または「袋に対して断続的に線状に延在するように切り込みを入れられた形態の切込み部分40」が閉鎖側の袋端エッジに設けられている。
【0046】
より具体的には、切欠き開口30は、袋の閉鎖側の袋端エッジを部分的に切欠くことで形成された形態を有しており、袋幅方向にて略中央又は中央に位置付けられていることが好ましい(図1(A)参照)。かかる切欠き開口部30は、図3に示すように、輸液バック・ボトル200の吊下部210を袋内部から袋外部へと露出させるのに供し得る。つまり、袋の使用時において、図4に示すように、切欠き開口30を介して吊下部210のみが袋100から露出するように輸液バック・ボトル200を吊り下げることができ、好適な点滴が可能となる。あくまでも一例にすぎないが、切欠き開口部30の形状(特に平面視における形状)は、矩形状もしくは四角形状であってよいし(図1(A)および1(B)参照)、あるいは、半円形状や半楕円形状もしくは半円形状・半楕円形状と矩形状・四角形状とを組み合わせたような形状であってもよい(図11参照)。尚、本明細書でいう「吊下部」とは、輸液バック・ボトル200を吊り下げるために直接供する部分を指している。例えば、「吊下部」は、フック形状部に係止・係合できるような開口形態を有していてよい。
【0047】
このように袋の使用時にて輸液バック・ボトル200の吊下部210が好適に露出できるように、切欠き開口30のサイズは、輸液バック・ボトル200の吊下部210のサイズよりも大きくなっていることが好ましい(図3(A)参照)。図3(A)に示す態様から分かるように、「切欠き開口のサイズが輸液バック・ボトルの吊下部のサイズよりも大きい」とは、切欠き開口30の幅方向寸法W切欠き開口(特にその最大幅寸法)が吊下部210の幅寸法w吊下部(特にその最大幅寸法)以上となっていることを実質的に意味している。あるいは、別の観点でいえば、切欠き開口30の幅方向寸法W切欠き開口(特にその最大幅寸法)が、吊下部210におけるフック穴の中空部分210aの寸法(特にその幅方向の最大寸法)よりも大きくなっていると捉えてもよい。
【0048】
一方、切込み部分40は、例えば“ミシン目”のような形態を有しており、袋幅方向にて略中央に位置付けられていることが好ましい(図1(B)参照)。つまり、切込みが断続的な形態となっていてよい。図示するように、切込み部分40は、好ましくは閉鎖側の袋端エッジから丈方向に線状に延在している。切込み部分40は、その部分の破断によって破断開口45をもたらすことが好ましい(図1B参照)。つまり、切込み部分40に外力を加えると、その部分が引き裂かれて開口部45が形成されるようになっている。切欠き開口30と同様、破断開口45は、輸液バック・ボトル200の吊下部210を袋内部から袋外部へと露出させるための開口として用いることができる(図5参照)。つまり、袋の使用時においては、図6に示すように、破断開口45を介して吊下部210のみが袋100から露出するように輸液バック・ボトル200を吊り下げることができ、好適な点滴が可能となる。
【0049】
切欠き開口と同様にして、袋の使用時にて輸液バック・ボトル200の吊下部210が露出できるように、破断開口45のサイズは、吊下部210のサイズよりも大きくなっていることが好ましい(図5(A)参照)。図5(A)に示す態様から分かるように、「破断開口のサイズが輸液バック・ボトルの吊下部のサイズよりも大きい」とは、破断開口45(特に最大限に大きくなるように拡げた状態の“破断開口”)の幅方向寸法W破断開口(特にその最大幅寸法)が吊下部210の幅寸法w吊下部(特にその最大幅寸法)以上となっていることを実質的に意味している。あるいは、別の観点でいえば、破断開口45の幅方向寸法W破断開口(特にその最大幅寸法)が、吊下部210におけるフック部の中空部分210aの寸法(特にその幅方向の最大寸法)よりも大きくなっていると捉えてもよい。
【0050】
本発明の袋100において、「切欠き開口30または切込み部分40」と「第2密閉機構25」との相対的な位置関係でいうと、切欠き開口30または切込み部分40に対して相対的に内側となる位置に第2密閉機構25が設けられていることが好ましい。つまり、袋の閉鎖側の袋端エッジに設けられた切欠き開口30または切込み部分40よりも丈方向の袋内部側に第2密閉機構25が位置付けられていることが好ましい(図1など参照)。このような位置関係であるがゆえ、第2密閉機構25を機能させて袋の封止・再封止が可能となる。つまり、「切欠き開口30」または「破断開口45」は、袋内部と袋外部との連通部分に相当するところ、その部分よりも内側に位置する第2密閉機構25で連通状態を断つことができ、使用に際して袋内部の外界に対する密閉が可能となる。
【0051】
袋の材質についていえば、例えばプラスチック材質であってよい。つまり。袋はプラスチック・フィルムから構成されていてよい。かかるプラスチック・フィルムの具体的な材質としては、低密度ポリエチレン(例えば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、インフレーション・ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリニトリル系樹脂、ビニロンおよびナイロンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。このようなプラスチック・フィルムから成る袋につき、フィルム厚さは、特に制限されるわけではないが、好ましくは5〜3000μmであり、より好ましくは10〜1000μmであり、更に好ましくは10〜500μmである。袋のフィルム厚さが5μm未満であると袋体の強度的に問題が生じ得る一方、3000μmを超えると“十分な可撓性”が損なわれ得る。
【0052】
また、袋体を成すフィルムは、遮光フィルムであることが好ましい。特に輸液バック・ボトル内の輸液を好適に保護すべく、袋体を成すフィルムが紫外線遮断フィルムとなっていることが好ましい。特に限定されるものではないが、上記プラスチック・フィルム等に紫外線吸収剤を混ぜ込んでよく、あるいは、上記プラスチック・フィルム等の表面に紫外線カット材から構成された層を設けてもよい。かかる紫外線吸収剤または紫外線カット材は、輸液バック・ボトルの当業者にとって知られているものを使用してよい。
【0053】
本発明の袋100は「輸液バック・ボトルのための袋」であり、輸液バック・ボトル200と共に使用される。この点、本発明の袋100は、輸液バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋として用いられるだけでなく、輸液バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋としても用いられる。より具体的には、図7に示すように、袋100に輸液バック・ボトル200を収める態様では、本発明の袋100が収納袋となり得る。また、そのように輸液バック・ボトル200が袋100に収められた状態を維持して輸液バック・ボトル200を運ぶことなどもできるので、本発明の袋100は運搬袋にもなり得る。更には、図7に示すように、輸液バック・ボトル200による点滴後にて輸液バック・ボトル200が袋100に収められた状態を維持して袋100を輸液バック・ボトル200と共に廃棄できるので、かかる態様では本発明の袋100が廃棄袋にもなり得る。
【0054】
本発明の袋100を収納袋または運搬袋として用いるに際しては、袋100の第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ機能させて袋100を密閉し、袋100の封止を行うことが好ましい。これにより、袋100に収められた輸液バック・ボトル200が外界と遮断され、輸液バック・ボトル200を好適に安全に収納または運搬できる。換言すれば、袋100が輸液バック・ボトル200の収納袋または運搬袋として用いられるからこそ、本発明の袋100には開口端の第1端部10とそれと対向する閉鎖端の第2端部20にそれぞれ第1密閉機構15および第2密閉機構25が設けられているといえる。
【0055】
同様にして、本発明の袋100を廃棄袋として用いるに際しては、袋100の第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ機能させて袋100を密閉し、袋100の再封止を行うことが好ましい。つまり、輸液バック・ボトルによる点滴に際して一旦封止を解除した袋に対して再度の密閉処理を行う。これにより、使用済みの輸液バック・ボトル200が外界と遮断され、使用済みの輸液バック・ボトル200を袋100と共に好適に安全に廃棄することができる。換言すれば、袋100が輸液バック・ボトル200の廃棄袋として用いられるからこそ、本発明の袋100には開口端の第1端部10とそれと対向する閉鎖端の第2端部20にそれぞれ第1密閉機構15および第2密閉機構25が設けられているといえる。
【0056】
廃棄袋として用いる際、図7および図8に示すように、輸液バック・ボトル200に接続される輸液デバイス250を袋内部に収納することが好ましい。かかる場合、第1密閉機構15と第2密閉機構25との内側領域に形成される袋内容積が、輸液バック・ボトル200と、その輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイス250とを少なくとも収納できる容積を有することが好ましい。つまり、袋の封止を行った際に、その袋の密閉空間が有し得る体積(好ましくは、最大体積)は、輸液バック・ボトル200の体積および輸液デバイス250の体積を足し合わせた総体積よりも大きくなっていることが好ましい。尚、ここでいう「第1密閉機構と第2密閉機構との内側領域に形成される袋内容積」とは、図7(F)、図8および図11(F)などに示されるように、第1密閉機構15と第2密閉機構25との内側に形成される閉空間のうち、最大となる閉空間のことを指している。即ち、第1密閉機構15と第2密閉機構25との内側に形成される閉空間の体積は、対向する袋フィルム面の離隔程度などによって変わり得るものであるが、そのような変わり得る体積のなかで最大の体積をここでは指している。
【0057】
あくまでも例示にすぎないが、そのような袋内容積に供すべく、本発明の袋100では袋丈寸法が袋幅寸法の2倍以上、好ましくは1.5倍以上(例えば1.6倍以上)になっていてよい(その場合の上限値としては特に制限されるわけではないが、袋丈寸法が袋幅寸法の3倍以下、好ましくは2.5倍以下、例えば2.2倍以下であってよい)。あるいは、その逆で、本発明の袋100では袋幅寸法が袋丈寸法の2倍以上、好ましくは1.5倍以上になっていてよい(同様にして、その場合の上限値としては特に制限されるわけではないが、袋幅寸法が袋丈寸法の3倍以下、好ましくは2.5倍以下であってよい)。
【0058】
輸液バック・ボトル200が、がん治療に用いられる抗がん剤バックまたは抗がん剤ボトルの場合、本発明に係る袋100はがん治療に用いられる袋となる。かかる場合、本発明の袋100は特に抗がん剤曝露の未然防止に資することになる。具体的には、本発明の袋100は、抗がん剤バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋として用いられるのみならず、抗がん剤バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋としても用いられる。抗がん剤バック・ボトルが、その使用前から使用後に至るまで袋100に絶えず収められた状態となるので、抗がん剤の曝露防止が図られる。
【0059】
本発明の袋は、第2密閉機構25がより内側(袋の丈方向に相対的により袋内側)に位置付けられたものであってよい。図9(A)および9(B)には、そのように第2密閉機構25が“より内側に位置付けられた形態”となった袋100が示されている。このような形態では、第2端部20において「切欠き開口30または破断開口45」の周囲をより撓めることができ、輸液バック・ボトル200の吊下部210を袋内部から袋外部へと露出させやすくなる。これは、輸液バック・ボトルとして、図2(A)に示すように、吊下部210の中空部分210aが外側に突出した形態となっていない輸液バック200Aを使用する場合に特にいえることである。かかる場合、吊下部210が特に突出していないので、その吊下部210を袋内部から袋外部へと一般に露出させにくいものの、「切欠き開口30または破断開口45」の周囲の袋部分(特に第2端部)が局所的または部分的に撓むので、吊下部210の中空部分210aを外部に露出させることができ、結果として輸液バック200Aを吊り下げることができる。あくまでも一例であるが、第2密閉機構25が第2端部の袋端エッジから袋の丈方向に30mm袋内側に設けられていてよい。
【0060】
第2密閉機構25が“より内側に位置付けられた形態”となった袋100についていえば、例えば、第1端部における袋端エッジ(開口側の袋端エッジ)と第1密閉機構との離隔寸法は、第2端部における袋端エッジ(閉鎖側の袋端エッジ)と第2密閉機構との離隔寸法と略同一または同一となっている。1つ例示すると、それらの離隔寸法は30mmであってよい。なお、第2端部における袋端エッジ(第2端部が近位端となった袋端エッジ)と第2密閉機構との離隔寸法が、第1端部における袋端エッジ(第1端部が近位端となった袋端エッジ)と第1密閉機構との離隔寸法よりも大きくてよい。つまり、図9に示すように、閉鎖端側において袋端エッジ(即ち、袋の最外縁部)と第2密閉機構25との間の距離をL1とし、開口端側において袋端エッジ(即ち、袋の最外縁部)と第1密閉機構15との間の距離をL2とすると、L1>L2となっていてよい。
【0061】
≪輸液バック・ボトル収納袋の使用方法≫
次に、上述した袋を使用する方法について説明する。本発明の「輸液バック・ボトルのための袋の使用方法」は、輸液バック・ボトルの収納・運搬時のみならず、その廃棄時における袋の取り扱いにも特徴を有する。
【0062】
図7および図8を参照しながら、本発明の使用方法を説明する。特に図7(A)〜(F)は、袋の使用時の経時変化の態様を示している。
【0063】
まず、本発明の使用方法の第1操作として、第1端部10を介して輸液バック・ボトル200を袋内部に納める。つまり、図7(A)および(B)に示すように、袋100の開口端となる第1端部10から輸液バック・ボトル200を収納する。ここで収納される輸液バック・ボトル200は、例えば、予め点滴液などの輸液が仕込まれた輸液バック・ボトルであってもよい。図示するように、収納された状態において輸液バック・ボトル200の先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)205が袋の第1端部10に近位する一方、輸液バック・ボトル200の吊下部側210が袋の第2端部20に近位する向きとなるように袋100の収納を行う。
【0064】
収納に際しては、第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ閉状態にして袋の封止を行うことが好ましい。図7(A)に示すように、第2密閉機構25を機能させて予め第2端部20を“閉”にして輸液バック・ボトル200を袋内部に納めてよい。そして、図7(B)に示すように、輸液バック・ボトル200を袋内部に納めた後、第1密閉機構15を機能させて第1端部10を“閉”にしてよい。尚、かかる第2密閉機構25は、輸液バック・ボトル200の収納後に機能させて“閉”にしてもよい。いずれにせよ、輸液バック・ボトル200の収納後は、第1端部10および第2端部20を個々の密閉機構(即ち、第1密閉機構15および第2密閉機構25)により“閉”にし、袋内部に収められた輸液バック・ボトルを外界から遮断させる封止を行うことが好ましい。
【0065】
図7(B)のように袋100に収めた輸液バック・ボトル200は、その輸液バック・ボトルの実際の使用に供する現場にまで運搬されることになる。例えば、病院の薬剤部で袋に収納した輸液バック・ボトルをがん患者のベッドサイドまで運搬する。この際、輸液バック・ボトルは袋によって外界から遮断された状態にあるので、輸液バック・ボトルを扱う医療従事者や患者が抗がん剤に曝される危険が減じられている。
【0066】
第1操作に引き続いて、第2操作を実施する。第2操作では、輸液バック・ボトルの実際の使用に供する操作を行う。具体的には、図7(C)および7(D)に示すように、輸液バック・ボトル200の使用に際して「切欠き開口30」(または切込み部分の破断によって生じる破断開口)を介して輸液バック・ボトル200の吊下部210を袋内部から袋外部へと露出させる。これにより吊下部210を利用して輸液バック・ボトル200を吊り下げる。図示する態様から分かるように、第2端部20を第2密閉機構25によって“閉”にしていた場合、その状態を解除して、輸液バック・ボトル200の吊下部210を袋内部から袋外部へと露出させることが好ましい。
【0067】
第2操作に引き続いて、第3操作を実施する。この第3操作では、輸液バック・ボトルによる点滴を行う。具体的には、図7(E)に示すように、吊下部210を除き輸液バック・ボトル200が袋100に納められた状態を維持して輸液バック・ボトル200による点滴を行う。図示する態様から分かるように、第1端部10が第1密閉機構15で“閉”にされていた場合、点滴に先立ってその状態を解除することになる。そして、輸液バック・ボトル200に対して輸液デバイス250を接続する。より具体的には、点滴チューブおよび/または“曝露防止システム”などの接続部品などを含む輸液デバイス250を輸液バック・ボトル200に対して接続する(その際、点滴に供すべく、例えば輸液バック・ボトルのゴム栓などに対する挿入操作などが行われてよい)。
【0068】
点滴の後は、輸液バック・ボトルの廃棄処理を行う。特に本発明においては、図7(F)および図8に示すように、輸液バック・ボトル200を袋100に収めた状態を維持し、袋100をそのまま廃棄袋として用いる。
【0069】
より具体的には、廃棄処理に際しては、輸液バック・ボトル200に接続される輸液デバイス250を袋内部に収納することが好ましい。これにより、輸液バック・ボトル200のみならず、それに接続される輸液デバイス250をも一体的に安全に廃棄することができる。また、図示するように、袋100を廃棄袋として使用するに際しては、第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ閉状態にして袋の再封止を行うことが好ましい。これにより、使用済みの輸液バック・ボトル200および/または輸液デバイス250を外界から好適に遮断でき、輸液バック・ボトルを扱う医療従事者や患者が抗がん剤に曝される危険を減じた状態でもって廃棄処理が行える。つまり、好ましくは、廃棄袋として使用するに際して、輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイスを袋内部に収納することによって、輸液バック・ボトルのみならず、輸液デバイスをも袋内部に詰め込んだ状態で袋の廃棄が行える。尚、ここでいう「再封止」といった用語は、第1操作で一旦封止を行った場合に鑑みたものであり、かかる第1操作の封止の解除後にて再度封止を行うことを実質的に指している。
【0070】
≪輸液バック・ボトルのための袋の製造方法≫
次に、図10を参照して、輸液バック・ボトルのための袋100を製造する方法について説明する。本発明の製造方法では、まず、工程(i)を実施する。具体的には、図10(A)に示すように、開口端10’と閉鎖端20’とを備えた袋前駆体100’を用意する。つまり、対向する袋端部の一端のみが開口端となった袋前駆体100’を用意、調製または作製する。
【0071】
あくまでも例示にすぎないが、工程(i)で用意、調製または作製する袋前駆体100’は、市販の袋体をそのまま用いてよく、あるいは、個々に成形法(例えばインフレーション成形など)を通じて製造してもよい。
【0072】
工程(i)に引き続いて工程(ii)を実施する。即ち、図10(B)に示すように、開口端10’に第1密閉機構15を設けると共に、閉鎖端20’に第2密閉機構25を設ける。例えば、第1密閉機構15および第2密閉機構25として雄型嵌合部と雌型嵌合部から構成された開閉自在のジッパーを設けてよい。尚、袋前駆体100’が市販の袋体などであって、予め密閉機構が設けられている場合には、それをそのまま使用してよい(但し、市販の袋体は、第1密閉機構15が設けられていても、第2密閉機構25までは設けられていないので、かかる第2密閉機構25は別途で設ける必要がある)。
【0073】
工程(ii)は工程(i)と実質的に並列に実施してよい。つまり、袋前駆体100’の調製に際して、第1密閉機構15および第2密閉機構25を併せて設けてよい。換言すれば、工程(i)および工程(ii)として、開口端10’に第1密閉機構15が設けられ、閉鎖端20’に第2密閉機構25が設けられた袋前駆体100’を作製してよい。
【0074】
工程(i)および(ii)に引き続いて、工程(iii)を実施する。具体的には、図10(B)および(C)に示されるように、閉鎖端20’に対して局所的にパンチング処理または切込み処理を施す。特に、図示されるように、袋前駆体100’の閉鎖側20’の袋端エッジかつ袋幅方向にて略中央といった局所部分にパンチング処理または切込み処理を施す。パンチング処理によって、その閉鎖端20’を局所的に切欠くことができ、切欠き開口30を設けることができる。同様にして、切込み処理によって、その閉鎖端20’に局所的な切込み部分40を設けることができる。このようなパンチング処理および切込み処理自体は、当業者に知られた常套的な機械手段を利用してよい。尚、工程(ii)と工程(iii)とは、その実施順序が逆であってもよい。つまり、閉鎖端20’に対して局所的にパンチング処理または切込み処理を施した後、第1密閉機構15および第2密閉機構25を設けてもよい。
【0075】
以上の工程(i)〜工程(iii)を経ることによって、開口端の第1端部、および、その第1端部と対向するように設けられた閉鎖端の第2端部を有し、第1端部に第1密閉機構が設けられていると共に、第2端部に第2密閉機構が設けられ、また、切欠き開口または切込み部分が第2端部に設けられた袋を得ることができる。
【0076】
製法の変更態様としては、1つの矩形袋前駆体から複数の本発明の袋を得る態様を挙げることができる。つまり、帯状の両端開口の筒状体(帯状に長く延在している袋前駆体であって、特に両端が開口している袋前駆体)から複数の本発明の袋を得る態様であってもよい。かかる場合、まず、そのような“両端開口の矩形袋前駆体”を用意、調製または作製する。次いで、かかる矩形袋前駆体に対して、第1密閉機構および第2密閉機構を設けたり、本発明の袋の各々にて閉鎖端となる箇所に局所的にパンチング処理または切込み処理を行ったりする。そして、最終的には、複数の本発明の袋を得るべく“両端開口の矩形袋前駆体”を分割(例えば、機械的な手段によって切断)する。以上の如くの処理によって、単一の両端開口の矩形袋前駆体から複数の本発明の袋を得ることができる。
【0077】
なお、あくまでも一例であるが、以下で詳述する“双方向収納型の袋”の寸法例は下記の通りとなり得る(図11参照)。

・袋幅方向寸法W:150mm、200mmまたは300mm
・袋丈方向の収容寸法L:180mm、280mm、380mmまたは480mm
・第1端部10の袋端エッジと第1密閉機構15との離隔寸法L:30mm
・第2端部20の袋端エッジと第2密閉機構25との離隔寸法L:30mm
・切欠き開口30:幅20mm、長さ20mm、R10mm
・穿孔70:直径10mm(φ10)
・切欠き開口・穿孔の形成位置:幅方向中央
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。つまり、本発明は種々の態様でもって具現化され得る。これにつき例えば以下の態様が考えられる。
【0079】
(双方向収納型の袋態様)
本発明の袋は、輸液バック・ボトルの収納方向が逆となっても使用できる。つまり、図7(A)〜7(F)では、輸液バック・ボトル200の先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)205が袋の第1端部10に近位する一方、輸液バック・ボトル200の吊下部側210が袋の第2端部20に近位する向きとなるように袋100の収納を行うが、その向きが逆になっても使用できる。換言すれば、この場合、袋が“双方向収納型”となっている。
【0080】
かかる双方向収納型の袋の場合、図11に示すように、第1端部10における袋端エッジ11と第1密閉機構15との間に穿孔70が設けられていることが好ましい。つまり、第1端部10において袋端エッジ11と第1密閉機構15との間の局所領域に開口部70が設けられていることが好ましい。
【0081】
かかる場合、図12に示されるように、輸液バック・ボトル200の先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)205が袋の第2端部20に近位する一方、輸液バック・ボトル200の吊下部側210が袋の第1端部10に近位する向きとなるように袋100の収納を行うことができる。図示されるように、輸液バック・ボトル200に取り付けられた輸液デバイス250は、「切欠き開口30」(または切込み部分の破断によって生じる破断開口)を介して袋外部へと露出させる一方、穿孔70を吊下部として利用することで輸液バック・ボトルが収納された袋を吊り下げることができる。このように、「第1端部における袋端エッジと第1密閉機構との間に設けられた穿孔70」を吊下部として利用する態様では、双方向収納型の袋がもたらされる。なお、袋の吊り下げがより好適となるように、穿孔70は切欠き開口30または切込み部分40と同一の丈方向軸上にあることが好ましい。例えば、双方とも幅方向の中央に位置していてよく、これによって、輸液バック・ボトルの軸を略鉛直方向に沿ったものとすることができ、袋内で輸液バック・ボトルがより安定化し得る。穿孔70の形状は、図11に示すような円状(特に平面視にて円状)であってよい。
【0082】
かかる双方向収納型の袋の場合では、袋の胴部のインジケータ表示部(袋使用者のための情報が表示された部分)80は“双方向収納”に関連したものであってよい(図11参照)。例えば、袋を手に取った者がどちらのエッジ端部が上側または下側となってもインジケータ表示部80を順方向で読み取れるようになっていてよい。具体的には、インジケータ表示部80が2つのサブ・インジケータ表示部80a,80bから構成されており、それらが互いに点対称に配置されていることが好ましい。袋の第2端部20が手前側になるように袋を手に取った場合では2つのサブ・インジケータ表示部80の一方(80a)が順方向で読み取れるようになっており、また、その逆に袋の第1端部10が手前側になるように袋を手に取った場合では2つのサブ・インジケータ表示部80の他方(80b)が順方向で読み取れるようになっていることが好ましい。あくまでも一例にすぎないが、袋の第2端部20が手前側になるように袋を手に取った場合に順方向で読み取れるように第1端部10の近傍に2つのサブ・インジケータ表示部80の一方(80a)が印刷され、かつ、袋の第1端部10が手前側になるように袋を手に取った場合に順方向で読み取れるように第2端部20の近傍に2つのサブ・インジケータ表示部80の他方(80b)が印刷されていてよい。
【0083】
輸液バック・ボトル200の先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)205が袋の第2端部20に近位する一方、輸液バック・ボトル200の吊下部側210が袋の第1端部10に近位する向きとなるように袋100の収納を行う場合の使用法について図12を参照して詳述しておく。
【0084】
まず、本発明の使用方法の第1操作として、第1端部10を介して輸液バック・ボトル200を袋内部に納める。つまり、図12(A)および(B)に示すように、袋100の開口端となる第1端部10から輸液バック・ボトル200を収納する(収納される輸液バック・ボトル200は、例えば、予め点滴液などの輸液が仕込まれた輸液バック・ボトルであってもよい)。図示するように、収納された状態において輸液バック・ボトル200の先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)205が袋の第2端部20に近位する一方、輸液バック・ボトル200の吊下部側210が袋の第1端部10に近位する向きとなるように袋100の収納を行う。
【0085】
収納に際しては、第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ閉状態にして袋の封止を行うことが好ましい。図12(A)に示すように、第2密閉機構25を機能させて予め第2端部20を“閉”にして輸液バック・ボトル200を袋内部に納めてよい。そして、図12(B)に示すように、輸液バック・ボトル200を袋内部に納めた後、第1密閉機構15を機能させて第1端部10を“閉”にしてよい。尚、かかる第2密閉機構25は、輸液バック・ボトル200の収納後に機能させて“閉”にしてもよい。いずれにせよ、輸液バック・ボトル200の収納後は、第1端部10および第2端部20を個々の密閉機構(即ち、第1密閉機構15および第2密閉機構25)を用いて“閉”にし、袋内部に収められた輸液バック・ボトルを外界から遮断させる封止を行うことが好ましい。
【0086】
図12(B)のように袋100に収めた輸液バック・ボトル200は、その輸液バック・ボトルの実際の使用に供する現場にまで運搬されることになる。例えば、病院の薬剤部で袋に収納した輸液バック・ボトルをがん患者のベッドサイドまで運搬する。この際、輸液バック・ボトルは袋によって外界から遮断された状態にあるので、輸液バック・ボトルを扱う医療従事者や患者が抗がん剤に曝される危険が減じられている。
【0087】
第1操作に引き続いて、第2操作を実施する。第2操作では、輸液バック・ボトルの実際の使用に供する操作を行う。具体的には、図12(C)および12(D)に示すように、輸液バック・ボトル200の使用に際して「切欠き開口30」(または切込み部分の破断によって生じる破断開口)を介して、輸液バック・ボトル200に対して輸液デバイス250を接続する。第2端部20が第2密閉機構25で“閉”にされていた場合、接続に先立ってその状態を解除することになる。図示する態様から分かるように、「切欠き開口30」(または切込み部分の破断によって生じる破断開口)を介して、輸液バック・ボトル200の先端部および/または輸液デバイス250が袋の内部から外部へと露出・延在するように、輸液バック・ボトル200に対して輸液デバイス250を接続する。より具体的には、点滴チューブおよび/または“曝露防止システム”などの接続部品などを含む輸液デバイス250を輸液バック・ボトル200に対して接続する(その際、最終的な点滴に供すべく、例えば輸液バック・ボトルのゴム栓などに対する挿入操作などが行われてよい)。
【0088】
なお、かかる輸液デバイス250の接続に際してまたはそれに先立っては、袋の穿孔70をスタンドに引っ掛けて、袋を吊るした状態にしてよい。つまり、「第1端部における袋端エッジと第1密閉機構15との間に設けられた穿孔70」を吊下部として利用して、輸液バック・ボトル200が収納された袋をスタンドに懸架してよく(図12(E)参照)、かかる懸架状態にて輸液バック・ボトル200に対して輸液デバイス250を接続してよい。これにより、より容易に輸液デバイス250の接続を行うことができる。
【0089】
第2操作に引き続いて、第3操作を実施する。この第3操作では、輸液バック・ボトルによる点滴を行う。具体的には、図12(E)に示すように、輸液バック・ボトル200が実質的に袋100に納められた状態を維持して輸液バック・ボトル200による点滴を行う。点滴の後は、輸液バック・ボトルの廃棄処理を行う。特に本発明においては、図12(F)に示すように、輸液バック・ボトル200を袋100に収めた状態を維持し、袋100をそのまま廃棄袋として用いる。より具体的には、廃棄処理に際しては、輸液バック・ボトル200に接続される輸液デバイス250を袋内部に収納することが好ましい。これにより、輸液バック・ボトル200のみならず、それに接続される輸液デバイス250をも一体的に安全に廃棄することができる。また、図示するように、袋100を廃棄袋として使用するに際しては、第1密閉機構15および第2密閉機構25をそれぞれ閉状態にして袋の再封止を行うことが好ましい。これにより、使用済みの輸液バック・ボトル200および/または輸液デバイス250を外界から好適に遮断でき、輸液バック・ボトルを扱う医療従事者や患者が抗がん剤に曝される危険を減じた状態でもって廃棄処理が行える。つまり、好ましくは、廃棄袋として使用するに際して、輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイスを袋内部に収納することによって、輸液バック・ボトルのみならず、輸液デバイスをも袋内部に詰め込んだ状態で袋の廃棄が行える。
【0090】
以上の如くの図12(A)〜(F)から分かるように、穿孔70が設けられた袋は、輸液バック・ボトル200の挿入向きに依存しない“双方向収納型の袋”となっている。穿孔70が設けられた袋が“双方向収納型の袋”となっていることは、図12(A)〜F)と図13(A)〜(F)とを比べてみると特に理解できるであろう。
【0091】
なお、本発明の袋にはストッパーを備えていてよい。例えば、袋の内部に収められた輸液バック・ボトルのためのストッパー部(ストッパ部)が更に設けられていてよい。かかるストッパー部は、袋の内部に収められた輸液バック・ボトルの位置決めに特に供する(即ち、ストッパー部は、輸液バック・ボトルの位置決め部もしくは固定化部とも称され得る)。特に輸液バック・ボトルのネック部分がストッパー部で位置決めされることが好ましい。換言すれば、輸液バック・ボトルが袋に納められた状態を維持して輸液バック・ボトルによる点滴がなされる際(輸液バック・ボトルには輸液デバイスが取り付けられている)、輸液バックがストッパー部によって袋下端部に偏ることが防止されるといえる。このようなストッパー部は、種々の形態が考えられる。例えば、袋を成すフィルムにおける対向領域が少なくとも部分的に互いに接合された状態となっており、そのような対向接合部がストッパー部を成していてよい。例えば、そのような対向領域が少なくとも部分的に互いに熱圧着または熱融着された状態になっており、それによって、ストッパー部が設けられていてよい。換言すれば、そのように部分的に袋をシールすることによってストッパー部を設けることができる。本発明においては、ストッパー部は例えば“シーラー”、“シーラー部”または“シーラー圧着部”などと称すこともできる。更にいえば、ストッパー部は、外部から袋を挟持する手段であってもよい。即ち、挟持手段(袋の外部から作用させる挟持手段)をストッパー部として用いてもよい。
【0092】
(輸液デバイスの離脱防止の態様)
本発明の袋は、特に輸液デバイスの離脱防止に特に供する形態として具現化することができる。具体的には、輸液デバイスに輸液セットビン針などのフランジ品が含まれる場合、それを利用して、輸液デバイスの離脱防止を図ることができる。図14に示すように、フランジ品252(即ち、鍔形状を有する輸液デバイスの備品)を、その下方に位置する第1密閉機構15(特に“閉状態”の第1密閉機構15)に係止させることができるようにすると、輸液デバイス250の離脱防止の効果が奏され得る。つまり、点滴チューブ255の偶発的な引張りなどに起因して接続部品254に対する下方の力が加えられたとしても、輸液セットビン針などのフランジ品252が第1密閉機構15に支持されるので、かかる力を効果的に吸収できる。より具体的には、下方向の力に対して“反作用の力”が第1密閉機構15に起因して働くことになり、接続部品254と輸液バック・ボトル200との間を相互に引き離す力が減じられる。尚、図示するように、第1端部10が全体として封止した形態であってもよく、それによって、上記の離脱防止の効果がより好適に発現され得る。例えば、接着剤または粘着テープを用いて第1端部10(特に「第1密閉機構15から袋端エッジまでに至る領域」)を全体的に封止するように接合処理を行ってよい。あるいは、かかる第1端部10の領域をヒートシールなどの適当な熱処理に付すことによって、第1端部10を全体的に封止するように接合処理してもよい。
【0093】
(輸液デバイス取付け態様)
本発明の袋は、輸液デバイス250が予め取り付けられたものであってもよい。具体的には、図15(A)に示すように、バックスパイクなどの曝露防止具256が予め取り付けられているものであってよいし、あるいは、図15(B)に示すように、点滴ラインなどを含む輸液セット258が予め取り付けられているものであってもよい。このような場合、輸液バック・ボトルの収納袋・運搬袋に輸液デバイス250が既に備えられているといえるので、点滴に伴う一連の操作が簡易となるだけでなく、そのような輸液デバイス250の整理保管性などにも優れている。輸液デバイス250の予め取り付けには、接着剤または粘着テープなどを用いてよく、あるいは、取り付け部のヒートシールなど適当な熱処理を施してもよい。
【0094】
「輸液デバイス取付け態様」は、切欠き開口30または破断開口45に対して輸液デバイス250が取り付けられて構成された態様に相当し得る。
【0095】
それゆえ、かかる態様の本発明の袋は下記のように規定することができる。
輸液バック・ボトルのための袋であって、
開口端として設けられた第1端部、および、その第1端部と対向するように閉鎖端として設けられた第2端部を有しており、
第1端部に第1密閉機構が設けられていると共に、第2端部に第2密閉機構が設けられており、
切欠き開口または切込み部分が第2端部に設けられており、また
切欠き開口または切込み部分の破断によって形成される破断開口に輸液デバイスまたはその一部が取り付けられている(特に“予め取り付けられている”)ことを特徴とする袋。
【0096】
好ましくは、図示されるように、輸液デバイスまたはその一部のうち、先端部のみ(より具体的には「点滴などの使用時の輸液流れを想定した場合の上流側先端部のみ」、例えば「先端の“尖った部分”のみ」)が袋内部に位置付けられるように輸液デバイスまたはその一部が袋に取り付けられている。また、例えば第2端部の第2密閉機構は、輸液デバイスまたはその一部の取り付け部以外(即ち、「“輸液デバイスまたはその一部”と“第2密閉機構”との互いの接触部分」以外)を除いて閉状態にされていてよい。
【0097】
「輸液デバイス取付け態様」であっても、袋は輸液バック・ボトルの収納または運搬のために用いるのみならず、輸液バック・ボトルによる点滴に際しても袋をそのまま用いることができる。特には、袋の切欠き開口30または破断開口45に対して輸液デバイス250またはその一部が予め取り付けられているので、輸液バック・ボトルの使用点で一連の操作がより簡易化され得る。具体的には「輸液デバイス取付け態様」では、(a)’ 第1端部を介して輸液バック・ボトルを袋内部に収め、(b)’輸液バック・ボトルの使用に際して、第1端部を介して吊下部を利用して輸液バック・ボトルを吊り下げ(例えば、第1端部から輸液バック・ボトルの吊下部を袋内部から袋外部へと露出させ、その吊下部を利用して輸液バック・ボトルを吊り下げ)、(c)’輸液バック・ボトルが袋に納められた状態を維持して(例えば吊下部を除いて輸液バック・ボトルが袋に納められた状態を維持して)輸液バック・ボトルによる点滴(即ち、輸液投与)を行うことになるが、(a)’の輸液バック・ボトルを袋に収めた時点で、輸液バック・ボトルと輸液デバイス250とを接続するので、それ以降の操作において(即ち、輸液バック・ボトルが点滴の現場で吊り下げられた状態および/または点滴に供する直前などにおいて)輸液デバイス250の取り付け操作が省かれることになる。
【0098】
また、かかる「輸液デバイス取付け態様」であっても、輸液バック・ボトルが袋に納められた状態をそのまま維持して輸液バック・ボトルによる点滴などを行うことができると共に、そのような収納状態を変えることなく、そのまま廃棄袋として袋を利用することができる。よって、輸液バック・ボトルの使用およびその後の廃棄の操作が同様に簡素化されると共に、輸液バック・ボトルを廃棄する者が抗がん剤によって曝露される危険が同様に減じられる(つまり、かかる袋は、あくまで輸液バック・ボトルを収めた以降で外界からの遮断に供するものであるので、例えば抗がん剤によって曝露される危険が減じられる)。
【0099】
かかる「輸液デバイス取付け態様」は、接着剤または粘着テープなどの適当な手段を用いて“切欠き開口”または“切込み部分の破断によって形成される破断開口”を介した状態で第2端部に輸液デバイスまたはその一部を取り付けた態様とみなすこともできる。また、その取り付けの際に接着剤または粘着テープを用いて第2端部(特に「第2密閉機構から袋端エッジまでに至る領域」)を全体的に封止するような接合処理を行ってよく、あるいは、かかる第2端部の領域をヒートシールなどの適当な熱処理に付すこと等によって、第2端部を全体的に封止するような接合処理を行ってもよい(図15の形態を参照のこと)。
【0100】
かかる「輸液デバイス取付け態様」の使用法を念のため詳述しておく。まず、第1操作として、第1端部10を介して輸液バック・ボトルを袋内部に納める。つまり、袋100の開口端となる第1端部10から輸液バック・ボトルを収納する。ここで収納される輸液バック・ボトルは、例えば、予め点滴液などの輸液が仕込まれた輸液バック・ボトルであってよいし、空の輸液バック・ボトルであってもよい。収納された状態において輸液バック・ボトルの先端側(輸液仕込み側・輸液供給側)が袋の第2端部20に近位する一方、輸液バック・ボトルの吊下部側が袋の第1端部10に近位する向きとなるように袋100の収納を行う。収納に際しては、輸液バック・ボトルと輸液デバイス250との接続を行うことが好ましい。具体的には「袋に収められた輸液バック・ボトルの栓部」と「輸液デバイス250の袋内部に位置する部分」とを連結する(例えば、「輸液デバイス250の袋内部に位置する先端部(例えば“尖った部分”)」を「袋に収められた輸液バック・ボトルの栓部(例えばゴム栓)」に突き刺すような操作を行って、それらの連結を行ってよい)。また、空の輸液バック・ボトルであって、輸液デバイス250に輸液注入器具などが備えられている場合では、そのように輸液バック・ボトルを袋に収めた後で点滴液などの輸液を輸液バック・ボトルへと仕込む操作を行ってよい)。尚、収納に際しては、第1密閉機構15(および必要に応じて第2密閉機構25)を閉状態にして袋の封止を行うことが好ましい。これにより、袋内部に収められた輸液バック・ボトルを外界から好適に遮断することができる。次いで、袋100に収めた輸液バック・ボトルは、その輸液バック・ボトルの実際の使用に供する現場にまで運搬されることになる。例えば、病院の薬剤部で袋に収納した輸液バック・ボトルをがん患者のベッドサイドまで運搬する。この際、輸液バック・ボトルは袋によって外界から遮断された状態にあるので、輸液バック・ボトルを扱う医療従事者や患者が抗がん剤に曝される危険が減じられている。第1操作に引き続いて、第2操作を実施する。第2操作では、輸液バック・ボトルの実際の使用に供する操作を行う。具体的には、第1端部10を介して輸液バック・ボトルの吊下部を袋内部から袋外部へと露出させる。これにより吊下部を利用して輸液バック・ボトルを吊り下げる。例えば、第1端部10を第1密閉機構15によって“閉”にしていた場合、その状態を解除して、輸液バック・ボトルの吊下部を袋内部から袋外部へと露出させることが好ましい(尚、輸液バック・ボトルを吊り下げた後、第1密閉機構15を部分的に閉にしてもよい)。第2操作に引き続いて、第3操作を実施する。この第3操作では、輸液バック・ボトルによる点滴を行う。具体的には、吊下部を除き輸液バック・ボトルが袋100に納められた状態を維持して輸液バック・ボトルによる点滴を行う。点滴の後は、輸液バック・ボトルの廃棄処理を行う。例えば、輸液バック・ボトルを袋に収納された状態を維持して第1密閉機構15(および必要に応じて第2密閉機構25)を閉状態にし、使用済みの輸液バック・ボトルを外界から好適に遮断して廃棄する。
【0101】
以上のごとく、「輸液デバイス取付け態様」であっても、袋を輸液バック・ボトルの収納または運搬のために用いるのみならず、輸液バック・ボトルによる点滴に際しても袋をそのまま用いることができ、また、点滴の後、輸液バック・ボトルが袋に収められた状態をそのまま維持することによって、袋を廃棄袋として用いることができる。
【0102】
(袋端エッジのズレ態様)
ある好適な態様に係る本発明の袋は、輸液バック・ボトルの収納に際して袋をより開き易いものとなっていてよい。例えば、図16に示すように、第1端部10の袋端エッジ11は、一方の袋側面と他方の袋側面とが僅かにずれていてよい。より具体的には、図示されるように、一方の袋側面エッジ11aが他方の袋側面エッジ11bよりも僅かに丈方向の外側に延在するものであってよい。これにより、“丈方向の外側により延在している部分”に起因して袋が使用に際して開け易くなり、結果として、輸液バック・ボトルを収納し易くなる。
【0103】
尚、上述した発明は、次の態様を包含していることを確認的に述べておく。
第1態様:輸液バック・ボトルのための袋であって、
開口端として設けられた第1端部、および、該第1端部と対向するように閉鎖端として設けられた第2端部を有しており、
前記第1端部に第1密閉機構が設けられていると共に、前記第2端部に第2密閉機構が設けられており、
切欠き開口または切込み部分が前記第2端部に設けられていることを特徴とする袋。
第2態様:上記第1態様において、前記切欠き開口または前記切込み部分に対して相対的に内側となる位置に前記第2密閉機構が設けられていることを特徴とする袋。
第3態様:上記第1態様または第2態様において、前記第1密閉機構および前記第2密閉機構の少なくとも一方が、雄型嵌合部と雌型嵌合部とから成るジッパーであることを特徴とする袋。
第4態様:上記第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、前記切欠き開口のサイズまたは前記切込み部分の破断によって形成される破断開口のサイズが、輸液バック・ボトルの吊下部サイズよりも大きいことを特徴とする袋。
第5態様:上記第1態様〜第4態様のいずれかにおいて、前記第1密閉機構と前記第2密閉機構との内側領域に形成される袋内容積が、前記輸液バック・ボトルと、該輸液バック・ボトルに接続される輸液デバイスとを少なくとも収納できる容積を有することを特徴とする袋。
第6態様:上記第1態様〜第5態様のいずれかにおいて、前記第1端部における袋端エッジと前記第1密閉機構との間に穿孔が設けられていることを特徴とする、袋。
第7態様:上記第6態様において、前記穿孔が前記切欠き開口または前記切込み部分と同一の丈方向軸上にあることを特徴とする袋。
第8態様:上記第1態様〜第7態様のいずれかにおいて、前記輸液バック・ボトルが、がん治療に用いられる抗がん剤バックまたは抗がん剤ボトルであって、前記袋が該がん治療に用いられる袋であることを特徴とする袋。
第9態様:上記第1態様〜第8態様のいずれかにおいて、前記輸液バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋としてのみならず、該輸液バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋としても用いられる袋であることを特徴とする袋。
第10態様:上記第1態様〜第9態様のいずれかにおいて、前記輸液バック・ボトルの前記袋への収納に関連するインジケータ表示部が前記袋の胴部に設けられていることを特徴とする袋。
第11態様:上記第1態様〜第10態様のいずれかにおいて、前記切欠き開口または前記切込み部分の破断によって形成される破断開口に輸液デバイスまたはその一部が予め取り付けられていることを特徴とする袋。
第12態様:上記第1態様〜第10態様のいずれかの輸液バック・ボトルのための袋の使用方法であって、
(a)前記第1端部を介して前記輸液バック・ボトルを袋内部に納めること、
(b)前記輸液バック・ボトルの使用に際して、前記切欠き開口または前記切込み部分の破断によって形成される破断開口を介して該輸液バック・ボトルの吊下部を前記袋内部から袋外部へと露出させ、該吊下部を利用して該輸液バック・ボトルを吊り下げること、また
(c)前記吊下部を除き前記輸液バック・ボトルが前記袋に納められた状態を維持して該輸液バック・ボトルによる点滴を行うこと
を含んで成る、袋使用方法。
第13態様:上記第12態様において、前記(a)では、前記袋に前記輸液バック・ボトルを収めるに際して、前記第1密閉機構および前記第2密閉機構をそれぞれ閉状態にして前記袋の封止を行うことを特徴とする袋使用方法。
第14態様:上記第13態様において、前記(b)の前記露出に際して、前記第2密閉機構の前記閉状態を解除することを特徴とする袋使用方法。
第15態様:上記第13態様または第14態様において、前記(c)の前記点滴に先立っては、前記第1密閉機構の前記閉状態を解除し、前記輸液バック・ボトルに対して輸液デバイスを接続することを特徴とする袋使用方法。
第16態様:上記第12態様〜第15態様のいずれかにおいて、前記(c)の前記点滴の後、前記輸液バック・ボトルが前記袋に収められた状態をそのまま維持することによって、該袋を廃棄袋として用いることを特徴とする袋使用方法。
第17態様:上記第16態様において、前記廃棄袋として使用するに際しては、前記第1密閉機構および前記第2密閉機構をそれぞれ閉状態にして前記袋の再封止を行うことを特徴とする袋使用方法。
第18態様:上記第15態様に従属する第16態様または第17態様において、前記廃棄袋として使用するに際しては、前記輸液バック・ボトルに接続される前記輸液デバイスを前記袋内部に収納し、それによって、前記輸液バック・ボトルのみならず、該輸液デバイスも前記袋内部に収めることを特徴とする袋使用方法。
第19態様:上記第1態様〜第11態様のいずれかの輸液バック・ボトルのための袋を製造する方法であって、
(i)開口端と閉鎖端とを備えた袋前駆体を用意する工程、
(ii)前記開口端に第1密閉機構を設けると共に、前記閉鎖端に第2密閉機構を設ける工程、および
(iii)前記閉鎖端に対して局所的にパンチング処理または切込み処理を施す工程
を含んで成る袋の製造方法。
第20態様:上記第1態様〜第11態様のいずれかの輸液バック・ボトルのための袋を複数製造する方法であって、
(i)両端開口の矩形袋前駆体を用意・作製する工程、
(ii)前記矩形袋前駆体に対して、第1密閉機構および第2密閉機構を設けたり、前記複数の前記袋の各々において閉鎖端となる箇所に局所的にパンチング処理または切込み処理を行ったりする工程、
(iii)前記矩形袋前駆体に対して分割処理を行って前記複数の前記袋を得る工程
を含んで成る袋の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る袋は、医療現場や介護現場などで用いられる各種の輸液バック・ボトルのための袋として利用できる。具体的には、輸液バック・ボトルを収納または運搬するための収納袋または運搬袋としてのみならず、輸液バック・ボトルを廃棄するための廃棄袋としても用いることができる。
【0105】
特に、輸液バック・ボトルががん治療の点滴に用いられる抗がん剤バックやボトルである場合、本発明は混合調製やプライミングに起因した抗がん剤曝露の防止に資することになり、医療現場で好適に利用できる。
【関連出願の相互参照】
【0106】
本出願は、日本国特許出願第2015−089623号(出願日:2015年4月24日、発明の名称「輸液バック・ボトルのための収納袋、その使用方法および製造方法」)に基づくパリ条約上の優先権を主張する。当該出願に開示された内容は全て、この引用により、本明細書に含まれるとする。
【符号の説明】
【0107】
10 第1端部
15 第1密閉機構
20 第2端部
25 第2密閉機構
30 切欠き開口
40 切込み部分
45 切込み部分の破断によって形成される破断開口
70 穿孔
100 輸液バック・ボトルのための袋
200 輸液バック・ボトル
205 輸液バック・ボトルの先端側
200A 輸液バック
200B 輸液ボトル
210 輸液バック・ボトルの吊下部
210a 吊下部の中空部分
250 輸液デバイス
252 フランジ品
254 接続部品
255 点滴チューブ
256 曝露防止具
258 輸液セット
10’ 袋前駆体の開口端
20’ 袋前駆体の閉鎖端
100’ 袋前駆体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16