特許第6791856号(P6791856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791856ポリ(メタ)アクリレートベースのプライマー層を備える接着性物品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791856
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ポリ(メタ)アクリレートベースのプライマー層を備える接着性物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20201116BHJP
   C09J 7/50 20180101ALI20201116BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20201116BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20201116BHJP
   B05D 5/10 20060101ALI20201116BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20201116BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/50
   C09J183/04
   B05D3/06 Z
   B05D5/10
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302Y
   B32B27/00 M
   B32B27/00 101
   C09D5/00 D
   C09D183/04
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-532122(P2017-532122)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公表番号】特表2018-505928(P2018-505928A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】US2015064605
(87)【国際公開番号】WO2016100021
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】62/094,094
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ディー.クルーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジュインカーン ジェイ.リウ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン イー.ライト
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エム.ディーツ
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ エー.アイゼミンガー
(72)【発明者】
【氏名】マルゴー ビー.ミテラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル オー.マナロ
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−141543(JP,U)
【文献】 米国特許第04177301(US,A)
【文献】 特表2014−506281(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/096530(WO,A1)
【文献】 特開平07−292320(JP,A)
【文献】 特開平07−309951(JP,A)
【文献】 特開2013−023665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
B32B1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面、及び前記第1主面の反対側の第2主面を有するバッキングと、
前記バッキングの前記第1主面上に配置されたプライマー層であって、前記プライマー層がプライマー前駆物質から得られ、前記プライマー前駆物質が(メタ)アクリレート官能基を有するポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンを含む、プライマー層と、
シリコーンベースの接着剤であって、前記プライマー層が前記バッキングの前記第1主面と前記接着剤との間に配置されるように、前記バッキングの前記第1主面上の前記プライマー層上に配置された、シリコーンベースの接着剤と、を備え、
前記プライマー層及び前記シリコーンベースの接着剤が、炭素−炭素結合を介して一緒に共有結合している、
接着性物品。
【請求項2】
前記バッキングの前記第2主面上に、低接着性バックサイズコーティングを更に備える、請求項1記載の接着性物品。
【請求項3】
接着性物品の製造方法であって、
バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することであり、前記プライマー前駆物質が(メタ)アクリレート官能基を有するポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンを含む、ことと、
前記バッキング上の前記プライマー前駆物質を照射することと、
前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質上にシリコーンベースの接着剤を適用することと、
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、前記接着剤と前記バッキングの前記第1主面との間に配置されるプライマー層を形成することと、を含む方法。
【請求項4】
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、前記プライマー層と前記接着剤との間に炭素−炭素共有結合を形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、電子ビーム(e−ビーム)放射及び紫外線(UV)放射のうちの少なくとも1つで照射することを含む、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、バッキングに対する接着剤の接着力を改善するためのポリ(メタ)アクリレートベースのプライマー層を備える接着性物品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンベースの接着剤の利用は、皮膚への接着力が強く、外傷剥離(trauma removal)が少なく、生体適合性が良好であり、通気性が高いことに起因して、特に保健医療分野において増加している。シリコーンベースの接着剤は概して不活性であるため、経皮的薬剤送達用の接着性構造の薬物に対して(リザーバベースとは対照的に)適合性であり得る。また、産業的には、低表面エネルギーでの適用、より広い温度範囲での適用、及びより長い耐候性適用のための接着剤が勢いを強めており、これらはシリコーンベースの接着剤を必要とする場合がある。しかしながら、多くのシリコーンベースの接着剤は、バッキング又は基材との強力な相互作用(すなわち、それらに対する接着力)を有さず、これにより、バッキングからシリコーンベースの接着剤が剥離したり、シリコーンベースの接着剤のコーティングが皮膚及び/又は接着された物体上に残ったりする可能性がある。
【0003】
したがって、バッキングは多くの場合、シリコーンベースの接着剤とともに使用するために、化学的プライミング処理で前処理する必要がある。そのような処理は、追加的な処理ステップ、並びに有機溶媒、触媒、及び開始剤(例えば、光開始剤)のうちの1つ以上を要する場合がある。
【0004】
これまでに多くのプライマーコーティングの化学物質が開発されてきたが、これらの化学物質の多くが、バッキングとシリコーンベースの接着剤との間の接着を促進するのに、−Si−O−C−結合に依存している。このような−Si−O−C−共有結合は加水分解に不安定であるため、経年化の際に結合性能の不安定化をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示は一般に、例えば−Si−O−C−結合の代わりに炭素−炭素(−C−C−)結合を通じて、バッキングに対する接着剤(例えばシリコーンベースの接着剤)の接着促進を達成するための、プライマー層の化学物質に関する。本開示のプライマー化学物質はまた、環境に優しいプロセスを介して、すなわち、いかなる有機溶媒、触媒、又は開始剤(例えば、光開始剤)も用いずに、接着促進を提供することができる。
【0006】
本開示の一部の態様は、接着性物品を提供する。本物品は、第1主面、及び第1主面の反対側の第2主面を有するバッキングと、バッキングの第1主面上に配置されたプライマー層とを含み得る。プライマー層は、プライマー前駆物質から得られ得、これは、ポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含み得る。本接着性物品は、シリコーンベースの接着剤であって、例えばシリコーンベースの接着剤とバッキングとの間の接着力を強化するためにプライマー層がバッキングの第1主面と接着剤との間に配置されるように、バッキングの第1主面上のプライマー層上に配置された、シリコーンベースの接着剤を更に備えてもよい。
【0007】
本開示の一部の態様は、接着性物品の製造方法を提供する。本方法は、バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することを含んでもよく、このプライマー前駆物質はポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含む。本方法は、バッキング上のプライマー前駆物質を照射することと、バッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質上に接着剤を適用することとを更に含んでもよい。本方法は、接着剤及びバッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質を照射して、接着剤とバッキングの第1主面との間に配置されるプライマー層を形成することを更に含んでもよい。
【0008】
本開示の他の特色及び態様は、発明を実施するための形態及び添付の図面を考慮することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に従う接着性物品の概略側断面図である。
図2図1の接着性物品の拡大概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は一般に、例えば−Si−O−C−結合の代わりに炭素−炭素(−C−C−)結合を通じて、バッキングに対する接着剤(例えばシリコーンベースの接着剤)の接着促進を達成するための、プライマー層の化学的性質に関する。本開示のプライマー層は、接着剤及び結果として得られるプライマー層が、炭素−炭素結合を介して一緒に共有結合する(例えば、少なくとも部分的硬化の後)ように、ポリ(メタ)アクリレート官能基を含む1つ以上の化合物を含むプライマー前駆物質から得られ得る。一部の実施形態において、プライマー層は、ポリ(メタ)アクリレートシロキサン、非シロキサンポリ(メタ)アクリレート、又はこれらのブレンドを含むプライマー前駆物質から得られ得る。
【0011】
定義
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、「少なくとも1つの」と同義に使用され、記載される要素のうちの1つ以上を意味する。
【0012】
用語「及び/又は(and/or)」は、一方又は両方を意味する。例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの双方を意味する。
【0013】
用語「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形は、その後に列挙される品目及びそれらの均等物、並びに追加的な品目を包括することを意図する。
【0014】
別途特定又は限定されない限り、用語「連結された(coupled)」及びその変化形は、広く使用され、直接的連結及び間接的連結の両方を包括する。
【0015】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、ホモポリマーのような1種のモノマーから調製した物質、又は、コポリマー、ターポリマーなどのような、2種若しくはそれ以上のモノマーから調製した物質の両方を指す。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得るポリマー材料の製造プロセスを指す。用語「コポリマー」及び「共重合材料」とは、少なくとも2種類のモノマーから調製したポリマー材料を指す。
【0016】
用語「室温」及び「周囲温度」は交換可能に使用されて、20℃〜25℃の範囲内の温度を意味する。
【0017】
用語「多色UV放射」、「多色UV光」、「短波長多色UV放射」、及び「短波長多色UV光」、並びにこれらの変化形はすべて、400nm以下の発光波長を有する紫外線放射又は紫外光を指し、発光スペクトルは、少なくとも2つの強度ピークを含み、少なくとも1つの強度ピークは240ナノメートル(nm)以下で発生する。
【0018】
用語「強度ピーク」とは、発光波長の関数としての発光強度としてプロットした場合の、UV放射源における発光スペクトルの極大を指す。発光スペクトルは、発光スペクトルによって網羅される波長域に1つ以上の強度ピークを有し得る。したがって、強度ピークは、必ずしも発光スペクトルによって網羅される全波長域における最大発光強度ピークに対応しなくてもよい。
【0019】
用語「実質的に不活性な雰囲気」は、500ppm以下の酸素含有量を有する雰囲気を指す。
【0020】
用語「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリル官能性」又は「(メタ)アクリレート官能基」は、1つ以上のエチレン性不飽和アクリル及びメタクリル官能基、例えばAC(O)C(R)=CH(好ましくは式中、AはO、S、又はNRであり、Rは炭素を1〜4個有する低級アルキル基、H、又はFである)を含む材料を含む。
【0021】
用語「ポリ(メタ)アクリレート」は、3つ以上の(メタ)アクリレート官能基(すなわち、2つを超える(メタ)アクリレート官能基)を含む化合物を指すように使用される。
【0022】
用語「シロキサン」は、RSiOという形態の単位で構成される任意の化学物質を含み、式中、Rは水素原子又は炭化水素基である。
【0023】
語句「を実質的に含まない」は、特定の材料又は化合物を指す場合、その特定の材料又は化合物が組成物中に意図的に添加されていないか、あるいは「有効量」で存在しないことを意味する。十分に理解されているように、触媒又は開始剤の「有効量」は、触媒又は開始剤の種類、硬化性材料の組成、及び硬化方法を含む、様々な因子に左右される。一部の実施形態において、組成物は、ある材料又は化合物が、5重量%未満、一部の実施形態においては1重量%未満、一部の実施形態においては0.5重量%未満、一部の実施形態においては0.1重量%未満、一部の実施形態においては0.05重量%未満、及び一部の実施形態においては0.01重量%未満の量で組成物中に存在する場合、その材料又は化合物「を実質的に含まない」として記載され得る。
【0024】
接着性物品
図1及び2は、本開示の一実施形態に従う接着性物品10を図示する。図1に示されているように、一部の実施形態において、接着性物品10はロール形態で提供されてもよく、バッキング12、接着剤14、プライマー層16、及び場合により低接着性バックサイズ(low-adhesion backsize、LAB)コーティング18を含んでもよい。
【0025】
一部の実施形態において、本開示の接着性物品は、医療用物品として使用することができる。概して、「医療用物品」としては、限定されるものではないが、医療用テープ、外科用ドレープ、医療用被覆材(例えば、静脈被覆材、創傷被覆材など)、電極、オストミーパウチ、経皮的薬剤送達デバイス(例えば、パッチ)、救急用絆創膏、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
バッキング12は、第1主面20、及び第1主面20の反対側の第2主面22を含み得る。接着剤14は、バッキング12の第1主面20に連結しているように示されており、LABコーティング18は、バッキング12の第2主面22に連結しているように示されている。プライマー層16は、バッキング12の第1主面20上、バッキング12の第1主面20と接着剤14との間に配置されているように示されている。すなわち、プライマー層16は、接着剤14とバッキング12(すなわち、バッキング12の第1主面20)との間の接着力を強化又は促進するように位置付けられ得る。プライマー層16はまた、「接着性プライマー」、「接着性プライマー層」、「接着促進剤」、「接着促進剤層」、又はそれらの変化形と呼ばれ得る。
【0027】
図1に示されているように、接着性物品10がロール形態で提供される実施形態においては、LABコーティング18は、剥離ライナーの使用を伴わずに接着性物品10がそれ自体の上に直接巻き付けられ得るように、接着剤14に対して剥離特性を提供するように構成され得る。代替的に、あるいは追加的に、接着性物品10は、接着剤14に対して十分な剥離特性を提供する、接着剤14上の剥離ライナーを含み得る。
【0028】
図2は、剥離ライナーを伴わずにそれ自体の上に直接巻き付けられた接着性物品10の概略拡大図を例証しており、接着性物品10の第1の部分のLABコーティング18が、接着性物品10の第2の部分の同じ接着剤14’のための剥離層として働いていることを示している。したがって、示されるように、バッキング12の第1主面20に対する接着剤14の接着力は、プライマー層16によって促進され得、バッキングの第2主面22に対する接着剤14の接着力は、LABコーティング18によって制限又は低減され得る。
【0029】
結果として、接着剤14は、(i)バッキング12の第2表面22上のLABコーティング18における第1の接着強度と、(ii)バッキング12の第1主面20上のプライマー層16における第2の接着強度とを有し得る。プライマー層16は、第1の接着強度が第2の接着強度未満(すなわち、実質的にそれ未満)であるように、かつ接着剤14がバッキング12の第1主面20から不必要に剥離されないように構成され得る。
【0030】
上述のように、かつ下でより詳細に説明されるように、プライマー層16は、ポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含むプライマー前駆物質から得られ得る。一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、ポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンを含む1つ以上の化合物を含み得る。一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、ポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサンを含む1つ以上の化合物を含み得る。一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、ブレンド、又は1つ以上のポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサン及び1つ以上のポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサン(若しくは「非シロキサンポリ(メタ)アクリレート」)を含み得る。
【0031】
接着性物品の製造方法
本開示の接着性物品の製造方法は、バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することと、バッキング上のプライマー前駆物質を照射すること(すなわち、プライマー前駆物質を少なくとも部分的に硬化するため)と、バッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質上に接着剤を適用することと、接着剤及びバッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質を照射して、接着剤とバッキングの第1主面との間に配置されるプライマー層を形成することと、を含み得る。
【0032】
したがって、プライマー前駆物質はまず、プライマー前駆物質を少なくとも部分的に硬化するために照射される。この段階(すなわち、接着剤の適用の前)では、最終的プライマー層はまだ完全には硬化又は形成されていないことがあるため、この段階におけるプライマー前駆物質は、「照射されたプライマー前駆物質」と呼ばれる。接着剤が適用された後、接着剤は、この接着剤を硬化させるため、及び場合によりプライマー前駆物質を硬化させてプライマー層を形成するために照射される。したがって、一部の実施形態において、接着剤が照射されるまで、プライマー層は完全には形成されない(すなわち、硬化されない)場合がある。
【0033】
下でより詳細に説明されるように、プライマー前駆物質は、結果として得られるプライマー層と接着剤とが炭素−炭素結合を介して一緒に共有結合して、それにより、安定な(すなわち、−C−C−)結合を介して、接着剤とバッキングとの間の接着を促進するように、ポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含み得る。
【0034】
プライマー前駆物質及び接着剤の適用は、様々な手段で実現することができ、限定されるものではないが、様々なコーティング方法、例えばロールコーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、グラビアコーティング、バーコーティング、蒸着コーティング、ダイコーティング、他の好適なコーティング方法、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0035】
プライマー前駆物質及び/又は接着剤の照射は、様々な好適な放射による照射を含むことができ、限定されるものではないが、紫外線(UV)放射、電子ビーム(e−ビーム)放射、γ線放射、熱放射又はIR放射、他の好適な放射、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。
【0036】
一部の実施形態において、UV放射は、上に記載されたように、短波長多色UV放射を含み得る。多色UV放射にとって好適なプライマー前駆物質化学物質を採用する実施形態においては、開始ラジカル種を生成するためのあらゆる触媒又は開始剤の必要性が回避されることなどの、特定の利益が得られる。一部の実施形態において、照射は、実質的に不活性な雰囲気において行われ得る。一部の実施形態において、185nmの強化された短波長出力を有する低圧水銀アークランプ及び/又は水銀アマルガムランプが、短波長多色UV放射のソースとして機能し得る。
【0037】
一部の実施形態において、本開示の方法において有用な短波長多色紫外光源は、約160(+/−5)nm〜約240(+/−5)nm(両端の値を含む)の領域の出力を有するものである。前述のうちのいずれの一部の実施形態においても、ピーク強度は、約170(+/−5)nm、180(+/−5)nm、又は更には190(+/−5)nm〜約215(+/−5)nm、210(+/−5)nm、205(+/−5)nm、又は更には200(+/−5)nmの波長に存在する。一部の特定の例示的実施形態においては、ピーク強度は約185(+/−2)nmの波長に存在する。
【0038】
一部の実施形態において、短波長多色紫外光源は、少なくとも1つの低圧水銀蒸気ランプ、少なくとも1つの低圧水銀アマルガムランプ、少なくとも1つのパルスキセノンランプ、少なくとも1つのプラズマ発光源からのグロー放電、又はこれらの組み合わせを含む。
【0039】
短波長多色UV放射を用いること、及びそのための好適なソースに関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)において見ることができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
プライマー層及びプライマー前駆物質
上述されるように、プライマー層はプライマー前駆物質から得られ得る。プライマー前駆物質は、3つ以上の(メタ)アクリレート官能基(すなわち、ポリ(メタ)アクリレート官能性化合物)を含む化合物を含む、様々な材料で形成することができる。
【0041】
一部の実施形態において、ポリ(メタ)アクリレート官能性化合物は、3つ以上の(メタ)アクリレート官能基を有する(メタ)アクリレート官能性シロキサンを含んでもよく、このシロキサンは、モノマー、オリゴマー、ポリマー、又はこれらの組み合わせの形態であり得る。
【0042】
代替的に、あるいは追加的に、プライマー前駆物質は、ポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサン、すなわち3つ以上の(メタ)アクリレート官能基を有するモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを含み得る。例えば、一部の実施形態において、プライマー前駆物質はトリ−(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。
【0043】
一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、1つ以上のポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサン及び1つ以上のポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサンのブレンドを含み得る。一部の実施形態において、ブレンド中の、ポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンのポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサンに対する比(すなわち、重量/重量、w/w)は、少なくとも75:25、一部の実施形態においては少なくとも80:20、一部の実施形態においては少なくとも85:15、一部の実施形態においては少なくとも90:10、及び一部の実施形態においては少なくとも95:5であり得る。
【0044】
様々な(共)重合可能なポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンが、本開示に従うプライマー層の調製にとって有用な材料である。そのようなポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンは、概して、クロロ−、シラノール−、アミノアルキル−、エポキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、ビニル−、又は水素化ケイ素−官能性ポリシロキサンを、対応する(メタ)アクリレート官能性キャッピング剤と反応させることで、様々な方法によって調製することができる。これらの調製物は、A.F.Jacobine及びS.T.Nakosにより、Radiation Curing Science and Technology,(Plenum:New York,1992),pp.200−214の「光(共)重合可能なシリコーンモノマー、オリゴマー、及び樹脂(Photo(co)polymerizable Silicone Monomers,Oligomers,and Resins)」と題される章において概説されている。
【0045】
好適なポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンオリゴマーとしては、例えば、TEGO(商標)RCという名称でGoldschmidt Chemical Corporation(Evonik TEGO Chemie GmbH,Essen、ドイツ)から市販されているような、(メタ)アクリル修飾ポリシロキサン樹脂が挙げられる。バランスのとれた接着促進、及び接着剤との適合性を達成するために推奨されるブレンドの例は、TEGO RC902及びTEGO RC711の70:30(重量/重量、w/w)ブレンドである。
【0046】
一部の例示的実施形態において、プライマー前駆物質は、本質的に1つ以上の(共)重合可能な(メタ)アクリレート官能性シロキサンのみを含んでもよく、他の(共)重合可能な材料を実質的に含まない。したがって、前述のうちのいずれの更なる例示的実施形態においても、プライマー前駆物質は、本質的に1つ以上の(メタ)アクリレート官能性シロキサンモノマーを含み得る。そのような例示的実施形態においては、プライマー前駆物質は、1つ以上の(メタ)アクリレート官能性シロキサンオリゴマーから本質的になり得る。他のそのような例示的実施形態においては、プライマー前駆物質は、1つ以上の(メタ)アクリレート官能性ポリシロキサンから本質的になる。
【0047】
本開示のプライマー前駆物質において採用され得るポリ(メタ)アクリレート官能性シロキサンに関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)において記載されている。
【0048】
好適なポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサンとしては、限定されるものではないが、多官能性(メタ)アクリレート官能性フリーラジカル(共)重合性モノマーを含む、ポリ(メタ)アクリレート官能性モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを挙げることができ、アルキルジオール、トリオール、テトロールなどのエステル誘導体(例えば、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)を挙げることができる。米国特許第4,379,201号(Heilmannら)に記載されている多官能性(メタ)アクリレート及びメタクリレートモノマー、例えば1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどもまた、本開示において使用することができる。
【0049】
(メタ)アクリル化エポキシオリゴマー、(メタ)アクリル化脂肪族ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエーテルオリゴマー、及び(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマーを含む多官能性(メタ)アクリレート、例えば商品名EBECRYLでUCB Radcure Inc,Smyrna,GAから市販されているもの、及びSartomer,Exton,PAから入手可能なものなどもまた、採用することができる。
【0050】
本開示のプライマー前駆物質において採用され得る非シロキサンポリ(メタ)アクリレートに関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)及び米国特許第6,224,949号(Wrightら)において記載されており、この特許もまた参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、1つ以上の(共)重合可能な出発材料を更に含んでもよく、限定されるものではないが、(i)1つ以上の非(メタ)アクリレート官能性シロキサンモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマー(すなわち、他の非(メタ)アクリレート官能基を有するもの)、(ii)モノ−、ジ−、又はポリ−メタ(アクリレート)官能基を有する、(メタ)アクリレート官能性モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。様々な(共)重合可能な出発材料に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)において見ることができる。
【0052】
プライマー前駆物質において任意の(共)重合材料として使用するための、好適な非(メタ)アクリレート官能性シロキサンモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの例としては、限定されるものではないが、ビニル官能性ポリシロキサン、ヒドロキシル官能性ポリシロキサン、アミン官能性ポリシロキサン、ハイドライド官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。一部の実施形態において、非(メタ)アクリレート官能性ポリシロキサン材料は、プライマー前駆物質の0.1〜95重量%(両端の値を含む)を構成する。採用され得る非(メタ)アクリレート官能性シロキサンに関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)において見ることができる。
【0053】
(共)重合材料として採用され得るモノ−、ジ−、又はポリ−メタ(アクリレート)官能基を有する、(メタ)アクリレート官能性モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの例としては、ポリ(メタ)アクリレート官能性非シロキサンに関して上に記載されたもの、並びに米国特許出願公開第2013/0059105号(Wrightら)及び米国特許第6,224,949号(Wrightら)において記載されている、単官能性及び二官能性(メタ)アクリレート官能性モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーが挙げられる。
【0054】
上述されるように、一部の実施形態においては、プライマー前駆物質は有機溶媒を実質的に含まない可能性がある。加えて、一部の実施形態においては、プライマー前駆物質はいかなる触媒及び開始剤も実質的に含まなくてよい。
【0055】
一部の実施形態において、プライマー層の(又はプライマー前駆物質の)コーティング重量は、少なくとも0.04g/m、一部の実施形態においては少なくとも0.05g/m、一部の実施形態においては少なくとも0.1g/m、一部の実施形態においては少なくとも0.15g/m、一部の実施形態においては少なくとも0.2g/m、及び一部の実施形態においては少なくとも0.3g/mであり得る。一部の実施形態において、プライマー層の(又はプライマー前駆物質の)コーティング重量は、5g/m以下、一部の実施形態においては4g/m以下、一部の実施形態においては3g/m以下、一部の実施形態においては2g/m以下、一部の実施形態においては1.5g/m以下、一部の実施形態においては1g/m以下、及び一部の実施形態においては0.5g/m以下であり得る。
【0056】
一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、約0.1(+/−0.05)マイクロメートル(μm)〜約5(+/−0.1)μmの厚さで適用することができる。一部の実施形態において、プライマー前駆物質は、約0.4(+/−0.05)μm〜約1(+/−0.1)の厚さで適用することができる。
【0057】
接着剤
本開示の接着剤としては、感圧性接着剤を挙げることができ、特に、皮膚接触接着剤としての使用にとって好適な感圧性接着剤を挙げることができる。
【0058】
接着剤は、アクリレート、シリコーン、ウレタン、ヒドロゲル、親水コロイド、天然ゴム、又は合成ゴムであり得る。また、接着剤の組成、接着剤の厚さ、又は接着剤の表面積(例えば、パターンコーティングされた接着剤を採用することによって)における変更を通じて、接着力を調整することができる。
【0059】
「接着力」(又は「接着強度」)は、下地基材から接着剤を分離するために必要とされる力を指す。接着力は、いくつかの方式で測定することができる。例えば、接着力は、剥離力又は剪断力によって定義することができる。一部の実施形態において、接着力は、ASTM D3330/D3330M−04(2010)を用いて、剥離接着力によって定義することができる。一部の実施形態において、接着力は、ASTM D3654M−06(2011)を用いて、剪断接着力によって定義することができる。接着力は、接着される特定の基材、及び接着剤(例えば、感圧性接着剤)が基材上に留められる時間に高度に左右される。
【0060】
例えば、接着性物品中の感圧性接着剤によって呈される典型的な剥離接着力の値は、ステンレス鋼で測定した場合、20〜300g/cmの範囲にあり得る。
【0061】
一部の実施形態において、接着剤は、シリコーン(又は「シリコーンベースの」)接着剤若しくはアクリレート(又は「アクリレートベースの」)接着剤、合成ゴム(又は「合成ゴムベースの」)接着剤、又は組み合わせを含み得る。
【0062】
用語「アクリレート」又は「アクリレートベースの」又は「アクリレートを含有する」は、モノマー性の、アルコールのアクリルエステル又はメタクリルエステルを指す。本明細書においては、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーはまとめて、「アクリレート」モノマーと呼ばれる。「アクリレートベースの」又は「アクリレートを含有する」として記載される材料は、少なくともいくつかのアクリレートモノマーを含有するか、又はそれらから得られ、追加的なコモノマーを含有してもよい。
【0063】
用語「アクリル酸」又は「アクリル酸ベースの」又は「アクリル酸を含有する」は、アクリル酸を含むモノマーを指す。本明細書においては、アクリル酸モノマーはまとめて、「アクリル酸」モノマーと呼ばれる。「アクリル酸ベースの」又は「アクリル酸を含有する」として記載される材料は、少なくともいくつかのアクリル酸モノマーを含有するか、又はそれらから得られ、追加的なコモノマーを含有してもよい。このクラスの接着剤はまた、より広いクラスの酸性接着剤(すなわち、酸性の構成成分を含む接着剤)内に包含され、一部の実施形態においては、接着剤は、酸性接着剤、及び特にアクリル酸ベースの接着剤を含み得る。
【0064】
皮膚に適用することができる好適なアクリレート接着剤、例えばアクリレートコポリマーなどについては、米国再発行特許第24,906号に記載されており、この開示はここに参照によって組み込まれる。具体的には、97:3のイソオクチルアクリレート:アクリルアミドのコポリマーである。別のアクリレート接着剤は、米国特許第4,737,410号(実施例31)に記載されている、70:15:15のイソオクチルアクリレート:エチレンオキシドアクリレート:アクリル酸のターポリマーであり、この開示はここに参照によって組み込まれる。他の有用なアクリレート接着剤については、米国特許第3,389,827号、同第4,112,213号、同第4,310,509号、及び同第4,323,557号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
用語「シリコーン」又は「シリコーンベースの」又は「シリコーンを含有する」は、ジアルキル又はジアリールシロキサン(−SiRO−)反復単位を伴う単位を含有するポリマーを指す。シリコーンベースのポリマーは、炭化水素セグメントを実質的に含まない。用語シリコーン及びシロキサンは、交換可能に使用される。
【0066】
概して、シリコーン接着剤は、材料又は基材を皮膚に対して効果的に固定することができ、皮膚から取り外す際には皮膚に対して損傷をほとんど又はまったく与えない。
【0067】
好適なシリコーン接着剤としては、非官能化ポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)などを挙げることができる。好適なシリコーン接着剤はまた、上記の放射のうちのいずれかによって硬化するように構成された、シリコーン接着剤を含み得る。
【0068】
好適なシリコーン接着剤システムの例としては、限定されるものではないが、以下の商品名、Dow Corning MG 7−9850、Wacker SILPURAN(登録商標)2110及び2130、Bluestar SILBIONE(登録商標)RT Gel 4317及び4320、Nusil MED−6345及び6350で入手可能な製品を挙げることができる。好適なシリコーン接着剤の他の例については、PCT公開番号WO2010/056541、WO2010/056543、及びWO2010/056544において開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
用語「合成ゴム接着剤」又は「合成ゴムベースの接着剤」は、合成ゴムの群又は合成ゴムの任意の所望のブレンドで構成される接着剤を指し、ランダム、分岐状、若しくはブロック共重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(BlR)、ハロゲン化ブチルゴム(XBlR)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマー、及びポリウレタン、並びに/又はこれらのブレンドから、合成ゴム(複数可)を選択することが可能である。
【0070】
好適な合成ゴム接着剤システムの例としては、限定されるものではないが、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)及びスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)から製造された接着剤を挙げることができる。
【0071】
皮膚接触接着剤の場合、その接着剤が、ヒトの皮膚が水蒸気を透過させる速度以上の速度で水蒸気を透過させ得ることが望ましい。そのような特性は、適切な接着剤を選択することで達成できるが、米国特許第4,595,001号及び米国特許出願公開第2008/0233348号において記載されているように、接着剤に穴をあけたり、接着剤をパターンコーティングしたりするなどの、水蒸気透過の高い相対速度を達成する他の方法が使用されてもよいこともまた企図される。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態においては、接着剤の各々が、場合により、パターン化された様式で、又は不連続な様式で適用され得る。
【0072】
バッキング
本開示のバッキングは、単層及び複層構造を含んでもよく、ポリマー、エラストマー、金属、ガラス、セラミック、複合材料、又はこれらの組み合わせで形成され得る。有用なバッキングは、発泡体(例えば、高分子発泡体)、フィルム(例えば、高分子フィルム、金属フィルム又は金属箔)、布地(織布)、及び不織布の形態であり得る。
【0073】
一部の実施形態において、本開示のバッキングは、医療用物品における使用にとって特に好適な、すなわち適正な通気特性、光学特性、及び機械的特性を有する医療用バッキングを含み得る。
【0074】
潜在的に有用な高分子バッキング材料については、米国特許第5,516,581号(Kreckelら)及びPCT公開番号WO95/06691において開示されている。高分子発泡体層又は高分子フィルム層のための潜在的に有用な高分子バッキング材料の代表例としては、限定されるものではないが、ポリウレタン;ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET);ポリオレフィン、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、及び線形超低密度ポリエチレンを含むポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらの組み合わせ(例えば、ポリエチレンブレンド);ビニルコポリマー、例えばポリ塩化ビニル、可塑化及び無可塑の両方のポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、又はこれらの組み合わせ;ポリイミド;ポリアミド;ポリスチレン;酢酸セルロース;オレフィンコポリマー、例えばエチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、又はこれらの組み合わせ;アクリル系ポリマー及びコポリマー;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、及びポリウレタン/ポリエステルなどの任意の可塑性材料、又は可塑性かつエラストマー材料の混合物又はブレンドを使用することもできる。好適なフィルムとしてはまた、金属箔を挙げることもできる。
【0075】
発泡体は、適合性及び弾力性などのテープ特性を最適化するように選択され得、これらは接着性物品が表面凹凸を有する表面、例えば塗装された壁材に接着される場合に有用である。適合的かつ弾力的な高分子発泡体は、表面凹凸を有する表面に接着性物品を接着させる用途にとって良好に適している。これは、典型的な壁の表面の場合に当てはまる。バッキングにおける使用のための発泡体層は概して、約2〜約30ポンド/立方フィート(約32〜約481kg/m)の密度を有することになる。
【0076】
フィルムは、接着性物品の耐力強度(load bearing strength)及び破壊強度を向上させるために使用することができる。フィルムは、滑らかな表面を一緒に接着することを伴う用途に、特に良好に適している。フィルムバッキング又はその層は、約10マイクロメートル(0.4ミル)〜約254マイクロメートル(10ミル)の厚さを有し得る。フィルムは連続的であっても、有孔であってもよい。
【0077】
一部の実施形態において、バッキングは、エラストマーの材料で形成され得る。好適なエラストマーのバッキング材料としては、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリクロロプレン(すなわち、ネオプレン)、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シス−1,4−ポリイソプレン、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDMゴム)、シリコーンゴム、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーなどのシリコーンエラストマー、ポリウレタンゴム、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリレートゴム、熱可塑性ゴム(例えばスチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、並びに熱可塑性ポリオレフィンゴム材料が挙げられる。
【0078】
好適な不織布バッキングは、限定されるものではないが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、セルロース、ポリオレフィン、ガラス繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせを含む、様々な材料で形成することができる。
【0079】
好適な布地バッキングは、限定されるものではないが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、布、ウール、ガラス、セラミック、及びこれらの組み合わせを含む、様々な材料で形成することができる。
【0080】
低接着性バックサイズ(LAB)コーティング
図1及び2に関して上述されるように、接着剤14がバッキング12の第1主面20上にコーティングされる場合、接着性物品10がロールに巻き付けられている場合にはそれ自体から巻き戻ることができるようなテープの形態となるように、又はパッドの形態である場合には接着性物品10を剥離させるように、場合により、LABコーティング18をバッキング12の反対側の第2主面22上にコーティングすることができる。LABコーティング組成物は、活用される場合、接着剤組成物と適合性であるべきであり、例えば接着剤組成物へと移されることなどによって、テープの接着特性を劣化させるべきではない。
【0081】
LABコーティング組成物は、剥離付与構成成分として、シリコーン、アルキル、若しくはフルオロケミカル構成物、又はこれらの組み合わせを含み得る。有用なLABコーティング組成物としては、シリコーンを含有するポリマー、シリコーンマクロマー、例えば国際公開第2012091742号において記載されているものなど、並びにシリコーンポリウレタン、シリコーンポリウレア、及びシリコーンポリウレタン/ウレア、例えば米国特許第5,214,119号、同第5,290,615号、同第5,750,630号、及び同第5,356,706号において記載されているものなど、並びに米国特許第5,032,460号、同第5,202,190号、及び同第4,728,571号に記載されているシリコーンアクリレートグラフト化コポリマーが挙げられる。他の有用なLABコーティング組成物としては、フルオロケミカル含有ポリマー、例えば米国特許第3,318,852号において記載されているものなど、及び長鎖アルキル側鎖を含有するポリマー、例えば米国特許第2,532,011号において記載されているポリビニルN−アルキルカルバメート(例えば、ポリビニルN−オクタデシルカルバメート)など、及び高級アルキルアクリレート(例えば、オクタデシルアクリレート又はベヘニルアクリレート)を含有するコポリマー、例えば米国特許第2,607,711号において記載されているものなど、又はアルキルメタクリレート(例えば、ステアリルメタクリレート)、例えば米国特許第3,502,497号及び同第4,241,198号に記載されているものなど(ここでは、アルキル側鎖は約16〜22個の炭素原子を含む)が挙げられる。
【0082】
以下の実施形態は、本開示の例証であることを意図するものであり、限定するものではない。
実施形態
【0083】
1.第1主面、及び第1主面の反対側の第2主面を有するバッキングと、
バッキングの第1主面上に配置されたプライマー層であって、プライマー層がプライマー前駆物質から得られ、プライマー前駆物質がポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含む、プライマー層と、
シリコーンベースの接着剤であって、プライマー層がバッキングの第1主面と接着剤との間に配置されるように、バッキングの第1主面上のプライマー層上に配置された、シリコーンベースの接着剤と、を備える、接着性物品。
【0084】
2.プライマー層及びシリコーンベースの接着剤が、炭素−炭素結合を介して一緒に共有結合している、実施形態1に記載の接着性物品。
【0085】
3.バッキングの第2主面上に、低接着性バックサイズコーティングを更に備える、実施形態1又は2に記載の接着性物品。
【0086】
4.接着剤が、バッキングの第2主面上の低接着性バックサイズコーティングに対して第1の接着強度を有し、接着剤が、バッキングの第1主面上のプライマー層に対して第2の接着強度を有し、第1の接着強度が第2の接着強度未満である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の接着性物品。
【0087】
5.シリコーンベースの接着剤が非官能化ポリシロキサンを含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の接着性物品。
【0088】
6.シリコーンベースの接着剤がポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の接着性物品。
【0089】
7.シリコーンベースの接着剤が放射硬化される、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の接着性物品。
【0090】
8.シリコーンベースの接着剤が電子ビーム硬化される、実施形態7に記載の接着性物品。
【0091】
9.シリコーンベースの接着剤が紫外線放射硬化される、実施形態7に記載の接着性物品。
【0092】
10.プライマー層が、バッキングの第1主面上において少なくとも0.04g/mのコーティング重量を有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の接着性物品。
【0093】
11.接着性物品の製造方法であって、
バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することであり、プライマー前駆物質がポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含むことと、
バッキング上のプライマー前駆物質を照射することと、
バッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質上に接着剤を適用することと、
接着剤及びバッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質を照射して、接着剤とバッキングの第1主面との間に配置されるプライマー層を形成することと、を含む方法。
【0094】
12.接着剤及びバッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、プライマー層と接着剤との間に炭素−炭素共有結合を形成することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0095】
13.接着剤及びバッキングの第1主面上の照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、電子ビーム(e−ビーム)放射及び紫外線(UV)放射のうちの少なくとも1つで照射することを含む、実施形態11又は12に記載の方法。
【0096】
14.プライマー前駆物質を照射することが、短波長多色紫外線放射で照射することを含む、実施形態11〜13のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
15.バッキングの第2主面上に低接着性バックサイズコーティングをコーティングすることを更に含み、第2主面が、バッキングの第1主面の反対側にある、実施形態11〜14のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
16.接着剤がシリコーンベースの接着剤である、実施形態11〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
17.シリコーンベースの接着剤が非官能化ポリシロキサンを含む、実施形態16に記載の方法。
【0100】
18.シリコーンベースの接着剤がポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、実施形態16又は17に記載の方法。
【0101】
19.バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することが、プライマー前駆物質を少なくとも0.04g/mのコーティング重量まで適用することを含む、実施形態11〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
20.プライマー前駆物質がトリ−(メタ)アクリレートモノマーを含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜19のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
21.プライマー前駆物質がポリ(メタ)アクリレートシロキサンを含む、実施形態1〜10及び20のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜20のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
22.プライマー前駆物質が、ポリ(メタ)アクリレートモノマー及びポリ(メタ)アクリレートシロキサンのブレンドを含む、実施形態1〜10及び20〜21のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜21のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
23.プライマー前駆物質が有機溶媒を実質的に含まない、実施形態1〜10及び20〜22のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜22のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
24.プライマー前駆物質が触媒及び開始剤を実質的に含まない、実施形態1〜10及び20〜23のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜23のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
25.バッキングが、発泡体、フィルム、不織布、布地、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜10及び20〜24のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
26.フィルムが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリオレフィン、金属箔、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜10及び20〜25のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
27.不織布が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、セルロース、ポリオレフィン、ガラス繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜10及び20〜26のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
28.布地が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、布、ウール、ガラス、セラミック、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜10及び20〜27のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜27のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
29.バッキングがポリエチレンテレフタレートを含む、実施形態1〜10及び20〜28のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
30.バッキングがポリウレタンを含む、実施形態1〜10及び20〜29のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜29のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
31.バッキングがポリエチレンブレンドを含む、実施形態1〜10及び20〜30のいずれか1つに記載の接着性物品、又は実施形態11〜30のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
本発明は、その用途において、上の記載において示された、又は添付の図面において図示された構造の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明には、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行することができる。また、本明細書において使用される語句及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。他の実施形態が活用されてもよいこと、及び本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的変更が行われ得ることを更に理解されたい。
【0115】
以下の実施例は、本開示の例証であることを意図するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0116】
本発明の目的及び利点が以下の実施例によって更に示されるが、これらの実施例において列挙される特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきでない。別途指示のない限り、すべての部分及び割合は重量換算であり、すべての水は蒸留水であり、すべての分子量は重量平均分子量である。
【0117】
サンプルの調製に活用された原料を表1に示す。
【表1】
【0118】
試験方法
プライマーに対する接着力
プライマーコーティングされたバッキングの境界面に対する接着剤の接着強度を、以下の手順に従って試験した。
1)3M Polyester Tape 8403の4インチ×1インチ(10cm×2.5cm)の切片を、実施例のE1〜E10、又は比較例のC1〜C5のプライマーコーティングされた側に積層した。
2)積層物を、12インチ/分(30cm/分)の2kgローラーの2回のパスによってロールダウンして、5分間放置した。
3)8403テープを、180度で、12インチ/分(30cm/分)で取り外した。
4)I−MASS SP 2000 Slip/Peel試験機T−133を用いることで剥離力を得た。剥離力は、g/25.4mm単位で報告する。
【0119】
コーティング重量
コーティング重量は、Oxford LAB−X 3500で測定した。
【0120】
実施例
実施例1(E−1)は、5ロールコーターを用いて、PET−1バッキング上にRC711のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.042グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0121】
実施例2(E−2)は、5ロールコーターを用いて、PET−1バッキング上にRC711のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに2.1グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0122】
実施例3(E−3)は、5ロールコーターを用いて、PET−1バッキング上に95/5のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.15グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0123】
実施例4(E−4)は、5ロールコーターを用いて、PET−1バッキング上に90/10のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.15グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0124】
実施例5(E−5)は、5ロールコーターを用いて、PET−1バッキング上に85/15のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.15グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0125】
実施例6(E−6)は、5ロールコーターを用いて、PET−2バッキング上に70/30のRC902/RC711のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.097グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0126】
実施例7(E−7)は、5ロールコーターを用いて、PUバッキング上に95/5のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.15グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0127】
実施例8(E−8)は、5ロールコーターを用いて、PUバッキング上に95/5のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに3.8グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0128】
実施例9(E−9)は、5ロールコーターを用いて、PUバッキング上に95/5のRC711/SR444のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.25グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0129】
実施例10(E−10)は、5ロールコーターを用いて、PEバッキング上にRC711のプライマー前駆物質をコーティングすることで調製した。各ロール速度比は、バッキングに0.065グラム/平方メートル(gsm)のコーティングを送達するように調整した。次いで、185nmの発光バンドを標的とする、Heraeus−Noblelightより入手可能な低圧水銀アマルガムランプを用いて、9.6mj/cmのエネルギーレベルで、50ppm未満の酸素の雰囲気下でコーティングを紫外線照射した。
【0130】
比較例1(C−1)は、プライマー層を有しないPET−1バッキングであった。
【0131】
比較例2(C−2)は、プライマー層を有しないPET−2バッキングであった。
【0132】
比較例3(C−3)は、プライマー層を有しないPUバッキングであった。
【0133】
比較例4(C−4)は、プライマー層を有しないPEバッキングであった。
【0134】
結果
実施例E1〜E10及び比較例C1〜C4に関する、プライマーに対する接着力の試験の結果を表2に報告する。
【表2】
【0135】
上に記載され、図面において例証された実施形態は、単に例として提示されたものであり、本開示の概念及び原理に対する限定を意図するものではない。
【0136】
本明細書において引用されたすべての参考文献及び刊行物は、本開示に対して、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0137】
本開示の様々な特色及び態様は、以下の特許請求の範囲において示される。本発明の実施態様の一部を以下の[項目1]−[項目15]に記載する。
[項目1]
第1主面、及び前記第1主面の反対側の第2主面を有するバッキングと、
前記バッキングの前記第1主面上に配置されたプライマー層であって、前記プライマー層がプライマー前駆物質から得られ、前記プライマー前駆物質がポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含む、プライマー層と、
シリコーンベースの接着剤であって、前記プライマー層が前記バッキングの前記第1主面と前記接着剤との間に配置されるように、前記バッキングの前記第1主面上の前記プライマー層上に配置された、シリコーンベースの接着剤と、を備える、接着性物品。
[項目2]
前記プライマー層及び前記シリコーンベースの接着剤が、炭素−炭素結合を介して一緒に共有結合している、項目1に記載の接着性物品。
[項目3]
前記バッキングの前記第2主面上に、低接着性バックサイズコーティングを更に備える、項目1又は2に記載の接着性物品。
[項目4]
前記接着剤が、前記バッキングの前記第2主面上の前記低接着性バックサイズコーティングに対して第1の接着強度を有し、前記接着剤が、前記バッキングの前記第1主面上の前記プライマー層に対して第2の接着強度を有し、前記第1の接着強度が前記第2の接着強度未満である、項目1〜3のいずれか一項に記載の接着性物品。
[項目5]
接着性物品の製造方法であって、
バッキングの第1主面上にプライマー前駆物質を適用することであり、前記プライマー前駆物質がポリ(メタ)アクリレート官能基を含む化合物を含む、ことと、
前記バッキング上の前記プライマー前駆物質を照射することと、
前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質上に接着剤を適用することと、
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、前記接着剤と前記バッキングの前記第1主面との間に配置されるプライマー層を形成することと、を含む方法。
[項目6]
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、前記プライマー層と前記接着剤との間に炭素−炭素共有結合を形成することを含む、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記接着剤及び前記バッキングの前記第1主面上の前記照射されたプライマー前駆物質を照射して、プライマー層を形成することが、電子ビーム(e−ビーム)放射及び紫外線(UV)放射のうちの少なくとも1つで照射することを含む、項目5又は6に記載の方法。
[項目8]
前記プライマー前駆物質を照射することが、短波長多色紫外線放射で照射することを含む、項目5〜7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
前記バッキングの前記第1主面上に前記プライマー前駆物質を適用することが、前記プライマー前駆物質を少なくとも0.04g/mのコーティング重量まで適用することを含む、項目5〜8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
前記接着剤がシリコーンベースの接着剤である、項目5〜9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
前記シリコーンベースの接着剤が非官能化ポリシロキサンを含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の接着性物品、又は項目10に記載の方法。
[項目12]
前記プライマー前駆物質が、トリ−(メタ)アクリレートモノマー及びポリ(メタ)アクリレートシロキサンのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜5及び11のいずれか一項に記載の接着性物品、又は項目5〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項目13]
前記プライマー前駆物質が有機溶媒を実質的に含まない、項目1〜5及び11〜12のいずれか一項に記載の接着性物品、又は項目5〜12のいずれか一項に記載の方法。
[項目14]
前記プライマー前駆物質が触媒及び開始剤を実質的に含まない、項目1〜5及び11〜13のいずれか一項に記載の接着性物品、又は項目5〜13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
前記バッキングが、ポリエチレンテレフタレート及びポリウレタンのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜5及び11〜14のいずれか一項に記載の接着性物品、又は項目5〜14のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2