(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部デバイスとの無線通信を介して受信されるプログラムに従って、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置であって、
患者の体内に埋め込まれるように構成される生体適合性材料を含む、外面を有する、密封筐体と、
前記筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を備える、送受信機と、
前記筐体内に配置され、前記第1の導線および前記第2の導線に結合される、通信アンテナ回路であって、前記アンテナ回路は、第1の電気回路を形成する第1の経路と、第2の電気回路を形成する第2の経路とを有し、前記第1の電気回路は、前記第2の電気回路と並列であり、前記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、前記第2の経路は、
第2のコンデンサと、
高周波放射要素と、
抵抗器と
を備え、前記第2のコンデンサ、前記抵抗器、および前記高周波放射要素は、直列に配列される、通信アンテナ回路と
を備える、埋込可能神経刺激装置。
前記伝導性ループは、前記PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を備え、前記銅配線は、前記筐体が使用のために埋め込まれるときに、最大電場が前記患者の体表面と実質的に垂直であるように、前記共通面内に最大強度を伴うドーナツ形状を有する電場双極子を生成するように構成される、請求項3に記載の埋込可能神経刺激装置。
前記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、前記第2のループは、前記第1のループ内に位置する、請求項3および4のいずれかに記載の埋込可能神経刺激装置。
前記アンテナ回路は、Q値によって規定され、前記アンテナ回路が前記患者体内に埋め込まれ、前記外部デバイスと通信するときに、前記アンテナ回路の帯域幅が共振周波数の患者埋込関連変動性を包含するように、前記抵抗器は、前記アンテナ回路の前記Q値を減少させるように構成される、請求項1〜6のいずれかに記載の埋込可能神経刺激装置。
前記筐体は、前記埋込可能神経刺激装置と前記外部デバイスとの間の無線通信のための効率的な高周波透過窓を提供するよう、少なくともセラミックケース部分を備え、前記外部デバイスは、臨床医用プログラム装置、患者遠隔装置、または充電デバイスを備える、請求項1〜7のいずれかに記載の埋込可能神経刺激装置。
前記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、前記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、請求項15〜17のいずれかに記載の埋込可能神経刺激装置。
前記固定共振周波数は、前記埋込可能神経刺激装置が1つまたはそれを上回る無線通信を受信するように構成される、伝送周波数に対応する、請求項19〜21のいずれかに記載の埋込可能神経刺激装置。
前記伝導性ループは、前記PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を備え、前記銅配線は、前記筐体が使用のために埋め込まれるときに、最大電場が前記患者の体表面と実質的に垂直であるように、前記共通面内に最大強度を伴うドーナツ形状を有する電場双極子を生成するように構成される、請求項32に記載の神経刺激システム。
前記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、前記第2のループは、前記第1のループ内に位置する、請求項32または33のいずれかに記載の神経刺激システム。
前記第2のアンテナ回路は、固定固有共振周波数を有し、前記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、前記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、請求項30〜34のいずれかに記載の神経刺激システム。
前記第2のアンテナ回路は、Q値によって規定され、前記第1のアンテナ回路が前記患者身体に埋め込まれ、前記第2のアンテナ回路と通信するときに、前記第2のアンテナ回路の帯域幅が共振周波数の患者埋込関連変動性を包含するように、前記抵抗器は、前記第2のアンテナ回路の前記Q値を減少させるように構成される、請求項30〜35のいずれかに記載の神経刺激システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、送受信機と、アンテナ回路とを含む、通信モジュールに関する。アンテナ回路は、アンテナ回路が患者の体内に埋め込まれていないときの第1の共振周波数と、アンテナ回路が患者の体内に埋め込まれるときの第2の共振周波数と、帯域幅とを有することができる。アンテナ回路の帯域幅は、伝送システムの共振周波数に課される変動性にもかかわらず、アンテナ回路が生体内にあるときに、伝送周波数が半電力点を上回ってアンテナ回路において受信されるために十分であり得る。第1の共振周波数から第2の共振周波数への偏移が、患者の埋込および/または組織特性に基づいて患者によって変動するため、アンテナ回路のそのような帯域幅は、具体的患者内の具体的埋込のためのアンテナ回路のカスタム同調を伴わずに、埋め込まれたデバイスと外部デバイスとの間の効果的な通信を可能にする。
【0008】
本開示の一側面は、外部デバイスとの無線通信を介して受信されるプログラムに従って、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置に関する。埋込可能神経刺激装置は、患者の体内に埋め込まれ得る生体適合性材料を含む、外面を有する、密封筐体と、筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を含む、送受信機と、筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線に結合される、通信アンテナ回路であって、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有する、アンテナ回路とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の経路は、第1のコンデンサを含み、第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを含み、第2のコンデンサ、抵抗器、および放射要素は、直列に配列される。
【0009】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を含み、いくつかの実施形態では、放射要素は、PCBの複数の伝導性ループを含むことができ、その複数の伝導性ループは、PCBの共通面に沿って、および/または共通面内に位置することができる。いくつかの実施形態では、伝導性ループは、PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を含むことができ、その銅配線は、共通面内に最大強度を伴うドーナツパターンを有する、電場双極子を生成することができ、その最大電場は、筐体が埋め込まれるときに患者の体表面と実質的に垂直である。いくつかの実施形態では、複数のループは、第1のループと、第2のループとを含み、第2のループは、第1のループ内に位置することができる。
【0010】
埋込可能神経刺激装置のいくつかの実施形態では、アンテナ回路は、固定固有共振周波数を有し、第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、Q値によって規定され、抵抗器は、アンテナ回路のQ値を減少させるように構成される。いくつかの実施形態では、筐体は、埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間の無線通信のための効率的な高周波透過窓を提供するよう、少なくともセラミックケース部分を含み、外部デバイスは、臨床医用プログラム装置、患者遠隔装置、または充電デバイスを含むことができる。
【0011】
本開示の一側面は、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置に関する。埋込可能神経刺激装置は、患者の体内に埋め込まれ得る外面を有する、密封かつ少なくとも部分的にセラミックの筐体と、筐体内に配置され、外部デバイスと無線で通信することができる、Q値によって規定されるアンテナ回路と、筐体内に配置され、アンテナ回路に結合される、送受信機とを含む。いくつかの実施形態では、アンテナ回路のQ値は、アンテナ回路に含まれる第1の抵抗器によって標的周波数に限定される、または減少させられる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の抵抗器は、アンテナ回路の帯域幅を増加させる。いくつかの実施形態では、標的周波数は、350〜450Hzであり、いくつかの実施形態では、標的周波数は、約403Hzである。いくつかの実施形態では、第2の抵抗器は、アンテナ回路の帯域幅が5Hz〜30Hzであるように選択され、そのような帯域幅は、多くの場合、10Hzまたはさらに15Hzを上回り、いくつかの実施形態では、アンテナ回路の帯域幅は、約16Hzである。
【0013】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、第2のコンデンサ、放射要素、および第1の抵抗器と並列に配列される、第1のコンデンサを含む。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を含み、放射要素は、PCBの基板の表面上に複数の伝導性ループを含み、複数の伝導性ループは、PCB上の共通面内に位置する。いくつかの実施形態では、複数のループは、第1のループと、第2のループとを含み、その第2のループは、第1のループ内に位置する。いくつかの実施形態では、第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する。
【0014】
本開示の一側面は、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置に関する。埋込可能神経刺激装置は、患者の体内に埋め込まれ得る外面を有する、少なくとも部分的にセラミックの筐体と、セラミック筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を有する、高周波送受信機と、セラミック筐体内に配置され、外部デバイスと無線で通信するように構成される、アンテナ回路であって、第1の導線および第2の導線に結合され、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有する、アンテナ回路とを含む。いくつかの実施形態では、第1の経路は、第1のコンデンサを含み、第2の経路は、共振同調(RLC)回路を含む。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、固定共振周波数を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を含み、いくつかの実施形態では、放射要素は、PCB上に形成される複数の伝導性ループを含み、その複数のループは、第1のループと、第2のループとを含み、その第2のループは、第1のループ内に位置する。いくつかの実施形態では、固定共振周波数は、埋込可能神経刺激装置が1つまたはそれを上回る無線通信を受信することができる、伝送周波数に対応する。
【0016】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、帯域幅を有し、アンテナ回路のその帯域幅は、患者の体内に埋め込まれたときに、伝送周波数を受信するアンテナ回路の有効性がアンテナの半電力点を下回らないように、同調される。
【0017】
本開示の一側面は、埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間のデータの無線通信の方法に関する。本方法は、患者の体内に神経刺激装置を埋め込むステップを含み、その埋込可能神経刺激装置は、密封筐体と、筐体内に配置される送受信機であって、第1の導線および第2の導線を含み得る、送受信機と、筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線に結合可能である、アンテナ回路とを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有することができ、その第1の経路は、第1のコンデンサを含むことができ、その第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のコンデンサ、抵抗器、および放射要素は、直列に配列され、アンテナ回路は、共振周波数を有する。いくつかの実施形態では、本方法は、埋込可能神経刺激装置において、外部デバイスから無線で伝送されるデータを受信するステップを含むことができ、そのデータは、伝送周波数において伝送され、患者の体内の標的領域への1つまたはそれを上回る電気パルスの送達を制御することができる。
【0018】
本方法のいくつかの実施形態では、患者の体内に神経刺激装置を埋め込むステップは、神経刺激装置が埋め込まれる、患者の身体の組織の1つまたはそれを上回る特性に基づいて、アンテナ回路の有効共振周波数を生成する。いくつかの実施形態では、患者の身体の組織の1つまたはそれを上回る特性は、密度、水和レベル、抵抗、インダクタンス、もしくは組織型のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、有効共振周波数および伝送周波数の両方を包含する、帯域幅を有するように同調されることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を含むことができ、いくつかの実施形態では、放射要素は、PCB上に形成される複数の伝導性ループであり得る。いくつかの実施形態では、複数のループは、第1のループと、第2のループとを含み、その第2のループは、第1のループ内に位置することができる。
【0020】
本開示の一側面は、患者の体内および外部デバイスからの無線データ通信のための埋込可能神経刺激装置用の通信モジュールを製造する方法に関する。本方法は、送受信機を選択するステップと、送受信機をアンテナ回路に接続するステップとを含む。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、患者の体内に埋め込まれていないときの第1の共振周波数と、患者の体内に埋め込まれたときの第2の共振周波数とを有することができる。いくつかの実施形態では、第2の共振周波数は、患者の1つまたはそれを上回る組織特性(組織のタイプ、組織厚さ等)、インプラント特性(場所、深度等)、および/または同等物に基づいて、患者によって変動する。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有することができ、第1の経路は、第1のコンデンサを含み、第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを含む。いくつかの実施形態では、抵抗器は、アンテナが患者の体内に埋め込まれるときに、帯域幅が伝送周波数を含むように、アンテナ回路の帯域幅を増加させる。
【0021】
いくつかの実施形態では、帯域幅は、5Hz〜30Hzであり、いくつかの実施形態では、帯域幅は、約16Hzである。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、印刷回路基板を含む。いくつかの実施形態では、放射要素は、印刷回路基板上に印刷される複数のループを含み、その複数のループは、第1のループと、第1のループ内に位置付けられる第2のループとを含む。いくつかの実施形態では、第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する。
【0022】
本開示の一側面は、埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間のデータの無線通信の方法に関する。本方法は、患者の体内に神経刺激装置を埋め込むステップを含み、神経刺激装置は、筐体内に配置されるアンテナ回路を含み、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有する。いくつかの実施形態では、第1の経路は、第1のコンデンサを含むことができ、第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを含むことができ、その第2のコンデンサ、抵抗器、および放射要素は、埋込に先立って、アンテナ回路が第1の共振周波数を有するように、直列に配列される。いくつかの実施形態では、アンテナ回路および外部デバイスはともに、埋込後に第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数を有し、第2の共振周波数は、患者間共振周波数変動性を包含する、埋込共振周波数範囲内である。いくつかの実施形態では、本方法は、外部デバイスと埋込可能神経刺激装置との間でデータを無線で伝送するステップを含むことができ、そのデータは、第2の共振周波数に対応する伝送周波数において伝送される。いくつかの実施形態では、第2の抵抗器は、埋込共振周波数範囲の全体を通してアンテナ回路の半電力点を上回る無線データ伝送を維持するために十分である。
【0023】
本開示の一側面は、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための神経刺激システムに関する。神経刺激システムは、神経刺激装置と、充電器とを含む。神経刺激装置は、外面を有する、密封筐体を含むことができる。筐体は、患者の体内に埋込可能であり得、セラミック伝送領域を含むことができる。神経刺激装置は、セラミック領域を通して外部デバイスと無線で通信するように位置付けられる、第1のアンテナ回路と、筐体内に配置され、第1のアンテナ回路に結合される、送受信機とを含むことができる。充電器は、第1の経路と、第1の経路と平行な第2の経路とを有する、第2のアンテナ回路を含むことができる。第1の経路は、第1のコンデンサを含むことができ、第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のコンデンサ、抵抗器、および放射要素は、直列に配列される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のアンテナ回路および第2のアンテナ回路の両方は、印刷回路基板(PCB)を備える。いくつかの実施形態では、第1の放射要素または第2の放射要素のうちの少なくとも1つは、PCB上に複数の伝導性ループを含み、その複数の伝導性ループは、PCBの共通面に沿って位置する。いくつかの実施形態では、伝導性ループは、PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を含む。いくつかの実施形態では、銅配線は、筐体が使用のために埋め込まれるときに、最大電場が患者の体表面と実質的に垂直であるように、共通面内に最大強度を伴うドーナツパターンを有する、電場双極子を生成するようにレイアウトされることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数のループは、第1のループと、第2のループとを含み、その第2のループは、第1のループ内に位置する。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、固定固有共振周波数を有し、第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する。いくつかの実施形態では、アンテナ回路は、Q値によって規定され、アンテナ回路が患者身体に埋め込まれ、外部デバイスと通信するときに、アンテナ回路の帯域幅が共振周波数の患者埋込関連変動性を包含するように、抵抗器は、アンテナ回路のQ値を減少させるように選択される。
【0026】
本開示の適用可能性のさらなる分野は、本明細書の以降で提供される発明を実施するための形態から明白となるであろう。発明を実施するための形態および具体的実施例は、種々の実施形態を示すが、例証目的のみで意図され、必ずしも本開示の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
例えば、本明細書は、以下を提供する。
(項目1)
外部デバイスとの無線通信を介して受信されるプログラムに従って、1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置であって、
患者の体内に埋め込まれるように構成される生体適合性材料を含む、外面を有する、密封筐体と、
上記筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を備える、送受信機と、
上記筐体内に配置され、上記第1の導線および上記第2の導線に結合される、通信アンテナ回路であって、上記アンテナ回路は、第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有し、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、
第2のコンデンサと、
放射要素と、
抵抗器であって、上記第2のコンデンサ、上記抵抗器、および上記放射要素は、直列に配列される、抵抗器と、
を備える、通信アンテナ回路と、
を備える、埋込可能神経刺激装置。
(項目2)
上記アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を備える、項目1に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目3)
上記放射要素は、上記PCB上に複数の伝導性ループを備え、上記複数の伝導性ループは、上記PCBの共通面に沿って位置する、項目2に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目4)
上記伝導性ループは、上記PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を備え、上記銅配線は、上記筐体が使用のために埋め込まれるときに、最大電場が上記患者の体表面と実質的に垂直であるように、上記共通面内に最大強度を伴うドーナツパターンを有する、電場双極子を生成するように構成される、項目3に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目5)
上記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、上記第2のループは、上記第1のループ内に位置する、項目4に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目6)
上記アンテナ回路は、固定固有共振周波数を有し、上記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、上記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、項目5に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目7)
上記アンテナ回路は、Q値によって規定され、上記アンテナ回路が上記患者体内に埋め込まれ、上記外部デバイスと通信するときに、上記アンテナ回路の帯域幅が共振周波数の患者埋込関連変動性を包含するように、上記抵抗器は、上記アンテナ回路の上記Q値を減少させるように構成される、項目6に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目8)
上記筐体は、上記埋込可能神経刺激装置と上記外部デバイスとの間の無線通信のための効率的な高周波透過窓を提供するよう、少なくともセラミックケース部分を備え、上記外部デバイスは、臨床医用プログラム装置、患者遠隔装置、または充電デバイスを備える、項目1に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目9)
1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置であって、
患者の体内に埋め込まれるように構成される外面を有する、密封筐体であって、セラミック伝送領域を備える、筐体と、
上記筐体内に配置され、セラミック領域を通して外部デバイスと無線で通信するように構成される、Q値によって規定されるアンテナ回路と、
上記筐体内に配置され、上記アンテナ回路に結合される、送受信機であって、上記アンテナ回路の上記Q値は、上記アンテナ回路に含まれる第1の抵抗器によって、標的周波数に限定される、送受信機と、
を備える、埋込可能神経刺激装置。
(項目10)
上記第1の抵抗器は、上記アンテナ回路の帯域幅を増加させる、項目9に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目11)
上記標的周波数は、350〜450Hzである、項目10に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目12)
上記標的周波数は、約403Hzである、項目11に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目13)
上記アンテナ回路の上記帯域幅は、5Hz〜30Hzである、項目11に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目14)
上記アンテナ回路の上記帯域幅は、約16Hzである、項目13に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目15)
上記アンテナ回路は、第2のコンデンサ、放射要素、および上記第1の抵抗器と直列に配列される、第1のコンデンサを備える、項目14に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目16)
上記アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を備え、上記放射要素は、上記PCB上に複数の伝導性ループを備え、上記複数の伝導性ループは、上記PCBの共通面内に位置する、項目15に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目17)
上記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、上記第2のループは、上記第1のループ内に位置する、項目16に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目18)
上記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、上記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、項目17に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目19)
1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための埋込可能神経刺激装置であって、
患者の体内に埋め込まれるように構成される外面を有する、少なくとも部分的にセラミックの筐体と、
上記セラミック筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を備える、高周波送受信機と、
上記セラミック筐体内に配置され、外部デバイスと無線で通信するように構成される、アンテナ回路であって、上記アンテナ回路は、上記第1の導線および上記第2の導線に結合され、第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有し、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、共振同調(RLC)回路を備え、上記アンテナ回路は、固定共振周波数を有する、アンテナ回路と、
を備える、埋込可能神経刺激装置。
(項目20)
上記アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を備える、項目19に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目21)
上記放射要素は、上記PCB上に形成される複数の伝導性ループを備え、上記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、上記第2のループは、上記第1のループ内に位置する、項目20に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目22)
上記固定共振周波数は、上記埋込可能神経刺激装置が1つまたはそれを上回る無線通信を受信するように構成される、伝送周波数に対応する、項目21に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目23)
上記アンテナ回路は、帯域幅を有し、上記アンテナ回路の上記帯域幅は、上記患者の体内に埋め込まれたときに、上記伝送周波数を受信する上記アンテナ回路の有効性が上記アンテナの半電力点を下回らないように、同調される、項目22に記載の埋込可能神経刺激装置。
(項目24)
埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間のデータの無線通信の方法であって、
患者の体内に上記神経刺激装置を埋め込むステップであって、埋込可能神経刺激装置は、
密封筐体と、
上記筐体内に配置され、第1の導線および第2の導線を備える、送受信機と、
上記筐体内に配置され、上記第1の導線および上記第2の導線に結合可能である、アンテナ回路であって、上記アンテナ回路は、第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有し、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、
第2のコンデンサと、
放射要素と、
抵抗器であって、上記第2のコンデンサ、上記抵抗器、および上記放射要素は、直列に配列され、上記アンテナ回路は、共振周波数を有する、抵抗器と、
を備える、アンテナ回路と、
を備える、ステップと、
上記埋込可能神経刺激装置において、上記外部デバイスから無線で伝送されるデータを受信するステップであって、上記データは、伝送周波数において伝送され、上記患者の体内の標的領域への1つまたはそれを上回る電気パルスの送達を制御するように構成される、ステップと、
を含む、方法。
(項目25)
上記患者の体内に上記神経刺激装置を埋め込むステップは、上記神経刺激装置が埋め込まれる、上記患者の身体の組織に応答して、上記アンテナ回路の有効共振周波数であって、上記共振周波数と異なる有効共振周波数を生成する、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記患者の身体の組織の上記1つまたはそれを上回る特性は、密度、水和レベル、抵抗、インダクタンス、もしくは組織型のうちの少なくとも1つを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
上記アンテナ回路は、上記有効共振周波数および上記伝送周波数の両方を包含する、帯域幅を有するように同調される、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記アンテナ回路は、印刷回路基板(PCB)を備える、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記放射要素は、上記PCB上に形成される複数の伝導性ループを備える、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、上記第2のループは、上記第1のループ内に位置する、項目29に記載の方法。
(項目31)
患者の体内および外部デバイスからの無線データ通信のための埋込可能神経刺激装置用の通信モジュールを製造する方法であって、
送受信機を選択するステップと、
上記送受信機をアンテナ回路に接続するステップであって、上記アンテナ回路は、患者の体内に埋め込まれていないときの第1の共振周波数と、患者の体内に埋め込まれたときの第2の共振周波数とを有し、上記第2の共振周波数は、患者によって変動し、上記アンテナ回路は、第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有し、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、
第2のコンデンサと、
放射要素と、
抵抗器であって、上記抵抗器は、上記アンテナが上記患者の体内に埋め込まれるときに、帯域幅が所望の伝送周波数を含むように、上記アンテナ回路の帯域幅を提供し、上記所望の伝送周波数は、上記第2の共振周波数に対応する、抵抗器と、
を備える、ステップと、
を含む、方法。
(項目32)
上記帯域幅は、5Hz〜30Hzである、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記帯域幅は、約16Hzである、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記アンテナ回路は、印刷回路基板を備える、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記放射要素は、上記印刷回路基板上に印刷される複数のループを備え、上記複数のループは、第1のループと、上記第1のループ内に位置付けられる第2のループとを備える、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、上記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間のデータの無線通信の方法であって、
患者の体内に上記神経刺激装置を埋め込むステップであって、上記神経刺激装置は、筐体内に配置されるアンテナ回路を備え、第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有し、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、第2のコンデンサと、放射要素と、抵抗器とを備え、上記第2のコンデンサ、上記抵抗器、および上記放射要素は、埋込に先立って、上記アンテナ回路が第1の共振周波数を有するように、直列に配列され、上記アンテナ回路および上記外部デバイスはともに、埋込後に上記第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数を有し、上記第2の共振周波数は、患者間共振周波数変動性を包含する、埋込共振周波数範囲内である、ステップと、
上記外部デバイスと上記埋込可能神経刺激装置との間でデータを無線で伝送するステップであって、上記データは、上記第2の共振周波数に対応する伝送周波数において伝送され、上記第2の抵抗器は、上記埋込共振周波数範囲の全体を通して上記アンテナ回路の半電力点を上回る上記無線データ伝送を維持するために十分である、ステップと、
を含む、方法。
(項目38)
1つまたはそれを上回る電気パルスを患者の体内の標的領域に送達するための神経刺激システムであって、
神経刺激装置であって、
患者の体内に埋め込まれるように構成される外面を有する、密封筐体であって、セラミック伝送領域を備える、筐体と、
上記セラミック領域を通して外部デバイスと無線で通信するように位置付けられる、第1のアンテナ回路と、
上記筐体内に配置され、上記第1のアンテナ回路に結合される、送受信機と、
を備える、神経刺激装置と、
第1の経路と、上記第1の経路と平行な第2の経路とを有する、第2のアンテナ回路を備える、充電器であって、上記第1の経路は、第1のコンデンサを備え、上記第2の経路は、
第2のコンデンサと、
放射要素と、
抵抗器であって、上記第2のコンデンサ、上記抵抗器、および上記放射要素は、直列に配列される、抵抗器と、
を備える、充電器と、
を備える、神経刺激システム。
(項目39)
上記第1のアンテナ回路および上記第2のアンテナ回路の両方は、印刷回路基板(PCB)を備える、項目38に記載の神経刺激システム。
(項目40)
上記放射要素は、上記PCB上に複数の伝導性ループを備え、上記複数の伝導性ループは、上記PCBの共通面に沿って位置する、項目39に記載の神経刺激システム。
(項目41)
上記伝導性ループは、上記PCBの基板表面上に組み込まれる銅配線を備え、上記銅配線は、上記筐体が使用のために埋め込まれるときに、最大電場が上記患者の体表面と実質的に垂直であるように、上記共通面内に最大強度を伴うドーナツパターンを有する、電場双極子を生成するように構成される、項目40に記載の神経刺激システム。
(項目42)
上記複数のループは、第1のループと、第2のループとを備え、上記第2のループは、上記第1のループ内に位置する、項目41に記載の神経刺激システム。
(項目43)
上記第2のアンテナ回路は、固定固有共振周波数を有し、上記第1のコンデンサは、第1の固定静電容量を有し、上記第2のコンデンサは、第2の固定静電容量を有する、項目42に記載の神経刺激システム。
(項目44)
上記第2のアンテナ回路は、Q値によって規定され、上記第1のアンテナ回路が上記患者身体に埋め込まれ、上記第2のアンテナ回路と通信するときに、上記第2のアンテナ回路の帯域幅が共振周波数の患者埋込関連変動性を包含するように、上記抵抗器は、上記第2のアンテナ回路の上記Q値を減少させるように構成される、項目43に記載の神経刺激システム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、神経刺激治療システムおよび関連デバイス、ならびにそのような治療システムの治療、埋込/留置、および構成の方法に関する。1つの特定の実施形態では、本発明は、過活動膀胱(「OAB」)を治療し、膀胱関連機能不全の症状を緩和するように構成される、仙骨神経刺激治療システムに関する。しかしながら、本発明はまた、当業者によって理解されるであろうように、排便機能不全等の任意の種々の神経調節用途、運動または情動障害等の疼痛もしくは他の適応症の治療にも利用され得ることが理解されるであろう。
I.神経刺激適応症
【0029】
本明細書に説明されるもののうちのいずれか等の神経刺激(または以降で同義的に使用され得るような神経調節)治療システムは、急性疼痛障害、運動障害、情動障害、ならびに膀胱関連機能不全等の種々の病気および関連症状を治療するために使用されることができる。神経刺激によって治療され得る、疼痛障害の実施例は、脊椎手術後疼痛症候群、反射性交感神経性ジストロフィまたは複合性局所疼痛症候群、灼熱痛、クモ膜炎、および末梢神経障害を含む。運動障害は、筋麻痺、振戦、ジストニア、およびパーキンソン病を含む。情動障害は、うつ病、強迫性障害、群発頭痛、トゥレット障害、およびあるタイプの慢性疼痛を含む。膀胱関連機能不全は、OAB、切迫尿失禁、切迫頻尿、および尿閉を含むが、それらに限定されない。OABは、単独で、または組み合わせて、切迫尿失禁および切迫頻尿を含むことができる。切迫尿失禁は、突然の強い尿意(切迫性)と関連付けられる失禁である。切迫頻尿は、多くの場合、非常に少量の排尿をもたらす(頻尿)、頻繁で多くの場合は制御不能な尿意切迫感(切迫性)である。尿閉は、膀胱を空にすることができない状態である。神経刺激治療は、その状態もしくは関連症状と関連付けられる感覚および/または運動制御に関する標的神経組織の神経刺激を達成することによって、特定の状態に対処するように構成されることができる。
【0030】
側面では、本明細書に説明される方法およびシステムは、特に、排尿ならびに排便機能不全の治療に適している。これらの状態は、歴史的には、医学界による認識が不足しており、有意な評価を受けていない。OABは、最も一般的な排尿機能不全のうちの1つである。これは、切迫頻尿、夜間頻尿、および切迫尿失禁を含む、煩わしい排尿症状の存在によって特徴付けられる、複合的状態である。約3,300万人の米国人が、OABに悩まされていると推定される。成人人口のうち、全男性の約30%および全女性の40%が、OAB症状を抱えて生きている。
【0031】
OAB症状は、患者の心理社会的機能および生活の質に有意な悪影響を及ぼし得る。OABを患う人々は、多くの場合、活動を制限し、および/または対処方略を立てている。さらに、OABは、個人、その家族、および医療機関に有意な財政的負担を課している。共存症状態の有病率もまた、OABを患う患者では、一般人口より有意に高い。共存症は、転倒および骨折、尿路感染症、皮膚感染症、外陰腟炎、心血管疾患、ならびに中枢神経系病理を含み得る。慢性便秘、便失禁、および重複慢性便秘が、OABを患う患者では、より頻繁に起こる。
【0032】
OABの従来の治療は、概して、第1の対策過程として、生活習慣の修正を含む。生活習慣の修正は、食事からの膀胱刺激物(カフェイン等)の排除、流体摂取量の管理、減量、禁煙、および排泄の規則性の管理を含む。挙動修正は、排尿習慣の変更(膀胱訓練および排尿遅延等)、尿道括約筋の強度および制御を向上させるための骨盤底筋の訓練、切迫感抑制のためのバイオフィードバックおよび技法を含む。薬剤は、OABのための第2段階治療と見なされる。これらは、抗コリン作用薬剤(経口、経皮パッチ、およびゲル)ならびに経口ベータ−3アドレナリン作動薬を含む。しかしながら、抗コリン作用薬は、頻繁に、口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気、および錯乱を含む、煩わしい全身性副作用と関連付けられる。研究は、50%を上回る患者が、利点の欠如、有害事象、または費用に起因して、90日以内に抗コリン作用薬の使用を停止することを見出している。
【0033】
これらのアプローチが失敗すると、米国泌尿器科学会によって提案される第3段階治療選択肢は、ボツリヌス毒素(BoNT−A)の排尿筋内(膀胱平滑筋)注射、経皮的脛骨神経刺激(PTNS)、および仙骨神経刺激(SNM)を含む。BoNT−A(Botox(登録商標))は、膀胱鏡誘導下で一連の排尿筋内注射を介して投与されるが、Botoxの反復注射が、概して、効果を維持するために4〜12ヶ月毎に要求され、Botoxは、望ましくないことに、尿閉をもたらし得る。いくつかの無作為化対照研究は、OAB患者におけるBoNT−Aのある程度の有効性を示しているが、OABに対するBoNT−Aの長期安全性および有効性は、大部分が未知である。
【0034】
典型的には、上記のアプローチが無効であることが判明するときに考慮される、代替的治療方法は、泌尿器系に関する神経の神経刺激である。そのような神経刺激方法は、PTNSおよびSNMを含む。PTNS療法は、12週間の周期にわたる毎週30分のセッションから成り、各セッションは、ハンドヘルド刺激装置から脛骨神経を介して仙骨神経叢に送達される、電気刺激を使用する。良好に応答し、治療を継続する患者に関して、典型的には、3〜4週間毎の継続的セッションが、症状軽減を維持するために必要とされる。患者が治療スケジュールに準拠することができない場合、有効性が低下する潜在性がある。PTNSの有効性は、いくつかの無作為化対照研究において実証されているが、PTNSの長期安全性および有効性は、現時点では比較的未知である。
II.仙骨神経調節
【0035】
SNMは、切迫尿失禁、切迫頻尿、および非閉塞性尿閉の管理のための安全、効果的、可逆的、かつ長期継続的な治療選択肢を提供する、確立された療法である。SNM療法は、下背に位置する仙骨神経を刺激するために、弱電気パルスの使用を伴う。電極は、電極導線を仙骨の対応する孔の中に挿入することによって、仙骨神経に隣接して、通常、S3レベルに留置される。電極は、皮下に挿入され、後に、本明細書では「埋込可能神経刺激装置」または「神経刺激装置」とも称される、埋込可能パルス発生器(IPG)に取り付けられる。切迫尿失禁および切迫頻尿の両方の患者のために、5年の耐久性を含む、OABの治療のためのSNMの安全性ならびに有効性が、複数の研究によって支持され、十分に証明されている。SNMはまた、より保守的治療に失敗した、またはその候補ではない患者における慢性便失禁を治療するためにも承認されている。
A.仙骨神経調節システムの埋込
【0036】
現在、SNMの資格として、試験段階を設けており、成功した場合、恒久的埋込が続く。試験段階は、療法が効果的であるかどうかを評価することを患者が許可される、試験刺激周期である。典型的には、試験刺激を行うために利用される、2つの技法がある。第1は、経皮的神経評価(PNE)と称される通院ベースの手技であって、他方は、段階的試験である。
【0037】
PNEでは、孔針が、典型的には、最初に、通常はS3レベルにおける、最適刺激場所を識別し、仙骨神経の完全性を評価するために使用される。運動および感覚反応が、以下の表1に説明されるように、正しい針留置を検証するために使用される。一時的刺激導線(単極電極)が、次いで、局所麻酔下で仙骨神経の近傍に留置される。本手技は、蛍光透視法を伴わずに、診療室環境で行われることができる。一時的導線は、次いで、試験段階中に患者の皮膚上にテープで貼付された外部パルス発生器(EPG)に接続される。刺激レベルは、特定の患者のための最適快適性レベルを提供するために調節されることができる。患者は、任意の症状改善があるかどうかを確認するように、3〜7日間、その排尿を監視するであろう。PNEの利点としては、これは、局所麻酔を使用して医師の診療室で行われることができる、無切開手技であるということである。不利点は、一時的導線が、定位置にしっかりと係留されず、物理的活動とともに神経から離れ、それによって、療法の失敗を生じさせる傾向を有することである。患者が本予備試験に失敗する場合、医師は、以下に説明されるような段階的試験を依然として推奨し得る。PNE試験が陽性である場合、一時的試験的導線が、除去され、恒久的四極尖叉付き導線が、全身麻酔下でIPGとともに埋め込まれる。
【0038】
段階的試験は、最初から、患者の中に恒久的四極尖叉付き刺激導線の埋込を伴う。これはまた、神経および最適刺激場所を識別するための孔針の使用も要求する。導線は、S3仙骨神経近傍に埋め込まれ、導線延在部を介して、EPGに接続される。本手技は、手術室内で、蛍光透視誘導下で局所または全身麻酔下で行われる。EPGは、患者のための最適快適性レベルを提供するように調節され、患者は、最大2週間の間、その排尿を監視する。患者が有意義な症状改善を得る場合、
図1および3Aに示されるように、典型的には臀部上方領域内の全身麻酔下でのIPGの恒久的埋込のための適切な候補と見なされる。
【0040】
排尿機能不全のSNM治療のための転帰の測定に関して、排尿機能不全適応症(例えば、切迫尿失禁、切迫頻尿、および非閉塞性尿閉)が、一意の一次排尿日誌変数によって評価される。療法転帰は、これらの同一変数を使用して測定される。SNM療法は、最小50%改善が、ベースラインと比較して、一次排尿日誌変数のうちのいずれかで生じる場合に、成功と見なされる。切迫尿失禁患者に関して、これらの排尿日誌変数は、1日あたりの漏れエピソードの回数、1日あたりの大量の漏れエピソードの回数、および1日あたりの使用されるパッドの枚数を含んでもよい。切迫頻尿を患う患者に関して、一次排尿日誌変数は、1日あたりの排尿回数、排尿あたりの排尿体積、および各排尿前に経験される尿意切迫度を含んでもよい。尿閉を患う患者に関して、一次排尿日誌変数は、導尿あたりの導尿体積および1日あたりの導尿の回数を含んでもよい。
【0041】
SNMの作用機序は、多因子性であって、いくつかの異なるレベルで神経軸に影響を及ぼす。OABを患う患者では、陰部求心性神経は、異常排尿反射の求心脚を阻止することによって膀胱蓄尿を助長する、抑制反射を活性化することができると考えられる。これは、橋排尿中枢への入力を遮断し、それによって、正常排尿パターンに干渉せずに、不随意の排尿筋収縮を制限する。尿閉を患う患者に関して、SNMは、骨盤臓器から始まり脊髄の中に延びる陰部神経求心性神経を活性化すると考えられる。脊髄レベルで、これらの求心性神経は、過度の防御反射を抑制し、したがって、尿閉を患う患者の症状を緩和することによって、排尿反射を引き起こし得るため、正常排尿が、促進され得る。便失禁を患う患者では、SNMは、結腸推進活動を阻止し、内肛門括約筋を活性化する、陰部求心性体性線維を刺激し、ひいては、便失禁患者の症状を改善すると仮定される。本発明は、OABまたは膀胱関連機能不全の治療において治療効果を提供するよう、標的神経組織の神経活動を妨害、阻止、または防止する様式で、神経刺激を標的神経組織に送達するように適合されるシステムに関する。一側面では、本システムは、送達された神経刺激によって、OABまたは膀胱関連機能不全と関連付けられる筋肉の運動制御を誘発することなく、神経刺激による治療効果を提供するように適合される。別の側面では、本システムは、感覚異常および/または神経筋応答を誘発する閾値を下回る、閾値下神経刺激の送達による、そのような治療効果を提供するように、もしくは閾値下レベルで療法を送達するために神経刺激の調節を可能にするように適合される。
B.EMGとともに神経刺激導線を位置付ける
【0042】
従来のアプローチは、膀胱関連機能不全の治療において有効性を示しているが、神経刺激導線の位置付けおよび導線の試験的位置と恒久的埋込位置との間の一貫性を向上させる必要が存在する。神経刺激は、1つまたはそれを上回る神経刺激電極を介して、パルス発生器から特定の神経もしくは標的領域に治療用刺激を一貫して送達することに依拠する。神経刺激電極は、患者組織内に形成されるトンネルを通して前進させられることができる、埋込可能導線の遠位端上に提供される。埋込可能神経刺激システムは、患者に大幅な自由度および移動性を提供するが、外科的に埋め込まれる前に、そのようなシステムの神経刺激電極を調節することがより容易であり得る。医師は、IPGを埋め込む前に、患者が所望の運動および/または感覚反応を有することを確認することが望ましい。少なくともいくつかの治療(少なくともいくつかの形態の排尿および/または排便機能不全の治療を含む)に関して、適切な運動反応の実証は、感覚反応が要求されない、または利用不可能であり得る(例えば、患者が全身麻酔下にある)間に、正確かつ客観的な導線留置のために高度に有益であり得る。
【0043】
具体的神経に十分に近接した神経刺激電極および埋込可能導線の留置ならびに較正は、治療の有効性のために有益であり得る。故に、本開示の側面および実施形態は、神経刺激電極留置の正確度ならびに精度を補助して精緻化することを対象とする。さらに、本開示の側面および実施形態は、埋込式神経刺激電極を通して実装される刺激プログラムの治療用治療信号パラメータを設定するためのプロトコルを補助して精緻化することを対象とする。
【0044】
恒久的デバイスの埋込に先立って、患者は、治療に対する潜在的反応を推定するために、初期試験段階を受けてもよい。上記で議論されるように、PNEは、患者による主観的感覚反応に従って適切な仙骨神経を識別するために試験針を使用して、局所麻酔下で行われてもよい。他の試験手技は、四極尖叉付き導線が、患者が症状頻度の十分な減少を示すかどうかを判定する試験段階のために埋め込まれ、適切である場合、神経調節デバイスの恒久的な外科的埋込に進む、2段階外科的手技を伴うことができる。試験段階および恒久的埋込に関して、導線留置の場所の判定は、患者または医師の一方もしくは両方による主観的定質的分析に依存し得る。
【0045】
例示的実施形態では、埋込可能導線および神経刺激電極が所望のまたは正しい場所に位置するかどうかの判定は、表面筋電図検査としても公知である、筋電図検査(「EMG」)の使用を通して達成されることができる。EMGは、筋電図と呼ばれる記録を生成する、筋肉によって生成される電気活動を評価および記録するために、EMGシステムまたはモジュールを使用する技法である。EMGは、筋肉細胞が電気的または神経学的に活性化されるときにそれらの細胞によって発生される電位を検出する。信号は、活性化レベルまたは動員順序を検出するために分析されることができる。EMGは、患者の皮膚表面を通して、筋肉内で、または標的筋肉の近傍で患者内に配置される電極を通して、もしくは外部および内部構造の組み合わせを使用して行われることができる。筋肉または神経が、電極によって刺激されるとき、EMGは、関連筋肉が刺激に反応して活性化されるかどうか(すなわち、筋肉が完全に収縮する、部分的に収縮する、または収縮しないかどうか)を判定するために使用されることができる。故に、筋肉の活性化の程度は、埋込可能導線または神経刺激電極が患者上の所望のもしくは正しい場所に位置するかどうかを示すことができる。さらに、筋肉の活性化の程度は、神経刺激電極が、患者における治療計画に影響を及ぼすために十分な強度、振幅、周波数、または持続時間の刺激を提供しているかどうかを示すことができる。したがって、EMGの使用は、埋込可能導線および神経刺激電極の留置を標準化し、患者感覚反応の主観的査定を低減させる、客観的かつ定量的な手段を提供する。
【0046】
いくつかのアプローチでは、位置調整手技は、随意に、部分的に、患者からの感覚異常または疼痛ベースの主観的反応に基づいてもよい。対照的に、EMGは、測定可能な離散筋肉反応を誘起する。治療の有効性が、多くの場合、標的組織場所における神経刺激電極の精密な留置および神経刺激療法の一貫した反復可能送達に依拠するため、客観的EMG測定の使用は、SNM治療の有用性および成功を実質的に向上させることができる。測定可能筋肉反応は、標的筋肉の刺激に応じて、表1に示されるもの等の観察可能運動反応の誘起を下回る反応を含む、部分的または完全筋肉収縮であり得る。加えて、神経刺激導線が恒久的埋込式システムで使用するために埋め込まれたままであることを可能にする、試験的システムを利用することによって、恒久的埋込式システムの有効性および転帰は、試験的周期の結果とより一致し、また、向上した患者転帰につながる。
C.例示的実施形態
【0047】
図1は、本発明の側面による、試験的神経刺激システム200および恒久的埋込式神経刺激システム100の両方を含む、例示的神経刺激システムを概略的に図示する。EPG80およびIPG10はそれぞれ、試験的神経刺激システム200および/または試験成功後に恒久的埋込式システム100を位置付けるならびに/もしくはプログラムする際に使用される、臨床医用プログラム装置(CP)60および患者遠隔装置70と互換性があり、無線で通信する。上記で議論されるように、臨床医用プログラム装置は、導線留置、プログラミング、再プログラミング、刺激制御、および/またはパラメータ設定に役立つように、特殊ソフトウェア、特殊ハードウェア、ならびに/もしくは両方を含むことができる。加えて、IPGおよびEPGはそれぞれ、患者が、患者遠隔装置を用いて、刺激の少なくとも一部を制御し(例えば、事前に設定されたプログラムを開始する、刺激を増加または減少させる)、および/またはバッテリステータスを監視することを可能にする。本アプローチはまた、試験的システムと恒久的システムとの間のほぼシームレスな遷移も可能にする。
【0048】
一側面では、臨床医用プログラム装置60は、導線が患者内に埋め込まれている間に、EPGおよび/またはIPGの設定を調節するために、医師によって使用される。臨床医用プログラム装置は、IPGをプログラムするため、または試験的周期の間にEPGを制御するために、臨床医によって使用される、タブレットコンピュータであり得る。臨床医用プログラム装置はまた、導線留置およびプログラミングを促進するように、刺激誘発筋電図を記録する能力を含むこともできる。患者遠隔装置70は、患者が、刺激をオンもしくはオフにする、または埋め込まれている間にIPGから、もしくは試験段階中にEPGからの刺激を変動させることを可能にすることができる。
【0049】
別の側面では、臨床医用プログラム装置60は、治療システムを展開し、治療パラメータを設定する際に医師によって使用するための方法およびシステムを実装するためのマイクロプロセッサならびに特殊コンピュータコード命令を含むことができる、制御ユニットを有する。臨床医用プログラム装置は、概して、グラフィカルユーザインターフェースであり得るユーザインターフェースと、EMGモジュールと、EMG出力刺激ケーブルに結合することができるEMG入力等の電気接点と、EMG刺激信号発生器と、刺激電源とを含む。刺激ケーブルはさらに、アクセスデバイス(例えば、孔針)、システムの治療導線、または同等物のうちのいずれかもしくは全てに結合するように構成されることができる。EMG入力は、筋肉(例えば、標的神経によって衰弱されている筋肉)に隣接する患者の皮膚への取付のために、1つまたはそれを上回る感覚パッチ電極と結合されるように構成されてもよい。臨床医用プログラム装置の他のコネクタは、電気接地もしくは接地パッチ、電気パルス発生器(例えば、EPGまたはIPG)、または同等物と結合するために構成されてもよい。上記のように、臨床医用プログラム装置は、EMG分析を実行するためのハードウェアおよびコンピュータコードを伴うモジュールを含むことができ、モジュールは、制御ユニットマイクロプロセッサの構成要素、刺激および/または感覚ケーブルに結合される、もしくはそれとインラインの前処理ユニット、または同等物であり得る。
【0050】
いくつかの側面では、臨床医用プログラム装置は、導線を患者の体内に留置するときに、EPGと組み合わせて動作するように構成される。臨床医用プログラム装置は、特殊ケーブルセットを通して、試験シミュレーション中にEPGに電子的に結合されることができる。試験シミュレーションケーブルセットは、臨床医用プログラム装置デバイスをEPGに接続し、臨床医用プログラム装置が、EPGに接続される導線上の電極を構成、修正、または別様にプログラムすることを可能にすることができる。
【0051】
EPGおよびIPGによって発生される電気パルスは、1つまたはそれを上回る導線のそれぞれの遠位端もしくはその近傍における1つまたはそれを上回る神経刺激電極を介して、1つまたはそれを上回る標的神経に送達される。導線は、種々の形状を有することができ、種々のサイズであり得、かつ種々の材料から作製されることができ、そのサイズ、形状、および材料は、具体的治療用途に合わせられることができる。本実施形態では、導線は、IPGから仙骨の孔のうちの1つを通って標的仙骨神経まで延在するために適切なサイズおよび長さであるが、種々の他の用途では、導線は、例えば、腕または脚等の患者の身体の末梢部分内に埋め込まれてもよく、慢性疼痛を緩和するために使用され得るような電気パルスを末梢神経に送達するように構成されることができる。導線および/または刺激プログラムは、標的にされている神経に従って変動し得ることを理解されたい。
【0052】
図2A−2Cは、本発明の側面による、神経刺激治療で使用され得る、患者の種々の神経構造の略図を示す。
図2Aは、脊髄の異なる区分と、各区分内の対応する神経とを示す。脊髄は、長くて細い神経の束であり、頸髄に沿って脳幹から、胸髄を通って腰髄内の第1の腰椎と第2の腰椎との間の空間まで延在する、細胞を支持する。脊髄からの退出に応じて、神経線維は、感覚のインパルスを伝送する種々の筋肉および器官を支配し、脳と器官および筋肉との間で制御する、複数の枝に分裂する。ある神経は、膀胱等のある器官を支配する枝、ならびに脚および足のある筋肉を支配する枝を含み得るため、脊髄近傍の神経根におけるまたはその近傍における神経の刺激は、標的器官を支配する神経枝を刺激することができ、これはまた、他の神経枝の刺激と関連付けられる筋肉反応をもたらし得る。したがって、視覚的に、本明細書に説明されるようなEMGの使用を通して、または両方のいずれかにおいて、表1の中のもの等のある筋肉反応を監視することによって、医師は、標的神経が刺激されているかどうかを判定することができる。ある閾値における刺激は、記述された筋肉反応を誘起し得るが、閾値下レベルでの刺激は、対応する筋肉反応を引き起こすことなく、いくつかの実施形態では、いかなる感覚異常も引き起こすことなく、依然として刺激を標的器官と関連付けられる神経に提供し得る。これは、患者不快感、疼痛、または望ましくない筋肉反応を別様に引き起こすことなく、神経刺激による状態の治療を可能にするため有利である。
【0053】
図2Bは、神経束が脊髄から退出し、仙骨の仙骨孔を通って進行する、下部腰髄領域内の下背区分と関連付けられる神経を示す。いくつかの実施形態では、神経刺激導線は、神経刺激電極が前方仙骨神経根に位置付けられるまで、孔を通して前進させられる一方で、刺激電極の近位の導線の係留部分は、導線を定位置に係留するように、概して、導線が通過する仙骨孔の背側に配置される。
図2Cは、腰仙骨神経幹および仙骨神経叢の神経、特に、下部仙骨のS1−S5神経の詳細図を示す。S3仙骨神経は、膀胱関連機能不全、特に、OABの治療のために特に着目される。
【0054】
図3Aは、仙骨神経刺激のために適合される完全埋込式神経刺激システム100の実施例を概略的に図示する。神経刺激システム100は、下背領域内に埋め込まれ、S3仙骨神経の刺激のためにS3孔を通して延在する神経刺激導線に接続される、IPGを含む。導線は、種々の膀胱関連機能不全のための療法を提供するように、本実施例では、膀胱を衰弱させる前方仙骨神経根S3である、標的神経に沿って神経刺激電極40のセットの位置を維持する、尖叉付きアンカ部分30によって係留される。本実施形態は、仙骨神経刺激のために適合されるが、類似システムは、例えば、末梢神経から生じる慢性、重症性、難治性神経障害性疼痛、または種々の排尿機能不全、もしくはなおもさらなる他の適応症を患う患者を治療する際に使用されることができることを理解されたい。埋込可能神経刺激システムは、標的末梢神経または脊椎の後方硬膜外腔のいずれかを刺激するために使用されることができる。
【0055】
電気パルスの特性は、埋込式パルス発生器のコントローラを介して制御されることができる。いくつかの実施形態では、これらの特性は、例えば、電気パルスの周波数、強度、パターン、持続時間、または他の側面を含むことができる。これらの特性は、例えば、電圧、電流、または同等物を含むことができる。電気パルスの本制御は、1つまたはそれを上回る電気パルスプログラム、計画、もしくはパターンの作成を含むことができ、いくつかの実施形態では、これは、1つまたはそれを上回る既存の電気パルスプログラム、計画、もしくはパターンの選択を含むことができる。
図3Aに描写される実施形態では、埋込可能神経刺激システム100は、上記で議論されるように、事前にプログラムまたは作成され得る、1つまたはそれを上回るパルスプログラム、計画、もしくはパターンを有する、コントローラをIPGに含む。いくつかの実施形態では、IPGと関連付けられるこれらの同一特性は、恒久的神経刺激システム100の埋込前に使用される部分的埋込式試験的システムのEPGで使用されてもよい。
【0056】
図3Bは、患者の皮膚、特に、患者の腹部に接着されるEPGパッチ81を利用する、試験的神経刺激システム200の概略図を示し、EPG80は、パッチ内に封入される。一側面では、導線が、EPGに有線接続される一方で、別の側面では、導線は、可撓性パッチ81の上面内のポートまたは開口を通してEPGに可撤性に結合される。過剰導線は、付加的接着パッチによって固着されることができる。一側面では、EPGパッチは、導線が、切断され、導線の遠位端を標的場所から除去することなく、恒久的埋込式システムで使用され得るように、使い捨てである。代替として、システム全体が、使い捨てであり得、恒久的導線およびIPGと交換されることができる。試験的システムの導線が埋め込まれるとき、1つまたはそれを上回るセンサパッチを使用して、臨床医用プログラム装置を介して得られたEMGは、以前に議論されたように、導線が標的神経もしくは筋肉に近接する場所に留置されることを確実にするために使用されることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、試験的神経刺激システムは、患者の皮膚に接着され、コネクタ21を通して導線20と結合される、導線延在部22を通して埋込式神経刺激導線20に結合される、EPGパッチ81内のEPG80を利用する。本延在部およびコネクタ構造は、EPGパッチが、腹部上に留置され得、試験が成功したと証明される場合、恒久的埋込のために適切な長さを有する導線の使用を可能にするように、導線が延在されることを可能にする。本アプローチは、2つの経皮的切開を利用してもよく、コネクタは、第1の切開内に提供され、導線延在部は、第2の経皮的切開を通して延在し、それらの間に短いトンネル距離(例えば、約10cm)がある。本技法はまた、試験的システムから恒久的埋込式システムへの変換中の埋込式導線の移動を最小限にし得る。
【0058】
一側面では、EPGユニットは、恒久的埋込式システムのIPGと類似もしくは同一の様式で、患者遠隔装置および/または臨床医用プログラム装置によって無線で制御される。医師または患者は、そのようなポータブル遠隔またはプログラム装置の使用を通してEPGによって提供される治療を改変してもよく、送達される治療は、恒久的埋込式システムで使用するために適切な治療を判定する際に使用するために、プログラム装置のメモリ上に記録される。臨床医用プログラム装置は、試験的ならびに恒久的神経刺激システムのそれぞれにおける導線留置、プログラミング、および/または刺激制御で使用されることができる。加えて、各神経刺激システムは、患者が、患者遠隔装置を用いて、刺激を制御する、またはバッテリステータスを監視することを可能にする。本構成は、試験的システムと恒久的システムとの間のほぼシームレスな遷移を可能にするため有利である。患者の視点から、本システムは、試験的システムを使用する際の患者の主観的経験が、恒久的埋込式システムを使用する際に経験されるであろうものにより密接に合致するように、同様に動作し、同様に制御されるであろう。したがって、本構成は、患者が試験的システムを恒久的システムに変換する可能性がより高くなるであろうように、どのようにして本システムが動作し、制御されるであろうかに関して、患者が有し得るいかなる不確実性も低減させる。
【0059】
図3Bの詳細図に示されるように、EPG80は、それを通してEPG80が導線延在部22に接続される、開口またはポートを含む、可撓性ラミネート加工パッチ81内に封入される。パッチはさらに、患者が接着パッチ81の外面を通してEPGをオンおよび/またはオフにすることを可能にするように、成形された触知性の細部を伴う「オン/オフ」ボタン83を有してもよい。パッチ81の下面は、試験周期の持続時間の間の患者への連続接着のために、皮膚適合性接着剤82で被覆される。例えば、皮膚適合性接着剤82を有する通気性細片は、EPG80が、1週間、典型的には、2週間〜4週間、またはさらにより長い期間にわたって持続し得る、試験中に、継続的に患者に取り付けられたままであることを可能にするであろう。
【0060】
図4は、完全に埋込可能であり、仙骨神経刺激治療のために適合される、例示的神経刺激システム100を図示する。埋込可能システム100は、神経刺激電極40の群を導線の遠位端に含む神経刺激導線20に結合される、IPG10を含む。導線は、導線を係留し、埋込後に神経刺激導線20の位置を維持するように、半径方向外向きに延在する一連の尖叉を伴う、導線アンカ部分30を含む。導線20はさらに、蛍光透視法等の視覚化技法を使用して、導線の場所を特定して位置付けることに役立つように、1つまたはそれを上回る放射線不透過性マーカ25を含んでもよい。いくつかの実施形態では、IPGは、1つまたはそれを上回る神経刺激電極、典型的には、4つの電極を通して、標的神経に送達される、単極もしくは双極電気パルスを提供する。仙骨神経刺激では、導線は、本明細書に説明されるように、典型的には、S3孔を通して埋め込まれる。
【0061】
一側面では、IPGは、充電中に患者移動性を可能にするように、再充電可能バッテリによって給電されるポータブルデバイスである、充電デバイス50(CD)の使用によって、伝導性結合を通して無線で再充電可能である。CDは、RF誘導を通してIPGの経皮的充電のために使用される。CDは、接着剤を使用して患者の皮膚にパッチ留めされることができるか、またはベルト53を使用して、もしくは接着パッチ52によって、定位置で保持されることができるかのいずれかである。CDは、CDをコンセントに直接差し込むことによって、またはAC壁コンセントもしくは他の電源に接続する充電ドックまたはステーション51の中にCDを配置することによってのいずれかにおいて、充電されてもよい。
【0062】
本システムはさらに、それぞれ、埋込式IPGと、または試験中にEPGと無線で通信するように構成される、患者遠隔装置70と、臨床医用プログラム装置60とを含んでもよい。臨床医用プログラム装置60は、IPGおよびEPGをプログラムするために臨床医によって使用される、タブレットコンピュータであってもよい。本デバイスはまた、導線留置、プログラミング、および/または再プログラミングを促進するように、刺激誘発筋電図(EMG)を記録する能力も有する。患者遠隔装置は、EPGおよびIPGと通信するために高周波(RF)信号を利用し、患者が、刺激レベルを調節し、IPGバッテリレベルのステータスをチェックし、および/または刺激をオンもしくはオフにすることを可能にする、バッテリ動作式ポータブルデバイスであってもよい。
【0063】
図5A−5Cは、IPGおよびその内部構成要素の詳細図を示す。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、疼痛を制御する、またはある他の所望の効果を生じさせるように、例えば、OABまたは膀胱関連機能不全の治療のために、神経活動を阻止、防止、もしくは妨害するために、神経に送達される、1つまたはそれを上回る非切除性電気パルスを発生させることができる。いくつかの用途では、パルスは、0mA〜1,000mA、0mA〜100mA、0mA〜50mA、0mA〜25mAの範囲内のパルス振幅を有し、および/または任意の他のもしくは中間範囲の振幅が、使用されてもよい。パルス発生器のうちの1つまたはそれを上回るものは、命令を埋込可能神経刺激システムの他の構成要素に提供し、そこから情報を受信するように適合される、プロセッサおよび/またはメモリを含むことができる。プロセッサは、Intel(登録商標)またはAdvanced MicroDevices, Inc.(登録商標)からの市販のマイクロプロセッサもしくは同等物等のマイクロプロセッサを含むことができる。IPGは、1つまたはそれを上回るコンデンサ等のエネルギー貯蔵特徴を含んでもよく、典型的には、無線充電ユニットを含む。
【0064】
電気パルスの1つまたはそれを上回る特性は、IPGもしくはEPGのコントローラを介して制御されることができる。いくつかの実施形態では、これらの特性は、例えば、電気パルスの周波数、強度、パターン、持続時間、またはタイミングおよび規模の他の側面を含むことができる。これらの特性はさらに、例えば、電圧、電流、または同等物を含むことができる。電気パルスの本制御は、1つまたはそれを上回る電気パルスプログラム、計画、もしくはパターンの作成を含むことができ、いくつかの実施形態では、これは、1つまたはそれを上回る既存の電気パルスプログラム、計画、もしくはパターンの選択を含むことができる。一側面では、IPG100は、作成および/または事前にプログラムされ得る、1つまたはそれを上回るパルスプログラム、計画、もしくはパターンを有する、コントローラを含む。いくつかの実施形態では、IPGは、0mA〜10mAの範囲内のパルス振幅、50マイクロ秒〜500マイクロ秒の範囲内のパルス幅、5Hz〜250Hzの範囲内のパルス周波数、刺激モード(例えば、連続または循環)、および電極構成(例えば、アノード、カソード、またはオフ)を含む、刺激パラメータを変動させ、患者に特異的な最適治療転帰を達成するようにプログラムされることができる。特に、これは、各パラメータが個人毎に変動し得る場合でも、最適設定が患者毎に判定されることを可能にする。
【0065】
図5A−5Bに示されるように、IPGは、ヘッダ部分11を一端に、セラミック部分14を反対端に含んでもよい。ヘッダ部分11が、フィードスルーアセンブリ12およびコネクタスタック13を格納する一方で、セラミックケース部分14は、臨床医用プログラム装置、患者遠隔装置、および/または充電コイルとの無線通信を促進し、CDを用いた無線充電を促進するように、アンテナアセンブリ16を格納する。IPGの他の部分は、上記で説明される電気パルスプログラムを促進する、印刷回路基板、メモリ、およびコントローラ構成要素を封入する、チタンケース部分17で被覆される。セラミック部分14は、端部22と、側面24と、セラミック部分14をケース部分17に接続する接続部分26とを含む。
図5Bに示される実施例では、アンテナアセンブリ16は、放射要素のループが位置する平面28が、セラミック部分14の側面24と垂直であり、それを通って延在するように位置付けられる。
【0066】
図5Cに示される実施例では、IPGのヘッダ部分は、導線の近位端が結合される、コネクタスタック13と結合する、4ピンフィードスルーアセンブリ12を含む。4つのピンは、神経刺激導線の4つの電極に対応する。いくつかの実施形態では、Balseal(登録商標)コネクタブロックが、チタン合金フランジとともにアルミナセラミック絶縁体プレートにろう接される、4つの白金/イリジウム合金フィードスルーピンに電気的に接続される。本フィードスルーアセンブリは、電子機器のための完全密封筐体を形成するように、チタン−セラミックろう接ケースにレーザシーム溶接される。いくつかの実施形態では、密封筐体を形成するIPG10の部品のうちのいくつかまたは全ては、生体適合性であり得、具体的には、生体適合性材料で作製された外面を有することができる。
【0067】
図5Aに示されるもの等のいくつかの実施形態では、セラミックおよびチタンろう接ケースが、フェライトコイルおよびPCBアンテナアセンブリが位置付けられる、IPGの一端上で利用される。確実な密封シールが、セラミック/金属ろう接技法を介して提供される。ジルコニアセラミックは、高い曲げ強さおよび衝撃抵抗を有し、いくつかの埋込可能医療技術で商業的に利用されている、3Y−TZP(3mol%イットリア安定化正方晶ジルコニア多結晶体)セラミックから成ってもよい。しかしながら、他のセラミックまたは他の適切な材料が、IPGの構築のために使用されてもよく、セラミックは、ケースの付加的部分を形成するために使用されてもよいことを理解されたい。
【0068】
一側面では、セラミック材料の利用は、通信アンテナが密封セラミックケースの内側に格納されるため、外部患者遠隔装置および臨床医のプログラム装置との無線通信のための効率的な高周波透過窓を提供する。本セラミック窓は、IPGと患者遠隔装置および臨床医用プログラム装置等の外部コントローラとの間の長期的かつ確実な無線通信のための効率的な高周波透過窓を維持しながら、インプラントの小型化をさらに促進してきた。IPGの無線通信は、概して、通信アンテナが密封ケースの外側のヘッダ内に留置される従来技術の製品と異なり、デバイスの寿命にわたって安定している。そのような従来技術のデバイスの通信信頼性は、経時的に人体内のヘッダ材料の誘電定数の変化に起因して劣化する傾向がある。
【0069】
別の側面では、フェライトコアは、セラミックケース14の内側に位置付けられる、
図5Bに示される充電コイルアセンブリ15の一部である。フェライトコアは、金属ケース部分17とは対照的に、セラミックケースを通して磁束を集中させる。本構成は、結合効率を最大限にし、要求される磁場を低減させ、ひいては、充電中のデバイス加熱を低減させる。特に、磁束が最小金属断面積に垂直方向に配向されるため、充電中の加熱は、最小限にされる。本構成はまた、IPGが、IPGの近傍で患者の皮膚表面上に位置付けられるときに、CDを用いて3cmの深度で効果的に充電されることを可能にし、再充電時間を短縮する。
【0070】
図6は、IPG10のアーキテクチャの一実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、IPG10のアーキテクチャの構成要素はそれぞれ、IPG10のプロセッサ、メモリ、および/または他のハードウェア構成要素を使用して実装されることができる。いくつかの実施形態では、IPG10のアーキテクチャの構成要素は、所望の転帰を達成するようにIPG10のハードウェアと相互作用するソフトウェアを含むことができ、IPG10のアーキテクチャの構成要素は、筐体内に位置することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、IPG10は、例えば、通信モジュール600を含むことができる。通信モジュール600は、例えば、臨床医用プログラム装置60および/または患者遠隔装置70を含む、例示的神経刺激システムの他の構成要素ならびに/もしくはデバイスにデータを送信し、そこからデータを受信するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、通信モジュール600は、1つまたはいくつかのアンテナを制御して、IPG10の他の構成要素のうちの1つまたはいくつかに情報を送信し、そこから情報を受信するように構成される、1つまたはいくつかのアンテナおよびソフトウェアを含むことができる。本明細書ではIPG10との関連で議論されるが、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような通信モジュール600は、例えば、充電器116に含まれることができる。
【0072】
IPG10はさらに、データモジュール602を含むことができる。データモジュール602は、IPG10の識別および特性に関するデータを管理するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、データモジュールは、例えば、IPG10の識別、IPG10の1つまたはいくつかの特性、もしくは同等物等の、例えば、IPG10に関する情報を含み得る、1つまたはいくつかのデータベースを含むことができる。一実施形態では、IPG10を識別するデータは、例えば、IPG10のシリアル番号、および/または、例えば、IPG10の一意の識別子を含む、IPG10の他の識別子を含むことができる。いくつかの実施形態では、IPG10の特性と関連付けられる情報は、例えば、IPG10の機能を識別するデータ、IPG10の電力消費量を識別するデータ、IPG10の充電容量および/またはIPG10の電力貯蔵容量を識別するデータ、IPG10の潜在的および/または最大充電速度を識別するデータ、ならびに/もしくは同等物を含むことができる。
【0073】
IPG10は、パルス制御604を含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス制御604は、IPG10による1つまたはいくつかのパルスの発生を制御するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、これは、1つまたはいくつかのパルスパターン、プログラム、もしくは同等物を識別する情報に基づいて、行われることができる。本情報はさらに、例えば、IPG10によって発生させられるパルスの周波数、IPG10によって発生させられるパルスの持続時間、IPG10によって発生させられるパルスの強度および/または規模、もしくはIPG10による1つまたはいくつかのパルスの作成に関する任意の他の詳細を規定することができる。いくつかの実施形態では、本情報は、例えば、パルスパターンおよび/またはパルスプログラムの持続時間、ならびに/もしくは同等物等のパルスパターンおよび/またはパルスプログラムの側面を規定することができる。いくつかの実施形態では、IPG10のパルス発生に関する、および/またはそれを制御するための情報は、メモリ内に記憶されることができる。
【0074】
IPG10は、充電モジュール606を含むことができる。いくつかの実施形態では、充電モジュール606は、IPG10の充電/再充電を制御および/または監視するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、充電モジュール606は、誘導結合を生成し、それによって、IPG10を再充電するように、充電器116の1つまたはいくつかの誘導コイル/特徴と相互作用し得る、例えば、1つまたはいくつかの誘導コイル/特徴等のIPG10を再充電するためのエネルギーを受容するように構成される1つまたはいくつかの特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、充電モジュール606は、例えば、充電コイルアセンブリ15を含む、IPG10の充電を監視するように構成されるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。
【0075】
IPG10は、エネルギー貯蔵デバイス608を含むことができる。エネルギー貯蔵特徴を含み得る、エネルギー貯蔵デバイス608は、エネルギーを貯蔵するように構成される任意のデバイスであり得、例えば、1つまたはいくつかのバッテリ、コンデンサ、燃料電池、もしくは同等物を含むことができる。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイス608は、充電モジュール606から充電エネルギーを受容するように構成されることができる。
【0076】
図7は、通信モジュール600の一実施形態の概略図を示す。
図7で描写される通信モジュール600は、放射要素704を含む、本明細書では「通信アンテナ回路」とも称されるアンテナ回路702に接続される、送受信機700を含む。
【0077】
送受信機700は、共通回路を共有し得る伝送機および受信機、または共通回路を共有しない伝送機および受信機を含むことができる。送受信機700は、アンテナ回路702を介してデータを伝送し、および/またはデータを受信するよう、アンテナ回路702に接続されることができる。充電器116が、IPG10の中に位置する通信モジュール600に加えて、通信モジュール600を含む、いくつかの実施形態では、充電器116およびIPG10の通信モジュール600は両方とも、アンテナ回路702を含むことができる。
【0078】
放射要素704は、種々の形状およびサイズを備えることができ、種々の材料から作製されることができる。いくつかの実施形態では、放射要素704は、ともに誘導コイルを形成し得る、例えば、銅等の伝導性材料の1つまたはいくつかのループを備えることができる。放射要素704の詳細が、以下でさらに詳細に議論されるであろう。
【0079】
図8は、アンテナ回路702の回路図を含む、通信モジュール600の概略図を示す。
図8に示されるように、送受信機700は、それを介して送受信機700がアンテナ回路702に接続される、第1の端子800および第2の端子802を含む。アンテナ回路702は、第1の端子800から第2の端子802までの第1の経路804と、第1の端子800から第2の端子802までの第2の経路806とを含む。
図8で見られるように、第1および第2の経路804、806は、平行経路である。
【0080】
アンテナ回路702は、第1のコンデンサ808と、第2のコンデンサ810と、抵抗器812と、放射要素704とを含む。いくつかの実施形態では、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、および抵抗器812、ならびに放射要素704のうちの1つまたはいくつかは、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704のうちの他方と直列もしくは並列であり得る。
図8で描写される実施形態では、第1のコンデンサ808は、第1の経路804の中に位置しており、そして、第2の経路806の中に位置し直列である第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704と並列である。いくつかの実施形態では、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704は、RLC回路を形成する。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1および第2のコンデンサ808、810の一方または両方は、固定静電容量を有することができ、いくつかの実施形態では、第1および第2のコンデンサ808、810の一方または両方は、可変抵抗を有することができる。同様に、いくつかの実施形態では、抵抗器812は、固定抵抗または可変抵抗のいずれか一方を有することができ、放射要素704は、固定または可変インダクタンスを有することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704のうちの1つまたはいくつかの電気特性は、アンテナ回路702の所望の同調を達成するように選択されることができる。本所望の同調は、例えば、アンテナ回路702が所望の共振周波数を有するように、アンテナ回路702を同調することを含むことができ、その所望の共振周波数は、例えば、本明細書では「伝送周波数」(transmission frequencyまたはtransmitting frequency)とも称される、データ伝送のための所望の周波数に対応することができる。本共振周波数は、固定または可変であり得、いくつかの実施形態では、本共振周波数は、例えば、200Hz〜600Hz、300Hz〜500Hz、350Hz〜450Hz、約400Hz、約403Hz、および/または任意の他もしくは中間の値または範囲であり得る。いくつかの実施形態では、共振周波数は、共振周波数において生成される無線信号の波長が、IPG10の最長寸法より長いようなものであり得る。本明細書で使用されるように、「約」は、それと関連付けられる値または範囲の1%、5%、10%、15%、20%、もしくは25%を指す。
【0083】
第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704のうちの1つまたはいくつかの電気特性が、アンテナ回路702の間で一貫していない、いくつかの実施形態では、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704のうちの他の1つまたはいくつかの電気特性は、アンテナ回路702の所望の共振周波数を達成するように調節されてもよい。第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、抵抗器812、および放射要素704のうちの1つまたはいくつかの電気特性のそのような調節は、放射要素704のインダクタンスが放射要素704の間で一貫していない、および/または固定されるときに起こり得る。放射要素704の一貫していないインダクタンスに応答して、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、および抵抗器812のうちの1つまたはいくつかの電気特性の本調節は、時間がかかり、高価であり得る。
【0084】
一実施形態では、アンテナ回路702は、印刷回路基板(PCB)上に形成されることができ、具体的には、放射要素の1つまたはいくつかのループは、PCB上に印刷される、および/もしくはそれに組み込まれることができる。PCB内の放射要素704の1つまたはいくつかのループの本組み込みは、いくつかのアンテナ回路702にわたる放射要素704のインダクタンスの一貫性を増加させることができる。いくつかの放射要素704にわたるインダクタンスの本一貫性は、固定静電容量を有する第1および第2のコンデンサ808、810、ならびにアンテナ回路702の作成に固定抵抗を有する抵抗器812の使用を可能にすることができ、第1のコンデンサ808、第2のコンデンサ810、および抵抗器812のうちの1つまたはいくつかの電気特性の調節を介して、アンテナ回路の同調の必要性を排除することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、アンテナ回路702はさらに、アンテナ回路702が所望の帯域幅を有するように同調されることができる。アンテナ回路の帯域幅は、種々の公知の技法を用いて判定されることができ、いくつかの実施形態では、ある特性に関するアンテナの性能が規定規格に準拠する、周波数の範囲、具体的には、アンテナ回路の出力電力が半電力点を上回り、したがって、中間帯域値の半分を上回る、周波数の範囲として定義されることができる。いくつかの実施形態では、アンテナ回路702は、アンテナ回路702内の抵抗器812の包含によって、所望の帯域幅を有するように、具体的には、抵抗器812の包含によって、アンテナ回路702内で所望の抵抗レベルを有するように同調されることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、抵抗器812の包含は、アンテナ回路702のQ値を減少させることができ、したがって、アンテナ回路702の中間帯域値を減少させることができる。しかしながら、Q値の本不利な減少は、アンテナ回路702の増加した帯域幅の利益によって相殺されることができる。具体的には、患者の体内へのアンテナ回路702の埋込は、アンテナ回路702の共振周波数に影響を及ぼし得る。したがって、アンテナ回路702は、患者の体内に埋め込まれていないときの第1の共振周波数と、患者の体内に埋め込まれたときの第2の共振周波数とを有することができる。さらに、本第2の共振周波数は、患者の間で一貫していないが、むしろ、IPG10内のアンテナ回路702を含む、アンテナ回路702が埋め込まれる、組織の1つまたはいくつかの特性に基づいて変動する。組織のこれらの特性は、例えば、密度、水和レベル、抵抗、インダクタンス、および組織型のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0087】
共振周波数へのアンテナ回路702の埋込の本影響は、患者によって異なるが、アンテナ回路702の帯域幅は、アンテナ回路702の予期される第2の周波数の大部分を含むように同調されることができる。いくつかの実施形態では、本帯域幅は、例えば、1Hz〜50Hz、5Hz〜30Hz、10Hz〜20Hz、約20Hz、約16Hz、および/または任意の他もしくは中間の値または範囲であり得る。したがって、そのような実施形態では、伝送周波数を受信するアンテナ回路702の有効性は、アンテナ回路702が患者の体内に埋め込まれるときに、半電力点を下回らない。
【0088】
図9Aは、アンテナアセンブリ900の一実施形態の斜視図を示し、
図9Bは、アンテナアセンブリ900の一実施形態の上面図を示す。アンテナアセンブリは、IPG10および充電器116の一方または両方の通信モジュール600で使用されることができる。いくつかの実施形態では、IPG10および充電器116は両方とも、アンテナアセンブリ900を含むことができる。アンテナアセンブリ900は、第1および第2のコンデンサ808、810ならびに第1の抵抗器812が搭載され、放射要素704が組み込まれる、印刷回路基板(PCB)902を含む。
【0089】
図9Aおよび9Bで具体的に見られるように、放射要素704は、複数のループ、具体的には、第1のループ904と、第2のループ906とを備える。いくつかの実施形態では、放射要素は、PCB902に形成される、および/または組み込まれる、単一の銅配線を備えることができ、その単一の銅配線は、第1のループ904および第2のループ906を作成するように成形される。いくつかの実施形態では、第1および第2のループ904、906はそれぞれ、PCB902に形成される、および/または組み込まれる、銅配線を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2のループ904、906は、PCB902内の同一平面内に位置することができる。いくつかの実施形態では、PCB902内の同一平面内の第1および第2のループ904、906の留置は、ループ904、906のうちの他方の内側のループ904、906のうちの一方の留置によって、および
図9Aに示されるように、第1のループ904内の第2のループ906の留置によって可能にされることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ900はさらに、IPG10内にアンテナアセンブリ900を適切に位置付けることを促進し得る、1つまたはいくつかのスペーサ908および/もしくはバンパと、例えば、送受信機700等のIPG10の他の構成要素に電気的にアンテナアセンブリ900を接続するために使用され得る、フレックスコネクタ910等のコネクタとを含むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、
図9Bに示されるように、放射要素704は、首状下方部分920を含むことができる。放射要素704の首状下方部分920は、抵抗器812に電気的に接続することなく、抵抗器812を通過することができる。いくつかの実施形態では、首状下方部分920は、PCB902の中で抵抗器812よりも比較的深く位置することができる。いくつかの実施形態では、首状下方部分920および放射要素704の他の部分は、抵抗器812より比較的深い共通面内で、PCB902の中で同一深度に位置することができる。
【0092】
図10は、
図9Aおよび9Bで描写されるアンテナアセンブリ900によって作成される電場双極子パターン1000の描写を示す。電場双極子パターン1000は、(ワイヤループ内の電流と平行な)第1および第2のループ904、906の平面1002内に電場分極を伴って、第1および第2のループ904、906の平面1002内に最大強度を伴うドーナツパターンである。ヘッダ部分11およびセラミックケース14が体表面から等距離にあるように、または第1および第2のループ904、906の平面1002が体表面と垂直であるように、IPG10が患者の体内で平坦に留置されると、最大電場は、可能な限り最良の通信信頼性を達成するように、体表面と垂直(外向き)である。
【0093】
図11は、通信モジュールを製造するため、および埋込可能神経刺激装置と外部デバイスとの間のデータの無線通信のためのプロセス1100の一実施形態を図示する、フローチャートである。プロセス1100は、送受信機が選択される、ブロック1102から始まる。いくつかの実施形態では、送受信機は、例えば、電力消費量、出力電力、ブロードキャスト/受信周波数、および/または同等物等の1つもしくはいくつかの所望のパラメータに従って選択されることができる。いくつかの実施形態では、送受信機の選択は、アンテナ回路とともに組み立てるための送受信機の回収に対応することができる。
【0094】
送受信機が選択された後、プロセス1100は、アンテナ回路が作成される、ブロック1104に進む。いくつかの実施形態では、これは、PCB内の放射要素の銅配線の組み込み、PCBへのコンデンサおよび/または抵抗器の取付、ならびにPCBへの1つもしくはいくつかのコネクタの取付を含む、PCBの作成を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ回路の作成はさらに、アンテナ回路の同調、具体的には、患者の体内のアンテナ回路の埋込から生じる周波数偏移を包含するためのアンテナ回路の帯域幅の同調を含むことができる。いくつかの実施形態では、本帯域幅は、患者の体内のアンテナ回路の埋込から生じる周波数偏移の統計的分布を示す、1人または数人の患者から収集されるデータ、および統計的分布の全てもしくは一部の割合を包含するであろう帯域幅の選択に基づいて、選択されることができる。いくつかの実施形態では、本割合は、例えば、統計的分布の少なくとも50パーセント、統計的分布の少なくとも60パーセント、統計的分布の少なくとも70パーセント、統計的分布の少なくとも80パーセント、統計的分布の少なくとも90パーセント、統計的分布の少なくとも95パーセント、統計的分布の少なくとも97パーセント、統計的分布の少なくとも98パーセント、統計的分布の少なくとも99パーセント、統計的分布の少なくとも99.5パーセント、統計的分布の少なくとも99.9パーセント、および/または統計的分布の任意の他もしくは中間の割合を含むことができる。
【0095】
アンテナ回路が作成された後に、プロセス1100は、アンテナ回路が送受信機に接続される、ブロック1106に進む。いくつかの実施形態では、これは、例えば、
図8で描写されるように、アンテナ回路の部分への送受信機の第1および第2の端子の接続を含むことができる。いくつかの実施形態では、送受信機は、フレックスコネクタを介して、または任意の他の電気接続を介して、アンテナ回路に接続されることができる。
【0096】
アンテナ回路が送受信機に接続された後に、プロセス1100は、パルス発生器が組み立てられる、ブロック1108に進む。いくつかの実施形態では、これは、IPG10の組立を含むことができ、通信モジュールの接続、具体的には、パルス発生器の1つまたはいくつかの他の構成要素への接続された送受信機およびアンテナ回路を含むことができる。
【0097】
パルス発生器が組み立てられた後に、プロセス1100は、パルス発生器が埋め込まれる、ブロック1110に進む。パルス発生器が埋め込まれた後に、プロセス1100は、データが、通信モジュールを介して、具体的には、アンテナ回路および送受信機を介して、外部デバイスからパルス発生器において受信される、ブロック1112に進む。いくつかの実施形態では、本データは、伝送周波数において受信されることができ、その伝送周波数は、第1および第2の共振周波数の一方または両方においてアンテナ回路の帯域幅内にあり得る。いくつかの実施形態では、本データは、パルス発生器を制御し、および/またはその制御を修正するために使用されることができる。さらに、いくつかの実施形態では、アンテナ回路を介したデータの受信はさらに、送受信機およびアンテナ回路を介したデータの伝送を含むことができる。
【0098】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されるが、当業者は、本発明がそれらに限定されないことを認識するであろう。上記の発明の種々の特徴および側面は、個別に、または合同で、使用されることができる。さらに、本発明は、本明細書のより広範な精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明されるもの以外の任意の数の環境ならびに用途で利用されることができる。本明細書および図面は、故に、制限的ではなく、例証的と見なされるものである。本明細書で使用されるような用語「comprising(〜を備える)」、「including(〜を含む)」、および「having(〜を有する)」は、制約のない専門用語として読み取られることを具体的に意図することが認識されるであろう。