【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、請求項1および5の構成により達成される。本発明の好都合な実施形態は、請求項2から4および請求項6から12の構成として記載されている。
【0008】
本発明の第1の態様は、搬送方向xに連続的に搬送される金属ストリップから金属素材を切断するための所定の切断経路を補正する方法であって、
xおよびy基準に対する、前記金属ストリップの表面上の点の第1のx座標x1及び第1のy座標y1を同時に決定する過程と、
前記金属ストリップが前記第1のx座標x1から前記搬送方向xに所定の第1の距離dx1動かされたまさにその時点における前記点の、前記y基準に対する第2の座標y2を決定する過程と、
前記第1のy座標y1と前記第2のy座標y2との差を取ることによって第1のy補正値K
y1を決定する過程と、
前記第1のy補正値K
y1を用いて、前記所定の切断経路を表す(記述する)切断経路座標を補正する過程と、
を備える、方法を提案する。
【0009】
本発明によれば、金属ストリップの表面上の無作為な点(随意に選ばれた点)が検出される。例えば、それは、金属ストリップのエッジ上の点であってもよい。従来技術から出発して、点の検出は、当該点の第1の位置座標x1y1を検出することを伴い、これをxおよびy基準に対して行う。金属ストリップが搬送方向xに所定の距離dx1動かされると、同じ点の第2の位置座標x2y2が前記y基準に対して検出される。前記x基準については、例えば、決まった(固定の)前記所定の第1の距離dx1から導き出される。
【0010】
金属ストリップの表面上の、第1の位置座標x1y1により定まる点の位置の変化を本発明のように観測することにより、従来技術から知られている方法の不正確さを回避することができる。具体的に述べると、本発明にかかる方法の実行では、金属ストリップ上に独特のマーク(他から分離したマーク)を付す(置く、載置するまたは貼付する)必要がない。提案する方法は、y座標が金属ストリップの凹凸のあるエッジにて決定された場合にも、高精度な補正を提供する。
【0011】
本発明にかかる方法は、金属素材を切断する切断経路を、当該素材を縁取る(取り囲む)部分セクションの端部同士が互いに正しく移っていけるほど十分正確に補正することができる。部分セクション同士の重複する端部の領域における素材の仕上げ加工する手間を省くことができる。
【0012】
本発明の有利な一実施形態において、前記方法は、さらに、
前記y基準に対する前記金属ストリップの前記第1のy座標y1を測定する第1のy測定装置を設ける過程と、
前記y基準に対する前記金属ストリップの前記第2のy座標y2を測定する第2のy測定装置を設ける過程であって、前記第2のy測定装置は、前記第1のy測定装置から前記所定の第1の距離dx1下流に配置される、過程と、
前記x基準に対する前記金属ストリップのx座標を測定する第1の変位測定装置を設ける過程と、
を備える。
【0013】
有利なことに、前記第1および前記第2のy測定装置は、y基準からのストリップエッジの距離を測定することを可能にする測定装置である。好都合なことに、前記第1および第2のy測定装置として、同一構造の測定装置を使用することができる。前記y測定装置は、ストリップエッジ(ストリップの側端)の位置を検出する従来からの測定装置であってもよい。好ましくは、光学式の測定装置が、これを実現するのに使用される。有利なことに、前記第1の変位測定装置は、金属ストリップに当接する測定ホイールを有する機械式の変位センサである。この構成は、金属ストリップの正確な移動量、特には、金属ストリップの前記第1の距離dx1分のオフセット量の検出を可能にする。この構成は、金属ストリップが前記第1のy測定装置から前記第1の距離dx1下流のところに位置したまさにその時点における、前記第2の測定装置による前記第2のy座標の測定を可能にする。
【0014】
本発明にかかる方法の第1の態様の有利な他の実施形態において、当該方法は、さらに、
前記第2のy座標y2の決定の地点から所定の第2の距離dx2のところにある第3のy座標y3を決定する過程と、
前記第2のy座標y2と前記第3のy座標y3との差を求めることによって第2のy補正値K
y2を決定する過程と、
前記所定の切断経路を表す前記切断経路座標を、前記第1のy補正値K
y1に対する前記第2のy補正値K
y2の、搬送経路上における変化又は経時的な変化を考慮して、補正する過程と、
を備える。
【0015】
提案のこの実施形態によれば、前記第2のy測定装置の下流で、金属ストリップ上の被観測点の位置のさらなる変化が観測される。この観測の地点での前記点の位置は、第3の位置座標x3y3により定まる。前記第1の位置座標x1y1と、前記第2の位置座標x2y2と、前記第3の位置座標x3y3とを比較することにより、金属ストリップが反りを有しているか否かを推測し、かつ、反りを有している場合には長手方向の曲率の半径の大きさを推測することができる。これにより、ストリップの反りを追加で考慮に入れた第2のy補正値K
y2を決定できる。また、前記切断経路の座標のなお一層正確な補正が可能になる。
【0016】
有利な一実施形態において、前記方法は、さらに、
前記y基準に対する前記金属ストリップの前記第3のy座標y3を測定する第3のy測定装置を設ける過程であって、前記第3のy測定装置は、前記第2のy測定装置から前記所定の第2の距離dx2下流に配置される、過程、
を備える。
【0017】
第1、第2および第3のy測定装置を前記搬送方向に互いに前後に、それぞれ定められた第1の距離dx1、第2の距離dx2で配置する提案の配置構成は、特に、前記第1の変位測定装置と組み合わせることにより、金属ストリップ上の点の正確な位置、および当該金属ストリップが前記第1の距離dx1分および前記第2の距離dx2分動いた後のその点の位置の変化を決定できる。
【0018】
本発明の第2の態様は、搬送方向xに連続的に搬送される金属ストリップから金属素材を切断するための所定の切断経路を補正する方法であって、
xおよびy基準に対する、前記金属ストリップの表面上の第1の点の第1のx座標x1及び第1のy座標y1を、ストリップ流れ測定装置によって同時に決定する過程と、
前記金属ストリップが前記搬送方向xに所定の第3の距離dx3動かされると、前記xおよびy基準に対する前記金属ストリップの前記表面の前記第1の点の第2のx座標x2及び第2のy座標y2を、前記ストリップ流れ測定装置によって同時に決定する過程と、
前記ストリップ流れ測定装置によって座標ペアx1y1及び座標ペアx2y2から決定されたベクトルを用いて、第3のy補正値K
y3を決定する過程と、
前記第3のy補正値K
y3を用いて、前記所定の切断経路を表す切断経路座標を補正する過程と、
を備える、方法を提案する。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、金属ストリップの表面の少なくとも1つの点、すなわち、当該金属ストリップの材料により形成される表面上の点が観測される。この点は、例えば、光学的に検出可能な高さであってもよく、かつ/または、材料が特異であってもよい。前記xおよびy基準に対する前記点の位置座標x1y1が、ストリップ流れ測定装置により同時に決定される。後の時点で、すなわち、金属ストリップが搬送方向に所定の第3の距離dx3動かされると、前記xおよびy基準に対する前記点の第2の位置座標x2y2が決定される。そして、これらの座標ペアx1y1及び座標ペアx2y2からベクトルが決定される。そして、このベクトルに基づいて第3のy補正値K
y3が算出されて、当該第3の補正値K
y3で前記所定の切断経路を表す切断経路座標が最終的に補正される。提案のようにベクトルを決定することは、前記第3のy補正値の高速な算出および前記切断経路座標の高速な補正を可能にする。前記ベクトルは、高クロック周波数で繰り返し算出されてもよい。これにより、前記切断経路座標の高速な、特に正確な補正が可能になる。
【0020】
有利な一実施形態において、前記方法の第2の態様は、さらに、
前記ストリップ流れ測定装置から所定の第4の距離dx4のところに配置された第4のy測定装置により前記金属ストリップの第4のy座標y4を測定し、当該第4のy座標y4を用いて前記第3のy補正値K
y3を動的に補正する過程、
を備える。
【0021】
前記第4のy座標y4を測定することにより、金属ストリップの反り、特には、当該反りの半径を検出することが可能になる。これにより、前記第3のy補正値K
y3を、金属ストリップの反りを考慮に入れて動的に補正することを可能になる。これにより、また、前記切断経路を表す切断経路座標の特に正確な補正を可能になる。
【0022】
有利な他の実施形態では、前記金属ストリップの第4のx座標x4が第2の変位測定装置によって測定され、当該第4のx座標x4が前記第3のy補正値K
y3の動的な補正に用いられる。これによれば、前記第4の距離dx4の特に正確な決定、ひいては前記第4のy座標y4の特に正確な決定が可能になる。
【0023】
有利なことに、第1の前記座標ペアx1y1は、ある時点t1に前記ストリップ流れ測定装置によって検出された表面構造から決定される。前記表面構造は、時点t1に生成された二次元又は三次元の表面画像から決定されてもよい。第2の前記座標ペアx2y2は、前記時点t1よりも後の第2の時点tnに前記ストリップ流れ測定装置によって検出された他の表面構造から算出されてもよい。時点t1に検出された表面構造とそれよりも後に検出された他の表面構造とを比較することにより、前記点Pの位置の変化を決定することが可能となる。前記点Pの位置の変化は、開始座標x1y1と終了座標x2y2とを有するベクトルで表されてもよい。具体的に述べると、このベクトルは、画像相関法に従って決定されてもよい。
【0024】
前記表面画像は、ストリップ流れ測定装置を用いて生成されてもよい。当該ストリップ流れ測定装置は、カメラ、好ましくは、光学マウスセンサ、光学モーションセンサ、距離センサ、好ましくは、コンフォーカルクロマティック(色収差共焦点)距離センサ、および角度センサ(角度エンコーダ)を有するドラッグホイールのうちのいずれか一つを含む。前述したストリップ流れ測定装置は、前記点Pの位置座標xy及び当該位置座標xyの経時的な変化又は移動の変化が決定されること(この決定は、本発明にかかる方法に必要である)を可能にする。
【0025】
前記点は、前記金属ストリップのストリップエッジ(ストリップ側縁)、前記金属ストリップの先端、または前記金属ストリップの上側もしくは下側に位置するものであってもよい。本発明の第1の態様において前記点は有利なことにはストリップエッジに位置するものであり、本発明の第2の態様において前記点は有利なことには金属ストリップの上側に位置するものである。
【0026】
以下では、本発明の例的な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。