(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つ以上の重合性モノマーが、プロピレン及びエチレンを含み、これらは(A)で前記鎖シャトリング剤と共に、前記第1の反応器または反応器帯域へ供給される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
実施形態は、鎖シャトリング剤が、溶媒、1つ以上の重合性C
2〜C
10αオレフィンモノマー、及び任意選択で、水素と共に、少なくとも第1の反応器または反応器帯域に供給され、差異化されたポリマー組成または特性の2つの領域または区分を含むブロックコポリマーを製造する、少なくとも1つの反応器及び/または少なくとも1つの反応器帯域を利用する方法に関する。鎖シャトリング剤、溶媒、1つ以上の重合性C
2〜C
10αオレフィンモノマー、及び/または水素は、任意選択で第2の反応器または反応器帯域にも、例えば、第1の反応器または反応器帯域への供給と直列または並列で、供給される。本方法は、少なくとも第1の反応器または反応器帯域への、少なくとも1つのオレフィン重合性触媒及び少なくとも1つの助触媒を含む、個別の触媒供給も含む。少なくとも1つの触媒(例えば、オレフィン重合触媒及び/または助触媒など)は、任意選択で、第2の反応器または反応器帯域にも、例えば、第1の反応器または反応器帯域への供給と、直列または並列で供給される。例えば、鎖シャトリング剤を含む混合物は、第1の反応器帯域に、または第1の反応器帯域及び第2の反応器帯域の両方に、直列または並列で供給され、第1の反応器帯域、または並列で第1及び第2の反応器帯域のいずれかで重合を起こさせる。
【0007】
鎖シャトリング剤とは、鎖シャトリング重合を用いて現在同定されているブロックコポリマーを調製することができる化合物を意味する。そこで、鎖シャトリング剤が、所望の特性を有するポリオレフィン鎖を伝播させる少なくとも第1の触媒(または触媒部位)、及び異なる関連する特性を有する別の鎖を作り出す第2の触媒(または触媒部位)から、ポリマー鎖を往復させる。例えば、鎖シャトリング重合は、交互する結晶質/非晶質特性のコポリマーを作り出すために、少なくとも2つの異なる触媒及び鎖シャトリング剤(1つ以上の鎖シャトリング剤を含むことができる)を使用する。第1の触媒(または触媒部位)は、例えば、結晶質または半結晶質ブロックを形成するように、第1の所望の結晶質/非晶質特性のポリオレフィンを伝播させる。第2の触媒(または触媒部位)は、例えば、非晶質ブロックを形成するように、異なった結晶質/非晶質特性の別の鎖を作り出す。さらに、例えば、複数の反応器または反応帯域を有する反応系において、異なる重合条件で、単一の触媒を使用することが可能である。そこで、各ポリマー鎖の部分が、各域(鎖シャトリングを介して)で成長することができ、異なる特性を有する。
【0008】
第1の反応器または反応器帯域及び第2の反応器または反応器帯域を指す場合、第1及び第2の反応器とは、別々の反応器(例えば、直列に接続されたもの)を意味する。第1及び第2の反応器帯域とは、単一の反応器の2つの域(任意に異なる運転及び/または重合条件を有することができる別個の部分)を意味する。例示的な実施形態では、ブロックコポリマーは、単一の反応器及び単一の反応器帯域を用いて、単一の反応器及びその中の少なくとも2つの反応器帯域を用いて、互いに接続された少なくとも2つの反応器を用いて、及び/またはそれらの任意の組み合わせを用いて、製造することができる。例えば、重合は、第1の反応器または反応器帯域中、第2の反応器または反応器帯域中、及び/または第1の反応器または反応器帯域と第2の反応器または反応器帯域の両方の中で起こる可能性がある(第1の反応器または反応器帯域及び第2の反応器または反応器帯域のうちの少なくとも1つの中で起こるように)。
【0009】
例えば、ブロックまたは区分化されたコポリマーを調製するために、鎖シャトリング剤を使用する方法が、米国特許第7,915,192号に論じられている。例示的な方法は、少なくともエチレンまたはプロピレンを付加重合条件で、下記の組み合わせから得られた混合物または反応生成物を含む組成物と接触させることを含む、(A)第1のオレフィン重合触媒、(B)触媒(A)によって調製されたポリマーと化学的または物理的特性が異なるポリマーを同等の重合条件下で調製することができる、第2のオレフィン重合触媒(助触媒とも称される)、及び(C)鎖シャトリング剤。一方、触媒(A)及び触媒(B)の少なくとも1つは、その場で形成されたオレフィンポリマー鎖の鎖ウォーキングまたは再組み込みによって、分枝ポリマーを形成することができる。
【0010】
鎖シャトリング重合を使用して調製したブロックコポリマーは、異なる関連特性を有する2つ以上のブロックを含む。鎖シャトリング重合を介して調製された例示的なオレフィンブロックコポリマーは、The Dow Chemical Companyより、INFUSE(商標)及びINTUNE(商標)の製品群として上市されている。
【0011】
語句ブロックコポリマーに関して、参照は、異なるタイプの配列に共有結合した配列(「ブロック」)を含むコポリマーに関する。ブロックは様々な方法で接続することができる。例えば、ジブロックA−B及びトリブロック構造A−B−A、Aは一ブロックを表し、Bは異なるブロックを表す。マルチブロックコポリマーでは、AとBはいくつかの異なる方法で接続することができ、多様に繰り返すことができ、任意選択でさらに他の異なるタイプの追加のブロックを含んでもよい。マルチブロックコポリマーは、例えば、線状マルチブロック、マルチブロックスターポリマー(全てのブロックが同じ原子または化学部分に結合する)、またはBブロックの一端がA骨格に結合している櫛様ポリマーであってもよい。ブロックコポリマーは、異なる化学組成の2つ以上のポリマー分子が互いに共有結合したときに作り出される。例えば、ブロックは、その中に組み込まれるコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶化度、このような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性のタイプもしくは程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、レジオ規則性もしくはレジオ不規則性、長鎖分枝もしくは超分枝を含む分枝の量、均質性、及び/または他の任意の化学的もしくは物理的特性において異なり得る。
【0012】
実施形態は、鎖シャトリング剤重合を使用して製造される特定タイプの「ブロックコポリマー」または「区分化コポリマー」に関し、ここで、2つ以上の化学的に異なる領域または区分(「ブロック」と称される)を含むポリマーに関する。領域または区分は、直線的に結合され得る。例えば、ブロックコポリマーは、ペンダントまたはグラフト様式ではなく、重合された官能性(例えば、エチレン官能性)に関して端々結合された化学的に差異化された単位を含むことができる。実施形態において、ブロックコポリマーは、触媒と組み合わせた鎖シャトリング剤の効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDIまたはMw/Mn)、ブロック長分布及び/またはブロック数分布の独特の分布を特徴とする。例えば、ブロックコポリマーを含むブロック複合体は、1.7〜15、1.8〜3.5、1.8〜2.2、及び/または1.8〜2.1のPDIを有する。実施形態のブロックコポリマーは、結晶質及び非晶質の両方を有する、ポリマー鎖内の差異化されたブロックの存在を特徴とすることができる。他の選択としては、半結晶質及び非晶質、結晶質及び多様性のある結晶化度の性質、及び非晶質及び様々な程度の非晶質が挙げられる。
【0013】
ブロックコポリマーの鎖シャトリング重合は、開始及び伝播工程のみを含み、本質的に鎖停止末端反応がないリビング重合プロセスとは異なる。「リビング」系で作り出されるポリマーは、狭い分子量分布または極端に狭い分子量分布有し、本質的に単分散であり得る(すなわち、分子量分布は本質的に1つである)。リビング触媒系は、伝播速度のオーダーまたはそれ以上である開始速度、及び停止または転移反応がないことを特徴とする。
【0014】
鎖シャトリング剤を使用する方法は、付加重合モノマーまたはモノマーの混合物を、付加重合条件下の第1の反応器または反応器帯域中で、少なくとも1つのオレフィン重合触媒及び助触媒を含む組成物と接触させる第1の段階を含み、前記モノマーからポリマー鎖を形成することを特徴とする。この方法はさらに、反応混合物を第2の反応器または反応器帯域に供給及び/または移送する第2の段階を含み、任意選択で1つ以上の追加の反応物、触媒、モノマーまたは他の化合物を、前記供給/移送の前に、それに対応して、またはその後に、添加する。この方法はまた、前記第2の反応器または反応器帯域で重合を起こさせて、第1の反応器または反応器帯域で形成されたポリマー鎖から差異化されたポリマー鎖を形成する第3の段階を含む。この方法は、第3の段階から得られるポリマー分子の少なくともいくつかが2つ以上の化学的または物理的に区別可能なブロックまたは区分を含むように、第1の段階の前に、最中にまたは後に鎖シャトリング剤を反応混合物に添加することを特徴とする。例えば、鎖シャトリング剤は、第3の段階から得られるポリマー分子の少なくともいくつかが2つ以上の化学的または物理的に区別可能なブロックまたは区分を含むように、第2の段階の前に、最中に反応混合物に添加される。鎖シャトリング剤を使用する例示的な方法は、米国特許第8,053,529号に論じられている。
【0015】
ブロックコポリマーを形成するための鎖シャトリング重合方法は、反応器と共に1つ以上の反応器帯域を利用することができる。例えば、米国特許第7,989,551号で論じられているように、単一の反応器連続プロセスを、差異化されたポリマー組成または特性を有する、複数の領域または区分を含んで有するブロックコポリマーの重合に使用してもよい。この方法は、付加重合性モノマーまたはモノマーの混合物を、付加重合条件下の第1の反応器帯域中で、少なくとも1つのオレフィン重合触媒及び助触媒を含む組成物と接触させることと、2つ以上のブロックまたは区分が形成されるように、差異化されたプロセス条件下で、成長するポリマー鎖の少なくともいくつかを形成することとを含む。得られたポリマーの少なくともいくつかは、化学的にまたは物理的に区別可能であり、したがって差異化されたプロセス条件は、反応器の少なくとも2つの領域の間に維持されるモノマー勾配である。例えば、モノマー勾配は、第1及び第2の反応器帯域の間に形成され得る。
【0016】
実施形態では、鎖シャトリング剤を添加し、ブロックコポリマーを形成する方法は、鎖シャトリング剤、溶媒、1つ以上のC
2〜C
10αオレフィン重合性モノマー、及び任意選択で水素、を含む第1の混合物を、第1の反応器または反応器帯域に供給することを含む。第1の混合物は、第1の反応器または反応器帯域に流入する前に、一緒に混合される別個の供給流によって形成されてもよい。さらに、少なくとも1つのオレフィン重合触媒、少なくとも1つの助触媒を含み、鎖シャトリング剤を含まない第2の混合物を、第1の反応器または反応器帯域に供給する。第2の混合物は、第1の反応器または反応器帯域に流入する前に、同様の区域で混合するかまたは一緒に混合されるように、同様の区域(第1の混合物が第1の反応器または反応器帯域に流入する場所とは異なる)において、第1の反応器または反応器帯域に流入する、別個の供給流によって形成されてもよい。第2の混合物(及びそれらの全ての別個の流れ)は、第1の反応器または反応器帯域に流入する前に、第1の混合物から分離される。任意選択で、少なくとも1つの助触媒を含む第3の混合物は、第1の反応器または反応器帯域に、第1の混合物及び第2の混合物が第1の反応器または反応器帯域流入する区域とは異なる区域に流入することができる。
【0017】
例えば、この方法は、第1の反応混合物にのみ鎖シャトリング剤を添加し、第2の混合物から除外することを特徴とする。第1の混合物は、第1の反応器または反応器帯域中の重合条件下で、第2の混合物と接触して、前記1つ以上の重合性C
2〜C
10αオレフィンモノマーから、ポリマー鎖を形成することを特徴とする反応混合物を形成する。その後、反応混合物は、第2の反応器または反応器帯域に供給及び/または移送され、任意選択で、1つ以上の追加の溶媒、重合性C
2〜C
10αオレフィンモノマー、鎖シャトリング剤、及び/または触媒(オレフィン重合触媒及び少なくとも1つの助触媒)が、第2の反応器または反応器帯域に添加される。例示的な実施形態では、鎖シャトリング剤は、モノマー、溶媒、及び任意選択で水素、と同じ供給材料中で、第1反応器にのみ添加することができる。これにより、第2の反応器または反応器帯域で重合が起こり、得られたポリマー分子が2つ以上の化学的にまたは物理的に区別可能なブロックまたは区分を含むように、第1の反応器または反応器帯域で形成されたポリマー鎖から差異化されたポリマー鎖が形成される。
【0018】
例示的な実施形態では、第1の混合物の、前記第1の反応器または反応器帯域へのポンド/時間での流量が、第2の混合物の、前記第1の反応器または反応器帯域へのポンド/時間での流量より、95倍〜1,000,000倍大きい。例えば、第2の混合物の、前記第1の反応器または反応器帯域へのポンド/時間での流量より、95〜500,000倍、95〜250,000倍及び/または100〜200,000倍大きい。例示的な実施形態では、第1の混合物及び第2の混合物の両方が周囲条件で反応器に流入することができる。他の例示的な実施形態では、鎖シャトリング剤が第1の反応器または反応器帯域に、第2の混合物の成分よりも低い温度で、流入するように(例えば、少なくとも1つのオレフィン重合触媒及び少なくとも1つの助触媒よりも低い温度で)、第1の混合物は、反応器に流入する前に冷却されてもよい(例えば、反応器または反応器帯域内の平均反応温度より十分低い温度まで)。他の例示的な実施形態では、第1の混合物は、第1の反応器または反応器帯域に流入するときに、第1の反応器または反応器帯域よりも低い温度を有することができる。そのような例示的な実施形態では、鎖シャトリング剤が第2の混合物の一部である場合と比較して、第1の混合物の一部として、より低温で第1の反応器または反応器帯域に入ることが可能となる。例えば、大容量及び/または比較的低温に基づいて、第1の混合物は、第1の反応器または反応器帯域に流入するときに、連鎖シャトリング剤の温度に関して改善された制御を提供することができる。
【0019】
成分
鎖シャトリング重合プロセスに使用される成分は、鎖シャトリング剤(1つ以上の鎖シャトリング剤を含む)、溶媒(1つ以上の溶媒を含む)、1つ以上のC
2〜C
10αオレフィン重合性モノマー、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの助触媒、及び任意選択で水素、を含む。鎖シャトリング剤重合プロセスは、ブロック複合体の一部であり得るブロックコポリマーを形成する。
【0020】
この方法に関して、反応器または反応器帯域温度及び/または圧力は、溶媒/モノマー比及び/または触媒添加率を調節することによって制御することができる。圧力は、下流の(例えば、出口配管内の)反応器圧力制御弁で制御することによって任意に調節することができる。例示的な実施形態では、反応器熱交換器または反応器加熱/冷却ジャケットにおける供給温度及び/または冷却剤温度を調節することができる。例示的なプロセスでは、少なくとも触媒(A)及び(B)、溶媒、モノマー、連鎖シャトリング剤、及び任意選択で水素を反応器(液相または気相)またはそのリサイクルされた部分に連続的または間欠的に導入する。重合速度は、触媒添加速度によって制御される。ポリマー生成物のコモノマー含量(存在する場合)は、反応器中の主要モノマー対コモノマーの比によって決定され、これは、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することによって制御される。例えば、モノマーは、1つ以上の重合性C
2〜C
10α−オレフィンモノマーの主成分であり、コモノマーは、1つ以上の重合性C
2〜C
10α−オレフィンモノマーの1つ以上の少数成分である。ポリマー生成物の分子量は、当該技術分野において既知のように、温度、モノマー濃度及び/または鎖シャトリング剤(例えば、タイプ及び/または濃度)などの他の重合変数を制御することによって制御することができる。反応器を出る際に、流出物を、水、蒸気、及び/またはアルコールなどの触媒殺傷剤と接触させることができる。ポリマー溶液は、任意選択で加熱してもよく、ポリマー生成物は、気体モノマー及び/または残留溶媒を減圧下でフラッシングすることによって回収することができる。連続プロセスでは、反応器中の触媒及びポリマーの平均滞留時間は、5分〜8時間及び/または10分〜6時間であり得る。
【0021】
鎖シャトリング剤
鎖シャトリング剤という語句は、重合条件下での(単一または複数の反応ステップを介して)、反応混合物に含まれる触媒の少なくとも2つの活性触媒部位の間でポリマー交換を引き起こすことができる、第1の混合物の一部としての、反応混合物中に使用される化合物または化合物の混合物を指す。鎖シャトリング剤とは対照的に、「連鎖移動剤」は、ポリマー鎖の成長を停止させ、触媒から移動剤への1回の成長ポリマーの移動に相当する。鎖シャトリング剤は、0.01及び100(例えば、0.1〜10、0.5〜2.0及び/または0.8〜1.2)の活性比R
A−B/R
B−Aを有することができ、R
A−Bは、鎖シャトリング剤を介した第1の触媒(触媒A)活性部位から第2の触媒(触媒B)活性部位へのポリマー転移速度である。R
B−Aは、逆方向のポリマー転移速度、すなわち、鎖シャトリング剤を介した触媒B活性部位から触媒A活性部位への交換開始速度である。鎖シャトリング剤とポリマー鎖との間に形成される中間体は、鎖末端が相対的にまれであるように十分に安定であり得る。
【0022】
鎖シャトリング重合のための例示的な鎖シャトリング剤は、例えば、米国特許第7,951,882及び同第7,981,992号、ならびに国際公開第WO2011/014533号に論じられている。例えば、本明細書で使用するための鎖シャトリング剤には、第1、2、12または13族金属化合物または少なくとも1つのC
1−20ヒドロカルビル基を含む錯体が含まれる。例えば、各ヒドロカルビル基に1〜12個の炭素を含むヒドロカルビル置換アルミニウム、ガリウムまたは亜鉛化合物、及びそれらとプロトン源との反応生成物を使用することができる。ヒドロカルビル基は、アルキル基、直鎖または分枝鎖のC
2−8アルキル基であってもよい。代表的な鎖シャトリング剤は、トリアルキルアルミニウム及びジアルキル亜鉛化合物、例えば、トリエチルアルミニウム、トリ(i−プロピル)アルミニウム、トリ(i−ブチル)アルミニウム、トリ(n−ヘキシル)アルミニウム、トリ(n−オクチル)アルミニウム、トリエチルガリウム、及びジエチル亜鉛を含む。さらなる例示的な鎖シャトリング剤は、上記有機金属化合物の組み合わせによって形成される反応生成物または混合物を含む。例えば、トリ(C
1−8)アルキルアルミニウムまたはジ(C
1−8)アルキル亜鉛化合物、特にトリエチルアルミニウム、トリ(i−プロピル)アルミニウム、トリ(i−ブチル)アルミニウム、トリ(n−ヘキシル)アルミニウム、トリ(n−オクチル)アルミニウム、またはジエチル亜鉛、第2級アミンまたはヒドロキシル化合物の化学量論的量より少ない(ヒドロカルビル基の数に対して)、特にビス(トリメチルシリル)アミン、t−ブチル(ジメチル)シロキサン、2−ヒドロキシメチルピリジン、ジ(n−ペンチル)アミン、2,6−ジ(t−ブチル)フェノール、エチル(1−ナフチル)アミン、ビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミン)または2,6−ジフェニルフェノール。金属原子当たり1つのヒドロカルビル基が残るように、十分なアミンまたはヒドロキシル試薬を使用することができる。このうち、例示的な鎖シャトリング剤は、n−オクチルアルミニウム、ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、i−プロピルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)、及びn−オクチルアルミニウムジ(ピリジニル−2−メトキシド)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)である。
【0023】
例示的な実施形態では、鎖シャトリング剤は、各ヒドロカルビル基に1〜12個の炭素を含むトリヒドロカルビルアルミニウム−またはジヒドロカルビル亜鉛−化合物である。例えば、鎖シャトリング剤は、主要成分としてジエチル亜鉛(DEZ)を含むことができる(例えば、この方法で使用される鎖シャトリング剤の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、及び/または少なくとも95重量%の量で)。
【0024】
触媒及び助触媒
例示的な触媒及び助触媒は、米国特許第7,951,882号及び同第7,981,992号で論じられている。例示的な触媒は、オレフィン重合触媒を含む。例えば、本明細書で使用される触媒は、所望の組成またはタイプのポリマーを調製するのに適した任意の化合物または化合物の組み合わせを含む。不均質及び/または均質触媒を使用することができる。不均一系触媒の例には、チーグラー・ナッタ組成物、例えば、第2族金属ハロゲン化物または混合ハロゲン化物及びアルコキシドに担持された第4族金属ハロゲン化物及びクロムまたはバナジウム系触媒が含まれる。例えば、本明細書で使用される触媒は、比較的純粋な有機金属化合物または金属錯体、特に、元素周期律表の第3〜10族またはランタニド系列から選択される金属に基づく化合物または錯体を含む均質触媒である。本明細書で使用される任意の触媒は、本重合の条件下で他の触媒の性能に著しく有害な影響を与えないことが好ましい。望ましくは、触媒は、鎖シャトリング重合の条件下では、25%を超える、及び/または10%を超える活性の低下がない。
【0025】
本明細書で第1の触媒として使用するための金属錯体には、1つ以上の非局在化π結合配位子または多価ルイス塩基配位子を含む元素周期律表の第3族〜第15族から選択される遷移金属の錯体が含まれる。例としては、メタロセン、ハーフ−メタロセン、制約されたジオメトリー、及び多価ピリジルアミン、または他のポリキレーティング基錯体が挙げられる。錯体は一般に次の式で示される、MK
kX
xZ
z、またはその二量体、式中、
Mは、元素周期律表の第3〜15族(例えば、第3〜10族、第4〜8族、及び/または第4族)から選択される金属であり、
Kは、発生ごとに独立して、非局在化π電子または1以上の電子対を含有する基であって、KがMに結合しており、前記K基は、水素原子を含まない50個までの原子を含み、任意選択で2つ以上のK基は一緒に結合して、架橋構造を形成し、さらに任意選択で、1つ以上のK基は、Z、XまたはZとXの両方に結合していてもよく、
Xは、発生ごとに独立して、40個までの非水素原子を有する1価のアニオン性部分であり、任意選択で1つ以上のX基は一緒に結合して、それにより2価または多価アニオン基を形成し、さらに任意選択で、1つ以上のX基と1つ以上のZ基は一緒に結合して、それによりMと共有結合してそれに配位している部分を形成することができ、
Zは、発生ごとに独立して、ZがMに配位している少なくとも1つの非共有電子対を含む50個までの非水素原子の中性のルイス塩基供与体配位子であり、
kは0〜3の整数であり、
xは1〜4の整数であり、
zは0〜3の整数であり、
k+xの合計は、Mの形式的酸化状態に等しい。
【0026】
鎖シャトリング剤を除外する混合触媒及び共触媒は、第1の反応器もしくは反応器帯域の液相及び任意選択で第2の反応器もしくは反応器帯域、またはその任意のリサイクルされた部分に連続的もしくは間欠的に導入される。
【0027】
モノマー
ブロックコポリマーの調製に使用されるα−オレフィンモノマーは、プロピレン、エチレン、及び他のC
4−10α−オレフィン、例えば、1−ブタジエン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン及び1−デセンを含む。例示的な実施形態では、ブロックコポリマーは、プロピレン及びエチレンを使用して調製される。例えば、ブロックコポリマーは、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)及びエチレンプロピレン(EP)ブロックコポリマー、すなわちiPP−EPブロックコポリマーであってもよい。
【0028】
溶媒
重合されるモノマーは、溶媒(希釈剤とも称される)及び鎖シャトリング剤と共に連続的に導入される。溶媒は、1つ以上の溶媒を含み得る。溶媒は、ポリマーを溶解することができる非極性溶媒または溶媒混合物、及び任意選択で触媒成分及び/または鎖シャトリング剤であってもよい。第1の反応器または反応器帯域への第1の混合物の供給は、溶媒、任意の鎖シャトリング剤及び溶解したポリマーと共にモノマーを構成する(例えば、から本質的になる、またはからなる)液相を含み得る。例示的な溶媒としては、C
4−10炭化水素またはそれらの混合物、特にアルカン、例えばヘキサンまたはアルカンの混合物を含む。
【0029】
例示的なプロセス
ある実施形態では、ブロックコポリマーを製造するとき、鎖シャトリング剤(ジエチル亜鉛−DEZなど)は触媒成分と考えられるが、触媒成分は供給されない。特に、鎖シャトリング剤は、第1の混合物として溶媒、1つ以上の重合性C
2〜C
10α−オレフィンモノマー、及び任意選択で、水素(ブロックコポリマーを形成するプロセスにおいて水素が使用される場合)と共に供給される。少なくとも1つの重合触媒及び少なくとも1つの助触媒を含む触媒供給材料は、鎖シャトリング剤を含まず、第1の混合物とは別個の第2の混合物として供給される。さらに、循環する反応器の内容物を加熱してもよい(例えば、100℃〜160℃の温度に)。鎖シャトリング剤が小流量触媒供給材料の一部として添加されるとき、第2の混合物注入器(すなわち、触媒供給注入器)の詰まりは、熱い反応器に供給されたとき、DEZのような鎖シャトリング剤の分解に少なくとも部分的に基づいて起こることが理論化される。これは、暖かい反応器の内容物から第2の混合物注入器アセンブリの配管への熱伝達に基づき、第2の混合物の温度をCSAの分解温度より上に上昇させる。したがって、より大流量の第1の混合物供給材料及び任意選択で冷却された第1の混合物供給材料を有するDEZを導入することによって、第2の混合物注入器の詰まりが低減及び/または最小化され得る。さらに、より大流量の第1の混合物供給材料の一部としてDEZを導入することにより、全体の供給材料は、第1の混合物注入器の配管内の暖かい反応器内容物からの熱伝達に対して鈍感であり、第1の混合物は、任意選択で冷却され得る、そうであるから第1の混合物注入器の詰まりは、第1の混合物にDEZを含めることによってはあまり影響されないことがある。
【0030】
さらに、DEZのような鎖シャトリング剤は、ブロックコポリマー(ジブロックコポリマーなど)を製造するときの分子量を調節する主成分であるため、反応器への供給材料注入時またはその付近で過度に高い分子量を製造する危険性は、より小流量の触媒系の代わりにより大流量の供給流中に分散して鎖シャトリング剤を配置することによって緩和され得る。したがって、より大流量の供給流中で混合された鎖シャトリング剤を導入することにより、反応器または反応器帯域の詰まりを低減及び/または最小化することができる。そうであるから、これは、反応器汚損及び/または生成物の品質に悪影響を及ぼす可能性のある反応器ゲルの形成を減少させる。
【0031】
鎖シャトリング重合方法を実施するための例示的な方法であって、鎖シャトリング剤がより大流量供給材料で供給される方法は、溶液重合条件下で運転される1つ以上の連続撹拌槽またはループ反応器を利用する。一方、重合されるモノマーは、第1の反応器または反応器帯域の一部分で、任意の溶媒及び鎖シャトリング剤と共に連続的に導入される。第1の反応器または反応器帯域は、任意の溶媒、鎖シャトリング剤、及び溶解したポリマーと共に実質的にモノマーからなる比較的均質な液相を含有する。多重ループ反応器の使用、直列の運転を含む、ループ反応器及びその使用のための運転条件の例は、米国特許第5,977,251号及び同第6,319,989号に見出すことができる。オレフィンブロックコポリマーを調製するためのループ反応器の使用例は、例えば、米国特許第8,569,422号の実施例5〜12で論じられており、それは、直列に構成された2つの再循環ループ反応器を利用する製造方法について言及する。
【0032】
連続撹拌槽反応器(CSTR)は、反応物及び生成物の連続的に流しながら定常状態で運転することができる。供給材料は、出口流が槽内と同じ組成を有するように、反応器全体にわたって均一な組成をとる。ブロックコポリマーは、直列に接続された2つのCSTRを使用して調製することができる。各反応器は液圧で満ちていてもよく、定常状態の条件で動作するように設定されてもよい。例えば、モノマー、溶媒、鎖シャトリング剤及び任意選択で水素を含む第1の供給材料と、少なくとも触媒−1、助触媒−1を含み、鎖シャトリング剤を除外する、所定のプロセス条件に従って第1の反応器に供給される、第2の供給物を流すことによって試料を調製することができる。次いで、得られた試料は第2の反応器に直列に流入する。スカベンジャーとしての少量の変性メチルアルモキサン(MMAO)と共に、追加のモノマー、溶媒、触媒−1及び/または助触媒−1を第2の反応器に添加することができる。様々な試料C1及びD1は、2つの反応器の条件を制御することによって調製することができる。
【0033】
ループ反応器は、バッチ(閉ループ)または連続的な配置のいずれかで運転することができる。バッチループ反応器は、反応物の初期装入物を受け取るために使用される容器を含むことができ、反応後の気体または固体生成物の分離にも使用することができる。場合によっては、再循環流のエネルギーは、槽内容物を混合するジェットの形態で使用することができる。連続ループ反応器は、ループ(または存在する場合には槽)に入っている供給流(例えば、それぞれ少なくとも第1の混合物及び第2の混合物を含む少なくとも2つの別個の流れ)及びそれから離れる生成物流を有する。ループ周りの再循環率は、処理量率とは独立に設定することができる。この柔軟性は、反応器全体の滞留時間分布を、反応の要求に適合させるために使用することができる。再循環流と貫通流との比が高いほど、理想的なバックミキシングに対するループ反応器の全体的な挙動がより近くなる。このような調整は、ポンプの速度を変更したり、多少配管を切り替えたりして、複数の製品の反応器の製品間で行われることがある。
【0034】
ループ反応器は、1つ以上のポンプ、1つ以上の熱交換器、1つ以上の供給注入器、及び1つ以上の混合要素を含む。これらの要素は直列に接続され、反応プロセス流体はループ状にポンプ輸送される。例示的なループ反応器を
図1及び2に示す。
図1は、鎖シャトリング剤が小流量触媒供給材料の一部である、関連技術の例示的な連続ループ反応器の配置を示す。
図1は、図及び実施例1〜6に関して米国特許第7,989,551号で論じられている配置と同様であり、第1のループ反応器が第2の反応器に供給される代わりに修正を加えて、ループ反応器出口(米国特許第7,989,551号の要素50と称される)は、反応器の内容物を移動するためのポートとして機能し、ポリマー回収帯域と動作的に連通している。一方、米国特許第7,989,551号では、第1の反応器を出た後に、ポリマーを回収帯域中のプロセス溶媒及び未反応モノマーから分離することができる。
図2は、鎖シャトリング剤が、溶媒、モノマー、及び任意選択で水素を含む大流量及び任意選択で冷却された供給材料の一部である、例示的な連続ループ反応器の配置を示す。
【0035】
図1及び2に関して、熱交換器1及び熱交換器2が、シェル及びチューブ交換機として示されている。シェル及びチューブ熱交換器は、一連のチューブを含む。これらのチューブの1つのセットは、加熱または冷却される第1の流体を含む。第2の流体は、第1の流体を内部に有するチューブを流れ、熱を供給するかまたは熱を吸収することができる。例示的な実施形態では、他のタイプの熱交換器、例えば、プレート及びシェル熱交換器、プレート熱交換器、及び/またはプレートフィン熱交換器を使用することができる。チューブ内では、スタティックミキサーを用いて、熱伝達を高め、及び/または反応混合物の混合を改善することができる。スタティックミキサーは、反応流体の混合を改善し、及び/または交換器のヒーター伝達性能を高めることができる。
【0036】
図1及び2に関して、ポンプ3はループ反応器の循環ポンプである。使用することができる例示的なポンプは、容積流量式ポンプ(回転式容積流量式ポンプ、往復式容積流量式ポンプ、及びスクリューポンプなど)、高速ポンプ(遠心式ポンプ、放射線状流ポンプ、軸流ポンプ、及び混合流ポンプ)を含む。
【0037】
図1及び2に関して、ミキサー4、5及び6は、底部の新鮮な供給材料、触媒供給材料及び上部の新鮮な供給材料をループ配管にそれぞれ分散させるスタティックミキサーである(これは、当業者に理解されるように、ラインによって提供される)。スタティックミキサーは、流れの強い乱流を使用して混合を完成するためにプレート型設計を使用することができる。スタティックミキサー要素は、金属または様々なプラスチックからなる一連の混合要素(例えば、非動バッフル)を含むことができる。同様に、スタティックミキサーハウジングは金属製であってもよい。スタティックミキサーは、2つの流体の流れをその中に供給するための方法を組み込むように設計されてもよい。流れがスタティックミキサーを通って移動するとき、混合要素は連続的に材料をブレンドし、流れ分割及び放射状混合のパターンを生成する。流れ分割とは、処理された材料が混合要素の先端縁で分割され、混合要素の形状によって形成されたチャネルに続く層流を指す。後続の各混合要素では、チャネルはさらに分割され、層形成の指数関数的な増加をもたらす。放射状混合とは、乱流または層流を指し、ミキサーの各チャネル内のそれ自体の液圧中心の周囲の処理された材料の回転循環が、材料の放射線状混合を引き起こす。処理された材料は、温度、速度、及び/または材料組成における放射状勾配を低減または排除するために混合される。
【0038】
鎖シャトリング重合プロセスは、液相重合または気相重合として行うことができる。例えば、撹拌槽反応器において、重合されるべきモノマーは、任意の液相溶媒と共に連続的に導入されてもよい。そうであるから、反応器は、実質的にモノマーと溶媒及び溶解ポリマーとからなる液相を含有する。
【0039】
本明細書で用いるための例示的な気相重合法は、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィンコポリマー及び他のオレフィンポリマーの製造のために大規模に商業的に使用されている既知の方法と実質的に同様である。使用される気相法は、例えば、重合反応帯域として機械的に撹拌される床またはガス流動床を使用するタイプのものであり得る。例としては、流動化ガスの流れによって多孔板または流動化グリッドの上に支持またはつるされたポリマー粒子の流動床を含む垂直円筒形重合反応器中で重合反応を行う方法が挙げられる。
【0040】
気相プロセスは、反応器の反応帯域への反応物の連続的供給及び反応器の反応帯域からの生成物の移動を提供する連続プロセスを利用してもよく、それにより反応器の反応帯域でのマクロスケールで定常状態を提供する。生成物は、既知の技術に従って、減圧及び任意選択で上昇した温度(揮発分除去)への曝露によって容易に回収することができる。例えば、気相プロセスの流動床は、50℃を超える温度(例えば、60℃〜110℃及び/または70℃〜110℃)で動作される。
【0041】
ブロックコポリマー及びブロック複合体に関する用語
鎖シャトリング重合を利用して、ブロックコポリマーを含むブロック複合体組成物を形成することができる。関連する用語については下記に論じる。
【0042】
「組成物」などの用語は、2つ以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。例えば、1つの組成物は、少なくとも熱可塑性ポリオレフィンとブロックインターポリマーとの組み合わせである。さらに、「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、透過型電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当技術分野で知られている他の任意の方法から決定されるように、1つ以上のドメイン配置を含んでも含まなくてもよい。
【0043】
「ポリマー」は、同じタイプまたは異なるタイプのモノマーを重合することによって調製される化合物を意味する。したがって、一般的な用語のポリマーは、通常、1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すのに用いられるホモポリマーという用語、及びインターポリマーという用語を包含する。この用語はまた、インターポリマーの全ての形態、例えば、ランダム、ブロック、均質、不均一などを包含する。さらに、「インターポリマー」及び「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。これらの一般的な用語には、古典的コポリマー、すなわち2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー、及び2つを超える異なるタイプのモノマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどから調製されるポリマーの両方が含まれる。
【0044】
「エチレン系ポリマー」などの用語は、(重合性モノマーの総重量に基づいて)大部分の重量%の重合したエチレンモノマーを含むポリマーを意味し、任意選択でエチレンとは異なる少なくとも1つの重合したモノマー(例えば、C
3−10のオレフィンから選択される少なくとも1つ)、及び任意選択で少なくとも1つの炭素二重結合を含む少なくとも1つの炭化水素を含むことができ、エチレン系インターポリマーを形成する。例えば、エチレン系ポリマーがコポリマーである場合、エチレンの量はコポリマーに対する全重量に対して50重量%より多い。エチレン系ポリマーがエチレン/コモノマー/ジエンインターポリマーである場合、エチレンの量はコモノマーの量及びジエンの量よりも多い。「エチレンから誘導される単位」などの用語は、エチレンの重合から形成されるポリマーの単位を意味する。
【0045】
「ポリプロピレン系ポリマー」などの用語は、(重合性モノマーの総量に基づいて)大部分の重量%の重合したプロピレンモノマーを含むポリマーを意味し、任意選択でプロピレンとは異なる少なくとも1つの重合したコモノマー(例えば、エチレン及びC
4−10のオレフィンから選択される少なくとも1つ)、及び任意選択で少なくとも1つの炭素二重結合を含む少なくとも1つの炭化水素を含み、プロピレン系インターポリマーを形成する。例えば、ポリプロピレン系ポリマーがコポリマーである場合、ポリプロピレンの量はコポリマーの全重量に対して50重量%より多い。「ポリプロピレンから誘導される単位」などの用語は、ポリプロピレンモノマーの重合から形成されるポリマーの単位を意味する。
【0046】
「αーオレフィン系ポリマー」などの用語は、(重合性モノマーの総量に基づいて)大部分の重量%の重合したαーオレフィンモノマーを含むポリマーを意味し、任意選択で重合したαーオレフィンモノマーとは異なる少なくとも1つの重合したαーオレフィンコモノマー、及び任意選択で少なくとも1つの炭素二重結合を含む少なくとも1つの炭化水素を含み、αーオレフィン系インターポリマーを形成する。αオレフィンモノマー及びコモノマーとは、C
4−10αオレフィンの1つを意味する。「αオレフィンから誘導される単位」などの用語は、αオレフィンモノマーの重合から形成されるポリマーの単位を意味する。
【0047】
「ブロック複合体」(BC)という用語は、10モル%を超え95モル%未満である全コモノマー含量(C
2−10α−オレフィンの1つ)を有する第1のコポリマー、モノマー含量(C
2−10α−オレフィンの別の1つ)を有する第2のコポリマー、及びブロックコポリマー(例えば、第1の区分及び第2の区分を有するジブロック)を含む組成物を指す。ブロックコポリマーの第1の区分は、ブロック複合体中の第1のコポリマーと本質的に同じ組成であり、ブロックコポリマーの第2の区分は、ブロック複合体の第2のポリマーと本質的に同じ組成である。第1のコポリマーは、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、またはα−オレフィン系ポリマーである。第2のポリマーは、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、またはα−オレフィン系ポリマーである。例えば、第1のコポリマーは、エチレン−プロピレン系のコポリマーであってもよく、第2のポリマーは、ポリプロピレンであってもよい。
【0048】
ブロックコポリマーは、2つ以上のブロックを含み、例えば、2つのブロックを有するジブロックコポリマーであり得る。例示的な実施形態において、第1のコポリマー及びブロックは、重合した単位の非晶質、実質的に非晶質またはエラストマーのブロックである「軟質」区分/ブロックであってもよい。第2のポリマー及びブロックは、重合単位の結晶質のブロックである「硬質」区分/ブロックであってもよい。したがって、例示的な実施形態では、ブロックコポリマーは、差異化されたポリマー組成または特性の2つの領域または区分を含む。
【0049】
「硬質」区分は、モノマーが90mol%を超え、93mol%を超え、95mol%を超える、及び/または98mol%を超える量で存在する、重合した単位の高度な結晶質のブロックを指す。言い換えれば、硬質区分中の全コモノマー含量は、2モル%未満、5モル%未満、7モル%未満、及び/または10モル%未満である。いくつかの実施形態では、硬質区分は、全てまたは実質的に全てのプロピレン単位を含む。例えば、硬質区分は、アイソタクチックポリプロピレンを含むことができる。一方、「軟質」区分は、重合した単位の非晶質、実質的に非晶質またはエラストマーのブロックを指し、総コモノマー含量(C
2及びC
4−10α−オレフィン及び/またはジエンの1つ)が10モル%を超え90モル%未満(例えば、20モル%を超え80モル%未満、及び/または33モル%を超え75モル%未満)である。高い結晶化度の硬質ブロックを含むブロックコポリマーは、100℃を超える融点を有する硬質ブロックを有するポリマーである。
【0050】
「結晶質」という用語は、示差走査熱量測定法(DSC)または同等の技術によって決定される1次転移または結晶融点(Tm)を有するポリマーまたはポリマーブロックを指す。この用語は、「半結晶質」という用語と互換的に使用することができる。「結晶化可能な」という用語は、得られたポリマーが結晶質であるように重合することができるモノマーを指す。結晶質プロピレンポリマーは、0.88g/cc〜0.91g/ccの密度及び100℃〜170℃の融点を有することができるが、これらに限定されない。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定法(DSC)または同等の技術によって決定される結晶融点を欠いているポリマーを指す。
【0051】
「アイソタクチック」という用語は、
13C−NMR分析によって決定される少なくとも70%のアイソタクチックペンタッドを有するポリマー繰り返し単位として定義される。「高度アイソタクチック」は、少なくとも90%のアイソタクチックペンタッドを有するポリマーとして定義される。例えば、ブロックコポリマーの硬質ブロック/区分は、アイソタクチックポリプロピレンであってもよい。
【実施例】
【0052】
実施例1及び比較例Aは、下記の表1に示す供給量を使用して、第1のループ反応器、続いて直列に配置された第2の反応器を使用して調製される。実施例1に関して、ジエチル亜鉛(DEZ)である鎖シャトリング剤を、溶媒、プロピレン及びエチレン(任意選択の水素は第1の反応器に供給されない)を含むより大きい流量供給流中に添加する。比較例Aに関して、鎖シャトリング剤を、触媒、助触媒−1及び助触媒2を含むより小さい流量の流れに添加する。
【0053】
触媒−1([[rel−2’、2’’’−[(1R、2R)−1,2−シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ−κO)]ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−メチル[1,1’−ビフェニル]−2−オラト−κO]](2−)]ジメチル−ハフニウム)。長鎖トリアルキルアミン(Akzo−Nobel,Inc.から上市されているArmeen(商標)M2HT)、HCl及びLi[B(C
6F
5)
4]の反応によって調製されたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートのメチルジ(C
14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物である助触媒−1は、実質的には、米国特許第5,919,9883号、実施例2で開示されており、Boulder Scientificから購入し、さらに精製することなく使用する。共触媒2は変性メチルアルモキサン(MMAO)であり、Akzo Nobelから購入し、さらに精製することなく使用する。CSAは、Akzo Nobelから購入され、さらに精製することなく使用されるジエチル亜鉛(DEZ)である。溶媒は、ExxonMobil Chemical Companyから入手可能な炭化水素混合物ISOPAR(商標)Eであり、使用前に13−Xモレキュラーシーブの床を通して精製される。
【0054】
実施例1〜3及び比較例Aの供給量比率、エチレン含量及び測定された圧力降下の増加に関する第1の反応器条件及び計算値は以下の通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
表1を参照すると、比較例A及び実施例1の両方について、CSAのppmでの全濃度が類似していることが観察される。しかしながら、下記に説明するように、プロセスに関しては大きな相違が認識される。さらに、表1を参照すると、比較例A及び実施例1〜3については、第1の反応器中のポリマー生成物について93重量%〜98重量%の範囲のエチレン重量パーセントで、比較例Aについては、実施例1〜3と比較して、顕著なより高い1日あたりの圧力降下の増加が観察される。例えば、溶媒及びモノマーの代わりに触媒をCSAに添加した場合、1日あたりの平均圧力降下は少なくとも15倍増加する。例えば、鎖シャトリング剤、溶媒、及び1つ以上のC
2〜C
10αオレフィン重合性モノマー(例えば、エチレン及び1つまたは2つのC
3〜C
10αオレフィン及び/またはエチレン及びプロピレン)を一緒に1つの供給材料として、第1の反応器へ添加することによって、1日あたりの平均圧力降下の増加は、鎖シャトリング剤、触媒、助触媒−1及び助触媒−2を一緒に第1の反応器への供給材料として加えることと比較して、少なくとも15倍減少し得る。これは、第1の反応器に存在するポリマーについて同様のエチレン含量(エチレンの±10重量%)を有する生成物について実現され得る。
【0057】
プロセスを評価するために、第1のループ反応器の再循環ポンプにわたる圧力降下(psi)を、実施例1〜3及び比較例Aについて、17日の連続運転期間の間観察する。圧力降下の増加は、1日あたりのpsi(24時間)の圧力変化として記録される。そのような顕著な圧力降下の増加は、17日の連続運転期間の間の平均である。一方、少なくとも80psiの圧力降下では、これらの2つの実施例に使用された特定の装置にかなりの量の反応器汚損が生じており、システムを洗浄するために停止する必要があると推定される。
図3を参照すると、ポンプ全域にわたってより低い圧力降下及び圧力降下における著しくより低い増加が、比較例Aと比較して、実施例1〜3について実現されることが示されている。
図4を参照すると、圧力降下の増加の著しくより低い百分率が、比較例Aと比較して、実施例1〜3について実現されることも示されている。さらに、
図5及び6を参照すると、ループ反応器内のスタティックミキサーで観察された汚損の量が、実施例1(
図6に示す)と比較して、比較例A(
図5に示す)に関して、著しく大きいことは明らかである。