【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様から見て、本技術は、振動感受性評価のためのデバイスを提供し、デバイスは、デバイスをプログラム可能な振動源へ着脱自在に接続するように構成されたアタッチメント部分、および被験者の皮膚上の検査位置にあてがわれて、プログラム可能な振動源によって発生した振動を検査位置へ伝えるように構成されたプローブを備える。
【0007】
本デバイスの発明者らは、プログラム可能な振動源へのアタッチメントとして形成された簡易な低コスト・デバイスを提供することが振動感受性評価を実施することを可能にする文脈において有利なことを理解した。これは、特に以下の事実に起因する、すなわち、デバイス自体がプログラム可能な振動源とは独立して提供されるため(もちろん、振動感受性評価を実施することを可能にするためにその後プログラム可能な振動源と組み合わされるが)、デバイスを比較的小さく、大きな支出なしに製造できて、(臨床現場では特に有用な)ディスポーザブルにでき、様々な構成で(各構成に係る特定の利益を伴って)比較的安価に提供できるためである。
【0008】
プログラム可能な振動源は、デバイスによって被験者の皮膚へ伝えられるのに適した振幅および周波数の振動を発生させる、様々な形態をとってよい。しかしながら、本発明の発明者らは、便利なプログラム可能な振動源が携帯電話によって提供されてよいことを理解した。
【0009】
プローブは、様々な形状、形態およびサイズをとってよいが、いくつかの実施形態ではプローブがらせん状部分を備える。本発明の文脈において利用されてよいらせん状構造物の1つの特性は、(特に、特性周波数を有する)その固有共振であり、プログラム可能な振動源からの振動を振動感受性の臨床的評価にとって適切な仕方で被験者の皮膚へ伝えるために、固有共振を(らせん状構造物の寸法、プローブが作られた材料などの適切な選択によって)選定することができる。
【0010】
振動が伝えられるこの仕方は、例えば、プログラム可能な振動源によって発生した振動の振幅が検査位置に到達する時間までに減少するような、減衰効果を備えてよい。それに応じていくつかの実施形態では、らせん状部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成される。
【0011】
代わりに、プログラム可能な振動源によって発生する振動の特性、および検査位置に加えられるべき振動の所望の特性に依存して、振動の強化が望まれる場合がある。それに応じていくつかの実施形態では、らせん状部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動と共振するように構成される。
【0012】
プローブは、その形状、形態およびサイズの観点からだけでなく、それが製造される材料の観点からも様々に構成されてよい。プローブは、金属、非金属、または2つの組み合わせであってよい。
【0013】
被験者の皮膚上の検査位置と接触するプローブの部分は、臨床的要件に依存して様々に構成されてよい。例えば、振動感受性評価を実施することになる異なる検査位置での使用のために異なる形状のプローブが提供されてよい。末梢性ニューロパチーの評価の文脈において、この評価を指先で(または、より深刻な末梢性ニューロパチーの場合にはより一般的に指で)、手の上の他の位置で、膝で、および足指の上で(または、より深刻な末梢性ニューロパチーの場合にはより一般的に足の周りで)行うことが普及している。各位置にプローブの1つの構成が用いられてもよく、または少なくとも1つの異なる位置に異なる構成が用いられてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、プローブの近位端は、アタッチメント部分へ接続し、プローブの遠位端は、先細りして尖る。尖ったプローブは、より正確な検査位置を検査をできるようにするが、検査振動を相応に特異的に伝えることにもなり、これは、(結果として生じるいずれかのより大きい強度に患者が耐えうる限り)その検査位置に焦点を合わせた評価に役立つであろう。
【0015】
プローブの遠位端の他の構成は、例えば、プローブの比較的平らな鈍い端部として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、プローブの近位端は、アタッチメント部分へ接続し、プローブの遠位端は、丸みを帯びている。プローブ遠位端(distal end probe)のこの丸みは、患者によってより心地よく知覚されることがある。いくつかの実施形態では、プローブの丸みを帯びた遠位端は、実質的に球状の部分によって提供される。これは、例えば、プローブの遠位端を形成する真「球」であってもよく、またはより一般的に様々な丸みを帯びた塊であってもよい。
【0016】
上述のように、プローブは、ある範囲の材料から製造されてよく、1つまたは複数の材料をプローブ用に選定するときに重要な1つの特定のパラメータは、振動を伝えるその能力である。加えて、いくつかの実施形態では、プローブによって伝えられる振動の減衰がプローブの端部に少なくとも1つのパッドを追加することによって与えられてよい。これは、例えば、プローブの製造後であっても、減衰のある程度の微調整を行うことを可能にしてよく、または、例えば、特に良好な振動感受性を有し、それゆえに、ずっとより低い強度の振動を感知することが可能でありうる患者に対してプローブの振動伝達特性を調整するために用いられてもよい。それに応じていくつかの実施形態では、プローブがプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成された少なくとも1つの着脱自在なパッドを備える。
【0017】
プローブが作られる材料の選定に加えて、プローブが製造される材料の密度を変えることによってプローブの振動伝達特性を選定できる。それに応じていくつかの実施では、プローブが不均一な密度を有する。例えば、プローブの遠位端(すなわち、基本的に患者の皮膚に接触するプローブの部分)は、デバイスの残りの部分とは異なる(例えば、より低い)密度を有してよい。
【0018】
デバイス自体は、振動発生能力を有さないので、典型的に一体物として、低コストで容易に製造することができる。これを行うことができるであろう様々な手法があるが、いくつかの実施形態では、デバイスが一体物として形成され、この一体物は、3D印刷、射出成形、およびミリングの技術のうちの少なくとも1つによって製造された。
【0019】
デバイスのアタッチメント部分は、プログラム可能な振動源によって発生した振動を変更するように構成されてもよく、それに応じていくつかの実施形態では、アタッチメント部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成される。これは、例えば、アタッチメント部分が作られる材料、その材料の密度、アタッチメント部分がとる特定の形態(すなわち、プログラム可能な振動源への取り付けられ方)および/またはアタッチメント部分がプログラム可能な振動源をいかにしっかりと把持するかの選択によって達成されてよい。
【0020】
もちろん、振動がプログラム可能な振動源からデバイスへ伝達される効率を高めるために、材料、密度、形態および/または把持の堅固さのこれらの選定が行われてもよい。いくつかの実施形態では、アタッチメント部分は、プログラム可能な振動源の金属製リムに直接接触するように構成される。このリムは、例えば、携帯電話またはタブレット・コンピューティングデバイスの外周に典型的に見られる金属製リムであってよい。
【0021】
アタッチメント部分がデバイスをプログラム可能な振動源へ接続する仕方は、様々な形態をとってよいが、いくつかの実施形態では、デバイスが弾性を有する材料から形成され、アタッチメント部分は、デバイスがプログラム可能な振動源へ接続されるときにアタッチメント部分がプログラム可能な振動源を把持するよう材料の弾性が促すような寸法に形作られる。このように、デバイスがプログラム可能な振動源を把持できるようにアタッチメント部分が作られる材料の固有の弾性(すなわち、弾力性)を利用することができる。例えば、アタッチメント部分が付着するプログラム可能な振動源の部分の寸法にぴったりと一致するような寸法に形作られる場合、実際には、様々なプッシュフィットカップリングをサポートできるように、アタッチメント部分は、ごくわずかにより小さい寸法に形作られてよい。
【0022】
代わりに、または加えて、アタッチメント部分は、プログラム可能な振動源を把持することを可能にするいくつかの多様なメカニズムを有してよく、いくつかの実施形態では、アタッチメント部分が調整可能な保持デバイスを備え、調整可能な保持デバイスは、プログラム可能な振動源の一部分をアタッチメント部分へ挿入できるように開かれ、プログラム可能な振動源のその部分を把持するために閉じられるように構成される。この開閉可能なアタッチメント部分は、例えば、(広く言えば、ブルドッグクリップを構成する仕方で)ばね接続を利用してもよく、または、例えば、調整ねじのようなデバイスを備えてもよく、ユーザがそれを用いてアタッチメント部分をプログラム可能な振動源上へ固定してもよい。
【0023】
上述のように、プログラム可能な振動源は、様々な形態をとってよいが、いくつかの実施形態では携帯電話である。携帯電話の遍在性が意味するのは、デバイスを多くの異なるエンドユーザに提供できて、その場合にエンドユーザが、彼らのポケットまたはハンドバッグ中に偶々持ち歩いている「プログラム可能な振動源」を利用して、振動感受性評価を自ら実施できるということである。携帯電話の振動能力は、もちろん、ユーザのための通知メカニズムとして携帯電話製造会社によって提供されることは分かるが、本発明の発明者らが理解したのは、この振動能力が、本デバイスの使用を通じて、振動感受性評価をサポートできる(本デバイスが携帯電話へ接続された)組み合わせシステムを提供するように適合されてよいということである。
【0024】
以下により詳細に考察されるように、(「スマートフォン」としても知られる)最新の携帯電話のプログラム性が意味するのは、振動感受性評価を目的とした本デバイスの携帯電話への連結が振動感受性評価のためのシステムを提供し、このシステムが(例えば、本技術も提供する専用ソフトウェア(「app」)をダウンロードすることによって)高度にコンフィギャラブルであり、かつ、ユーザがそれを用いて(例えば、かかるデバイスのタッチスクリーンによって)インタラクトすることに既に非常に精通しているであろうということである。そのうえ、実施された振動感受性評価に関するデータを集めて、その後の(例えば、次の病院訪問時の臨床医による)ダウンロードのためにそれを電話に記憶するか、あるいはそれを集中収集ポイント(例えば、臨床医が働く病院)へ直接に送信するために、本技術によって携帯電話のデータ記憶およびデータ送信性能を利用することができる。
【0025】
しかし、当然のことながら、プログラム可能な振動源が携帯電話である必要はない。いくつかの実施形態における1つの有用な選択肢は、プログラム可能な振動源がタブレット・コンピューティングデバイスであることである。タブレット・コンピューティングデバイスは、多くの点で携帯電話と非常によく似ており、特に本技術の文脈では、このデバイスがプログラム可能なデバイスであり、かつ振動を発生させることが可能なことが理解されよう。要するに、この文脈における携帯電話とタブレット・コンピューティングデバイスとの間の唯一の顕著な違いは、デバイスの全体的なサイズであると考えることができる。タブレットの大きいサイズの方がインタラクトしやすいことを被験者が見出すであろうという事実により、より大型のタブレット・コンピューティングデバイスが本技術を適用するのに有益でありうる。実際に、当然のことながら、被験者の指先に多分影響を及ぼしているであろう、末梢性ニューロパチーの評価の文脈では、タブレット上に提供できる(携帯電話上に比べて)より大きいオンスクリーン「ボタン」の方が被験者にとって使いやすいであろう。それでもなお、この文脈において同様に注目すべきは、被験者自身が用いることになるデバイスには要件が何もないことであり、十分ありうるのは、このデバイスを臨床医または介護人が代わりに用い、被験者の皮膚上(test location test subject’s skin)の検査位置にプローブをあてがい、被験者が振動を感知できるかどうかを彼らに尋ねることである。末梢性ニューロパチーの臨床的評価の文脈において知られているのは、第三者が評価を実施するのが時には好ましいことであり、その理由は、被験者が彼ら自身の末梢性ニューロパチーの範囲について幾分か否認する場合に、振動が現在発生しているかどうかを被験者が前もって知ることと、それらの振動を彼らが知覚することにこれが影響するかまたは実際に彼らが振動を知覚できると自らに告げるリスクとをこの評価が回避するからである。
【0026】
第2の態様から見て、本技術は、振動感受性評価のためのシステムを提供し、システムは、上記のいずれかの形態のデバイス、およびプログラム可能な振動源を備える。
【0027】
上述のように、プログラム可能な振動源の振動発生性能は、例えば、携帯電話またはタブレットの性能であってよい。
それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がポータブル・コンピューティングデバイスであり、ポータブル・コンピューティングデバイスが振動を発生させる性能は、ポータブル・コンピューティングデバイスのユーザのための通知メカニズムとして提供される。
【0028】
取り付けられたデバイスを有する、プログラム可能な振動源は、振動感受性評価を様々な手法でサポートしてよい。いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源は、振動感受性評価手順を実施するように構成され、この手順は、振動の所定の強度を発生させるステップと、検査位置において振動の所定の強度を感じるための被験者の能力を示すユーザ入力を受信するステップとを備える。この手順は、プログラム可能な振動源とインタラクトしているユーザと一緒に、プログラム可能な振動源上へロードされた、例えば、携帯電話のための専用appの形態の適したプログラムを実行することによって実施できる。
【0029】
振動感受性評価は、適切ならば単一のステップのみを備えてよいが、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動は、振動感受性評価手順を反復ステップで実施するように構成され、反復ステップは、発生および受信ステップを行うステップと、振動の所定の強度を増加させるステップと、発生および受信ステップを繰り返すステップとを備える。このようにして、被験者が振動を感じることが可能になり始める閾値、すなわち、かれらが知覚できる最小振動強度を決定するために、一連の振動強度について被験者を評価することができる。
【0030】
振動の強度は、多くの方法で、例えば、振動の周波数および振幅を変えることによって変えられてよい。しかしながら、発生する振動の周波数および振幅のうちの少なくとも1つをプログラマが変えることを、デバイスが接続されたプログラム可能な振動源が許容しないケースもある。例えば、プログラム可能な振動源が携帯電話である場合には、プログラマが携帯電話の振動機能のオン・オフを切り換えることのみが可能なケースもある。この状況では、それでもなも、振動機能がアクティブなときのパターンを変化させることによって、振動感受性評価のための振動の強度が変えられてよい。例えば、振動機能は、所定の時間にわたって連続的にオンであってもよいが、その時間にわたってのみバースト的にオンしてもよく、バースト自体は、継続時間が変わってもよいなどである。振動感受性評価の文脈において見出されうるのは、例えば、同じ時間に対して振動のバースト・パターンの方が連続的な振動より被験者が知覚しやすいことがあるということである。それに応じて、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が振動の
アサーションパターンを所定の時間にわたって選定することによって振動の強度をセットするように構成される。
【0031】
他のプログラム可能な振動源は、それでもなお、振動発生のより十分な制御を行ってよく、従って、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が振動の周波数、および振動の振幅のうちの少なくとも1つを選定することによって振動の強度をセットするように構成される。
【0032】
上述のように、振動感受性評価は、被験者の皮膚上の種々の位置(例えば、指先、手、膝、足、足指など)で実施されてよく、それらの各位置で振動を感知するための被験者の能力は、ニューロパチーが何もなくても変化しうる。それに応じて、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が被験者の皮膚上の選定された検査位置に依存して振動の強度をセットするように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がユーザ入力の指示を備えるデータを振動の所定の強度と関連付けて記憶するように構成される。従って、振動感受性評価の1つまたは複数の結果の便利な局所的ロギングが提供されてよい。
【0034】
プログラム可能な振動源は、データを送信するための性能を有してよく、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がユーザ入力の指示を備えるデータを振動の所定の強度の指示と関連付けて所定の受信者へ送信するように構成される。振動感受性評価の1つまたは複数の結果が、例えば、即時の照合またはレビューのために病院へ送信されることが有用でありうる。この送信は、プログラム可能な振動源が有する任意の適した通信機能を介して、例えば、電話回線網を介して(例えば、3Gまたは4G性能を介して)、より局所的なネットワークを介して(例えば、無線ローカルエリアネットワークを介して)、(Bluetooth(登録商標)などの)短距離通信プロトコルなどを介して行われてよい。
【0035】
携帯電話などのいくつかのプログラム可能な振動源は、それらの地理的位置を、例えば、Wi−Fiネットワークまたは全地球測位衛星を参照して決定できることが知られている。この機構は、振動感受性評価が実施されたときのユーザの地理的位置をその振動感受性評価の結果と関連付けるために本技術によって利用されてよい。それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が地理的位置決定を行うように構成され、プログラム可能な振動源は、地理的位置の指示を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成される。
【0036】
プログラム可能な振動源によって実行されるプログラム(例えば、携帯電話上の「app」)は、例えば、ユーザの識別情報、彼らの年齢、彼らの性別、彼らの全体的な健康についての様々な質問への彼らの回答、ニューロパチーについての具体的な質問への彼らの回答、ニューロパチーによって影響を受けるかもしれない日常の機能を行うための彼らの能力に関する質問への彼らの回答などに関する情報を集めるために、手順に関する質問をユーザに提示するステップをさらに含んでよい。それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がプログラム可能な振動源によってユーザに提示された質問に対して受信されたユーザ応答を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成される。
【0037】
第3の態様から見て、本技術は、プログラム可能な振動源を上記のいずれかの形態のプログラム可能な振動源として動作させるように構成されたソフトウェアを提供する。
【0038】
第4の態様から見て、本技術は、プログラム可能な振動源を上記のいずれかの形態のプログラム可能な振動源として動作させるように構成されたソフトウェアが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0039】
第5の態様から見て、本技術は、振動感受性評価の方法を提供し、方法は、上記のいずれかの形態のデバイスをプログラム可能な振動源へ接続するステップと、プログラム可能な振動源を用いて振動の所定の強度を発生させるステップと、検査位置において振動の所定の強度を感じるための被験者の能力を示すユーザ入力を受信するステップとを備える。
【0040】
本技術が添付図面に示されるそれらの実施形態を参照して、単に例として、さらに記載される。