特許第6791881号(P6791881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791881振動感受性評価のためのデバイス、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791881
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】振動感受性評価のためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A61B10/00 X
【請求項の数】25
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-559873(P2017-559873)
(86)(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公表番号】特表2018-522615(P2018-522615A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】GB2016051405
(87)【国際公開番号】WO2016185191
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】1508513.7
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517396397
【氏名又は名称】ビーユー イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ヒッキシュ タマシュ フレデリック ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】デュビー ヴェンケテシュ ナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウガン ニール
(72)【発明者】
【氏名】コール ジョナサン デイヴィッド
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−512900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0166473(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0293731(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0066216(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0148727(US,A1)
【文献】 米国特許第05931793(US,A)
【文献】 米国特許第05854970(US,A)
【文献】 国際公開第2010/018383(WO,A1)
【文献】 特表2011−528259(JP,A)
【文献】 特開2012−030006(JP,A)
【文献】 特開2008−238087(JP,A)
【文献】 特表2013−530737(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104468890(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床的振動感受性評価のためのデバイス(10;40;50;60;76;80;100;110)であって、
前記デバイスを携帯電話へ着脱自在にクリップ留めするように構成されたアタッチメント部分(42;52;62;86;104;112)であって、前記アタッチメント部分の内部形状は、前記携帯電話の外部形状とぴったりと合うように構成される、アタッチメント部分と、
被験者の皮膚上の検査位置にあてがわれて、前記携帯電話によって発生した振動を前記検査位置へ伝えるように構成されたプローブ(44;54;64;74;84)と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記プローブは、らせん状部分(66;84)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記らせん状部分は、前記携帯電話によって発生した振動を減衰させるように構成された、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記らせん状部分は、前記携帯電話によって発生した振動と共振するように構成された、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記プローブの近位端は、前記アタッチメント部分へ接続し、前記プローブの遠位端は、先細りして尖る(46)、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プローブの近位端は、前記アタッチメント部分へ接続し、前記プローブの遠位端は、丸みを帯びた(56)、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プローブの前記丸みを帯びた遠位端は、実質的に球状の部分によって提供される(56,68,82)、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記プローブは、前記携帯電話によって発生した前記振動を減衰させるように構成された少なくとも1つの着脱自在なパッド(70)を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記プローブは、不均一な密度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、一体物として形成された、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記アタッチメント部分は、前記携帯電話によって発生した振動を減衰させるように構成された、請求項1〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記アタッチメント部分は、前記携帯電話の金属製リム(32)と直接接触するように構成された、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、弾性を有する材料から形成され、前記アタッチメント部分は、前記デバイスが前記携帯電話へ接続されたときに、前記アタッチメント部分が前記携帯電話を把持するよう前記材料の前記弾性が促すような寸法に形作られた、請求項1〜12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記アタッチメント部分は、調整可能な保持デバイスを備え、前記調整可能な保持デバイスは、前記携帯電話の一部分を前記アタッチメント部分へ挿入できるように開かれ、前記携帯電話の前記部分を把持するために閉じられるように構成された、請求項1〜13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
臨床的振動感受性評価のためのシステムであって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載のデバイスと、
前記携帯電話(20;102;116;126)と、
を備え、
前記携帯電話は、振動感受性評価手順を実施するように構成され、前記手順は、
前記振動の所定の強度を発生させるステップ(164)と、
前記検査位置において振動の前記所定の強度を感じるための前記被験者の能力を示すユーザ入力を受信するステップ(166)と、
を備え、
前記携帯電話は、前記振動感受性評価手順を反復ステップで実施するように構成され、前記反復ステップは、
発生および受信ステップを行うステップと、
前記振動の前記所定の強度を増加させるステップ(170)と、
前記発生および受信ステップを繰り返すステップと、
を備える、システム。
【請求項16】
前記携帯電話は、ポータブル・コンピューティングデバイスであり、前記振動を発生させるための前記ポータブル・コンピューティングデバイスの性能は、前記ポータブル・コンピューティングデバイスのユーザのための通知メカニズムとして提供される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記携帯電話は、前記振動のアサーションパターンを所定の時間にわたって選定することによって前記振動の前記強度をセットするように構成された、請求項1516のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記携帯電話は、
前記振動の周波数、および
前記振動の振幅
のうちの少なくとも1つを選定することによって前記振動の前記強度をセットするように構成された、請求項1517のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記携帯電話は、前記被験者の皮膚上の選定された検査位置に依存して前記振動の前記強度をセットするように構成された、請求項1518のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記携帯電話は、前記ユーザ入力の表示を備えるデータを振動の前記所定の強度の表示と関連付けて記憶するように構成された、請求項1519のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記携帯電話は、前記ユーザ入力の表示を備えるデータを振動の前記所定の強度の表示と関連付けて所定の受信者へ送信する(206)ように構成された、請求項1520のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記携帯電話は、地理的位置決定を行うように構成され、前記携帯電話は、地理的位置の表示を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成された、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記携帯電話は、前記携帯電話によってユーザに提示された質問に対して受信されたユーザ応答を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成された、請求項2022のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
携帯電話を請求項21のシステムにおける携帯電話として動作させるように構成されたソフトウェアであって、前記ソフトウェアは、ダウンロードされることができ、前記携帯電話に、ユーザが体のどの部分を検査すべきかを前記携帯電話のタッチスクリーンによって指示することができるように、体の部分の画像を表示させる、ソフトウェア。
【請求項25】
携帯電話を請求項21のシステムにおける携帯電話として動作させるように構成されたソフトウェアが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記ソフトウェアは、ダウンロードされることができ、前記携帯電話に、ユーザが体のどの部分を検査すべきかを前記携帯電話のタッチスクリーンによって指示することができるように、体の部分の画像を表示させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特にニューロパチーの評価のために、振動に対する対象者の感受性を検査するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
感覚、運動、または機能障害をもたらすニューロパチー−個人の神経の劣化−は、多くの医療状況において深刻な問題である。例えば、末梢性感覚ニューロパチーは、接触および振動に対する、または温度変化および痛みに対する個人の感受性を低下させることがあり、それ自体がヒリヒリ感、刺激感、さらに痛覚の原因でありうる。一方で、かかるニューロパチーは、糖尿病またはハンセン病などの疾患の結果であることもあるが、それ自体がニューロパチーの原因ではない状態を処置するための医療介入、例えば、様々なタイプの癌を処置するための化学療法または放射線療法の結果としても生じうる。ニューロパチーの原因が何であっても、疾患の進行をモニタするためにおよび/またはかかるニューロパチーが医学的処置の副作用として発生した範囲をモニタするためにも患者におけるニューロパチーの程度および範囲を臨床医が評価できることが医学的に著しく重要である。
【0003】
末梢性ニューロパチーの診断およびグレード分けのための様々なポイント・オブ・ケア検査(POCT:point−of−care−testing)システムが知られている。これらのシステムは、患者の体の上の特定の部位で振動感受性閾値を決定するために臨床医が用いてよい従来の病院ベースのニューロセシオメータ(neurothesiometer)を含む。例えば、末梢性ニューロパチーは、四肢、例えば、足指および指先に広く影響を及ぼすことが知られている。末梢性ニューロパチーの評価のための別の知られた技術は、モノフィラメントの使用であり、所定の物理的強度の細いフィラメントを検査位置にあてがい、フィラメントを曲げるのに十分な力を加え、モノフィラメントによってその検査位置に加えた圧力を患者が感知できたかどうかが判定される。ある範囲の検査圧力を発生させるためにある範囲の太さのモノフィラメントを用いることができる。検査位置にあてがうために用いうる振動源を提供し、音叉の振動を患者が感知できるかどうかを判定するために音叉も用いられてきた。最近になって、患者の皮膚上の検査位置へ振動を与えて患者がその振動を感じることができるかどうかを判定するために臨床医が用いてよい形状およびサイズの範囲内にある、振動感受性評価に基づく他のデバイスが開発された。
【0004】
特許文献1は、携帯型診断装置およびその使用方法を開示し、その携帯型診断装置は、電池残量が低減したときでも、装置で作り出される振動または音の振動数を一定に維持することができる。特許文献2は、重度のニューロパチーを見つけるために使用される振動ポケットデバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2011/166473号明細書
【特許文献2】米国特許第5931793号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様から見て、本技術は、振動感受性評価のためのデバイスを提供し、デバイスは、デバイスをプログラム可能な振動源へ着脱自在に接続するように構成されたアタッチメント部分、および被験者の皮膚上の検査位置にあてがわれて、プログラム可能な振動源によって発生した振動を検査位置へ伝えるように構成されたプローブを備える。
【0007】
本デバイスの発明者らは、プログラム可能な振動源へのアタッチメントとして形成された簡易な低コスト・デバイスを提供することが振動感受性評価を実施することを可能にする文脈において有利なことを理解した。これは、特に以下の事実に起因する、すなわち、デバイス自体がプログラム可能な振動源とは独立して提供されるため(もちろん、振動感受性評価を実施することを可能にするためにその後プログラム可能な振動源と組み合わされるが)、デバイスを比較的小さく、大きな支出なしに製造できて、(臨床現場では特に有用な)ディスポーザブルにでき、様々な構成で(各構成に係る特定の利益を伴って)比較的安価に提供できるためである。
【0008】
プログラム可能な振動源は、デバイスによって被験者の皮膚へ伝えられるのに適した振幅および周波数の振動を発生させる、様々な形態をとってよい。しかしながら、本発明の発明者らは、便利なプログラム可能な振動源が携帯電話によって提供されてよいことを理解した。
【0009】
プローブは、様々な形状、形態およびサイズをとってよいが、いくつかの実施形態ではプローブがらせん状部分を備える。本発明の文脈において利用されてよいらせん状構造物の1つの特性は、(特に、特性周波数を有する)その固有共振であり、プログラム可能な振動源からの振動を振動感受性の臨床的評価にとって適切な仕方で被験者の皮膚へ伝えるために、固有共振を(らせん状構造物の寸法、プローブが作られた材料などの適切な選択によって)選定することができる。
【0010】
振動が伝えられるこの仕方は、例えば、プログラム可能な振動源によって発生した振動の振幅が検査位置に到達する時間までに減少するような、減衰効果を備えてよい。それに応じていくつかの実施形態では、らせん状部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成される。
【0011】
代わりに、プログラム可能な振動源によって発生する振動の特性、および検査位置に加えられるべき振動の所望の特性に依存して、振動の強化が望まれる場合がある。それに応じていくつかの実施形態では、らせん状部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動と共振するように構成される。
【0012】
プローブは、その形状、形態およびサイズの観点からだけでなく、それが製造される材料の観点からも様々に構成されてよい。プローブは、金属、非金属、または2つの組み合わせであってよい。
【0013】
被験者の皮膚上の検査位置と接触するプローブの部分は、臨床的要件に依存して様々に構成されてよい。例えば、振動感受性評価を実施することになる異なる検査位置での使用のために異なる形状のプローブが提供されてよい。末梢性ニューロパチーの評価の文脈において、この評価を指先で(または、より深刻な末梢性ニューロパチーの場合にはより一般的に指で)、手の上の他の位置で、膝で、および足指の上で(または、より深刻な末梢性ニューロパチーの場合にはより一般的に足の周りで)行うことが普及している。各位置にプローブの1つの構成が用いられてもよく、または少なくとも1つの異なる位置に異なる構成が用いられてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、プローブの近位端は、アタッチメント部分へ接続し、プローブの遠位端は、先細りして尖る。尖ったプローブは、より正確な検査位置を検査をできるようにするが、検査振動を相応に特異的に伝えることにもなり、これは、(結果として生じるいずれかのより大きい強度に患者が耐えうる限り)その検査位置に焦点を合わせた評価に役立つであろう。
【0015】
プローブの遠位端の他の構成は、例えば、プローブの比較的平らな鈍い端部として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、プローブの近位端は、アタッチメント部分へ接続し、プローブの遠位端は、丸みを帯びている。プローブ遠位端(distal end probe)のこの丸みは、患者によってより心地よく知覚されることがある。いくつかの実施形態では、プローブの丸みを帯びた遠位端は、実質的に球状の部分によって提供される。これは、例えば、プローブの遠位端を形成する真「球」であってもよく、またはより一般的に様々な丸みを帯びた塊であってもよい。
【0016】
上述のように、プローブは、ある範囲の材料から製造されてよく、1つまたは複数の材料をプローブ用に選定するときに重要な1つの特定のパラメータは、振動を伝えるその能力である。加えて、いくつかの実施形態では、プローブによって伝えられる振動の減衰がプローブの端部に少なくとも1つのパッドを追加することによって与えられてよい。これは、例えば、プローブの製造後であっても、減衰のある程度の微調整を行うことを可能にしてよく、または、例えば、特に良好な振動感受性を有し、それゆえに、ずっとより低い強度の振動を感知することが可能でありうる患者に対してプローブの振動伝達特性を調整するために用いられてもよい。それに応じていくつかの実施形態では、プローブがプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成された少なくとも1つの着脱自在なパッドを備える。
【0017】
プローブが作られる材料の選定に加えて、プローブが製造される材料の密度を変えることによってプローブの振動伝達特性を選定できる。それに応じていくつかの実施では、プローブが不均一な密度を有する。例えば、プローブの遠位端(すなわち、基本的に患者の皮膚に接触するプローブの部分)は、デバイスの残りの部分とは異なる(例えば、より低い)密度を有してよい。
【0018】
デバイス自体は、振動発生能力を有さないので、典型的に一体物として、低コストで容易に製造することができる。これを行うことができるであろう様々な手法があるが、いくつかの実施形態では、デバイスが一体物として形成され、この一体物は、3D印刷、射出成形、およびミリングの技術のうちの少なくとも1つによって製造された。
【0019】
デバイスのアタッチメント部分は、プログラム可能な振動源によって発生した振動を変更するように構成されてもよく、それに応じていくつかの実施形態では、アタッチメント部分がプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるように構成される。これは、例えば、アタッチメント部分が作られる材料、その材料の密度、アタッチメント部分がとる特定の形態(すなわち、プログラム可能な振動源への取り付けられ方)および/またはアタッチメント部分がプログラム可能な振動源をいかにしっかりと把持するかの選択によって達成されてよい。
【0020】
もちろん、振動がプログラム可能な振動源からデバイスへ伝達される効率を高めるために、材料、密度、形態および/または把持の堅固さのこれらの選定が行われてもよい。いくつかの実施形態では、アタッチメント部分は、プログラム可能な振動源の金属製リムに直接接触するように構成される。このリムは、例えば、携帯電話またはタブレット・コンピューティングデバイスの外周に典型的に見られる金属製リムであってよい。
【0021】
アタッチメント部分がデバイスをプログラム可能な振動源へ接続する仕方は、様々な形態をとってよいが、いくつかの実施形態では、デバイスが弾性を有する材料から形成され、アタッチメント部分は、デバイスがプログラム可能な振動源へ接続されるときにアタッチメント部分がプログラム可能な振動源を把持するよう材料の弾性が促すような寸法に形作られる。このように、デバイスがプログラム可能な振動源を把持できるようにアタッチメント部分が作られる材料の固有の弾性(すなわち、弾力性)を利用することができる。例えば、アタッチメント部分が付着するプログラム可能な振動源の部分の寸法にぴったりと一致するような寸法に形作られる場合、実際には、様々なプッシュフィットカップリングをサポートできるように、アタッチメント部分は、ごくわずかにより小さい寸法に形作られてよい。
【0022】
代わりに、または加えて、アタッチメント部分は、プログラム可能な振動源を把持することを可能にするいくつかの多様なメカニズムを有してよく、いくつかの実施形態では、アタッチメント部分が調整可能な保持デバイスを備え、調整可能な保持デバイスは、プログラム可能な振動源の一部分をアタッチメント部分へ挿入できるように開かれ、プログラム可能な振動源のその部分を把持するために閉じられるように構成される。この開閉可能なアタッチメント部分は、例えば、(広く言えば、ブルドッグクリップを構成する仕方で)ばね接続を利用してもよく、または、例えば、調整ねじのようなデバイスを備えてもよく、ユーザがそれを用いてアタッチメント部分をプログラム可能な振動源上へ固定してもよい。
【0023】
上述のように、プログラム可能な振動源は、様々な形態をとってよいが、いくつかの実施形態では携帯電話である。携帯電話の遍在性が意味するのは、デバイスを多くの異なるエンドユーザに提供できて、その場合にエンドユーザが、彼らのポケットまたはハンドバッグ中に偶々持ち歩いている「プログラム可能な振動源」を利用して、振動感受性評価を自ら実施できるということである。携帯電話の振動能力は、もちろん、ユーザのための通知メカニズムとして携帯電話製造会社によって提供されることは分かるが、本発明の発明者らが理解したのは、この振動能力が、本デバイスの使用を通じて、振動感受性評価をサポートできる(本デバイスが携帯電話へ接続された)組み合わせシステムを提供するように適合されてよいということである。
【0024】
以下により詳細に考察されるように、(「スマートフォン」としても知られる)最新の携帯電話のプログラム性が意味するのは、振動感受性評価を目的とした本デバイスの携帯電話への連結が振動感受性評価のためのシステムを提供し、このシステムが(例えば、本技術も提供する専用ソフトウェア(「app」)をダウンロードすることによって)高度にコンフィギャラブルであり、かつ、ユーザがそれを用いて(例えば、かかるデバイスのタッチスクリーンによって)インタラクトすることに既に非常に精通しているであろうということである。そのうえ、実施された振動感受性評価に関するデータを集めて、その後の(例えば、次の病院訪問時の臨床医による)ダウンロードのためにそれを電話に記憶するか、あるいはそれを集中収集ポイント(例えば、臨床医が働く病院)へ直接に送信するために、本技術によって携帯電話のデータ記憶およびデータ送信性能を利用することができる。
【0025】
しかし、当然のことながら、プログラム可能な振動源が携帯電話である必要はない。いくつかの実施形態における1つの有用な選択肢は、プログラム可能な振動源がタブレット・コンピューティングデバイスであることである。タブレット・コンピューティングデバイスは、多くの点で携帯電話と非常によく似ており、特に本技術の文脈では、このデバイスがプログラム可能なデバイスであり、かつ振動を発生させることが可能なことが理解されよう。要するに、この文脈における携帯電話とタブレット・コンピューティングデバイスとの間の唯一の顕著な違いは、デバイスの全体的なサイズであると考えることができる。タブレットの大きいサイズの方がインタラクトしやすいことを被験者が見出すであろうという事実により、より大型のタブレット・コンピューティングデバイスが本技術を適用するのに有益でありうる。実際に、当然のことながら、被験者の指先に多分影響を及ぼしているであろう、末梢性ニューロパチーの評価の文脈では、タブレット上に提供できる(携帯電話上に比べて)より大きいオンスクリーン「ボタン」の方が被験者にとって使いやすいであろう。それでもなお、この文脈において同様に注目すべきは、被験者自身が用いることになるデバイスには要件が何もないことであり、十分ありうるのは、このデバイスを臨床医または介護人が代わりに用い、被験者の皮膚上(test location test subject’s skin)の検査位置にプローブをあてがい、被験者が振動を感知できるかどうかを彼らに尋ねることである。末梢性ニューロパチーの臨床的評価の文脈において知られているのは、第三者が評価を実施するのが時には好ましいことであり、その理由は、被験者が彼ら自身の末梢性ニューロパチーの範囲について幾分か否認する場合に、振動が現在発生しているかどうかを被験者が前もって知ることと、それらの振動を彼らが知覚することにこれが影響するかまたは実際に彼らが振動を知覚できると自らに告げるリスクとをこの評価が回避するからである。
【0026】
第2の態様から見て、本技術は、振動感受性評価のためのシステムを提供し、システムは、上記のいずれかの形態のデバイス、およびプログラム可能な振動源を備える。
【0027】
上述のように、プログラム可能な振動源の振動発生性能は、例えば、携帯電話またはタブレットの性能であってよい。
それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がポータブル・コンピューティングデバイスであり、ポータブル・コンピューティングデバイスが振動を発生させる性能は、ポータブル・コンピューティングデバイスのユーザのための通知メカニズムとして提供される。
【0028】
取り付けられたデバイスを有する、プログラム可能な振動源は、振動感受性評価を様々な手法でサポートしてよい。いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源は、振動感受性評価手順を実施するように構成され、この手順は、振動の所定の強度を発生させるステップと、検査位置において振動の所定の強度を感じるための被験者の能力を示すユーザ入力を受信するステップとを備える。この手順は、プログラム可能な振動源とインタラクトしているユーザと一緒に、プログラム可能な振動源上へロードされた、例えば、携帯電話のための専用appの形態の適したプログラムを実行することによって実施できる。
【0029】
振動感受性評価は、適切ならば単一のステップのみを備えてよいが、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動は、振動感受性評価手順を反復ステップで実施するように構成され、反復ステップは、発生および受信ステップを行うステップと、振動の所定の強度を増加させるステップと、発生および受信ステップを繰り返すステップとを備える。このようにして、被験者が振動を感じることが可能になり始める閾値、すなわち、かれらが知覚できる最小振動強度を決定するために、一連の振動強度について被験者を評価することができる。
【0030】
振動の強度は、多くの方法で、例えば、振動の周波数および振幅を変えることによって変えられてよい。しかしながら、発生する振動の周波数および振幅のうちの少なくとも1つをプログラマが変えることを、デバイスが接続されたプログラム可能な振動源が許容しないケースもある。例えば、プログラム可能な振動源が携帯電話である場合には、プログラマが携帯電話の振動機能のオン・オフを切り換えることのみが可能なケースもある。この状況では、それでもなも、振動機能がアクティブなときのパターンを変化させることによって、振動感受性評価のための振動の強度が変えられてよい。例えば、振動機能は、所定の時間にわたって連続的にオンであってもよいが、その時間にわたってのみバースト的にオンしてもよく、バースト自体は、継続時間が変わってもよいなどである。振動感受性評価の文脈において見出されうるのは、例えば、同じ時間に対して振動のバースト・パターンの方が連続的な振動より被験者が知覚しやすいことがあるということである。それに応じて、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が振動のアサーションパターンを所定の時間にわたって選定することによって振動の強度をセットするように構成される。
【0031】
他のプログラム可能な振動源は、それでもなお、振動発生のより十分な制御を行ってよく、従って、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が振動の周波数、および振動の振幅のうちの少なくとも1つを選定することによって振動の強度をセットするように構成される。
【0032】
上述のように、振動感受性評価は、被験者の皮膚上の種々の位置(例えば、指先、手、膝、足、足指など)で実施されてよく、それらの各位置で振動を感知するための被験者の能力は、ニューロパチーが何もなくても変化しうる。それに応じて、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が被験者の皮膚上の選定された検査位置に依存して振動の強度をセットするように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がユーザ入力の指示を備えるデータを振動の所定の強度と関連付けて記憶するように構成される。従って、振動感受性評価の1つまたは複数の結果の便利な局所的ロギングが提供されてよい。
【0034】
プログラム可能な振動源は、データを送信するための性能を有してよく、いくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がユーザ入力の指示を備えるデータを振動の所定の強度の指示と関連付けて所定の受信者へ送信するように構成される。振動感受性評価の1つまたは複数の結果が、例えば、即時の照合またはレビューのために病院へ送信されることが有用でありうる。この送信は、プログラム可能な振動源が有する任意の適した通信機能を介して、例えば、電話回線網を介して(例えば、3Gまたは4G性能を介して)、より局所的なネットワークを介して(例えば、無線ローカルエリアネットワークを介して)、(Bluetooth(登録商標)などの)短距離通信プロトコルなどを介して行われてよい。
【0035】
携帯電話などのいくつかのプログラム可能な振動源は、それらの地理的位置を、例えば、Wi−Fiネットワークまたは全地球測位衛星を参照して決定できることが知られている。この機構は、振動感受性評価が実施されたときのユーザの地理的位置をその振動感受性評価の結果と関連付けるために本技術によって利用されてよい。それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源が地理的位置決定を行うように構成され、プログラム可能な振動源は、地理的位置の指示を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成される。
【0036】
プログラム可能な振動源によって実行されるプログラム(例えば、携帯電話上の「app」)は、例えば、ユーザの識別情報、彼らの年齢、彼らの性別、彼らの全体的な健康についての様々な質問への彼らの回答、ニューロパチーについての具体的な質問への彼らの回答、ニューロパチーによって影響を受けるかもしれない日常の機能を行うための彼らの能力に関する質問への彼らの回答などに関する情報を集めるために、手順に関する質問をユーザに提示するステップをさらに含んでよい。それに応じていくつかの実施形態では、プログラム可能な振動源がプログラム可能な振動源によってユーザに提示された質問に対して受信されたユーザ応答を記憶または送信データと関連付けて記憶するか、または送信するように構成される。
【0037】
第3の態様から見て、本技術は、プログラム可能な振動源を上記のいずれかの形態のプログラム可能な振動源として動作させるように構成されたソフトウェアを提供する。
【0038】
第4の態様から見て、本技術は、プログラム可能な振動源を上記のいずれかの形態のプログラム可能な振動源として動作させるように構成されたソフトウェアが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0039】
第5の態様から見て、本技術は、振動感受性評価の方法を提供し、方法は、上記のいずれかの形態のデバイスをプログラム可能な振動源へ接続するステップと、プログラム可能な振動源を用いて振動の所定の強度を発生させるステップと、検査位置において振動の所定の強度を感じるための被験者の能力を示すユーザ入力を受信するステップとを備える。
【0040】
本技術が添付図面に示されるそれらの実施形態を参照して、単に例として、さらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】振動感受性評価を行うために手の指先にあてがわれた一実施形態による取り付けられたデバイスをもつ携帯電話を示す。
図2A】一実施形態において先細りして尖って終わるプローブをもつデバイスを図示する。
図2B】一実施形態において丸みを帯びた、実質的に球状の端部で終わるデバイスを示す。
図2C】一実施形態において実質的に球状の端部で終端するらせん状シャフトを有するデバイスを示す。
図2D】一実施形態において1つ以上のパッドをその上に取り付けることができるプローブをもつデバイスを示す。
図2E】一実施形態におけるデバイスのコンピュータ支援設計表現を示す。
図3A】デバイスにプログラム可能な振動源を把持させるためにデバイスの材料の弾性を用いる、一実施形態におけるデバイスのプログラム可能な振動源への接続を概略的に図示する。
図3B】デバイスにプログラム可能な振動源を把持させるためにクリップのようなメカニズムを用いる、一実施形態におけるデバイスを概略的に図示する。
図3C】デバイスにプログラム可能な振動源を把持させるためにねじのようなメカニズムが用いられる、一実施形態におけるデバイスを図示する。
図4】携帯電話に取り付けられたデバイスを用いて振動感受性評価を実施するために一実施形態において行われるステップのシーケンスを示す。
図5】振動感受性評価からの結果をレビュー用に臨床医へ送信するために一実施形態においてプログラム可能な振動源によって行われるステップのシーケンスを示す。
図6A】一実施形態においてプログラム可能な振動源を提供する携帯電話上で実行中のアプリケーションからのいくつかのスクリーンショット例を示す。
図6B】一実施形態においてプログラム可能な振動源を提供する携帯電話上で実行中のアプリケーションからのいくつかのスクリーンショット例を示す。
図6C】一実施形態においてプログラム可能な振動源を提供する携帯電話上で実行中のアプリケーションからのいくつかのスクリーンショット例を示す。
図6D】一実施形態においてプログラム可能な振動源を提供する携帯電話上で実行中のアプリケーションからのいくつかのスクリーンショット例を示す。
図7】一実施形態におけるコンピューティングデバイスの構成を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、この例では携帯電話である、ポータブル・コンピューティングデバイス20上にクリップで留められた本技術の一実施形態のデバイス10を示す。携帯電話20は、携帯電話上で現在実行中のアプリケーションをダウンロードすることによって構成された。このアプリケーションは、末梢性ニューロパチー検査を目的として振動感受性評価を実施することを可能にする。図1においてわかるように、携帯電話20のスクリーン22は、末梢性ニューロパチー検査アプリケーションのロゴ24と、発生している振動をユーザが現在感じることができるかどうかを彼らに尋ねるボックス26とを現在表示中である。2つの回答ボタン「yes」28および「no」30が設けられている。図1に示されるデバイス10は、携帯電話20の底部をクリップし、携帯電話によって発生した振動をデバイスを通じて評価される対象の検査位置へ効率的に伝達するために、特に、携帯電話の金属製リム32と緊密に接触する。デバイス10の尖った先端34が被験者の手36の指先と接触して示される。
【0043】
図2A〜2Eは、異なる実施形態におけるデバイスのいくつかの異なる構成を示す。図2Aのデバイス40は、アタッチメント部分42と、その先端46が先細りして尖った、プローブ44とを備える。図2Bに示されるデバイス50は、アタッチメント部分52と、丸みを帯びた部分56で終わるプローブ54とを有する。図2Cに示されるデバイス60は、アタッチメント部分62と、らせん状部分66を備えるプローブ64とを有する。プローブ68の端部は、ボールのような部分によって提供される。デバイス60を取り付けることが意図されるプログラム可能な振動源(例えば、携帯電話)に依存して、らせん状部分66は、そのサイズ、らせんピッチ、全体寸法、および材料の観点から、プログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるか、または代わりにそれらの振動と共振しうるように構成される。プログラム可能な振動源の最小振動強度が振動感受性評価に用いることが望まれる振動強度より大きいことが知られている場合には、振動を減衰させてそれらの強度を低下させるようにらせん状部分を構成することができる。代わりに、プログラム可能な振動源によって提供できる最大振動強度が比較的弱いことが知られている場合、それらの振動と共振するためにらせん状部分の適切な構成を選定することによって、被験者の皮膚と接触しているときにプローブの先端が動き方を変更して、それらの振動をより容易に知覚できるようにするのを助けることができる。図2Dにはプログラム可能な振動源によって発生した振動を減衰させるための別の技術が示され、同図では一実施形態において1つまたは2つのパッド70をデバイス76のプローブ74の先端72に付けたことが示される。パッド70を提供するために選ばれる材料を、それらの振動減衰能力を変えるために、変えることができる。
【0044】
図2Eは、一実施形態におけるデバイス80のコンピュータ支援設計表現を示す。図2Cに示されるデバイスと同様に、デバイス80は、ほぼ球状の先端82、らせん状プローブ部分84およびアタッチメント部分86を備える。図2Eにおいてわかるように、デバイス80のアタッチメント部分86は、特定の内部形状を有し、すなわち、片側が平らで別の側が少し丸みを帯びており、アタッチメント部分は、それを取り付けるように設計した特定の携帯電話の外形寸法に極めてぴったりと一致する。実際に、この形状を決定すべく、デバイスを取り付けるべき当該部分における携帯電話の輪郭の正確なサイズおよび形状をキャプチャするために携帯電話が光レーザ3Dスキャン装置を用いて3Dスキャンされた。この3Dスキャン方法は、アタッチメント部分86が携帯電話上へ極めてぴったりとフィットすることをもたらす。次にこのプロセスに続いてステレオリソグラフィ・フォーマットを用いて、図2Eに示されるコンピュータ支援設計モデル(mobile)が生成された。このモデルは、携帯電話の形状を3mmの壁厚できっちりと取り囲むように生成される。次に3Dモデルから物理的アイテムを極めて厳密に再現するためにデバイス80が3D印刷された。
【0045】
デバイスのアタッチメント部分は、プログラム可能な振動源(例えば、携帯電話)を多くの方法で保持してよく、そのいくつかの例が図3A〜Cに示される。図3Aの例では、携帯電話102をクリップしているデバイス100が示され、各々が側面図で示される。図3Aに示される3つの段階は、デバイス100の携帯電話102上への所要の把持を発生させるために、デバイス100が製造される材料の弾性を用いることを図示する。このように、デバイス100のアタッチメント部分104の内部形状は、携帯電話102の端部の外部形状と極めてぴったりと一致するように構成されるが、図3Aに示される接続の中間段階が(明確さのために少し誇張して)図示するのは、アタッチメント部分の両側が接続の最終段階で携帯電話の端部をきっちりと保持する前にそれらの位置が極めてわずかに変形していることである。
【0046】
図3Bは、両側がわずかに内側に向く(携帯電話に取り付けられていない)静止位置をその両側が有するようにアタッチメント部分112が意図的に作り出された別のデバイス例110を示す。図3Bには随意的なアーム114も示され、ユーザが、これらを一緒に両側から押すことによって、デバイス110のアタッチメント部分112を開け広げることができ、その後に携帯電話がこのアタッチメント部分に挿入される。携帯電話がアタッチメント部分に一旦挿入されると、図3Bの最終段階においてわかるように、アームが解放されて、アタッチメント部分の両側のばねのような性質がアタッチメント部分に携帯電話116を把持させる。図3Cは、ねじ止めメカニズム122を有する、デバイス120を図示し、ユーザがデバイス120のアタッチメント部分124を携帯電話126の端部上へ固定することをこのメカニズムが可能にする。
【0047】
デバイスがどのような形態をとり、どのような手段でプログラム可能な振動源へ接続されても、振動感受性評価手順を次に実施してよく、その一例が図4のステップによって示される。この例では、振動感受性(ニューロパチー)評価を実施することを可能にするために専用アプリケーションがロードされたプログラム可能な振動源として、携帯電話を用いる。このように、第1のステップ150において、ユーザは、ニューロパチー評価アプリケーションを開始する。次に第1段階として、ステップ152において、ユーザは、彼らの詳細を入力するか、または彼らが既に記憶されていれば単にこれらを確認する。次にステップ154において、ニューロパチー評価を実施するためのセットアップガイダンスを必要とするかどうかをアプリケーションがユーザに尋ねる。必要であれば、次にステップ156においてデバイスを携帯電話にどのように取り付けるべきか、およびそれを次にどのように評価に用いるべきかの他の態様についてユーザに命令するために、携帯電話が、例えば、静的にあるいはアプリケーションの一部を形成するビデオを用いて情報を表示することができる。次にステップ158においてユーザは、デバイスを携帯電話へ接続し、ステップ160において彼らがこれをいつ行ったかを確認する。ステップ162においてアプリケーションがユーザにデバイスのプローブを所望の皮膚検査位置、例えば、彼らの足指のうちの1つの先端に触れさせるように命令する。次にステップ164においてアプリケーションが携帯電話を振動させ、これは、最初は提供される振動のうちの最低強度で行われる。上述のように、これは、振動発生の周波数および/または振幅を変えることによってもよいが、アプリケーションがこれを行うことを許容しない携帯電話の文脈では、発生する振動のパターンの選択によってこれが提供されてもよい。次にステップ166においてユーザは、この振動を彼らが感じることができるかどうかを確認するために尋ねられる。彼らができなければ、次にフローは、ステップ168へ進み、このステップでは発生させることができる最高振動強度に既に到達したかどうかが判定される。明らかに、この手順の最初の反復ではこれは起こらないであろう。さらなるレベルの強度が利用可能であるが、次にフローは、振動強度が1段階増加するステップ170を経由して戻り、ステップ164において振動をもう一度発生して、ステップ166においてユーザは、それを感知できるかどうかを尋ねられる。ステップ168において最大振動強度に一旦到達するか、あるいは、ステップ166において発生した振動をユーザが感じることができることを彼らが確認したときに、フローは、ステップ170へ進み、このステップでは、携帯電話が現在の振動強度を患者の現在の振動感受性閾値、すなわち、選定された皮膚検査位置において彼らが現在感じることが可能な振動の最も弱い強度として記録する。
【0048】
図5は、振動感受性評価(ニューロパチー検査)を行う際にユーザとのインタラクションを通じて集められたデータを処理するときにニューロパチー評価アプリケーションによって実施されるステップのシーケンス例を図示する。評価手順が1つ以上の皮膚検査位置における現在の振動感受性閾値をユーザについて一旦決定する(ステップ200)と、次にアプリケーションは、ユーザがアンケートの形態で回答するための様々な質問を発生させて、彼らのニューロパチーの進行の彼ら自身の知覚、彼らの全体的な健康に関する情報、および彼らを評価することを目指す臨床医にとって有用でありうるその他の情報を集める。アプリケーションは、ステップ202においてこれらの質問へのユーザの回答を受信する。次にステップ204において、アプリケーションが初期ユーザ・データ(識別情報)、決定された振動感受性閾値、ニューロパチー・アンケートへのユーザの回答、および(例えば、Wi−FiまたはGPSを用いて)その地理的位置を決定するための携帯電話の能力から導出された位置情報を組み合わせて、このデータ・セットが次に記憶および送信用の適切なフォーマットで一緒にバンドルされる。次にステップ206において、組み合わされたデータがレビューおよび評価のために臨床医へ送信される。この送信は、例えば携帯電話の、特定の性能に依存して、多くの方法で行われてよい。例えば、このデータが電子メールへの添付ファイルを形成するかもしれず、または専用情報送信プロトコルによって送信されてもよい。
【0049】
図6A〜Dは、一実施形態におけるニューロパチー診断アプリケーションからの一連のスクリーンショットを示す。第1のスクリーンショット220からわかるように、評価は、患者の手、足または膝の上で実施されることが意図される。スクリーンショット222は、患者についてのいくつかの初期識別情報データがリクエストされることを示す。スクリーンショット224は、チェックボックスの形態のアンケートを示し、患者の感覚の変化についての情報がこれを介して集められる。スクリーンショット226は、特定の日常活動を実施するのに問題を経験していることを患者が見出したかどうかに関して彼らに尋ねるさらなる質問を示す。検査自体は、スクリーンショット228に示されるように始まり、ユーザは、体のどの部分を検査すべきかを指示する。次にスクリーンショット230は、アプリケーションがユーザにデバイスのプローブを適切な検査位置にあてがうように命令することを示す。スクリーンショット232は携帯電話が50%の強度で振動し、ユーザがこれを感じることができるか否かを彼らに尋ねることを示す。最後にスクリーンショット234は、末梢性ニューロパチー検査の結果を表示し、臨床医へ送信する準備ができていることを示す。
【0050】
図7は、上記の技術を実装するために用いてよいタイプのプログラム可能なデバイス300を概略的に図示する。上述のように、本技術の文脈では、このデバイスを例えば携帯電話またはタブレットとすることができるであろう。プログラム可能なコンピューティングデバイス 300は、バス322を介して一緒に接続された、中央処理装置302、ランダムアクセスメモリ304およびリードオンリメモリ306を含む。このデバイスは、無線通信ユニット308(208)、GPSユニット310、ディスプレイドライバ312およびユーザ入力/出力回路316もさらに備える。ディスプレイドライバ312およびユーザI/O316は、いずれもタッチスクリーン314へ接続される。振動発生ユニット318もバス322へ接続されて、上記の技術に用いるための振動をCPU302の制御下で発生させることができる。
【0051】
運転中に、例えば、上記の振動評価アプリケーションを実行しているときに、中央処理装置302は、例えば、ランダムアクセスメモリ304および/またはリードオンリメモリ306に記憶されてよいコンピュータプログラム命令を実行するであろう。(例えば、「app」の形態の)これらのプログラム命令は、無線通信ユニット308(208)を介して、例えば、WiFiネットワークを介するか、またはモバイルネットワークによってダウンロードされてよい。行われた処理の結果は、表示ドライバ312およびタッチスクリーン314(214)を介してユーザに表示されてよい。デバイス300の動作を制御するためのユーザ入力は、タッチスクリーン314およびユーザI/Oインターフェース316を介して受信されてよい。コンピュータプログラムは、様々な異なるコンピュータ言語で記述されてもよいことが理解されよう。適切なコンピュータプログラムの制御下で動作しているときに、デバイス300(200)は、上記の技術をサポートできる。デバイス300のアーキテクチャは、かなり変化してもよく、図7は、一例に過ぎない。
【0052】
本出願において、言葉「……ように構成された」または「ように配置された」は、装置の要素が、定義された動作を実施できる構成を有することを意味するために用いられる。「ように構成された」または「ように配置された」は、定義された動作を提供するために装置の要素をいずれかの方法で変更する必要があることを含意するものではない。
【0053】
本明細書では添付図面を参照して例示的な実施形態が詳細に記載されたが、本発明がそれらの通りの実施形態には限定されず、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な変化、追加および変更をそこにもたらすことができることが理解される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、従属請求項の特徴と独立請求項の特徴との様々な組み合わせを行うことができるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7