(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
概略を簡潔に述べると、変調された感知(容量)信号に基づく広帯域容量性センシングが、シングルエンド又は差動センシング応用例に適合され得る。広帯域容量性センシングアーキテクチャが、単一又は差動感知コンデンサに結合される広帯域容量−データコンバータ(WCDC)を用いて実装され得る。WCDCは、キャリア周波数に変調されるキャリア/駆動信号を生成及び駆動出力するためのキャリア/駆動信号経路と、容量性センシングからのキャリア周波数までアップ変調される測定容量に対応するアップ変調感知容量信号を受け取るため、及び測定容量を捕捉するために復調感知容量信号を生成するための感知信号経路とを用いて実装され得る。キャリア/駆動信号経路は、キャリア信号(例えば、固定周波数又はスペクトル拡散)を用いて基準信号を変調してキャリア/駆動信号を生成し、キャリア/駆動信号は、出力ノードを介して(任意選択でプリスケーリングされて)(単一又は二重感知コンデンサに)駆動出力される。感知信号経路は、入力/加算ノードにおいて、キャリア周波数までアップ変調される測定容量に対応するアップ変調感知容量信号を受け取り、フィルタリング(任意選択)及び増幅の後、アップ変調感知容量信号をキャリア信号を用いて復調して、測定容量に対応する復調感知容量信号を生成し、復調感知容量信号はセンサデータに変換され得る。感知信号経路増幅は、電荷増幅(コンデンサフィードバック)又はトランスインピーダンス増幅(レジスタフィードバック)を用い得、後者の実装の場合、キャリア/駆動信号経路に積分器が含まれる。差動容量性センシングの場合、差動キャリア/駆動信号が駆動されて差動感知コンデンサに至り、得られたアップ変調感知容量信号は、入力/加算ノードにおいて加算される。
【0014】
図1A、
図1B、
図2、及び
図3は、単一の感知コンデンサCsensを用いるシングルエンド容量性センシングに適合される、例示実施形態に従った広帯域容量性センシングを実装する広帯域容量性センシングアーキテクチャの例示実施形態を図示する。
図4、
図5、及び
図6は、同位相及び逆位相キャリア/駆動信号によってそれぞれ駆動される二重感知コンデンサCsens1/Csens2を用いる差動容量センシングに適合される、例示実施形態に従った広帯域容量性センシングを実装する広帯域容量性センシングアーキテクチャの例示実施形態を図示する。
【0015】
これらの例示実施形態では、シングルエンド又は差動設計のアーキテクチャ選択に加え、並びに、キャリア信号生成(固定周波数又はスペクトル拡散)及びデータ変換(アナログ−デジタルデータ変換など)のための設計選択に加えて、CTCV感知信号経路における設計選択が電流−電圧増幅を実装している。
図1A、
図2、及び
図3の例示実施形態では、これを実装するための選択肢は電荷増幅(コンデンサフィードバック用いる)である。
図4、
図5、及び
図6の例示実施形態では、実装選択肢はトランスインピーダンス増幅(レジスタフィードバックを用いる)である。CTCV感知信号経路アンプを選択するための設計考察には、感知コンデンサのサイズに影響を及ぼすセンシング範囲の考察と、(フィードバック)コンデンサの場合に必要とされる、レジスタの場合と比較して極めて大きなダイ面積に基づくダイ面積/コストの考察とが含まれる。
【0016】
図1A及び
図1Bは、固定キャリア信号を用いる広帯域シングルエンド容量性センシングを図示する。
図2は、スペクトル拡散キャリア信号を用いる広帯域シングルエンド容量性センシングを図示する。
図3は、復調後フィルタリング及びデータ変換が、シグマデルタ変調器/コンバータとして統合される、広帯域シングルエンド容量性センシングを図示する。
【0017】
図1A及び
図1Bは、例示実施形態に従った感知(容量)信号変調(すなわち、感知信号のキャリア周波数へのアップ変調)を用いる広帯域容量性センシングアーキテクチャ10の例示実施形態を示す。例示の広帯域容量性センシングアーキテクチャ10は、単一感知コンデンサCsens12にインターフェースされる広帯域容量−データコンバータ(WCDC)11を用いて実装される。WCDCはシングルエンド連続時間容量−電圧(CTCV)フロントエンド14及びADC16を含み、CTCVフロントエンドは、変調され23、Csensに駆動出力される(ノードA)キャリア/駆動信号を生成するため、及び、感知(容量)信号をアップ変調するため、及び、アップ変調された感知信号をバンドパスフィルタリング44及び増幅45の後、復調する24ために用いられるキャリア生成器21を含む。
【0018】
WCDC11は、感知容量測定を捕捉するためのシングルエンド連続時間容量−電圧(CTCV)フロントエンド14と、感知容量測定をデジタルデータに変換するためのアナログ−デジタルコンバータ(ADC)16として実装されるデータコンバータとを含む。
【0019】
CTCVフロントエンド14は、キャリア/駆動出力ノードA(底部プレート)及び感知信号入力ノードB(頂部プレート)を介して感知コンデンサCsens(12)にインターフェースされる。図示されるように、出力ノードAにおいて、寄生容量及びノイズ源が、容量Cpar及びノイズ源Vnoiseによって表され、入力ノードBにおいて、寄生容量及びノイズ源が、容量CparT及びノイズ源VnoiseTによって表される。
【0020】
CTCVフロントエンド14は、キャリア/駆動信号経路及び感知信号経路を含む。CTCVフロントエンド14は、キャリア/駆動信号経路においてキャリア信号変調を用い、感知信号経路においてキャリア信号復調を用いる。この例示の実施形態では、キャリア信号変調/復調が、固定周波数キャリア信号生成器21を用いて実装され、キャリア信号生成器21は、キャリア/駆動信号経路においてキャリア信号変調器23を駆動して、感知コンデンサCsensにキャリア/駆動信号を提供して、センサ容量をキャリア周波数までアップ変調し、感知信号経路において感知信号復調器24を駆動して、キャリア信号からの感知容量信号を復調する。
【0021】
WCDC11は、CTCVフロントエンド14(キャリア/駆動信号経路)及びADC16に基準(電圧又は電流)を提供する基準生成器Refgen18を含む。キャリア及びADCへの基準を生成するために同じ基準生成器を用いることにより、基準の絶対値はセンシング動作に影響を及ぼさない。ADCの変換結果は、ADC基準(これは、ADCのフルスケール入力に対応する)によって除算される入力信号に対応する。
【0022】
CTCVキャリア/駆動信号経路は、変調器23に加えて、任意選択のプリスケーラ34及び(ローインピーダンス)バッファアンプ(ドライバ)35を含む。Refgen18は基準信号31を提供し、基準信号31はキャリア生成器21によって駆動される変調器23に供給され、キャリア/駆動信号32を生成する。キャリア周波数は、任意の周知の干渉源からの周波数ドメインにおける分離を最大にするように選択され得る。
【0023】
プリスケーラ34はADCのダイナミックレンジを緩和するために有用である。具体的には、プリスケーラは、CTCVの変換利得を設定するために有用である。例えば、感知コンデンサの範囲をサポートするために、感知コンデンサごとにADCに入る信号をADCを飽和させることなく最適化することがプリスケーラの目的となり得る。例えば、最大センサ容量が1pFの場合、プリスケーラ値は、1pFの入力容量がADCへのそのフルスケール入力に近い入力になるように選択され得る。ただし、最大感知容量が10pFである場合、10pFがほぼフルADCスケールに対応するように、プリスケーラは1/10にされ得る。
【0024】
キャリア信号32(任意選択でプリスケールされる)はバッファアンプ/ドライバ35によって増幅されて、キャリア/駆動信号39が出力ノードAを介して感知コンデンサCsensに提供される。感知コンデンサCsensはキャリア信号32によって駆動され、キャリア信号32はCsensの感知容量(測定容量変動)をキャリア周波数までアップ変調して、入力ノードBを介してCTCV感知信号経路に入力されるアップ変調感知信号41を提供する。
【0025】
図1Bは、CTCV感知信号経路によって受け取られる、キャリア周波数121までアップ変調された感知信号148を含む、スペクトルの例示表現である。CTCV信号経路では、ノイズ及びEMI142を除去するためにバンドパスフィルタリング144が用いられる。
【0026】
図1Aを参照すると、CTCV感知信号経路は、入力ノードBを介してアップ変調感知容量信号41を受け取る。EMI及び他の帯域外ノイズを除去するために、EMIフィルタリング43及び/又はバンドパスフィルタリング44などの入力フィルタリングが含まれ得る。CTCV感知信号経路は、電荷アンプ45(フィードバックレジスタ46を備える)を含み、測定感知容量を回復するために増幅アップ変調感知容量信号48を復調器24に提供する。
【0027】
アンプ45は、フィードバック制御46を備え、入力ノードBを仮想接地として維持し、寄生容量CparTを抑制する。感知信号のアップ変調及び入力サンプリングの排除などにより、例示実施形態に従ったWCDCアーキテクチャは、かなりのEMI耐性を提供するが、EMI及び/又はバンドパスフィルタリング43/44も用いられ得る。
【0028】
任意選択のフィルタリングの後、アップ変調された感知信号は、電荷アンプ45への反転入力に提供される。電荷アンプ45は、コンデンサ46を用いる容量フィードバックを含み、入力電流積分を提供する。したがって、電荷アンプ45は、反転入力において、感知コンデンサCsens及びフィードバックコンデンサ46によって形成されるコンデンサネットワークに結合される。
【0029】
増幅されたアップ変調感知信号48は、キャリア生成器21によって駆動される復調器24に入力される。測定感知容量信号(
図1B、148)は、キャリア信号(
図1B、121)から復調され、アナログ(測定)感知容量信号49を提供する。
【0030】
復調された感知容量信号49は、ADC16に入力され、センサ容量測定としてのデジタルデータに変換される。
【0031】
この実施形態では、データ変換はADCを用いて実装される。復調後の感知容量信号49はフィルタリングされて51、ノイズがナイキスト周波数未満に維持され、キャリア復調像が除去される。復調された感知信号はADC16によってデジタル化されて、WCDC11によって提供されるセンサ容量データを生成する。
【0032】
変調及び復調に同じキャリア信号21が用いられて、このキャリア信号21がCTCVキャリア/駆動信号経路の変調器23及びCTCV感知信号経路の復調器224を駆動するので、また、コンデンサフィードバックを用いる電荷アンプによって増幅が提供されるので、ADC16に入力される復調感知信号49は、(a)感知コンデンサCsensとフィードバックコンデンサ46(すなわち、電荷アンプ45のコンデンサ入力ネットワーク)の比、及び、(b)Refgen18によって生成される基準であって、アップ変調感知信号を生成するために用いられるキャリア/駆動信号を生成する変調器23と復調感知(容量)信号をデジタルセンサデータに変換するADCとに供給される基準に比例する。
【0033】
入力ノードBは、仮想接地ノードであり(入力ノード上の電圧はアンプフィードバック制御によって実質的に一定に保たれる)、入力ノードBにおける寄生容量CparTの影響が実質的に除去される。出力ノードAは(ローインピーダンスバッファドライバ35を用いて)駆動され、寄生容量Cparの影響が実質的に除去される。したがって、Csens両端のアップ変調される感知容量は、Cpar又はCparTのいずれによっても実質的に影響されない。
【0034】
ナイキスト及び像除去フィルタリング51は、感知容量信号を復調することによる像帯域を抑制してADC16の出力におけるSN比を向上させるために有用である。
【0035】
ADCトポロジは、フラッシュ、シグマデルタ、又はSARなど、設計選択である。
【0036】
付加的な設計トレードオフは、調整可能/プログラム可能な構成要素の使用であり、これは、CTCVキャリア/駆動信号経路ではプリスケーラ34を含み、CTCV感知信号経路ではフィードバックコンデンサ46を含む。
【0037】
図2は、CTCV214を含むWCDC211の例示の代替実施形態を示す。CVCT214では、CTCVキャリア/駆動経路の変調器223及びCTCV感知信号経路の復調器224を駆動するためにスペクトル拡散信号生成器221が用いられる。スペクトル拡散キャリアを用いることへの設計変更を除き、
図2の実施形態のための例示構成は、CTCV感知信号経路での電荷アンプ(コンデンサフィードバックを備える)245の使用、及びデジタルセンサデータへの変換のためのADC16(入力フィルタ251を備える)の使用を含めて、
図1Aの実施形態と同じである。
【0038】
図1Aの実施形態と同様に、Refgen18からの基準信号231(電圧又は電流)が、スペクトル拡散キャリア信号221によって駆動される変調器223に入力されて、キャリア/駆動信号232が生成され、これは、任意選択でプリスケーリング234されて出力ノードAから駆動出力235される。キャリア/駆動信号239が感知コンデンサCsensを駆動し、Csensの容量をキャリア周波数までアップ変調する。アップ変調された感知容量信号241が、入力ノードBを介してCTCV感知信号経路に結合される。アップ変調された感知信号241は、EMI及び/又はバンドパスフィルタ243及び244され得、次いで、電荷アンプ245によって増幅され、増幅された感知信号248が、スペクトル拡散キャリア221によって駆動される復調器224によって復調される。復調された感知信号249はフィルタリングされ251、測定感知容量信号に対応するデジタルセンサデータへの変換のため、ADC16(Refgen18によって参照される)に入力される。
【0039】
この実施形態は、容量性センサの物理的寸法が大きい場合など、キャリア生成器が近傍の電子回路に干渉し得る応用例に有利である。いかなる周波数帯域における放射もスペクトル拡散キャリア221を用いて低減され得、キャリア放射がより広い周波数帯域にわたって広がり、そのため、その帯域内のいかなる特定の周波数における信号強度も低減される。増幅感知信号248を復調するために同じスペクトル拡散キャリア信号が用いられるので、測定精度に影響を与えない。ただし、バンドパスフィルタリングが用いられる場合、バンドパスフィルタはスペクトル拡散キャリア221によって用いられるより広い周波数帯域を包含するように構成されるべきである。
【0040】
図3は、ナイキストノイズ及びキャリア復調像を抑制するための復調後フィルタリング(ナイキスト及び像除去)351を統合するシグマデルタコンバータ316としてデータ変換ADCが実装される、WCDC311の例示の代替実施形態を示す。シグマデルタコンバータを用いることへの設計変更を除き、
図3の実施形態のための例示構成は、固定周波数キャリア321の使用及びCTCV信号経路における電荷アンプ354(コンデンサフィードバック346を備える)の使用を含み、
図1Aの実施形態と同じである。
【0041】
図1Aと同様、Refgen18(電圧又は電流)からの基準信号331が、キャリア(固定周波数)信号321によって駆動される変調器323に入力され、キャリア/駆動信号332が生成される。キャリア/駆動信号332は、任意選択でプリスケーリング334され、CTCV出力ノードAを介して駆動出力335される。キャリア/駆動信号339が、感知コンデンサCsensを駆動し、Csensの容量をキャリア周波数までアップ変調する。アップ変調された感知信号341が、入力ノードBを介してCTCV感知信号経路に結合される。アップ変調された感知信号341は、EMI及び/又はバンドパスフィルタリング343/344され、次いで、電荷コンデンサ345によって増幅され、増幅された感知信号348が、キャリア(固定周波数)321によって駆動される復調器324に入力される。復調された感知信号328は、測定感知容量信号に対応するデジタルセンサデータへの変換のため、シグマデルタコンバータ316(Refgen18によって参照される)に入力される。
【0042】
シグマデルタ変換の利点はローノイズであることであり、シグマデルタ変換により、ナイキスト及び像除去フィルタリング351がデータコンバータの一部として統合される。これは、シグマデルタコンバータ316の第1利得段階におけるノイズがフィルタによって低減されるからである。
【0043】
図4、
図5、及び
図6は、二重感知コンデンサCsens1/Csens2を用いる差動容量センシングに適合される例示実施形態に従った広帯域容量センシングを実装する広帯域容量性センシングアーキテクチャの例示実施形態を示す。
【0044】
図4は、二重感知コンデンサCsens1及びCsens2を用いる広帯域差動容量センシングのために構成されるWCDC411の例示実施形態を示し、WCDCは、変調423される差動キャリア/駆動信号435_1及び435_2を生成するためにキャリア(固定周波数)生成器421を含むCTCVフロントエンド414を含む。差動キャリア/駆動信号435_1及び435_2は、加算ノードBを介してCTCVフロントエンドに入力される感知(容量)信号をアップ変調するため、及び、バンドパスフィルタリング444及び増幅445の後にキャリア信号から感知信号を復調424するために、Csens1/Csens2に駆動出力される(ノードA1及びA2)。
【0045】
図5は、ナイキストノイズ及びキャリア復調像を抑制するための復調後フィルタリング551を統合するシグマデルタコンバータ516としてデータ変換ADCが実装される、WCDC511(差動Csens1/Csens2感知信号入力を用いる)の例示の代替実施形態を示す。
【0046】
図6は、スペクトル拡散キャリア信号621がCTCVキャリア/駆動信号経路変調器623及びCTCV感知信号経路復調器624を駆動する、WCDC611(差動Csens1/Csens2容量感知信号入力を用いる)の例示の代替実施形態を示す。
【0047】
これらの例示実施形態では、差動キャリア/駆動信号を生成し差動感知コンデンサCsens1/Csens2に駆動出力することを含む差動容量性センシングアーキテクチャを用いることに加えて、CTCV感知信号経路は、(
図1A、
図2、及び
図3の実施形態で用いられる電荷アンプではなく)トランスインピーダンスアンプを用いて実装される。
図1、
図2、及び
図3の例示実施形態におけるように、追加の設計選択には、キャリア信号生成(固定周波数又はスペクトル拡散)及びデータ変換(ADCなど)が含まれる。
【0048】
差動容量性センシングでは、WCDCは、差Csens1−Csens2に対応するセンサ容量データ(デジタルへの変換後)を出力する。CTCVキャリア/駆動信号経路は、同位相及び逆位相キャリア/駆動信号を生成し、これらの信号はそれぞれのノードA1/A2から出力される。差動キャリア/駆動信号は、それぞれの感知コンデンサCsens1/Csens2に印加され、いずれの場合も感知容量をキャリア周波数までアップ変調する。
【0049】
アップ変調された感知信号は加算ノードBに入力され、(任意選択の)フィルタリング及び増幅(フィードバックレジスタを用いるトランスインピーダンスアンプ)の後、CTCV感知信号経路において復調される。測定容量のいかなる差動変化も、差動感知された容量のキャリア周波数へのアップ変調に帰着するので、差動感知容量信号(加算ノードBで加算される)は、キャリアを中心とする狭帯域に集中する。
【0050】
図4は、例示実施形態に従った感知(容量)信号変調を用いる、差動広帯域容量性センシングアーキテクチャ410の例示実施形態を示す。この例示の広帯域容量性センシングアーキテクチャ410は、差動容量センシング(Csens1−Csens2)のため、二重感知コンデンサCsens1及びCsens2(12_1及び12_2)にインターフェースされる差動WCDC411を用いて実装される。
【0051】
WCDC11は、二重感知コンデンサCsens1/Csens2(センサ容量をキャリア周波数までアップ変調する)を差動駆動するため、及び、入力加算ノードBを介して差動センサ容量測定を捕捉するためにCTCVフロントエンド414を含み、フィルタリング(任意選択)増幅及び復調を実施して感知容量測定を回復する。復調された感知容量測定をデジタルセンサデータに変換するため、ADC16によってデータ変換が提供される。
【0052】
CTCVキャリア/駆動信号経路では、Refgen18からの基準信号431(電圧又は電流)が、キャリア(固定周波数)信号421によって駆動される変調器423に入力され、キャリア/駆動信号332が生成される。CTCV感知信号経路におけるトランスインピーダンスアンプを用いるこの実施形態では、積分器433がCTCVキャリア/駆動信号経路に含まれる。積分されたキャリア/駆動信号432(任意選択でプリスケーリング434される)は、ローインピーダンスバッファアンプ435_1及び435_2により差動駆動され、出力ノードA1/A2を介して同位相及び逆位相キャリア/駆動信号439_1及び439_2として出力される。
【0053】
差動キャリア/駆動信号439_1及び439_2は、差動感知コンデンサCsens1/Csens2に供給され、感知容量をキャリア周波数までアップ変調する。
【0054】
CTCV感知信号経路では、差動感知容量信号が、アンプ(トランスインピーダンス)フィードバック制御によって仮想接地として維持される入力加算ノードBで加算される。(キャリア周波数までアップ変調された)入力差動感知容量測定441は、EMI及び/又はバンドパスフィルタリング443/444され得、次いで、トランスインピーダンスアンプ445/446によって増幅され、キャリア421によって駆動される復調器424により復調される。復調された感知信号448はフィルタリングされ451、測定感知容量信号441に対応するデジタルセンサデータへの変換のため、ADC16(Refgen18によって参照される)に入力される。
【0055】
図5は、復調後フィルタリング(ナイキスト及び像除去)551を統合するシグマデルタコンバータ516としてデータ変換が実装される、差動WCDC511の例示の代替実施形態を示す。シグマデルタコンバータを用いることへの設計変更を除くと、
図5の実施形態のための例示構成は、固定周波数キャリア521の使用及びCTCV感知信号経路におけるトランスインピーダンスアンプ545の使用(レジスタフィードバック546を用い、CTCVキャリア/駆動信号経路において積分器533を用いる)を含めて、
図4の実施形態と同じである。
【0056】
CTCVキャリア/駆動信号経路において、Refgen18からの基準信号531(電圧又は電流)が、キャリア(固定周波数)信号521によって駆動される変調器523に入力され、キャリア/駆動信号532が生成され、積分533され、次いで、差動駆動され535_1/535_2(任意選択でプリスケーリングされ534)、出力ノードA1/A2を介して、同位相及び逆位相キャリア/駆動信号539_1及び539_2として出力される。
【0057】
差動キャリア/駆動信号539_1及び539_2は、差動感知コンデンサCsens1/Csens2に供給され、感知容量をキャリア周波数までアップ変調する。
【0058】
差動アップ変調感知容量信号は、アップ変調された(差動)感知容量信号541として、入力加算ノードBを介してCTCV感知信号経路514に結合される。(キャリア周波数までアップ変調された)入力(差動)感知容量測定541は、EMI及び/又はバンドパスフィルタリングされ543/544、次いで、トランスインピーダンスアンプ545/546によって増幅され、キャリア521によって駆動される復調器524によって復調される。
【0059】
復調された感知信号549は、測定された差動感知容量信号に対応するデジタルセンサデータへの変換のため、シグマデルタコンバータ516(これは、ナイキスト及び像除去フィルタリング551を統合し、Refgen18によって参照される)に入力される。
【0060】
図6は、スペクトル拡散信号生成器621を用いてCTCVキャリア/駆動経路変調器623及びCTCV感知信号経路復調器624を駆動して特定周波数における放射を低減する、WCDC611の例示の代替実施形態を示す。スペクトル拡散キャリアを用いることへの設計変更を除くと、
図6の実施形態のための例示構成は、CTCV信号経路におけるトランスインピーダンスアンプ645(レジスタフィードバック646を用いる)の使用、及びデジタルセンサデータへの変換のためのADC16の使用を含めて、
図4の実施形態と同じである。
【0061】
CTCVキャリア/駆動信号経路において、Refgen18からの基準信号631(電圧又は電流)が、スペクトル拡散信号621によって駆動される変調器623に入力され、キャリア/駆動信号632が生成され、積分され633、次いで、差動駆動され635_1/635_2(任意選択でプリスケーリングされ634)、同位相及び逆位相キャリア/駆動信号639_1及び639_2として、出力ノードA1/A2を介して出力される。
【0062】
差動感知コンデンサCsens1/Csens2に供給される差動キャリア/駆動信号639_1及び639_2は、感知容量をキャリア周波数までアップ変調する。
【0063】
差動アップ変調感知容量信号は、アップ変調された(差動)感知容量信号641として、入力加算ノードBを介してCTCV感知信号経路614に結合される。(キャリア周波数までアップ変調された)入力差動感知容量測定641は、EMI及び/又はバンドパスフィルタリングされ643/644、次いで、トランスインピーダンスアンプ645/646によって増幅され、スペクトル拡散キャリア621によって駆動される復調器624によって復調される。バンドパスフィルタリングが用いられる場合、バンドパスフィルタ644は、スペクトル拡散キャリア621によって用いられるより広い周波数帯域を包含するように構成されるべきである。
【0064】
復調された感知信号649は、フィルタリングされ651、測定された感知容量信号に対応するデジタルセンサデータへの変換のため、ADC16(Refgen18によって参照される)に入力される。
【0065】
シングルエンド又は差動容量性センシングのための例示実施形態に従った広帯域容量性センシングアーキテクチャを構成することは設計選択である。様々な例示実施形態のための、様々な周知の設計トレードオフを伴う他の設計選択には、(a)感知コンデンサを駆動するために用いられるアップ変調キャリア信号のタイプ(固定周波数又はスペクトル拡散など)及び(b)データ変換手法(入力ナイキスト/像除去フィルタ後のADC、又はナイキスト/像除去フィルタリングが統合されるシグマデルタコンバータなど)が含まれる。
【0066】
広帯域容量性センシングアーキテクチャの利点には、ノイズ耐性及び低電力が含まれる。ノイズ耐性は、感知コンデンサにサンプリングが適用されない結果であり、そのためエイリアシングが生じ得ず、また、キャリアが用いられるので、最小の干渉で情報信号が或る帯域に移動され得る一方、すべての他の周波数が抑制され得る。大寄生コンデンサの存在下で電力が低減される。精度に関しては、オーバーサンプリングされるデータコンバータがセンシング応用例では有利であり得る。これは、感知コンデンサのいずれかの側に接地される寄生容量により、注目する最大周波数よりも少し高い周波数でキャリアが選択され得、高調波の数が最小化され、正確にオーバーサンプリングするシグマデルタコンバータの使用が依然として可能だからである。
【0067】
要約すると、例示実施形態に従った感知(容量)信号変調を用いる広帯域容量性センシングは、(a)キャリア周波数(固定周波数又はスペクトル拡散など)のキャリア信号を生成するためのキャリア生成回路要素、(b)基準信号を生成するための基準回路要素、(c)容量性センシングに使用可能なキャリア/駆動信号を出力ノードを介して駆動出力するためのキャリア/駆動信号経路回路要素であって、キャリア信号を用いて基準信号を変調してキャリア周波数でキャリア/駆動信号を生成するための変調回路要素、及び出力ノードを介してキャリア/駆動信号を駆動出力するための駆動回路要素を含む、キャリア/駆動信号経路回路要素、並びに(d)容量性センシングからの測定容量に対応するアップ変調感知容量信号を入力ノードで受け取るための感知信号経路回路要素、を用いて実装され得、感知容量信号はキャリア/駆動信号に基づいてキャリア周波数までアップ変調され、感知信号経路回路要素は、増幅アップ変調感知容量信号を生成するためのアンプ回路要素と、キャリア信号に基づいて増幅アップ変調感知容量信号を復調するための復調回路要素とを含み、復調された感知容量信号を生成する。復調された感知容量信号をセンサデジタルデータに変換するためにデータ変換回路要素が有用であり、これは、例えば、(a)復調された感知容量信号に対してナイキストフィルタリング及びキャリア像除去を提供する入力フィルタに結合されるアナログ−デジタルコンバータ(ADC)、又は(b)入力ナイキストフィルタリング及びキャリア像除去を含むシグマデルタコンバータのいずれかなどである。広帯域差動容量性センシングでは、(a)キャリア/駆動信号経路回路要素が、第1及び第2のキャリア/駆動信号を生成し、これらの駆動信号が積分され、それぞれ第1及び第2の出力ノードを介して第1及び第2の感知コンデンサに駆動出力され、(b)第1及び第2のキャリア駆動信号に応答して、第1及び第2の感知コンデンサが、測定され、キャリア周波数までアップ変調される容量に対応するそれぞれの第1及び第2のアップ変調感知容量信号を提供し、(c)感知信号経路回路要素が、第1及び第2のアップ変調された感知容量信号を入力ノードで受け取り、これらの信号が加算されて、アップ変調された差動感知容量信号になる。
【0068】
設計選択/改変には、(a)キャリア/駆動信号経路に含まれる、キャリア/駆動信号をプリスケーリングするためのプリスケール回路要素、(b)感知信号経路に含まれる、アップ変調された感知容量信号をEMIフィルタリングするためのEMIフィルタ回路要素、及び/又はアップ変調された感知容量信号をバンドパスフィルタリングするため、及び、アンプ回路要素にバンドパスフィルタリングされた感知容量信号を提供するための入力バンドパスフィルタ回路要素、並びに(c)アップ変調された感知容量信号を受け取るように結合されるアンプ反転入力に結合されるフィードバックコンデンサを含む電荷アンプと、アップ変調された感知容量信号を受け取るように結合されるアンプ反転入力に結合されるフィードバックレジスタを含むトランスインピーダンスアンプとの一方を用いて感知信号経路において増幅を実装することが含まれ、キャリア/駆動信号経路回路要素はさらに、キャリア/駆動信号を積分する積分器を含む。
【0069】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における改変が可能であり、他の実施形態が可能である。