(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Xが、C1〜C10アルキル基、C6〜C20アリール基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C10非末端アルキニル基から選択される少なくとも1つの基で置換され、各々が、任意に、O、Si、N、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有し、いずれのヘテロ原子も活性水素を有しない、請求項1に記載の末端官能化コポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、特定の構造の官能化シランで末端官能化されたコポリマー、コポリマーを含むゴム組成物、及び末端官能化コポリマーを調製するための関連プロセスに関する。本開示はまた、末端官能化コポリマー又はそのゴム組成物を含有する少なくとも1つの構成要素(例えば、トレッド)を有するタイヤに関する。
【0009】
第1の実施形態では、末端官能化コポリマーが開示される。末端官能化コポリマーは、55〜80重量%の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45重量%の芳香族ビニルモノマーとを含み、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量は、(本コポリマーにおける全モノマーの)100%を構成し、末端官能化は、式(I)
【化6】
を有する少なくとも1つの基を含み、式中、R
1及びR
2が、同じであるか又は異なり、かつ独立して、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択され、a及びcが、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数であり、bが0又は1であり、Wが、O、S、又はNZであり、式中、Zが、Si(R
4)
3から選択され、各R
4が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択され、Xが、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環が、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである。
【0010】
第2の実施形態では、5〜100重量部の、第1の実施形態に従う末端官能化コポリマーと、0〜95重量部の、少なくとも1つの共役ジエン−モノマー含有ポリマー又はコポリマーと、5〜200phrの、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの補強充填剤と、を含むゴム組成物が開示される。より具体的には、末端官能化コポリマーは、55〜80重量%の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45重量%の芳香族ビニルモノマーとを含み、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量は、(本コポリマーにおける全モノマーの)100%を構成し、末端官能化は、式(I)
【化7】
を有する少なくとも1つの基を含み、式中、R
1及びR
2が、同じであるか又は異なり、かつ独立して、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択され、a及びcが、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数であり、bが0又は1であり、Wが、O、S、又はNZであり、式中、Zが、Si(R
3)
3から選択され、各R
3が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択され、Xが、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環が、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである。
【0011】
第3の実施形態では、第2の実施形態のゴム組成物を含むトレッドを有するタイヤが開示される。より具体的には、トレッドは、5〜100重量部の、第1の実施形態に従う末端官能化コポリマーと、0〜95重量部の、少なくとも1つの共役ジエン−モノマー含有ポリマー又はコポリマーと、5〜200phrの、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの補強充填剤と、を含むゴム組成物を含む。より具体的には、末端官能化コポリマーは、55〜80重量%の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45重量%の芳香族ビニルモノマーと、を含み、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量は、(本コポリマーにおける全モノマーの)100%を構成し、末端官能化は、式(I)
【化8】
の少なくとも1つの化合物を含み、式中、R
1及びR
2が、同じであるか又は異なり、かつ独立して、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択され、a及びcが、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数であり、bが0又は1であり、Wが、O、S、又はNZであり、式中、Zが、Si(R
4)
3から選択され、各R
4が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択され、Xが、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環が、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである。
【0012】
第4の実施形態では、末端官能化コポリマーを調製するためのプロセスが開示される。本プロセスは、55〜80重量%の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45重量%の芳香族ビニルモノマーとの、アニオン性開始剤によるアニオン重合であって、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量が、コポリマーにおける全モノマーの100%を構成する、アニオン重合を行って、リビング末端を有するコポリマーを生成すること、コポリマーのリビング末端を、式(II)の官能化化合物と反応させて、
【化9】
(式中、R
1及びR
2が、同じであるか又は異なり、かつ独立して、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択され、R
3が、C1〜C20アルコキシから選択され、a及びcが、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数であり、bが0又は1であり、Wが、O、S、又はNZであり、式中、Zが、Si(R
4)
3から選択され、各R
4が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択され、Xが、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環が、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである)、それにより、式(I)
【化10】
を有する少なくとも1つの基によって末端官能化されたコポリマーを生成することを含む。
【0013】
定義
本明細書に記載する用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語ポリマーの「頭部」は、開始剤残基が存在する鎖端を指すように使用され、一方で用語「端部」又は「尾部」は、最終モノマー単位がポリマーに添加されている位置に最も近い鎖端を指すように使用される。本明細書で使用されるとき、語句「端部にて」は、尾部での位置又は尾部に近い位置(例えば、一般に尾部から約1〜約40mer単位(1〜40mer単位を含む)以内)を指す。
【0015】
本明細書で使用されるとき、略記Mnは、数平均分子量に使用される。
【0016】
本明細書で使用されるとき、略記Mpは、ピーク分子量に使用される。
【0017】
本明細書で使用されるとき、略記Mwは、重量平均分子量に使用される。
【0018】
本明細書で特に指示がない限り、用語「ムーニー粘度」とは、コンパウンドムーニー粘度、ML
1+4を意味する。ゴム組成物のムーニー粘度は、加硫又は硬化に先立って測定されることを、当業者は理解するであろう。
【0019】
本発明で使用する場合、用語「phr」とは、ゴム100部当たりの部を意味する。
【0020】
コポリマー及びモノマー
上で考察した通り、本明細書に開示される第1〜第4の実施形態に従うと、末端官能化コポリマーは、55〜80重量%の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45重量%の芳香族ビニルモノマーとを含み、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量は、本コポリマーにおける全モノマーの100%を構成する。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本コポリマーは、1つの共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない1つの芳香族ビニルモノマーとを含む。第1〜第4の実施形態のうち他の実施形態では、本コポリマーは、1つ又は2つ以上の共役ジエンモノマーと、芳香環にあらゆる窒素置換を有しない1つ又は2つ以上の芳香族ビニルモノマーとを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、芳香環が全く窒素置換されていない20〜45%の芳香族ビニルモノマーと、65〜80重量%の共役ジエンモノマーとを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、芳香環が全く窒素置換されていない、20〜40重量%、20〜35重量%、少なくとも25重量%、25〜40重量%、又は25〜35重量%の芳香族ビニルモノマーを含む。芳香族ビニルモノマーが芳香環にあらゆる窒素置換を有しないという記述は、ビニルモノマーの芳香環が、窒素を含有するいずれの置換基も含有しないことを意味する。窒素を含有する置換基の例として、2−ピロリジノエチル、N−メチルプロピルアミノエチル、2−ジフェニルアミノエチルが挙げられる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、60〜80重量%、65〜80重量%、75重量%未満、60〜75重量%、又は65〜75重量%の共役ジエンモノマーを含む。
【0021】
用語「末端官能化コポリマー」は、本明細書で利用される場合、末端官能化コポリマーのいずれのサンプルも、一般に、複数の個々のコポリマーを含む(含有する)ことになるため、末端官能化コポリマーという用語も正確な説明となることを理解されたい。一般に、本明細書に開示される末端官能化コポリマーは、式(I)を有する基の1つのみの種類又は構造を含むことになるが、その特定の種類又は構造の1つ超の群が各コポリマーの端部に存在してもよい。しかし、ある特定の実施形態では、末端官能化コポリマーは、式(I)に従う1つ超の種類又は構造を有する基を含んでもよく、当業者であれば理解する通り、かかるコポリマーは、式(II)に従う1つ超の化合物を利用することによって調製することができる。
【0022】
芳香環が全く窒素置換されていないビニル芳香族モノマーの構造は様々であり得るが、好ましくは、一般式(R
1)(R
2)C=C(R
2)(R
3)の構造であり、式中、R
1は、フェノール基を含む6〜12個の炭素原子を含有する芳香族基、置換フェノール基(置換基は、ハロゲン基、C1〜C3アルキル基、又はヒドロキシ基のうちのいずれか1つである)であり、R
2は、水素、又はC1〜C5の低級アルキル(例えば、メチル)であり、R
3は、水素又はC1〜C5の低級アルキル(例えば、メチル)である。芳香環が全く窒素置換されていない好適な芳香族ビニルモノマーの非限定例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、p−tertブチルスチレン、4−ビニルビフェニル、4−ビニルベンゾシクロブテン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、4−ビニルアニソール、ビニルカテコール系、及びこれらの組み合わせが挙げられる。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、芳香環が全く窒素置換されていないビニル芳香族モノマーは、スチレンを含むか、又はスチレンである。
【0023】
当業者であれば理解する通り、共役ジエンは、単一結合(即ち、−C−C−)によって分離している2つの二重炭素−炭素結合(即ち、2つの−C=C−結合)を有する化合物であり、共役ジエンは、少なくとも1つの−C=C−C=C−部分を含有することになる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態の実施形態で使用される共役ジエンモノマーの特定の構造は様々であり得る。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態の実施形態における使用に好適な共役ジエンモノマーの非限定例として、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエンを含むか、又は1,3−ブタジエンである。
【0024】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態に従うと、本末端官能化コポリマーの分子量(Mw)は様々であってもよい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、100,000〜800,000グラム/モルのMwを有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、100,000〜600,000(100,000〜500,000、200,000〜600,000、200,000〜500,000、250,000〜600,000、及び250,000〜500,000を含む)のMwを有する。本明細書で言及するMw値は、問題のポリマーについてのポリスチレン標準及びMark−Houwink定数によって較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって決定することができる重量平均分子量である。
【0025】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態に従うと、本末端官能化コポリマーの数平均分子量(Mn)は様々であってもよい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、80,000〜1,00,000グラム/モル、好ましくは100,000〜500,000グラム/モルのMnを有する。本明細書で言及するMn値は、問題のポリマーについてのポリスチレン標準及びMark−Houwink定数によって較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって決定することができる数平均分子量である。
【0026】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態に従うと、本末端官能化コポリマーのガラス転移温度(Tg)は様々であってもよい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、−20℃〜−70℃のTgを有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、−20℃〜−50℃(−25℃〜−45℃、及び−30℃〜−40℃を含む)のTgを有する。本明細書で言及されるTg値は、本明細書の実施例に記載のようにDSC(示差走査熱量測定)によって決定することができる。
【0027】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態に従うと、本末端官能化コポリマーのブタジエン部分におけるビニル結合量は様々であってもよい。ブタジエン部分におけるビニル結合量は、コポリマーの微細構造への言及であり、より具体的には、本末端官能化コポリマーの共役ジエン部分におけるビニル結合の質量%を指し、これは、H
1−NMR及びC
13−NMR(例えば、300MHz Gemini 300 NMR Spectrometer System(Varian)を使用する)によって決定することができる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーのブタジエン(又は共役ジエン)部分におけるビニル結合量は、35%超〜最大85%、40〜85%、40〜80%、40〜75%、40〜70%、40〜65%、40〜60%、45〜85%、45〜80%、45〜75%、45〜70%、45〜65%、45〜60%、50〜85%、50〜80%、50〜75%、50〜70%、50〜65%、及び50〜60%を含む、35%超である。当業者であれば、末端官能化コポリマーのブタジエン(又は共役ジエン)部分におけるビニル結合量が35%超であるとき、cis結合量が65%未満であることが必要となる(同様にcis結合量とtrans結合量の合計が65%未満となる必要がある)ことを理解するであろう。
【0028】
上で考察した通り、本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態に従うと、ゴム組成物は、0〜95部(例えば、0部、5部、10部、15部、20部、25部、30部、35部、40部、45部、50部、55部、60部、65部、70部、75部、80部、85部、90部、又は95部)の、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ポリマー又はコポリマーを含む。少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ポリマー又はコポリマーを利用する場合、1つ以上を利用してもよい。一般に、上で考察した共役ジエンモノマーを利用して、共役ジエンモノマー含有ポリマーを形成することができ、またこれを上で考察したビニル芳香族モノマーと併用して、共役ジエンモノマー含有コポリマーを形成することができる。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、本ゴム組成物は、5〜95部の、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ポリマー又はコポリマーを含み、これは、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、又はポリブタジエンから選択される。特定のかかる実施形態では、ポリブタジエンは、cis結合量が90%超の高cisポリブタジエンである。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、本ゴム組成物は、50部未満の、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ポリマー又はコポリマーを含む。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、本ゴム組成物は、10〜95部、15〜95部、20〜95部、25〜95部、5〜90部、10〜90部、15〜90部、20〜90部、25〜90部、5〜85部、10〜85部、15〜85部、20〜85部、25〜85部、5〜80部、10〜80部、15〜80部、20〜80部、25〜80部、5〜75部、10〜75部、15〜75部、20〜75部、25〜75部、5〜70部、10〜70部、15〜70部、20〜70部、25〜70部、5〜65部、10〜65部、15〜65部、20〜65部、25〜65部、5〜60部、10〜60部、15〜60部、20〜60部、25〜60部、5〜55部、10〜55部、15〜55部、20〜55部、25〜55部、5〜50部、10〜50部、15〜50部、20〜50部、25〜50部、5〜45部、10〜45部、15〜45部、20〜45部、又は25〜45部を含む、5〜95部の、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ポリマー又はコポリマーを含む。
【0029】
末端官能化
上で考察した通り、本明細書に開示される第1の実施形態に従い、式(I)を有する少なくとも1つの基を含む末端官能化を有する末端官能化コポリマーが提供される。本明細書に開示される第2の実施形態に従い、5〜100重量部の本末端官能化コポリマーを含むゴム組成物が提供される。本明細書に開示される第3の実施形態に従い、5〜100重量部の本末端官能化コポリマーを含むゴム組成物を含むトレッドを有するタイヤが提供される。本明細書に開示される第4の実施形態に従い、本末端官能化コポリマーを調製するためのプロセスが提供され、本プロセスは、コポリマーのライブ末端を式(II)の官能化化合物と反応させることを含む。当業者であれば理解するであろう通り、式(I)及び(II)は、式(II)化合物がR
3基を失うことによってコポリマーに結合するため、式(I)が式(II)のR
3基を有しないという点で互いに構造が異なる。式(II)化合物は、コポリマー鎖のライブ末端でコポリマーに結合(それを末端官能化)し、その結果、コポリマー鎖の末端(又は尾部)に直接結合するSi(即ち、Pがコポリマー鎖を含む、式(III)
【化11】
に従うコポリマー構造)がもたらされ得る。
式(II)化合物はまた、橋架け基を介してコポリマー鎖に結合(それを末端官能化)してもよい。橋架け基は、コポリマーに含有されるモノマーに応じて異なってもよい。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、橋架け基は、4−メチルスチレン又は別の芳香族含有スペーサ(式(II)化合物とコポリマー鎖との間の結合を可能にする)のうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
上記の考察から明らかであろう通り、R
1、R
2、W、X、a、b、及びcの意味は、式(II)もR
3を含むという理解を持って、式(I)、(II)、及び(III)と同じである。R
1は、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、R
1は、C1〜C20アルキルを含み、他の実施形態では、R
1は、C1〜C20アルコキシを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、R
1は、C1〜C4アルキル又はアルコキシを含むC1〜C12アルキル又はアルコキシから選択される。前述のR
1アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよい。R
2は、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、R
2は、C1〜C20アルキルを含み、他の実施形態では、R
2は、C1〜C20アルコキシを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、R
2は、C1〜C4アルキル又はアルコキシを含むC1〜C12アルキル又はアルコキシから選択される。前述のR
2アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよい。R
1及びR
2は、同じであっても異なってもよい。R
3は、C1〜C20アルコキシから選択される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、R
3は、C1〜C4アルコキシを含むC1〜C12アルコキシから選択される。式(I)、(II)、及び(III)に従い、a及びcは、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、a及びcは、同じであるか又は異なり、かつ各々、2〜6の整数である。式(I)、(II)、及び(III)に従い、bは0又は1である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、bは0である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、bは1である。bが1である本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のこれらの実施形態では、Wは、O、S、又はNZから選択され、式中、Zが、Si(R
4)
3から選択され、各R
4が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、bは1であり、WはSである。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、bは1であり、WはOである。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、bは1であり、WはNZである。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、Xは、C1〜C10アルキル基、C6〜C20アリール基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C10非末端アルキニル基から選択される少なくとも1つの置換基を有し、既出物の各々は、任意に、O、Si、N、S、Pから選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子(いずれのヘテロ原子も活性水素を有しない)を含有する。Xについての置換基に存在するいずれのヘテロ原子(即ち、O、Si、N、S、又はP)も活性水素を有しないという記述は、ヘテロ原子のいずれも加水分解性水素(例えば、−OH、−NH、−SH、又は−PHを含まないことを意味する。式(II)についての前述の記載を満たす様々な化合物が、Gelest,Inc.(Morrisvile,Pennsylvania)などの企業から市販されている。
【0031】
式(I)、(II)、及び(III)に従い、Xは、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環は、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである。換言すると、式(I)、(II)、及び(III)に従い、Xは、(i)又は(ii)のうちの少なくとも1つを満たし、任意に(iii)も満たし得る。このため、本明細書に開示される第1〜第4の実施形態では、Xは、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせ(縮合された組み合わせは、芳香族となり、1つ超の5員環、1つ超の6員環、1つの5員環、及び1つの6員環などを含んでもよい)から選択されてもよく、Xの各環は、(i)1〜4個の窒素原子を含有し、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、又はこれらの組み合わせ(例えば、1個の硫黄及び1個の窒素、1個の硫黄及び2個の窒素)を含有し、任意に(iii)Xの芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されている。Xについての5員芳香環の非限定例として、ピロール、チオペン、フラン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、及びオキサゾールが挙げられる。Xについての6員芳香環の非限定例としては、ピリジン、ピリミジン、及びピラジンが挙げられる(しかし、縮合環が存在する実施形態においては特にフェニルが利用されてもよく、このフェニルは、上記のようにヘテロ原子を含有する少なくとも1つの追加の環と共に利用される)。Xについてのこれらの縮合された組み合わせの非限定例としては、キノロン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンズトリアゾール、インドリジン、ベンゾフラン、フタラジン、ペテリジン(peteridine)、及びフェナジン−アソフェニレンが挙げられる。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、Xは、ピリジン(位置4、3、又は2で、式(I)、(II)、又は(III)の残りに結合する)を含む。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、Xは、ピリジンを含み、bは1であり、WはSである。
【0032】
第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、ライブ末端コポリマー(即ち、共役ジエンモノマーとあらゆる窒素を有しない芳香族ビニルモノマーとから生成されるコポリマー)の量に対する使用される化合物(II)の量は、少なくとも0.2モル当量(0.2〜15モル当量、0.2〜12モル当量、0.2〜10モル当量、0.2〜8モル当量、0.2〜5モル当量、0.5〜15モル当量、0.5〜12モル当量、0.5〜10モル当量、0.5〜8モル当量、0.5〜5モル当量、及び少なくとも1モル当量を含む)である。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、使用される化合物(II)の量は、ライブ末端コポリマー(即ち、共役ジエンモノマーとあらゆる窒素を有しない芳香族ビニルモノマーとから生成されるコポリマー)100重量部あたり0.1〜2重量部(ライブ末端コポリマー100重量部あたり0.2〜1重量部の化合物(II)を含む)である。
【0033】
第1〜第4の実施形態に従う末端官能化コポリマーの末端官能性率は様々であってもよい。末端官能性率(F)は、式(I)を有する少なくとも1つの基を含有するコポリマーの末端又は尾部のパーセンテージ(モル%)を指し、NMRなどの様々な分析法又は元素分析(例えば、全窒素含有量に基づいて)を使用して決定することができる。カップリングパーセント(カップリング済%)の測定は、GPCなどの様々な分析方法を使用して決定することができる。第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマーは、カップリング%が、10〜90%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%)(10〜80%、10〜70%、10〜60%、10〜50%、20〜90%、20〜80%、20〜70%、20〜60%、及び20〜50%を含む)である。本末端官能化コポリマーが、カーボンブラック充填剤、シリカ充填剤、又は両方を含有するゴム組成物に組み込まれる場合、ゴム結合%を測定することにより、本末端官能化コポリマーの末端感官能性率の指標を得ることができる。結合したゴムは、本明細書の実施例に記載のものを含む様々な分析法によって測定することができる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマー(全てシリカ充填剤を含有する、即ち、カーボンブラック充填剤を含有しないゴム組成物に組み込まれる場合)は、少なくとも50%(50〜90%、50〜80%、又は50〜70%を含む)のゴム結合%を呈することになる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、本末端官能化コポリマー(全てカーボンブラック充填剤を含む、即ち、シリカ充填剤を含まないゴム組成物に組み込まれる場合)は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%(これらの各々は100%、99%、又は98%まで)のゴム結合%を呈することになる。当業者であれば理解するであろう通り、NMRなどの分析法を使用して、末端官能化の量を定量化することができる。
【0034】
ゴム組成物
上で考察したように、本明細書に開示される第2及び第3の実施形態に従うと、本ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの組み合わせから選択される、5〜200phr(例えば、5phr、10phr、20phr、30phr、40phr、50phr、60phr、70phr、80phr、90phr、100phr、110phr、120phr、130phr、140phr、150phr、160phr、170phr、180phr、190phr、200phr)の少なくとも1つの補強充填剤を含み、この5〜200phrは、補強充填剤を2つ以上利用する場合の補強充填剤の総量を指す。換言すると、かかるゴム組成物は、カーボンブラック充填剤、シリカ充填剤、又はカーボンブラック充填剤及びシリカ充填剤の組み合わせを前述の指定量で含んでもよい。更に、各々のうちの1つ以上、即ち、1つのカーボンブラック、1つ超のカーボンブラック、1つのカーボンブラック及び1つのシリカ、1つのカーボンブラック及び1つ超のシリカ充填剤、1つ超のカーボンブラック及び1つのシリカ、又は1つ超のカーボンブラック及び1つ超のシリカ充填剤を、補強充填剤として前述の指定量で利用してもよいことを理解されたい。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの組み合わせから選択される、10〜120phr、20〜120phr、30〜120phr、5〜100phr、10〜100phr、20〜100phr、又は30〜100phrを含む、10〜150phr、20〜150phr、30〜150phr、5〜120phrを含む、5〜150の少なくとも1つの補強充填剤を含む。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、本ゴム組成物は、カーボンブラック又はシリカ以外の少なくとも1つの追加の補強充填剤を含み、その例を以下で考察する。
【0035】
補強充填剤
本明細書で使用するとき、「補強カーボンブラック充填剤」、「補強シリカ充填剤」、及び「補強充填剤」について使用される用語「補強」は、一般に、補強として従来説明されている充填剤、並びに、半補強と従来説明される場合がある充填剤の両方の充填剤を包含すると理解されたい。従来、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が、約100m
2/g超、場合によっては、100m
2/g超、約125m
2/g超、125m
2/g超、又は更に約150m
2/g超、又は150m
2/g超である、粒子材料を指すために使用される。あるいは(又は加えて)、用語「補強充填剤」を伝統的に用いて、約10nm〜約50nm(10nm〜50nmを含む)の粒径を有する粒子材料を指すためにも使用できる。伝統的に、用語「半補強充填剤」は、粒径、表面積(N
2SA)のいずれか、又は両方において、非補強充填剤(以下で考察する通り)と補強充填剤との中間である充填剤を指すために使用される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が、約20m
2/g以上(20m
2/g以上を含む、約50m
2/g超、50m
2/g超、約100m
2/g超、100m
2/g超、約125m
2/g超、及び125m
2/g超である、粒子材料を指すために使用される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、約10nm〜約1000nm(10nm〜1000nmを含む)、約10nm〜約50nm(10nm〜50nmを含む)の粒径を有する、粒子材料を指すために使用される。
【0036】
シリカ
上述の通り、第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、少なくとも1つの補強充填剤はシリカを含む。1つ以上の補強シリカ充填剤を利用してもよい。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物における使用に好適な補強シリカ充填剤は周知である。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物中での使用に好適な、補強シリカ充填剤の非限定例として、沈殿アモルファスシリカ、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物中での使用に好適なその他の補強シリカ充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(Mg
2SiO
4、MgSiO
3など)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO
4)、ケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4など)、ケイ酸アルミニウム(Al
2SiO
5、Al
4.3SiO
4.5H
2Oなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al
2O
3.CaO
2SiO
2、など)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの補強シリカ充填剤のうち、沈殿非晶質湿式プロセス、含水シリカ充填剤が好ましい。このような補強シリカ充填剤は、水中の化学反応により生成され、そこから一次凝集体へと強力に結合し、順次、二次凝集体へとわずかに強く結合する一次粒子を伴う超微粒の球状粒子として、沈殿される。BET法で測定されるとき、表面積は、様々な補強シリカ充填剤の補強特性を決定するために好ましい値である。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、約32m
2/g〜約400m
2/g(32m
2/g〜400m
2/gを含む)の表面積(BET法で測定)を有する補強シリカ充填剤を含み、約100m
2/g〜約300m
2/g(100m
2/g〜300m
2/gを含む)の範囲が好ましく、約150m
2/g〜約220m
2/g(150m
2/g〜220m
2/gを含む)の範囲が含まれる。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、約5.5〜約7、又は7を少し超える、好ましくは約5.5〜約6.8のpHを有する補強シリカ充填剤を含む。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物中で使用できるいくつかの市販の補強シリカ充填剤として、PPG Industries(Pittsburgh,Pa.)製のHi−Sil(登録商標)190、Hi−Sil(登録商標)210、Hi−Sil(登録商標)215、Hi−Sil(登録商標)233、Hi−Sil(登録商標)243などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、多くの有用な商用グレードの異なる補強シリカ充填剤は、Degussa Corporation(例えば、VN2、VN3)、Rhone Poulenc(例えば、Zeosil(商標)1165MP)、及びJ.M.Huber Corporationからも入手できる。
【0037】
本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、少なくとも1つの補強充填剤がシリカ充填剤を含む場合、1つ以上のシリカカップリング剤も(任意に)利用し得る。シリカカップリング剤は、ゴム組成物中のシリカ充填剤の凝集を防止する又は減少させるのに有用である。シリカ充填剤粒子の凝集は、ゴム組成物の粘度を上昇させると考えられ、このため、当該凝集を防止することにより、粘度が抑えられ、ゴム組成物を加工及び混合しやすくなる。
【0038】
概して、任意の従来のシリカカップリング剤の種類、例えば、シラン及び構成成分、又はポリマー、特に加硫性ポリマーと反応可能な部分を有するものなどが、使用可能である。シリカカップリング剤は、シリカとポリマーの間の架橋として作用する。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適なシリカカップリング剤としては、アルキルアルコキシ、メルカプト、ブロックされたメルカプト、硫化物含有(例えば、一硫化系アルコキシ含有、二硫化系アルコキシ含有、四硫化系アルコキシ含有)、アミノ、ビニル、エポキシ、及びこれらの組み合わせなどの基を含むものが挙げられる。特定の実施形態では、シリカカップリング剤は、前処理されたシリカの形態でゴム組成物に添加されてもよく、当該前処理されたシリカは、ゴム組成物に添加される前にシランで前処理されている。前処理されたシリカを使用することにより、1つの成分に2つの成分(すなわち、シリカとシリカカップリング剤)を添加することが可能になり、これによって概してゴムの配合が容易になる傾向がある。
【0039】
アルキルアルコキシシランは、一般式R
1pSi(OR
2)
4−pで表され、ここで各R
2は独立して一価の有機基であり、pは1〜3の整数であり、少なくとも1つのR
1はアルキル基である。好ましくは、pは1である。一般に、各R
1は、独立して、C1〜C20脂肪族、C5〜C20脂環式、又はC6〜C20芳香族を含み、各R
2は、独立して、C1〜C6脂肪族を含む。特定の例示的実施形態では、各R
1は、独立して、C6〜C15脂肪族を含み、追加の実施形態では、各R
1は、独立して、C8〜C14脂肪族を含む。メルカプトシランは、一般式HS−R
3−Si(R
4)(R
5)
2で表され、ここでR
3は二価の有機基であり、R
4はハロゲン原子又はアルコキシ基であり、各R
5は独立してハロゲン、アルコキシ基、又は一価の有機基である。上記ハロゲンは、塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素である。上記アルコキシ基は、好ましくは1〜3の炭素原子を有する。ブロックされたメルカプトシランは、一般式B−S−R
6−Si−X
3で表され、シリル基がシリカ・シラン反応におけるシリカとの反応に利用可能であり、ブロッキング基Bがメルカプト水素原子を置換して硫黄原子とポリマーとの反応をブロックする。上述の一般式において、Bは、不飽和ヘテロ原子の形態であり得る、又は単結合を介して硫黄に直接結合される炭素であり得るブロック基である。R
6は、C1〜C6直鎖又は分岐アルキリデンであり、各Xは、独立して、C1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシからなる群から選択される。
【0040】
本明細書に開示される第2及び第3実施形態の特定の実施形態において使用するのに好適なアルキルアルコキシシランの非限定例としては、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書にて開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの非限定例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の例示的実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの、特定の非限定例としては、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリ−t−ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’−ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(エチル−ジ−sec−ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’−ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ジメトキシフェニルシリル−2−メチルプロピル)ジスルフィド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の非限定例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、Evonik Degussa Corporation製のSi69(登録商標)として市販されている。
【0042】
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適なメルカプトシランの非限定例としては、1−メルカプトメチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18−メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適なブロックされたメルカプトシランの非限定例としては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、及び同第6,683,135号(これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される特定の例示的実施形態に本明細書で使用されるブロックされたメルカプトシランの代表例として、2−トリエトキシシリル−1−エチルチオアセテート、2−トリメトキシシリル−1−エチルチオアセテート、2−(メチルジメトキシシリル)−1−エチルチオアセテート、3−トリメトキシシリル−1−プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル−チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2−トリイソプロポキシシリル−1−エチルチオアセテート、2−(メチルジエトキシシリル)−1−エチルチオアセテート、2−(メチルジイソプロポキシシリル)−1−エチルチオアセテート、2−(ジメチルエトキシシリル−1−エチルチオアセテート、2−(ジメチルメトキシシリル)−1−エチルチオアセテート、2−(ジメチルイソプロポキシシリル)−1−エチルチオアセテート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルチオアセテート、3−トリイソプロポキシシリル−1−プロピルチオアセテート、3−メチルジエトキシシリル−1−プロピル−チオアセテート、3−メチルジメトキシシリル−1−プロピルチオアセテート、3−メチルジイソプロポキシシリル−1−プロピルチオアセテート、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−4−チオアセチルシクロヘキサン、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−3−チオアセチルシクロヘキサン、2−トリエトキシシリル−5−チオアセチルノルボルネン、2−トリエトキシシリル−4−チオアセチルノルボルネン、2−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−5−チオアセチルノルボルネン、2−(2−トリエトキシ−シリル−1−エチル)−4−チオアセチルノルボルネン、1−(1−オキソ−2−チア−5−トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6−トリエトキシシリル−1−ヘキシルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−5−ヘキシルチオアセテート、8−トリエトキシシリル−1−オクチルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−7−オクチルチオアセテート、6−トリエトキシシリル−1−ヘキシルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−5−オクチルチオアセテート、8−トリメトキシシリル−1−オクチルチオアセテート、1−トリメトキシシリル−7−オクチルチオアセテート、10−トリエトキシシリル−1−デシルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−9−デシルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−2−ブチルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−3−ブチルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−3−メチル−2−ブチルチオアセテート、1−トリエトキシシリル−3−メチル−3−ブチルチオアセテート、3−トリメトキシシリル−1−プロピルチオオクタノエート、3−トリエトキシシリル−1−プロピル−1−プロピルチオパルミテート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルチオオクタノエート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルチオベンゾエート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルチオ−2−エチルヘキサノエート、3−メチルジアセトキシシリル−1−プロピルチオアセテート、3−トリアセトキシシリル−1−プロピルチオアセテート、2−メチルジアセトキシシリル−1−エチルチオアセテート、2−トリアセトキシシリル−1−エチルチオアセテート、1−メチルジアセトキシシリル−1−エチルチオアセテート、1−トリアセトキシシリル−1−エチル−チオアセテート、トリス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)トリチオホスフェート、ビス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)エチルジチオホスホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルジメチルチオホスフィネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルジエチルチオホスフィネート、トリス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)テトラチオホスフェート、ビス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)エチルトリチオホスホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルジメチルジチオホスフィネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス−(3−メチルジメトキシシリル−1−プロピル)トリチオホスフェート、ビス−(3−メチルジメトキシシリル−1−プロピル)−メチルジチオホスホネート、ビス−(3−メチルジメトキシシリル−1−プロピル)−エチルジチオホスホネート、3−メチルジメトキシシリル−1−プロピルジメチルチオホスフィネート、3−メチルジメトキシシリル−1−プロピルジエチルチオホスフィネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルメチルチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルメタンチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルエタンチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルベンゼンチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルトルエンチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルナフタレンチオスルホネート、3−トリエトキシシリル−1−プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々なブロックされたメルカプトシランの混合物が使用され得る。ある特定の例示的実施形態における使用に好適なブロックされたメルカプトシランの更なる例は、Momentive Performance Materials Inc.(Albany,NY)から入手可能なNXT(商標)シラン(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン)である。
【0044】
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態における使用に好適な前処理されたシリカ(即ち、シランで前処理されたシリカ)の非限定例として、メルカプトシランで前処理されたCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標)LP(PPG Industries製)シリカ、オルガノシランのビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)とUltrasil(登録商標)VN3シリカとの間の反応の生成物であるCoupsil(登録商標)8113(Degussa製)が挙げられるが、これらに限定されない。Coupsil 6508、Agilon 400(商標)シリカ(PPG Industries製)、Agilon 454(登録商標)シリカ(PPG Industries製)、及び458(登録商標)シリカ(PPG Industries製)も挙げられる。シリカが前処理されたシリカを含む実施形態では、前処理されたシリカは、シリカ充填剤について上記に開示されたような量で使用される(即ち、約5〜約200phr(5〜200phrを含む)、約10〜約200phr(10〜200phrを含む)、約10〜約175phr(10〜175phrを含む)、約25〜約150phr(25〜150phrを含む)、約35〜約150phr(35〜150phrを含む)、約25〜約125phr(25〜125phrを含む)、約25〜約100phr(25〜100phrを含む)、約25〜約80phr(25〜80phrを含む)、約35〜約125phr(35〜125phrを含む)、約35〜約100phr(35〜100phrを含む)、約35〜約80phr(35〜80phrを含む)、約5〜約200phr(約25〜約150phr、約35〜約150phr、約25〜約125phr、約25〜約100phr、約25〜約80phr、約35〜約125phr、約35〜約100phr、及び約35〜約80phrを含む)。
【0045】
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態においてシリカカップリング剤を利用する場合、使用する量を変更してもよい。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、いずれのシリカカップリング剤も含まない。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち他の実施形態では、シリカカップリング剤は、シリカ充填剤に対するシリカカップリング剤の総量の比が約1:100〜約1:5(即ち、シリカ100部に対して約0.01〜約20重量部)(1:100〜1:5を含む)、約1:100〜約1:10(1:100〜1:10を含む)、約1:100〜約1:20(1:100〜1:20を含む)、約1:100〜約1:25(1:100〜1:25を含む)、並びに約1:100〜約0:100(1:100〜0:100を含む)となるように、十分な量で存在している。本明細書に開示される第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約0.01〜約10phr(0.01〜10phrを含む)、約0.01〜約5phr(0.01〜5phrを含む)、約0.01〜約3phr(0.01〜3phrを含む)のシリカカップリング剤を含む。
【0046】
カーボンブラック
上述の通り、第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、カーボンブラックを含む少なくとも1つの補強充填剤。1つ以上のカーボンブラック補強充填剤を利用することができる。以下に詳述するように、カーボンブラックの大半は補強充填剤であると一般的に理解されている。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、総補強充填剤のゼロ〜約50重量%(ゼロ〜50重量%を含む)、約5重量%〜約30重量%(5〜30重量%を含む)、約5重量%〜約20重量%(5〜20重量%を含む)、約10重量%〜約30重量%(10〜30重量%を含む)、及び約10重量%〜約20重量%(10〜20重量%を含む)の量でカーボンブラックを含む。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、カーボンブラックは、ゴム組成物中の総補強充填剤の約30重量%以下(30重量%以下を含む)で含まれる。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、約5〜約100phr(5〜100phrを含む)1つ以上のカーボンブラックを含む。
【0047】
一般に、本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物における使用に好適なカーボンブラックとして、通常入手可能な商用製造された任意のカーボンブラック、例えば、表面積が、少なくとも約20m
2/g(少なくとも20m
2/gを含む)、より好ましくは少なくとも約35m
2/g、最大約200m
2/g以上(35m
2/gから、最大200m
2/gを含む)のものが挙げられる。カーボンブラックについて本明細書で使用される表面積値は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)技法を使用して、ASTM D−1765によって決定される。中でも有用なカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックである。より具体的には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(HAF)ブラック、良押出性ファーネス(FEF)ブラック、微細ファーネス(FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(ISAF)ブラック、中補強性ファーネス(SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。利用され得る他のカーボンブラックとしては、アセチレンブラックが挙げられる。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、前述のブラックのうちの2つ以上の混合物を含む。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態での使用に典型的に好適なカーボンブラックは、ASTM D−1765−82aと指定される、N−110、N−220、N−339、N−330、N−351、N−550、及びN−660である。使用されるカーボンブラックは、ペレット化形状又は非ペレット化綿状塊であり得る。好ましくは、より均一な混合のため、非ペレット化カーボンブラックが好ましい。
【0048】
他の補強充填剤
上述の通り、本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、少なくとも1種の補強充填剤は、カーボンブラック又はシリカ以外の補強材(即ち、追加の補強充填剤)を含む。1種以上の追加の補強充填剤を利用してもよい。本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくともカーボンブラック及び少なくとも1種の追加の補強充填剤を含むか、少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、少なくとも1種の追加の補強充填剤とを含むか、又は、少なくとも1種の補強カーボンブラックと、少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、少なくとも1種の追加の補強充填剤とを含む。
【0049】
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物における使用に好適な、カーボンブラックとシリカ以外の補強充填剤は周知である。本明細書に開示される第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物における使用に好適な追加の補強充填剤の非限定例として、アルミナ、水酸化アルミニウム、粘土(補強等級)、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化チタン、補強酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
他の成分
第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物において用いてもよい(即ち、任意の)他の成分は、当業者に周知であり、油(加工用及び伸展用)、ワックス、加工助剤、抗酸化剤、粘着付与樹脂、補強樹脂、しゃく解剤、及び硬化パッケージ(cure package)の構成要素が挙げられる。
【0051】
様々な種類の粘着付与剤が当業者には周知であり、これらを第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物に利用してもよく、この例としては、ロジン及びその誘導体、炭化水素樹脂、並びにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上、更に各種類の1つ以上を、第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態に利用してもよい。本明細書で使用されるとき、用語「樹脂」は、室温(23℃)で固体(又は半固体)である化合物(室温で液体であるもの(油など)とは対照的に)を包含することを意図している。例示的な種類のロジン型樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールオイルロジン、ロジンエステル、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な種類の炭化水素樹脂としては、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂、テルペン/フェノールホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5又はC9部分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、アルファ−メチルスチレンホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な種類のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂としては、アルキルフェノールを含有するものが挙げられるが、これらに限定されない。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、使用される粘着付与剤の総量は、1〜25phr(1〜20phr、1〜15phr、及び1〜10phrを含む)である。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びポリフェニレン樹脂の総量は、25phr未満(20phr未満、15phr未満、10phr未満、5phr未満を含む)である。
【0052】
各種抗酸化剤は当業者には周知であり、第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態のゴム組成物に利用してもよく、この例としては、ある特定のワックス、フェノール系抗酸化剤、アミンフェノール系抗酸化剤、ヒドロキノン抗酸化剤、アルキルジアミン抗酸化剤、及びN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)又はN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−フェニレンジアミン(6PPD)などのアミン化合物抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上、更に各種類の1つ以上を、第2及び第3の実施形態のうち特定の実施形態に利用してもよい。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、使用される抗酸化剤(複数可)の総量は、1〜5phrである。
【0053】
芳香族、ナフテン系、及び低PCA油が挙げられるがこれらに限定されない、様々な種類の加工油及び伸展油を利用してもよい。好適な低PCA油としては、IP346法によって測定したとき3重量パーセント未満の多環式芳香族含量を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,62nd editionに見出しうる。好適な低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族抽出物(TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。好適なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES−H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。好適なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。好適な重ナフテン系油は、SHELLFELX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物源油も挙げられる。非限定例としては、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられるが、これらに限定されない。前述の加工油を、伸展油として、即ち、油展ポリマー又はコポリマーの調製のために、又は加工油若しくは遊離油(free oil)として使用することもできる。一般に、タイヤ部品におけるゴム組成物の大半の用途について、本明細書に開示されるゴム組成物及び方法において使用される油(加工油及び伸展油)の総量は、約1〜約40phr、1〜40phr、約1〜約20phr、又は1〜20phrの範囲である。
【0054】
ゴム組成物の調製
本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態に従うゴム組成物の調製に関与する特定のステップは、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ段階及び最終生産用混合段階で成分を混合することを含む従来行われている方法のステップである。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム組成物の成分(上で開示の通り)を、当該技術分野において既知の方法、例えば、これらの成分をバンバリーミキサー又はロール機で共に混練することなどによって、組み合わせることで調製される。かかる方法は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階とを含む。非生産用マスターバッチ段階という語句は、当業者に既知であり、一般に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階(単数又は複数)であると理解されている。用語、最終生産用混合段階も当業者に既知であり、一般に、ゴム組成物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。本明細書に開示される第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、1回以上の非生産用マスターバッチ混合段階を含むプロセスによって調製される。
【0055】
一般に、ゴム(又はポリマー)及び少なくとも1つの補強充填剤(並びに任意のシランカップリング剤及び油)を非生産用又はマスターバッチ混合段階(単数又は複数)で添加する。一般に、硬化パッケージの少なくとも加硫剤成分及び加硫促進成分を最終又は生産用混合段階で添加する。
【0056】
第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、約130℃〜約200℃の温度で実施する少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階(複数可)を使用して調製される。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム組成物の望ましくない事前硬化を回避するために加硫温度を下回る温度で実施する最終生産用混合段階を使用して調製される。したがって、生産用又は最終混合段階の温度は、約120℃を超えてはならず、典型的には約40℃〜約120℃、又は約60℃〜約110℃、特に、約75℃〜約100℃である。第2の及び第3の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用混合段階と少なくとも1回の生産用混合段階とを含む方法によって調製される。第2及び第3の実施形態のゴム組成物がカーボンブラック以外の(又はそれに加えた)充填剤を含む場合、他の充填剤の一部又は全ての個々の添加につき別個の再練り段階を使用してもよい。この段階は多くの場合マスターバッチ段階で採用される温度と同様であるが、多くの場合わずかに低い温度で実施されて、即ち、約90℃から約150℃の落下温度まで上昇する。
【0057】
タイヤ及びタイヤトレッド
上で考察した通り、本明細書に開示される第3の実施形態は、第2の実施形態のゴム組成物を含むトレッドを有するタイヤを対象とする。更に、本明細書に開示される第1の実施形態に従う末端官能化コポリマーは、タイヤのトレッド構成要素で利用されるゴム組成物において特に有用であり得る。
【0058】
プロセス
上で考察した通り、本明細書に開示される第4の実施形態は、末端官能化コポリマーを調製するためのプロセスを対象とする。本プロセスは、80重量%未満の共役ジエンモノマーと、芳香環が全く窒素置換されていない少なくとも20重量%の芳香族ビニルモノマーとの、アニオン性開始剤によるアニオン重合であって、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニルモノマーの総量が、コポリマーにおける全モノマーの)100%を構成する、アニオン重合を行って、リビング末端を有するコポリマーを生成すること、コポリマーのリビング末端を、式(II)の官能化化合物と反応させて、
【化12】
(式中、R
1及びR
2が、同じであるか又は異なり、かつ独立して、C1〜C20アルキル及びアルコキシから選択され、R
3が、C1〜C20アルコキシから選択され、a及びcが、同じであるか又は異なり、かつ各々、1〜10の整数であり、bが0又は1であり、Wが、O、S、又はNZであり、式中、Zが、Si(R
4)
3から選択され、各R
4が、独立して、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、又はC6〜C20アリールから選択され、Xが、5員芳香環、6員芳香環、又はこれらの縮合された組み合わせから選択され、Xの各環が、(i)1〜4個の窒素を含有するか、(ii)1個の硫黄、1個の窒素、1個の酸素、若しくはこれらの組み合わせを含有し、任意に(iii)上記芳香環にて少なくとも1つの置換基で置換されているか、又は(i)若しくは(ii)のうちの少なくとも1つと(iii)との組み合わせである)、それにより、式(I)
【化13】
を有する少なくとも1つの基によって末端官能化されたコポリマーを生成することを含む。
【0059】
本明細書に開示される第4の実施形態のプロセスに従って生成される末端官能化コポリマーは、本明細書に開示される第2及び第3の実施形態に従うゴム組成物、又は他のゴム組成物に利用してもよい。
【0060】
一般に、本明細書に開示される第5の実施形態に従う本プロセスは、アニオン重合を含み、その一般的なプロセス(即ち、式(II)の官能化化合物の使用以外)は、当業者に周知である。一般に、モノマーを、バッチ、半連続、又は連続操作など様々な好適な方法に従って重合する。また重合は、バルク重合、蒸気相重合、溶液重合、懸濁重合、配位重合、及びエマルション重合が挙げられるが、これらに限定されない、多くの異なる重合反応装置系においても実施できる。第4の実施形態のプロセスに従い、アニオン重合は、アニオン性開始剤、一般には有機アルカリ金属化合物、好ましくはリチウム含有化合物を利用して実施する。アニオン性開始剤として有用なリチウム含有化合物の例として、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物、及び類似のリチウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性開始剤として使用されるリチウム化合物の量は、好ましくは、モノマー100g当たり0.2〜20ミリモルの範囲内である。
【0061】
ヒドロカルビルリチウム化合物の非限定例として、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼン及びブチルリチウムの反応生成物、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらのなかでも、アルキルリチウム化合物、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウムなどが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。一般に、重合は、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中のモノマーを使用して実施される。重合反応に不活性な炭化水素溶媒の非限定例として、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
第4の実施形態の特定の実施形態では、アニオン重合プロセスを、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。ランダマイザーは、共役ジエン化合物の微細構造を制御でき、例えば、ブタジエンをモノマーとして用いるポリマーのブタジエン単位中の1,2−結合含量を制御し、ブタジエン及びスチレンをモノマーとして用いるコポリマー中のブタジエン単位及びスチレン単位をランダム化させるなどの作用を有する。ランダマイザーの非限定例として、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−アミレートなどが挙げられる。使用されるランダマイザーの量は、好ましくは、重合反応開始剤としての有機アルカリ金属化合物1モル当たり、0.01〜100モル当量の範囲内である。
【0063】
第4の実施形態のアニオン重合プロセスは、溶液重合、蒸気相重合、及びバルク重合のうち任意のものによって実施してもよい。溶液重合では、溶液中のモノマーの濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲内である。重合系は特に限定されず、バッチ式又は連続式であってもよい。
【0064】
アニオン重合における重合温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲内である。重合は、発生圧力下、つまり好ましくは、反応モノマーを実質的に液相中に維持するのに十分な圧力において実施できる。重合反応が発生圧力より高圧下で実施されるとき、反応系は、不活性ガスによって好ましくは加圧される。好ましくは、任意の反応妨害物質、例えば水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などを、重合反応開始前に除去する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、特定の及び代表的な実施形態、並びに/又は本開示の実施形態の特徴を例示するものである。実施例は、単に説明の目的で提供されており、本開示を限定するものとして解釈すべきでない。本開示の実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの特定の実施例に対する多くの変更が可能である。実施例で利用するもの以外の官能化化合物(即ち、式(II)に従う化合物)を利用できること、実施例で使用される特定の末端官能化コポリマーを、異なる量で、並びに/又は実施例で使用されるものとは量、組成、若しくはその両方が異なるゴム、充填剤、及び他の成分と共に利用できること(即ち、先行する段落で十分に開示される通り)、並びに種類、量、又はその両方が異なる末端官能化コポリマーを、実施例で使用されるゴム、充填剤、及び他の成分、並びに実施例で使用されるものとは量、組成、又はその両方が異なるゴム、充填剤、及び他の成分と共に利用できること(先行する段落で十分に開示される通り)を特に理解されたい。
【0066】
実施例1−1〜1−3:撹拌器を装備した2ガロンのN
2パージした反応器に、1.431キログラムのヘキサン、0.454キログラムのスチレン(ヘキサン中33.0重量重量%)、及び3.055キログラムの1,3−ブタジエン(ヘキサン中19.8重量%)を添加した。反応器に、3.6ミリリットルのn−ブチル−リチウム(ヘキサン中1.6モル)、続いて1.25ミリリットルの2,2−bis(2’−テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6モル)を充填し、反応器のジャケットを50℃に加熱した。33分後、バッチ温度は66.3℃でピークに達した。更に30分経過した後、ポリマーセメントを乾燥した28ozガラス瓶に滴下し(約400グラムの量で)、50℃の水槽を30分間利用して、以下の3つの化合物のうちの1つと反応させた:実施例1−1についてはイソプロピルアルコール、実施例1−2については3−(4−ピリジルエチル)チオプロ−ピルトリメトキシシラン(3.61モル、ニート)、及び実施例1−3については3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン(3.0モル、ニート)。次に、得られたポリマーセメントを、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有するイソプロピルアルコール中へと滴下し、円筒乾燥させた。得られたポリマーは、表1で以下に示す特性を有する。実施例1−1は、あらゆる末端官能化を有しない対照である。
【0067】
表1及び2に挙げるMn、Mw、及びMp値は、問題のポリマーについてのポリスチレン標準及びMark−Houwink定数(即ち、SBR)によって較正したGPCを使用して測定した。カップリング%もGPCによって測定した。表2及び3に挙げるTg値は、TA Instruments(New Castle,Delaware)製の示差走査熱量測定(DSC)計器を使用して測定し、測定は、−120℃で冷却してから10℃/分の温度上昇を使用して実施した。正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引いた。DSC曲線上の温度を2つの接点の中間に対応する点で読み取り、Tgとして使用した。
【表1】
【0068】
実施例2−1〜2−2:撹拌器を装備した2ガロンのN
2パージした反応器に、1.462キログラムのヘキサン、0.454キログラムのスチレン(ヘキサン中33.0重量%)、及び3.024キログラムの1,3−ブタジエン(ヘキサン中19.6重量%)を添加した。反応器に、3.60ミリリットルのn−ブチル−リチウム(ヘキサン中1.6モル)、続いて1.25ミリリットルの2,2−bis(2’−テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6モル)を充填し、反応器のジャケットを50℃に加熱した。33分後、バッチ温度は65.3℃でピークに達した。更に30分経過した後、ポリマーセメントを乾燥した28ozガラス瓶に滴下し(約400グラムの量で)、50℃の水槽を30分間利用して、以下の2つの化合物のうちの1つと反応させた:実施例2−1については2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(3.7モル、ニート)、及び実施例2−2については2−(2−ピリジルエチル)トリメトキシシラン(4.55モル、ニート)。得られたポリマーセメントを、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有するイソプロピルアルコール中へと滴下し、円筒乾燥させた。得られたポリマーは、表2で以下に示す特性を有する。
【表2】
【0069】
実施例3−1〜3−4、及び4−1〜4−3:ゴム組成物を、実施例1−1、1−2、1−4、及び2−1〜2−2に従って調製したSBRコポリマー(実施例1−3のSBRコポリマーを使用して調製したゴム組成物はなかったことに注意)のうちの1つの100又は80部を使用して調製し、第1のセットのゴム組成物はシリカを補強充填剤として含有し、第2のセットはカーボンブラックを補強充填剤として含有した。ゴム組成物の各セットについての配合を表3に示し、表中、成分量は単位phrで記入され、末端官能化コポリマー+ポリマーを含有する共役ジエン−モノマーの総量は合計100部である。本組成物を調製するための混合手順を表4A及び4Bで以下に示し、表4Aはシリカ含有実施例(3−1〜3−4)を対象とし、表4Bはカーボンブラック含有実施例(4−1〜4−3)を対象とする。実施例3−1及び4−1は、それらが末端官能化コポリマーを含有しないため対照である。
【表3】
【表4】
【表5】
【0070】
ゴム組成物のある特定の特性を測定し、下表5に報告する。本開示に従うゴム組成物の値(即ち、実施例3−2〜3−4及び4−2〜4−3)をその対照(即ち、それぞれ実施例3−1〜4−1)で割ることにより、指標値を計算した。表5のΔTg値は、本開示に従うゴム組成物についてのTgを、対応する対照実施例についての対応する値と比較した場合の差を示す(負の数字は対照値と比較したTgの減少を示す)。
【0071】
tanδ値を測定するために、動的圧縮試験をDynastat(商標)機械的分光計(Dynastatics Instruments Corp.(ニューヨーク州Albany)製)を使用して、円筒形ボタン形状試験標本(直径7.8mm×高さ6mm)に対して実施した。温度は60℃の所望温度で一定に保った。サンプルを試験の前に2kgの静荷重下で圧縮した。平衡状態に達すると、1.25kgの動的圧縮荷重で15Hzの周波数で試験を開始した。次に、サンプルを動的に圧縮した後、伸長し、結果のヒステリシス(tanδ)を記録した。ゴム組成物の60℃における指標tanδは、タイヤトレッドに組み込まれる場合の、その圧延抵抗の指標である。
【0072】
本明細書に開示されるムーニー粘度を、大型ローター、1分間の熱入れ時間、及び4分間の稼働時間を伴うAlpha Technologies製ムーニー粘度計を使用して100又は130℃にて決定したため、これらはムーニー
1+4又はML
1+4と称される。より具体的には、ローターが始動する前に、各バッチからのサンプルを、100℃又は130℃のいずれかで1分間予備加熱することにより、ムーニー粘度を測定した。ローターが始動した後に4分間トルクとして、各サンプルについてムーニー粘度を記録した。一般に、低いムーニー粘度が有利である。したがって、低い指標値のムーニー粘度が有益であると考えることができる。
【0073】
結合ゴムの含量試験を使用して、各ゴム組成物における、充填剤粒子に結合したポリマーのパーセントを決定した。大過剰のトルエン中における未硬化素材の小試験片を3日間浸漬させることにより、結合ゴムを測定した。溶剤により、可溶性ゴムをサンプルから抽出した。3日後、過剰なトルエンを排液して、サンプルを空気乾燥させ、次にオーブン内で約100℃にて一定の重量へと乾燥させた。残留する試験片は、充填剤及び元のゴムの幾らかを含有する弱い凝集性ゲルを形成する。充填剤を伴い残留するゴムの量は、結合ゴムである。結合ゴムの含量は、次に以下の式に従って計算される。
【数1】
Wdは乾燥ゲルの重量であり、Fはゲル中の充填剤の重量又は溶媒不溶性材料(元のサンプル中の充填剤の重量と同一)であり、またRは元のサンプル中のポリマーの重量である。ゴム(ポリマー)と充填剤との間の、増大し、かつ有益な相互作用を示す比較的高い結合ゴムパーセンテージを伴う結合ゴムのパーセンテージは、ゴム組成物中のゴム(ポリマー)と充填剤との間の相互作用の測定手段を提供する。
【0074】
カップリング%及びTgを上記のように(即ち、それぞれGPC及びDSCによって)測定した。
【表6】
【0075】
表5のデータから見られるように、ゴム組成物中で末端官能化コポリマーを使用することにより、60℃でのtanδがより低くなり、このことは、タイヤトレッドにこれらのゴム組成物を使用することで、対照ゴム組成物の使用よりも低い転がり抵抗を持つタイヤが得られることを示す。
【0076】
本出願は、本明細書に開示される組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0077】
一般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するだろう。例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「挙げられる」は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ又は2つ以上」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ又は2つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ又は2つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、かかる記載が、少なくとも記載される番号を意味するものと解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ若しくはそれ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、一般に、かかる構成は、当業者がその慣例を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ又はそれ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0078】
特許、特許出願、及び非特許文献を含むがこれらに限定されない全ての参考文献は、それらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
組成物及び方法の様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、別の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲に示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。