(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
  (壁高欄施工方法の実施形態1)
  本発明の壁高欄施工方法の第一の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態の壁高欄施工方法は、プレキャスト下部高欄1の上側にプレキャスト上部高欄2を配置する工程(高欄配置工程)と、所定空隙に間詰め材3を充填する工程(間詰め材充填工程)と、間詰め材3を所定時間養生し硬化する工程(養生工程)を備えている。ここでは、一本の直線状の凹溝4を備えたプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5を備えたプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例として説明する。なお、本願におけるプレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2は、予め工場で生産したプレキャストコンクリート製品である。
 
【0015】
  図1(a)〜(c)及び
図2(a)〜(c)に示すように、この実施形態のプレキャスト下部高欄1は、床版部1aと地覆部(路肩より外側で路面より高くなっている部分)1bを備えている。床版部1aは鉄筋コンクリート製であっても、鋼製であってもよい。プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には断面視縦長方形状の凹溝4が設けられている。凹溝4は前記プレキャスト上部高欄2に設けられた突部材5が収まる空間である。この実施形態の凹溝4は橋軸方向に長い長溝である。凹溝4はプレキャスト下部高欄1の橋軸方向全長に及ぶ長さとしてある。凹溝4の深さは突部材5の半分程度が収まる深さとしてある。凹溝4は地覆部1bの上面の幅方向中心付近に設けてある。凹溝4の長さや深さ、形成位置はこれ以外であってもよい。
 
【0016】
  プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には高さ調整ボルト6が上向きに突設されている。あるいは、高さ調整ボルト6はあらかじめプレキャスト上部高欄2に埋設された高さ調整用インサート7に螺合してきても良い。高さ調整ボルト6はプレキャスト上部高欄2に埋設された高さ調整用インサート7に螺合して、プレキャスト上部高欄2の高さを調整するものである。
図1(b)及び
図2(b)に示すように、高さ調整ボルト6は、プレキャスト下部高欄1を正面から見た際に凹溝4の幅方向両外側に設けられている。高さ調整ボルト6は橋軸方向に沿って複数個ずつ設けられている。高さ調整ボルト6の設置位置や設置個数は、プレキャスト下部高欄1内に配筋された鉄筋Xの位置等に応じて決定することができる。
 
【0017】
  プレキャスト下部高欄1は橋軸方向に並べて、隣接するプレキャスト下部高欄1同士を一体化して使用する。橋軸方向に隣接するプレキャスト下部高欄1同士は、
図3(a)(b)に示すように橋軸方向に隣接するプレキャスト下部高欄1同士を一体化することができる。プレキャスト下部高欄1同士の一体化には鉄筋Xと間詰め材Yを利用する。間詰め材Yには、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2の一体化に用いる間詰め材3を用いることができる。
 
【0018】
  図1(a)〜(c)及び
図2(a)〜(c)に示すように、この実施形態のプレキャスト上部高欄2は、プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上に配置される部材である。プレキャスト上部高欄2の底面には一列に並ぶ複数本の突部材5が下向きに突設されている。この実施形態では、突部材5として異形棒鋼(例えば、異形棒鋼D41)5aの上下両端寄りの箇所にナット5bが螺合されたものを用いている。ナット5bは引抜抵抗力を増すために設けており、突部材5に十分な付着力がある場合や高欄の設計断面力が小さな場合は、これを省いても良い。異形棒鋼5aの太さはこれより細くても太くてもよい。突部材5の本数は、その突部材5の太さや凹溝4の長さ等に応じて決定することができる。突部材5には、異形棒鋼のほか丸鋼や鋼管などを用いることもできる。突部材5として鋼管を用いる場合、周面に肉厚方向に貫通する貫通孔を備えたものを用いることもできる。突部材5として貫通孔を備えた鋼管を用いる場合、間詰め材3が鋼管の内部にも充填されるため、引抜抵抗力及び耐荷力が向上する。鉄筋(異形棒鋼や丸鋼)は鋼管に比して低額であるため、鉄筋を用いることで、コストを抑えることができる。
 
【0019】
  プレキャスト上部高欄2の底面には、プレキャスト下部高欄1に設けられた高さ調整ボルト6を螺合可能な高さ調整用インサート7が埋設されている。高さ調整用インサート7は高さ調整ボルト6に対応する位置に、対応する数だけ設けてある。なお、高さ調整ボルト6や高さ調整用インサート7がなくても適切な高さ調整ができる場合には、これらを省略することができる。
 
【0020】
  前記高欄配置工程では、
図2(b)及び
図4(a)に示すように、前記プレキャスト上部高欄2の突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹溝4に収まるように、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置する。この実施形態では、一本の直線状の凹溝4に一列に並んだ複数本の突部材5を収めればよいため、位置合わせが簡単であり、急速施工を阻害することがない。また、凹溝4と部材間空隙8を連通するようにして、双方に一度に間詰め材3を充填できるようにしてあるため、充填時間の短縮、ひいては施工期間の短縮を図ることができる。なお、高さ調整が必要な場合は、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置した後、高さ調整ボルト6の高さ調整用インサート7への螺合量を調整する。
 
【0021】
  前記高欄配置工程の完了後、間詰め材充填工程では、
図2(c)及び
図4(b)に示すように、突部材5が収まった凹溝4及び凹溝4と連通する部材間空隙8に間詰め材3を充填する。間詰め材3には、モルタルやコンクリート等を用いることができる。間詰め材3は、プレキャスト下部高欄1やプレキャスト上部高欄2を構成するコンクリートよりも強度の低いものを用いることができる。間詰め材3としてプレキャスト下部高欄1やプレキャスト上部高欄2を構成するコンクリートよりも強度の低いものを用いることで、車両衝突時に間詰め材3が衝撃を吸収して、プレキャスト下部高欄1やプレキャスト上部高欄2自体が損傷するのを防止することができる。間詰め材3は、プレキャスト下部高欄1やプレキャスト上部高欄2を構成するコンクリートの強度と同じ又はそれよりも強度の高いものを用いることもできる。間詰め材3には、じん性に富む短繊維が混入された(短繊維補強された)モルタルやコンクリートを用いることもできる。短繊維が混入された間詰め材によってエネルギーの消費量を増やすことができ、より衝撃を吸収することが可能である。この実施形態では、間詰め材3として無収縮モルタルを用いている。なお、図示は省略しているが、本工程では、間詰め材3の充填に先立って間詰め材充填領域の周囲に型枠を設置する。
 
【0022】
  前記間詰め材充填工程の完了後、前記養生工程では、充填した間詰め材3を所要強度の発現が確保される所定時間養生する。養生完了後、型枠を解体して作業が完了する。以降、前記高欄配置工程、間詰め材充填工程、養生工程を橋軸方向に沿って繰り返し行い、所定長の壁高欄を完成させる。ただし、橋長の短い橋などは、前記高欄配置工程、間詰め材充填工程、養生工程を橋軸方向に沿って一度に行うこともある。
 
【0023】
  (壁高欄施工方法の実施形態2)
  本発明の壁高欄施工方法の第二の実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態1と同様、この実施形態の壁高欄施工方法も、高欄配置工程、間詰め材充填工程及び養生工程を備えている。この実施形態では、複数本の突部材を備えたプレキャスト下部高欄と一本の凹溝を備えたプレキャスト上部高欄を用いる場合を一例として説明する。以下では、実施形態1と同様の事項については説明を省略又は簡略化し、実施形態1と異なる事項を中心に説明する。
 
【0024】
  図5(a)〜(c)に示すように、この実施形態のプレキャスト下部高欄1は、床版部1aと地覆部1bを備えている。プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には一列に並ぶ複数本の突部材5が上向きに突設されている。突部材5には、実施形態1と同様のものを用いることができる。
 
【0025】
  プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には、実施形態1と同様の高さ調整ボルト6が立設されている。高さ調整ボルト6の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0026】
  図5(a)〜(c)に示すように、この実施形態のプレキャスト上部高欄2は、プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上に配置される部材である。プレキャスト上部高欄2の底面には断面視縦長方形状の凹溝4が設けられている。凹溝4はプレキャスト下部高欄1に設けられた突部材5が収まる空間である。この実施形態の凹溝4は橋軸方向に長い長溝である。凹溝4はプレキャスト上部高欄2の橋軸方向全長に及ぶ長さとしてある。凹溝4の深さは突部材5の半分程度が収まる深さとしてある。凹溝4は地覆部1bの上面の幅方向中心付近に設けてある。凹溝4の長さや深さ、形成位置はこれ以外であってもよい。
 
【0027】
  プレキャスト上部高欄2の底面には高さ調整用インサート7が埋設されている。高さ調整用インサート7の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0028】
  前記高欄配置工程では、プレキャスト下部高欄1の突部材5がプレキャスト上部高欄2の凹溝4に収まるように、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置する。高さ調整が必要な場合は、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置した後、高さ調整ボルト6の高さ調整用インサート7への螺合量を調整する。
 
【0029】
  前記高欄配置工程の完了後、間詰め材充填工程では、突部材5が収まった凹溝4及び凹溝4と連通する部材間空隙8に間詰め材3を充填する。間詰め材3には、実施形態1と同様のものを用いることができる。実施形態1と同様、間詰め材3の充填に先立ち、間詰め材充填領域の周囲に型枠を設置する。
 
【0030】
  実施形態1と同様、この実施形態でも、間詰め材充填工程の完了後、養生工程において、充填した間詰め材3を所要強度の発現が確保される所定時間養生する。養生完了後、型枠を解体して作業が完了する。以降、前記高欄配置工程、間詰め材充填工程、養生工程を橋軸方向に沿って繰り返し行い、所定長の壁高欄を完成させる。
 
【0031】
  (壁高欄施工方法の実施形態3)
  本発明の壁高欄施工方法の第三の実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態1と同様、この実施形態の壁高欄施工方法も、高欄配置工程、間詰め材充填工程及び養生工程を備えている。この実施形態では、複数本の突部材5及び一列に並ぶ複数の凹穴9を備えたプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5及び一列に並ぶ複数の凹穴9を備えたプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例として説明する。以下では、実施形態1と同様の事項については説明を省略又は簡略化し、実施形態1と異なる事項を中心に説明する。
 
【0032】
  図6(a)(b)及び
図7(a)(b)に示すように、この実施形態のプレキャスト下部高欄1は、床版部1aと地覆部1bを備えている。プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には、一列に並ぶ複数本の突部材5が上向きに突設されるとともに、断面視縦長方形状の凹穴9(
図7(a))が設けられている。同様に、プレキャスト上部高欄2の底面には、一列に並ぶ複数本の突部材5が下向きに突設されるとともに、平面視円形且つ断面視縦長方形状の凹穴9(
図7(b))が設けられている。
 
【0033】
  プレキャスト下部高欄1の突部材5はプレキャスト上部高欄2の凹穴9に対応する位置に、プレキャスト上部高欄2の突部材5はプレキャスト下部高欄1の凹穴9に対応する位置に設けられている。突部材5と凹穴9は、平面視同一軸線上に一列に並ぶように設けられている。突部材5と凹穴9は一つおき或いは複数個おきに設けることができる。
図6(a)(b)に示す例では、突部材5と凹穴9を三つおきに設けている。突部材5には、実施形態1と同様のものを用いることができる。凹溝4の長さや深さ、形状、形成位置等については、実施形態1と同様である。
 
【0034】
  プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には、実施形態1と同様の高さ調整ボルト6が立設されている。高さ調整ボルト6の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0035】
  プレキャスト上部高欄2の底面には高さ調整用インサート7が埋設されている。高さ調整用インサート7の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0036】
  前記高欄配置工程では、プレキャスト下部高欄1の突部材5がプレキャスト上部高欄2の凹穴9に収まり、且つプレキャスト上部高欄2の突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹穴9に収まるように、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置する(
図6(a)(b)及び
図7(a)(b))。高さ調整が必要な場合は、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置した後、高さ調整ボルト6の高さ調整用インサート7への螺合量を調整する。
 
【0037】
  前記高欄配置工程の完了後、間詰め材充填工程では、突部材5が収まった凹穴9及び凹穴9と連通する部材間空隙8に間詰め材3を充填する。間詰め材3には、実施形態1と同様のものを用いることができる。また、実施形態1と同様、間詰め材3の充填に先立ち、間詰め材充填領域の周囲に型枠を設置する。
 
【0038】
  実施形態1と同様、この実施形態でも、間詰め材充填工程の完了後、養生工程において、充填した間詰め材3を所定時間養生する。養生完了後、型枠を解体して作業が完了する。以降、前記高欄配置工程、間詰め材充填工程、養生工程を橋軸方向に沿って繰り返し行い、所定長の壁高欄を完成させる。
 
【0039】
  (壁高欄施工方法の実施形態4)
  本発明の壁高欄施工方法の第四の実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態1と同様、この実施形態の壁高欄施工方法も、高欄配置工程、間詰め材充填工程及び養生工程を備えている。この実施形態では、一本の凹溝4を備えたプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5を備えたプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例として説明する。以下では、実施形態1と同様の事項については説明を省略又は簡略化し、実施形態1と異なる事項を中心に説明する。
 
【0040】
  図8(a)に示すように、この実施形態のプレキャスト下部高欄1は、床版部1aと地覆部1bを備えている。プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には断面視縦長方形状の凹溝4が設けられている。この実施形態の凹溝4は橋軸方向に長い長溝である。凹溝4はプレキャスト下部高欄1の橋軸方向全長に及ぶ長さとしてある。凹溝4の深さは突部材5の半分程度が収まる深さとしてある。凹溝4は地覆部1bの上面の幅方向中心付近に設けてある。凹溝4の長さや深さ、形成位置はこれ以外であってもよい。
 
【0041】
  前記凹溝4には凹陥状の収容部10aを備えた埋設部材10が埋設されている。埋設部材10の収容部10aはプレキャスト上部高欄2に設けられた突部材5が収まる空間である。埋設部材10には、チャンネル(溝型鋼)やアングル(山型鋼、L字鋼)、鋼管等を用いることができる。この実施形態の凹溝4は橋軸方向に長い長溝であるため、埋設部材10として当該凹溝4に嵌合するチャンネルを用いている。
図8(b)に示すように、埋設部材10には、周面に肉厚方向に貫通する貫通孔10bを備えたものを用いることもできる。埋設部材10として貫通孔10bを備えたものを用いる場合、間詰め材3が貫通孔10bにも充填されるため、耐荷力が向上する。埋設部材10は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
 
【0042】
  プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面には、実施形態1と同様の高さ調整ボルト6が立設されている。高さ調整ボルト6の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0043】
  この実施形態のプレキャスト上部高欄2は、プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上に配置される部材である。プレキャスト上部高欄2の底面には一列に並ぶ複数本の突部材5が下向きに突設されている。突部材5については、実施形態1と同様である。
 
【0044】
  プレキャスト上部高欄2の底面には高さ調整用インサート7が埋設されている。高さ調整用インサート7の詳細は実施形態1と同様である。
 
【0045】
  前記高欄配置工程では、プレキャスト上部高欄2の突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹溝4に設けられた埋設部材10の収容部10aに収まるように、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置する。高さ調整が必要な場合は、プレキャスト上部高欄2をプレキャスト下部高欄1の上側に配置したのち、高さ調整ボルト6の高さ調整用インサート7への螺合量を調整する。
 
【0046】
  前記高欄配置工程の完了後、間詰め材充填工程では、突部材5が収まった収容部10a及び収容部10aと連通する部材間空隙8に間詰め材を充填する。間詰め材3については、実施形態1と同様である。
 
【0047】
  前記間詰め材充填工程の完了後、前記養生工程では、充填した間詰め材3を所定時間養生する。養生完了後、型枠を解体して作業が完了する。以降、前記高欄配置工程、間詰め材充填工程、養生工程を橋軸方向に沿って繰り返し行い、所定長の壁高欄を完成させる。
 
【0048】
  (壁高欄施工方法のその他の実施形態)
  前記実施形態1及び2では、プレキャスト下部高欄1又はプレキャスト上部高欄2に一本の凹溝4が設けられた場合を一例としているが、プレキャスト下部高欄1又はプレキャスト上部高欄2は、一本の凹溝4の代わりに一列に並ぶ複数の凹穴9が設けられたものであってもよい。
 
【0049】
  前記実施形態3では、プレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2に一列に並ぶ複数の凹穴9が設けられた場合を一例としているが、プレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2は、一列に並ぶ複数の凹穴9の代わりに一本の凹溝4が設けられたものであってもよい。
 
【0050】
  前記実施形態4では、実施形態1のプレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例としているが、実施形態2及び3においても、凹溝4や凹穴9に埋設部材10が埋設されたプレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2を用いることができる。埋設部材10は凹溝4や凹穴9の形状に合わせて、適宜のものを選択することができる。
 
【0051】
  前記実施形態1〜4では、プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面に高さ調整ボルト6を突設させ、プレキャスト上部高欄2の底面に高さ調整用インサート7を設ける場合を一例としているが、高さ調整ボルト6をプレキャスト上部高欄2の底面に下向きに突設し、プレキャスト下部高欄1の上面に高さ調整用インサート7を埋設しておくこともできる。
 
【0052】
  (壁高欄の実施形態1)
  本発明の壁高欄の第一の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態の壁高欄は、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが、橋軸方向つまり、壁高欄部材軸方向に一列に並んだ複数本の突部材5と間詰め材3によって一体化されたものである。ここでは、一本の凹溝4を備えたプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5を備えたプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例として説明する。
 
【0053】
  この実施形態のプレキャスト下部高欄1、プレキャスト上部高欄2、突部材5及び間詰め材3は、前記「壁高欄施工方法の実施形態1」と同じものである。
図1(a)〜(c)及び
図2(c)に示すように、この実施形態の壁高欄は、プレキャスト上部高欄2に設けられた突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹溝4に収まるようにプレキャスト上部高欄2がプレキャスト下部高欄1の上側に設けられ、当該突部材5が収まった凹溝4及び凹溝4と連通する部材間空隙8に間詰め材3が充填されて、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが一体化されたものである。
 
【0054】
  (壁高欄の実施形態2)
  本発明の壁高欄の第二の実施形態を、図面を参照して説明する。壁高欄の実施形態1と同様、この実施形態の壁高欄も、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが、一列に並んだ複数本の突部材5と間詰め材3によって一体化されたものである。ここでは、複数本の突部材5を備えたプレキャスト下部高欄1と一本の凹溝4を備えたプレキャスト上部高欄2とを用いる場合を一例として説明する。
 
【0055】
  この実施形態のプレキャスト下部高欄1、プレキャスト上部高欄2、突部材5及び間詰め材3は、前記「壁高欄施工方法の実施形態2」と同じものである。
図5(a)〜(c)に示すように、この実施形態の壁高欄は、プレキャスト下部高欄1に設けられた突部材5がプレキャスト上部高欄2の凹溝4に収まるようにプレキャスト上部高欄2がプレキャスト下部高欄1の上側に設けられ、当該突部材5が収まった凹溝4及び凹溝4と連通する部材間空隙8に間詰め材3が充填されて、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが一体化されたものである。
 
【0056】
  (壁高欄の実施形態3)
  本発明の壁高欄の第三の実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態1と同様、この実施形態の壁高欄も、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが、一列に並んだ複数本の突部材5と間詰め材3によって一体化されたものである。ここでは、複数本の突部材5及び一列に並ぶ複数の凹穴9を備えたプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5及び一列に並ぶ複数の凹穴9を備えたプレキャスト上部高欄2とを用いる場合を一例として説明する。
 
【0057】
  この実施形態のプレキャスト下部高欄1、プレキャスト上部高欄2、突部材5及び間詰め材3は、前記「壁高欄施工方法の実施形態3」と同じものである。
図6(a)(b)及び
図7(a)(b)に示すように、この実施形態の壁高欄は、プレキャスト下部高欄1に設けられた突部材5がプレキャスト上部高欄2の凹溝4に収まり、且つ、プレキャスト上部高欄2に設けられた突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹溝4に収まるように、プレキャスト上部高欄2がプレキャスト下部高欄1の上側に設けられ、当該突部材5が収まった凹溝4及び凹溝4と連通する部材間空隙8に間詰め材3が充填されて、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが一体化されたものである。
 
【0058】
  (壁高欄の実施形態4)
  本発明の壁高欄の第四の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態の壁高欄は、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが、一列に並んだ複数本の突部材5と間詰め材3によって一体化されたものである。ここでは、一本の凹溝4に埋設された埋設部材10を有するプレキャスト下部高欄1と複数本の突部材5を備えたプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例として説明する。
 
【0059】
  この実施形態のプレキャスト下部高欄1、プレキャスト上部高欄2、突部材5、間詰め材3及び埋設部材10は、前記「壁高欄施工方法の実施形態4」と同じものである。
図8(a)に示すように、この実施形態の壁高欄は、プレキャスト上部高欄2に設けられた突部材5がプレキャスト下部高欄1の凹溝4に埋設された埋設部材10の収容部10aに収まるように、プレキャスト上部高欄2がプレキャスト下部高欄1の上側に設けられ、当該突部材5が収まった収容部10a及び収容部10aと連通する部材間空隙に間詰め材3が充填されて、プレキャスト下部高欄1とプレキャスト上部高欄2とが一体化されたものである。
 
【0060】
  (壁高欄のその他の実施形態)
  前記実施形態1及び2では、プレキャスト下部高欄1又はプレキャスト上部高欄2に一本の凹溝4が設けられた場合を一例としているが、プレキャスト下部高欄1又はプレキャスト上部高欄2は一本の凹溝4の代わりに一列に並ぶ複数の凹穴9が設けられたものであってもよい。
 
【0061】
  前記実施形態3では、プレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2に一列に並ぶ複数の凹穴9が設けられた場合を一例としているが、プレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2は一列に並ぶ複数の凹穴9の代わりに一本の凹溝4が設けられたものであってもよい。
 
【0062】
  前記実施形態4では、実施形態1のプレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2を用いる場合を一例としているが、実施形態2及び3においても、凹溝4や凹穴9に埋設部材10が埋設されたプレキャスト下部高欄1及びプレキャスト上部高欄2を用いることができる。埋設部材10は凹溝4や凹穴9の形状に合わせて、適宜のものを選択することができる。
 
【0063】
  前記実施形態1〜4では、プレキャスト下部高欄1の地覆部1bの上面に高さ調整ボルト6を突設させ、プレキャスト上部高欄2の底面に高さ調整用インサート7を設ける場合を一例としているが、高さ調整ボルト6をプレキャスト上部高欄2の底面に下向きに突設し、プレキャスト下部高欄1の上面に高さ調整用インサート7を埋設しておくこともできる。