(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護部(56)は、前記サイドスタンドブラケット(50)の側面部(54d)から車幅方向外側に突出し、車両前方から見たときに、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)と重なる壁状に設けられることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の鞍乗り型車両(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなサイドスタンドブラケットも、左ロアパイプから斜め下方に突出するように延びている。このため、コーナリングの際に自動二輪車の車体を大きく傾けた場合、サイドスタンドの基端部外側が、地面と接触することがある。また、オフロード走行時等には、サイドスタンドの基端部外側に、地面および障害物が衝突することがある。このような自動二輪車の走行中における障害物との干渉によって、サイドスタンドの基端部に摩耗および損傷が生じ、サイドスタンドの基端部にガタが生じることで、サイドスタンドが過剰に揺動し、スイングアームなどの車体部品に接触したり部品交換を要したりする虞がある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、サイドスタンドの基端部の摩耗および損傷を抑えることのできる鞍乗り型車両およびサイドスタンドブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、車体フレーム(5)と、前記車体フレーム(5)の車幅方向一側の下部に設けられるサイドスタンドブラケット(50)と、前記サイドスタンドブラケット(50)に支持されるサイドスタンド(41)と、を備え、前記サイドスタンドブラケット(50)は、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)を回動可能に連結するスタンド連結部(54)と、前記サイドスタンド(41)の先端部(41b)を車体側方後部かつ前記基端部(41a)よりも上方で付勢部材(42)を介して保持するスプリング係止部(57)と、
前記サイドスタンド(41)の下方への回動角度を規制するストッパ部(58B)と、前記スタンド連結部(54)よりも車両前方
で前記ストッパ部(58B)の外側面から車幅方向外側に起立して設けられ、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)を保護する保護部(56)と、を備えることを特徴とする鞍乗り型車両(1)を提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鞍乗り型車両(1)において、前記保護部(56)は、車幅方向と実質的に平行な前後面を有して上下方向に延びる壁状に設けられ、前記保護部(56)の前面と前記スタンド連結部(54)の側面部(54d)との間には、補強リブ(56r)が設けられることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両(1)において、前記サイドスタンド(41)を前記サイドスタンドブラケット(50)に回動可能に連結するピボットボルト(54B)を備え、前記保護部(56)は、上下方向に延びる壁状をなし、前記ピボットボルト(54B)の頭部(54Bh)と上下方向で重なるように設けられ、かつ、前記頭部(54Bh)の先端に至るまで車幅方向外側に起立することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
請求項1から3の何れか一項に記載の鞍乗り型車両(1)において、前記保護部(56)は、前記サイドスタンドブラケット(50)の側面部(54d)から車幅方向外側に突出し、車両前方から見たときに、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)と重なる壁状に設けられることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、
請求項1から4の何れか一項に記載の鞍乗り型車両(1)において、乗員の足を載せるステップ(30)と、前記ステップ(30)を支持するステップブラケット(51b)と、を備え、前記サイドスタンドブラケット(50)は、スタンドブラケット本体(51a)と前記ステップブラケット(51b)とを一体に有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、
車体フレーム(5)と、前記車体フレーム(5)の車幅方向一側の下部に設けられるサイドスタンドブラケット(50)と、前記サイドスタンドブラケット(50)に支持されるサイドスタンド(41)と、を備え、前記サイドスタンドブラケット(50)は、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)を回動可能に連結するスタンド連結部(54)と、前記サイドスタンド(41)の先端部(41b)を車体側方後部かつ前記基端部(41a)よりも上方で付勢部材(42)を介して保持するスプリング係止部(57)と、前記スタンド連結部(54)よりも車両前方に設けられ、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)を保護する保護部(56)と、乗員の足を載せるステップ(30)と、前記ステップ(30)を支持するステップブラケット(51b)と、を備え、前記ステップブラケット(51b)は、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)よりも車両前方において、前記ステップ(30)を支持するステップ支持部(53)を備え、車両前方から見たときに、前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)は、前記ステップ(30)および前記ステップ支持部(53)と重ならない張り出し部分(59)を有し、前記保護部(56)は、前記張り出し部分(59)を保護することを特徴とすることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、
請求項1から6の何れか一項に記載の鞍乗り型車両(1)において、乗員の足を載せるステップ(30)を備え、前記サイドスタンド(41)の回動軸(54s)は、車両前方から見たときに、前記ステップ(30)の上面(30t)よりも下方かつ車幅方向内側に配置され、かつ中心軸線(54c)の延長線(54c1)が前記ステップ(30)の上面(30t)と交差する角度範囲で傾斜することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、鞍乗り型車両(1)の車体フレーム(5)に設けられるサイドスタンドブラケット(50)において、サイドスタンド(41)の基端部(41a)を回動可能に連結するスタンド連結部(54)と、
前記サイドスタンド(41)の下方への回動角度を規制するストッパ部(58B)と、前記車体フレーム(5)に取り付けられた状態で、前記スタンド連結部(54)よりも車両前方
で前記ストッパ部(58B)の外側面から車幅方向外側に起立して設けられ、前記スタンド連結部(54)に連結された前記サイドスタンド(41)の基端部(41a)を保護する保護部(56)と、を備えることを特徴とするサイドスタンドブラケット(50)を提供する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1〜3,8に記載の発明によれば、スタンド連結部よりも車両前方に、サイドスタンドの基端部を保護する保護部を設けることにより、サイドスタンドの基端部が車両前方からの外乱から保護されるため、車両前方からの外乱によってサイドスタンドの基端部が摩耗したり損傷したりすることを抑えることができる。
請求項4に記載した発明によれば、保護部を前面視でサイドスタンドの基端部と重なる壁状に設けることにより、スタンド連結部およびサイドスタンドの基端部を確実に保護することができる。
請求項5に記載した発明によれば、スタンドブラケット本体およびステップブラケットを一体に設けることにより、部品点数を削減することができる。
請求項6に記載した発明によれば、サイドスタンドの基端部における、前面視でステップおよびステップ支持部を避けた張り出し部分を、ステップブラケットの保護部で保護することにより、サイドスタンドの基端部を効率よく保護することができる。
請求項7に記載した発明によれば、サイドスタンドの回動軸を、中心軸線がステップの上面と交差する角度範囲で傾斜させることにより、回動軸の水平方向に対する傾斜が制限されるので、サイドスタンドを跳ね上げる際の回動軌跡が車体側に入りすぎることを抑え、サイドスタンドの跳ね上げ角度を大きく設定した場合にも、サイドスタンドの車体側への接近を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、及び車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0010】
<車両全体>
図1は、鞍乗型車両の一例として、オフロードタイプの自動二輪車1を示す。自動二輪車1の前輪2は、左右フロントフォーク3の下端部に軸支されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム5のヘッドパイプ6に操舵可能に支持されている。ステアリングステム4のトップブリッジ上には、バータイプのハンドル7が取り付けられている。
【0011】
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6、左右一対のメインチューブ8、左右一対のピボットフレーム9、単一のダウンフレーム11、左右一対のロアフレーム12、およびシートフレーム13を備える。
【0012】
側面視で、ヘッドパイプ6は、後側ほど上方に位置するように傾斜して延在している。
左右メインチューブ8は、ヘッドパイプ6の後上部から後下がりに後方へ延びている。
左右メインチューブ8の後端部は、車体前後中間部において左右ピボットフレーム9の上端部に連なっている。
【0013】
単一のダウンフレーム11は、ヘッドパイプ6の後下部から左右メインチューブ8よりも急傾斜をなして斜め後下方へ延びている。
左右ロアフレーム12は、ダウンフレーム11の下端部から左右に分岐して斜め後下方へ延びている。左右ロアフレーム12の下部は、後方へ湾曲している。左右ロアフレーム12の後部は、左右ピボットフレーム9の下端部に接続されている。
シートフレーム13は、左右メインチューブ8の後部に接続されている。
【0014】
車体フレーム5は、ツインスパー型のクレードルフレームを構成している。車体フレーム5の内側部には、自動二輪車1の原動機であるエンジン21が搭載されている。
本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。
【0015】
左右ピボットフレーム9の下部には、スイングアーム15の前端部(基端部)が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム15の後端部には、自動二輪車1の後輪17が軸支されている。スイングアーム15の前下部には、リンク機構18を介してリアクッション(不図示)の下端部が連結されている。リアクッションの上端部は、左右メインチューブ8の後端部近傍の間に渡るクロスメンバ(不図示)に連結されている。
【0016】
エンジン21は、車幅方向(左右方向)に平行なクランク軸を有する単気筒エンジンである。エンジン21の下部は、クランクケース22を構成している。クランクケース22の前上部には、シリンダ23が略垂直に立設している。
【0017】
シリンダ23の後部には、エンジン吸気系のスロットルボディ(不図示)が接続されている。シリンダ23の前部には、エンジン排気系の排気管(不図示)が接続されている。
クランクケース22の後部は、クラッチ及びトランスミッションを収容する変速機ケースを兼ねている。クランクケース22後部の左側部には、変速機の出力軸が突出している。出力軸と後輪17とは、チェーン式伝動機構19を介して連結されている。
【0018】
シリンダ23の上方であって左右メインチューブ8の間には、燃料タンク29が設けられている。左右メインチューブ8後方であってシートフレーム13上には、シート24が設けられている。シート24は、前後方向に延在している。シート24の前部は、燃料タンク29の後部上面に支持されている。
【0019】
図中符号25はステアリングステム4のボトムブリッジに支持されるフロントフェンダ、符号26はシート24の後方に延びるリアフェンダ、符号27はダウンフレーム11の両側方に配置される左右一対のラジエータ、符号28は燃料タンク29の側面から左右ラジエータ27の側面前方に至る範囲を覆う左右一対のシュラウド、符号30は左右ピボットフレーム9の下端部外側に配置されて運転者の足を乗せる左右一対のステップ、をそれぞれ示す。
【0020】
<サイドスタンド>
図2〜
図4に示すように、左ピボットフレーム9の下端部後方には、自動二輪車1の車体を左側に傾けた状態で支持する可倒式のサイドスタンド41が設けられている。
サイドスタンド41は、サイドスタンドブラケット50を介して、左ピボットフレーム9の下端部に支持されている。サイドスタンド41は、サイドスタンドブラケット50の第一ストッパ部58Aに突き当たるまで上後方に回動した状態(図中実線で示す)を格納状態とする。サイドスタンド41は、サイドスタンドブラケット50の58Bに突き当たるまで下方に回動した状態(図中鎖線で示す)を起立状態とする。サイドスタンド41は、リターンスプリング(付勢部材)42の付勢力で格納状態又は起立状態に保持可能である。
【0021】
サイドスタンド41は、例えばアルミ合金等の金属材料で形成されている。サイドスタンド41の基端部41aは、サイドスタンドブラケット50に回動可能に連結されている。サイドスタンド41の基端部41aは、サイドスタンドブラケット50の板状のスタンド連結部54を板厚方向で挟み込む二又状をなしている。基端部41aは、二枚一対のプレート部41pを備えている。二枚一対のプレート部41pは、サイドスタンド41の延伸方向に交差する方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。各プレート部41pには、回動軸54sが挿通されるシャフト挿通孔(図示無し)が形成されている。
【0022】
サイドスタンド41の先端部41bには、停車時に地面に接地する接地部41sが、例えば一体形成により一体に設けられている。サイドスタンド41には、例えば延伸方向中央部よりも先端部41b側に、スプリング係止ピン41fが設けられている。スプリング係止ピン41fには、リターンスプリング42の一端42aが係止されている。リターンスプリング42は、例えば引張コイルばねであり、例えばサイドスタンドブラケット50に設けられたスプリング係止部57に他端42bが係止されている。
【0023】
<サイドスタンドブラケット>
サイドスタンドブラケット50は、棒状のサイドスタンド41の基端部41aを、回動軸54sを介して回動可能に支持している。サイドスタンドブラケット50は、左ピボットフレーム9の下端部に取り付けられている。サイドスタンドブラケット50は、例えばアルミ合金等の金属材料で形成されている。サイドスタンドブラケット50は、サイドスタンド41を支持するスタンドブラケット本体51aと、左ステップ30を支持するステップブラケット51bと、を例えば一体形成により一体に有している。
【0024】
図5〜
図8を併せて参照し、サイドスタンドブラケット50は、フレーム固定部52と、ステップ支持部53と、スタンド連結部54と、延出部55と、スプリング係止部57と、を備えている。
【0025】
フレーム固定部52は、板状をなし、左ピボットフレーム9の下部において、車幅方向外側(左側)を向くフレーム表面に沿うように設けられている。フレーム固定部52は、サイドスタンドブラケット50の前部を、車体フレーム5の左ピボットフレーム9に締結固定する。フレーム固定部52は、車幅方向に貫通するボルト挿通孔52hを上下一対に有している。各ボルト挿通孔52hに取付ボルト52Bを挿通し、左ピボットフレーム9に形成された雌ネジ孔(不図示)にねじ込むことで、フレーム固定部52ひいてはサイドスタンドブラケット50が左ピボットフレーム9に締結固定される。
【0026】
ステップ支持部53は、サイドスタンドブラケット50の前部に設けられている。ステップ支持部53は、フレーム固定部52の前後に設けられた前後一対のサポートプレート53aを有する。フレーム固定部52およびステップ支持部53は、ステップブラケット51bを構成している。
【0027】
各サポートプレート53aは、板状のフレーム固定部52に対して略垂直な板状をなし、フレーム固定部52から車幅方向外側(左側)に起立して設けられている。各サポートプレート53aには、ステップ支持シャフト31を挿通するシャフト挿通孔53hが形成されている。前後サポートプレート53aの間の空間には、ステップ30の基端部30aが挿入される。ステップ30の基端部30aには、ステップ支持シャフト31を挿通する貫通孔(不図示)が形成されている。
【0028】
前後サポートプレート53aのシャフト挿通孔53h、およびステップ30の貫通孔に、単一のステップ支持シャフト31を挿通し、シャフト先端部に割りピン32(
図3参照)を貫通させる等により抜け止めを施すことで、ステップ30がステップ支持部53に、ステップ支持シャフト31回りに回動可能に連結、支持されている。
【0029】
図3〜
図5に示すように、ステップ支持部53に支持されたステップ30は、基端部30aが、前後サポートプレート53aの間でフレーム固定部52に突き当たる。ステップ30の基端部30aがフレーム固定部52に突き当たった状態で、ステップ30の上面30t(図中仮想線で示す)は、実質的に水平に配置されて上方を向いている。
【0030】
サポートプレート53aのシャフト挿通孔53hに挿通されたステップ支持シャフト31は、軸方向を左右方向(車幅方向)と直交する平面と平行にし、かつ軸方向を後下がりに傾斜させる。可倒式のステップ30は、基端部をフレーム固定部52に突き当てて上面30tを略水平にした状態から、ステップ支持シャフト31回りに回動し、先端部30sを上後方に斜めに跳ね上げることを可能としている。
【0031】
図5〜
図8を併せて参照し、スタンド連結部54は、サイドスタンドブラケット50の後部に設けられている。スタンド連結部54は、フレーム固定部52から車両後方に延びる延出部55の後方に設けられている。スタンド連結部54は、サイドスタンド41の基端部41aに挟み込まれる板状のサポートプレート部54aを有している。サポートプレート部54aは、板厚方向を車幅方向外側ほど上側に位置するように傾斜させている。フレーム固定部52は、車幅方向と直交する平面と実質的に平行に設けられ、板厚方向を車幅方向に向けている。延出部55は、捩じり形状を有してフレーム固定部52とスタンド連結部54(サポートプレート部54a)とを連結している。スタンド連結部54は、スタンドブラケット本体51aを構成している。
【0032】
図4、
図5に示すように、サイドスタンド41は、基端部41aの二枚一対のプレート部41p間に、サポートプレート部54aを挿入した状態で、ピボットボルト54Bによって回動可能に連結されている。ピボットボルト54Bは、例えば回動軸54sとなる軸部を有する段付きボルトである。ピボットボルト54Bは、サイドスタンド41の各プレート部41pのシャフト挿通孔(不図示)、およびスタンド連結部54(サポートプレート部54a)のピボット挿通孔54hに車幅方向外側から挿通される。このピボットボルト54Bの車幅方向内側の先端ネジ部にナット54N(
図4参照)を螺着し締め込むことで、サイドスタンド41の基端部41aがスタンド連結部54に、ピボットボルト54Bの回動軸54s回りに回動可能に連結、支持されている。
【0033】
図4に示すように、サイドスタンド41の回動軸54sを含むピボットボルト54Bは、車両前方から見たときに、中心軸線54cが水平方向に対して25°〜40°の範囲で、車幅方向外側ほど上側に位置するように傾斜している。
【0034】
回動軸54sは、車両前方から見たときに、ステップ30の上面30tよりも下方かつ車幅方向内側に配置されている。回動軸54sは、車両前方から見たときに、中心軸線54cの延長線54c1が、ステップ30の上面30tと交差する角度範囲で傾斜している。これにより、回動軸54sの水平方向に対する傾斜が制限される。回動軸54sの水平方向に対する傾斜が大きいと、サイドスタンド41を跳ね上げた際、サイドスタンド41が車体側に近づきやすくなるので、サイドスタンド41の跳ね上げ角度に制限が生じる。サイドスタンド41の跳ね上げ角度が制限されると、走行中にサイドスタンド41が接地しやすくなるという課題が生じてしまうが、回動軸54sの傾斜を可及的に寝かせる(水平方向に近づける)ことで、サイドスタンド41の跳ね上げ角度を確保しやすくなる。
【0035】
図6〜
図8に示すように、スタンド連結部54は、第一ストッパ部58Aと、第二ストッパ部58Bと、を有している。第一ストッパ部58Aは、サイドスタンド41の上後方への回動角度を規制する。第二ストッパ部58Bは、サイドスタンド41の下方への回動角度を規制する。第一ストッパ部58Aおよび第二ストッパ部58Bは、それぞれサポートプレート部54aの外周端面54fの周方向両側から外周側に突出するように形成されている。
【0036】
図2、
図3に示すように、サイドスタンド41は、基端部41aが第一ストッパ部58Aに突き当たることで、上後方への回動角度が規制された状態(格納状態)となる。このとき、サイドスタンド41は、先端部41bが車体側方後部かつ基端部41aよりも上方に位置した傾斜姿勢となる。サイドスタンド41は、基端部41aが第二ストッパ部58Bに突き当たることで、下方への回動角度が規制された状態(起立状態)となる。このとき、サイドスタンド41は、基端部41aから先端部41bに向かって下方かつ車幅方向外側へ斜めに延びる。この状態で、自動二輪車1の車体を左側に傾けることで、サイドスタンド41の接地部41sが地面に接地し、自動二輪車1の車体を左側に傾けた状態で支持する。
【0037】
スタンド連結部54は、スプリング係止部57を有している。スプリング係止部57は、第一ストッパ部58Aの背後から上方に延びて設けられている。スプリング係止部57は、第一ストッパ部58Aの背後から上方かつ車幅方向内側に延びるように設けられている。スプリング係止部57の先端に設けられた係止ピン部57fには、リターンスプリング42の他端42bが係止される。スプリング係止部57は、リターンスプリング42を介して、サイドスタンド41を格納状態又は起立状態に保持する。スプリング係止部57が上方かつ車幅方向内側に延びるように設けられることにより、乗員が足をステップ30に載せたときに、スプリング係止部57が乗員の足と干渉しにくい。
【0038】
<保護部>
図5〜
図9に示すように、スタンド連結部54は、第二ストッパ部58Bの外側面から車幅方向外側に起立する保護部(保護壁)56を有している。
保護部56は、サイドスタンドブラケット50を車体フレーム5に取り付けた状態で、フレーム固定部52およびステップ支持部53よりも車両後方に設けられ、かつスタンド連結部54のサポートプレート部54aよりも車両前方に設けられている。
【0039】
保護部56は、スタンド連結部54の側面部54dから車幅方向外側に突出し、上下方向に延びる壁状をなしている。保護部56は、車幅方向と実質的に平行な前後面を有し、かつ前後面と直交する厚さ方向を前上がりに傾斜させている。保護部56は、前面視において、車幅方向内側の基部56aから車幅方向外側の先端部56bに向かうほど上下幅を縮小させる台形状をなしている。保護部56は、基部56a側ほど厚さを増している。
保護部56の下端部前面とスタンド連結部54の側面部54dとの間には、補強リブ56rが設けられている。
【0040】
ここで、延出部55は、車幅方向外側においてステップブラケット51bからスタンドブラケット本体51aに渡る上段補強リブ55r1、中段補強リブ55r2および下段補強リブ55r3を有している。中段補強リブ55r2は、後端を保護部56に接続することで、補強リブ56rとともに保護部56を補強している。
【0041】
図9に示すように、サイドスタンド41の格納状態において、スタンド連結部54に連結されたサイドスタンド41の基端部41aの車幅方向外側のプレート部41pは、車両前方から見たときに、大部分がステップ30およびステップ支持部53と重なるが、プレート部41pの下部は、ステップ30およびステップ支持部53と重ならない張り出し部分59を形成している。この張り出し部分59を前面視で覆って保護するように、保護部56がスタンド連結部54から突出している。
【0042】
保護部56は、車両前方から見たときに、サイドスタンド41の基端部41a外側のプレート部41pの張り出し部分59と、少なくとも一部が重なるように設けられている。好ましくは、保護部56は、車両前方から見たときに、張り出し部分59の全体と重なるように設けられている。これにより、張り出し部分59が車両前方からの外乱(例えば走行中における路面および障害物との接触、衝突等)から保護される。
【0043】
保護部56は、車両前方から見たときに、張り出し部分59よりも下方および車幅方向外側(左側)に突出している。特に、保護部56は、張り出し部分59よりも下方に突出することで、張り出し部分59をグランドヒットおよび地上の障害物等との衝突から保護する。
【0044】
図9は、自動二輪車1の空車1G状態の前面視に相当する。一方、
図10は、自動二輪車1のフロントサスペンションが空車1G状態、リアサスペンションが全屈(フルストローク)状態にある車両姿勢の前面図に相当する。
図10の前面視においても、保護部56は、前面視で張り出し部分59の全体と重なるように設けられている。
図10では、ピボットボルト54Bの頭部54Bhも、前面視でステップ30およびステップ支持部53を避けて張り出している。この張り出し部分の全体とも前面視で重なるように、保護部56が設けられている。これにより、自動二輪車1がジャンプ後に着地した際等にも、保護部56によって保護対象を保護することが可能である。
【0045】
以上説明したように、実施形態における自動二輪車1は、サイドスタンドブラケット50が、サイドスタンド41の基端部41aを回動可能に連結するスタンド連結部54と、スタンド連結部54よりも車両前方に設けられ、サイドスタンド41の基端部41aを保護する保護部56と、を備えている。
この構成によれば、スタンド連結部54よりも車両前方に、サイドスタンド41の基端部41aを保護する保護部56を設けることにより、サイドスタンド41の基端部41aが車両前方からの外乱から保護されるため、車両前方からの外乱によってサイドスタンド41の基端部41aが摩耗したり損傷したりすることを抑えることができる。したがって、サイドスタンド41の回動動作に支障が生じたり部品交換を要したりすることを抑え、自動二輪車1の信頼性、耐久性を高めることができる。
【0046】
また、保護部56は、サイドスタンドブラケット50の側面部54dから車幅方向外側に突出し、車両前方から見たときに、サイドスタンド41の基端部41aと重なるように設けられる。好ましくは、保護部56は、サイドスタンドブラケット50の側面部54dから車幅方向外側に突出する壁状であり、車両前方から見たときに、サイドスタンド41の基端部41aの車幅方向外側部の全体と重なるように設けられる。これにより、サイドスタンド41の基端部41aを確実に保護することができる。保護部56を壁状とすることにより、サイドスタンド41の基端部41aを強固に保護することができる。
【0047】
また、保護部56は、ステップ支持部53の車両後方に設けられるとともに、ステップ30の上面30tよりも下方に配置されることにより、乗員が足をステップ30に載せたときに、保護部56が乗員の足と干渉しにくく、自動二輪車1の操作性が損なわれることを抑えることができる。
【0048】
また、サイドスタンドブラケット50は、スタンドブラケット本体51aとステップブラケット51bとを一体に有することにより、これらを別体とする場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0049】
また、サイドスタンド41の基端部41aの外側部は、車両前方から見たときに、ステップ30およびステップ支持部53と重ならない張り出し部分59を有し、保護部56は、張り出し部分59を保護する(張り出し部分59と前面視で重なる)ことにより、サイドスタンド41の基端部41aを効率よく保護することができる。
【0050】
また、サイドスタンド41の回動軸54sは、車両前方から見たときに、ステップ30の上面30tよりも下方かつ車幅方向内側に配置され、かつ中心軸線54cの延長線54c1がステップ30の上面30tと交差する角度範囲で傾斜することにより、回動軸54sの水平方向に対する傾斜が制限されるので、サイドスタンド41を跳ね上げる際の回動軌跡が車体側に入りすぎることを抑え、サイドスタンド41の跳ね上げ角度を大きく設定した場合にも、サイドスタンド41の車体側への接近を抑えることができる。
【0051】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、サイドスタンドブラケット50は、左ピボットフレーム9に設けるようにしたが、これに限らず、例えば左ロアフレーム12に設けてもよい。サイドスタンドブラケット50は、車体フレーム5に溶接等により固定されてもよい。サイドスタンドブラケット50は、ステップブラケット51bと別体であってもよい。サイドスタンドを車体右側に設置する場合にも本発明を適用可能である。
【0052】
また、保護部56は、サイドスタンド41の基端部41aを車両前方から保護する(覆う)構成に限らず、さらに他方向から保護する構成であってもよい。例えば、保護部56は、サイドスタンド41の基端部41aを、車両前方に加えて上方および車幅方向外側等の他方向から覆うように設けてもよい。保護部56は、前面視で保護対象全体と重なる壁状に限らず、前面視で部分的に重なる壁状であったり、壁状以外にも前面視で保護対象よりも車幅方向外側および下方に張り出す突状又は枠状等の構成であってもよい。
【0053】
また、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれ、かつ電気モータを原動機に含む車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。