(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乗員としてのユーザの乗車を待機する車両が複数停車可能とされた乗車場に停車する対象車両について、該対象車両の前記ユーザが所定の大きさ以上の大型荷物を所持しているか否かの推定情報を得る所持推定部と、
前記対象車両周囲における他車両の前記対象車両に対する停車状況である他車停車状況の推定情報を得る状況推定部と、
前記所持推定部が前記推定情報として前記ユーザが前記大型荷物を所持しているとする情報を得た場合において、前記状況推定部が得た前記推定情報に基づいて前記他車両を移動させる制御を行う移動制御部と、を備える
車両制御装置。
乗員としてのユーザの乗車を待機する車両が複数停車可能とされた乗車場に停車する対象車両について、該対象車両の前記ユーザが所定の大きさ以上の大型荷物を所持しているか否かの推定情報を得る所持推定機能と、
前記対象車両周囲における他車両の前記対象車両に対する停車状況である他車停車状況の推定情報を得る状況推定機能と、
前記所持推定機能により前記推定情報として前記ユーザが前記大型荷物を所持しているとする情報を得た場合において、前記状況推定機能により得た前記推定情報に基づいて前記他車両を移動させる制御を行う移動制御機能と、を情報処理装置に実現させる
プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<1.出迎えシステムの構成>
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態としての車両制御装置について説明する。
図1は、実施形態としての車両制御装置を備えた出迎えシステム(以下「実施形態の出迎えシステム」と表記)の構成を例示した図であり、
図2は、該出迎えシステムが適用されるバレーパーキング(Valet Parking)対応施設に形成された車両通行可能領域Aaの模式図である。
【0025】
先ず、
図1に示すように実施形態の出迎えシステムは、管制装置1を備えると共に、複数の車両2、複数の携帯端末3、及びネットワーク4を備えている。ネットワーク4は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークとされ、管制装置1は、車両2、携帯端末3のそれぞれとの間でネットワーク4を介した通信を行うことが可能とされている。本例では、車両2と携帯端末3の間においてもネットワーク4を介した通信を行うことが可能とされている。
【0026】
管制装置1はバレーパーキング対応施設にて管理されるコンピュータ装置とされる。車両2は、バレーパーキング対応施設の利用者としてのユーザが使用する車両とされ、携帯端末3は該ユーザが使用する携帯型のコンピュータ装置とされている。
【0027】
図2に示すように、バレーパーキング対応施設の車両通行可能領域Aaには、駐車場Apと乗車場Abとが形成されている。駐車場Apと乗車場Abとの間はそれぞれ車両2が通行可能な通路で接続されており、車両2は駐車場Apと乗車場Abとの間を行き来することが可能とされている。
図示は省略しているが、駐車場Apには複数の駐車枠が設けられ、複数台の車両2を駐車させておくことが可能とされている。乗車場Abは、乗員が車両2に乗車するための場所として設けられ、本例では複数台の車両2を縦列に(各車両2を前後方向に配列させるように)停車させることが可能とされている。図示のように乗車場Abには、複数の乗車枠Sbが設けられている。各乗車枠Sbは、車両2が乗員としてのユーザの乗車を待機する際の停車位置を規定した枠とされ、例えば図中に例示するように、白線等により規定された枠とされている。
【0028】
なお、乗車場Abにおいて、駐車場Ap側からの車両2の入り口部分には例えば開閉バーを有するゲートを設けることができる。
【0029】
本例が前提とする自動バレーパーキングシステムでは、車両2として、自動運転機能を有する車両が用いられる。車両2の乗員は、バレーパーキング対応施設に設けられた所定の降車場に車両2で乗り付ける(手動運転、自動運転の何れであってもよい)。降車場に到着し、乗員(運転者を含む)としてのユーザが降車した後に、車両2は、例えばユーザからの駐車指示(例えば車両2に対する操作入力、又は携帯端末3を介した車両2への指示等)に応じて、自動運転により駐車場Apに移動し駐車を行う。
このとき、管制装置1は、駐車場Apにおける空き駐車枠の情報を管理し、上記のように降車場から駐車場Apに移動する車両2に対し、空き駐車枠への駐車を指示する。例えば駐車枠には車両2が識別可能な形態で駐車枠識別子が割り振られており(例えば駐車枠番号が駐車枠ごとに表記されている等)、管制装置1は該識別子により各駐車枠の空き状況を管理しており、車両2は、空き駐車枠についての駐車枠識別子を管制装置1から受信すると、該駐車枠識別子から特定される駐車枠に自動運転機能により駐車を行う。
【0030】
また、本例の自動バレーパーキングシステムでは、ユーザが携帯端末3に対する操作を行って、駐車場Apに駐車された自身の車両2の呼び出し(乗車場Abへの呼び出し)を管制装置1に対し指示することが可能とされている。
この呼び出しの指示を受け管制装置1は、該当する車両2に対し乗車場Abへの移動指示を行い、乗車場Abにてユーザを出迎えさせる。このとき、管制装置1では、乗車場Abにおける乗車枠Sbの空き状況を管理しており、呼び出しのあった車両2を空き枠としての乗車枠Sb(以下「空き乗車枠」とも表記する)に誘導する。
【0031】
なお、実施形態の出迎えシステムにおいて、車両2及び携帯端末3の数は、システム利用者の数に応じて変化し得るものであり、単数となることも有り得る。
【0032】
<2.各装置の構成>
図3は、管制装置1の内部構成例を示したブロック図である。
図示のように管制装置1は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備えている。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、ROMに記憶されたプログラムに基づく処理をCPUが実行することで、管制装置1の所要の動作を実現する。
【0033】
通信部12は、制御部11からの指示に基づき、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では車両2、及び携帯端末3)との間でデータの送受信を行う。制御部11は、通信部12を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
なお、通信部12とネットワーク4との間の接続は有線、無線の何れであってもよい。
【0034】
記憶部13は、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスで構成され、制御部11が各種データの記憶に用いる。この記憶部13には、例えば上述した駐車場Apにおける空き駐車枠に関するデータや空き乗車枠に関するデータ等、車両2の管制に必要な各種データを記憶することができる。
【0035】
図4は、車両2が有する電気的構成を抜粋して示したブロック図である。
本例の車両2は、車両制御部21、カメラ部22、自動運転駆動制御部23、通信部24、現在位置検出部25、ドアセンサ26、座席センサ27、出力部28、及びラッチアクチュエータ29を備えている。
【0036】
車両制御部21は、CPU、及びROM、RAM等のメモリ(記憶装置)を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、車両2における各部の制御を行う。
例えば、車両制御部21は、自動運転機能を実現するための制御を行う。ここでの自動運転機能は、少なくとも、前述した降車場、駐車場Ap、乗車場Ab(乗車枠Sb)の間の移動等、指定された位置への移動や指定された方向への指定量分の移動、駐車場Apの駐車枠に自動で駐車を行う機能を含む。
車両制御部21は、車両2の現在位置を検出する現在位置検出部25(例えばGNSSセンサ(GNSS:Global Navigation Satellite System)による現在位置情報を取得可能とされると共に、例えば上記ROM等の内部のメモリに地図情報が記憶され、現在位置情報及び地図情報と、カメラ部22が有する1又は複数のカメラによる撮像画像とに基づき、自動運転のための各種制御を行う。カメラ部22が有するカメラは車外方向を撮像し、車両制御部21は、自身が有する画像処理部21aによりカメラ部22が有するカメラの撮像画像について画像解析を行い、車外環境を認識する。例えば、車外に存在する物体の検出や検出物体の認識等を行い、車外環境を認識する。そして、車両制御部21は、このような車外環境の認識結果、及び上記した現在位置情報と地図情報に基づいて、自動運転駆動制御部23に各種の指示を行うことで、自動運転を実現する。
【0037】
自動運転駆動制御部23は、操舵アクチュエータ(例えばパワーステアリングモータ等、操舵角を変更可能に設けられたアクチュエータ)の駆動制御を行う操舵制御ECU(Electronic Control Unit)、車両推進装置関連アクチュエータの駆動制御を行う車両推進制御ECU、ブレーキ関連アクチュエータ(例えばブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ)の駆動制御を行うブレーキ制御ECU、トランスミッション関連アクチュエータ(変速や前後進切り替えを行うためのアクチュエータ)の駆動制御を行うミッション制御ECUを包括的に表したものである。
車両推進装置関連アクチュエータとしては、例えば車両2がエンジン車である場合にはスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが該当し、車両2が電動車である場合には走行用モータ等が該当する。
【0038】
車両制御部21は、上述した車外環境の認識結果や車両2の現在位置情報、地図情報に基づき、自動運転駆動制御部23に対する操舵量等の指示や、アクセル開度等の車両推進に関する指示、ブレーキのON/OFF指示、及び車両2の前進/後退の指示等を行って自動運転を実現させる。
なお、自動運転制御の具体的な手法については本発明に直接関係するものではなく、詳細な説明については省略する。
【0039】
車両制御部21には、通信部24が接続されている。通信部24は、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では管制装置1、及び携帯端末3)との間でデータの送受信を行う。車両制御部21は、通信部24を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
本例では、通信部24とネットワーク4との間の接続は無線による接続とされているが、有線による接続とすることも可能である。
【0040】
また、車両制御部21には、ドアセンサ26及び座席センサ27が接続されている。
ドアセンサ26は、車両2に設けられた各ドアに係るセンシングを行うデバイスを包括的に表したものである。本例のドアセンサ26は、少なくとも各ドアの開閉状態を検出可能に構成されている。本例では、検出対象のドアには、乗員の乗降に係るドア以外にも荷室ドア(荷室と車外とを仕切るドア)も含まれる。
座席センサ27は、車両2に設けられた各座席(例えば運転席、助手席等の各座席)に係るセンシングを行うデバイスを包括的に表したものである。本例における座席センサ27は、少なくとも座席に対する乗員の着座有無を検出可能に構成されている。
なお、座席に対する乗員の着座有無は、車室内を撮像するカメラを設け、該カメラの撮像画像の解析結果に基づき検出することも可能である。
【0041】
また、車両制御部21には出力部28が接続されている。出力部28は、音による情報、光などによる視覚的な情報を出力するデバイスを包括的に表したものであり、例えばスピーカや発光素子、液晶ディスプレイ等の画像表示デバイスやそれらの駆動部とを備えている。車両制御部21は、この出力部28を制御することで車内及び/又は車外に所定の情報出力を実行させることが可能とされている。
【0042】
また、車両2には、ラッチアクチュエータ29が設けられている。
図示による説明は省略するが、本例の車両2には、荷室に隣接して配置された後部座席(荷室隣接座席)において、該後部座席の背もたれ部を前倒可能状態と前倒不能状態とに切り替え可能なラッチ機構が設けられている。ラッチ機構がラッチ状態となることで背もたれ部が前倒不能状態となり、ラッチ解除状態となることで背もたれ部が前倒可能状態となる。
ラッチアクチュエータ29は、このラッチ機構をラッチ状態とラッチ解除状態との間で切り替えるためのアクチュエータとされる。
本例の車両制御部21は、ラッチアクチュエータ29についての制御も行うが、これについては改めて説明する。
【0043】
ここで、本例では、車両2に設けられた車両制御部21が、本発明に係る車両制御装置の一実施形態に該当する。車両制御装置21が行う本発明に係る各種処理については改めて説明する。
【0044】
図5は、携帯端末3の内部構成例を示したブロック図である。
携帯端末3は、例えば携帯電話機(スマートフォン等)、タブレット端末等の携帯型の情報処理端末として構成することができる。
携帯端末3は、制御部31、通信部32、記憶部33、操作部34、出力部35、及び現在位置検出部36を備えている。
制御部31は、例えばCPU、ROM、及びRAMを有するマイクロコンピュータを備えて構成され、ROMに記憶されたプログラムに基づく処理をCPUが実行することで、携帯端末3の所要の動作を実現する。
【0045】
通信部32は、制御部31からの指示に基づき、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では管制装置1、及び車両2)との間でデータの送受信を行い、制御部31は、通信部32を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
本例では、通信部32とネットワーク4との間の接続は無線による接続とされているが、有線による接続とすることも可能である。
【0046】
記憶部33は、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスで構成され、制御部31が各種データの記憶に用いる。
操作部34は、携帯端末3に設けられた各種の操作子を有し、操作に応じた操作情報を制御部31に出力する。操作部34における操作子としては、例えば各種のボタンやタッチパネル等を挙げることができる。
【0047】
出力部35は、携帯端末3に設けられた例えば液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等の各種表示デバイスやスピーカ等、ユーザに対する各種情報の出力を行うためのデバイスを包括的に表したものである。
出力部35は、制御部31からの指示に基づき各種情報の出力(画面表示や音出力)を行う。
【0048】
現在位置検出部36は、例えばGNSSセンサを備え、携帯端末3の現在位置を検出する。制御部31は、現在位置検出部36が検出した現在位置情報を取得可能とされている。
【0049】
ここで、本例の携帯端末3においては、例えば記憶部33等の制御部31が読み出し可能な記憶装置に、出迎えシステム用アプリ(アプリケーションプログラム)が記憶されている。
この出迎えシステム用アプリは、車両2の呼び出し操作を行うための呼び出し操作画面をユーザに提供する機能を実現する。
本例では、ユーザは、駐車場Apにおける自身の車両2を乗車場Abに呼び出すにあたり、該出迎えシステム用アプリを起動し、該アプリにより提供される呼び出し操作画面に対する所定操作を行う。
【0050】
また、図示による説明は省略するが、本例における携帯端末3は、電子マネーによる購入代金の支払い機能(決済機能)を有しており、該機能により電子マネーによる購入代金の支払いを行ったことに応じて、制御部31が購入代金(購入金額)を表す情報を通信部32を介して車両2(車両制御部21)に送信可能とされている。
なお、このような購入金額の情報に基づいて車両2側で行われる処理については後に改めて説明する。
【0051】
<3.呼び出し対象車両の特定手法について>
ここで、実施形態の出迎えシステムにおいては、管制装置1は、ユーザ(携帯端末3)からの呼び出しを受けた場合に、駐車場Apにおける車両2のうちから該呼び出しを行ったユーザの車両2を特定し、その車両2に対し乗車場Abへの移動指示を行う。
このために管制装置1(制御部11)は、ユーザと車両2との対応関係を把握していることを要する。この把握のための手法については種々考えられ、特定の手法に限定されるものではないが、以下ではその一例を示しておく。
【0052】
先ず、車両2(車両制御部21)は、降車場への到着に応じて、管制装置1に対して到着通知を行う。この際に車両2は、管制装置1に対し、自身の車体番号等、車両2を一意に識別可能な所定の車両情報(以下「車両識別情報」と表記)を通知する。これにより管制装置1は、降車場から移動し駐車場Apの駐車枠に駐車された各車両2について、車両識別情報を把握可能となる。
一方、ユーザには、例えば上記した出迎えシステム用アプリの初期設定等として、自身の車両2の車両識別情報を該アプリに対して設定させることとしておく。そして、車両2の呼び出しの際、出迎えシステム用アプリは、呼び出し指示の情報と共に、該設定された車両識別情報を管制装置1側に送信する。
これにより管制装置1は、車両2の呼び出しがあった際、車両識別情報に基づき、呼び出し対象の車両2を特定可能となる。
【0053】
<4.実施形態としての車両制御手法>
図6は、車両制御部21が有する実施形態としての車両制御手法に係る各種機能をブロック化して表した機能ブロック図である。
図示のように車両制御部21は、所持推定部F1、状況推定部F2、及び移動制御部F3としての各種機能部を有している。
【0054】
所持推定部F1は、乗車場Abに停車する対象車両について、該対象車両のユーザが所定の大きさ以上の大型荷物を所持しているか否かの推定情報を得る。
ここでの対象車両とは、車両制御部21自身が設けられた自車両を意味するものである。また、大型荷物としては、例えばスキー板やスノーボード、物干し竿等の長尺物などが想定される。
なお、ユーザの大型荷物の所持を推定するための具体的な手法については後述する。
【0055】
状況推定部F2は、対象車両周囲における他車両の対象車両に対する停車状況である他車停車状況の推定情報を得る。他車停車状況とは、少なくとも対象車両周囲における他車両の有無や、他車両の対象車両に対する位置関係を含む概念である。このような他車停車状況の推定により、対象車両周囲における空きスペースの大きさを推定可能となり、例えば対象車両周囲に大型荷物の積み込み用スペースを確保可能か否かを推定可能となる。
【0056】
移動制御部F3は、所持推定部F1が得た推定情報と状況推定部F2が得た推定情報とに基づいて他車両を移動させる制御を行う。これにより、ユーザが大型荷物の所持しており対象車両に積み込むことが推定されるが、対象車両周囲に積み込み用スペースを確保できないと推定される場合に対応して、他車両を移動させて積み込み用スペースを確保させることが可能とされる。
【0057】
以下、上記のような実施形態としての車両制御手法を実現するために車両制御部21が実行する具体的な処理の例を、
図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示す処理は、車両制御部21(CPU)が例えばROM等に記憶されたプログラムに基づき実行する。本例において、
図7に示す処理は、駐車場Apに駐車を行ったことに応じて開始される。
【0058】
先ず、車両制御部21はステップS101で、乗車場Abへの移動指示を待機する。すなわち、管制装置1がユーザからの呼び出しに応じて車両2側に対して行う、駐車場Apから乗車場Abへの移動指示を待機する。
この移動指示があった場合、車両制御部2はステップS102に進み、乗車場Abへ移動して待機するための処理を行う。すなわち、上述した自動運転機能により車両2を乗車場Abに移動させ、乗車場Abにおける所定の乗車枠Ab(本例では管制装置1から指示された乗車枠Sb)に停車させる。
【0059】
ステップS102の処理を実行したことに応じ、車両制御部21はステップS103で大型荷物の所持推定処理を実行する。
【0060】
図8は、ステップS103の大型荷物の所持推定処理を示したフローチャートである。
本例では、大型荷物の所持推定は、ユーザが購入品情報に基づき行う。この購入品情報は、ユーザが携帯端末3の電子マネー決済機能を利用して商品購入を行うことに伴い得られる、ユーザの商品購入に係る情報である。
【0061】
本例では、ユーザの購入品情報に基づいて、ユーザが手にする荷物の量やサイズを推し量るための量サイズ相関値を計算する。そして、この量サイズ相関値に基づいて、ユーザが大型荷物を所持しているか否かを推定する。
このため、この場合の携帯端末3は、電子マネー決済が行われた場合に、決済金額の情報を車両2(車両制御部21)に送信する。
車両制御部21は、商品の購入店舗の種類を、商品購入時(電子マネー決済時)における携帯端末3の位置情報を取得して推定する。車両制御部21は、ユーザの商品購入を行った店舗の種類、及びその店舗での決済金額(購入金額)の情報を購入品情報として保持し、該購入品情報に基づいて量サイズ相関値を計算する。量サイズ相関値は、基本的には、サイズの大きい商品を取り扱う店舗での購入品がある場合には値が大きくなるように計算し、サイズの小さい商品を取り扱う店舗での購入品がある場合には値が小さくなるように計算する。また、量サイズ相関値は、購入金額が大きくなるに従って値が大きくなるように計算する。
【0062】
車両制御部21は、
図8に示すステップS201及びS202の処理によって、上記の量サイズ相関値を計算するための処理を実行する。
具体的に、車両制御部21は先ずステップS201で、ユーザの購入金額情報、及び購入店舗情報を取得する。すなわち、上述した購入品情報として保持された、商品購入を行った店舗の種類の情報を購入店舗情報として、またその店舗での決済金額の情報を購入金額情報としてそれぞれ取得する。なお、これら購入店舗情報及び購入金額情報については、今回のバレーパーキング利用期間に新たに発生した情報、具体的には、過去直近の駐車場Apへの移動指示から現在までの期間に新たに発生した情報を取得する。
そして、続くステップS202で車両制御部21は、購入金額情報と購入店舗情報とに基づいて、上記した手法によって量サイズ相関値を計算する。
【0063】
ステップS202に続くステップS203で車両制御部21は、量サイズ相関値が閾値THv以上であるか否かを判定する。このステップS203の判定処理は、ユーザが大型荷物を所持しているか否かを推定する処理として機能する。
ステップS203で量サイズ相関値が閾値THv以上であると判定した場合、車両制御部21はステップS204に進んで所持フラグFbをONとする処理を行う。この所持フラグfhは、ユーザが大型荷物を所持しているか否かを識別するためのフラグであり、所持フラグfh=ONはユーザが大型荷物を所持していることを表す。所持フラグfhは、後述するステップS104やS114(
図7)の判定処理で参照されるフラグとされる。
一方、ステップS203で量サイズ相関値が閾値THv以上であると判定した場合、車両制御部21はステップS208で所持フラグfh=OFFとした上で、
図8に示す所持推定処理を終える。すなわち、量サイズ相関値が閾値THv以上でなく、ユーザが大型荷物を所持していないと推定される場合は、所持フラグfhは初期値(OFF)のまま更新されない。
【0064】
ステップS204で所持フラグfhをONとしたことに応じ、車両制御部21はステップS205以降の処理により大型荷物を積み込むための必要スペースに係る各種パラメータの設定を行う。
具体的に、車両制御部21は、ステップS205で荷物全長Lsの設定処理、続くステップS206で前後方向の必要スペース長Lの設定処理、さらに続くステップS207で左右方向の必要スペース長Wの設定処理を行う。
本例では、ステップS205の荷物全長Lsの設定については、固定値(例えば1.5m〜2mの範囲内の値等)を設定する。
【0065】
図9は、前後方向、左右方向それぞれの必要スペース長(L,W)についての説明図である。
図示のように前後方向の必要スペース長Lとしては、車両全長Lvと荷物全長Lsと前後方向の作業スペース長Lwの合計値として設定する。本例では、前後方向の作業スペース長Lwには固定値(例えば1m等)を用いるが、何らかの条件に応じて可変としてもよい。
【0066】
また、左右方向の必要スペース長Wとしては、ドア開スペース長Wdと左右方向の作業スペース長Wwとの合計値として設定する。ドア開スペース長Wdは、座席ドア(座席の乗降に用いられるドア)を所定量開いた際のドア付け根部からドア先端までの横幅を意味するものであり、本例では、座席ドアを最大に開いた際の値としての固定値を用いる。
また、作業スペース長Wwについても固定値(例えば50cm等)を用いるが、何らかの条件に応じて可変としてもよい。
左右方向の必要スペース長Wは、例えば座席ドアを開扉して座席側から(つまり荷室の前方側から)大型荷物(特に長尺物)を引き寄せる作業を行う場合等に必要なスペースを考慮したものである。
【0067】
図8において、車両制御部21は、ステップS207の設定処理を実行したことに応じて大型荷物の所持判定処理(S103)を終える。
【0068】
図7に戻り、車両制御部21は、ステップS103に続くステップS104で、大型荷物所持の判定処理を行う。具体的には、上述した所持フラグfhがONであるか否かを判定する。
所持フラグfhがONであり、大型荷物所持と判定した場合、車両制御部21はステップS105に進んで周囲に他車両があるか否かを判定する。具体的には、
図4に示したカメラ部22による撮像画像についての画像処理部21aによる画像解析結果に基づき、自車両の前方に隣接して停車中である他の車両2(以下「前方車両」と表記する)、自車両の後方に隣接して停車中である他の車両2(以下「後方車両」と表記する)の何れかが存在するか否かを判定する。
【0069】
前方車両、後方車両の何れかが存在し、周囲に他車両があると判定した場合、車両制御部21はステップS106で自車及び他車移動不要でスペース確保可能か否かを判定する。
ここで言う「スペース確保」の「スペース」には、前後方向のスペース(
図9における荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値)のみでなく左右方向のスペース(
図9における必要スペース長W)も含まれる。
ステップS106で車両制御部21は、先ず、後方車両があるか否かを判定する。後方車両がなければ、自車両後方に荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値としてのスペースが確保されるため、前後方向については「自車及び他車移動不要でスペース確保可能」との判定結果を得る。一方、左右方向のスペースが確保可能か否かについては、例えば、画像処理部21aによる画像解析結果に基づき、自車両の側方に自車両からの距離が必要スペース長Wよりも短い物体(他車両や障害物等)が検出されているか否かにより判定する。なお、自車両から周囲物体までの距離の測定については、カメラ部22とは別途に設けた測距センサにより行うことも可能である。
車両制御部21は、後方車両がなく、且つ左右方向のスペースが確保可能と判定した場合は、ステップS106の判定結果として「自車及び他車移動不要でスペース確保可能」との判定結果を得る。
また、後方車両がある場合には、車両制御部21は、自車両後端から後方車両前端までの距離としての後方距離Lr(
図10参照)を取得する。この後方距離Lrが、荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値以上であれば、前後方向については「自車及び他車移動不要でスペース確保可能」と判定することができる。
なお、車両全長Lvは車両2ごとに異なり得るものであり、また、本例の乗車場Abにおいては車両2の停車位置は乗車枠Sb内であればよく、乗車枠Sbの前端寄りや後端寄りに車両2が停車され得る。そのため、乗車枠Sbのサイズ設定次第では、後方距離Lrが長くなることがあり、自車両や後方車両を移動させずとも「後方距離Lr≧荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値」となることが有り得る。
車両制御部21は、後方車両がある場合において、「後方距離Lr≧荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値」であり、且つ左右方向のスペース(必要スペース長W)が確保可能と判定した場合は、ステップS106の判定結果として「自車及び他車移動不要でスペース確保可能」との判定結果を得る。
また、車両制御部21は、「後方距離Lr≧荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値」ではないと判定した場合は、ステップS106の判定結果として「自車及び他車移動不要でスペース確保可能ではない」との判定結果を得る。
さらに、車両制御部21は、後方車両の有無や「後方距離Lr≧荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値」か否かに拘わらず、左右方向のスペースが確保可能でないと判定した場合は、ステップS106の判定結果として「自車及び他車移動不要でスペース確保可能ではない」との判定結果を得る。
【0070】
ステップS106において、自車及び他車移動不要でスペース確保可能でないと判定した場合、車両制御部21はステップS107に進み、自車移動のみでスペース確保可能か否かを判定する。
ここで、ステップS107の判定処理を実行するために、車両制御部21は
図10に示す前後他車間距離Ltを計算する。
図10に示すように前後他車間距離Ltは、前述した後方距離Lrと、前方距離Lf、つまり自車両前端から前方車両後端までの距離と、自車両の車両全長Lvとの合計値とされる。なお、前方距離Lfについても、例えば画像処理部21aによる画像解析結果に基づき測定することができる。
前方車両、後方車両の何れかが存在しても、この前後他車間距離Ltが上述した前後方向の必要スペース長L以上であれば、自車両の移動のみで、自車両の後方において大型荷物の積み込みに必要なスペース、すなわち「荷物全長Lsと作業スペース長Lwの合計値」で表されるスペースが確保可能である。
【0071】
ステップS107で車両制御部21は、「前後他車間距離Lt≧必要スペース長L」か否かを判定し、「前後他車間距離Lt≧必要スペース長L」であれば、自車移動のみでスペース確保可能との判定結果を得る。
ここで、左右方向のスペース(必要スペース長W)については自車移動のみで確保可能なものであり、従って車両制御部21は、「前後他車間距離Lt≧必要スペース長L」であれば、先のステップS106で「自車及び他車移動不要で左右方向のスペース確保可能」と判定したか否かに拘わらず、ステップS107で自車移動のみでスペース確保可能との判定結果を得る。
一方、「前後他車間距離Lt≧必要スペース長L」でなければ、車両制御部21は自車移動のみでスペース確保可能でないとの判定結果を得る。
ここで、前方車両が存在しない場合、本例では前後他車間距離Ltは「∞」となり、「前後他車間距離Lt≧必要スペース長L」であると判定される。すなわち、ステップS107の判定結果として自車移動のみでスペース確保可能でないとの結果が得られるのは、後方車両及び前方車両の双方が存在する場合である。
【0072】
ステップS107で自車移動のみでスペース確保可能でないと判定した場合、車両制御部21はステップS108に進み、要移動車両の選定処理を実行する。
【0073】
図11は、ステップS108の要移動車両の選定処理を示したフローチャートである。
先ず、車両制御部21はステップS301で、乗車中状態の推定処理を実行する。すなわち、前方車両、後方車両のそれぞれについて、乗員としてのユーザが乗車中の状態であるか否かを推定するものである。前方車両や後方車両のユーザが乗車中であるか否かは、画像処理部21aによる画像解析結果に基づき推定する。具体的には、例えば前方車両、後方車両のそれぞれについて、それらの所定距離内に物体が一定時間以上検出されているか否かにより推定する。或いは、車車間通信を利用して、前方車両、後方車両からのドア開放通知を受信可能としておき、該通知の受信有無に基づいてユーザが乗車中であるか否かを推定することもできる。
【0074】
続くステップS302で車両制御部21は、ステップS301の推定処理の結果に基づき、前方車両、後方車両の双方が非乗車中か否かを判定する。
前方車両、後方車両の双方が非乗車中であれば、車両制御部21はステップS304に進み、後方車両を要移動車両として選定する。
このように本例では、前方車両と後方車両の双方が存在する場合には、後方車両が優先して移動されるようにしている。これは、大型荷物の積み込みが車両2後部の荷室ドアから行われることを考慮したものである。
【0075】
一方、ステップS302において前方車両、後方車両の双方が非乗車中でないと判定した場合、車両制御部21はステップS303に進み、前方車両のみが乗車中であるか否かを判定する。前方車両のみが乗車中であれば、車両制御部21はステップS304に進んで後方車両を要移動車両として選定する。すなわち、ユーザが乗車中であると推定される車両を要移動車両として選定しないようにしている。これにより、他車両ユーザ(この場合は前方車両のユーザ)の安全性向上を図ることができる。
【0076】
また、ステップS303において、前方車両のみが乗車中ではないと判定した場合、車両制御部21はステップS305に進み、後方車両のみが乗車中であるか否かを判定する。
後方車両のみが乗車中であれば、車両制御部21はステップS306に進んで前方車両を要移動車両として設定する。そして、続くステップS307で自車移動フラグfmをONとして、ステップS108の選定処理を終える。ここで、自車移動フラグfmは、自車両の移動の要否を識別するためのフラグであり、ONが自車両の移動を要する旨を表す(初期値はOFFである)。
ここで、先のステップS304で後方車両を要移動車両に選定した場合、車両制御部21はステップS309で自車移動フラグ=OFFとし、ステップS108の選定処理を終える。
【0077】
一方、ステップS305で後方車両のみが乗車中ではない(つまり前方車両、後方車両の双方が乗車中である)と判定した場合、車両制御部21はステップS308の乗車中対応処理を実行し、
図7に示すステップS112(自車移動フラグfmの確認処理)に処理を進める。
ここで、本例の自動バレーパーキングシステムにおいて、ユーザの乗車が完了した車両2は、停車位置から発進し、乗車場2より離脱する。このためステップS307の乗車中対応処理で車両制御部21は、先ず、前方車両、後方車両の何れかが発進するまで待機し、発進した車両2が後方車両であれば自車移動フラグfmをOFFのままとしてステップS112に進み、発進した車両2が前方車両であれば自車移動フラグfmをONとしてステップS112に進む。
発進車両が後方車両であれば、自車両が移動せずとも後方に積み込みに必要なスペース(Ls+Lw)が確保される。一方、発進車両が前方車両である場合は、自車両が前方に移動しなければ積み込みに必要なスペースを確保不能であるため、上記のように自車移動フラグfmをONとして自車両の移動が行われるようにする。
【0078】
説明を
図7に戻す。
ステップS108に続くステップS109で車両制御部21は、他車の必要移動量を計算する。この他車の必要移動量としては、前後方向における必要移動量を計算し、具体的に本例では、要移動車両として前方車両を選定した場合と後方車両を選定した場合とで異なる値を計算する。
すなわち、要移動車両として後方車両を選定した場合は、他車の必要移動量としては、積み込みに必要なスペース(荷物全長Lsと前後方向の作業スペース長Lwの合計値)から後方距離Lrを減じた値とする。少なくともこの必要移動量だけ後方車両が後方に移動されれば、(自車両が移動せずとも)自車両の後方に積み込みに必要なスペース(Ls+Lw)が確保されるようにできる。
また、要移動車両として前方車両を選定した場合は、他車の必要移動量としては、前後方向の必要スペース長Lから前後他車間距離Ltを減じた値とする。少なくともこの必要移動量だけ前方車両が前方に移動されれば、自車両が前方に移動することで、自車両の後方に積み込みに必要なスペース(Ls+Lw)が確保されるようにできる(なお、要移動車両=前方車両である場合はステップS307で自車移動フラグfmがセットされている)。
【0079】
ステップS109に続くステップS110で車両制御部21は、管制装置1に対し要移動車両と必要移動量を指示する。
【0080】
このステップS110の処理による指示、すなわち対象車両としての車両2からの指示を受けた管制装置1の制御部11は、乗車場Abにおいて待機中の車両2のうち、要移動車両として指示された車両2を、指示された必要移動量に従って移動させる制御を行う。
具体的に、制御部11は、指示された要移動車両が前方車両の場合は、該前方車両が少なくとも指示された必要移動量以上前方に移動されるように制御を行う。このとき、制御部11は、前方車両のさらに前方に待機中の車両2(以下「前々方車両」と表記)が存在する場合には、前方車両と前々方車両との間に指示された必要移動量以上のスペースがあるか否かを判定し、該スペースがある場合は前方車両を必要移動量分前方に移動させる。一方、該スペースがない場合には、対象車両の前方に必要移動量以上のスペースが確保されるように、前方車両を斜め前方に移動させる。
また、指示された要移動車両が対象車両に対する後方車両の場合には、制御部11は、該後方車両が少なくとも指示された必要移動量以上後方に移動されるように制御を行う。このとき、上記した前方側の制御と同様、後方車両のさらに後方に待機中の車両2(以下「後々方車両」と表記)が存在する場合には、制御部11は、後方車両と後々方車両との間に指示された必要移動量以上のスペースがあるか否かを判定し、該スペースがある場合は後方車両を必要移動量分後方に移動させ、該スペースがない場合には対象車両の後方に必要移動量以上のスペースが確保されるように、後方車両を斜め後方に移動させる。
【0081】
前方車両、後方車両としての車両2(車両制御部21)は、制御部11からの制御に基づく移動を完了したことに応じ、制御部11に対し移動完了通知を行う。
制御部11は、この移動完了通知を受信したことに応じ、対象車両の車両制御部21に移動完了通知を行う。
【0082】
車両制御部21は、このような制御部11からの移動完了通知の受信をステップS111で待機しており、該移動完了通知を受信した場合はステップS112で自車移動フラグfmがONであるか否かを判定する。
ここで、自車移動フラグfmがONとされるのは、
図11に示したステップS307(つまり前方車両が要移動車両に選定された場合)と、ステップS308で前方車両が乗車中→発進となった場合である。
【0083】
ステップS112において、自車移動フラグfmがONである場合であれば、車両制御部21はステップS113に進み、自車両を移動させる処理を行う。すなわち、前後方向については、自車両の後方距離Lrが積み込みに必要なスペース(Ls+Lw)以上となるように自車両を移動させる。また、先のステップS106で左右方向のスペースが確保可能でないとの判定結果が得られている場合には、ステップS113での自車両の移動は、前後方向のみでなく、左右方向の必要スペース長Wを確保する移動として行われるようにする。
【0084】
ステップS113の移動処理を実行した場合と、ステップS112で自車移動フラグfmがONでないと判定した場合のそれぞれにおいて、車両制御部21はステップS114に処理を進める。
【0085】
ステップS114で車両制御部21は、所持フラグfhがONである否かを判定する。ここで、処理がステップS112→S114、S113→S114に遷移した場合、所持フラグfhはONである。
所持フラグfhがONであれば、車両制御部21はステップS115で、荷室ドア開時対応処理を実行し、
図7に示す一連の処理を終える。
ステップS115の荷室ドア開時対応処理として車両制御部21は、荷室ドアが開状態となるまで待機し、荷室ドアが開状態となったら、前述したラッチアクチュエータ29を制御して後部座席のラッチ機構をラッチ解除状態とさせる処理を行う。すなわち、後部座席の背もたれ部を前倒可能状態に切り替える処理である。
これにより、荷室ドアから大型荷物を荷室に積み込む際に、大型荷物を押し込むと後部座席(荷室隣接座席)の背もたれ部が自然と前倒されるようになり、大型荷物の積み込み容易性向上が図られる。
【0086】
なお、上記のラッチ解除時や荷物の押し込みに応じて背もたれ部が急激に前倒しないようエア機構等を設けてダンパ効果を与えることもできる。
【0087】
一方、所持フラグfhがOFFであれば、車両制御部21はステップS115の処理をパスして
図7に示す一連の処理を終える。
【0088】
また、車両制御部21は、先のステップS104で大型荷物所持ではないと判定した場合には、ステップS114に進む。この場合は、ステップS114で所持フラグfhがONでないと判定されるため、ステップS115の荷室ドア開時対応処理は実行されない。
【0089】
さらに、先のステップS105で周囲に他車なしと判定した場合と、ステップS106で自車及び他車移動不要でスペース確保可能であると判定した場合のそれぞれにおいて、車両制御部21はステップS114に処理を進める。
この場合のステップS114の処理では所持フラグfhがONであると判定されるため、ステップS115の荷室ドア開時対応処理が実行される。
【0090】
なお、上記では、大型荷物の所持推定に関して、購入品情報として購入金額の情報と購入店舗の情報のみが取得可能とされる場合に対応した処理を説明したが、購入品情報として商品のサイズ情報を取得可能な場合には、該サイズ情報に基づいて大型荷物の所持推定を行うこともできる。
【0091】
また、他車両の移動指示(S109)は、車車間通信が可能とされる場合には、上記のように管制装置1に行うのではなく、対象車両から他車両に直接的に行うようにしてもよい。
ここで、ステップS109による指示を行うことは、「他車両を移動させる制御を行う」ことの一態様である。
【0092】
<5.変形例>
ここで、上記では、大型荷物の所持推定をユーザの購入品情報に基づき行う例を挙げたが、大型荷物の所持推定はカメラ画像に基づき行うこともできる。
図12は、その場合に実行されるべき大型荷物の所持推定処理(ステップS103’)を示したフローチャートである。なお、この場合の車両制御部21は、ステップS103の推定処理に代えて
図12に示すステップS103’としての推定処理を実行する。
【0093】
図8に示した処理との差異点は、ステップS201〜S203の処理に代えてステップS401〜S404の処理を実行する点である。
先ず、ステップS401で車両制御部21は、カメラ画像を解析する処理を実行する。この解析処理としては、前述した画像処理部21aにより、カメラ部22の撮像画像内からユーザの特徴を有する物体を検出する処理を行う。具体的には、例えば顔認識技術を利用して撮像画像内から人物の顔としての画像部分を検出し、検出した画像部分の特徴量と、予め設定されたユーザの顔の特徴量とのマッチングを行う。マッチングの結果、ユーザの顔の特徴量との近似度が一定度合い以上の画像部分があれば、該画像部分をユーザの顔部分として検出(認識)する。また、該画像部分を有する物体をユーザとして検出(認識)する。
【0094】
続くステップS402で車両制御部21は、ステップS401の解析処理によりユーザを検出したか否かを判定する。ユーザが検出されていなければ、車両制御部21はステップS401の処理を再度実行する。これにより、ユーザが検出されるまでステップS401とS402の処理が繰り返される。
【0095】
ユーザを検出した場合、車両制御部21はステップS403でユーザが所持している荷物の大きさをユーザの大きさとの比較に基づき推定する。すなわち、例えばユーザとしての画像部分に対し所定の位置関係を維持している物体をユーザが所持する荷物として認識し、ユーザとしての画像部分のサイズと該荷物として認識した画像部分のサイズとの比較に基づき該荷物の大きさを推定する。例えば、ユーザの大きさとして、一般的な成人の平均身長等としての基準身長を設定しておき、該基準身長に対し、上記のユーザとしての画像部分と荷物としての画像部分とのサイズ比を乗じることで荷物の大きさを推定することができる。
【0096】
ステップS403に続くステップS404で車両制御部21は、推定した大きさが所定の大きさ以上か否かを判定する。ステップS403で推定した大きさが所定の大きさ以上でなければ、車両制御部21はステップS208で所持フラグfhをOFFとした上でステップS103’の推定処理を終え、推定した大きさが所定の大きさ以上であれば、前述したステップS204〜S207の処理を実行し、ステップS103’の推定処理を終える。
【0097】
なお、カメラ画像内のユーザ検出には、ユーザが所持する携帯端末3の位置情報や、乗車場Abに設置されたカメラの画像を併用することもできる。
また、ユーザが所持している荷物の大きさの推定にあたっては、乗車場Abに設置されたカメラの画像を併用することもできる。
【0098】
また、大型荷物の所持推定については、購入品情報とカメラ画像の双方に基づいて行うこともできる。例えば、双方の推定を行い、双方で所持ありと推定されたことに応じて所持フラグfhをONとすること等が考えられる。
【0099】
なお、これまでで説明した実施形態としての車両制御手法実現のための処理のうち、車両2側で実行するとした処理の少なくとも一部、特に、大型荷物の所持推定のための処理(S103、S103’が対応)や、他車停車状況推定のための処理(S105〜S108が対応)、及び所持推定結果と他車停車状況推定結果とに基づき他車両を移動させるための処理(S108〜S110が対応)については、管制装置1側で行うこともできる。
例えば、大型荷物の所持推定について、購入品情報を利用した推定とする場合は、携帯端末3が購入金額情報を管制装置1(制御部11)に送信するようにし、制御部11が携帯端末3の位置情報に基づいて購入店舗の情報を取得することで、購入品情報を管理するように構成すればよい。或いは、カメラ画像を利用した推定とする場合は、例えば車両2のカメラ部22による画像や乗車場Abに設置したカメラによる画像に基づいて、ユーザの検出や荷物の大きさ推定を行ってユーザが大型荷物を所持しているか否かの推定を行うことが考えられる。
また、他車停車状況推定のための処理や、所持推定結果と他車停車状況推定結果とに基づき他車両を移動させるための処理については、乗車場Abに設置したカメラの画像に基づき、上記した車両2側の処理と同様の手法により行うことができる。この際、対象車両の移動が必要とされる場合には、対象車両の必要移動量を計算し、該必要移動量を対象車両に対して指示する。
また、ステップS115の荷室ドア開時対応処理については、制御部11が自身の行った大型荷物の所持推定処理の結果に基づき、対象車両にその実行を指示する。
【0100】
また、
図6で説明した所持推定部F1、状況推定部F2については、車両制御部21自身が推定を行って推定情報を得る構成としたが、大型荷物の所持推定、他車停車状況の推定自体は、例えば他の車両2等の外部装置で行い、車両制御部21が該外部装置より推定情報を取得する構成とすることもできる。
【0101】
また、これまでの説明では、乗車場Abにおいて複数の車両2が縦列に停車されることを前提としたが、本発明は、乗車場Abにおいて複数の車両2が横列に停車される場合にも好適に適用できる。なお、「横列」とは、複数の車両2が左右方向(車両2の左右方向を基準)に並ぶ状態を意味する。
複数の車両2が横列に停車される場合は、主として、左右方向に必要スペースが確保されているかが問題となる。従ってこの場合は、他車停車状況の推定結果に基づき、左右方向に大型荷物の積み込みに必要なスペースが確保されているか否かを判定し、該スペースが確保されていない場合に対応して、他車量を移動させる制御を行うことになる。
なお、横列の場合、他車両の移動制御としては、一旦前進(又は後進)させた後、少なくとも対象車両における荷物の積み込みが完了した以降のタイミングで元位置に戻す等の制御とすることが考えられる。
なお、移動させた他車両を少なくとも対象車両における荷物の積み込みが完了した以降に元位置に戻すこと(少なくとも元々停車していた乗車枠Sb内に戻すこと)については、縦列の場合にも同様に行うことができる。
【0102】
また、上記では、本実施形態の出迎えシステムが自動バレーパーキングシステムに適用されて、車両2の駐車場Apへの移動や駐車が自動運転により行われる前提とされたが、実施形態の出迎えシステムは、運転者自身の運転操作により車両2の駐車場Apへの移動、及び/又は駐車枠への駐車が行われる場合にも好適に適用できる。
【0103】
<6.実施形態のまとめ>
上記で説明したように実施形態の車両制御装置(車両制御部21)は、乗員としてのユーザの乗車を待機する車両(同2)が複数停車可能とされた乗車場(同Ab)に停車する対象車両について、該対象車両のユーザが所定の大きさ以上の大型荷物を所持しているか否かの推定情報を得る所持推定部(同F1)と、対象車両周囲における他車両の対象車両に対する停車状況である他車停車状況の推定情報を得る状況推定部(同F2)と、所持推定部が得た推定情報と状況推定部が得た推定情報とに基づいて他車両を移動させる制御を行う移動制御部(同F3)と、を備えている。
【0104】
前述のように他車停車状況とは、少なくとも対象車両周囲における他車両の有無や、他車両の対象車両に対する位置関係を含む概念である。このような他車停車状況の推定により、対象車両周囲における空きスペースの大きさを推定可能となる。
このため、上記のようにユーザの大型荷物の所持と他車停車状況それぞれについての推定情報に基づき他車両を移動させる制御を行うことで、ユーザが対象車両に大型荷物を積み込むことが推定されるが、対象車両周囲に積み込み用スペースを確保できないと推定される場合に対応して、他車両を移動させて積み込み用スペースを確保させることが可能とされる。
従って、乗車場における車両ごとの停車スペースを広めに確保せずとも、大型荷物の積み込みの容易化を図ることができる。すなわち、大型荷物の積み込み容易性を確保しながら、乗車場における停車可能車両台数の増加を図ることができる。
【0105】
また、実施形態の車両制御装置においては、所持推定部は、ユーザの購入品情報に基づいて大型荷物を所持しているか否かを推定した推定情報を得ている。
【0106】
これにより、大型荷物の所持を推定可能とするにあたり、対象車両のユーザは商品購入を行えばよい。すなわち、車両制御装置に対し大型荷物の所持を通知するための操作を行う必要がない。
従って、利便性の向上を図ることができる。
【0107】
さらに、実施形態の車両制御装置においては、所持推定部は、カメラ画像に基づいて大型荷物を所持しているか否かを推定した推定情報を得ている。
【0108】
これにより、大型荷物の所持を推定可能とするにあたり、ユーザに購入品情報の送信が可能な携帯端末を携行させる必要がなく、また、ユーザが車両制御装置に対し大型荷物の所持を通知するための操作を行う必要もない。
従って、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0109】
さらにまた、実施形態の車両制御装置においては、移動制御部は、対象車両の前方と後方の双方に他車両が停車している場合は、後方の他車両を優先して移動させている。
【0110】
大型荷物の積み込みは車両後部の荷室ドアから行われる傾向にあるため、上記のように後方の他車両を優先して移動させることで、積み込みスペース確保のために前方の他車両と対象車両の双方を移動させず済む。
従って、積み込みスペース確保にあたっての車両移動の効率化を図ることができる。
【0111】
また、実施形態の車両制御装置においては、移動制御部は、他車両についてユーザが乗車中であるか否かを推定し、乗車中でない他車両を対象として移動の対象とする他車両を選定している。
【0112】
これにより、ユーザが乗車中である車両が移動されることの防止が図られる。
従って、他車両ユーザの安全性確保を図ることができる。
【0113】
さらに、実施形態の車両制御装置においては、対象車両は、荷室に隣接する荷室隣接座席の背もたれ部を前倒可能状態と前倒不能状態とに切り替え可能なラッチ機構を有し、所持推定部が得た推定情報に基づき、背もたれ部が前倒可能状態となるようにラッチ機構を制御するラッチ制御部(ラッチアクチュエータ29及び車両制御部21)を備えている。
【0114】
これにより、荷室ドアから大型荷物を荷室に積み込む際、大型荷物を押し込むと荷室隣接座席の背もたれ部が自然と前倒されるようになる。
従って、大型荷物の積み込みが容易となり、利便性向上を図ることができる。
【0115】
また、実施形態のプログラムは、乗員としてのユーザの乗車を待機する車両が複数停車可能とされた乗車場に停車する対象車両について、該対象車両の前記ユーザが所定の大きさ以上の大型荷物を所持しているか否かの推定情報を得る所持推定機能と、対象車両周囲における他車両の対象車両に対する停車状況である他車停車状況の推定情報を得る状況推定機能と、所持推定機能が得た推定情報と状況推定機能が得た推定情報とに基づいて他車両を移動させる制御を行う移動制御機能と、を情報処理装置に実現させるプログラムである。すなわち、例えば
図7、
図8、
図11等で説明した処理をコンピュータ装置(情報処理装置)に実行させるプログラムである。
このような実施形態としてのプログラムにより、上記した実施形態としての車両制御装置を実現することができる。従って、大型荷物の積み込み容易性を確保しながら、乗車場における停車可能車両台数の増加を図ることができる。