特許第6791930号(P6791930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791930
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】タッチスクリーン一体型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20201116BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20201116BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201116BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201116BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G09F9/30 349Z
   G06F3/041 412
   G06F3/041 660
   G06F3/044 125
   G09F9/30 365
   G09F9/30 309
   G09F9/30 317
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H01L27/32
   H05B33/02
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-203552(P2018-203552)
(22)【出願日】2018年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-82685(P2019-82685A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0142434
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】金 度 衡
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−143933(JP,A)
【文献】 特開2017−181672(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0010493(US,A1)
【文献】 特開2013−052569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G06F 3/041
G06F 3/044
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/02
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた画素アレイ層と、
前記画素アレイ層上に設けられた封止層と、
前記封止層上に設けられたタッチ電極層と、
前記タッチ電極層上に設けられた絶縁層と、
フィルム接着部材によって前記絶縁層上に付着された機能性フィルムと
を含み、
前記絶縁層が、
分子吸着物質を含み、且つ、
マイクロレンズパターンを有する散乱面を含む、
タッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項2】
前記タッチ電極層と前記絶縁層の間に配置され、前記タッチ電極層上に配置された平坦化層をさらに含む、請求項1に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項3】
前記タッチ電極層が、
前記封止層上に配置された複数のブリッジ電極、
前記複数のブリッジ電極上に配置されたタッチ絶縁層、
前記タッチ絶縁層上に配置された複数のタッチ電極を含み、
前記タッチ電極層は、前記タッチ絶縁層と前記封止層の間に配置されたタッチバッファ層をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項4】
前記複数のタッチ電極と前記複数のブリッジ電極それぞれが、メッシュパターンを含む、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項5】
前記分子吸着物質は水の分子を吸収する、または、フッ素ベースの化合物を含む、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項6】
前記分子吸着物質は、前記平坦化層のアウトガスヒュームを吸着する、請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項7】
前記絶縁層が、分子吸着物質を含有した有機物質を含み、
前記分子吸着物質は、ナフィオン(Nafion、登録商標)分子体を含む、請求項1または請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項8】
前記絶縁層が、分子吸着物質を含有した有機物質を含み、
前記絶縁層の有機物質は、アクリレート(acrylate)系物質またはシロキサン(siloxane)系物質を含む、請求項1または請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項9】
前記フィルム接着部材が減圧接着剤、光学透明接着剤、または光学透明接着樹脂を含む、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項10】
前記平坦化層が、ポリアクリレート樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)およびベンゾシクロブテン樹脂(benzocyclobutene resin)の一つを含む、請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項11】
前記機能性フィルムが偏光フィルムを含む、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項12】
前記散乱面が前記絶縁層と前記フィルム接着部材の間の境界部に設けられた非平坦面である、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項13】
前記フィルム接着部材が散乱面に接着した、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項14】
前記絶縁層が、
分子吸着物質を含有するベース層と、
前記マイクロレンズパターンを有する、前記散乱面と
を含み、
前記フィルム接着部材は、前記散乱面の前記マイクロレンズパターンに接着した、請求項に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項15】
前記マイクロレンズパターンは、複数の凹部と、少なくとも一つの隔壁を含み、
前記少なくとも一つの隔壁は、前記複数の凹部のうち、隣接する凹部の間に配置された、請求項1または請求項2に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【請求項16】
前記絶縁層に含有された前記分子吸着物質が、前記絶縁層の全体積の5%以下である、請求項1に記載のタッチスクリーン一体型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、タッチスクリーン一体型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、電子機器(または情報機器)の表示画面に設置され、使用者が表示画面を見ながら、指やペンなどで画面をタッチして情報を入力する入力装置の一種である。
【0003】
最近の電子機器は、使用者のタッチを認識することができるタッチスクリーンを含むタッチスクリーン一体型表示装置として形成されている。特に、最近の有機発光表示パネルを用いた表示装置は、別個のタッチスクリーンを有機発光表示パネルに付着せずに、有機発光表示パネルの封止層上にタッチ電極とタッチ配線を有するタッチ電極層を形成したインセル方式のタッチスクリーンを含んでいる。このようなインセル方式のタッチスクリーン一体型表示装置は、タッチ電極層の前面を平坦化する平坦化層上に付着した機能性フィルム、例えば、偏光フィルムを含んでいる。
【0004】
しかし、インセル方式のタッチスクリーン一体型表示装置は、機能性フィルムをタッチ電極層上に付着させる接着層の接着力が水分によって低下し、機能性フィルムの高い熱膨張係数による機能性フィルムの反りによって接着層にクラックが発生することにより、信頼性が低下するという問題点がある。
【0005】
以上、説明した背景技術の内容は、本出願の発明者が本出願の導出のために保有していたか、本出願の導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本出願の出願前に一般公衆に公開された公知技術とすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018−107123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲に記載されており、タッチスクリーン一体型表示装置を提供して従来技術の上記問題点を解消することを目的とする。
【0008】
本出願は、信頼性が改善されたタッチスクリーン一体型表示装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願によるタッチスクリーン一体型表示装置は、基板上に設けられた画素アレイ層、画素アレイ層を囲む封止層、封止層上に設けられたタッチ電極層、タッチ電極層上に設けられた平坦化層、平坦化層上に設けられ分子吸着物質を含有する絶縁層およびフィルム接着部材を媒介にして前記絶縁層に接着された機能性フィルムを含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本出願によるタッチスクリーン一体型表示装置は、水分とアウトガスヒュームによるフィルム接着部材の接着力の低下を防止し、接着力の低下によってフィルム接着部材に発生するクラック現象を防止することで、耐透湿性および高い信頼性を有することができる。
【0011】
上述した本出願の効果に加えて、本出願の他の特徴および利点は、以下の記述や、その記述および説明から、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置を概略的に示す断面図である。
図2図1に示すA部分の拡大図である。
図3】本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置を概略的に示す断面図である。
図4図1に示すB部分の拡大図である。
図5図4に示す絶縁層の平面図である。
図6図5に示す線I−I’の断面図である。
図7】比較例と本出願の一例による単一有機膜のアウトガスヒューム特性を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述する一例を参照すると明確になるだろう。しかし、本出願は、以下で開示する一例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されるものであり、単に本出願の一例は、本出願の開示を完全にし、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本出願は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0014】
本出願の一例を説明するために図で開示した形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものなので、本出願は、図に示した事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって同一参照符号は同一の構成要素を指すことができる。また、本出願を説明するにおいて、関連する公知技術に対する詳細な説明が本出願の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0015】
本明細書で言及した「含む」、「有する」、「からなる」などが使用されている場合は、「〜だけ」が使用されていない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現する場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数が含まれる場合を含む。
【0016】
構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むものと解釈する。
【0017】
位置関係の説明である場合には、例えば、「〜上に」、「〜の上部に」、「〜の下部に」、「〜の隣に」など2つの部分の位置関係が説明されている場合は、「すぐに」または「直接」が使用されていない以上、二つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0018】
時間の関係に対する説明である場合には、例えば、「〜の後」、「〜に続いて」、「〜次に」、「〜前に」などで時間的前後関係が説明されている場合は、「すぐに」または「直接」が使用されていない以上、連続していない場合も含むことができる。
【0019】
第1、第2などが多様な構成要素を記述するために使用されるが、このような構成要素はこのような用語によって制限されない。このような用語は、ただ一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下に記載されている第1構成要素は、本出願の技術的思想内で第2構成要素であることもある。
【0020】
「少なくとも一つ」の用語は、一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されなければならない。たとえば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目または第3項目のそれぞれのみならず、第1項目、第2項目及び第3項目の中で2つ以上から提示することができるすべての項目の組み合わせを意味する。
【0021】
以下では、本出願によるタッチスクリーン一体型表示装置の好適な例を添付の図を参照して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対して、たとえ他の図上に表示されていても、可能な限り同一の符号を有することができる。
【0022】
図1は、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置を概略的に示す断面図であり、図2は、図2に示すA部分の拡大図である。
【0023】
図1及び図2を参照すると、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、基板100、画素アレイ層110、封止層120、タッチ電極層120、平坦化層140、絶縁層150、フィルム接着部材160および機能性フィルム170を含むことができる。
【0024】
前記基板100は、ベース基板としてプラスチック材質またはガラス材質を含む。ここで、基板100がプラスチック材質を含む場合には、基板100は、不透明または有色ポリイミド材質を含むことができる。例えば、ポリイミド材質を含む基板100は、比較的厚いキャリアガラス基板に設けられたリリース層の前面に一定の厚さでコーティングされたポリイミド樹脂が硬化することにより形成され得る。ここで、キャリアガラス基板は、レーザーリリース工程を用いたリリース層のリリースにより、基板100から分離される。
【0025】
さらに、基板100がプラスチック材質を含む場合には、本例に係る表示装置は、基板100の厚さ方向(Z軸方向)を基準として、基板100の背面に結合されたバックプレートをさらに含む。ここで、基板100の背面は、画素アレイ層110と向き合う基板110の面と反対の面と定義することができる。前記バックプレートは、基板100を平面状態に維持する。一例によるバックプレートはプラスチック材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート材質を含むことができる。このようなバックプレートは、キャリアガラス基板から分離された基板100の背面にラミネート加工することができる。
【0026】
前記基板100の一面上には、バッファ膜を形成することができる。バッファ膜は、透湿に脆弱な基板100を介して画素アレイ層110に水分が浸透することを遮断するために、基板100の一面上に形成される。一例によるバッファ膜は、交互に積層された複数の無機膜からなり得る。たとえば、バッファ膜、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)およびシリコン酸化窒化膜(SiON)のいずれか一つ以上の無機膜を交互に積層した多重膜で形成することができる。バッファ膜は省略することができる。
【0027】
画素アレイ層110は、薄膜トランジスタ層(TFTL)および発光素子層(EDL)を含むことができる。
【0028】
前記薄膜トランジスタ層(TFTL)は、複数の薄膜トランジスタ111、ゲート絶縁膜112、層間絶縁膜113、保護膜114およびオーバーコート層115を含む。ここで、図2に示す薄膜トランジスタ111は、発光素子層(EDL)に接続した駆動薄膜トランジスタであり得る。
【0029】
前記薄膜トランジスタ111は、基板100またはバッファ膜上に形成されたアクティブ層(ACL)、ゲート電極(GE)、ソース電極(SE)及びドレイン電極(DEE)を含む。図2では、薄膜トランジスタ111が、ゲート電極(GE)がアクティブ層(ACL)の上部に位置する上部ゲート(トップゲート、top gate)構造を示したが、これに限定されない。他の実施形態として、各薄膜トランジスタ111は、ゲート電極(GE)がアクティブ層(ACL)の下部に位置する下部ゲート(ボトムゲート、bottom gate)構造を有するか、ゲート電極(GE)がアクティブ層(ACL)の上部と下部の両方に位置するダブルゲート(double gate)構造を有することができる。
【0030】
前記アクティブ層(ACL)は、基板100またはバッファ膜上に形成することができる。アクティブ層(ACL)は、シリコン系半導体物質または酸化物系半導体物質などで形成することができる。バッファ膜とアクティブ層(ACL)の間には、アクティブ層(ACL)に入射する外部光を遮断するための遮光層をさらに形成することができる。
【0031】
前記ゲート絶縁膜112は、アクティブ層(ACL)を覆うように形成することができる。ゲート絶縁膜112は無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0032】
前記ゲート電極(GE)は、アクティブ層(ACL)と重畳するようにゲート絶縁膜112上に形成することができる。ゲート電極(GE)は、ゲート絶縁膜112上に形成されるスキャンラインからアクティブ層(ACL)と重畳するように突出することができる。ゲート電極(GE)とスキャンラインはモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0033】
前記層間絶縁膜113は、ゲート電極(GE)とスキャンライン上に形成することができる。層間絶縁膜113は、無機膜、および、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0034】
前記ソース電極(SE)とドレイン電極(DE)は、ゲート電極(GE)を間に置いて、アクティブ層(ACL)と重畳するように層間絶縁膜113上に形成することができる。層間絶縁膜113上には、ソース電極(SE)とドレイン電極(DE)と一緒にデータラインが形成される。ソース電極(SE)とドレイン電極(DE)のそれぞれは、ゲート絶縁膜112と層間絶縁膜113を貫通するコンタクトホールを介して、アクティブ層(ACL)に接続することができる。ソース電極(SE)、ドレイン電極(DE)およびデータラインは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つ、またはそれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0035】
前記保護膜114は、ソース電極(SE)、ドレイン電極(DE)、データラインを覆うように形成することができる。このような保護膜114は、薄膜トランジスタ111を絶縁する。保護膜114は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0036】
前記オーバーコート層115は、保護膜114を覆うように形成される。オーバーコート層115は、薄膜トランジスタ111のそれぞれによる保護膜114の上面段差を平坦にする。オーバーコート層115は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、またはポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成することができる。
【0037】
前記発光素子層(EDL)は、薄膜トランジスタ層(TFTL)上に形成される。発光素子層(EDL)は、発光素子116とバンク117を含む。
【0038】
前記発光素子116とバンク117は、オーバーコート層115上に形成される。
【0039】
一例に係る発光素子116は、薄膜トランジスタ層(TFTL)の駆動薄膜トランジスタ111から供給されるデータ信号による発光層(EL)の発光によって光を放出する。発光素子116は、第1電極(E1)、発光層(EL)、及び第2電極(E2)を含む。第1電極(E1)はアノード電極として定義され、第2電極(E2)はカソード電極と定義することができる。
【0040】
前記第1電極(E1)は、オーバーコート層115上に形成することができる。第1電極(E1)は、オーバーコート層115と保護膜114を貫通するコンタクトホールを介して駆動薄膜トランジスタ111のソース電極(SE)に接続する。第1電極(E1)は、反射率の高い金属物質を含むことができる。例えば、第1電極(E1)は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)の積層構造(Ti/Al/Ti)、アルミニウム(Al)とITO(Indium Tin Oxide)の積層構造(ITO/Al/ITO)、APC(Ag/Pd/Cu)合金、またはAPC合金とITOの積層構造(ITO/APC/ITO)のような多層構造で形成したり、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、またはバリウム(Ba)の中から選択されたいずれか一つの物質または2以上の合金材質からなる単一層構造を含むことができる。
【0041】
前記バンク117は、第1電極(E1)の端を覆うようにオーバーコート層115上に形成され、第1電極(E1)上に開口領域(OA)(P)を設ける。このようなバンク117は、隣接する画素(P)の第1電極(E1)間に配置され、画素(P)の開口領域(OA)(P)を定義する画素定義膜の役割をする。
【0042】
前記発光層(EL)は、第1電極(E1)とバンク117を覆うように形成することで、複数の画素(P)に共通に形成される共通層であり得る。発光層(EL)は、有機発光層、無機発光層、及び量子ドット発光層のいずれか一つを含むか、有機発光層(または無機発光層)と量子ドット発光層の積層または混合構造を含むことができる。
【0043】
一例による発光層(EL)は、白色光を放出するための2以上の発光部を含む。例えば、発光層(EL)は、第1光と第2光の混合によって白色光を放出するための第1発光部と第2発光部を含むことができる。ここで、第1発光部は、第1光を放出するもので、青色発光部、緑色発光部、赤色発光部、黄色発光部および黄緑色発光部のいずれか一つを含むことができる。第2発光部は、青色発光部、緑色発光部、赤色発光部、黄色発光部、及び黄緑色発光部の中で第1光と補色関係を有する光を放出する発光部を含むことができる。
【0044】
第2電極(E2)は、発光層(EL)上に形成される。第2電極(E2)は、発光層(EL)を覆うように形成することができる。第2電極(E2)は、画素(P)に共通に形成される共通層であり得る。一例による第2電極(E2)は、光を透過させることができる透明な導電性物質、例えば、ITOまたはIZO(Indium Zinc Oxide)のような金属酸化物、ZnO:Al、またはSnO:Sbのような金属と酸化物の混合物からなり得る。
【0045】
このように、発光素子層(EDL)が形成された領域には、画素(P)が設けられるので、発光素子層(EDL)が形成された領域は、表示領域と定義することができる。表示領域の周辺領域は、非表示領域として定義することができる。このような発光素子層(EDL)は、第1電極(E1)を介して薄膜トランジスタ層(TFTL)の駆動薄膜トランジスタ111から供給されるデータ信号によって発光する。ここで、発光素子層(EDL)で発生した光は、機能性フィルム170の方に放出され得る。
【0046】
一例によると、複数の画素(P)を、表示領域上にストライプ(stripe)構造で形成することができる。ここで、複数の画素(P)のそれぞれは、赤色サブピクセル、緑色サブピクセルおよび青色サブピクセルを含むことができ、さらに白色サブピクセルをさらに含むことができる。
【0047】
他の例に係る複数の画素(P)は、表示領域上にペンタイル(pentile)構造で形成することができる。ここで、複数の画素(P)のそれぞれは、平面的に多角形態に配置された一つの赤色サブピクセル、二つの緑色サブピクセルおよび一つの青色サブピクセルを含むことができる。例えば、ペンタイル構造を有する画素(P)のそれぞれは、一つの赤色サブピクセル、二つの緑色サブピクセルおよび一つの青色サブピクセルが平面的に八角の形態を有するように配置することができ、この場合、青色サブピクセルが最も大きいサイズを有し、緑色サブピクセルが最も小さいサイズを有することができる。
【0048】
さらに、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、基板100の非表示領域に設けられたスキャン駆動回路をさらに含むことができる。スキャン駆動回路は、スキャン制御信号によってスキャンパルスを生成し、設定された順序に該当するスキャンラインに供給する。一例によるスキャン駆動回路は、薄膜トランジスタと共に基板100の非表示領域に形成することができる。
【0049】
前記封止層120は、画素アレイ層110を囲むように形成される。画素アレイ層110の周辺は、封止層120によって完全に囲むことができる。例えば、画素アレイ層110の一面は、基板100によって覆い、画素アレイ層110の他のすべての面は、封止層120によって覆うことによって画素アレイ層110を、完全に囲むことができる。封止層120は、外部からの衝撃から発光素子層などを保護し、酸素および/または水分さらには異物(particles)が発光素子層(EDL)の発光層(EL)と第2電極(E2)に浸透することを防止する役割をする。封止層120は、少なくとも一つの無機膜を含むことができる。そして、封止層120は、少なくとも一つの有機膜をさらに含むことができる。
【0050】
一例による封止層120は、第1無機封止層、有機封止層、及び第2無機封止層を含むことができる。
【0051】
前記第1無機封止層は、画素アレイ層110を囲むように、基板100上に形成される。一例による第1無機封止層は、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化窒化膜(SiON)、チタン酸化膜(TiOx)およびアルミニウム酸化膜(AlOx)のいずれか一つの無機物質を含むことができる。
【0052】
前記有機封止層は、第1無機封止層を覆うように基板100上に形成される。有機封止層は、異物(particles)が封止層120を突き抜けて発光素子層(EDL)に浸透することを防止するために、第1無機封止層よりも相対的に厚い厚さを有することができる。一例による有機封止層は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)およびベンゾシクロブテン樹脂(benzocyclobutene resin)のいずれか一つの有機物質からなり得る。例えば、有機封止層はエポキシ樹脂で形成することができる。
【0053】
前記第2無機封止層は、有機封止層を覆うように基板100上に形成される。一例による第2無機封止層は、第1無機封止層と同じ無機物質で形成することができる。
【0054】
前記タッチ電極層130は、封止層120上に形成される。一例によるタッチ電極層130は、ブリッジ電極(BE)、タッチ絶縁膜131、第1タッチ電極(TE1)、及び第2タッチ電極(TE2)を含むことができる。選択的に、タッチ電極層130は、封止層120上に形成されたタッチバッファ層をさらに含むことができる。
【0055】
前記ブリッジ電極(BE)は、封止層120またはタッチバッファ層上に形成される。すなわち、ブリッジ電極(BE)は、封止層120上に定義されたブリッジ電極領域にそれぞれ形成される。一例によるブリッジ電極(BE)は、金属物質の単一層構造または多層構造を有することができる。たとえば、ブリッジ電極(BE)は、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、モリブデン/アルミ/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの金属物質からなる単一層または多層構造を有することができる。このようなブリッジ電極(BE)は、画素(P)の開口領域(OA)が減ることを防止するために、バンク117と重畳するように配置することができる。
【0056】
前記タッチ絶縁膜131は、ブリッジ電極(BE)を囲むように封止層120またはタッチバッファ層上に形成される。ブリッジ電極(BE)の両端と重畳するタッチ絶縁膜131には、ブリッジコンタクトホール(BCH)が形成される。一例によるタッチ絶縁膜131は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0057】
前記第1タッチ電極(TE1)は、封止層120上に定義された第1タッチ電極領域のそれぞれと重畳するタッチ絶縁膜131上に形成される。ここで、第1タッチ電極領域は、第1方向(X)に沿って互いに離隔する。第1方向は、画素アレイ層110に形成されたスキャンラインまたはデータラインと平行な方向であり得る。
【0058】
前記第2タッチ電極(TE2)は、封止層120上に画定された第2タッチ電極領域のそれぞれと重畳するタッチ絶縁膜131上に形成される。ここで、第2タッチ電極領域は、第1方向(X)と交差する第2方向(Y)に沿って互いに離隔する。
【0059】
第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)は、同じ層に配置することができる。第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)は、センシング領域を挟んで互いに離隔していて、互いに電気的に絶縁される。第2方向(Y)に離隔した第2タッチ電極(TE2)は、タッチ絶縁膜131に形成されたブリッジコンタクトホール(BCH)を介してブリッジ電極(BE)に電気的に接続する。これにより、第2方向(Y)に離隔した第2タッチ電極(TE2)は、ブリッジ電極(BE)を介して互いに接続することで、第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)の交差領域において、第1および第2タッチ電極(TE1、TE2)は、互いにショートせずに絶縁される。
【0060】
一例による第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)とブリッジ電極(BE)は、非常に薄い線幅を有するメタルラインが互いに交差してなるメッシュパターン(mesh pattern)を含むことができる。一例によるメッシュパターンは、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの金属物質からなる単一層または多層構造を有することができる。メッシュパターンは、画素(P)の開口領域(OA)が減ることを防止するためにバンク117と重畳するように配置することができる。このような第1タッチ電極(TE1)と第2タッチ電極(TE2)それぞれは、メッシュパターン構造を有し、全体的な形状は多角形、例えば、ひし形の形状を有することができ、この場合には、タッチ電極層130の角部に配置された第1タッチ電極(TE1)と第2タッチ電極(TE2)それぞれは、三角形の形状を有することができる。メッシュパターンは、各ピクセル(P)の開口領域(OA)と対応する複数の開口部(opening)またはホール(hole)を含むことができる。
【0061】
他の例に係る第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)は、ライン形状または多角形、例えば、ひし形形状を有することもできる。
【0062】
前記平坦化層140は、タッチ電極層130を覆うように基板100上に形成され、タッチ電極層130上に平坦面を提供する。一例による平坦化層140は、第1及び第2タッチ電極(TE1、TE2)とタッチ絶縁膜131を覆うように比較的厚い厚さで形成することによって、タッチ電極層130の電極による段差を平坦化する。一例による平坦化層140は、ポリアクリレート樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)およびベンゾシクロブテン樹脂(benzocyclobutene resin)のいずれか一つの有機物質からなり得る。例えば、平坦化層140は、ポリアクリレート樹脂(polyacrylates resin)を含むことが好ましい。このような平坦化層140は、タッチ電極層130上にポリアクリレート樹脂をコーティングするコーティング工程およびコーティングされたポリアクリレート樹脂を摂氏100度以下の温度で硬化(curing)させる硬化工程を介して形成することができる。
【0063】
前記絶縁層150は、分子吸着物質を含有して平坦化層140上に形成される。絶縁層150は、水分が機能性フィルム170の方に浸透することを防止するために水分を吸着してよく、それにより、タッチスクリーン一体型表示装置の耐透湿性を強化する。また、絶縁層150は、平坦化層140のアウトガスヒューム(outgas fume)をさらに吸着してアウトガスヒュームが機能性フィルム170の方に浸透することを防止する。そのため、本出願の一例による絶縁層150は、分子吸着物質を含有した有機物質を含むことができる。有機物質に含有(または添加)する分子吸着物質は、絶縁層150の体積の5%以下に設定することができる。例えば、分子吸着物質は、絶縁層150の全体積(volume)の5%を占めることができる。ここで、有機物質に添加する分子吸着物質が5%を超える場合には、絶縁層150は、分子吸着物質に吸着された水分および/またはアウトガスヒュームの吸着量によって膨張し得、これにより、信頼性が低下し得る。
【0064】
前記絶縁層150の有機物質は、アクリレート(acrylate)系またはシロキサン(siloxane)系列を含むことができる。
【0065】
一例による分子吸着物質は、フッ素(Fluorine)ベースの化合物を含むことができる。例えば、フッ素(Fluorine)ベースの化合物を含む分子吸着物質は、商標名ナフィオン(Nafion:Du Pont company’s trademark)分子体を含むことができる。ここで、ナフィオン分子体はパーフルオロスルホン酸(perfluorosulfonic acid)を加水分解して製造される物質で、下記の化学式1のような分子構造を有する。このようなナフィオン分子体は、フッ素ベースの化合物で、末端基のSO3−が水の分子と反応して極性水分子を吸着する。また、ナフィオン分子体は、熱による平坦化層140の極性アウトガスヒューム(outgas fume)、例えば酸性混合物(acid composition)をさらに吸着する。
【0066】
【化1】
【0067】
一例による絶縁層150は、平坦化層140の製造工程と同じコーティング工程と硬化工程によって2〜3マイクロメートルの厚さを有するように平坦化層140上に形成することができる。
【0068】
前記フィルム接着部材160は、絶縁層150と機能性フィルム170の間に介在して機能性フィルム170と絶縁層150を互いに結合させる。すなわち、フィルム接着部材160は、機能性フィルム170を絶縁層150の前面にラミネートするためのものであり、減圧接着剤(pressure sensitive adhesive)、光学透明接着剤(optically clear adhesive)、または光学透明接着樹脂(optically clear resin)を含むことができる。
【0069】
前記機能性フィルム170は、フィルム接着部材160を媒介して絶縁層150の前面に接着することができる。一例による機能性フィルム170は、偏光フィルムを含むことができる。偏光フィルムは、画素アレイ層110に設けられた薄膜トランジスタおよび/または画素駆動ラインなどにより反射した外部光を円偏光状態に変更して表示装置の視認性とコントラスト比を向上させる役割を含む。他の例に係る機能性フィルム170は、偏光フィルム、バリアフィルム、反射防止フィルムおよび透過度制御フィルム(transmittance controllable film)のうちの少なくとも一つのフィルムを含むこともできる。
【0070】
本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、ウインドウカバー190をさらに含むことができる。
【0071】
前記ウインドウカバー190は、カバー接着部材180を媒介にして機能性フィルム170の前面に接着することができる。一例によるウインドウカバー190は、プラスチック材質、金属材質、またはガラス材質からなることができる。ここで、ガラス材質のウインドウカバー190は、サファイアガラス(Sapphire Glass)およびゴリラグラス(Gorilla Glass)のいずれか一つ、またはこれらの接合構造を有することができる。たとえば、ウインドウカバー190は、耐久性が相対的に高いゴリラグラスからなり得る。
【0072】
前記カバー接着部材180は、ウインドウカバー190を機能性フィルム170の前面にラミネートするためのものであり、減圧接着剤(pressure sensitive adhesive)、光学透明接着剤(optically clear adhesive)、または光学透明接着樹脂(optically clear resin)を含むことができる。
【0073】
さらに、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、タッチ電極層130上に設けられたブラックマトリックスおよび波長変換層をさらに含むことができる。
【0074】
前記ブラックマトリックスは、各画素(P)の開口領域を定義するもので、バンク117と重畳するように平坦化層140上に配置され得る。
【0075】
前記波長変換層は、ブラックマトリックスによって画定される平坦化層140上の開口領域(OA)に形成される。
【0076】
一例による波長変換層は、各画素(P)の発光素子116から入射する白色光のうち画素に設定された色相の波長だけを透過させるカラーフィルタを含む。例えば、波長変換層は、赤色、緑色、または青色の波長だけを透過させることができる。
【0077】
他の例に係る波長変換層は、各画素(P)の発光素子116から入射する白色光によって再発光して画素に設定された色相の光を放出する大きさを有する量子ドットを含むことができる。ここで、量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、GaAs、GaP、GaAs−P、Ga−Sb、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、またはAlSbなど選択することができる。例えば、前記のCdSeまたはInPの量子ドットは、赤色光を放出することができ、CdZnSeSの量子ドットは、緑色光を放出することができ、ZnSeの量子ドットは、青色光を放出することができる。このように、波長変換層が量子ドットを含む場合には、色再現率が高くなり得る。
【0078】
また他の例による波長変換層は、量子ドットを含有するカラーフィルタからなり得る。
【0079】
このような波長変換層を含む場合、本出願の一例は、発光素子層(EDL)を各画素(P)に共通して形成することにより製造工程を簡略化することができる。
【0080】
一方、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置では、発光素子層(EDL)の一部として設けられた発光素子116の発光層(EL)は、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層に分離することができる。この場合、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層は、各画素(P)に共通に形成せずに、該当するカラーの色相を有する画素に個別に形成する。これにより、ブラックマトリックスおよび波長変換層は省略される。
【0081】
このように、本例に係るタッチスクリーン一体型表示装置は、外部から浸透する水分と平坦化層140から放出されるアウトガスヒュームが絶縁層150に添加した分子吸着物質に吸着されることにより、水分とアウトガスヒュームによるフィルム接着部材160の接着力低下を防止することによってフィルム接着部材160の接着力を維持することができ、フィルム接着部材160の接着力が維持されることで、熱による機能性フィルム170が曲がる現象とフィルム接着部材160の接着力低下現象によりフィルム接着部材160に発生するクラック現象を防止することができ、これによって耐透湿性および高い信頼性を有することができる。
【0082】
図3は、本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置を概略的に示す断面図であり、図4は、図1に示すB部分の拡大図であり、図5は、図4に示す絶縁層の平面図であり、図6は、図5に示す線I−I’の断面図であり、これは図1及び図2に示す絶縁層の構造を変更して構成したものである。これにより、以下の説明では、絶縁層およびこれに関連する構成についてのみ説明し、残りの構成に対する重複説明は省略することにする。
【0083】
図3図6を参照すると、本例に係る絶縁層150は、ベース層151および非平坦面153を含むことができる。
【0084】
前記ベース層151は、分子吸着物質を含有するもので、これは、図1及び図2に示す絶縁層と同様であるため、これに対する重複説明は省略する。
【0085】
前記非平坦面153は、絶縁層150とフィルム接着部材160の界面に設けられる。すなわち、非平坦面153は、ベース層151の表面全体または一部に形成することができる。非平坦面153は、凹凸面または散乱面として定義することができる。このような非平坦面153は、絶縁層150の表面積を増加させることによって、フィルムの接着部材160の接着表面積を増加させて絶縁層150とフィルム接着部材160の間の接着力を増加させる。また、非平坦面153は、絶縁層150とフィルム接着部材160の界面で散乱面の役割をすることで、画素アレイ層110に設けられた各画素の(P)の発光素子層(EDL)から放出される光を散乱させて、ウインドウカバー190の外部に抽出される光抽出効率を増加させる。
【0086】
一例による非平坦面153は、ベース層151の表面に設けられたマイクロレンズパターンを含む。前記マイクロレンズパターンは、複数の凹部153aおよび隔壁153bを含むことができる。
【0087】
前記複数の凹部153aのそれぞれは、ベース層151の表面から曲面形状の断面構造を有するように凹に形成することができる。一例による複数の凹部153aのそれぞれは、凹レンズの断面構造を有することができる。たとえば、複数の凹部153aのそれぞれは、半円形状の断面構造を有することができる。
【0088】
前記複数の凹部153aのそれぞれは、一定の間隔を有するように、第1方向(X)に沿って並んで配置され、第2方向(Y)に沿ってジグザグ形態に配置することができる。すなわち、複数の凹部153aのそれぞれは、一定の間隔を有するマトリックス形態に配置され、第2方向(Y)に沿って隣接する凹部153a同士を交互に配置することができる。これにより、隣接する3つの凹部153aのそれぞれの中心部は、三角形(TS)をなすことができる。また、複数の凹部153aのそれぞれは、2次元的にハニカム構造を有することができる。
【0089】
前記複数の凹部153aのそれぞれは、平坦化層140の前面を基準に、互いに同一の深さを有することができるが、複数の凹部153aの一部は、パターニング工程時に工程誤差により、異なる深さを有することができる。複数の凹部153aのそれぞれの底部は、絶縁層150のパターニング工程時、平坦化層140の前面の一部が凹部153aに直接に露出することを防止するために、平坦化層140の前面から0.1〜1マイクロメートルほど離隔される。すなわち、複数の凹部153aのそれぞれの底部153a1(底面部153b1)と平坦化層140の前面の間の厚さ(t1)は、0.1〜1マイクロメートルに設定することができる。
【0090】
万一、平坦化層140の前面の一部が凹部153aに直接に露出する場合には、平坦化層140の前面の一部がフィルム接着部材160と直接に接触することにより熱によって平坦化層140から放出されるアウトガスヒュームによってフィルム接着部材160の接着力が低下し得る。
【0091】
前記隔壁153bは、複数の凹部153aのそれぞれを囲むように設けられる。隔壁153bは、平面的に六角形状を有することができる。隔壁153bは、複数の凹部153a間の間隔(D1)によって先端構造または凸構造を有することができる。一例として、複数の凹部153a間の間隔(D1)と、複数の凹部153aのそれぞれの直径(D2)が同じである場合、隔壁153bは、先端構造を有することができる。他の例として、複数の凹部153a間の間隔(D1)が複数の凹部153aのそれぞれの直径(D2)よりも大きい場合、隔壁153bは、凸構造を有することができる。このように、隔壁153bの構造は、絶縁層150の表面積を増加させながら、光抽出効率を向上させることができる複数の凹部153a間の間隔(D1)と、複数の凹部153aのそれぞれの直径(D2)によって決定することができる。
【0092】
一例による隔壁153bは、複数の凹部153aのそれぞれによって設けられる底面部153b1、頂上部153b2および側面部153b3を含むことができ、この場合、隔壁153bは、凸構造を有することができ、例えば、隔壁153bは、ベル(bell)またはガウス曲線の断面構造を有することができる。
【0093】
前記底面部153b1は、平坦化層140に隣接する凹部153aの底面と定義することができる。すなわち、底面部153b1は、平坦化層140の前面から0.1〜1マイクロメートルほど離隔することができる。底面部153b1の直径(または幅)は、隔壁153bの高さと底面の直径を基に隔壁153bの縦横比によって設定することができる。
【0094】
前記頂上部153b2は、底面部153b1から設定された高さだけ離隔する。頂上部153b2は、隔壁153bの頂点と定義することができ、凸構造を有するか、図6に示すように、先の尖った構造を有することができる。
【0095】
前記側面部153b3は、底面部153b1と頂上部153b2の間に曲線形態で設けることができる。一例による側面部153b3は、中間部(IP)、中間部(IP)と底面部153b1の間の第1曲線部、及び中間部(IP)と頂上部153b2の間の第2曲線部を含むことができる。前記中間部(IP)は、図6に示すように凹面を含み、第1曲線部と第2曲線部の両方が凹面であり得る。選択的に、側面部153b3は凹面と凸面の両方を含むことができる。この場合には、中間部(IP)と底面部153b1の間の第1曲線部は凹面であり得、中間部(IP)と頂上部153b2の間の第2曲線部は凸面であり得る。このような構造の場合、中間部(IP)は、凹面と凸面の境界である変曲部(an inflection point)であり得る。これにより、変曲部を含む側面部153b3に入射する光の進行経路を凹面と凸面それぞれによって、様々な角度に変更することができ、これにより画素の光抽出効率が向上し得る。
【0096】
本例による絶縁層150は、フィルム接着部材160を媒介にして機能性フィルム170と結合する。ここで、フィルム接着部材160は、絶縁層150に設けられた非平坦面(または散乱面)153に接着することにより、フィルム接着部材160の接着面積が増加することによって、フィルム接着部材160と絶縁層150の間の接着力が増加し得る。
【0097】
このように、本例に係るタッチスクリーン一体型表示装置は、図1及び図2に示す表示装置と同様の効果を有しながら、絶縁層150に設けられた非平坦面153によってフィルム接着部材160と絶縁層150の間の接着力が増加し得、画素の光抽出効率を向上させることができる。
【0098】
図7は、比較例と本出願の例による単一有機膜のアウトガスヒューム特性を測定したグラフである。図7において、アウトガスヒューム特性は、分子吸着物質が添加されていない比較例の単一の有機膜(Sample 1)と分子吸着物質を5%以下添加した本出願の単一有機膜(Sample 2)それぞれを硬化させた後、2300度に再加熱中に発生する単位面積当たりのアウトガスヒュームの放出量を測定したものである。
【0099】
図7から分かるように、本出願の単一有機膜(Sample 2)のアウトガスヒュームの放出量は比較例の単一有機膜(Sample 1)に比べ20%程度減少することを確認することができる。
【0100】
したがって、本出願は、分子吸着物質を添加した有機物質を含む絶縁層を平坦化層とフィルム接着部材の間に介在することにより、熱により平坦化層から放出されるアウトガスヒュームによってフィルム接着部材の接着力が低下することを防止することができる。
【0101】
以上のように、本出願の例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、テレビ、ウオールペーパー(wall paper)、テレビ、モニター、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットコンピュータ、電子パッド、ウェアラブル機器(wearable device)、フォールダブル機器(foldable device)、ローラブル機器(rollable device)、ベンダブル機器(bendable device)、フレキシブルデバイス(flexible device)、カーブド機器(curved device)、スマートウォッチ、携帯情報機器、ナビゲーション、または車両制御ディスプレイ機器などに適用することができる。
【0102】
本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、次のように説明することができる。
【0103】
本出願の一例によるタッチスクリーン一体型表示装置は、基板上に設けられた画素アレイ層、画素アレイ層を囲む封止層、封止層上に設けられたタッチ電極層、タッチ電極層上に設けられた平坦化層、平坦化層上に設けられた絶縁層、及びフィルム接着部材を介して絶縁層に接着された機能性フィルムを含み、絶縁層は、分子吸着物質を含有することができる。
【0104】
本出願の一例による分子吸着物質は、水の分子を吸着することができる。
【0105】
本出願の一例による分子吸着物質は、平坦化層のアウトガスヒュームを吸着することができる。
【0106】
本出願の一例による分子吸着物質は、フッ素ベースの化合物を含むことができる。
【0107】
本出願の一例による絶縁層は、分子吸着物質を含有した有機物質を含み、分子吸着物質は、ナフィオン(Nafion)分子体を含むことができる。
【0108】
本出願の一例による絶縁層は、分子吸着物質を含有した有機物質を含み、絶縁層の有機物質は、アクリレート(acrylate)系またはシロキサン(siloxane)系を含むことができる。
【0109】
本出願の一例によるフィルム接着部材は、減圧接着剤、光学透明接着剤、または光学透明接着樹脂を含むことができる。
【0110】
本出願の一例による平坦化層は、ポリアクリレート樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)およびベンゾシクロブテン樹脂(benzocyclobutene resin)のいずれか一つを含むことができる。
【0111】
本出願の一例による機能性フィルムは、偏光フィルムを含むことができる。
【0112】
本出願の一例による絶縁層とフィルム接着部材の界面は、非平坦面であり得る。
【0113】
本出願の一例による絶縁層は散乱層を含み、フィルム接着部材は散乱層に接着することができる。
【0114】
本出願の一例による絶縁層は、分子吸着物質を含有するベース層およびベース層の表面に設けられたマイクロレンズパターンを有する非平坦面を含み、フィルム接着部材は、マイクロレンズパターンに接着することができる。
【0115】
本出願の一例による機能性フィルムは、偏光フィルムを含むことができる。上述した本出願の例で説明した特徴、構造、効果などは、本出願の少なくとも一つの例に含まれ、必ずしも一つの例のみに限定されるものではない。さらに、本出願の少なくとも一つの例で例示した特徴、構造、効果などは、本出願が属する分野の通常の知識を有する者によって他の例に対しても組み合わせ、または変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に関する内容は、本出願の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【0116】
以上で説明した本出願は、前述した一例及び添付の図に限定されるものではなく、本出願の技術的事項を逸脱しない範囲内で、複数の置換、変形及び変更が可能であることが、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかであろう。したがって、本出願の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0117】
100:基板
110:画素アレイ層
120:封止層
130:タッチ電極層
140:平坦化層
150:絶縁層
151:ベース層
153:非平坦面
160:フィルム接着部材
170:機能性フィルム
180:カバー接着部材
190:ウインドウカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7