(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791946
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】骨プレート
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
A61B17/80
【請求項の数】33
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-506249(P2018-506249)
(86)(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公表番号】特表2018-522672(P2018-522672A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】CH2015000117
(87)【国際公開番号】WO2017024416
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年5月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591073555
【氏名又は名称】アーオー テクノロジー アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビンドルフ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】エパリ,デバカラ
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ポールマン,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ネッツリ,クリストフ
【審査官】
北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0039033(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0243901(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01221308(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0222050(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0343350(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0063505(US,A1)
【文献】
国際公開第03/039384(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面(2)、上面(3)、下面および上面(2;3)の間で測定された厚さT、縦軸(4)、および下面(2)から上面(3)まで続く複数のプレート穴(5)を有する骨プレート(1)であって、骨プレート(1)は、下面(2)から上面(3)に向かって延在して下面(2)において縦軸(4)と平行に測定された幅Wを有するスロット(6)をさらに有し、
(i)スロット(6)は、骨プレート(1)の厚さTの0.4から0.9倍の、下面(2)から上面(3)まで測定された最大距離Dまで延在し、
(ii)スロット(6)はその最大伸長Eにおいて少なくとも0.1mmである、縦軸(4)と平行に測定された幅を有し、
(iii)スロット(6)は、プレート(1)が縦方向に−スロットなしプレート(1)の内在的曲げ性を除外して−最大5°まで曲がるようにする
ことを特徴とし、
(iv)下面(2)の長さは、幅Wが0に等しくなるように、骨プレート(1)の下面(2)においてスロット(6)の閉鎖時に最大1mm短くなる、
骨プレート(1)。
【請求項2】
スロット(6)が、0.1から1.3mmの範囲内の幅Wを有することを特徴とする、請求項1に記載の骨プレート(1)。
【請求項3】
骨プレート(1)が、骨プレート(1)の上面(3)に隣接する骨プレート(1)の上部部分にしっかりと接続された材料部(18)を備え、材料部(18)は下面(2)まで延在し、これによりスロット(6)を横切り、材料部(18)は、下面(2)から上面(3)に向かって延在して空隙Cを有する空洞(17)内に着座していることを特徴とする、請求項1または2に記載の骨プレート(1)。
【請求項4】
材料部(18)がボルト(16)であること、および空洞(17)が、ボルト(16)に対応する形状を有することを特徴とする、請求項3に記載の骨プレート(1)。
【請求項5】
スロット(6)の幅Wが0.20mmより大きいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項6】
スロット(6)の幅Wが0.35mmより小さいことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項7】
スロット(6)が、骨プレート(1)の下面(2)から垂直に測定して最低2mmの垂直高さにわたって幅Wを呈することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項8】
下面(2)が骨表面に接触するように設計されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項9】
骨プレート(1)が6mmから12mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項10】
骨プレート(1)が、8mmから10mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする、請求項9に記載の骨プレート(1)。
【請求項11】
骨プレート(1)が、4mmから7mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項12】
骨プレート(1)が、スロット(6)の位置の下面(2)で縦軸に対して垂直に測定された、14mmから22mmの範囲内の幅を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項13】
スロット(6)が、プレート(1)が縦方向に少なくとも1.0°まで曲がるようにすることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項14】
スロット(6)が、プレート(1)が縦方向に、−スロットなしプレート(1)の内在的曲げ性を除外して、−最大5°まで曲がるようにすることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項15】
骨プレート(1)の下面(2)からのずれを10mmから30mmとしてプレート(1)の縦軸(4)と基本的に平行に作用する、50から400Nの範囲内の力が、幅Wが0に等しくなるように骨プレート(1)の下面(2)においてスロット(6)を閉鎖するのに十分であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項16】
スロット(6)が「L」字の形状を有し、「L」の短い棒の自由端が幅Wを有して下面(2)内に向かって開放しており、「L」の長い方の末端が、縦軸(4)と基本的に平行に延びており、長さEを有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項17】
スロット(6)が「T」字の形状を有し、「T」の縦棒の自由端が幅Wを有して下面(2)内に向かって開放しており、「T」の2つの横棒が、縦軸(4)と基本的に平行に延びており、長さEを有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項18】
スロット(6)が、骨プレート(1)の縦断面で見ると湾曲形状を有し、湾曲形状は下面(2)から上面(3)に向かって拡大していることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項19】
スロット(6)が、骨プレート(1)の下面(2)に対する視点でΩ形状を有し、Ω形状は、骨プレート(1)の縦軸(4)の方向に延在する対称軸を有することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項20】
スロット(6)が、
(i)基本的にプレート厚さの方向に延びており、下面(2)内に向かって開放している、下部部分と、
(ii)縦軸(4)と基本的に平行に伸びており、上面(3)に対して閉鎖している、上部部分と、
を有することを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項21】
プレート厚さTおよびプレート幅が、スロット(6)からプレートの両端に向かって徐々に減少していることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項22】
複数のプレート穴(5)のうちの少なくとも1つが、所定の角度で角度安定係止ネジを受容するように構成されていることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項23】
複数のプレート穴(5)のうちの少なくとも1つが、可変角度係止ネジを受容するように構成されていることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項24】
プレート穴(5)が、異なる直径の骨ネジを受容するために異なるサイズを有することを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項25】
プレートの三次元形状が、特定の解剖学的適合に合わせて予備成形されていることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項26】
骨プレートが、縦方向に測定して互いに50mmよりも離れた2つのスロット(6)を有することを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項27】
骨プレートが、1つ以上のセンサを収容するために、プレート(1)の下面(2)から上面(3)に向かって延在するコンパートメントを有することを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の骨プレート。
【請求項28】
骨プレートが、1つ以上のアクチュエータを収容するため、放出制御された薬品を保管するため、またはカルス成長用の空間を提供するため、プレート(1)の下面(2)から上面(3)に向かって延在するコンパートメントを有することを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の骨プレート。
【請求項29】
スロット(6)の幅Wが基本的にスロット(6)の長さEに等しいことを特徴とする、請求項2から28のいずれか一項に記載の骨プレート。
【請求項30】
骨プレート(1)が、ツーピース構造で構成されていることを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項31】
ステンレス鋼、チタン、またはチタン合金で作られることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の骨プレート。
【請求項32】
骨折の治療用の、請求項1から31のいずれか一項に記載の骨プレート(1)。
【請求項33】
スロット(6)がキャビティシンキングEDMによって作り出されることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の骨プレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の骨プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
Tresconyらによる米国特許公開第2012/0277748号明細書より、骨プレートを縦方向に曲がるようにする多数のスロットを有する骨プレートが知られている。縦軸に沿って連続して配置された多数のスロット付き構造は、骨プレートに最大限の柔軟性を付与するが、プレートの安定性の低下をもたらす。
【0003】
解決すべき問題は、骨プレートのルースロック安定性を実現するように、比較的限られた柔軟性を有するような骨プレートのさらなる開発に見いだされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0277748号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2つの状態の特性を有する骨プレートに、最適な曲げ特性および解剖学的表面に対する適応性を付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の特徴を備える骨プレートを用いて、提起された問題を解決する。
【0007】
本発明による骨プレート内のスロットは、患者の機能負荷が低くても二次性骨治癒の促進のため骨折に柔軟性を付与すると同時に、スロットが閉鎖したときに破片間運動を好ましい範囲に制限する機能を有する。したがって、骨折刺激は機能負荷の規模とは大いに無関係になる。
【0008】
0.5mm(0.2から1mm)の破片間運動は、異なる破片サイズで良好な治癒結果をもたらすことが見いだされた(1、2、および6mmで破片の大部分をカバーする)。最適化されたスロット幅を有する本発明による骨プレートは骨折の過剰な刺激を回避し、これにより、肥大性遷延癒合および癒合不全などの治癒合併症をもたらす可能性がある。なお、技術的に、本発明による骨プレートの柔軟性、適合性、および幾何学的配置により、実際の破片間運動はスロット幅よりも高くなることは、特筆しなければならない。
【0009】
本発明による骨プレートのいくつかの利点は、以下の通りである:
・本発明による骨プレートは2つの状態の剛性挙動を呈する。二次性骨治癒を促進するため、プレートは、低機能負荷(柔軟状態)で必要とされる破片間運動を許容し、より高度な機能負荷(剛性状態)でスロットが閉鎖したときに前記運動を最大限に制限する。したがってプレートは、機能負荷の規模から大いに独立して、制御された運動を骨折に提供する。これにより、(i)機械的悪条件によって生じる治癒合併症は回避され、(ii)骨癒合までの平均時間が短縮される。
・過剰な剛性は骨治癒過程を害するので、従来の骨プレートは、断面積に関してそのサイズが制限されている。同様にこれは、しばしばプレート材料の過剰負荷およびインプラント機能不全を招く。外科医は、形成不全を回避するために手術直後の状況で患者荷重負荷を制限する傾向がある。しかしながら科学的知見は、迅速で堅固な骨折治癒のための初期荷重負荷の重要性を強調している。本発明によるプレートは、インプラントを強化して結果的に患者の全荷重負荷を許容するために、材料応力が最大となる箇所の断面積の増加を可能にする。同時に、これは必要とされる柔軟性を提供する。
・骨折の固定は、プレート本体の付近でしばしば治癒合併症をもたらす。プレートが屈曲すると、プレートまでの距離とともに機械的刺激が徐々に増加する。プレートのすぐ下では、発生する運動は骨折治癒を促進するには小さすぎる場合が多い。従来の骨プレートとは対照的に、本発明によるプレートは、上述の治癒合併症を回避するためそのすぐ近傍に機械的刺激を与える。
・従来のプレートで固定された骨折の破片間運動(IFM:Interfragmentary Motion)は、ネジ構成に大きく依存する。作業長さ(骨折をつなぐ最も内側のネジの間の距離)が短すぎると刺激が不足する可能性があり、その一方で作業長さが長すぎると過剰な刺激をもたらす可能性がある。したがって、固定技術は些細なものではなく、外科医の経験を必要とする。IFMは基本的に骨プレート内のスロットの幾何学形状によって制御されるので、本発明による骨プレートはこの手順を著しく簡素化させる。その結果、骨ネジの位置は、固定の柔軟性に関して重要ではなくなる。
【0010】
本発明のさらに有利な実施形態は、以下のように述べられる。
【0011】
特別な実施形態において、スロットは0.1から1.3mmの範囲、好ましくは0.2から0.3mmの範囲の幅Wを有する。
【0012】
さらなる実施形態において、骨プレートは、下面まで延在する骨プレートの上面に隣接する骨プレートの上部部分にしっかりと接続され、これによりスロットを横切る、材料部を備え、材料部は、下面から上面に向かって延在して空隙Cを有する空洞の内部に着座している。材料部はボルト、好ましくは1つ以上の円筒形部を備える円筒形ボルトであってもよく、空洞(17)は、好ましくは1つ以上の円筒形部を備える、ボルトに対応する形状を有してもよい。たとえば動作制限装置としての穿孔の中のボルトなど、第二の要素を使用すると、製造が簡素化され、より効率的になる。空隙およびこれによる最大移動は、穴とボルトの直径によって正確に調整可能である。骨プレートを曲げた状態で、ボルトは、ボルトと穿孔との間の接触が実現されたときにプレートたわみの制限装置として機能する。
【0013】
さらなる実施形態において、スロットの幅Wは0.20mmより大きく、好ましくは0.25mmより大きい。スロットの幅Wは0.35mmより小さく、好ましくは0.30mmより小さくてもよい。最も好ましくは、スロットの幅Wは0.2から0.3mmの範囲内である。スロットは、骨プレートの下面から垂直に測定して最低2mm、好ましくは最低3mmの垂直高さにわたって幅Wを呈してもよい。
【0014】
さらなる実施形態において、骨プレートの下面は骨表面に接触するように設計されている。
【0015】
骨プレートの厚さは6mmから12mmの範囲内であってもよい。好ましくは大腿骨上での使用において、好ましくは厚さは8mmから10mmの範囲内である。通常、厚さは9mmであってもよい。
【0016】
さらなる実施形態において、骨プレートの厚さは、好ましくは上腕骨または脛骨上での使用において、4mmから7mmの範囲内である。通常、この用途向けのプレートの厚さは6mmであってもよい。
【0017】
さらなる実施形態において、骨プレートは、スロットの位置の下面で縦軸に対して垂直に測定された、14mmから22mmの範囲内、好ましくは17mmから21mmの範囲内の幅を有する。通常、幅は19mmであってもよい。プレート幅を増加させることにより、断面積も相応に増加し、応力の低下を招く。患者の機能負荷の下でのステンレス鋼またはチタン合金などの標準的なインプラント材料から作られた特定の厚さおよび幅を有するプレート内の応力は、プレートにかかる全荷重で手術直後に総荷重負荷に耐えられる範囲内となる。これにより患者は、四肢の独立性および機能性を直ちに回復することができ、こうして仕事への復帰を加速し、早期の骨治癒を促進する。
【0018】
さらなる実施形態において、スロットは、プレートが縦方向に少なくとも1.0°まで、好ましくは少なくとも1.5°まで曲がるようにする。
【0019】
さらなる実施形態において、スロットは、プレートが縦方向に−スロットなしプレート(1)の内在的曲げ性に加えて−最大5°まで、好ましくは4°まで曲がるようにする。
【0020】
好ましくは、下面の長さは、幅Wが0に等しくなるように、骨プレート(1)の下面(2)においてスロット(6)の閉鎖時に最大1mm短くなる。
【0021】
さらなる実施形態において、骨プレートの下面からのずれを10mmから30mmとしてプレートの縦軸と基本的に平行に作用する、50から400Nの範囲内、好ましくは100から300Nの範囲内の力は、幅Wが0に等しくなるように骨プレートの下面においてスロットを閉鎖するのに十分である。
【0022】
さらなる実施形態において、骨プレートのスロットは「L」字の形状を有し、「L」の短い棒の自由端は幅Wを有して下面内に向かって開放しており、「L」の長い方の末端は、縦軸と基本的に平行に延びており、長さEを有する。
【0023】
さらなる実施形態において、骨プレートのスロットは「T」字の形状を有し、「T」の縦棒の自由端は幅Wを有して下面内に向かって開放しており、「T」の2つの横棒は、縦軸と基本的に平行に延びており、長さEを有する。
【0024】
さらなる実施形態において、スロットは、骨プレートの縦断面で見ると湾曲形状を有し、湾曲形状は下面から上面に向かって拡大している。これにより、スロットが閉鎖したときにねじれおよびせん断に対する抵抗を付与する。
【0025】
さらなる実施形態において、スロットは、骨プレートの下面に対する視点でΩ形状を有し、Ω形状は、骨プレートの縦軸の方向に延在する対称軸を有する。これにより、張力および外反方向の曲げに対する抵抗を付与する。
【0026】
さらなる実施形態において、骨プレートのスロットは、
(i)基本的にプレート厚さの方向に延びており、下面内に向かって開放している、下部部分と、
(ii)縦軸と基本的に平行に延びており、上面に対して閉鎖している、上部部分と、を有する。
【0027】
さらなる実施形態において、プレート厚さTおよびプレート幅は、スロットからプレートの両端に向かって徐々に減少している。これにより、プレートの最も荷重がかかる領域はスロットの位置にあるという事実がわかる。これは材料を追加することによって安定性が付与されなければならない場所であるが、その一方で荷重は末端に向かって減少している。これによりプレートの体積は、生物学的環境に対する影響を低減するために最小化されることが可能である。
【0028】
さらなる実施形態において、複数のプレート穴のうちの少なくとも1つは、所定の角度で角度安定係止ネジを受容するように構成されている。別の実施形態では、複数のプレート穴のうちの少なくとも1つは、可変角度係止ネジを受容するように構成されている。
【0029】
さらなる実施形態において、プレート穴は、異なる直径の骨ネジを受容するために異なるサイズを有する。これは、高機能負荷の下でのネジ破損を回避するための利点を提供し、大径ネジ(たとえば6mm)は骨折に近い部位(最大負荷曝露を伴うネジ位置)において特に有用であるが、その一方で標準径ネジ(たとえば5mm)は骨折から離れた場所において十分である。
【0030】
さらなる実施形態において、プレートの三次元形状は、特定の解剖学的適合に合わせて予備成形されている。
【0031】
さらなる実施形態において、骨プレートは、縦方向に測定して互いに50mmよりも離れた2つのスロットを有する。
【0032】
さらなる実施形態において、骨プレートは、好ましくは張力または変位量または荷重または圧力または温度を測定するための、1つ以上のセンサを収容するために、プレートの下面から上面に向かって延在するコンパートメントを有する。
【0033】
さらなる実施形態において、骨プレートは、1つ以上のアクチュエータを収容するため、制御放出用の薬品を保管するため、またはカルス成長用の空間を提供するため、プレートの下面から上面に向かって延在するコンパートメントを有する。
【0034】
さらなる実施形態において、スロットの幅Wは基本的に、スロットの長さEに等しい。
【0035】
さらなる実施形態において、骨プレートは、好ましくはスロットに隣接する領域で、ツーピース構造で構成されている。骨プレートのこの構成は、骨プレートに組み立てられる個別の部品によってスロットの1つの接触面を作り出すことにより、スロット幅が狭く複雑な幾何形状を有するスロットが実現可能であるという利点を可能にする。
【0036】
骨プレートは、ステンレス鋼、チタン、またはチタン合金で作られることが可能である。
【0037】
本発明による骨プレートは、骨折の治療に利用されることが可能である。
【0038】
本発明はまた、骨プレートのスロットがキャビティシンキングEDMによって作り出される、本発明による骨プレートの製造方法にも関する。
【0039】
以下、本発明のいくつかの特別な実施形態は、例示を用いて以下の添付図面を参照して、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明による骨プレートの一実施形態の斜視図である。
【
図2a】スロットの領域の、応力がかかっていない状態の、
図1の骨プレートの拡大縦断面図である。
【
図2b】骨プレートが曲がったときの
図2aの詳細Aの拡大図である。
【
図3】スロットが閉鎖するような応力下の、
図1の骨プレートの斜視図である。
【
図4】本発明による骨プレートの別の実施形態の斜視図である。
【
図5】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のすぐ下からの斜視図である。
【
図9】
図5の骨プレートの一部のすぐ下からの斜視図である。
【
図10】本発明による骨プレートのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図11】本発明による骨プレートの再びさらなる実施形態のすぐ下からの斜視図である。
【
図12】本発明による骨プレートのさらに別の実施形態のすぐ下からの斜視図である。
【
図13】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のすぐ下からの斜視図である。
【
図14】さらなる実施形態による骨プレートの一部の側面図である。
【
図15a】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のスロットプロファイルを示す概略図である。
【
図15b】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のスロットプロファイルを示す概略図である。
【
図15c】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のスロットプロファイルを示す概略図である。
【
図15d】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のスロットプロファイルを示す概略図である。
【
図15e】本発明による骨プレートのさらなる実施形態のスロットプロファイルを示す概略図である。
【
図16】本発明による骨プレートのさらに別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から
図3は、縦軸4、骨表面と接触するように設計された下面2、上面3、および下面2から上面3まで骨プレート1を貫通する複数のプレート穴5を備える、本発明による骨プレート1の一実施形態を示す。骨プレート1は、下面および上面2、3の間で測定された厚さTを有し、下面2から上面3に向かって測定された最大距離Dまで下面2から上面3に延在する少なくとも1つのスロット6を含む。
【0042】
限定的ではなく例示的に、スロット6は、縦軸4に対して直角に配置された2つの平面的な側面11a、11b(
図2a)と、骨プレート1の上面3に向かって配向された平面的な上側面12と、を備える。スロット6は、骨プレート1の縦方向中間部分に位置しており、骨プレート1の厚さTの約0.4から0.9倍の最大寸法Dを有する。スロット6のため、骨プレート1が3つの縦部分、すなわちスロット6の領域内の柔軟部分10、およびその各々が骨プレート1の一方の外側端まで延在する2つの剛性部分9a、9bに分割されるように、骨プレート1の曲げ剛性(曲げ硬さとも称される)はスロット6の領域において著しく減少する。プレート穴5を通じて延在して骨片内に固定される骨固定具が骨プレート1の剛性部分9a、9b内に配置されるように、プレート穴5は剛性部分9a、9b内に位置している。したがって、患者の体重または患者によって印加される力によって骨プレート1に対して作用する荷重は、骨プレート1の剛性部分9a、9bに印加される。
【0043】
スロット6は、骨プレート1の縦軸4と平行な下面2で測定された幅Wがスロット6の最大伸長Eと一致するように、一定の幅で骨プレート1全体にわたって延在する。柔軟部分10において、骨プレート1は、スロット6の上側面12および骨プレート1の上面3によって垂直方向に制限された、梁型の架橋部分7(
図2a)として形成されている。縦軸4の方向に、架橋部分7は、−
図1から
図3の実施形態において−スロット6の幅Wと一致する、スロット6の最大伸長Eにわたって延在する。
【0044】
骨プレート1の剛性部分9a、9bと比較して小さい架橋部分7の曲げ剛性により、骨プレート1はまず柔軟部分10において曲がる。このようにして印加された曲げ荷重の下で、圧縮力および張力は縦軸4の方向に発生し、これにより骨プレート1に対する応力を誘発する。印加された曲げ荷重に起因する曲げモーメントの影響でスロット6を閉鎖する傾向にある場合、最大圧縮応力はスロット6の上側面12に見いだされ、その一方で最大引張応力は上面3に見いだされる。反対の応力を有する2つの部分の間には、曲げ応力のない中立軸8(
図2b)がある。
【0045】
Euler−Bernoulliの曲げ理論によれば、中立軸8の曲率は曲げモーメントに比例して曲げ剛性(曲げ硬さ)に反比例するが、ここで曲げ剛性はE×Iの積として定義され、Eは弾性率またはヤング率とも称されるものであり、Iは架橋部分7の断面二次モーメントである。中立軸8のたわみが小さい場合には、曲率は位置x(
図2b)における中立軸8のたわみの二次導関数と考えられる。曲線z(x)は、いずれかの位置xにおけるz方向の中立軸7のたわみを描く。したがって、曲率の第一積分である中立軸8の傾斜角a(x)ならびにたわみz(x)はさらに構造の長さに依存し、すなわちスロット6の幅に依存する。縦軸4に対して基本的に直角に上面3に対して印加される荷重の下で骨プレート1が曲がるとき、スロット6は細くなり、最終的に閉鎖する(
図3)。スロット6の狭窄および閉鎖のため、架橋部分7のたわみz(x=W)が関連するだけであり、骨プレート1の剛性部分9a、9bの最終的な曲げ変形は無視されてよい。
【0046】
骨プレート1の柔軟状態から剛性状態への推移は、スロット6が閉鎖したときに発生し、したがって上述のように、曲げモーメント、架橋部分7の曲げ剛性、および骨プレート1の縦軸4の方向で測定されたその長さの関数である、架橋部分7のたわみz(x=W)に依存する。するとスロット6が閉鎖したときに到達するたわみz(x=W)は、骨片の可能な運動を決定する。
【0047】
しかしながら、最大許容たわみz(x=W)は、曲げモーメントによって誘発される最大応力、すなわち骨プレート1の上面3における最大引張応力またはスロット6の上側面12における最大圧縮応力に、依存する。したがって、許容たわみz(x=W)のもう1つの制限は、骨プレート1の架橋部分7に生じる最大応力が骨プレート材料の降伏応力を超えてはならないということである。
【0048】
図14および
図15aに示されるように、スロット6は「T」字の形状で構成可能であり、「T」の縦棒の自由端は幅Wを有して下面2内に向かって開放しており、「T」の2本の横棒は湾曲して、縦軸4と平行に測定されたスロット6の幅の最大伸長Eまで骨プレート1の縦軸4の方向に延在する。
【0049】
スロット6の上側面12は、この場合は架橋部分7の長さが最大伸長Eに対応するように、「T」の2本の横棒に沿って延在する。架橋部分7のたわみz(x=E)は、曲げモーメントを介して架橋部分7に対して生じる応力よりも架橋部分7の長さに大きく依存するので、骨プレート1の柔軟部分の構成は、スロット6を閉鎖するために必要とされる所望のたわみに関して、ならびに架橋部分7に生じる最大応力に関して、最適化されることが可能である。さらに、「T」の2本の横棒の湾曲構成のため、スロット6の上側面12と骨プレート1の上面3との間で測定される架橋部分7の高さは、架橋部分7の縦方向中央平面内の最小高さから、架橋部分7から骨プレート1の剛性部分9a、9bまでの切り替えにおける最大高さまで、架橋部分7の長さに沿って変化する。位置xにおける架橋部分7の曲げ剛性は、架橋部分7が可変曲げ剛性を有して構成可能なように、位置xにおける架橋部分7の高さに依存するが、曲げ剛性の変動は、架橋部分7における応力分布を特に最適化するようになっている。
【0050】
「L」の短い棒の自由端が幅Wを有して下面2内に向かって開放しており、「L」の長い棒が縦軸4と基本的に平行に延在してスロット6の幅の最大伸長Eを提供する、「L」字の形状を有するスロット6の構成によっても、類似の効果が実現可能である(
図15bおよび
図15e参照)。
【0051】
図15cに示されるスロット6の構成は、曲げ剛性の特定の変化による架橋部分7の応力分布の最適化を可能にし、同時にスロット6を閉鎖するために必要とされる所望のたわみに関して、ならびに上述のような架橋部分7に生じる最大応力に関して、骨プレート1の柔軟部分の最適化も可能にする。
【0052】
図15dに示されるスロット6の構成は、スロット6を閉鎖するために必要とされる所望のたわみに関して、ならびに上述のような架橋部分7に生じる最大応力に関して、骨プレート1の柔軟部分の最適化を可能にする。スロット6は、骨プレート1の縦断面で見ると湾曲形状を有しており、湾曲形状は下面2から上面3に向かって拡大している。さらに、その最大伸長Eにおいてスロット6を制限する丸みを帯びた縁のため、鋭い縁によるピーク応力は回避されることが可能である。
【0053】
必要とされる架橋部分7のたわみに応じて、ならびに印加される荷重によって架橋部分7に誘発される最大許容応力を考慮すると、スロット6の好ましいサイズは以下の通りとなる。
・下面2において測定され縦軸4と平行な幅Wは、0.1から1mmの範囲内、好ましくは0.2から0.3mmの範囲内であり、
・スロットの垂直高さは骨プレート1の下面2から垂直に測定して最低2mmである。
【0054】
スロット6の上記寸法は、スロットなしプレート1の内在的曲げ性を除外して、骨プレート1の曲げ角度を最大5°、好ましくは最大4°に制限するように、少なくとも1.0°、好ましくは少なくとも1.5°の傾斜角a(x=E)を許容する。さらに、骨プレート1の曲げ角度は、骨プレート1の下面2におけるスロット6の閉鎖時に下面2の長さが最大1mm短くなるように、制限されることが可能である。骨プレート1の縦軸4と基本的に平行に作用し、骨プレート1の下面2から10mmから30mmのずれを有する、50から400Nの範囲内、好ましくは100から300Nの範囲内の力は、骨プレート1の下面2においてスロット6を閉鎖するのに十分である。
【0055】
図4は本発明による骨プレート1の別の実施形態を示しており、スロット6は、骨プレート1の下面2と上面3との間に3つの部分を有している。下部部分は下面2から上面2に向かって延在し、これと垂直に隣接して中央部分が配置され、上部部分は中央部分から骨プレート1の上面3に向かって延在している。下部部分において、スロット6は、骨プレート1の下面2に対する視点でΩの形状に沿って、骨プレート1を横切って延在する。この下部部分では、スロット6は、縦軸4に沿って骨プレート1の剛性部分9bのうちの1つから突起し、拡大した自由端を有する、鼻状部13を形成する。骨プレート1の他方の剛性部分9aの隣接する末端は、包囲部14に対する鼻状部13の運動が骨プレート1の縦軸4に沿った両方向に制限されるように鼻状部13を受容する包囲部14を形成するように、凹状に形成される。骨プレート1が変形されていない状態で、スロット6は、下面2から測定された幅Wを有して鼻状部13と包囲部14との間に延在する。包囲部14は、架橋部分7の曲げが両方向に、すなわち最大張力が上面3に生じる第一の方向と、張力および外反方向の曲げに対する抵抗を付与するように最大圧縮力が上面3に生じる第二の方向とに制限されるように、下面2に対する視点で180°を超えて鼻状部13を包囲している。中央部分は骨プレート1にわたって一定の断面を有し、骨プレート1の縦断面において測定された幅は上部部分に向かって増加している。スロット6の上部部分は、骨プレート1の縦軸4の方向に延在し、2本の湾曲した横棒を形成する。
図14の「T」字型スロット6と同様に、2本の棒は、縦軸4と平行に測定されたスロット6の幅の最大伸長Eまで、骨プレート1の縦軸4の方向に延在する。
【0056】
図5から
図9は、
図4の実施形態と同様に、スロット6が骨プレート1の下面2と上面3との間に3つの部分を有する、本発明による骨プレート1のさらなる実施形態を示す。下部部分は下面2から上面2に向かって延在し、これと垂直に隣接して中央部分が配置され、上部部分は中央部分から骨プレート1の上面3に向かって延在している。スロット6の構成は、スロット6の下部部分が骨プレート1の下面2に対する視点で骨プレート1を横切って直線的に延在する点においてのみ、
図4のスロット6と異なっている。
【0057】
図7および
図8において最もわかりやすいように、骨プレート1の厚さおよびプレート幅は、スロット6から骨プレート1の末端に向かって徐々に減少している。骨プレート1の適切な寸法は、例示的に(ただし限定的ではなく)、6mmから12mmの範囲内の厚さおよび下面2において縦軸4に対して直角に測定された14mから22mmの範囲内の幅である。大腿骨への骨プレート1の適用のため、厚さは好ましくは8mmから10mmの範囲内であり、通常は9mmになる。
【0058】
プレート穴5は、可変角度穴として構成可能である。あるいは、プレート穴5のうちの1つ以上は、所定の角度で角度安定係止ネジを受容するように構成されることが可能である。この目的のため、1つ以上のプレート穴5は円錐形であってもよく、あるいは円錐形内部ネジ山を備えてもよい。限定的ではなく例示的に、骨プレート1の三次元形状は、特定の解剖学的適合に合わせて予備成形されている。
【0059】
さらに、代替実施形態において、骨プレート1は、骨プレート1の縦軸4と平行に測定されて50mmよりも離間した、2つのスロット6を備えることができる。
【0060】
図10に示される本発明による骨プレート1の実施形態は、遠位大腿骨、近位上腕骨、または遠位/近位脛骨などの骨幹端骨折に適用されるよう構成されており、骨プレート1の1つの剛性部分9bがスプーン型であること、およびスロット6がスプーン型剛性部分9bの近くに配置されることのみにおいて、
図5から
図9の実施形態と異なっている。さらに、スプーン型剛性部分9b内のプレート穴5は、骨プレート1上で末端に配置された拡大部分に配置されており、その一方で他方の剛性部分9a内のプレート穴5は、骨プレート1の縦軸4に沿って配置され、互いに均等に離間している。上腕骨または脛骨への骨プレート1の特定の適用のため、厚さは4mmから7mmの範囲内であり、通常は6mmになる。
【0061】
図11は、スロット1が一旦閉鎖すると骨プレート1のねじれ剛性が著しく増加するように、スロット6が骨プレート1の下面2に対する視点で骨プレート1を横切って湾曲して延在する点においてのみ
図5から
図9の実施形態と異なる、本発明による骨プレート1のさらなる実施形態を示す。
【0062】
本発明による骨プレート1のさらなる実施形態は
図12にも示されており、この実施形態は、骨プレート1の柔軟部分10が下面2から上面3に向かって延在するコンパートメント15を備える点においてのみ、
図5から
図9の実施形態と異なっている。コンパートメント15は骨プレート1の下面2において開放しており、各剛性部分9a、9bから縦方向に対向する各対の鼻状片の隣り合う端面の間に配置されたスロット6に向かって延在する2つの縦方向鼻状片によって形成される。コンパートメント15は、好ましくは張力、変位量、荷重または圧力または温度を測定するための、1つ以上のセンサ(図示せず)を収容するのに適している。あるいは、または付加的に、コンパートメント15は、インプラントの機械的特性を変更するため、または制御放出用の薬品を保管するため、またはカルス成長用の空間を提供するため、1つ以上のアクチュエータを収容するのに適している。
【0063】
図13は、骨プレート1の架橋部分7にしっかりと接続された円筒形のボルト16を備える、本発明による骨プレート1の一実施形態を示す。スロット6は、
図15bと類似のL字形状を有する。「L」の短い棒の自由端は幅Wを有して下面2内に向かって開放しており、「L」の長い棒は湾曲して縦軸4の方向に延在し、スロット6の幅の最大伸長Eを提供する。縦方向へのスロット6の伸長により、低荷重量で骨プレート1の曲げ強度を低減できるようにする。ボルト16は、骨プレート1の下面2まで延在し、L字型スロット6の長い棒と交差する。L字型スロット6の長い横棒の下では、縦方向鼻状片が剛性部分9aからスロット6に向かって延在しており、この鼻状片は、骨プレート1の下面2から上面3に向かって延在してL字型スロット6の長い横棒まで続く空洞17を備える。空洞17は、限定的ではなく例示的に、ボルト16が−骨プレート1が変形されていない状態で−空隙Cを有して空洞17内に同軸配置されるように、ボルト16よりも大きい直径を有する穿孔として構成される。骨プレート1が曲がった状態で、ボルト16は、ボルト16と空洞17、すなわち穿孔との間の接触が実現されたときにプレートたわみの制限装置として機能する。このため、
図4の実施形態と同様に、架橋部分7の曲げは両方向に、すなわち最大張力が上面3に生じる第一の方向と、外反方向の曲げに対する抵抗も付与するように最大圧縮力が上面3に生じる第二の方向とに、制限される。さらに、ボルト/空洞構成は骨折部位にルースロック安定性を付与するが、これは骨治癒にとって有益である。ボルト16は、骨プレート1の上面3に隣接する骨プレート1の上部部分を形成する架橋部分7にしっかりと接続された、材料部18を形成する。
【0064】
図16は、縦軸4に沿って骨プレート1の剛性部分9bのうちの1つから突起している鼻状部13が、それぞれの剛性部分9bの陥凹20内に導入されて骨プレート1に固定されるインサート19として構成される点においてのみ
図4の実施形態と異なる、本発明による骨プレート1の別の実施形態を示す。したがって、
図16の骨プレート1の実施形態は、2つの個別部品から実現されている。さらに、スロット6の幅よりも広い間隙幅を有するスロット6の下部部分の範囲内で2つの剛性部分9a、9bの間に、間隙21が形成可能である。
【0065】
本発明はその具体的実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替例、修正例、および変形例が当業者の目に明らかとなることは、自明である。したがって、添付請求項の範囲に含まれるこのような代替例、修正例、および変形例のすべてを包含するよう意図される。
【0066】
明確さのため個別の実施形態の状況で説明された本発明の特定の特徴が、単一の実施形態で組み合わせられてもよいことは、理解される。反対に、簡略化のため単一の実施形態の状況で説明された本発明の様々な特徴は、個別に、またはいずれか適切なサブコンビネーションで、または本発明のその他の記載された実施形態において適宜に、提供されてもよい。様々な実施形態の状況で説明された特定の特徴は、その要素がなければ実施形態が機能しない場合を除き、これらの実施形態に必須の特徴とは見なされない。