(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1のホットランナ(100、200、300、400)であって、該作動プレート(104、204、304、404)は、該第1及び第2ピストン(106、206、306、406)を収容するように構成されたピストンボア(226)を画成する、ホットランナ。
請求項2のホットランナ(100、200、300、400)であって、該作動プレートはリテーナプレート(107、207、307、407)を含み、該第1及び第2ピストン(106、206、306、406)が該ピストンボア(226)内に配置されて該開位置の方向に付勢されている時、該第1及び第2ピストンは、通常運転の際に該リテーナプレート(107、207、307、407)に対し押圧される、ホットランナ。
請求項1のホットランナであって、該作動プレートは、該第1及び第2ピストン(106、206、306、406)に該加圧空気(A)を送る1つ以上の空気チャンネル(108、308、408)をさらに含む、ホットランナ。
請求項1のホットランナ(100、200、300、400)であって、該作動プレートは、リテーナプレート(107、207、307、407)を含み、該第1バルブステムが閉位置にて動けなくなり、かつ該作動プレートが動き続けている際に該第1ピストンが静止している時に、該第2ピストン(106、206、306、406)は、該リテーナプレート(107、207、307、407)に対して押圧される、ホットランナ。
請求項6のホットランナ(100、200、300、400)であって、該チャンバ(341)は該作動プレート(104、204、304、404)に形成されている、ホットランナ。
請求項6のホットランナ(100、200、300、400)であって、該第1ピストン(340、440)は、該チャンバ(341、441)内に配置されている、ホットランナ。
請求項1のホットランナ(100、200、300、400)であって、該第1バルブステムとは反対側の方向に延在するハウジング(446)内の第2チャンバ(441)内に配置され、該第1バルブステム(102、202、302、402)及び該第1ピストン(406)に結合された更なるピストン(440)をさらに含み、該更なるピストンは、該加圧空気により閉位置の方向に付勢されていて通常運転の際には該第1ピストン及び該第1バルブステムとともに移動する、ホットランナ。
請求項9のホットランナであって、該第1バルブステム(102、202、302、402)が障害(311、411)に遭遇した場合、該第1ピストンは該ハウジングを該閉位置の方向に牽引し、該更なるピストンに作用している該加圧空気が圧縮され、該第1バルブステムは静止状態に留まる、ホットランナ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
射出成形機は、プラステック成形部材の製造に使用される。典型的には、そのような射出成型機は、また溶融物と称される溶融された成形材料をノズルに送るマニホルドを含み、次いで該ノズルは溶融物を個々のモールドキャビティに送る。あるホットランナにノズルは、ノズルの末端でゲートを開閉するために前後に往復運動するバルブステムを含む。
【0009】
あるシステムにおいては、バルブステムは個々に作動されることができるが、同時にすべてのバルブステムを一斉に作動させることが有利である。そのようなシステムでは、バルブステムを動けすため前後に往復運動をさせる作動プレートにバルブステムが取り付けられている。同時作動の場合において、もし一つのバルブステムが作動しなくなった場合(例えば、閉位置で動けなってしまった場合)、問題を解決するために射出成型機を停止させなければならない。一方、個別作動の場合において、もし一つのバルブステムが作動しなくなった場合、該一つのバルブステムを作動させることはできないが、その他のバルブステムは引き続き作動させることができる。
【0010】
ある既知の同時作動システムには、バルブステムの1つが動けなくなっても、射出成形機が作動し続けることができるように構成されている。例えば、バルブステムが閉位置において動けなくなってしまった場合、開位置に向かうプレートの移動によりバルブステムが破損するように、バルブステムを破損させたり、切断したりするように構成されている。そのような構成が米国特許8,282,870号に示され記載されており、その内容は全て引用により本願に含まれる。他の例としては、バルブステムは、バネを介してプレートに機械的に結合されていて、バルブステムが閉位置で動けなくなりプレートが開位置に向けて移動する場合、バルブステムを開位置に押し込み(例えば、射出サイクルが終わった時に)、押し縮めるように構成されている。そのような構成が米国特許7,210,922号に示され記載されており、その内容全体が引用により本願に含まれる。さらに別の例として、バルブステムが磁気的に作動プレートに結合されており、バルブステムが動けなくなった場合にプレートから分離するように構成されている。しかし、このような既知のシステムは、すべての面において満足する解決方法を提供するものではない。
【0011】
本出願人は、空気バネとして作用する加圧空気を用いてバルブステムと作動プレートの一部との接触を維持することで、様々な利点を奏することを実現させた。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のバルブステムが閉位置で動けなくなった場合でもホットランナを継続して動作させることができる。いくつかの実施形態では、加圧空気を使ってバルブステムと作動プレートの一部との間の接触を維持することで、バルブステムが開位置と閉位置間の往復移動を行っている際に閉位置において動けなくなってしまったり、および/または支障が生じてしまったり(例えば、成型キャビティにおいて)した場合であってもバルブステムを保護することができる。そのような目的のために、本明細書に開示する実施形態は、プレート作動時に加圧空気を使ってバルブステムを作動プレートの一部、例えば作動プレートの背後に位置するリテーナプレートに対して保持するホットランナを備えている。空気バネ結合の他の技術的効果としては、ホットランナの起動の簡略化である。起動時には、成形プロセスの開始の前に、プレート作動部のキャリブレーションをしておく必要がある。キャリブレーションは、作動部を数回行き来させてバルブステムを閉位置と開位置間で再配置することで行われる。空気バネ結合により、キャリブレーションをホットランナが冷温状態でも高温状態でも行うことができる。具体的には、空気バネへの空気の供給が停止すると、オペレータが低温状態でも高温状態でもキャリブレートすることができるので、便利である。高温時に空気が停止すると、バルブステムは作動プレートがキャリブレーションされている間閉位置に保たれる。上記の利点としては、バルブステムが閉じた状態のままなので、キャビティに流れ込むドローリングのリスクを減少させることができ、それによってプロセスの開始前にキャビティから凝固したドロール(drool)を取り除くためのオペレータへの追加的要件を緩和することができ、それによって時間を節約することができる。
【0012】
かかる目的のため、バルブステムを作動プレートの一部に対して保持するということは、プレート作動中にバルブステム(またはその延長部)が作動プレートの一部に対して押圧されている、または、作動プレートの一部に対して所定の位置に付勢されていることを意味している。加圧空気源が止まると、バルブステムが作動プレートの一部に対して押圧されなくなることは理解されよう。いくつかの実施形態では、バルブステムは作動プレートに直接的に接触させることができる。いくつかの実施形態では、バルブステムは作動プレートに間接的に(例えば、ピストンを介して)接触させることができる。バルブステムは作動プレートに対して上方向に(即ち、開位置の方向に)押圧されることができる。いくつかの実施形態では、バルブステムを作動プレートの一部に保持するということは、プレート作動時にバルブステムの位置が作動プレートの位置に対して維持されるということを意味している。
【0013】
一態様によれば、ホットランナは、バルブステムを作動プレートの一部(例えば、リテーナプレートに対して)に対して保持する空気ピストンを含む。即ち、各バルブステムは、空気ピストンに結合され、加圧空気Aが作動プレートの一部に対してピストンを保持することができる。バルブステムは、ピストンに対して任意の適切な方法で結合され得る(例えば、ねじ、磁石、スロット結合、など)ことは理解されよう。また、ピストンは、加圧空気が止まると、作動プレートの一部に対して保持されなくなることは理解されよう。バルブステムが対応する空気ピストンに印加された加圧空気により作動プレートの一部(例えば、リテーナプレート)に対して保持されている開位置のホットランナの一例を、下記により詳細に述べられる、
図1Aに例示されている。このような態様で、加圧空気は空気バネとして作用する。
【0014】
いくつかの実施形態では、加圧空気は空気ピストンに印加される力を生成する。いくつかの実施形態では、空気ピストンに閾値空気圧が印加される。この目的のため、閾値空気圧とは、ホットランナの通常(例えば、途切れない)運転において作動プレート(例えば、リテーナプレート)に対して空気ピストンを保持することができる閾値力を生じるのに十分な空気圧を含むことができる。即ち、バルブステムが開位置および閉位置間で往復移動する時に、閾値力はピストンと作動プレートの一部との間の接触を維持する。いくつかの実施形態では、閾値空気圧は約100および150psiであるが、他の適切な圧力を使用することができる。いくつかの実施形態では、作動プレートに形成された空気供給回路の空気圧チャンネルを介して空気ピストンの下側(例えば、下流側)に閾値空気圧が印加される。即ち、空気ピストンのクランプ側に圧力が印加されることができる。いくつかの実施形態では、ピストンの下側において空気圧を維持するためシールが使用される。
【0015】
図1Bに示すように、作動プレートは閉位置に向けて(例えば、ゲートに向けて)移動し、バルブステムによりモールドキャビティへのホットメルトの流れを遮断している。いくつかの実施形態では、作動プレートと、関連するリテーナプレートは空気ピストンを押して、空気ピストンとバルブステムをゲートまで動けす。作動プレートが閉位置に向けて動く間、閾値力は空気ピストンをリテーナプレートに対して保持することは理解されよう。いくつかの実施形態では、バルブステムが開位置と閉位置の間で移動する距離(また、ストローク距離Lとも称す、
図1A参照)は約15mmである。
【0016】
射出サイクルが終わると、作動プレートは開位置に戻る。キャビティでの支障がない(例えば、中断されない射出サイクル)実施形態では、バルブステムは作動プレートによる作動を介して閉位置と開位置間を自由に動くことができる。そのような状況では、閾値力はピストンを作動プレートに対して保持し、作動プレートがゲートからバルブステムを牽引することができるようにする。即ち、閾値力は、ゲートにおいてバルブステムに作用する如何なる保持力(例えば、モールドの冷めた溶融物または他の障害によって発生する、バルブステムがゲートから移動するのを妨害する力)より大きい。
【0017】
しかし、
図1Cに示すように、時に1つ以上のバルブステムが閉位置にて動けなくなる(例えば、ゲートにおいて動けなくなる)場合がある。そのような場合、空気ピストンに印加される閾値力(即ち、空気ピストンの下側に印加される加圧空気)は、ピストンを作動プレート/リテーナプレートを保持したり、ゲートからバルブステムを牽引するのには十分ではなくなる。即ち、閾値力は、ゲートにおいてバルブステムに作用する保持力より小さくなる。
【0018】
バルブステムがゲートで動けなくなった場合、作動プレートが開放位置に移動する間、対応する動けなくなったピストンが、作動プレートの一部(例えばリテーナプレート)から離れる。本明細書では、作動プレートの一部から離れるとは、加圧空気Aが作動プレートの一部(例えば、リテーナプレート)に対してピストンを押圧していなくなることを意味し得る。即ち、動けなくなったピストンは、作動プレートの移動と共に移動しなくなる(例えば、動けなくなったピストンは、開位置と閉位置間で往復移動しない)。代わりに、作動プレートは、対応する動けなくなったバルブステムと関連するピストンに対して動く。下記により詳細に説明するが、動けなくなったピストンは作動プレートの一部から離れても、動けなくなったピストンが作動プレート内に(例えば、作動プレートのピストンボア内に)まだ残っていてもよい。
【0019】
1つ以上のバルブステムがゲートにおいて動けなくなっても(例えば、一つ以上のモールドキャビティに不良が生じた場合)、ホットランナは動けるピストンとバルブステムを開位置および閉位置間で動けし続ける構成でもよい。そのような状況において、加圧空気が動けるバルブステムに印加する閾値力は、プレートの作動時に動けるバルブステムを作動プレートの一部に対して保持するのにまだ十分である。動けなくなったバルブステムとそれに関連する空気ピストンは、前後に動いている作動プレートに対して静止位置にありつづけることは理解されよう。例えば、作動プレートは空気ピストンを収容するピストンボアを備えていてもよい。作動プレートが往復移動をする際に、空気ピストンは、動けなくなったバルブステムにより保持されて、ピストンボア内で静止しつづける。動けなくなったピストンが作動プレートから分離され、作動プレートに対し静止し続ける実施形態では、空気ピストン下の加圧空気は単純に圧縮されることは理解されよう。
【0020】
1つ以上のキャビティに問題が生じた場合(即ち、1つ以上のバルブステムが閉位置にて動けなくなった場合)、システムを止めて修理してもよいことは、さらに理解されよう。そのような状況において、本機が止まり、加圧空気供給が止まったら、ピストンを作動プレートから分離し、修理のため取り外す構成であってもよい。
【0021】
図を参照すると、
図1A〜1Cに一態様によるホットランナ100の一例を示す。
図1Aに示すように、射出サイクルの開始時に作動プレート104が開位置にある時、バルブステム102の両方が、加圧空気Aにより作動プレートの一部に対して押圧される。そのような一実施形態において、バルブステム102は、ピストン106に結合され、加圧空気Aは、作動プレート104の背後においてピストンを上方に(矢印表示されたUを参照)リテーナプレート107に対して保持(付勢)する。加圧空気Aは、作動プレート104に形成された空気供給回路の空気チャンネル108を介して移動する。また、ホットランナ100は、とりわけ、スプルーブッシング(図示せず)からノズル(図示せず)にホットメルトを送り込むマニホルド110、マニホルド支持プレート112、および支持プレート114を含む。
【0022】
図1Bに、作動プレートがストローク長さL(
図1A参照)を進み、バルブステムがゲート105を閉じた(ノズルは図示せず)後の閉位置の作動プレート104を示す。
図1A同様に、バルブステムは、ピストンに作用している加圧空気Aによりリテーナプレート107に対してまだ押圧されている。
【0023】
図1Cに、再び開位置にある作動プレート104を図示するが、本実施形態では、バルブステム102sの1つがゲート105で動けなくなっている。そのような実施形態では、ゲートにてバルブステムに印加される保持力は、上向きにリテーナプレート107に対してバルブステム102s/ピストン106sを押圧する閾値力より大きい。本図に示すように、対応する動けなくなった空気ピストン106sは、動けなくなったバルブステム102sに結合されており、リテーナプレート107にはもう押圧されておらず(例えば、ピストン106sとリテーナプレート107間の空間Oを参照)、作動プレート104の動きと共に動くことはない。一方、動けるバルブステム102は、その対応するピストン106を介してまだリテーナプレート107に押圧されており、作動プレート104と共に開位置に移動する。
【0024】
図1Aにおいて、2つのバルブステム102が作動プレート104に対して押圧されているが(例えば、リテーナプレートに対して押圧されている2つの対応する空気ピストンを介して)、ホットランナは、1つ以上のバルブステム102を備えた構成であってもよいことは理解されよう。例えば、作動プレートの底面(下側)図である
図2に示すように、作動プレート104は、48本のバルブステムと対応するピストンを収容するように構成することができる。即ち、作動プレート104は、1つ以上のドロップ116(例えば、
図2に示す48のドロップ)を有する構成であってもよく、そこでは空気ピストンが作動プレート104に対して保持されている(
図1を参照)。他のシステムでは、ドロップの数は多くても少なくてもよく、例えば、24、72、96、それ以上を含むことができる。また、本明細書に記載の態様ではバルブステムを上向きに動けしてゲートを開けるものを述べているが、作動システムはこれに限らず、バルブステムは上向きに動いてゲートを閉めることができる。その場合、加圧空気はピストンの上側に供給され得ることは当業者には容易に理解されよう。
【0025】
図3に示すように、ピストン206は、リテーナプレート207に接触して保持されることができる。いくつかの実施形態では、当業者には明らかなように、シール209を使用してピストンの下側のシリンダ/ボア内の空気圧Aを維持している。後述するように、上記シリンダは作動プレート204に形成された空気ピストンボア226であり得る。ホットランナ200が通常に作動する実施形態では、シール(複数)209は、例えばO−リングシールのように静止してとどまっている。そのような実施形態では、作動プレートが動くと、空気ピストン206も動き、加圧空気により作動プレートを押圧する。バルブステムが動けなくなった位置にあり、作動プレートが動けなくなったバルブステム/ピストンに対して動く場合、シール209はスライディングダイナミックシールとして作用する。
【0026】
図2に示すように、空気供給回路は、作動プレート104内の空気チャンネル108を介して加圧空気Aを各ピストン104に供給する。一実施形態では、すべての空気チャンネルは、お互い同士および空気圧源と流体連通している。この図に示すように、作動プレート104と空気チャンネル108は、回路内の圧力およびまたは各ドロップにおける圧力を検知する1つ以上の圧力センサ118に動作可能に接続されている。圧力センサは、バルブ122を介して回路への加圧空気供給Sを制御する制御部120にフィードバックを提供する構成であってもよい。システムは、モールディングプロセス時に失圧、即ち圧力が所定の値を下回ったことを圧力センサが検知すると成形プロセスを停止させる。センサは、ホットランナを過度な圧力から防ぐ。失圧すると、ピストン(およびバルブステム)は、作動プレートの動きに遅れ、バルブステムが閉位置または部分的に開いた位置で射出が行われることがある。圧力センサは、空気供給接続が本機とホットランナ間で完了していない場合、システムが起動時に射出することを防ぐ。いくつかの実施形態では、バルブ122が、閾値圧が各ドロップにて維持されるようにバルブ122を調整する。いつくかの実施形態では、作動プレート100も、ソフトウェアと制御部(図示せず)を備えオペレータがキャビティ不良機能とキャビティ不良メンテナンス機能を起動することを可能にするユーザインタフェースに動作可能に接続されている。本明細書では、キャビティ不良とは、バルブステムがゲートにて動けなくなり、キャビティ109が射出モールディングに使用できなくなることを意味する。
【0027】
いつくかの実施形態では、空気チャンネル108が、所望の通路に沿って作動プレートを貫通するガンドリリングボアまたは穴を開け、ボアの端をプラグで塞ぐことで形成されている。作動プレートも他のプロセスにより必要なチャンネルを形成して製造されてもよいことは理解されよう。例えば、作動プレートは、接合された2枚の作動プレート(例えば、2枚の作動プレートを溶接、ろう着、または拡散接合)して形成されてもよい。また、作動プレートは、また、付加製造法としても知られるソリッドフリーフォーム造形固体自由形状造形法を用いて形成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ホットランナはキャビティ109(
図1C)が不良の場合(例えば、バルブステムがキャビティに続くゲートで動けなくなった場合)でも作動するように構成されていてもよい。以下に詳細を後述するが、これはプレートが動いている時にゲートにて対応するバルブステムが動けなくなった時に動けなくなったピストンの位置を維持することで達成されてもよい。例えば、ピストンは、動けなくなった位置で作動プレート内に留まってもよい。そのような実施形態では、作動プレートは、動けなくなったバルブステム(複数)および/または対応する動けなくなったピストン(複数)により制止されることなく、往復移動を続けることができる。
【0029】
図3に示すように、例えば、作動プレートは、空気ピストン206を収容するピストンボア226を有していてもよい。ピストンボア226のサイズと形は空気ピストン206のサイズと形に対応したものであることは当業者には明らかであろう。例えば、ピストンボアの直径は、空気ピストン206の外径に対応し、シールを収容し得るサイズであり得る。一実施形態では、ピストンとピストンボアは、ピストンとピストンボアは両方共円筒状であるが、他の適切な形状を使用してもよい。
【0030】
ホットランナが通常に作動している実施形態では、空気ピストン206はピストンボア226内に配置され、加圧空気Aによりリテーナプレート207に対して押圧されている。そのような実施形態では、シール209がピストンの下側にてピストンボア226の空気圧を維持している。加圧空気Aが存在していて、保持力より大きい閾値力を生ずる限り、空気ピストン206が作動プレート204の往復移動により前後に移動し得ることは理解されよう。また、加圧空気Aが止められると、ピストンがリテーナプレート207に対して留まらなくなり、バルブステム202が作動プレートの動きにより往復移動しないことも理解されよう。
【0031】
保持力が閾値力より大きく、バルブステム202がゲート(図示せず)にて動けなくなった実施形態では、対応する動けなくなったピストンが作動プレートから効果的に分離され、作動プレートを動けるようにして、ピストンの下の空気を更に圧縮する。動けなくなった空気ピストンの位置を点線表示されたPにて示す。この図に示すように、動けなくなったピストンは、リテーナプレート207に対してもう押圧されていないが、動けなくなったピストンは依然としてピストンボア226の中に留まっている。即ち、ピストンボア226は、空気ピストン206の動けなくなった位置と動ける位置に適合するサイズを有している。一実施形態では、孔の長さLBは、ストローク長さLより長く、空気ピストン206の動けなくなった位置Pに適合する。
【0032】
ホットランナがキャビティ不良の状態で作動し続ける(例えば、作動プレートを往復移動させて、動けなくなっていないバルブステムを開位置と閉位置間で移動させている)実施形態では、往復移動している作動プレートは、動けなくなった空気ピストンに対して移動する。即ち、作動プレートが往復移動している時、ピストンボア226は、動けなくなった空気ピストン206の周囲で自由に動いている。結果として、ホットランナは該ピストンを作動プレートから物理的に分離しなくても作動し続けることができる。
【0033】
他の態様によれば、ホットランナは、バルブステムに印加される力を制限することによりバルブステムを保護するように構成されていてもよい。例えば、バルブステムがピストンに作用する力より大きな力を作用する障害(例えば、ドロップ内の異物)に遭遇した場合にバルブステムを保護するようにしてもよい。バルブステム保護機構を備えたホットランナ100の例を
図4および5A〜5Cに挙げる。
【0034】
例えば、
図4に図示するように、ホットランナ300は、ピストンとリテーナプレート307の間のチャンバ341に加圧空気供給Sが運ばれる空気通路330を備えたピストン340を備えた構成であってもよい(例えば、加圧空気は空気チャンネル308から運ばれる)。いつくかの実施形態では、チャンバは空気ピストンボアであってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、加圧空気(矢印表示されたD1参照)がバルブステムを閉位置の方向に(例えば、ゲートの方向に)付勢している。即ち、
図4に示すように、空気圧D1を使用してピストン/バルブステムを閉位置に向けて押してもよい。そのような構成においては、閉位置に向けて移動する時にバルブステムに障害があった場合、ピストンに作用する空気が圧縮され、作動プレートが閉位置に向けて動く際にバルブステム/ピストンが静止状態に留まることを可能にし、バルブステム/ピストンを保護しつつ、他の全ての障害のないバルブステムを閉位置に移動させる。これに対し、上記の実施形態において、作動プレートが閉位置に移動する際に障害311がゲートに存在しバルブステムが閉位置に移動することを妨げている場合には、リテーナプレートはピストン/バルブステムを押し続け、バルブステムに損傷が生じる可能性がある。
【0036】
他の実施形態においては、システムは、バルブステムが動けなくなった場合、および/または障害に遭遇した場合にプレートの作動を維持するようにする。
図5Aに示すように、例えば、ホットランナ400は、上記のようにバルブステムがゲートにおいて動けなくなった場合にでもプレートの作動の継続を可能にするバルブステムの作動用第1ピストン406を含むことができる。また、ホットランナは、バルブステム保護用の第2ピストン440を備えて、バルブステムが障害に遭遇した場合でも継続的なプレートの作動を可能にする。いくつかの実施形態では、第1ピストン406は、作動プレート404が往復移動してバルブステム402を駆動する際に、ピストン406に作用する加圧空気Aによりリテーナー407に対してバルブステム402を保持する空気ピストン406を含むことができる。この第1ピストンの構成は、
図1〜3を参照して上記にて説明したように作動する。第2ピストン440は
図4において説明されたように構成されることができる。
【0037】
図5に示すように、第2ピストン440は空気ピストン406に結合されることができ、リテーナプレート404を通して伸張することができる。より具体的には、第2ピストン440は、第1空気ピストンを通して延び、バルブステム402に直接結合されたシャフト部442を含むことができる。また、第1ピストン406は、第2ピストン440のシャフト部442を囲み、作動プレート404を通して延長するシャフト部444を備えている。また、第1ピストン406は、ピストン部に形成されバルブステムの反対方向に延在するハウジング446を備えている。このハウジングは、第2ピストン440の円筒状のボア(例えば、チャンバ441参照)として作用する。この第2ピストンは、ある障害411がバルブステムの閉位置への動きを妨害する場合にバルブステムへの損傷を防ぐ保護システムとして作用する。
【0038】
図4同様に、
図5Aの空気ピストン406と保護ピストン440は、加圧空気を空気チャンネル408からチャンバ441に運ぶ空気通路430を含む。ホットランナが通常通り作動する実施形態では、加圧空気Aが第1ピストンに作用し、リテーナー407に対して第1ピストン406を保持し、加圧空気D2が第2ピストン440に作用して、閉位置に向けて第2ピストン440を付勢する。このような態様において、作動プレートがバルブステム402を閉位置に移動させる時に、リテーナーが第1ピストン406を押し、空気圧D2が第2ピストン440に作用する。
【0039】
バルブステムが閉位置にて動けなくなった(例えば、動けなくなったピストン406がリテーナー407から分離する)場合、空気ピストン406に作用する空気(例えば、ピストンボア426内の空気)は、
図5Bに示すように、作動プレート406が開位置に移動するにつれ、容易に圧縮されることができる。具体的には、作動プレート404は開位置に移動し、第1ピストン406、ハウジング、およびバルブステム402は静止状態のままである。
【0040】
もし、その代わりに、バルブステム402が閉時の際に型のキャビティ内において障害411に遭遇した場合、作動プレートはリテーナー407をまだ押し続け、それによりピストン406およびバルブステム402が押される。
図5Cに示すように、そのような状況においてバルブステムを保護するため、第1ピストン406は、作動プレートが閉位置に向けて動く時にハウジングを牽引して、それにより第2ピストンに作用する空気(チャンバ441内の空気)を圧縮するように構成される。これにより、このような障害の状況においてバルブステムが作動プレート404に対して静止状態を続けることができ、バルブステムを障害に向けて押すようにされている圧力は単に圧縮され、バルブステムが静止状態にとどまることは、理解されよう。
【0041】
バルブステムが動けなくなったり、および/または障害に遭遇したりした場合、加圧空気を用いてバルブステムを保護するホットランナを図示し、説明してきたが、バルブステムを保護するために他の構成を使用されることができる。例えば、
図6A〜6Bおよび
図7に示すように、ホットランナ500は、バルブステム502の保護のためバネ550を含むことができる。
【0042】
例えば、いくつかの実施形態においては、非溶融の成形材料がゲートを塞いだ時に複数材料ホットランナのパージプロセス時にバネ550を用いてバルブステムを保護することができる。理論により限定されることを望むものではないが、複数材料ホットランナを停止する時、第1(例えば、スキン)成形材料の逆流を用いて少なくとも部分的に第2(例えば、バリア)成形材料をノズルのバリアチャンネルに、(例えば、ノズルの内および/または外流れから)、パージすることが一般的である。そのような場合に第2成形材料をパージするために、バルブステムを後方位置に下げ、第1成形材料のショートショット(例えば、部分ショット)を、ノズルを介してモールディングキャビティに射出し、溶融物を固体化させる。固体化したホットメルトは、ゲートを塞ぐショート(例えば、部分的)成形物を形成するこことは理解されよう。第1成形材料が再び(例えば、低圧で)流れ出すと、詰まり物により、流れを変えてノズルの第2(例えば、バリア)チャンネルに流れ、パージを完了する。ホットランナの運転を再開をするには、固体化して詰まっているものを各ゲートから取り除く必要がある。これは、型の開放及び排出手順によりなされ、これにより詰まっていたものがショート(例えば、部分的)成形物と共に取り除かれる。残念ながら、1つ以上の詰りや、1つ以上の詰りの少なくとも一部がゲートに残ってしまうことがある。そのような状況において、バルブステムが閉止されている場合、バルブステムを空気ピストンに結合する安全ピンを破損させうる異常な(例えば、高い)閉鎖力がバルブステムに印加され得る。
【0043】
他の実施例においては、図示しないが、例えば、単層PETシステム(即ち、PET材料全体を複層にせずに成形する型に吹き込み成形用タイプのプレフォームの成形)などの他の使用例において、バネ550を用いてバルブステムを保護することができる。単層PETシステムにおいては、しばしば、サイクルが開位置のバルブゲートで中断され、それにより、垂れたホットメルトが固体化して局所的にて「ゲートの塊」を生ずる(即ち、ゲートチャンネルの領域における部分的なモールディング)ことが生じてしまうという、起動時に困難が生ずることがある。固体化した塊は次のショットにより排出または再溶解できないので、プラステックでキャビティを充填できるように、通常、技術者は手作業でこのゲートの塊を取り除く。しかし、技術者が1つ以上の塊のすべてまたは一部を取り除かず残してしまい、ゲートチャンネルの次の閉鎖手順に対する妨害物になりうる場合がある。
【0044】
図6Aに示すように、バルブステム502は、空気ピストン506に結合されており、空気ピストンは空気チャンネル508を介して移動する加圧空気Aを介してリテーナプレート507と接触して保持されている。他の実施形態と同じく、空気ピストン506は、作動プレート504に形成された空気ピストンボア526に受けられ、空気ピストンボア526に相対的に動く。シール509を使用して、ピストンボア526内の空気圧力Aを維持することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、空気ピストン506は、バネ550が収容されたボア(例えば、シリンダ541を参照)を有するハウジング546を含む。
【0046】
いくつかの実施形態においては、バネ550がバルブステム組立体553を介してバルブステム502の近位端に結合されている(
図7の分解斜視図も参照)。そのような実施形態では、バルブステム組立体553は、バルブステム保持部558のスリーブ556に受けられるバルブステムヘッド554を含むことができる。また、バルブステム組立体は、バルブステムヘッド554をバネ550に接続するシェアピン560を含むことができる。いくつかの実施形態において、シェアピン560は、着脱可能にバルブステムヘッド554に取り付けられていてもよく、着脱不可能に取り付けられていてもよいことは理解されよう。バネ550と同様に、バルブステム組立体も空気ピストン506のシリンダ541に収納されていてもよい。
図6Aに示すように、バネキャップ551は、ハウジングにネジ止めされ、シリンダを閉じ、バネ550をその中に保持する。
【0047】
図6Aに示すように、通常運転位置では、バネ552は、バルブステム保持部とバネキャップ552の間に保持されており、プレートの作動時に前後に移動する。そのような通常運転位置では、バネは所定の力に予圧されていて、圧力によりバルブステムを後方に押せず、大きなゲート(Tall gate)を生成できないようにする構成であってもよい。いくつかの実施形態では、バネ552は、ピストンに向けてバルブステムに付勢する。いくつかの実施形態では、ギャップGがバルブステム保持部558と空気ピストン506の間に維持され、それによりバルブステム502が空気ピストン506内で浮くことができるようにする。いくつかの実施形態では、上記ギャップはおよそ0.01mm〜0.5mmである。
【0048】
バルブステム502が、バルブステム502の動きを止める障害562に遭遇している実施形態を
図6Bに示す。本図に示すように、作動プレート504は、ゲートに向けて動き続け、それによりピストン506とバルブステム502を押す。そのような状況においてバルブステムを保護するために、バネ550は、作動プレート504が閉位置に向けて動くにつれ圧縮される構成であってもよい。理論により限定されることを望むものではないが、バネの圧縮は障害を介してバルブステムに作用する力を制限することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、バネを圧縮することにより、バルブステムが作動プレート404に対して静止し続けることを可能にする。例えば、
図6Bに示すように、ギャップGはバネが圧縮するにつれ大きくなる。いくつかの実施形態では、図示するように、空気圧Aはピストン506をリテーナプレート507に対して押圧した状態を維持するのに依然として十分である。
【0050】
いくつかの実施形態では、ホットランナは、使用しているシールの寿命を維持および/または延長するように構成することができる。例えば、シールがダイナミックになった場合にその信頼性を確保するため、全てのノズルの先端のヒーターを停止した状態で作動プレートはメンテナンスモードにおいて起動する前にサイクル運転させることができる。全てのバルブステムとピストンが、固体化したドロップにより閉位置でロックされる可能性がある。その場合、当該機械は、作動プレートへの空気供給を止め、大気中に通気する。そして、作動プレートは、前後運動のサイクルを実行し、空気ピストンのシールを作動させることができる。このメンテナンスの後、本機は通常の運転を再開できる。
【0051】
いくつかの実施形態においては、ホットランナは、本機が圧力の低下を検知した場合は停止するように構成されている。例えば、失圧した(例えば、加圧空気供給Sが減圧した)場合、本機はアラームを鳴らして、モールディングサイクルを停止することができる。成形機は、バルブステムの全てまたはいくつかが閉位置の状態で、またはバルブステムの全てまたはいくつかが遅れた状態で、またはゲートが完全には開いていない状態で射出が行われないように停止することができる。いくつかの実施形態では、この圧力モニタリングは、バルブステムが閉まった状態で射出するリスクや、ホットランナの過圧(例えば、内部リーク)のリスクを低減し得る。
【0052】
バルブステムが空気ピストンを介して作動プレートに対して保持されている(即ち、空気ピストンが空気圧により作動プレートに対して保持されている)実施形態を図示し、説明してきたが、他の実施形態では、バルブステムのヘッド自体がリテーナプレートに対して押圧されることができる。即ち、バルブピンのバルブピンヘッド303が空気圧により作動プレートに対して保持され、適切なシールを介して孔の中に配置されることができる。
【0053】
本教示は、様々な実施形態や実施例を参照して説明されているが、本教示がそのような実施形態や実施例に限定されることは意図されていない。本教示は、様々な、代替物、変形例、均等物を包含するものであることは当業者には理解されよう。よって、前記説明と図面は例示のためのものである。