特許第6792008号(P6792008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792008半径方向のプリロードがある自己回転式圧電モーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792008
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】半径方向のプリロードがある自己回転式圧電モーター
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/12 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   H02N2/12
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-24298(P2019-24298)
(22)【出願日】2019年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-162019(P2019-162019A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】18160979.3
(32)【優先日】2018年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ラゴルケット
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・メイエ
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−260990(JP,A)
【文献】 特開2016−082835(JP,A)
【文献】 特開2016−144268(JP,A)
【文献】 特開2007−037242(JP,A)
【文献】 特開2016−178806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動性要素(20)と、この受動性要素(20)を回転させる圧電アクチュエータとを備える圧電モータ(10)であって、
前記受動性要素(20)は円筒状部品(20)を含み、
前記圧電アクチュエータは、1対のアーム(31’、32’)、前記1対のアームの一端どうしを接続する接続領域(33’)、前記1対のアームの自由端である2つの他端(310’、320’)とを有する、全体としてU字形の共振器(30’)であって、前記それぞれの自由端どうしの間の間隔が、前記円筒状要素(20)の直径に対応する間隔を有する小間隔空間を形成するように、前記それぞれの自由端に互いの方に向かって延在する隆起部(41、42)を有する共振器(30’)を備え、さらに、
前記共振器(30’)の前記小間隔空間向けて前記円筒状部品(20)を付勢するとともにこの円筒状部品(20)を前記共振器(30’)に対して直立させて、前記円筒状部品(20)の表面の前記小間隔空間の高さと同一の高さにある表面の一区画(21)を前記共振器(30’)の前記隆起部(41、42)に接触させる保持デバイス(51、52、60)を有する圧電モーター。
【請求項2】
前記保持デバイス(51、52)は、前記円筒状部品(20)の前記一区画(21)に対して弾性力を発生させることができる
請求項1に記載の圧電モーター(100)。
【請求項3】
前記保持デバイス(51、52)は、固定要素(51)と弾性要素(52)を有し、この弾性要素(52)は、一方では前記固定要素(51)に固定され、他方では前記円筒状部品(20)の前記一区画(21)を支える
請求項2に記載の圧電モーター(100)。
【請求項4】
前記弾性要素(52)の付勢方向の軸は、前記共振器(30’)の前記アーム(31’、32’)に対して実質的に平行である
請求項3に記載の圧電モーター(100)。
【請求項5】
前記保持デバイス(60)は、前記円筒状部品(20)の前記一区画(21)に対して磁力を発生させて付勢力を付与することができる
請求項1に記載の圧電モーター(101、102)。
【請求項6】
前記保持デバイス(60)は、前記アーム(31’、32’)の前記接続領域(33’)に固定される磁石(60)を有し、
前記円筒状部品(20)の前記一区画(21)は、前記円筒状部品(20)の前記一区画(21)と前記磁石(60)の間に引力を発生させるように磁性材料を含有している
請求項5に記載の圧電モーター(101、102)。
【請求項7】
前記磁石(60)は、前記アーム(31’、32’)の前記自由端(310’、320’)どうしに対して実質的に等距離に配置されている
請求項6に記載の圧電モーター(101、102)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の圧電モーター(100、101、102)を有する計時器(80)。
【請求項9】
前記円筒状部品(20)の一端に固定された針(90)を有する
請求項8に記載の計時器(80)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己回転式圧電モーターの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自己回転式圧電モーターは、伝統的に、受動性要素と、及び圧電効果を用いて受動性要素を回転させるアクチュエーターとを有する。図1を参照すると、具体的には、受動性要素20がシリンダーを有しており圧電アクチュエーターが接続領域33において互いに接続された1対のアーム31、32によって形成されており実質的に音叉形又はU字形であるような共振器30を有するような自己回転式圧電モーター10が知られている。この圧電アクチュエーターは、さらに、2つの圧電素子(図示せず)を有しており、その各圧電素子は、アーム31、32の一方に取り付けられており、アームが振動を与えるようにするための励起手段としてはたらく。受動性要素20は共振器30のアーム31、32の間を通る。具体的には、受動性要素20の側面の1つの領域が、両方の側にてアーム31、32の自由端310、320と接触しており、これによって、その接触領域に対するアーム31、32の自由端310、320の摩擦によって受動性要素20が回転する。
【0003】
この種のモーターは、共振器と円筒状部品の間の境界においてプリロードが作られていなければならず、モーターにパワー供給せずに、すなわち、アームを励起せずに、保持トルクをセットする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プリロードシステムが取り付けられた自己回転式圧電モーターを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、本発明は、1対のアームを有する共振器を有しており、前記アームの一端どうしが接続領域において接続しており、前記アームの2つの他端が自由端であるような圧電アクチュエーターと、及び前記共振器に対して垂直に延在している円筒状部品を有している受動性要素とを有する自己回転式圧電モーターに関する。前記円筒状部品は、当該円筒状部品に対する前記アームの前記自由端の摩擦によって回転することができ、各自由端には、隆起部があり、この隆起部が互いの方に向かって延在しており、この隆起部どうしが前記円筒状部品の一区画のための配置空間を形成し、当該圧電モーターは、前記配置空間内に前記円筒状部品の前記一区画を保持する保持デバイスを有する。
【0006】
「隆起部」とは、拡張部分が突き出ている隆起した部分を形成している要素を意味している。
【0007】
本発明によると、円筒状部品と共振器の間に半径方向のプリロードが作られる。円筒状部品を保持する保持デバイスによって、共振器のアームの各端にある隆起部に対して半径方向の力が発揮される。用語「半径方向」は、円筒状部品の半径に対応しているものである。
【0008】
このように、プリロードシステムは、隆起部及び保持デバイスによって形成されている。
【0009】
第1の実施形態において、保持デバイスは、円筒状部品の一区画にて弾性力を発生させることができる。例えば、保持デバイスは、固定要素と弾性要素を有する。この弾性要素は、例えば、ばね、細長材、ゴム要素であり、一方では固定要素に固定され、他方では円筒状部品の前記一区画を支える。
【0010】
第2の実施形態において、保持デバイスは、円筒状部品の前記一区画に磁力を発揮させることができる。例えば、保持デバイスは、アーム接続領域に固定される磁石を有し、円筒状部品の前記一区画は、磁性材料、例えば、強磁性体、を有し、これによって、円筒状部品の前記一区画と磁石の間に引力が発生する。なお、本発明の第1の実施形態と比べた第2の実施形態の利点の1つは、プリロードシステムが自立していることである。別の利点としては、弾性要素との接触によって発生する摩擦の影響を受けずに円筒状部品が自由に回転することができることがある。
【0011】
1つの実施形態において、保持デバイスは、共振器の両方のアームに対して実質的に平行な力を発生させることができる。保持デバイスがばねのような弾性要素を有する場合、その弾性要素の軸は共振器のアームに対して実質的に平行である。保持デバイスが磁石を有する場合、その磁石はアームの自由端どうしに対して実質的に等距離に配置される。
【0012】
本発明は、さらに、上にて詳細に説明しているような圧電モーターを有する計時器に関する。
【0013】
非限定的な1つの実施形態において、計時器は、円筒状部品の一端に固定された針を有する。
【0014】
添付の図面を参照しながら非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことで、他の特徴や利点が明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】既に説明しており、従来技術に係る自己回転式圧電モーターの一部を概略的に示している側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る自己回転式圧電モーターの一部を概略的に示している上方から見た図である。
図3図2の自己回転式圧電モーターの一部を概略的に示している側面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る自己回転式圧電モーターの一部を概略的に示している上面図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る自己回転式圧電モーターの一部を概略的に示している上面図である。
図6図4の自己回転式圧電モーター及びこのモーターに固定された針を有する計時器の一部を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2及び3は、本発明の第1の実施形態に係る圧電モーター100の一部を示しており、図4は、本発明の第2の実施形態に係る圧電モーター101を示しており、図5は、本発明の第3の実施形態に係る圧電モーター102を示している。3つの場合すべてにおいて、モーター100、101、102は、円筒状部品20を有する受動性要素と、及び圧電効果を用いて円筒状部品20を回転させる圧電アクチュエーターとを有する。
【0017】
圧電アクチュエーターは、圧電励起手段(図示せず)と、及び振動することができる2つのアーム31’、32’を有する共振器30’とを有する。励起手段は、好ましいことに、2つの部分によって形成されており、その各部分は異なるアームに取り付けられている。しかし、他の形態の励起手段も可能である。 励起手段は、例えば、アームの間の接合部に配置された単一の部品によって形成されていることができる。励起手段に適切な電圧が与えられると、励起手段は変形して、機械的応力がアーム31’、32’に伝達され、このアーム31’、32’が振動し始める。励起手段がアーム上にて適切な形態となるように設計されマウントされていれば、所望の形態の多次元的な振動を達成することができる。
【0018】
アーム31’、32’は、互いに接続領域33’において接続され、この接続領域33’から互いに実質的に平行に延在している。したがって、共振器は、全体として見ると、音叉形、すなわち、U字形である。しかし、この形には限定されない。接続領域33’に接続されていない方のアームの端は、自由端310’、320’と呼ばれる。アーム31’、32’の振動の振幅は、これらの端310’、320’において最大である。
【0019】
円筒状部品20は、共振器30’に対して実質的に垂直であるように延在している。すなわち、共振器30’のアーム31’、32’の両軸を含む平面に対して垂直であり、2つの自由端310’、320’の間を通る。アーム31’、32’の自由端310’、320’の多次元的な振動によって、前記円筒状部品20に対する前記自由端310’、320’の摩擦によって円筒状部品20をその軸のまわりに回転させることが可能になる。
【0020】
自由端310’、320’は、下で説明する圧電モーターの保持デバイスと組み合わさって、共振器30’と円筒状部品20の間にプリロードを作ることを可能にする特定の幾何学的構成を有する。より詳細には、各自由端310’、320’には、互いの方に向かって延在している隆起部41、42がある。各隆起部41、42には、傾斜面411、421があり、これによって、両方で配置空間を形成する。円筒状部品20は、これらの隆起部41、42の傾斜面411、421と接触している。すなわち、円筒状部品20の一区画21(図3に示している)は、傾斜面411、421が形成している配置空間内にて押し込まれている。保持力によって、アーム31’、32’が延在している方向に平行に接続領域33’の方へと圧力を前記一区画21に与えることができ、これによって、前記一区画21が前記傾斜面411、421に支えられる。
【0021】
第1の実施形態において、前記保持デバイスは、ここではばね52である弾性要素と、止め51とを有する。ばね52は、一方の側にて前記一区画21に支えられ、他方の側にて止め51に支えられ、これによって、傾斜面411、421に対して円筒状部品20を押し付ける。
【0022】
第2及び第3の実施形態において、保持デバイスは、接続領域33’の側に配置された磁石60を有し、一区画21は、強磁性材料のような磁性材料を含有しており、これによって、一区画21を磁石60の方に引きつけ、結果的に、傾斜面411、421に引きつける。第2の実施形態においては、磁石60は、接続領域33’の内面331に固定され、これに対して、第3の実施形態においては、磁石60は、接続領域33’の外面332に固定される。内面331は円筒状部品20に対向するように位置している面であり、外面332は内面331に対して反対側の面である。
【0023】
最後に、図6は、第2の実施形態に係る圧電モーター101の円筒状部品20の上端に固定された針90を有する腕時計タイプの計時器80を示している。しかし、本発明の実施形態の1つに係る圧電モーターを針ではなくディスク(例えば、日付ディスクや月の相ディスク)、車又はリングを回転駆動するように用いることができる。
【0024】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上記の本発明の様々な実施形態に当業者に明らかな様々な改変、改善及び/又は組み合わせを行うことができることは明らかである。例えば、図示した実施形態において傾斜面411、421が平坦であるように示しているが、凹形であったり凸形であったりすることもできる。重要なことは、これらの面が円筒状部品20の一区画21と接触するように保持されることである。
【符号の説明】
【0025】
10、100,101,102 自己回転式圧電モーター
20 円筒状部品
21 一区画
30’ 共振器
31’、32’ アーム
33’ 接続領域
41、42 隆起部
51 固定要素
52 弾性要素
60 磁石
80 計時器
90 針
310’、320’ 自由端
図1
図2
図3
図4
図5
図6