特許第6792130号(P6792130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792130
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】食品用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20201116BHJP
   B65D 85/78 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B65D25/20 F
   B65D85/78 100
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-212525(P2018-212525)
(22)【出願日】2018年11月12日
(65)【公開番号】特開2020-79103(P2020-79103A)
(43)【公開日】2020年5月28日
【審査請求日】2019年10月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518192116
【氏名又は名称】中村 正哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】中村 正哉
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−144433(JP,U)
【文献】 実開平06−010132(JP,U)
【文献】 実開昭56−063382(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 85/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を内部に収容する容器本体と、容器の上部を覆う蓋体と、カトラリーと、を備え、
前記容器本体は、前記容器本体の上部に設けられた開口端と、前記容器本体の周壁に設けられ、前記カトラリーを取り付けるための弾性素材で形成された取り付け部と、を有し、
前記取付け部には、前記周壁の厚さ方向に貫通する挿通孔と、切込み部と、が設けられ、
前記挿通孔は、前記開口端近くに設けられ、その孔の形状が略円形形状で、前記切込み部を通って前記開口端に連通しており、
前記切込み部は、その一端が前記開口端、他端が前記挿通孔とそれぞれ接しており、
前記カトラリーは、カトラリー本体と、柄と、を有し、
前記柄には前記カトラリーの端部を構成する持ち手部と、前記挿通孔に挿通させられる細長部と、が設けられ、
前記持ち手部は、前記細長部よりもその断面形状が大きくなるよう形成されており、
前記細長部は、その一端がカトラリー本体と、他端が持ち手部と、それぞれ連結され、
前記取付け部は、前記切込み部による切断面が密着する弾力性を有し、
さらに、前記細長部の断面形状は、前記細長部の一端から他端にかけて前記挿通孔と略同一の形状かつ略同一の大きさである食品用容器。
【請求項2】
前記持ち手部と前記細長部とは、前記細長部が前記持ち手部の一端面から延設されることにより、段付き形状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の食品用容器。
【請求項3】
前記細長部の全長は、前記挿通孔の全長よりも長く構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の食品用容器。
【請求項4】
前記カトラリーの持ち手部は、全体が略平板形状となるよう形成されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の食品用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カトラリーを備えた食品用容器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパー等の店舗でのヨーグルトやアイスといった食品の販売形態は、需要者が、食品が収容された容器を購入し、購入時に、店員からスプーンを手渡される、といった形態である。
【0003】
ところで、このように店員から手渡されたスプーンは、通常、プラスチック製や木製のものであり、金属性のスプーンと比較して、軽量かつ小型であることから、紛失し易い。
【0004】
このため、予め、スプーンやフォークといったカトラリーを、容器自体に備え付けておくことが好ましい。
【0005】
例えば、特許文献1には、密閉容器の周縁部に装着される環状装着部を備え、環状装着部の一側内面にスプーンの一端を取付け、環状装着部の他側に、スプーンの他端が入り込む切り欠き部が形成された、スプーン付蓋が記載されている。
スプーンを取外す際には、需要者は、切欠部内に指を挿入し、切欠部の一部を破断させ、さらにスプーンを捩じることで、他端を破断させ、取外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−95772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のスプーン付蓋は、売り場等の外部に長時間放置しておくと、スプーン表面に埃が被ってしまう等、衛生面で問題が生じる。また、一度スプーンを蓋から取外すと、再度安定的に容器に取付けておくことができない。
【0008】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、衛生面に優れ、カトラリーを、容器に対して繰り返し着脱することが可能な食品用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
上部に開口端が設けられ、内部に食品が収容される容器本体と、前記上部を覆う蓋体と、カトラリーと、を備え、
前記容器本体は、その周壁に、前記カトラリーが取付けられる取付け部を有し、
前記カトラリーは、カトラリー本体と、柄と、を有し、
前記取付け部には、前記柄が挿通される挿通孔が設けられ、
前記挿通孔は、前記開口端に連通していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、挿通孔が開口端に連通していることで、カトラリーを、取付け部に対して繰り返し着脱することが可能となる。
また、容器本体の上部を蓋体で覆うことで、カトラリーを、挿通孔を介して容器本体の内部に収納することができ、外部に長時間放置した場合であっても、カトラリーに埃が被る恐れが無い。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記挿通孔の幅と前記柄の幅とが、略同一であることを特徴とする。
【0012】
このような構成とすることで、挿通孔を介した、容器本体の内部への空気の流入を抑制することができるため、内部の乾燥による食品の風味や食感等の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記取付け部には、弾性素材により形成された切込み部が形成され、前記挿通孔は、前記切込み部を介して、前記開口端に連通していることを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、カトラリーの上方を密閉に限りなく近い状態とすることができ、内部の乾燥による食品の風味や食感等の劣化を、さらに効果的に抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記柄には、持ち手部と、細長部と、が設けられ、前記細長部は、前記持ち手部よりも断面積が小さく形成され、前記挿通孔には、前記細長部が挿通されること特徴とする。
【0016】
このような構成とすることで、取付け部において、切込み部を介した柄の取付けをスムーズに行うことができると共に、切込み部による密閉度も向上させることが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記細長部は、略円柱形状であることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、取付け部において、切込み部を介した柄の取付けを、よりスムーズに行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、衛生面に優れ、カトラリーを、容器に対して繰り返し着脱することが可能な食品用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る食品用容器の概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る食品用容器における取付け部を示す図であって、(a)概略斜視図、(b)正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る食品用容器の概略斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る食品用容器の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図4を用いて、本発明の実施形態に係る食品用容器について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態に係る食品用容器を示す。
【0022】
図1に示すように、食品用容器1は、上部に開口端11a(図3参照)が設けられ、内部に食品F(図3参照)が収容される容器本体11と、容器本体11の上部を覆う蓋体12と、カトラリー13と、を備えている。
【0023】
容器本体11は、略有底円筒状であり、その周壁に、カトラリー13が取付けられる取付け部Aを有している。
【0024】
蓋体12は、略薄膜円盤状であり、その周縁が、容器本体11の開口端11aに、剥離可能に接着されている。また、蓋体12は、その周縁から径方向に突出するベロ部12aを有している。
【0025】
以下、図2を用いて、取付け部Aの具体的な態様について説明する。
【0026】
図2に示すように、取付け部Aは、略直方体状であり、全体が弾性素材により形成されている。
また、取付け部Aには、その厚さ方向に貫通し、後述する柄13bが挿通される挿通孔A1と、挿通孔A1に連通する切込み部A2と、が設けられている。これにより、挿通孔A1は、切込み部A2を介して開口端11aに連通している。
なお、図2では、取付け部Aについて、挿通孔A1と切込み部A2の関係を説明する便宜上、その上部を左右に開いた状態で示している。
【0027】
挿通孔A1は、丸穴であり、後述する細長部13b2の断面と略同一の大きさ、かつ略同一の形状に構成されている。
【0028】
図3は、図1の状態から、ベロ部12aを用いて、カトラリー13が取外し可能となるまで、蓋体12を容器本体11から剥離させた際の食品用容器1の概略斜視図である。
【0029】
図3に示すように、カトラリー13は、カトラリー本体13aと、柄13bと、を有している。
また、柄13bには、略平板状の持ち手部13b1と、持ち手部13b1の一端面から持ち手部13b1の面方向に延びる略円柱状の細長部13b2と、が設けられ、細長部13b2は、持ち手部13b1よりも断面積が小さく形成されている。
なお、本実施形態において、カトラリー13はスプーンであるが、これに限られず、フォークやナイフ等であっても良い。また、細長部13b2は、持ち手部13b1の中程に設けられているが、位置はこれに限られず、例えば、カトラリー本体13aと持ち手部13b1とを連結するような態様で、持ち手部13b1の端部に設けても良い。
【0030】
カトラリー13は、細長部13b2が、取付け部Aの挿通孔A1を挿通することにより、取付け部Aに取付けられている。
【0031】
ここで、容器本体11の周壁の厚さと取付け部Aの厚さと、は、略同一であり、取付け部Aは、容器本体11の周壁に形成された取付け部Aと略同一の外形状の溝に嵌め込まれ、その外周面が、溝の内周面に固着されることで、容器本体11と一体となっている。
【0032】
食品用容器1の使用者は、容器本体11の内部に収容された食品Fを食す際、図4に示すように、カトラリー13を取付け部Aから取り外す。即ち、カトラリー13は、上方に押し上げられることにより、細長部13b2が切込み部A2を通り、取付け部Aから取り外される。
【0033】
そして、使用者は、カトラリー本体13aを用いて、食品Fをすくい、食していく。
なお、図4において、蓋体12は、容器本体11から全て剥離させている。また、食品Fとは、例えば、ヨーグルトやアイス、プリン、ゼリー等である。
【0034】
また、使用者は、食品Fをある程度の残し、後で残りを食したいというような場合、細長部13b2を、切込み部A2を介して挿通孔A1に押し込み、再度カトラリー13を取付け部Aに取付けることができる。
【0035】
本実施形態によれば、取付け部Aに、細長部13b2が挿通される挿通孔A1が設けられ、挿通孔A1が、開口端11aに連通していることで、カトラリー13を、取付け部Aに対して繰り返し着脱することが可能となる。
【0036】
また、容器本体11の上部を蓋体12で覆うことで、カトラリー13を、挿通孔A1を介して容器本体11の内部に収納することができ、外部に長時間放置した場合であっても、カトラリー13に埃が被る恐れが無い。
【0037】
また、挿通孔A1と細長部13b2とが、略同一の大きさ、かつ同一の形状であることで、挿通孔A1を介した、容器本体11の内部への空気の流入を抑制することができるため、内部の乾燥による食品Fの風味や食感等の劣化を抑制することが可能となる。
【0038】
また、取付け部Aには、弾性素材により形成された切込み部A2が形成され、挿通孔A1が、切込み部A2を介して、開口端11aに連通していることで、カトラリー13の上方を密閉に限りなく近い状態とすることができ、内部の乾燥による食品Fの風味や食感等の劣化を、さらに効果的に抑制することが可能となる。
【0039】
また、細長部13b2により、切込み部A2を介した柄13bの取付けをスムーズに行うことができると共に、切込み部A2による密閉度も向上させることが可能となる。
【0040】
また、細長部13b2が、略円柱形状であることで、切込み部A2を介した柄13bの取付けを、よりスムーズに行うことが可能となる。
【0041】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 食品用容器
11 容器本体
11a 開口端
12 蓋体
12a ベロ部
13 カトラリー
13a カトラリー本体
13b 柄
13b1 持ち手部
13b2 細長部
A 取付け部
A1 挿通孔
A2 切込み部
F 食品
図1
図2
図3
図4