特許第6792215号(P6792215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792215
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ソフトウェアアップデートシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20201116BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20201116BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20201116BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20201116BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20201116BHJP
【FI】
   H04N1/00 127A
   B41J29/00 E
   B41J29/46 Z
   G06F3/12 330
   G06F3/12 304
   G06F3/12 385
   G06F8/65
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-162578(P2019-162578)
(22)【出願日】2019年9月6日
(62)【分割の表示】特願2017-1596(P2017-1596)の分割
【原出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2019-216471(P2019-216471A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】新田 健一朗
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−152711(JP,A)
【文献】 特開2011−192021(JP,A)
【文献】 特開2007−316687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00− 1/64
B41J 29/00
B41J 29/46
G06F 3/12
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器を管理する管理サーバーと
を備えるソフトウェアアップデートシステムであって
前記電子機器は、
前記電子機器の外部から電力が供給される電源部と、
前記電源部から電力が供給されて通信を実行可能な通信部と、
前記電源部から電力が供給されなくても前記電子機器のソフトウェアのアップデートのためのアップデート情報を無線通信によって受信して記憶可能な無線通信記憶部と、
前記電源部に電力が供給された場合に、前記無線通信記憶部に前記アップデート情報が記憶されているとき、前記アップデートに必要なプログラムを前記管理サーバーから前記通信部を介して取得して前記アップデートを実行するアップデート手段と
を備え
前記ソフトウェアアップデートシステムは、前記無線通信記憶部に前記アップデート情報を送信する場合に前記電子機器の識別情報を前記無線通信記憶部から受信して前記管理サーバーに送信する通信装置を備え、
前記管理サーバーは、
前記通信装置から送信されてきた前記識別情報を管理する識別情報管理手段と、
前記識別情報管理手段によって管理されている前記識別情報に対応する前記電子機器と通信可能になった場合に、必要な前記アップデートが前記電子機器において未だ実行されていないとき、前記電子機器に前記アップデートを指示するアップデート指示手段と
を備え、
前記通信装置による前記無線通信記憶部からの前記識別情報の受信は、前記通信装置による前記無線通信記憶部への前記アップデート情報の送信より前に実行されることを特徴とするソフトウェアアップデートシステム。
【請求項2】
前記アップデート情報は、前記プログラムの取得先としての前記管理サーバーのアドレスを示すアドレス情報を含み、
前記アップデート手段は、前記アップデート情報に含まれる前記アドレス情報に基づいて前記管理サーバーから前記プログラムを取得することを特徴とする請求項1に記載のソフトウェアアップデートシステム。
【請求項3】
前記電子機器は、表示部を備え、
前記アップデート手段は、前記通信部を介した前記プログラムの取得ができなかった場合に、前記アップデートが必要であることを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソフトウェアアップデートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のソフトウェアをアップデートするソフトウェアアップデートシステム、電子機器および管理サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置のファームウェアの新しいバージョンが発生した場合に、梱包されている画像処理装置に外部から電力が供給されていない状態で、画像処理装置の無線タグにアップデート後のファームウェアのバージョン情報を無線通信によって記憶させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された画像処理装置は、開梱されて外部から電力が供給された場合に、自身のファームウェアのバージョン情報より新しいバージョン情報が無線タグに記憶されているとき、自動的に最新バージョンのファームウェアをダウンロードして、ファームウェアのアップデートを促す表示を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−152711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、画像処理装置に対してファームウェアのアップデートの指示を利用者が実行しなければならないので、利便性が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、利便性を向上することができるソフトウェアアップデートシステム、電子機器および管理サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のソフトウェアアップデートシステムは、電子機器と、前記電子機器を管理する管理サーバーとを備え、前記電子機器は、前記電子機器の外部から電力が供給される電源部と、前記電源部から電力が供給されて通信を実行可能な通信部と、前記電源部から電力が供給されなくても前記電子機器のソフトウェアのアップデートのためのアップデート情報を無線通信によって受信して記憶可能な無線通信記憶部と、前記電源部に電力が供給された場合に、前記無線通信記憶部に前記アップデート情報が記憶されているとき、前記アップデートに必要なプログラムを前記管理サーバーから前記通信部を介して取得して前記アップデートを実行するアップデート手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のソフトウェアアップデートシステムは、電子機器の電源部に電力が供給された場合に、電子機器の無線通信記憶部にアップデート情報が記憶されているとき、ソフトウェアのアップデートに必要なプログラムを電子機器が管理サーバーから取得してソフトウェアのアップデートを実行するので、利便性を向上することができる。
【0008】
本発明のソフトウェアアップデートシステムにおいて、前記アップデート情報は、前記プログラムの取得先としての前記管理サーバーのアドレスを示すアドレス情報を含み、前記アップデート手段は、前記アップデート情報に含まれる前記アドレス情報に基づいて前記管理サーバーから前記プログラムを取得しても良い。
【0009】
この構成により、本発明のソフトウェアアップデートシステムは、アップデート情報に含まれるアドレス情報によって管理サーバーのアドレスの変更にも対応することができるので、利便性を向上することできる。
【0010】
本発明のソフトウェアアップデートシステムにおいて、前記電子機器は、表示部を備え、前記アップデート手段は、前記通信部を介した前記プログラムの取得ができなかった場合に、前記アップデートが必要であることを前記表示部に表示しても良い。
【0011】
この構成により、本発明のソフトウェアアップデートシステムは、電子機器の電源部に電力が供給された場合の電子機器によるソフトウェアの自動的なアップデートが失敗したときにのみ、ソフトウェアのアップデートが必要であることを電子機器の表示部に表示するので、利便性を向上することができる。
【0012】
本発明のソフトウェアアップデートシステムは、前記無線通信記憶部に前記アップデート情報を送信する場合に前記電子機器の識別情報を前記無線通信記憶部から受信して前記管理サーバーに送信する通信装置を備え、前記管理サーバーは、前記通信装置から送信されてきた前記識別情報を管理する識別情報管理手段と、前記識別情報管理手段によって管理されている前記識別情報に対応する前記電子機器と通信可能になった場合に、必要な前記アップデートが前記電子機器において未だ実行されていないとき、前記電子機器に前記アップデートを指示するアップデート指示手段とを備えても良い。
【0013】
この構成により、本発明のソフトウェアアップデートシステムは、電子機器の電源部に電力が供給された場合の電子機器によるソフトウェアの自動的なアップデートが失敗したときであっても、管理サーバーから電子機器にソフトウェアのアップデートを指示するので、利便性を向上することができる。
【0014】
本発明の電子機器は、前記電子機器の外部から電力が供給される電源部と、前記電源部から電力が供給されて通信を実行可能な通信部と、前記電源部から電力が供給されなくても前記電子機器のソフトウェアのアップデートのためのアップデート情報を無線通信によって受信して記憶可能な無線通信記憶部と、前記電源部に電力が供給された場合に、前記無線通信記憶部に前記アップデート情報が記憶されているとき、前記アップデートに必要なプログラムを前記通信部を介して取得して前記アップデートを実行するアップデート手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の電子機器は、電源部に電力が供給された場合に、無線通信記憶部にアップデート情報が記憶されているとき、ソフトウェアのアップデートに必要なプログラムを外部から取得してソフトウェアのアップデートを実行するので、利便性を向上することができる。
【0016】
本発明の管理サーバーは、電子機器を管理する管理サーバーであって、外部から送信されてきた、前記電子機器の識別情報を管理する識別情報管理手段と、前記識別情報管理手段によって管理されている前記識別情報に対応する前記電子機器と通信可能になった場合に、前記電子機器のソフトウェアの必要なアップデートが前記電子機器において未だ実行されていないとき、前記電子機器に前記アップデートを指示するアップデート指示手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の管理サーバーは、電子機器によるソフトウェアの自動的なアップデートが失敗したときであっても、電子機器にソフトウェアのアップデートを指示するので、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のソフトウェアアップデートシステム、電子機器および管理サーバーは、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係るソフトウェアアップデートシステムのブロック図である。
図2図1に示すMFPのブロック図である。
図3図1に示す管理サーバーのブロック図である。
図4図1に示す通信装置のブロック図である。
図5】MFPのNFCタグにアップデート情報が記憶される場合の図1に示すソフトウェアアップデートシステムの動作のシーケンス図である。
図6】アップデート情報が確認される場合の図1に示すソフトウェアアップデートシステムの動作のシーケンス図である。
図7】電力が供給されている状態の電源部がONされた場合の図2に示すMFPの動作のフローチャートである。
図8図7に示す動作において表示される要アップデート通知画面の一例を示す図である。
図9図7に示すアップデート処理のフローチャートである。
図10】電力が供給されている状態のMFPの電源部がONされた場合の図1に示すソフトウェアアップデートシステムの動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係るソフトウェアアップデートシステムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るソフトウェアアップデートシステム10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、ソフトウェアアップデートシステム10は、電子機器としてのMFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20を管理する管理サーバー30と、MFP20の後述するNFC(Near Field Communication)タグとの間で無線通信可能な通信装置40とを備えている。
【0024】
MFP20は、MFP20の外部から電力が供給される電源部20aを備えている。
【0025】
MFP20と、管理サーバー30とは、インターネットなどのネットワーク11経由で互いに通信可能である。同様に、管理サーバー30と、通信装置40とは、ネットワーク11経由で互いに通信可能である。
【0026】
ソフトウェアアップデートシステム10は、MFP20と同様なMFPを少なくとも1つ備えることが可能である。管理サーバー30は、ソフトウェアアップデートシステム10に含まれる、MFP20以外のMFPに対しても、MFP20に対してと同様に振る舞うことが可能である。
【0027】
ソフトウェアアップデートシステム10は、通信装置40と同様な通信装置を少なくとも1つ備えることが可能である。管理サーバー30は、ソフトウェアアップデートシステム10に含まれる、通信装置40以外の通信装置に対しても、通信装置40に対してと同様に振る舞うことが可能である。
【0028】
図2は、MFP20のブロック図である。
【0029】
図2に示すように、MFP20は、種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー23と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター24と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部25と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部26と、電源部20aから電力が供給されなくても無線通信によって受信した情報を記憶可能な無線通信記憶部としてのNFCタグ27と、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部28と、MFP20全体を制御する制御部29とを備えている。
【0030】
表示部22、スキャナー23、プリンター24、ファックス通信部25、通信部26、記憶部28および制御部29は、電源部20aから電力が供給されることによって機能する。例えば、通信部26は、MFP20が梱包されている場合など、電源部20aに電力が供給されていない場合には、電源部20aから電力が供給されることができないので、通信を実行することができず、電源部20aから電力が供給された場合に機能し、通信可能となる。
【0031】
記憶部28は、MFP20のソフトウェアとしてのファームウェア28aを記憶している。
【0032】
NFCタグ27は、ファームウェア28aのアップデートのためのアップデート情報が受信可能であり、受信したアップデート情報をそのままアップデート情報27aとして記憶可能である。アップデート情報27aは、ファームウェア28aのアップデートが必要であることを示すアップデート指示情報27bと、ファームウェア28aの新たなバージョンを示すバージョン情報27cと、ファームウェア28aのアップデートに必要なプログラム(以下「アップデート用プログラム」という。)の取得先としての管理サーバー30(図1参照。)のアドレスを示すアドレス情報27dとを含んでいる。
【0033】
また、NFCタグ27は、MFP20の識別情報としてのシリアル番号27eを記憶している。
【0034】
制御部29は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部28に記憶されているプログラムを実行する。
【0035】
制御部29は、ROMまたは記憶部28に記憶されているプログラムを実行することによって、ファームウェア28aのアップデートを制御するアップデート手段29aを実現する。
【0036】
図3は、管理サーバー30のブロック図である。
【0037】
図3に示すように、管理サーバー30は、利用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部31と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部32と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部33と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部34と、管理サーバー30全体を制御する制御部35とを備えている。例えば、管理サーバー30は、PC(Personal Computer)などのコンピューターによって構成されている。
【0038】
制御部35は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部34に記憶されているプログラムを実行する。
【0039】
制御部35は、ROMまたは記憶部34に記憶されているプログラムを実行することによって、MFPのシリアル番号を管理する識別情報管理手段35aと、MFPにファームウェアのアップデートを指示するアップデート指示手段35bとを実現する。
【0040】
図4は、通信装置40のブロック図である。
【0041】
図4に示すように、通信装置40は、利用者による種々の操作が入力される入力デバイスである操作部41と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部42と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部43と、NFCで外部の装置と通信を行う通信デバイスであるNFC通信部44と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部45と、通信装置40全体を制御する制御部46とを備えている。例えば、通信装置40は、スマートフォンなどの携帯端末によって構成されている。
【0042】
制御部46は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部45に記憶されているプログラムを実行する。
【0043】
制御部46は、ROMまたは記憶部45に記憶されているプログラムを実行することによって、MFPのファームウェアのアップデート情報をMFPのNFCタグにNFC通信部44を介して送信するアップデート情報送信手段46aと、アップデート情報送信手段46aによってMFPのNFCタグにアップデート情報を送信する場合にMFPのシリアル番号をNFCタグからNFC通信部44を介して受信する識別情報受信手段46bと、識別情報受信手段46bによって受信したシリアル番号を管理サーバー30に通信部43を介して送信する識別情報送信手段46cと、MFPのファームウェアのアップデート情報をMFPのNFCタグからNFC通信部44を介して受信するアップデート情報受信手段46dと、アップデート情報受信手段46dによって受信したアップデート情報を表示部42に表示するアップデート情報表示手段46eとを実現する。
【0044】
次に、ソフトウェアアップデートシステム10の動作について説明する。
【0045】
まず、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶される場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作について説明する。
【0046】
図5は、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶される場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作のシーケンス図である。
【0047】
図5に示す動作が実行される場合、MFP20は、例えば、梱包されている状態、すなわち、MFP20の外部から電源部20aに電力が供給されていない状態である。また、図5に示す動作が実行される場合、MFP20は、例えば、出荷される前であって、他のMFPと共に出荷元に置かれている。
【0048】
図5に示す動作が実行される場合、通信装置40は、例えば、出荷元の作業者によって使用される。なお、図5に示す動作が実行される場合、通信装置40には、MFP20のファームウェア28aのアップデート情報がRAMまたは記憶部45に事前に記憶されている。
【0049】
通信装置40の制御部46は、アップデート情報をMFP20に記憶させる指示が操作部41を介して入力されて、通信装置40がMFP20のNFCタグ27に近付けられると、図5に示す動作を開始する。
【0050】
図5に示すように、通信装置40の識別情報受信手段46bは、MFP20のシリアル番号をNFC通信部44を介してNFCタグ27に要求する(S101)。したがって、NFCタグ27は、シリアル番号27eを通信装置40に送信する(S102)。すなわち、識別情報受信手段46bは、MFP20のシリアル番号27eをNFCタグ27からNFC通信部44を介して受信する。
【0051】
次いで、通信装置40のアップデート情報送信手段46aは、RAMまたは記憶部45に記憶されている、MFP20のファームウェア28aのアップデート情報をNFCタグ27にNFC通信部44を介して送信する(S103)。したがって、NFCタグ27は、S103において送信されてきたアップデート情報をアップデート情報27aとして記憶する(S104)。
【0052】
次いで、通信装置40の識別情報送信手段46cは、S102において受信したシリアル番号を管理サーバー30に通信部43を介して送信する(S105)。したがって、管理サーバー30の識別情報管理手段35aは、S105において送信されてきたシリアル番号を例えば記憶部34に記憶する(S106)。
【0053】
なお、S103の処理は、S101の処理の前に実行されても良い。また、S101の処理がS103の処理の前に実行される場合、S105の処理は、S103の処理の前に実行されても良い。
【0054】
次に、アップデート情報27aが確認される場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作について説明する。
【0055】
図6は、アップデート情報27aが確認される場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作のシーケンス図である。
【0056】
図6に示す動作が実行される場合、MFP20は、例えば、梱包されている状態、すなわち、MFP20の外部から電源部20aに電力が供給されていない状態である。また、図6に示す動作が実行される場合、MFP20は、例えば、出荷先に置かれている。
【0057】
図6に示す動作が実行される場合、通信装置40は、例えば、出荷先でMFP20の初期設定などのセットアップを実行するサービスパーソンによって使用される。なお、図5に示す動作における通信装置40と、図6に示す動作における通信装置40とは、別々の装置でも良い。
【0058】
通信装置40の制御部46は、MFP20のファームウェア28aのアップデート情報をMFP20から取得する指示が操作部41を介して入力されて、通信装置40がMFP20のNFCタグ27に近付けられると、図6に示す動作を開始する。
【0059】
図6に示すように、通信装置40のアップデート情報受信手段46dは、MFP20のファームウェア28aのアップデート情報をNFC通信部44を介してNFCタグ27に要求する(S131)。したがって、NFCタグ27は、アップデート情報27aを通信装置40に送信する(S132)。すなわち、アップデート情報受信手段46dは、NFCタグ27からアップデート情報27aをNFC通信部44を介して受信する。
【0060】
次いで、通信装置40のアップデート情報表示手段46eは、S132において受信したアップデート情報を表示部42に表示する(S133)。
【0061】
したがって、サービスパーソンは、例えば、MFP20のファームウェア28aがアップデートされる必要があるか否かをMFP20の開梱前に表示部42を介して確認することができる。サービスパーソンは、MFP20のファームウェア28aがアップデートされる必要があるか否かをMFP20の開梱前に確認することによって、例えば、MFP20のセットアップに必要な時間を、MFP20の開梱前に、ある程度予測することができる。
【0062】
次に、電力が供給されている状態の電源部20aがONされた場合のMFP20の動作について説明する。
【0063】
図7は、電力が供給されている状態の電源部20aがONされた場合のMFP20の動作のフローチャートである。
【0064】
図7に示す動作が実行される場合、MFP20は、例えば、出荷先で開梱されて設置されている状態である。
【0065】
図7に示すように、MFP20のアップデート手段29aは、電力が供給されている状態の電源部20aがONされると、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されているか否かを判断する(S161)。ここで、アップデート手段29aは、NFCタグ27にアップデート指示情報27bが記憶されている場合に、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されていると判断する。
【0066】
アップデート手段29aは、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されているとS161において判断すると、アップデート情報27aに含まれるアドレス情報27dに基づいて通信部26を介して管理サーバー30にアクセスを試みる(S162)。
【0067】
次いで、アップデート手段29aは、管理サーバー30にアクセス可能であるか否かを判断する(S163)。
【0068】
アップデート手段29aは、管理サーバー30にアクセス可能ではないとS163において判断すると、ファームウェア28aのアップデートが必要であることを通知するための要アップデート通知画面50(図8参照。)を表示部22に表示する(S164)。
【0069】
図8は、要アップデート通知画面50の一例を示す図である。
【0070】
図8に示すように、要アップデート通知画面50は、ファームウェア28aのアップデートが必要であることを示すメッセージ51と、OKボタン52とを含んでいる。アップデート手段29aは、操作部21を介してOKボタン52が押されると、要アップデート通知画面50の表示を終了する。
【0071】
図7に示すように、アップデート手段29aは、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されていないとS161において判断するか、S164の処理を実行すると、ファームウェア28aのアップデートを実行することなく通常起動して(S165)、図7に示す動作を終了する。
【0072】
アップデート手段29aは、管理サーバー30にアクセス可能であるとS163において判断すると、ファームウェア28aをアップデートするための図9に示すアップデート処理を実行する(S166)。
【0073】
図9は、アップデート処理のフローチャートである。
【0074】
図9に示すように、アップデート手段29aは、ファームウェア28aのアップデート用プログラムを通信部26を介して管理サーバー30から取得する(S201)。ここで、アップデート手段29aは、アップデート情報27aに含まれるバージョン情報27cで示されるバージョンにファームウェア28aをアップデートするためのアップデート用プログラムを管理サーバー30に要求する。
【0075】
MFP20のファームウェア28aの新たなバージョンは、S201においてMFP20から管理サーバー30にファームウェア28aのアップデート用プログラムが要求される度に、管理サーバー30によって判断されても良い。新たなバージョンが管理サーバー30によって判断される場合、アップデート情報27aは、バージョン情報27cを含まなくても良い。
【0076】
なお、MFPのファームウェアは、MFPの特定の利用者用にカスタマイズされてMFPのメーカーから提供される場合がある。そのため、MFP20と同一の機種のMFPのファームウェアのバージョンとして管理サーバー30が管理している全てのバージョンのうち最新のバージョンが必ずしもMFP20にとって適切なバージョンであるとは限らない。したがって、MFP20のファームウェア28aの新たなバージョンが管理サーバー30によって判断される場合、MFP20のファームウェア28aの現在のバージョンがMFP20から管理サーバー30に送信されることによって、管理サーバー30は、MFP20のファームウェア28aの現在のバージョンに基づいて、アップデートされるべき新たなバージョンを適切に判断することができる。
【0077】
アップデート手段29aは、S201の処理の後、S201において取得したアップデート用プログラムによってファームウェア28aのアップデートを実行する(S202)。
【0078】
次いで、アップデート手段29aは、NFCタグ27からアップデート情報27aを消去した(S203)後、MFP20の再起動の処理を開始して(S204)、図9に示す動作を終了する。したがって、アップデート手段29aは、電源部20aが一旦OFFされて再びONされる、MFP20の再起動の際に再び図7に示す動作を実行する。そして、その動作において、アップデート手段29aは、今度は、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されていないとS161において判断して、ファームウェア28aのアップデートを実行することなくS165において通常起動する。
【0079】
次に、電力が供給されている状態の電源部20aがONされた場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作について説明する。
【0080】
図10は、電力が供給されている状態の電源部20aがONされた場合のソフトウェアアップデートシステム10の動作のシーケンス図である。
【0081】
MFP20は、電力が供給されている状態の電源部20aがONされると、通信部26を介して管理サーバー30と通信可能になる。管理サーバー30のアップデート指示手段35bは、S106において記憶部34に記憶されたシリアル番号に対応するMFP20と通信可能になったと判断すると、図10に示す動作を実行する。ここで、MFP20の電源部20aがONされた後、図7に示す動作によってMFP20のファームウェア28aのアップデートが実行される可能性があるので、管理サーバー30は、S106において記憶部34に記憶されたシリアル番号に対応するMFP20と通信可能になったと判断した後、特定の時間が経過してから図10に示す動作を実行しても良い。
【0082】
図10に示すように、アップデート指示手段35bは、ファームウェア28aの必要なアップデートがMFP20において未だ実行されていないか否かをMFP20に問い合わせる(S231)。
【0083】
MFP20のアップデート手段29aは、ファームウェア28aの必要なアップデートがMFP20において未だ実行されていないか否かを判断する(S232)。ここで、アップデート手段29aは、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されている場合に、ファームウェア28aの必要なアップデートがMFP20において未だ実行されていないと判断する。一方、アップデート手段29aは、NFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されていない場合に、MFP20において未だ実行されていない、ファームウェア28aの必要なアップデートが存在しないと判断する。
【0084】
アップデート手段29aは、ファームウェア28aの必要なアップデートがMFP20において未だ実行されていないか否かを管理サーバー30に返答する(S233)。
【0085】
管理サーバー30のアップデート指示手段35bは、ファームウェア28aの必要なアップデートがMFP20において未だ実行されていないとS233においてMFP20から返答されると、MFP20にファームウェア28aのアップデートを指示する(S234)。一方、アップデート指示手段35bは、MFP20において未だ実行されていない、ファームウェア28aの必要なアップデートが存在しないとS233においてMFP20から返答されると、MFP20にファームウェア28aのアップデートを指示することはない。
【0086】
MFP20のアップデート手段29aは、ファームウェア28aのアップデートがS234において管理サーバー30から指示されると、図9に示す動作を実行することによって、ファームウェア28aのアップデートを実行する。
【0087】
以上に説明したように、ソフトウェアアップデートシステム10は、MFP20の電源部20aに電力が供給された場合に、MFP20のNFCタグ27にアップデート情報27aが記憶されているとき(S161でYES)、ファームウェア28aのアップデート用プログラムをMFP20が管理サーバー30から取得して(S201)、ファームウェア28aのアップデートを実行する(S202)ので、利便性を向上することができる。
【0088】
ソフトウェアアップデートシステム10は、アップデート情報27aに含まれるアドレス情報27dによって管理サーバー30のアドレスの変更にも対応することができるので、利便性を向上することできる。
【0089】
ソフトウェアアップデートシステム10において、MFP20は、通信部26を介したアップデート用プログラムの取得ができなかった場合(S163でNO)に、ファームウェア28aのアップデートが必要であることを表示部22に表示する(S164)。この構成により、ソフトウェアアップデートシステム10は、MFP20の電源部20aに電力が供給された場合のMFP20によるファームウェア28aの自動的なアップデートが失敗したときにのみ、ファームウェア28aのアップデートが必要であることをMFP20の表示部22に表示するので、利便性を向上することができる。
【0090】
ソフトウェアアップデートシステム10は、MFP20の電源部20aに電力が供給された場合のMFP20によるファームウェア28aの自動的なアップデートが失敗したときであっても、管理サーバー30からMFP20にファームウェア28aのアップデートを指示する(S234)ので、利便性を向上することができる。
【0091】
ソフトウェアアップデートシステム10は、本実施の形態においてMFPのファームウェアをアップデート対象のソフトウェアとしているが、ファームウェア以外のMFPのソフトウェアをアップデート対象のソフトウェアとしても良い。
【0092】
ソフトウェアアップデートシステム10は、本実施の形態において近距離無線通信技術としてNFCを採用しているが、NFC以外の近距離無線通信技術を採用しても良い。
【0093】
本発明の電子機器は、本実施の形態においてMFPであるが、例えば、プリンター専用機、スキャナー専用機、FAX専用機、コピー専用機など、MFP以外の画像形成装置でも良いし、例えばPCなど、画像形成装置以外の電子機器でも良い。
【符号の説明】
【0094】
10 ソフトウェアアップデートシステム
20 MFP(電子機器)
20a 電源部
22 表示部
26 通信部
27 NFCタグ(無線通信記憶部)
27a アップデート情報
27d アドレス情報
27e シリアル番号(識別情報)
28a ファームウェア(ソフトウェア)
29a アップデート手段
30 管理サーバー
35a 識別情報管理手段
35b アップデート指示手段
40 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10