(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る消火システムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<消火システムの概要>
図1に示すように、本実施形態の消火システム1は、燃料補給システム10と、消火原液補給システム20と、ポンプシステム30と、混合システム40と、放水システム50とを含む。以下、消火システム1を構成する各システム10〜50の概要について、
図1を参照しつつ説明する。なお、
図1中の実線の矢印は、液体の流れを示す。
図1中の点線は、液体以外、例えば、電力又は油圧の流れを示す。
【0021】
・燃料補給システムの概要
燃料補給システム10は、燃料の補給部であり、運転中の他のシステム20〜50に燃料を自動供給する。燃料補給システム10が供給する燃料は、例えば、軽油やガソリン等の液体燃料である。燃料補給システム10は、主として、燃料備蓄タンク11と、燃料タンク12と、駆動源13と、ポンプ14とを備える。
【0022】
燃料備蓄タンク11は、例えば、数日から一週間程度の間、消火システム1を稼働させる量の燃料を貯蔵することが可能な大容量を有する。好ましくは、燃料備蓄タンク11は、火災、津波、竜巻などの影響を受けない地下空間に設置される。燃料備蓄タンク11への燃料補給は、例えば、タンクローリー101によって行われる。したがって、道路交通が遮断されない限り、燃料備蓄タンク11内の燃料は、タンクローリー101によって補給され、燃料不足が生じることはない。
【0023】
燃料タンク12は、燃料備蓄タンク11に接続され、燃料備蓄タンク11から燃料の供給を受ける。燃料タンク12に貯蔵された燃料は、ポンプ14の駆動源13を運転するために用いられる。なお、燃料備蓄タンク11から燃料タンク12への燃料供給は、後述する方法によって自動で行ってもよいし、作業員が手動で行ってもよい。
【0024】
駆動源13は、例えば、電動式の場合は、エンジンEと、発電機Gと、モータMとを含む(
図2を参照)。エンジンEは、燃料タンク12からの燃料を消費して駆動し、発電機Gを回転させる。発電機Gに発電された電力は、モータMに供給される。モータMは、ポンプ14を駆動させる。なお、駆動源13は、油圧式であってもよい。油圧式の駆動源13は、エンジンEと、図示しない油圧ポンプとを含む。エンジンEが、油圧ポンプを回転させ、これにより、油圧ポンプが、ポンプ14を駆動させるための油圧を発生させる。エンジンEの形式は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのいずれでもよいが、発電機やポンプの駆動に適したディーゼルエンジンが好ましい。
【0025】
ポンプ14として、例えば、広い流量範囲に渡って効率の良い遠心ポンプを使用するとよい。ポンプ14は、燃料備蓄タンク11に接続され、燃料備蓄タンク11内に貯蔵された燃料を吸引し吐出する。ポンプ14が吐出した燃料は、運転中の他のシステム20〜50に供給される。ポンプ14の動作は、後述する第一制御部16(
図2を参照)によって制御される。ここで、本実施形態の燃料補給システム10は、ポンプ14によって吐出された燃料の出口である複数の第一接続部15d(
図2を参照)を備える。燃料補給システム10から燃料の自動供給を受ける他のシステム20〜50は、いずれも第一接続部15dに接続される。なお、他のシステム20〜50が接続されていない残りの第一接続部15dには、他のシステム20〜50と同様のシステムが接続されてもよい。
【0026】
・消火原液補給システムの概要
消火原液補給システム20は、混合システム40に消火原液を自動供給する補給部である。その一方で、消火原液補給システム20は、燃料補給システム10から燃料を自動供給される消火設備でもある。消火原液補給システム20が供給する消火原液は、例えば、大容量泡放水砲用泡消火薬剤、たん白泡消火薬剤、合成界面活性剤泡消火薬剤、水成膜泡消火薬剤などの原液である。消火原液は、混合システム40によって消火用水と混合され、所定の濃度に希釈された泡消火薬剤となる。消火原液補給システム20は、主として、消火原液備蓄タンク21と、燃料タンク22と、駆動源23と、ポンプ24とを備える。
【0027】
消火原液備蓄タンク21は、数日から一週間程度の間、泡放水による消火活動を行える量の消火原液を貯蔵することが可能な大容量を有する。好ましくは、消火原液備蓄タンク21は、火災、津波、竜巻などの影響を受けない地下空間に設置される。消火原液備蓄タンク21への燃料補給は、例えば、タンクローリー102によって行われる。したがって、道路交通が遮断されない限り、消火原液備蓄タンク21内の消火原液は、タンクローリー102によって補給され、消火原液の不足が生じることはない。
【0028】
燃料タンク(被補給タンク)22は、燃料補給システム10に接続され、燃料備蓄タンク11内の燃料が自動供給される。燃料タンク22に貯蔵された燃料は、ポンプ24の駆動源23を運転するために用いられる。
【0029】
駆動源23は、例えば、電動式の場合は、エンジンEと、発電機Gと、モータMとを含む(
図2を参照)。エンジンEは、燃料タンク22からの燃料を消費して駆動し、発電機Gを回転させる。発電機Gに発電された電力は、モータMに供給される。モータMは、ポンプ24を駆動させる。なお、駆動源23は、油圧式であってもよい。油圧式の駆動源23は、エンジンEと、図示しない油圧ポンプとを含む。エンジンEが、油圧ポンプを回転させ、これにより、油圧ポンプが、ポンプ24を駆動させるための油圧を発生させる。エンジンEの形式は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのいずれでもよいが、発電機やポンプの駆動に適したディーゼルエンジンが好ましい。
【0030】
ポンプ24は、消火原液備蓄タンク21に接続され、消火原液備蓄タンク21内に貯蔵された消火原液を吸引し吐出する。ポンプ24が吐出した消火原液は、運転中の混合システム40に供給される。ポンプ24の動作は、後述する第一制御部26(
図2を参照)によって制御される。ここで、本実施形態の消火原液補給システム20は、ポンプ24によって吐出された消火原液の出口である複数の第一接続部25d(
図2を参照)を備える。混合システム40は、複数の第一接続部25dのうちの一つに接続される。なお、混合システム40が接続されていない残りの第一接続部25dには、図示しない他の混合システムが接続されてもよい。
【0031】
・ポンプシステムの概要
ポンプシステム30は、燃料補給システム10から燃料を自動供給される消火設備である。ポンプシステム30は、混合システム40に消火用水を供給する。ポンプシステム30は、主として、燃料タンク32と、送水用駆動源33と、送水ポンプ34と、取水用駆動源35と、取水ポンプ36とを備える。ここで、ポンプシステム30は、車両に搭載された可搬型設備(
図3〜5を参照)であってもよいし、又は土地や建物に設置された固定型設備であってもよい。
【0032】
燃料タンク(被補給タンク)32は、燃料補給システム10に接続され、燃料備蓄タンク11内の燃料が自動供給される。燃料タンク32に貯蔵された燃料は、送水用駆動源33及び取水用駆動源35を運転するために用いられる。ポンプシステム30を可搬型設備とした場合(
図3〜5を参照)、燃料タンク32は、車両エンジンに燃料を供給するための燃料タンクであってもよい。
【0033】
送水用駆動源33及び取水用駆動源35は、例えば、電動式の場合は、エンジンEと、発電機Gと、モータMとを含む(
図2を参照)。エンジンEは、燃料タンク32からの燃料を消費して駆動し、発電機Gを回転させる。発電機Gに発電された電力は、モータMに供給される。モータMは、送水ポンプ34又は取水ポンプ36を駆動させる。なお、送水用駆動源33及び取水用駆動源35は、油圧式であってもよい。油圧式の送水用駆動源33及び取水用駆動源35は、エンジンEと、図示しない油圧ポンプとを含む。エンジンEが、油圧ポンプを回転させ、これにより、油圧ポンプが、送水ポンプ34又は取水ポンプ36を駆動させるための油圧を発生させる。エンジンEの形式は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのいずれでもよいが、発電機やポンプの駆動に適したディーゼルエンジンが好ましい。また、ポンプシステム30を可搬型設備とした場合(
図3〜5を参照)、送水用駆動源33又は取水用駆動源35の少なくとも一方のエンジンEは、車両エンジンであってもよい。さらに、送水用駆動源33と取水用駆動源35とを一つの駆動源とし、この一つの駆動源が、送水ポンプ34と取水ポンプ36との両方を駆動させる構成としてもよい。
【0034】
送水ポンプ34及び取水ポンプ36は、消火用水を混合システム40に供給する。このうち、取水ポンプ36は、水中への投入が可能な構成となっている。取水ポンプ36は、例えば、海や川などの無限水利に投入され、消火用水を吸引する。送水ポンプ34は、取水ポンプ36に吸引された消火用水を、混合システム40へ吐出する。
【0035】
・混合システムの概要
混合システム40は、燃料補給システム10から燃料を自動供給される消火設備である。混合システム40は、消火原液と消火用水とを所定の割合で混合して、所定の濃度に希釈された泡消火薬剤を生成する。混合システム40は、主として、消火原液タンク41と、燃料タンク42と、駆動源43と、ポンプ44と、混合器45とを備える。ここで、混合システム40は、車両に搭載された可搬型設備(
図3〜5を参照)であってもよいし、又は土地や建物に設置された固定型設備であってもよい。
【0036】
消火原液タンク41は、消火原液補給システム20に接続され、消火原液備蓄タンク21内の消火原液が自動供給される。消火原液タンク41に貯蔵された消火原液は、混合器45に吸引される。
【0037】
燃料タンク(被補給タンク)42は、燃料補給システム10に接続され、燃料備蓄タンク11内の燃料が自動供給される。燃料タンク42に貯蔵された燃料は、駆動源43を運転するために用いられる。混合システム40を可搬型設備とした場合(
図3〜5を参照)、燃料タンク42は、車両エンジンに燃料を供給するための燃料タンクであってもよい。
【0038】
駆動源43は、例えば、電動式の場合は、エンジンEと、発電機Gと、モータMとを含む(
図2を参照)。エンジンEは、燃料タンク42からの燃料を消費して駆動し、発電機Gを回転させる。発電機Gに発電された電力は、モータMに供給される。モータMは、ポンプ44を駆動させる。なお、駆動源43は、油圧式であってもよい。油圧式の駆動源43は、エンジンEと、図示しない油圧ポンプとを含む。エンジンEが、油圧ポンプを回転させ、これにより、油圧ポンプが、ポンプ44を駆動させるための油圧を発生させる。エンジンEの形式は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのいずれでもよいが、発電機やポンプの駆動に適したディーゼルエンジンが好ましい。
【0039】
ポンプ44は、ポンプシステム30に接続され、送水ポンプ34から供給された消火用水を吸引し、混合器45へ吐出する。
【0040】
混合器45は、消火原液タンク41とポンプ44とに接続される。混合器45は、消火原液タンク41内に貯蔵された消火原液と、ポンプ44から供給された消火用水とを所定の割合で混合して、所定の濃度に希釈された泡消火薬剤を生成する。この泡消火薬剤は、放水システム50に供給される。
【0041】
ここで、混合器45は、例えば、図示しないベーンポンプとピストンポンプとで構成される。ベーンポンプの入口は、ポンプ44に接続される。ベーンポンプは、ポンプ44から供給された消火用水の流れにより回転される。一方、ピストンポンプは、ベーンポンプの回転により駆動される。ピストンポンプの入口は、消火原液タンク41に接続される。ピストンポンプの出口は、ベーンポンプの出口に接続される。このような構成により、ピストンポンプは、消火用水の流入量に応じた量の消火原液を、ベーンポンプの出口に供給する。この結果、消火用水と消火原液とが所定の割合で混合される。混合器45により生成された泡消火薬剤は、放水システム50に供給される。なお、ベーンポンプとピストンポンプとで構成される混合器については、共同出願人の一方である日本ドライケミカル株式会社の特願2016−51216に詳しく記載されている。また、混合システム40の混合器45は、ポンプシステム30の送水ポンプ34からの送水によって動作する構成としてもよい。このような構成とした場合は、混合システム40から燃料タンク42、駆動源43、ポンプ44を省略することができる。
【0042】
・放水システムの概要
放水システム50は、燃料補給システム10から燃料を自動供給される消火設備である。放水システム50は、混合システム40から供給された泡消火薬剤を外部へ放出する。放水システム50は、主として、燃料タンク52と、駆動源53と、放水ポンプ54とを備える。また、放水システム50は、泡消火薬剤を発泡させるための発泡機器として、例えば、発泡ノズルを備えた構成としてもよい。ここで、放水システム50は、車両に搭載された可搬型設備(
図3〜5を参照)であってもよいし、又は土地や建物に設置された固定型設備であってもよい。
【0043】
燃料タンク(被補給タンク)52は、燃料補給システム10に接続され、燃料備蓄タンク11内の燃料が自動供給される。燃料タンク52に貯蔵された燃料は、駆動源53を運転するために用いられる。放水システム50を可搬型設備とした場合(
図3〜5を参照)、燃料タンク52は、車両エンジンに燃料を供給するための燃料タンクであってもよい。
【0044】
駆動源53は、例えば、電動式の場合は、エンジンEと、発電機Gと、モータMとを含む(
図2を参照)。エンジンEは、燃料タンク52からの燃料を消費して駆動し、発電機Gを回転させる。発電機Gに発電された電力は、モータMに供給される。モータMは、放水ポンプ54を駆動させる。なお、駆動源53は、油圧式であってもよい。油圧式の駆動源53は、エンジンEと、図示しない油圧ポンプとを含む。エンジンEが、油圧ポンプを回転させ、これにより、油圧ポンプが、放水ポンプ54を駆動させるための油圧を発生させる。エンジンEの形式は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのいずれでもよいが、発電機やポンプの駆動に適したディーゼルエンジンが好ましい。
【0045】
放水ポンプ54は、混合システム40に接続される。放水ポンプ54は、混合器45から供給された泡消火薬剤を吸引し、発泡ノズル等を通じて外部へ放出させる。なお、消火システム1から放水システム50を省略し、混合システム40の混合器45に接続された発泡ノズル等から泡消火薬剤を直接外部へ放出させる構成にしてもよい。
【0046】
<消火システムの回路及び制御>
次に、上述した消火システム1を構成する燃料補給システム10、消火原液補給システム20、ポンプシステム30、混合システム40、放水システム50の回路及び制御について、
図2を参照して詳細に説明する。なお、
図2中の実線の矢印は、液体の流れを示す。
図1中の点線は、液体以外、例えば、電力、信号又は油圧の流れを示す。
【0047】
・燃料補給システムの回路
図2において、燃料補給システム10に含まれる燃料備蓄タンク11、燃料タンク12及びポンプ14については、
図1を参照して既に説明した。また、
図2の燃料補給システム10に含まれるエンジンE、発電機G及びモータMは、
図1の駆動源13に相当する。
【0048】
ポンプ14の一次側及び二次側は、いずれも管路を介して燃料備蓄タンク11に接続される。ポンプ14の二次側に接続された管路には、圧力制御弁14aが設けられる。さらに、ポンプ14の二次側に接続された管路には、第一管路15の一次側が接続される。第一管路15の二次側は、複数に分岐しており、分岐した各端部には、弁を介して第一接続部15dが設けられる。複数の第一接続部15dは、例えば、複数の接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。
【0049】
燃料備蓄タンク11に貯蔵された燃料は、ポンプ14に吸引され、第一管路15を通って複数の第一接続部15dに流れる。一方、ポンプ14の吐出圧が予め設定された一定圧力を超えた場合は、圧力制御弁14aが開いた状態になる。これにより、ポンプ14から吐出された燃料は、再び燃料備蓄タンク11に戻される。この結果、第一管路15の一次側(次に述べる第一オリフィス15aの一次側)の圧力が一定に保たれ、第一管路15に適切な流量範囲内の燃料が吐出されるようになる。
【0050】
第一管路15には、第一オリフィス15a、第一弁15b及び圧力センサ15cが設けられる。第一弁15bは、第一管路15の一次側に位置する。第一弁15bは、第一管路15内への燃料の流れを許容又は停止させる。第一オリフィス15aは、第一管路15における第一弁15bの二次側に位置する。第一オリフィス15aは、第一管路15の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第一オリフィス15aは、第一管路15内を流れる燃料の流量及び圧力を制御する。
【0051】
圧力センサ15cは、第一管路15における第一オリフィス15aの二次側の圧力を検出して信号を送信する。本実施形態の圧力センサ15cには、二種類の圧力P1、P2が設定される。圧力P1は上限、圧力P2は下限を示し、P1>P2の関係を有する。圧力センサ15cは、圧力P1以上の圧力を検出したときに信号Hを送信し、圧力P2以下の圧力を検出したときに信号Lを送信する。
【0052】
第一制御部16は、レベルセンサ11a、ポンプ14のモータM、第一弁15b、圧力センサ15c及び複数のタイマーTMのそれぞれに電気的に接続される。第一制御部16は、レベルセンサ11a、圧力センサ15c及び複数のタイマーTMからの信号に基づいて、ポンプ14及び第一弁15bを制御する。すなわち、燃料補給システム10による燃料の自動供給は、第一制御部16の制御によって実現される。以下、第一制御部16による燃料補給システム10の制御について説明する。
【0053】
・燃料補給システムの制御(燃料の供給)
第一制御部16は、圧力センサ15cからの信号Lに基づいて、直ちにポンプ14のモータMを駆動させ、その後、第一弁15bを開いた状態にする。これにより、燃料備蓄タンク11から複数の第一接続部15dへの燃料供給が開始される。
【0054】
ここで、本実施形態の燃料補給システム10は、一つのタイマーTMを用いて、信号Lを受信した時点からの所定時間Tを計測する。第一制御部16は、所定時間Tが経過しても、第一管路15における第一オリフィス15aの二次側が圧力P2を超えない場合は、ポンプ14のモータMを停止させて警報を発するようにしてある。ここで用いられるタイマーTMは、圧力P2を超える圧力が検出された場合にリセットされる。
【0055】
一方、第一制御部16は、圧力センサ15cからの信号Hに基づいて、第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させる。これにより、燃料備蓄タンク11から複数の第一接続部15dへの燃料供給が停止される。
【0056】
ここで、本実施形態の燃料補給システム10は、二つのタイマーTMを用いて、第一弁15bが閉じられる時間と、ポンプ14のモータMが停止される時間とを遅延させている。二つのタイマーTMの遅延時間は同じであってもよいが、ポンプ14のモータMが停止される遅延時間の方を長くすることが好ましい。すなわち、第一弁15bが閉じられた後に、ポンプ14のモータMが停止されるようにするとよい。なお、第一制御部16は、タイマーTMを用いずに、圧力センサ15cからの信号Hを受信した時点で、直ちに第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させるようにしてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態の燃料備蓄タンク11には、レベルセンサ11aが設けられる。レベルセンサ11aは、燃料備蓄タンク11内の燃料が設定レベル以下となったときに信号を送信する。第一制御部16は、レベルセンサ11aからの信号に基づいて、ポンプ14のモータMを停止させる。
【0058】
・消火原液補給システムの回路
図2において、消火原液補給システム20に含まれる消火原液備蓄タンク21、燃料タンク22及びポンプ24については、
図1を参照して既に説明した。また、
図2の消火原液補給システム20に含まれるエンジンE、発電機G及びモータMは、
図1の駆動源23に相当する。
【0059】
ポンプ24の一次側及び二次側は、いずれも管路を介して消火原液備蓄タンク21に接続される。ポンプ24の二次側に接続された管路には、圧力制御弁24aが設けられる。さらに、ポンプ24の二次側に接続された管路には、第一管路25の一次側が接続される。第一管路25の二次側は、複数に分岐しており、分岐した各端部には、弁を介して第一接続部25dが設けられる。複数の第一接続部25dは、例えば、複数の接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。
【0060】
消火原液備蓄タンク21に貯蔵された消火原液は、ポンプ24に吸引され、第一管路25を通って複数の第一接続部25dに流れる。一方、ポンプ24の吐出圧が予め設定された一定圧力を超えた場合は、圧力制御弁24aが開いた状態になる。これにより、ポンプ24から吐出された消火原液は、再び消火原液備蓄タンク21に戻される。この結果、第一管路25の一次側(次に述べる第一オリフィス25aの一次側)の圧力が一定に保たれる。
【0061】
第一管路25には、第一オリフィス25a、第一弁25b及び圧力センサ25cが設けられる。第一弁25bは、第一管路25の一次側に位置する。第一弁25bは、第一管路25内への消火原液の流れを許容又は停止させる。第一オリフィス25aは、第一管路25における第一弁25bの二次側に位置する。第一オリフィス25aは、第一管路25の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第一オリフィス25aは、第一管路25内を流れる消火原液の流量及び圧力を制御する。
【0062】
圧力センサ25cは、第一管路25における第一オリフィス25aの二次側の圧力を検出して信号を送信する。本実施形態の圧力センサ25cには、二種類の圧力P1、P2が設定される。圧力P1は上限、圧力P2は下限を示し、P1>P2の関係を有する。圧力センサ25cは、圧力P1以上の圧力を検出したときに信号Hを送信し、圧力P2以下の圧力を検出したときに信号Lを送信する。
【0063】
第一制御部26は、レベルセンサ21a、ポンプ24のモータM、第一弁25b、圧力センサ25c及び複数のタイマーTMのそれぞれに電気的に接続される。第一制御部26は、レベルセンサ21a、圧力センサ25c及び複数のタイマーTMからの信号に基づいて、ポンプ24及び第一弁25bを制御する。すなわち、消火原液補給システム20による消火原液の自動供給は、第一制御部26の制御によって実現される。第一制御部26による消火原液補給システム20の制御については、後述する。
【0064】
ここで、消火原液補給システム20の燃料タンク22は、上述した燃料補給システム10に接続される。燃料補給システム10には、上述した複数の第一接続部15dが設けられる。これに対し、消火原液補給システム20には、第一接続部15dに対応する第二接続部27cが設けられる。第二接続部27cは、例えば、接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。第一接続部15dと第二接続部27cとは、ホース17によって互いに接続される。ホース17は、燃料補給システム10と消火原液補給システム20との間の距離を想定した長さとする。燃料タンク22は、第二接続部27cを介して、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。
【0065】
燃料タンク22は、第二管路27を介して第二接続部27cと接続される。第二管路27には、第二オリフィス27a及び第二弁27bが設けられる。第二オリフィス27aは、第二管路27の一次側に位置する。第二オリフィス27aは、第二管路27の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第二オリフィス27aは、第二管路27内を流れる燃料の流量及び圧力を制御する。第二弁27bは、第二オリフィス27aの二次側に位置する。第二弁27bは、第二管路27内への燃料の流れを許容又は停止させる。
【0066】
さらに、燃料タンク22には、レベルセンサ22aが設けられる。レベルセンサ22aは、燃料タンク22内の燃料が設定レベル以下となったときに信号を送信する。本実施形態のレベルセンサ22aには、二種類のレベルX1、X2が設定される。レベルX1は上限、レベルX2は下限を示し、X1>X2の関係を有する。レベルセンサ22aは、燃料タンク22内の燃料がレベルX1以上となったときに信号Hを送信し、レベルX2以下となったときに信号Lを送信する。
【0067】
第二制御部28は、レベルセンサ22a及び第二弁27bに接続される。第二制御部28は、レベルセンサ22aからの信号に基づいて、第二弁27bを制御する。第二制御部28による第二弁27bの制御については、後述する。
【0068】
・消火原液補給システムの制御1(消火原液の供給)
第一制御部26は、圧力センサ25cからの信号Lに基づいて、直ちにポンプ24のモータMを駆動させ、その後、第一弁25bを開いた状態にする。これにより、消火原液備蓄タンク21から複数の第一接続部25dへの消火原液の供給が開始される。
【0069】
ここで、本実施形態の消火原液補給システム20は、一つのタイマーTMを用いて、信号Lを受信した時点からの所定時間Tを計測している。第一制御部26は、所定時間Tが経過しても、第一管路25における第一オリフィス25aの二次側が圧力P2を超えない場合は、ポンプ24のモータMを停止させて警報を発するようにしてある。ここで用いられるタイマーTMは、圧力P2を超える圧力が検出された場合にリセットされる。
【0070】
一方、第一制御部26は、圧力センサ25cからの信号Hに基づいて、第一弁25bを閉じた状態にして、ポンプ24のモータMを停止させる。これにより、消火原液備蓄タンク21から複数の第一接続部25dへの消火原液の供給が停止される。
【0071】
ここで、本実施形態の消火原液補給システム20は、二つのタイマーTMを用いて、第一弁25bが閉じられる時間と、ポンプ24のモータMが停止される時間とを遅延させている。二つのタイマーTMの遅延時間は同じであってもよいが、ポンプ24のモータMが停止される遅延時間の方を長くすることが好ましい。すなわち、第一弁25bが閉じられた後に、ポンプ24のモータMが停止されるようにするとよい。なお、第一制御部26は、タイマーTMを用いずに、圧力センサ25cからの信号Hを受信した時点で、直ちに第一弁25bを閉じた状態にして、ポンプ24のモータMを停止させるようにしてもよい。
【0072】
さらに、本実施形態の消火原液備蓄タンク21には、レベルセンサ21aが設けられる。レベルセンサ21aは、消火原液備蓄タンク21内の消火原液が設定レベル以下となったときに信号を送信する。第一制御部26は、レベルセンサ21aからの信号に基づいて、ポンプ24のモータMを停止させる。
【0073】
・消火原液補給システムの制御2(燃料の供給)
第二制御部28は、レベルセンサ22aからの信号Lに基づいて、直ちに第二弁27bを開いた状態にする。第二弁27bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しており、第一弁15bが開いた状態となっている場合は、燃料補給システム10の第一管路15内を流れる燃料が、ホース17及び第二管路27を介して、燃料タンク22に供給される。
【0074】
ここで、第二弁27bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しておらず、第一弁15bが閉じた状態となっている場合がある。このような場合でも、消火原液補給システム20の第二弁27bが開いた状態となれば、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れ、第一オリフィス15aの二次側が圧力P2以下となる。この結果、燃料補給システム10は、ポンプ14のモータMを駆動させ、第一弁15bを開いた状態にする。
【0075】
一方、第二制御部28は、レベルセンサ22aからの信号Hに基づいて、直ちに第二弁27bを閉じた状態にする。これにより、燃料タンク22への燃料供給が停止される。その後、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れなくなれば、第一オリフィス15aの二次側は圧力P1以上となる。この結果、燃料補給システム10は、第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させる。
【0076】
・ポンプシステムの回路
図2において、ポンプシステム30に含まれる燃料タンク32、送水ポンプ34及び取水ポンプ36については、
図1を参照して既に説明した。また、
図2のポンプシステム30に含まれるエンジンE、発電機G及びモータMは、
図1の送水用駆動源33又は取水用駆動源35に相当する。
【0077】
ポンプシステム30の燃料タンク32は、上述した燃料補給システム10に接続される。燃料補給システム10には、上述した複数の第一接続部15dが設けられる。これに対し、ポンプシステム30には、第一接続部15dに対応する第二接続部37cが設けられる。第二接続部37cは、例えば、接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。第一接続部15dと第二接続部37cとは、ホース17によって互いに接続される。ホース17は、燃料補給システム10とポンプシステム30との間の距離を想定した長さとする。燃料タンク32は、第二接続部37cを介して、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。
【0078】
燃料タンク32は、第二管路37を介して第二接続部37cと接続される。第二管路37には、第二オリフィス37a及び第二弁37bが設けられる。第二オリフィス37aは、第二管路37の一次側に位置する。第二オリフィス37aは、第二管路37の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第二オリフィス37aは、第二管路37内を流れる燃料の流量及び圧力を制御する。第二弁37bは、第二オリフィス37aの二次側に位置する。第二弁37bは、第二管路37内への燃料の流れを許容又は停止させる。
【0079】
さらに、燃料タンク32には、レベルセンサ32aが設けられる。レベルセンサ32aは、燃料タンク32内の燃料が設定レベル以下となったときに信号を送信する。本実施形態のレベルセンサ32aには、二種類のレベルX1、X2が設定される。レベルX1は上限、レベルX2は下限を示し、X1>X2の関係を有する。レベルセンサ32aは、燃料タンク32内の燃料がレベルX1以上となったときに信号Hを送信し、レベルX2以下となったときに信号Lを送信する。
【0080】
第二制御部38は、レベルセンサ32a及び第二弁37bに接続される。第二制御部38は、レベルセンサ32aからの信号に基づいて、第二弁37bを制御する。第二制御部38による第二弁37bの制御については、後述する。
【0081】
取水ポンプ36のモータMは、電源ケーブルを介して発電機Gに接続される。また、取水ポンプ36のポンプPは、ホースを介して送水ポンプ34に接続される。取水ポンプ36は、ポンプシステム30に積み下ろし可能であり、ホース及び電源ケーブルが接続された状態で水中に投入される。送水ポンプ34は、混合システム40のポンプ44に接続される。
【0082】
・ポンプシステムの制御(燃料の供給)
第二制御部38は、レベルセンサ32aからの信号Lに基づいて、直ちに第二弁37bを開いた状態にする。第二弁37bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しており、第一弁15bが開いた状態となっている場合は、燃料補給システム10の第一管路15内を流れる燃料が、ホース17及び第二管路37を介して、燃料タンク32に供給される。
【0083】
ここで、第二弁37bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しておらず、第一弁15bが閉じた状態となっている場合がある。このような場合でも、ポンプシステム30の第二弁37bが開いた状態となれば、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れ、第一オリフィス15aの二次側が圧力P2以下となる。この結果、燃料補給システム10は、ポンプ14のモータMを駆動させ、第一弁15bを開いた状態にする。
【0084】
一方、第二制御部38は、レベルセンサ32aからの信号Hに基づいて、直ちに第二弁37bを閉じた状態にする。これにより、燃料タンク32への燃料供給が停止される。その後、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れなくなれば、第一オリフィス15aの二次側は圧力P1以上となる。この結果、燃料補給システム10は、第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させる。
【0085】
・混合システムの回路
図2において、混合システム40に含まれる消火原液タンク41、燃料タンク42、ポンプ44及び混合器45については、
図1を参照して既に説明した。また、
図2の混合システム40に含まれるエンジンE、発電機G及びモータMは、
図1の駆動源43に相当する。
【0086】
上述したように、混合システム40は、消火原液タンク41と燃料タンク42とを備える。まず、消火原液タンク41に関係する回路の構成について説明する。混合システム40の消火原液タンク41は、上述した消火原液補給システム20に接続される。消火原液補給システム20には、上述した複数の第一接続部25dが設けられる。これに対し、混合システム40には、第一接続部25dに対応する第二接続部46cが設けられる。第二接続部46cは、例えば、接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。第一接続部25dと第二接続部46cとは、ホース17によって互いに接続される。ホース17は、消火原液補給システム20と混合システム40との間の距離を想定した長さとする。消火原液タンク41は、第二接続部46cを介して、消火原液補給システム20から消火原液の供給を受ける。
【0087】
消火原液タンク41は、第二管路46を介して第二接続部46cと接続される。第二管路46には、第二オリフィス46a及び第二弁46bが設けられる。第二オリフィス46aは、第二管路46の一次側に位置する。第二オリフィス46aは、第二管路46の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第二オリフィス46aは、第二管路46内を流れる消火原液の流量及び圧力を制御する。第二弁46bは、第二オリフィス46aの二次側に位置する。第二弁46bは、第二管路46内への消火原液の流れを許容又は停止させる。
【0088】
さらに、消火原液タンク41には、レベルセンサ41aが設けられる。レベルセンサ41aは、消火原液タンク41内の消火原液が設定レベル以下となったときに信号を送信する。本実施形態のレベルセンサ41aには、二種類のレベルX1、X2が設定される。レベルX1は上限、レベルX2は下限を示し、X1>X2の関係を有する。レベルセンサ41aは、消火原液タンク41内の消火原液がレベルX1以上となったときに信号Hを送信し、レベルX2以下となったときに信号Lを送信する。
【0089】
第二制御部48は、レベルセンサ41a及び第二弁46bに接続される。第二制御部48は、レベルセンサ41aからの信号に基づいて、第二弁46bを制御する。第二制御部48による第二弁46bの制御については、後述する。
【0090】
次に、燃料タンク42に関係する回路の構成について説明する。混合システム40の燃料タンク42は、上述した燃料補給システム10に接続される。燃料補給システム10には、上述した複数の第一接続部15dが設けられる。これに対し、混合システム40には、第一接続部15dに対応する第二接続部47cが設けられる。第二接続部47cは、例えば、接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。第一接続部15dと第二接続部47cとは、ホース17によって互いに接続される。ホース17は、燃料補給システム10と混合システム40との間の距離を想定した長さとする。燃料タンク42は、第二接続部47cを介して、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。
【0091】
燃料タンク42は、第二管路47を介して第二接続部47cと接続される。第二管路47には、第二オリフィス47a及び第二弁47bが設けられる。第二オリフィス47aは、第二管路47の一次側に位置する。第二オリフィス47aは、第二管路47の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第二オリフィス47aは、第二管路47内を流れる燃料の流量及び圧力を制御する。第二弁47bは、第二オリフィス47aの二次側に位置する。第二弁47bは、第二管路47内への燃料の流れを許容又は停止させる。
【0092】
さらに、燃料タンク42には、レベルセンサ42aが設けられる。レベルセンサ42aは、燃料タンク42内の燃料が設定レベル以下となったときに信号を送信する。本実施形態のレベルセンサ42aには、二種類のレベルX1、X2が設定される。レベルX1は上限、レベルX2は下限を示し、X1>X2の関係を有する。レベルセンサ42aは、燃料タンク42内の燃料がレベルX1以上となったときに信号Hを送信し、レベルX2以下となったときに信号Lを送信する。
【0093】
第二制御部49は、レベルセンサ42a及び第二弁47bに接続される。第二制御部49は、レベルセンサ42aからの信号に基づいて、第二弁47bを制御する。第二制御部49による第二弁47bの制御については、後述する。
【0094】
混合器45の二つの入口は、消火原液タンク41及びポンプ44に接続される。混合器45は、消火原液タンク41内に貯蔵された消火原液と、ポンプ44から供給された消火用水とを所定の割合で混合して、所定の濃度に希釈された泡消火薬剤を生成する。また、混合器45の出口は、放水システム50の放水ポンプ54に接続される。
【0095】
・混合システムの制御(消火原液の供給)
まず、消火原液タンク41の第二制御部48による消火原液の供給制御について説明する。第二制御部48は、レベルセンサ41aからの信号Lに基づいて、直ちに第二弁46bを開いた状態にする。第二弁46bが開かれた時点で、消火原液補給システム20のポンプ24のモータMが駆動しており、第一弁25bが開いた状態となっている場合は、消火原液補給システム20の第一管路25内を流れる消火原液が、ホース17及び第二管路46を介して、消火原液タンク41に供給される。
【0096】
ここで、第二弁46bが開かれた時点で、消火原液補給システム20のポンプ24のモータMが駆動しておらず、第一弁25bが閉じた状態となっている場合がある。このような場合でも、混合システム40の第二弁46bが開いた状態となれば、消火原液補給システム20の第一管路25内の消火原液が外部へ流れ、第一オリフィス25aの二次側が圧力P2以下となる。この結果、消火原液補給システム20は、ポンプ24のモータMを駆動させ、第一弁25bを開いた状態にする。
【0097】
一方、第二制御部48は、レベルセンサ41aからの信号Hに基づいて、直ちに第二弁46bを閉じた状態にする。これにより、消火原液タンク41への消火原液の供給が停止される。その後、消火原液補給システム20の第一管路25内の消火原液が外部へ流れなくなれば、第一オリフィス25aの二次側は圧力P1以上となる。この結果、消火原液補給システム20は、第一弁25bを閉じた状態にして、ポンプ24のモータMを停止させる。
【0098】
・混合システムの制御(燃料の供給)
次に、燃料タンク42の第二制御部49による燃料の供給制御について説明する。第二制御部49は、レベルセンサ42aからの信号Lに基づいて、直ちに第二弁47bを開いた状態にする。第二弁47bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しており、第一弁15bが開いた状態となっている場合は、燃料補給システム10の第一管路15内を流れる燃料が、ホース17及び第二管路47を介して、燃料タンク42に供給される。
【0099】
ここで、第二弁47bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しておらず、第一弁15bが閉じた状態となっている場合がある。このような場合でも、混合システム40の第二弁47bが開いた状態となれば、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れ、第一オリフィス15aの二次側が圧力P2以下となる。この結果、燃料補給システム10は、ポンプ14のモータMを駆動させ、第一弁15bを開いた状態にする。
【0100】
一方、第二制御部49は、レベルセンサ42aからの信号Hに基づいて、直ちに第二弁47bを閉じた状態にする。これにより、燃料タンク42への燃料供給が停止される。その後、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れなくなれば、第一オリフィス15aの二次側は圧力P1以上となる。この結果、燃料補給システム10は、第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させる。
【0101】
・放水システムの回路
図2において、放水システム50に含まれる燃料タンク52及び放水ポンプ54については、
図1を参照して既に説明した。また、
図2の放水システム50に含まれるエンジンE、発電機G及びモータMは、
図1の駆動源53に相当する。
【0102】
放水システム50の燃料タンク52は、上述した燃料補給システム10に接続される。燃料補給システム10には、上述した複数の第一接続部15dが設けられる。これに対し、放水システム50には、第一接続部15dに対応する第二接続部55cが設けられる。第二接続部55cは、例えば、接続金具を備えたホース接続ヘッダーである。第一接続部15dと第二接続部55cとは、ホース17によって互いに接続される。ホース17は、燃料補給システム10と放水システム50との間の距離を想定した長さとする。燃料タンク52は、第二接続部55cを介して、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。
【0103】
燃料タンク52は、第二管路55を介して第二接続部55cと接続される。第二管路55には、第二オリフィス55a及び第二弁55bが設けられる。第二オリフィス55aは、第二管路55の一次側に位置する。第二オリフィス55aは、第二管路55の内径よりも小さい直径の円孔を有する。第二オリフィス55aは、第二管路55内を流れる燃料の流量及び圧力を制御する。第二弁55bは、第二オリフィス55aの二次側に位置する。第二弁55bは、第二管路55内への燃料の流れを許容又は停止させる。
【0104】
さらに、燃料タンク52には、レベルセンサ52aが設けられる。レベルセンサ52aは、燃料タンク52内の燃料が設定レベル以下となったときに信号を送信する。本実施形態のレベルセンサ52aには、二種類のレベルX1、X2が設定される。レベルX1は上限、レベルX2は下限を示し、X1>X2の関係を有する。レベルセンサ52aは、燃料タンク52内の燃料がレベルX1以上となったときに信号Hを送信し、レベルX2以下となったときに信号Lを送信する。
【0105】
第二制御部56は、レベルセンサ52a及び第二弁55bに接続される。第二制御部56は、レベルセンサ52aからの信号に基づいて、第二弁55bを制御する。第二制御部56による第二弁55bの制御については、後述する。
【0106】
放水ポンプ54の入口は、上述した混合システム40の混合器45に接続される。放水ポンプ54の出口は、発泡ノズル等に接続される。放水ポンプ54は、混合器45から供給された泡消火薬剤を吸引し、泡消火薬剤を発泡ノズル等で発泡させて泡放水する。
【0107】
・放水システムの制御(燃料の供給)
第二制御部56は、レベルセンサ52aからの信号Lに基づいて、直ちに第二弁55bを開いた状態にする。第二弁55bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しており、第一弁15bが開いた状態となっている場合は、燃料補給システム10の第一管路15内を流れる燃料が、ホース17及び第二管路55を介して、燃料タンク52に供給される。
【0108】
ここで、第二弁55bが開かれた時点で、燃料補給システム10のポンプ14のモータMが駆動しておらず、第一弁15bが閉じた状態となっている場合がある。このような場合でも、放水システム50の第二弁55bが開いた状態となれば、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れ、第一オリフィス15aの二次側が圧力P2以下となる。この結果、燃料補給システム10は、ポンプ14のモータMを駆動させ、第一弁15bを開いた状態にする。
【0109】
一方、第二制御部56は、レベルセンサ52aからの信号Hに基づいて、直ちに第二弁55bを閉じた状態にする。これにより、燃料タンク52への燃料供給が停止される。その後、燃料補給システム10の第一管路15内の燃料が外部へ流れなくなれば、第一オリフィス15aの二次側は圧力P1以上となる。この結果、燃料補給システム10は、第一弁15bを閉じた状態にして、ポンプ14のモータMを停止させる。
【0110】
<第一実施形態>
次に、上述した
図1及び
図2の消火システムの第一実施形態について、
図3を参照しつつ説明する。
【0111】
図3に示すように、第一実施形態の消火システム2は、上述した燃料補給システム10、消火原液補給システム20、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50を備える。燃料補給システム10及び消火原液補給システム20は、土地や建物に設置された固定型設備であり、一方、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50は、それぞれが別個の車両に搭載された可搬型設備である。
【0112】
第一実施形態の燃料補給システム10及び消火原液補給システム20は、例えば、石油コンビナートや原子力発電所などの敷地内に設置される。燃料補給システム10及び消火原液補給システム20を固定型設備としたことにより、燃料備蓄タンク11及び消火原液備蓄タンク21を極めて大容量とすることが可能である。燃料備蓄タンク11及び消火原液備蓄タンク21は、例えば、数日から一週間程度の間、消火システム2を稼働させる量の燃料を貯蔵することが可能な大容量を有する。
【0113】
消火原液補給システム20は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10及び混合システム40のそれぞれに接続される。運転中の消火原液補給システム20は、混合システム40に消火原液を供給するとともに、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。これにより、消火原液補給システム20は、長時間に渡り連続的に大量の消火原液を混合システム40へ供給することができる。
【0114】
第一実施形態のポンプシステム30は、車両に搭載されることにより、例えば、消防ポンプ自動車を構成する。消防ポンプ自動車としてのポンプシステム30は、火災発生時において、無限水利などの水源近くに配置される。取水ポンプ36は、車両から下され、海や川などの水中に投入される。ポンプシステム30は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10及び混合システム40のそれぞれに接続される。運転中のポンプシステム30は、混合システム40に消火用水を供給するとともに、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。これにより、ポンプシステム30は、長時間に渡り連続的に大量の消火用水を混合システム40へ供給することができる。
【0115】
第一実施形態の混合システム40は、車両に搭載されることにより、例えば、化学消防車を構成する。化学消防車としての混合システム40は、火災発生時において、ポンプシステム30と放水システム50との間であって、例えば、放水システム50の近傍に配置される。混合システム40は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10、消火原液補給システム20、ポンプシステム30及び放水システム50のそれぞれに接続される。運転中の混合システム40は、消火原液補給システム20から消火原液の供給を受けるとともに、ポンプシステム30から消火用水の供給を受け、消火用水と消火原液との混合液(泡消火薬剤)を放水システム50へ供給する。さらに、運転中の混合システム40は、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。これにより、混合システム40は、長時間に渡り連続的に大量の泡消火薬剤を放水システム50へ供給することができる。
【0116】
第一実施形態の放水システム50は、車両に搭載されることにより、例えば、放水車、高所放水車、屈折放水塔車又は大容量泡放水砲等を構成する。放水車等としての放水システム50は、火災発生時において、例えば、石油タンク等の火災現場付近に配置される。放水システム50は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10及び混合システム40のそれぞれに接続される。運転中の放水システム50は、混合システム40から泡消火薬剤の供給を受け、発泡ノズル等から泡放水を行う。さらに、運転中の放水システム50は、燃料補給システム10から燃料の供給を受ける。これにより、放水システム50は、長時間に渡り連続的に大量の泡放水を行うことが可能である。
【0117】
<第二実施形態>
次に、上述した
図1及び
図2の消火システムの第二実施形態について、
図4を参照しつつ説明する。
【0118】
図4に示すように、第二実施形態の消火システム3は、ポンプシステム30及び混合システム40が一台の車両に搭載され、例えば、化学消防ポンプ自動車を構成する。ポンプシステム30及び混合システム40は、車両内に配される図示しないホースを介して、互いに接続される。また、ポンプシステム30及び混合システム40は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10に接続される。さらに、混合システム40は、図示しない車両外のホースを介して、消火原液補給システム及20及び放水システム50に接続される。第二実施形態の消火システム3のその他の構成は、上述した第一実施形態と同様であり、長時間に渡り連続的に大量の泡放水を行うことが可能である。
【0119】
第二実施形態の消火システム3によれば、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50が二台の可搬型設備に集約される。これにより、火災発生時において、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50を迅速に配備することができる。また、火災発生時に屋外に配されるホースの数が削減され、作業員によるホース接続の手間が軽減される。また、本実施形態において、ポンプシステム30及び混合システム40は、一つの燃料タンクを共有してもよい。さらに、放水システム50と混合システム40との駆動源を一つにすれば、消火設備の構成が簡素化、小型化及び軽量化される。
【0120】
<第三実施形態>
次に、上述した
図1及び
図2の消火システムの第三実施形態について、
図5を参照しつつ説明する。
【0121】
図5に示すように、第三実施形態の消火システム4は、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50が一台の車両に搭載され、例えば、大型化学消防車を構成する。この大型化学消防車は、泡消火薬剤を発泡させるための発泡ノズルを備える。ポンプシステム30及び混合システム40は、車両内に配される図示しないホースを介して、互いに接続される。これと同様に、混合システム40及び放水システム50も、車両内に配される図示しないホースを介して、互いに接続される。また、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50は、屋外に配される図示しないホースを介して、燃料補給システム10に接続される。さらに、混合システム40は、屋外に配される図示しないホースを介して、消火原液補給システム20に接続される。第三実施形態の消火システム4のその他の構成は、上述した第一実施形態と同様であり、長時間に渡り連続的に大量の泡放水を行うことが可能である。
【0122】
第三実施形態の消火システム4によれば、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50が一台の可搬型設備に集約される。これにより、火災発生時において、ポンプシステム30、混合システム40及び放水システム50を極めて迅速に配備することができる。また、火災発生時に屋外に配されるホースの数がより削減され、作業員によるホース接続の手間が大幅に軽減される。第三実施形態の消火システム4は、機動力が高く、火災現場への迅速な配備が可能であり、火災発生から早期に実施される初期消火に好適である。さらに、本実施形態において、ポンプシステム30及び混合システム40は、一つの燃料タンクを共有してもよい。これに加え、放水システム50と混合システム40との駆動源を一つにすれば、消火設備の構成が簡素化、小型化及び軽量化される。
【0123】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の消火システムによれば、補給部である燃料補給システムは、自らの第一管路の圧力に基づいて、複数の消火設備である消火原液補給システム、ポンプシステム、混合システム及び放水システムに燃料を自動供給することができる。これと同様に、補給部としての消火原液補給システムも、自らの第一管路の圧力に基づいて、複数の消火設備である複数の混合システムに消火原液を自動供給することができる。つまり、本実施形態の消火システムは、個々の消火設備の状態を監視することなく、極めて簡単な制御方法により、運転中の複数の消火設備に燃料及び消火原液を自動供給することができるのである。
【0124】
したがって、本実施形態の消火システムは、従来技術のような、補給部と消火設備とを接続するための信号ケーブルが不要であり、信号ケーブルの断線等に起因する故障の可能性を排除することができる。また、本実施形態の消火システムは、複数の消火設備に対して、燃料のみならず消火原液をも自動供給することができ、これにより、長時間に渡る連続的な大量の泡放水が実現される。
【0125】
ここで、本実施形態の消火システムは、燃料補給システム及び消火原液補給システムにおける第一管路の圧力を正確に検知することが可能である。すなわち、本実施形態の消火システムは、補給部側の第一管路に第一オリフィスを設けるとともに、複数の消火設備側の各第二管路に第二オリフィスを設けた構成となっている。そして、第一及び第二オリフィスの孔径を所定の大きさに設定することにより、第一及び第二オリフィスの間に燃料又は消火原液が流れている状態での所定の圧力範囲を設定することができる。この結果、各消火設備の第二弁が開閉されたときに、第一管路の圧力変化をより正確に検知することが可能となる。
【0126】
また、消火設備の燃料タンク又は消火原液タンクの液面レベルが振動などによって頻繁に上下動を繰り返すことがある。そこで、本実施形態の消火システムでは、第一管路が所定の圧力P1以上となった場合でも、直ちに第一弁を閉じたり、ポンプを停止させたりせず、所定の遅延時間が経過した後に、第一弁を閉じ、ポンプを停止させるようにしている。このような遅延制御により、液面レベルの頻繁な上下動に追随して、第一弁の開閉及びポンプの駆動・停止が繰り返されることがなくなり、第一弁及びポンプの損耗が防止される。
【0127】
さらに、本実施形態の消火システムでは、燃料又は消火原液の供給を開始してから所定時間が経過しても、第一管路が所定の圧力P2を超えない場合は、ポンプを停止させて警報を発するようにしてある。これにより、燃料又は消火原液の漏洩による被害を最小限に抑えることができる。
【0128】
これに加え、本実施形態の消火システムでは、燃料又は消火原液を吸引するポンプの吐出圧が予め設定された一定圧力を超えた場合は、圧力制御弁が開いた状態になり、ポンプから吐出された燃料又は消火原液が、再び燃料貯蔵タンク又は消火原液貯蔵タンクに戻されるようにしてある。これにより、第一管路の一次側(第一オリフィスの一次側)の圧力が一定に保たれ、常に、適切な流量の燃料又は消火原液が第一管路に送出される。
【0129】
<その他の変更>
本発明の消火システムは、上述した実施形態の構成、制御方法に限定されるものではない。例えば、補給部である燃料補給システム及び消火原液補給システムは、車両に搭載された可搬型設備としてもよい。逆に、消火設備であるポンプシステム、混合システム、放水システムは、土地や建物に設置された固定型設備としてもよい。
【0130】
また、上述した実施形態の消火システムは、第一管路における第一オリフィスの二次側の圧力を検出する構成したが、これに限定されるものではない。第一管路における第一弁の二次側の圧力を検出する構成であれば、その検出方法は、特に限定されない。例えば、
図2に示す第一オリフィス15a、25aの一次側の圧力と二次側の圧力との差圧を検出する構成としてもよい。
【0131】
さらに、上述した実施形態の消火システムから消火原液供給システム及び混合システムを省略して、消火用水のみを放水するシステムとしてもよい。消火用水のみを放水するシステムは、例えば、原子力発電所において、原子炉への注水がストップした場合の緊急手段として用いることができる。