(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主ノズルの前記開口部の下流の他の開口部を規定する副ノズルであって、第2入口室に接続されて、第2流体を受け、前記副ノズルの前記開口部を通して前記第2流体の流れと前記第1流体の前記流れとを送る前記副ノズルを更に備える、請求項1に記載の可変流量エゼクタ。
前記可変流量エゼクタは、前記副ノズルの前記開口部の下流に位置付けられるテーパ部であって、前記第1流体及び前記第2流体の前記流れの方向に広がる前記テーパ部を更に備える、請求項10に記載の可変流量エゼクタ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各種態様は、概して、各種流量エゼクタのための装置、システム及び方法に関する。本発明の実施形態は、流体循環システム内に挿入されるように、且つ循環システム内の流体の流量を制御するように構成された装置を含む。
【0015】
本明細書に記載されている装置、システム及び方法は、水素燃料電池内の水素ガスの再循環における使用に特に適切である。開示されるシステムは、燃料電池のガス出口とガス入口の間の最適な流量及び圧力を維持することに特に適切であることができる。流量の制御に関する更なる詳細は、本明細書において、より詳細に記載される。
【0016】
本発明は、主に水素ガスの再循環に関して本明細書に記載されるが、本発明はそのように限定されないことが理解されるであろう。開示される実施形態は、任意の適切なシステム内における流体の可変流量制御のために使用可能であってもよい。
【0017】
上述したように、本発明の態様は、概して、新規な可変流量エゼクタに関する。エゼクタは、第1送り装置からの高圧流体を受けるように、且つ第2送り装置からの別々の低圧流体を一緒に運んで、加速させる高圧流体の超音速噴流を生じさせるように構成される。次いで、エゼクタは、ディフューザ内で混合流体を減速させ、低圧流体より高い圧力で混合流体を放出することができる。エゼクタは、燃料電池スタックから戻る低圧水素を一緒に運び、再循環させるために、燃料電池システムを供給する貯蔵タンクから高圧水素を送るために特によく適してもよい。エゼクタは、エゼクタ内の可動針を用いてシステム内の所望の圧力を維持するように制御される。
【0018】
次に図面を参照して、
図1A〜1Cは、本発明の態様にかかる例示的な可変流量エゼクタ100を示す。エゼクタ100は、水素燃料電池内の水素ガスの再循環における使用に特に適切であってもよい。概要として、エゼクタ100は、主入口110と、主ノズル120と、針140と、副入口150と、副ノズル160とを備える。エゼクタ100の更なる詳細は、本明細書に記載される。
【0019】
主入口110は、第1の圧力で第1流体源に接続されるように構成される。主入口110は、エゼクタ100内に形成される第1入口室112に開口する。好ましい一実施形態において、エゼクタ100は、
図1A及び1Bに示されるように、円筒形のエゼクタ本体114を有する。エゼクタ本体114は、1つ以上の別個の部分を備えることができる。主入口110は、エゼクタ本体114の側壁内に規定され、第1入口室112は、エゼクタ本体114の中に形成される。第1流体源は、高圧に維持されてもよく、その結果、第1流体が主入口110を通って、第1入口室112内に押し込められる。エゼクタ本体114を形成するための例示的な材料としては、陽極処理アルミニウム、アセタール、ニッケルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の適切な材料は、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。
【0020】
主ノズル120は、第1入口室112に接続される。主ノズル120は、主ノズル120を通る第1流体の流れを制限するための主ノズル開口部122を規定する。好ましい一実施形態において、主ノズル120は、
図1B及び1Cに示されるように、エゼクタ本体114の中に位置付けられる。主ノズル120は、
図1Bに示されるようにエゼクタ本体114から別々に形成された構成要素であってもよく、エゼクタ本体114を有する単一の部分内に一体的に形成されてもよい。主ノズル120は、第1入口室112から第1流体を受けるように、且つ主ノズル開口部122を通して第1流体の流れを送るように接続される。主ノズル122は、エゼクタ本体114に関して上記記載された材料の内のいずれかから形成されてよい。
【0021】
針140は、主ノズル開口部122の中に設けられる。針140は、主ノズル開口部122の面積を変化させるために、主ノズル開口部122の中で軸線方向に移動可能である。好ましい一実施形態において、針140は、
図1B及び1Cに示されるように円錐形状を有する。円錐部分は、円錐部分の軸線方向の長さに沿って断面積が変化する。したがって、針140の軸線方向の移動によって、どの時点においても主ノズル開口部122内に位置付けられる針140の断面積が変化する。第1流体が主ノズル開口部122内において流れることができる面積は、主ノズル開口部122の内壁と針140の面の間の空間に依存する。上記概説したように、針140の位置を変えることによって、この面積を調整してもよい。したがって、主ノズル開口部122を通る第1流体の流量を変化させるように針140の移動を制御してもよい。
【0022】
針140の形状は、第1流体の流れの滑らかさを向上させるようにも選択される。主ノズル開口部122の面積にかかわらず、第1流体の超音速流は、針140に付着したままとなり、次いで、最小限の乱流を伴ってきれいに山形端部から剥離する。第1流体の滑らかな流れを更に促進するために、
図1Cに示されるように、針140が完全に延びる場合、針140が副ノズル160の開口部内に完全に延びることは望ましい可能性がある。
【0023】
主ノズル開口部122及び針140は、第1流体源が第1の圧力で主入口110に接続される場合に主ノズル開口部122を通る第1流体の流れが超音速となるように寸法決めされる。すなわち、上記したように、主入口110は、所定の第1の圧力(又は圧力範囲)で第1流体源に接続されるように構成される。第1流体に対する圧力によって、第1流体が主ノズル開口部122を通って流れる速度が制御される。したがって、本発明の態様によれば、主ノズル開口部122及び針140の大きさは、第1流体が主ノズル開口部122を通って超音速で移動するようにするために、第1の圧力に基づいて選択されてもよい。超音速は、マッハ2に達してよく、又は上回ってもよい。第1の圧力に基づいて主ノズル開口部122及び針140についての適切な大きさを決定するためのアルゴリズムは、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。
【0024】
副入口150は、第2の圧力で第2流体源に接続されるように構成される。第2の圧力は第1の圧力よりも低い。副入口150は、エゼクタ100内に形成される第2入口室152に開口する。第2入口室152は、主ノズル開口部122の外側(及び下流)に設けられる。好ましい一実施形態において、第2入口室152は、
図1B及び1Cに示されるように、エゼクタ本体114の中に形成される。第2流体源は、第1流体源と比べて低い圧力に維持されてもよい。主ノズル開口部122を通る第1流体の流れは、副入口150を通る第2流体を引き寄せる。特に、第1流体の超音速流によって、針140で、第2のガス圧力よりも低い静圧が生じる。したがって、第2流体源が第2圧力で副入口150に接続される場合、第2流体の少なくとも一部が主ノズル120から第1流体の流れの中で一緒に運ばれることによって、第1及び第2流体の両方を含む流れが生じる。
【0025】
副ノズル160は、第2入口室152に接続される。主ノズル120は、主ノズル開口部122の下流の副ノズル開口部162を規定する。好ましい一実施形態において、副ノズル160は、
図1B及び1Cに示されるように、エゼクタ本体114の中に位置付けられる。副ノズル160は、
図1Cに示されるように、エゼクタ本体114から別々に形成された構成要素であってもよく、エゼクタ本体114を有する単一の部分内に一体的に形成されてもよい。副ノズル160は、第2入口室152から第1及び第2流体の流れを受けるように、且つ副ノズル開口部162を通して第1及び第2流体の流れを送るように接続される。
図1Cに示されるように、副ノズル160は、主ノズル開口部122の出口から副ノズル開口部162に延びる収束部164を有する。好ましい一実施形態において、収束部164は、円錐の側面と中心線の間の角度が約30度である円錐形状を有する。
【0026】
副ノズル開口部162は、副ノズル開口部162を通る第1及び第2流体の流れが亜音速を有するように寸法決めされる。すなわち、上記したように、主ノズル開口部122を通る第1流体の流れは、主ノズル122及び針140の寸法に基づいて決定される超音速を有する。第2入口室152内の第2流体は、この流れの中で一緒に運ばれて、第1及び第2流体の流れを生じさせる。したがって、副ノズル開口部162の大きさは、第1及び第2流体が副ノズル開口部162を通って亜音速で移動するようにするために、主ノズル122及び針140の大きさと第2の圧力とに基づいて選択されてもよい。
【0027】
主ノズル開口部122と副ノズル開口部162の間の第1流体の流れの中で渦又は乱流が生じることを限定するために、副ノズル開口部162と主ノズル開口部122の間の距離を小さく保ってもよい。好ましい一実施形態において、主ノズル開口部122の最外(すなわち下流)端部から副ノズル開口部162の最内(すなわち上流)端部までの距離は、副ノズル開口部162の直径未満である。
【0028】
上述したように、主ノズル開口部122と比較した副ノズル開口部162の大きさに基づいて、第1及び第2流体の流れの亜音速を制御してもよい。好ましい一実施形態において、副ノズル開口部は、亜音速の第1及び第2流体の流れを実現するために、主ノズル開口部の直径の1〜5倍の直径を有する。
【0029】
亜音速は、エゼクタ100の最も高い設計流量で音速(マッハ1)に非常に近くなるように選択されてもよい。このことは、副ノズル開口部162を通る第1及び第2流体の流れの中で渦又は乱流が生じることを限定するために望ましい可能性がある。好ましい一実施形態において、第1及び第2流体の流れの亜音速は、最大流量で動作する場合、マッハ1の約90%である。
【0030】
当業者によって理解されるように、エゼクタ100は、上記の構成要素に限定されるものではなく、代替の又は更なる構成要素を備えてもよい。
【0031】
エゼクタ100は、副ノズル開口部162の下流に位置付けられるディフューザ180を備えてもよい。ディフューザ180は、エゼクタ100から第1及び第2流体の流れを放出するように構成される。ディフューザ180は、第2の圧力(すなわち、低圧流体の圧力)よりも大きい圧力でこの流れを放出するように構成される。好ましい一実施形態において、ディフューザ180は、
図1Bに示されるように、テーパ外壁182を備える。テーパ外壁182は、第1及び第2流体の流れの方向に広がる。したがって、壁182は、流れの速度を減速させ、第1及び第2流体の圧力を低下させる。
【0032】
エゼクタ100がディフューザ180を備える場合、エゼクタ100は、副ノズル開口部162とディフューザ180の間に延びる喉部184を更に備えてもよい。喉部184は、副ノズル開口部162とディフューザ180の間の全距離に沿って一定幅を有する。好ましい一実施形態において、喉部184は、
図1B及び1Cに示されるように、副ノズル160の延長部分を備える。
【0033】
喉部184は、実質的に、第2ノズル開口部162と同じ直径を有する。
更に、
図1Bに示されるように、喉部184は、喉部184の直径よりも非常に大きい長さを有する。このことは、第1及び第2流体の流れの速度を維持するために、且つ流れの剥離又は逆流を限定するために好ましい可能性がある。好ましい一実施形態において、喉部184は、喉部184の直径の少なくとも6倍の長さを有する。
【0034】
エゼクタ100は、更に、軸線方向に針140を移動させるための手段を備えてもよい。好ましい一実施形態において、前記手段は、
図1A及び1Bに示されるように、電気ステッピングモータ190を備える。ステッピングモータ190は、主ノズル開口部122の中で軸線方向に針140を移動させるためのアンビル192に接続される。前述したように、針140が主ノズル開口部122を部分的にふさぐので、ステッピングモータ190によって針140を前後に移動させることによって、第1流体の流量を制御するための任意の所望の開口ノズル面積が生じる可能性がある。
【0035】
エゼクタ100の構成要素についての例示的な測定値は、以下で説明される。測定値が、単にエゼクタ100の一実施形態を示す目的のために説明されるものであって、限定することを意図するものではないことは、当業者によって理解されるであろう。本実施形態は、最高約0.171モル/秒の速度で主入口110を通して水素ガスを受けるように、且つ約15〜18psigの間の圧力で水素ガスを放出するように設計されたエゼクタに関する。主ノズル開口部122は、0.0625”の直径を有し、針140は、円錐の半頂角が5度である。組み立ての際、主ノズル120の外側と副ノズル160の収束部164の間の間隙は、0.0274”である。エゼクタ100の喉部184は、0.125”の直径を有し、0.9375”の長さを有する。ディフューザ180は、円錐の半頂角が7.5度であり、出口直径が0.5625”である。
【0036】
図2は、本発明の態様にかかる例示的な閉ループ燃料電池システム200を示す。概要として、システム200は、燃料電池210とエゼクタ250とを備える。システム200の更なる詳細は、本明細書に記載される。
【0037】
燃料電池210は、水素ガスの消費によってエネルギーを生成する。燃料電池210は、燃料電池210による消費のための水素ガスを生成するための陽極回路を備える。当業者によって理解されるように、陽極回路は、従来の電気分解プロセスによって水素ガスを生成することができる。燃料電池210としての使用に適切な燃料電池は、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。
【0038】
燃料電池210は、
図2に示されるように、更に、ガス入口212とガス出口214とを備える。上述したように、燃料電池210が適切に動作することを確実なものとし、燃料電池210の燃料効率を向上させるために、陽極回路によって生成された余剰水素ガスを再循環させることは望ましい可能性がある。したがって、ガス入口212及びガス出口214は、システム200内における水素ガス再循環ループの一部を形成する。以下で説明されるように、エゼクタ250は、水素ガス再循環ループの中で水素ガスを循環させるために用いられる。
【0039】
エゼクタ250は、燃料電池210に接続される。好ましい一実施形態において、エゼクタ250は、エゼクタ100に関して実質的に上述した通りの可変流量エゼクタである。本実施形態において、エゼクタ100の入口及び出口は、後述するようにシステム200の構成要素に接続されてもよい。
【0040】
エゼクタ100の主入口110は、水素貯蔵システム220に接続されている。水素貯蔵システム220は、上記の第1流体源に相当する。水素貯蔵システム220は、燃料電池210による消費のための水素ガスを貯蔵する。水素貯蔵システム220は、エゼクタ100の主入口110を通して高圧水素ガス220を提供するように構成される。
【0041】
エゼクタ100の副入口150は、燃料電池210のガス出口214に接続される。燃料電池210内において余剰水素ガスが生成される場合、余剰ガスは、低圧力でガス出口214を通って陽極回路から流出することができる。したがって、燃料電池210は、上記の第2流体源に相当する。低圧水素ガスは、副入口150を通ってエゼクタ100内に流れるが、一方で低圧水素ガスは、主ノズル120から水素ガスの超音速流の中で一緒に運ばれる。次いで、貯蔵システム220からの水素ガス(すなわち第1流体)及び燃料電池210からの水素ガス(すなわち第2流体)は、副ノズル160を通って流れ、エゼクタ100から放出される。
【0042】
エゼクタ100の副ノズル160は、燃料電池210のガス入口212に混合水素ガスの流れを放出するように接続される。エゼクタ100がディフューザ180を備える場合、混合水素ガスの流れは、ディフューザ180から燃料電池210のガス入口212に放出される。次いで、燃料電池210は、エゼクタ100から水素ガスのこの流れを消費してエネルギーを生成してもよい。
【0043】
当業者によって理解されるように、システム200は、上記の構成要素に限定されるものではなく、代替の又は更なる構成要素を備えてもよい。
【0044】
システム200は、
図2に示されるように、エゼクタ250と燃料電池210のガス入口212の間に設けられる圧力センサ230を備えてもよい。圧力センサ230は、エゼクタ250からガス入口212への水素ガスの流れの圧力を検出するように動作可能である。燃料電池210が水素を消費する速度(すなわち、燃料電池210の反応速度)に合うようにエゼクタ250からの流量を変化させるために、この検出された圧力を用いることができる。圧力センサ230としての使用に適切な圧力センサとしては、例えば、バージニア州ハンプトンのメジャメントスペシャリティーズ(Measurement Specialties)によって提供されるUS331−000005−030PG圧力センサが挙げられる。
【0045】
図2に示されるように、システム200は、更に、圧力センサ230とエゼクタ250とに通じるエゼクタ制御ユニット240を備えてもよい。エゼクタ制御ユニット240は、エゼクタ250からの流量を変化させるためにエゼクタ針を軸線方向に移動させるように構成される。好ましい一実施形態において、エゼクタ制御ユニット240は、エゼクタ針を移動させるためにエゼクタ250の中のモータを制御するようにプログラムされる。エゼクタ制御ユニット240は、エゼクタ250からガス入口212への水素ガスの流れを所定の圧力に維持するような方法でモータを動作させる。所定の圧力は、燃料電池210の要件に基づいて選択され得る。エゼクタ制御ユニット240としての使用に適切な処理装置は、アリゾナ州チャンドラーのマイクロチップ・テクノロジー・インコーポレーテッド(Microchip Technology Inc.)によって提供されるPIC18F1220マイクロコントローラである。他の適切な処理装置は、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。
【0046】
システム200は、更に、セパレータ260と、パージバルブ270と、チェックバルブ280とを備えてもよい。セパレータ260は、
図2に示されるように、燃料電池210のガス出口214とエゼクタ250の間に設けられる。セパレータ260は、燃料電池210から流出する低圧水素ガスから水を分離するように構成される。パージバルブ270は、
図2に示されるように、セパレータ260に接続される。パージバルブ270は、分離された水をシステム200から除去するように、すなわち、水素ガス再循環ループから前記水を除去するように構成される。次いで、前記水は、排出されてもよいか、又は燃料電池210の陽極回路内で再利用されてもよい。チェックバルブ280は、セパレータ260の下流で接続され、エゼクタ250から燃料電池210の方への水素ガスのいかなる逆流をも防ぐように動作可能である。セパレータ260、パージバルブ270及びチェックバルブ280としての使用に適切な構成要素は、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。
【0047】
図3は、本発明の態様にかかる燃料電池システムの内部で水素ガスを再循環させる例示的な方法300を示すフローチャートである。概要として、方法300は、燃料電池を動作させることと、余剰水素ガスを生成することと、余剰水素ガスを放出することと、エゼクタに高圧水素ガスを供給することと、エゼクタに余剰水素ガスを供給することと、エゼクタからの水素ガスの流れを制御することとを含む。方法300の更なる詳細は、可変流量エゼクタ100及び閉ループ燃料電池システム200の構成要素に関して本明細書に記載される。
【0048】
例示的な燃料電池システム200等の燃料電池の動作(ステップ310)の間、燃料電池210の陽極回路は、燃料電池による消費のための水素ガスを生成する。燃料電池210は、水素ガスを消費してエネルギーを生成する。燃料電池210の動作は、本明細書における記載から当業者によって理解されるであろう。概して、本明細書において考察される好ましい実施形態において、陽極回路は、ステップ320に示されるように、燃料電池210の反応速度によって要求されるものよりも多量の水素ガスを生成する。この記載の目的のために、燃料電池210の所定の反応速度によって消費されない水素ガスは、「余剰水素ガス」と称される。
【0049】
ステップ330において、燃料電池を動作させることによって生成される余剰水素ガスを燃料電池のガス出口から放出する。好ましい一実施形態において、余剰水素ガスを燃料電池210のガス出口214から放出する。余剰水素ガスは、低圧でガス出口214を通って外側へ流れる。
【0050】
ステップ340において、高圧水素ガスをエゼクタに提供する。好ましい一実施形態において、水素貯蔵システム220は、水素ガスの源を高圧に維持する。本実施形態において、エゼクタ250は、エゼクタ100に関して実質的に上述した通りのエゼクタを備える。水素貯蔵システム220は、エゼクタ100の主入口110に高圧水素ガスを供給する。次いで、水素ガスは、エゼクタ100に関して上述したように、超音速でエゼクタ100の主ノズル120を通って流れる。
【0051】
ステップ350において、余剰量の水素ガスをエゼクタに提供する。好ましい一実施形態において、ガス出口214からの余剰水素ガスを、エゼクタ100の副入口150に低圧で供給する。次いで、低圧水素ガスを高圧水素ガスの超音速流の中で一緒に運び、水素ガスの混合流を形成する。次いで、水素ガスの流れは、エゼクタ100の副ノズル160を通過する。
【0052】
ステップ360において、エゼクタからの水素ガスの流れを制御する。好ましい一実施形態において、エゼクタ100からの水素ガスの流れを針140の移動によって制御する。流れは、燃料電池210の反応速度に合うように制御される。
【0053】
上記のように、圧力センサ230及びエゼクタ制御ユニット240の使用によってステップ360を行ってもよい。好ましい一実施形態において、圧力センサ230は、エゼクタ100から燃料電池210のガス入口212への水素ガスの流れの圧力を検出する。エゼクタ制御ユニット240は、圧力センサ230からの検出圧力に基づいて、モータ190を動作させて軸線方向に針140を移動させることによって、エゼクタ100からの水素ガスの流れを制御する。特に、エゼクタ制御ユニット240は、燃料電池210の反応速度に合うように水素ガスの流れを制御してもよい。
【0054】
閉ループ燃料電池システム200が周囲の外気と比較して正圧の水素ガス圧力を有することは望ましい場合がある。このことによって、空気がシステム内に漏れるのではなく、水素ガスがシステムから外へ漏れることになる。燃料電池システム200は、(周期的に動作するパージバルブによる以外に)水素がシステム200を出る唯一の方法が、燃料電池210内において水素が反応することであるように構築される。したがって、主ノズル開口部122は、エゼクタ100からの水素ガスの流れが燃料電池210の反応速度に合うように、針140の移動によって最適に制御される。それ以外の場合、水素は、閉ループ内で増える場合があるか、又は閉ループから減る場合があり、それによって、燃料電池膜の破損を生じさせる可能性がある圧力差が生じる。
【0055】
したがって、エゼクタ制御ユニット240は、燃料電池210によって規定された所定の理想的圧力からの圧力の差に基づいて針140の位置を調整するようにプログラムされてもよい。エゼクタ制御ユニット240は、圧力指令又は反応速度の大きなステップ変化に続く圧力のオーバーシュートや圧力誤差の不感帯を減らして、電気的ノイズ及び圧力センサのヒステリシスによって引き起こされるハンチングを減らすために、更に、積分ワインドアップリミッタを有する制御アルゴリズムを含んでもよい。
【0056】
本明細書における記載から当業者によって理解されるように、方法300は、上記のステップに限定されるものではなく、代替のステップ及び更なるステップを含んでもよい。
【0057】
一例として、上記のように、燃料電池システム200は、セパレータ260とパージバルブ270とを備えてもよい。これらの構成要素は、ステップ330が、余剰水素ガス及び余剰水素ガスが混合された水の一部の両方を放出することを含む場合に特に重要である。本実施形態において、方法300は、更に、セパレータ260によって余剰水素ガスから水を分離するステップと、分離された水をパージバルブ270によってシステム200から除去するステップとを含んでもよい。
【0058】
上述したように、エゼクタ100は、
図1A及び1Bに示されるように、針140を軸線方向に移動させるように構成された電気ステッピングモータ190を備えてもよい。モータ190の動作、及び針140とモータ190の間の境界面に関する更なる詳細は、
図4及び5を参照して以下に記載される。
【0059】
動作において、モータ190は、エゼクタ制御ユニット240からの指令に応じて主ノズル開口部122の内外に針140を移動させる。一実施形態において、モータ190は、主ノズル開口部122に対する針140の正確な位置に関する位置フィードバックを提供するためにエンコーダと通じるサーボモータを備える。
【0060】
代替の(及び、よりコストが低い)実施形態において、モータ190は、ステッピングモータを備え、前記ステッピングモータは、ステッピングモータの回転子がモータ駆動によって生じる回転磁界と同じ速度で回転するという想定のもとに動作する。本実施形態において、ステッピングモータ190は、始動時にステッピングモータ190の軸線の絶対位置(及び、したがって、針140の位置)を決定することが可能でなくてもよく、むしろ、位置は、針の移動範囲内のどこかの認識された点で作動するスイッチ(リミットスイッチ)を用いるか、又は機械式ストッパとの制御衝突によるかのいずれかによって決定されてもよい。
【0061】
しかし、エゼクタ100において、針140の浅いテーパ形は、(例えば、製作公差、又は動作中の摩耗により)主ノズル開口部122の直径の偏差が小さくても、主ノズル開口部122が完全に閉塞される針140の線形位置の偏差が大きくなる可能性があることを示す。したがって、リミットスイッチを備える実施形態において、エゼクタ100の製造の全体にわたって極めて正確な公差を維持する必要がある場合があり、スイッチは、エゼクタの耐用期間中に構成要素に摩耗が生じるために定期的な再校正を必要とする場合がある。
【0062】
好ましい一実施形態において、エゼクタ100は、針140と、主ノズル開口部122、又は主ノズル120に結合されたストッパ部(例えば、壁又は面)のいずれかとの間の制御衝突を用いて針140の絶対位置を決定し、その後、針の位置をゼロとするか、又は、すなわち、針が針の原点にあると推定する。この位置から、針の位置は、ゼロと、ゼロからの後退方向における固定ステップ数との間にあるように制限される。
【0063】
構成要素に破損を生じさせることなく衝突が起きるために、針は、かなりゆっくりと移動することが好ましい。一実施形態において、針140は、1秒につき約1.25mmで移動する。この速度で移動することによって、エンジンの始動が、歴史的に、点火においてキーを回して約2秒以内に生じる多くの用途、例えば乗用車において求められるものよりも、始動時間が長くなる(例えば、最高4秒)可能性がある。
【0064】
そのような衝突から生じる破損を回避し、針140及びモータ190のより速い動作を可能にするために、エゼクタ100は、
図4に示されるように、衝撃吸収要素によって構築されてもよい。衝撃吸収要素は、針140を主ノズル開口部122からできるだけ遠くに離れて移動させる場合に接触することになる針140又はモータ190のいずれかのストッパ部(又は面)に結合される弾性要素(例えば、ゴム片又は鋼ばね)であってもよい。衝撃吸収要素は、(例えば、主ノズル120に直接結合することによって)モータ190に直接又は間接的に結合されてもよい。この衝撃吸収要素は、適切に選択される場合、ステッピングモータが、たとえステッピングモータの最大速度で移動する場合であっても、このストッパに破損なく衝突するようにし、このことによって、多くのスキップされたステップが主ノズルの開口方向に累積する場合であっても、安全性が確保される。好ましい一実施形態において、衝撃吸収要素は、
図4に示されるように、ゴムバンパを備える。衝撃吸収要素は、モータ190の両移動方向に(すなわち、挿入及び後退の両方向に)ストッパ部と接触するように位置付けられてもよい。例えば、
図4に示され、名前が付けられたゴムバンパは、後退方向における衝撃吸収要素として動作し、別のゴムバンパは、挿入方向における衝撃吸収要素としての役割を果たすように配置されてもよい。そのようなバンパは、アンビル192と、アンビル192と主入口室112の間に設けられたセパレータとの間に配置されてもよい。
【0065】
更に、ステッピングモータの親ねじ組立品の製作公差のため、親ねじが主ノズル120の中心軸線に対して実質的にミスアライメントを生じさせる可能がある。場合によっては、モータ190の軸線と主ノズル120の軸線の間のこのミスアライメントは、0.025インチ(約0.0635cm)と高いものであってもよい。
【0066】
好ましい一実施形態において、エゼクタ100の組み立てに続く構成要素の手動のアライメントを必要とすることなくこの問題に対処するために、
図4に示されるように、磁気結合構造を用いて、ステッピングモータ190の親ねじに針140の端部を接続する。この結合構造は、針140及びモータ190の一方に付着させた鉄構造(例えば、鋼アンビル)と、針140及びモータ190の他方に付着させた永久磁石とを備える。永久磁石は、磁気回路を完成し、鉄構造への永久磁石のより強い結合を提供するために、鉄(例えば、鋼)基材を備えてもよい。
【0067】
エゼクタ100の好ましい一実施形態において、
図4に示されるように、鋼アンビルを針140に付着させ、鋼磁極片に接合された環又は円形状の永久磁石によってステッピングモータ190の親ねじを鋼磁極片に付着させる。この結合によって、針140は、アンビル及び磁石の軸線方向面の間の直圧(垂直力)により主ノズル120内に押される。逆方向において、磁石によって発生する力を用いて、針140のテーパ端部に対する高圧供給ガスの圧力によって補助されて、主ノズル120から針140が引き寄せられる。
【0068】
図4に示されるように、テーパ端部の反対側の針140の端部は、鉄構造(
図4においてアンビルと称される)内の開口部に延び、前記開口部内に埋め込まれる。アンビルは、磁石に対する軸方向力がアンビルと針140上とに送られるように、永久磁石に磁気的に結合される。磁石は、
図4に示されるように、好ましくは環形状にされてもよく、又は蹄鉄形若しくは他の型の多極磁石であってもよい。永久磁石は、鉄基材(
図4において磁極片と称される)によって中心内及び後方面上に結びつけられる。磁石及び磁極片は、更に、リニアアクチュエータとして動作して軸線方向に針を移動させるモータ190の親ねじに結合される。ステッピングモータの構築に応じて、磁極片は、回転子の内側上で親ねじがかみ合わされるねじ部分によって軸線方向に並進すると共に親ねじとハウジングの間の滑り結合によって回転することが妨げられる親ねじに直接付着させてもよい。別の場合、磁極片は、エゼクタのモータ又は他の固定部分への滑り結合によって磁極片が回転することが妨げられると共に、回転する親ねじがかみ合わされるねじ部分に付着させてもよい。磁極片は、針が後退方向に移動する場合にモータ190に対する磁極片の衝撃を和らげるために磁極片の後退側に装着されるゴムバンパを有する。
【0069】
この磁気結合構造は、効果的に針140の両軸線方向(すなわち、挿入及び後退方向)に力を送り、一方で構成要素が針140の半径方向に比較的自由に(鉄構造と磁石の間に摩擦によってのみ妨害されて)滑るようにもする。この目的のために、磁気結合構造は、望ましくは、構成要素の互いに対する半径方向の移動を阻むいかなる構造も有さない。このことによって、親ねじと針の間の多大で平行な(半径方向の)ミスアライメントについて、結合や摩耗によることなく説明をつけることができるようになる。
【0070】
モータ190がエンコーダに結合されないエゼクタ100の実施形態において、制御ユニットの認識なしで、ステッピングモータが「ステップをスキップする」ことができる、又は、すなわち、機械力若しくは電力変動によって磁界とは異なる速度で回転することができる、という可能性がある。ガス供給の圧力が主ノズル開口部122の方向に針140を押すので、針140が挿入方向に移動する場合にスキップされたステップが生じる可能性がより高く、すなわち、主ノズル開口部122を閉鎖する(及び、したがって、ガス圧力に対して作用する)可能性がより高い。これらのスキップされたステップがエゼクタ100の動作の所定期間にわたって累積する場合、エゼクタ制御ユニット240によって認識されるような原点は、主ノズル開口部122が完全に閉塞される点から離れて移動し、エゼクタ100は、完全に閉鎖することができなくなり、それによって、低流量で出力圧力を制御することが不可能になる。
【0071】
この課題に対処するために、エゼクタ制御ユニット240は、本発明の態様における「滑りゼロ」スキームを使用する。このスキームにおいて、エゼクタ制御ユニット240の電源投入を行う際、エゼクタ制御ユニット240は、針140の原点として針140が現在あるどんな位置でも割り当てる。通常、起動時における仮定された原点は、実際の原点(すなわち、針140及び完全に閉塞された主ノズル開口部122の完全挿入位置)にあるか、又は実際の原点に近くにあるが、その理由は、針140が、燃料電池システムの前の電源切断中にモータ190によってその原点に移動したからである。
【0072】
推定された原点に針140を割り当てた後、主ノズル120の出力圧力を測定して、所定の出力圧力(通常、始動時にゼロ)と比較する。出力圧力が所定の圧力よりも高い場合、このことは、割り当てられた原点が主ノズル開口部122の完全閉塞の点ではないことか、又はガス需要が完全に閉塞されたノズルを通るガスの浸出率未満である(針及びノズルの摩耗又は設計公差による)ことのいずれかを示す。
【0073】
第1の状況において、針140が破損することなく衝突することが可能な速度で主ノズル開口部122の方へ挿入方向に針140を移動させる。この移動の後、原点は、針140の新しい位置に等しくなるように再割り当てされる。第2の状況において、モータ190によって針140を移動させようとすることによって、針140は主ノズル開口部122に対して加圧し、モータ190はステップをスキップし、その結果、針140は、完全に閉塞する点にとどまり、原点は、正しい状態を維持する。同様に、エゼクタ制御ユニット240によって決定される最大点に針が駆動されたにもかかわらずガス圧力が所望のレベルを下回る場合、制御ユニット240は、主ノズル120からより遠くに離れて針140を移動させるようにモータ190を制御してもよく、次いで、針の新しい位置が最大後退の実際の位置に相当するように原点を再割り当てしてもよい。
【0074】
上述したように、始動時における原点は、通常、実際の原点(完全に挿入された位置)であるが、その理由は、針140が、燃料電池システムの前のシャットダウンの間にその原点に移動したからである。始動時の針位置が完全に閉塞された位置や近くにない(例えば、システムの緊急時の電源切断による)場合、上記の滑りゼロスキームによって、確実に、針140が完全閉塞に駆動され、原点位置が正しく再割り当てされる。この場合の閉鎖の方に針140をゆっくりと移動させることによって余剰のガスを送り出すことができると共に、この期間の間の過剰圧力を防ぐためにガス供給を遮断することができる。適切なシャットダウンについてのより可能性が高いシナリオにおいて、スキップされた少数のステップが閉鎖方向に累積するには、主ノズル120を完全に閉鎖する時間が非常に短くてよく、供給の遮断は必要でない可能性がある。
【0075】
図5に、滑りゼロスキームに関連付けられた針140の移動の物理的及び論理的範囲のアライメントが示される。
図5において、針140の移動の物理的範囲が実線として示され、一方でエゼクタ制御ユニット240によって割り当てられ、監視される論理的範囲が破線として示される。
【0076】
図5の欄Aにおいて、エゼクタは、エゼクタの論理的ゼロで始動するが、これは、物理的ゼロ(A1)よりわずかに開いた位置にある。針は、必要に応じて前後に移動して圧力(A2)を調節することができるが、ガスの流れを完全に遮断するために、論理的ゼロは、前記物理的なものと共に再度アライメントを生じさせる必要がある。針が論理的ゼロの位置(A3)に最高速度で移動を完了すると、出力圧力が依然として高過ぎる場合、針はゆっくりと閉鎖方向に移動し続け、論理的ゼロは、針の新しい位置(A4)を基準とするようにリセットされる。このことが生じた後、圧力が依然として高過ぎる場合、針は、ゆっくりと移動し続け、主ノズル(A5)に衝突する。このことは、低速度のために破損を引き起こさないが、リニアアクチュエータは、ステップをスキップし、物理的ゼロへ戻り、それによって物理的及び論理的ゼロ(A6)の間のアライメントが維持される。
【0077】
図5の欄Bにおいて、エゼクタは、エゼクタの論理的ゼロで再び始動するが、これは物理的なゼロ(B1)からわずかに開いている。針は、必要に応じて前後に移動して圧力(B2)を調節することができるが、それが完全に開こうとする場合、リニアアクチュエータは、柔らかい後退ストッパに最高速度で衝突するが、一方で依然として最大値(B3)未満の論理的位置にある。アクチュエータは、論理的最大値(B4)の方へ駆動される際にステップをスキップすし、それによって物理的及び論理的ゼロのアライメントが生じる(B5)。
【0078】
幾つかの実施形態において、論理的及び物理的範囲は、同じ大きさでなくてもよく、これは、組立品における機械公差を緩和するためになされる場合がある。
図5の欄Cは、この場合を示すものである。針が物理的ゼロ(C1)から充分に遠く離れて開始する場合、針は、必要に応じて前後に移動し(C2)、完全に開くことが要求される場合、アクチュエータは、柔らかいストッパに衝突し(C3)、ステップをスキップし(C4)、それによって物理的及び論理的ゼロがアライメントに近づく(C5)。また、針は、論理的最大値が物理的最大値以下であるC5に示されるように開始してもよい。この位置から近いことが要求される場合、針は、論理的及び物理的ゼロのアライメントが生じるまで(C7)、論理的ゼロ(C6)に残りつつゆっくりとそれを行う。
【0079】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に示され、記載されているが、本発明は、示された詳細に限定されることが意図されるものではない。むしろ、請求項の均等物のスコープ及び範囲内で、且つ本発明を逸脱することのなく、前記詳細において各種変更を行ってもよい。