(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被加工物は、個片のシート状であると共に、少なくともその長手方向において前記第1の送り出し部と前記第2の送り出し部との離間距離よりも長いことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のパンチング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6(B)に示す如く、パンチング装置100では、サーボモータ114,115により搬送台113を自在に移動させることで、搬送台113上面に固定した被加工物101も一緒に移動させることができる。そして、被加工物101が移動することで、被加工物101には、様々な文字や絵柄模様のパンチ孔が穿孔される。
【0009】
しかしながら、パンチング装置100では、1枚の被加工物101に対して所望のデザインのパンチ孔を形成した後、次の被加工物101に対して所望のデザインのパンチ孔を穿孔する際には、搬送台113から加工済みの被加工物101を取り外した後、次の未加工の被加工物101を搬送台113へと設置する必要がある。つまり、パンチング装置100では、被加工物101毎に搬送台113からの取り外し作業や搬送台113への設置作業が必要となり、作業効率が悪く、量産性に向かないという課題がある。
【0010】
一方、上記量産性の課題を解決する従来のパンチング装置として、連続して被加工物をパンチング装置の加工領域へと搬送し、被加工物101にパンチ孔を穿孔する装置が知られている。しかしながら、上記形式のパンチング装置では、被加工物101を上記加工領域へと搬送するために、ロール状に巻き回された搬送用の紙製ロール材が必要である。そして、被加工物101にパンチ孔を穿孔する際に、被加工物101の下面に位置する紙製ロール材にもパンチ孔が形成されてしまう。その結果、紙製ロール材は、1回しか使用することができず、破棄されるため、製造コストが悪化すると共に、環境面からも改善の余地があるという課題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、搬送用の紙製ロール材を用いることなく、個片のシート状の被加工物を送り出し方向に移動させながら、被加工物に位置精度良く精密なパンチ孔を穿孔するパンチング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のパンチング装置では、被加工物を載置する載置部と、前記載置部上の前記被加工物を送り出し方向へと搬送する搬送機構と、前記被加工物に対して複数のパンチ孔を穿孔するパンチ機構と、前記搬送機構を制御する制御部と、を有し、前記搬送機構は、前記被加工物を前記送り出し方向へと送り出すと共に、前記パンチ機構の加工領域よりも前記送り出し方向の後方側に配設される第1の送り出し部と、前記被加工物を前記送り出し方向へと送り出すと共に、前記加工領域よりも前記送り出し方向の前方側に配設される第2の送り出し部と、前記第2の送り出し部よりも前記送り出し方向の後方側に配設され、前記被加工物の位置を検出する位置検出センサと、を備え、前記制御部は、前記位置検出センサからの検出信号に応じて、前記第2の送り出し部を前記載置部に対して上昇させると共に、前記被加工物が前記第2の送り出し部の下方まで搬送された時に、前記第2の送り出し部を前記載置部に対して下降させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のパンチング装置では、前記搬送機構は、前記第2の送り出し部を間欠的に回転させる第2の駆動機構と、少なくとも前記第2の送り出し部及び前記第2の駆動機構を支持する第2の支持枠体と、前記第2の支持枠体を可動させる可動機構と、を備え、前記第2の送り出し部は、前記送り出し方向と交差する方向にて前記被加工物を前記載置部側へと押圧すると共に、回転しながら前記被加工物を前記送り出し方向へと送り出す第2の回転式ローラを有し、前記制御部は、前記可動機構を介して、前記第2の回転式ローラを前記載置部に対して上昇させ、また前記第2の回転式ローラを前記載置部に対して下降させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のパンチング装置では、前記第2の支持枠体は、その長手方向の一端側に前記第2の回転式ローラを支持すると共に、その長手方向の他端側に回転軸を備え、前記可動機構は、前記第2の支持枠体の一端側を持ち上げることで、前記第2の支持枠体は前記回転軸を支点として回転し、前記第2の回転式ローラが前記載置部に対して上昇し、また前記第2の回転式ローラが前記載置部に対して下降することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のパンチング装置では、前記可動機構は、前記第2の支持枠体に配置される受けプレートと、その伸長時に前記受けプレートと接触する伸縮部材と、を有し、前記制御部は、前記位置検出センサからの検出信号に応じて前記伸縮部材を伸ばすことで、前記受けプレートを介して前記第2の支持枠体の一端側を持ち上げることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のパンチング装置では、前記第2の支持枠体の一端側には、錘が配設されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のパンチング装置では、前記搬送機構は、前記第1の送り出し部を間欠的に回転させる第1の駆動機構と、少なくとも前記第1の送り出し部及び前記第1の駆動機構を支持する第1の支持枠体と、を備え、前記第1の送り出し部は、前記送り出し方向と交差する方向にて前記被加工物を前記載置部側へと押圧すると共に、回転しながら前記被加工物を前記送り出し方向へと送り出す第1の回転式ローラとを有し、前記制御部は、前記第1の制御機構及び前記第2の制御機構を介して、前記第1の回転式ローラと前記第2の回転式ローラとを同一のタイミングにて同一方向に間欠的に回転させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のパンチング装置では、前記パンチ機構は、前記被加工物に前記パンチ孔を穿孔する複数のピンを保持するパンチ部と、前記複数のピンの下端側を受ける複数の小孔が形成されるピン受けプレート部と、を有し、前記ピン受けプレート部の上面は、前記載置部の上面と略同一の高さになることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のパンチング装置では、前記被加工物は、個片のシート状であると共に、少なくともその長手方向において前記第1の送り出し部と前記第2の送り出し部との離間距離よりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のパンチング装置は、載置部上面の被加工物を送り出し方向へと搬送する搬送機構と、被加工物に対して複数のパンチ孔を穿孔するパンチ機構と、搬送機構を制御する制御部と、を備えている。そして、搬送機構は、被加工物を送り出し方向へと搬送する第1及び第2の送り出し部と、被加工物の位置を検出する位置検出センサと、を有し、制御部は、位置検出センサからの検出信号に応じて、第2の送り出し部を上昇させると共に、被加工物が第2の送り出し部の下方まで搬送された時に、第2の送り出し部を下降させる。この構造により、被加工物は、第1及び第2の送り出し部を介して載置部上面を移動することで、従来のパンチング装置にて必要であった搬送用の紙製ロール材が不要となり、製造コストを大幅に低減することができる。また、上記紙製ロール材が不要となることで、環境面にも優れたパンチング装置が実現される。
【0021】
また、本発明のパンチング装置では、搬送機構は、第2の送り出し部を間欠的に回転させる第2の駆動機構と、少なくとも第2の送り出し部及び第2の駆動機構を支持する第2の支持枠体と、第2の支持枠体を可動させる可動機構と、を備える。第2の送り出し部は、送り出し方向と交差する方向にて被加工物を載置部側へと押圧すると共に、回転しながら被加工物を送り出し方向へと送り出す第2の回転式ローラを有する。そして、制御部は、可動機構を介して、第2の回転式ローラを載置部に対して上昇させ、また第2の回転式ローラを載置部に対して下降させる。この構造により、被加工物は、第2の回転式ローラと載置部との間に入り込み、第2の回転式ローラにて確実に押圧されると共に、送り出し方向へと搬送され、移動中に弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0022】
また、本発明のパンチング装置では、第2の支持枠体は、その長手方向の一端側に第2の回転式ローラを支持すると共に、その長手方向の他端側に回転軸を備える。そして、可動機構は、第2の支持枠体の一端側を持ち上げることで、第2の支持枠体は回転軸を支点として回転する。この構造により、第2の支持枠体は、可動機構を介して回転軸により回動することで、第2の回転式ローラが載置部に対して上昇し、また第2の回転式ローラが載置部に対して下降することができる。
【0023】
また、本発明のパンチング装置では、可動機構は、第2の支持枠体に配置される受けプレートと、その伸長時に受けプレートと接触する伸縮部材と、を有する。この構造により、制御部は、位置検出センサからの検出信号に応じて伸縮部材のシャフト部を伸ばすことで、受けプレートを介して第2の支持枠体の一端側を持ち上げることができる。
【0024】
また、本発明のパンチング装置では、第2の支持枠体の一端側には、錘が配設されている。この構造により、第2の回転式ローラは、第2の回転式ローラ等の自重を利用して被加工物を押圧するが、第2の支持枠体に更に錘を取り付けることで、上記押圧力を調整することができる。その結果、第2の回転式ローラが、被加工物を送り出し方向へと確実に搬送すると共に、被加工物が移動中に弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0025】
また、本発明のパンチング装置では、搬送機構は、第1の送り出し部を間欠的に回転させる第1の駆動機構と、少なくとも第1の送り出し部及び第1の駆動機構を支持する第1の支持枠体と、を備える。そして、第1の送り出し部は、送り出し方向と交差する方向にて被加工物を載置部側へと押圧すると共に、回転しながら被加工物を送り出し方向へと送り出す第1の回転式ローラとを有する。この構造により、制御部は、第1の駆動機構及び第2の駆動機構を介して、第1の回転式ローラと第2の回転式ローラとを同一のタイミングにて同一方向に間欠的に回転させる。その結果、被加工物は、確実に送り出し方向へと一定量だけ送り出されることで、被加工物が移動中に弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0026】
また、本発明のパンチング装置では、パンチ機構は、被加工物にパンチ孔を穿孔する複数のピンを保持するパンチ部と、複数のピンの下端側を受ける複数の小孔が形成されるピン受けプレート部と、を有している。そして、ピン受けプレート部の上面は、載置部の上面と略同一の高さになる。この構造により、被加工物が、パンチ機構の加工領域を通過する際に、弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0027】
また、本発明のパンチング装置では、被加工物は、個片のシート状であると共に、少なくともその長手方向において第1及び第2の送り出し部の離間距離よりも長い。この構造により、被加工物は、確実に第1及び第2の送り出し部を介して載置部上面を移動することができ、被加工物の連続加工も可能となり、量産性も実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係るパンチング装置10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0030】
また、以下の説明では、上下方向はパンチング装置10の高さ方向を示し、左右方向はパンチング装置10を前方から見た場合の横幅方向を示し、前後方向はパンチング装置10の奥行方向を示している。そして、上記前後方向は、被加工物11(
図5(B)参照)を送り出す方向であり、上記左右方向は、上記送り出し方向と直交する方向である。尚、被加工物11の送り出し方向の前方側(紙面奥側)は、パンチング装置10の奥側を示し、被加工物11の送り出し方向の後方側(紙面手前側)は、パンチング装置10の手前側を示している。つまり、矢印17にて示すように、被加工物11は、パンチング装置10の手前側から奥側に向けて搬送される。
【0031】
図1(A)は、本実施形態のパンチング装置10を説明する斜視図である。
図1(B)は、本実施形態のパンチング装置10を説明するブロック図である。
【0032】
図1(A)に示す如く、パンチング装置10は、主に、被加工物11をその上面に載置する載置部12と、載置部12の上面の被加工物11を送り出し方向(紙面前後方向)に移動させる搬送機構13と、載置部12や搬送機構13等を支持するダイセット14と、搬送機構13上方に配設され、被加工物11にパンチ孔51(
図5(B)参照)を穿孔するパンチ機構15と、パンチング装置10の動作を制御する制御部16(
図1(B)参照)と、を有している。
【0033】
被加工物11は、金属、樹脂、木材、本革等の皮革、紙または布地等から成るシート状の素材であり、例えば、車両の座席シートに用いられる皮革、合成樹脂または布地である。また、被加工物11は、例えば、横幅500mm×縦幅1000mm×厚み1mm程度の個片のシート材である。そして、被加工物11は、パンチング装置10の手前側から作業員や搬入装置(図示せず)により、載置部12の上面に載置され、パンチング装置10の手前側から奥側に向けて搬送機構13を介して搬送される。
【0034】
詳細は後述するが、被加工物11は、搬送機構13を介してパンチング装置10の載置部12の上面を間欠的に送り出し方向に移動する。そして、被加工物11には、上記移動中に、パンチ機構15を介して複数のパンチ孔51(
図5(B)参照)が穿孔される。その後、加工済みの被加工物11は、パンチング装置10の奥側にて作業員や回収装置(図示せず)等により、載置部12の上面から回収される。尚、パンチング装置10の前後に上記搬入装置や上記回収装置が配設される場合には、上記搬入装置や上記回収装置としては、例えば、ベルトコンベアが用いられ、搬送機構13にて搬送される前後の被加工物11を搬送することができる。
【0035】
ダイセット14は、例えば、パンチ機構15のパンチ部15Aを昇降させる公知のサーボプレス装置(図示せず)のホルスタ(図示せず)上に、水平方向等が位置出しされた状態にて固定される。そして、ダイセット14は、載置部12、搬送機構13やパンチ機構15のピン受けプレート部15B(
図2(A)参照)等を支持している。また、パンチ機構15のパンチ部15Aは、ダイセット14の上面に配設される4本ガイドピン15Dにガイドされながら、上記サーボプレス装置を駆動源として、ダイセット14に対して昇降動作を繰り返す。
【0036】
図1(B)に示す如く、制御部16としては、例えば、パーソナルコンピュータが用いられ、第1及び第2の送り出し部13A,13Bを駆動させる第1及び第2の駆動機構21,22及び第2の送り出し部13Bを回転させる可動機構23を制御する。そして、制御部16の記憶部16Aでは、例えば、被加工物11に描かれるデザインデータを記憶している。デザインデータは、例えば、パンチング装置10による加工条件が設定されているラスターデータである。尚、入力部16Bは、パーソナルコンピュータに接続されたキーボードやマウス等から構成されている。
【0037】
パンチ機構15(
図1(A)参照)のパンチ部15A(
図1(A)参照)は、サーボプレス装置(図示せず)を用いて昇降動作を繰り返す。制御部16では、タイマ16Cを介して上記サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて第1及び第2の駆動機構21,22を駆動させ、第1及び第2の送り出し部13A,13Bを間欠的に回転させる。そして、制御部16は、位置検出センサ24からの検出信号に応じて、可動機構23を介して、適宜、第2の送り出し部13Bを載置部12の上面に対して昇降させる。詳細は後述するが、制御部16では、タイマ16Cを介して上記サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて、第1及び第2の駆動機構21,22及び可動機構23を可動させ、被加工物11を搬送させると共にしっかりと固定することで、被加工物11に位置精度良くパンチ孔51(
図5(B)参照)を穿孔することができる。
【0038】
図2(A)は、本実施形態のパンチング装置10(
図1(A)参照)の載置部12及び搬送機構13を上方から見た状態を説明する斜視図である。
図2(B)は、本実施形態のパンチング装置10の載置部12及び搬送機構13を下方から見た状態を説明する斜視図である。
【0039】
図2(A)に示す如く、載置部12は、パンチング装置10の手前側に配設される第1の載置部12Aと、パンチング装置10の奥側に配設される第2の載置部12Bと、を有している。第1及び第2の載置部12A,12Bは、被加工物11(
図5(B)参照)の送り出し方向に沿って配設され、第1の載置部12Aと第2の載置部12Bとの間には、パンチ機構15(
図1(A)参照)の加工領域15Cが設けられている。そして、加工領域15Cには、パンチ機構15のピン受けプレート部15Bが複数枚配設されている。尚、第1及び第2の載置部12A,12Bは、それぞれダイセット14(
図1(A)参照)の台座部14Aを介してダイセット14に固定されている。
【0040】
詳細は後述するが、第2の載置部12Bは、第2の送り出し部13Bよりもパンチング装置10の奥側が、斜め下方へと傾斜した形状となる。この構造により、加工済みの被加工物11は、その後端側が第2の送り出し部13Bの押圧状態から解放されることで、第2の載置部12Bの上面をパンチング装置10の奥側へと滑り落ち、パンチング装置10から回収される。
【0041】
次に、搬送機構13は、主に、第1及び第2の載置部12A,12B上面の被加工物11を送り出し方向に移動させる第1の送り出し部13A及び第2の送り出し部13Bと、第1の送り出し部13A及び第2の送り出し部13Bを間欠的に回動させる第1及び第2の駆動機構21,22と、第2の送り出し部13Bを機械的に昇降させる可動機構23と、被加工物11の位置を検出する位置検出センサ24(
図3(C)参照)と、第1の送り出し部13A及び第1の駆動機構21を支持する第1の支持枠体25と、第2の送り出し部13B及び第2の駆動機構22を支持する第2の支持枠体26と、を有している。
【0042】
第1の送り出し部13Aは、例えば、円筒状の第1の回転式ローラであり、回転軸27(
図2(B)参照)となる鉄心の周囲にシリコンゴムが配設されている。そして、被加工物11が第1の載置部12Aの上面に載置されていない状態では、第1の送り出し部13Aは、第1の送り出し部13A及び第1の支持枠体25の自重により第1の載置部12Aの上面と当接すると共に、第1の載置部12Aの横幅方向(左右方向)に渡り配設されている。
【0043】
また、第1の送り出し部13Aは、その回転軸27を介して第1の載置部12Aの左右両側に配設されている第1の支持枠体25に対して回転自在に軸支されている。そして、第1の送り出し部13Aの回転軸27の一端側が、第1の駆動機構21のギア部21Bと連結し、サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて間欠的に回転する。
【0044】
詳細は後述するが、第1の送り出し部13Aが、第1の載置部12Aの上面との間に被加工物11を挟み込む際に、例えば、支持棒部25Cを掴み持ち上げる手動操作により、第1の送り出し部13Aは、第1の載置部12Aの上面から離間して上昇する。その後、第1の送り出し部13Aは、上記手動操作により、被加工物11の上面へと下降し、第1の送り出し部13A等の自重を利用して、被加工物11を第1の載置部12Aの上面に向けて押圧する。そして、第1の送り出し部13Aは、被加工物11を押圧した状態にて回転することで、被加工物11を送り出し方向へと搬送する。尚、第1の送り出し部13Aが、第1の載置部12Aの上面に対して昇降する機構により、様々な厚みの被加工物11も第1の載置部12Aとの間に容易に挟み込むことができる。
【0045】
第2の送り出し部13Bは、例えば、円筒状の第2の回転式ローラであり、回転軸28(
図2(B)参照)となる鉄心の周囲にシリコンゴムが配設されている。そして、被加工物11が第2の載置部12Bの上面に載置されていない状態では、第2の送り出し部13Bは、第2の送り出し部13B及び第2の支持枠体26の自重により第2の載置部12Bの上面と当接すると共に、第2の載置部12Bの横幅方向(左右方向)に渡り配設されている。
【0046】
また、第2の送り出し部13Bは、その回転軸28を介して第2の載置部12Bの左右両側に配設されている第2の支持枠体26に対して回転自在に軸支されている。そして、第2の送り出し部13Bの回転軸28の一端側が、第2の駆動機構22のギア部22Bと連結し、サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて間欠的に回転する。
【0047】
詳細は後述するが、第2の送り出し部13Bは、第2の載置部12Bの上面との間に被加工物11を挟み込む際に、可動機構23を介して第2の載置部12Bの上面から離間して上昇する。その後、第2の送り出し部13Bは、可動機構23を介して下降し、第2の送り出し部13B等の自重を利用して被加工物11を第2の載置部12Bの上面に向けて押圧する。そして、第2の送り出し部13Bは、被加工物11を押圧した状態にて回転することで、被加工物11を送り出し方向へと搬送する。尚、第2の送り出し部13Bが、第2の載置部12Bの上面に対して昇降する機構により、様々な厚みの被加工物11も第2の載置部12Bとの間に容易に挟み込むことができる。
【0048】
第1の駆動機構21は、主に、サーボモータ21Aと、サーボモータ21Aの駆動力を第1の送り出し部13Aの回転軸27に伝達するギア部21Bと、を有している。上述したように、サーボモータ21Aは、制御部16により制御され、サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて駆動する。
【0049】
第2の駆動機構22は、主に、サーボモータ22Aと、サーボモータ22Aの駆動力を第2の送り出し部13Bの回転軸28に伝達するギア部22Bと、を有している。上述したように、サーボモータ22Aは、制御部16により制御され、サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて駆動する。
【0050】
制御部16は、サーボプレス装置の昇降動作のタイミングに合わせて、サーボモータ21A,22Aを同期して稼働させる。具体的には、第1及び第2の送り出し部13A,13Bは同一径であり、制御部16は、第1及び第2の送り出し部13A,13Bを同一方向に同一角度だけ、同一のタイミングにて回転させる。その結果、被加工物11は、第1及び第2の送り出し部13A,13B間にて弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0051】
可動機構23は、ダイセット14上面に固定され、主に、パンチング装置10の上下方向へと伸縮する伸縮部材31と、第2の支持枠体26の側面に固定され、伸縮部材31と接触することで第2の支持枠体26を可動させる受けプレート32と、を有している。
【0052】
伸縮部材31としては、圧縮空気により伸縮するエアシリンダ装置や油圧により伸縮する油圧シリンダ装置等が用いられる。そして、制御部16は、位置検出センサ24(
図3(C)参照)の検出信号により伸縮部材31のシリンダ部31A(
図1(A)参照)を上方へと伸ばすと共に、第1及び第2の送り出し部13A,13Bの回転数に合わせて伸縮部材31のシリンダ部31Aを下方へと縮め、元の位置へと戻す。
【0053】
受けプレート32は、例えば、略L字形状の金属板であり、受けプレート32の一部が、伸縮部材31の上方へと配設されている。そして、伸縮部材31のシリンダ部31Aが収納された状態では、受けプレート32と伸縮部材31とは非接触の状態であり、伸縮部材31のシリンダ部31Aが伸びることで、受けプレート32と伸縮部材31とは接触状態となる。詳細は後述するが、受けプレート32が、伸縮部材31により上方へと持ち上げられることで、第2の支持枠体26の一端側が持ち上げられ、第2の送り出し部13Bが、被加工物11から離間して上昇する。
【0054】
位置検出センサ24は、例えば、赤外線センサから成り、
図3(C)に示すように、パンチ機構15の加工領域15C近傍の第2の載置部12Bに対して配設されている。図示したように、位置検出センサ24は、第2の載置部12Bに設けられた設置孔43(
図3(C)参照)内に配設され、第2の載置部12Bの上面を移動する被加工物11の先端部を位置検出する。
【0055】
次に、
図2(A)及び
図2(B)を用いて、第1の支持枠体25及び第2の支持枠体26について説明する。
【0056】
第1の支持枠体25は、主に、一対の壁体部25A,25Bと、壁体部25A,25Bを架橋して連結し、例えば、円柱形状の一対の支持棒部25C,25Dと、を有している。図示したように、壁体部25A,25Bは、第1の載置部12Aの左右両側に略平行となるように配設されている。そして、壁体部25Aは、直方体形状であり、その長手方向が送り出し方向に沿って配設されると共に、その中空部にて、第1の駆動機構21のギア部21Bを回転自在に支持している。また、壁体部25Aの内側面側にはサーボモータ21Aが配設されている。
【0057】
支持棒部25Cが、第1の載置部12Aの上面側であり、第1の送り出し部13Aの上方に、壁体部25A,25Bを架橋して配設されている。一方、支持棒部25Dは、第1の載置部12Aの下面側であり、壁体部25A,25Bの長手方向(紙面前後方向)の下端側に、壁体部25A,25Bを架橋して配設されている。尚、支持棒部25Dは、壁体部25A,25B内側面において、支持棒部25Cと略対角線上に位置するように配設されることで、第1の支持枠体25の剛性力を高めている。
【0058】
図示したように、支持棒部25Dが、台座部14Aに固定されたプレート部14Bに対して回転自在に軸支され、第1の支持枠体25は、ダイセット14に対して回転自在に支持されている。この構造により、第1の支持枠体25は、支持棒部25Dを回転軸として回転することができる。例えば、作業者が、支持棒部25Cを持ち上げることで、上述したように、第1の送り出し部13Aが、第1の載置部12Aの上面から離間して上昇する。尚、第1の支持枠体25に外力が加わっていない状態では、第1の送り出し部13A等の自重により、第1の送り出し部13Aは、第1の載置部12Aの上面または第1の載置部12Aの上面に載置された被加工物11と当接している。
【0059】
第2の支持枠体26は、主に、一対の壁体部26A,26Bと、壁体部26A,26Bを架橋して連結し、例えば、円柱形状の一対の支持棒部26C,26Dと、を有し、上述した第1の支持枠体25と同様に、プレート部14Bを介してダイセット14に対して回転自在に支持されている。
【0060】
この構造により、制御部16が可動機構23を制御し、伸縮部材31のシリンダ部31Aが上方へと伸び、受けプレート32と伸縮部材31とが接触状態となることで、受けプレート32が上方へと持ち上げられる。そして、第2の支持枠体26が、支持棒部26Dを回転軸として回転することで、受けプレート32の配設側の第2の支持枠体26が持ち上げられ、第2の送り出し部13Bが、被加工物11から離間して上昇する。
【0061】
一方、制御部16が可動機構23を制御し、伸縮部材31のシリンダ部31Aが縮むことで、第2の支持枠体26が、支持棒部26Dを支点として回転し、第2の送り出し部13Bが、被加工物11に向けて下降する。その後、受けプレート32と伸縮部材31とが非接触状態となり、第2の送り出し部13Bは、被加工物11と当接し、第2の送り出し部13B等の自重により被加工物11を押圧する。
【0062】
本実施形態では、伸縮部材31のシリンダ部31Aは、一定量のストローク幅を有し、位置検出センサ24からの検出信号に応じて、制御部16により制御されて伸縮する。そして、制御部16が、上記検出信号の検出後、最初に第2の送り出し部13Bを回転させるタイミングに合わせて、伸縮部材31のシリンダ部31Aを最も伸びた状態とする。この状態では、第2の送り出し部13Bと第2の載置部12Bとの隙間が、被加工物11の厚みよりも広くなる。一方、伸縮部材31のシリンダ部31Aを最も伸びた状態から、その後の第2の送り出し部13Bの7回転目の回転時に合わせて、伸縮部材31のシリンダ部31Aを最も縮んだ状態へと戻す。その結果、位置検出センサ24にて検出された加工中の被加工物11が、第2の送り出し部13Bの下方まで搬送され、加工中の被加工物11の先端側は、第2の送り出し部13Bにてしっかりと押圧される。
【0063】
図3(A)から
図3(D)は、本実施形態のパンチング装置10の搬送機構13にて被加工物11Aを搬送する状況を説明する概略図である。
図4(A)から
図4(D)は、本実施形態のパンチング装置10の搬送機構13にて複数の被加工物11A,11Bを搬送する状況を説明する概略図である。尚、
図3(A)から
図4(D)では、説明の都合上、被加工物11A,11Bに穿孔されるパンチ孔51(
図5(B)参照)は、省略して図示している。また、搬送機構13の可動状態は、適宜、
図1及び
図2を用いて上述した説明を参照する。
【0064】
図3(A)に示す如く、作業者等により第1の載置部12Aの上面に個片のシート状の被加工物11Aを載置する。そして、作業者は、例えば、被加工物11Aの先端側を伸張させながら、第1の載置部12Aの横幅方向に渡り配設される第1の送り出し部13Aに対して、被加工物11Aの先端を接触させることで、被加工物11Aを送り出し方向(紙面前後方向)に対して位置合わせを行う。
【0065】
一方、第1の送り出し部13Aは、制御部16(
図1(B)参照)により制御され、矢印41にて示すように間欠的に回転する。そして、被加工物11Aは、第1の送り出し部13Aの回転に合わせて、第1の送り出し部13Aと第1の載置部12Aとの間へと挟み込まれる。このとき、
図2(A)及び
図2(B)を用いて上述したように、被加工物11の厚みに応じて、第1の支持枠体25が、支持棒部25Dを回転軸として回転することで、矢印42にて示すように、第1の送り出し部13Aは、第1の載置部12Aの上面から上昇し、被加工物11Aを挟み込むことができる。その後、第1の送り出し部13A及び第1の支持枠体25の自重により、被加工物11Aは、その横幅方向(紙面左右方向)に渡り、第1の送り出し部13Aにより第1の載置部12Aの上面側へと押圧されながら、送り出し方向へと搬送される。尚、第1の送り出し部13Aを上昇させる際に、作業者が支持棒部26Cを持ち上げる場合でも良く、また、作業者が第1の送り出し部13Aの回転に合わせて被加工物11を第1の送り出し部13Aの下方に押し込む場合でも良い。
【0066】
図3(B)に示す如く、第1の送り出し部13Aが、矢印41の方向へと間欠的に回転することで、被加工物11Aは送り出し方向へと、例えば、5mmピッチにて間欠的に送り出される。そして、被加工物11が、パンチ機構15(
図1(A)参照)の加工領域15Cまで搬送されると、第1の送り出し部13Aの停止時に、パンチ機構15のパンチ部15A(
図1(A)参照)が下死点まで下降する。その結果、パンチ部15Aに配設された複数のピン15Eが被加工物11Aを貫通し、ピン15Eの先端がピン受けプレート部15Bの小孔52,53内へと挿入される。そして、被加工物11Aには、ピン15Eと同形状のパンチ孔51(
図5(B)参照)が穿孔される。
【0067】
尚、被加工物11Aは、送り出し方向の後方側を第1の送り出し部13Aによりしっかりと固定され、その固定状態にてパンチ孔51が被加工物11Aに穿孔されることで、被加工物11Aには、位置精度良く、所望の形状のパンチ孔51が穿孔される。
【0068】
図3(C)に示す如く、位置検出センサ24は、パンチ機構15の加工領域15Cと第2の送り出し部13Bとの間であり、加工領域15C近傍の第2の載置部12Bの設置孔43に対して配設されている。そして、被加工物11Aが、第1の送り出し部13Aにより送り出され、被加工物11Aの先端部が、位置検出センサ24にて検出されると、制御部16(
図1(B)参照)は、位置検出センサ24からの検出信号を受信し、可動機構23(
図1(A)参照)及び第2の支持枠体26を介して第2の送り出し部13Bを上限位置まで上昇させる。
【0069】
具体的には、
図2(A)及び
図2(B)を用いて上述したように、第2の支持枠体26が、支持棒部26Dを回転軸として回転することで、矢印44にて示すように、第2の送り出し部13Bは、第2の載置部12Bの上面から上昇する。そして、第2の送り出し部13Bと第2の載置部12Bとの間の隙間の幅W1は、最も広い状態となり、少なくとも被加工物11Aの厚みよりも広い状態となる。尚、第1の送り出し部13Aは、引き続き、被加工物11Aを押圧し、被加工物11Aを送り出し方向へと送り出している。
【0070】
図3(D)に示す如く、第2の送り出し部13Bは、例えば、上限位置まで上昇し、その後の第2の送り出し部13Bの7回転目までは上昇した状態を維持する。つまり、被加工物11Aは、第1の送り出し部13Aを介して送り出し方向へと5mmピッチにて間欠的に送り出されるので、上記上昇状態中に位置検出センサ24の位置から35mm分だけ第2の送り出し部13B側へと移動している。
【0071】
図示したように、位置検出センサ24と第2の送り出し部13Bの回転軸28の軸心までの離間距離W2は、35mm以内に設定されている。そのため、被加工物11Aの先端部は、第2の送り出し部13Bの上記上昇中に、第2の送り出し部13Bの回転軸28の軸心の下方まで移動することができる。
【0072】
その後、矢印45にて示すように、可動機構23及び第2の支持枠体26を介して第2の送り出し部13Bが下降し、被加工物11Aの先端側を第2の送り出し部13Bにて押圧する。そして、この状態では、被加工物11Aは、第2の送り出し部13B及び第2の支持枠体26の自重により、その横幅方向(紙面左右方向)に渡り、第2の送り出し部13Bにより第2の載置部12Bの上面側へと押圧されている。
【0073】
この構造により、被加工物11Aは、送り出し方向の前後を第1及び第2の送り出し部13A,13Bによりしっかりと押圧されている。そして、矢印41,46にて示すように、第1及び第2の送り出し部13A,13Bは、同期して同一方向に間欠的に回転する。その結果、被加工物11Aが、弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止され、被加工物11Aには、位置精度良く、所望の形状のパンチ孔51(
図5(B)参照)が穿孔される。
【0074】
図4(A)に示す如く、第2の送り出し部13Bが、矢印46の方向へと間欠的に回転することで、被加工物11Aは送り出し方向へと間欠的に送り出される。そして、パンチ機構15(
図1(A)参照)の加工領域15Cでは、第2の送り出し部13Bの停止時に、パンチ部15A(
図1(A)参照)が下死点まで下降し、被加工物11Aには、ピン15Eと同形状のパンチ孔51が穿孔される。
【0075】
一方、作業者等により第1の載置部12Aの上面に次にパンチ加工を行う被加工物11Bを載置する。
図3(A)を用いて上述したように、作業者は、被加工物11Aの先端を送り出し方向(紙面前後方向)に対して位置合わせを行う。矢印42にて示すように、第1の支持枠体25を介して、第1の送り出し部13Aは、第1の載置部12Aの上面から上昇する。そして、被加工物11Bは、第1の送り出し部13Aの回転に合わせて、第1の送り出し部13Aと第1の載置部12Aとの間へと挟み込まれる。このとき、作業者は、被加工物11A,11B間に一定の離間距離W3を有した状態にて連続して投入する。
【0076】
図4(B)に示す如く、矢印41,46にて示すように、第1及び第2の送り出し部13A,13Bは、制御部16の制御により同期し、同一方向へと同一のタイミングにて間欠的に回転することで、被加工物11A,11Bは、それぞれ離間距離W3を維持した状態にて移動し、お互いに衝突することで、弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0077】
図3(A)から
図3(D)を用いて上述したように、被加工物11Bは、第1の送り出し部13Aにより送り出し方向の前方側へと送り出されると共に、被加工物11Bには、第1の送り出し部13Aの停止時に合わせて複数のパンチ孔51が穿孔される。
【0078】
一方、被加工物11Aは、パンチ部15Aによるパンチ孔51の穿孔作業が終了し、加工済み状態である。第2の送り出し部13Bが、矢印46の方向へと間欠的に回転することで、被加工物11Aは送り出し方向へと間欠的に送り出される。そして、被加工物11Aの大部分は、第2の載置部12Bの傾斜面へと位置し、その後端側が、第2の送り出し部13Bにて支えられている状態である。
【0079】
図4(C)に示す如く、被加工物11Bが、第1の送り出し部13Aにより送り出され、被加工物11Bの先端部が、位置検出センサ24にて検出される。
図3(C)を用いて上述したように、可動機構23(
図1(A)参照)及び第2の支持枠体26を介して、第2の送り出し部13Bを上限位置まで上昇させることで、矢印44にて示すように、第2の送り出し部13Bは、第2の載置部12Bの上面から上昇する。
【0080】
一方、被加工物11Aは、第2の送り出し部13Bにより送り出し方向へと搬送されていたが、第2の送り出し部13Bが上昇することで、第2の送り出し部13Bの支持状態から解放される。その結果、矢印47にて示すように、被加工物11Aは、その自重により第2の載置部12Bの上面をパンチング装置10の奥側へと滑り落ち、パンチング装置10に併設される回収箱(図示せず)内へと回収される。
【0081】
つまり、第2の載置部12Bには、第2の送り出し部13Bより若干奥側に斜め下方へと傾斜する傾斜面が設けられる。この構造により、第2の送り出し部13Bの支持状態から解放された加工済み被加工物11Aを確実に第2の載置部12Bの上面から回収し、パンチング装置10での被加工物11A,11Bを含む被加工物11の連続作業を実現し、量産性を向上させることができる。
【0082】
図4(D)に示す如く、第2の送り出し部13Bは、一定期間上昇状態を維持した後、矢印45にて示すように、可動機構23及び第2の支持枠体26を介して第2の送り出し部13Bが下降し、被加工物11Bの先端側を第2の送り出し部13Bにて押圧する。
図3(D)を用いて上述したように、被加工物11Bは、送り出し方向の前後を第1及び第2の送り出し部13A,13Bによりしっかりと押圧される共に、第1及び第2の送り出し部13A,13Bの停止時にはしっかりと固定されている。
【0083】
そして、矢印41,46にて示すように、第1及び第2の送り出し部13A,13Bは、同期して同一方向に間欠的に回転する。その結果、被加工物11Bは、繰り返し送り出し方向へと一定量だけ送り出され、被加工物11Bが、弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。そして、被加工物11Bには、位置精度良く、所望の形状のパンチ孔51(
図5(B)参照)が穿孔される。
【0084】
尚、本実施形態では、第1の載置部12Aの上面、ピン受けプレート部15Bの上面及び第2の載置部12Bの上面が、実質、同一面を形成している。この構造により、被加工物11A,11Bを含む被加工物11は、上記同一面と擦れながら移動するが、上記同一面が、段差を有することなく、平坦面からなることで、被加工物11が、段差に引っ掛かることで、捻じれたり、寄れたりすることが防止される。
【0085】
また、被加工物11の長手方向の長さは、少なくとも第1の送り出し部13Aの回転軸27の軸心と第2の送り出し部13Bの回転軸28の軸心との離間距離も長くなる。その結果、被加工物11は、少なくとも第1及び第2の送り出し部13A,13Bにて送り出されることで、第1及び第2の載置部12A,12Bの上面にて移動出来なくなることが防止される。
【0086】
図5(A)は、本実施形態のパンチング装置10のパンチ機構15を説明する平面図である。
図5(B)は、本実施形態のパンチング装置10にて加工された被加工物11を説明する平面図である。
【0087】
図5(A)では、パンチ機構15(
図1(A)参照)の加工領域15Cに配設される複数のピン受けプレート部15Bを示している。ピン受けプレート部15Bは、被加工物11の送り出し方向に前後して2列配列されている。前段のピン受けプレート部15Bには、パンチング装置10の手前側に複数の小孔52が形成されている。複数の小孔52の形状は、例えば、円形状であり、パンチング装置10の横幅方向に延在して、例えば、5mmピッチにて連続して形成されている。
【0088】
一方、後段のピン受けプレート部15Bには、パンチング装置10の奥側に複数の小孔53が形成されている。複数の小孔53の形状は、例えば、円形状であり、パンチング装置10の横幅方向に延在して、例えば、5mmピッチにて連続して形成されている。図示したように、後段のピン受けプレート部15Bの小孔53は、前段のピン受けプレート部15Bの小孔52の間に位置する様に、後段のピン受けプレート部15Bは、前段のピン受けプレート部15Bに対して左側に2.5mmずらして配置されている。また、前段のピン受けプレート部15Bの小孔52と後段のピン受けプレート部15Bの小孔53とは、送り出し方向に、例えば、5mm離間して配置されている。
【0089】
パンチ機構15(
図1(A)参照)のパンチ部15A(
図1(A)参照)では、ピン受けプレート部15Bの小孔52,53に対応する位置に複数のピン15E(
図3(B)参照)を保持している。そして、ピン15Eの形状も小孔52,53の形状と同様に円形状であり、上述したように、パンチ部15Aが下死点まで下降し、ピン15Eが被加工物11を打ち抜き、小孔52,53内へと挿入することで、被加工物11には、複数のパンチ孔51が穿孔される。尚、本実施形態では、小孔52,53の形状は、同形状であるが、その形状を相違させることで、被加工物11には、様々な形状や模様のパンチ孔51を穿孔することができる。
【0090】
図5(B)に示す如く、被加工物11には、送り出し方向に対して、5mmピッチにてパンチ孔51の列が形成される。上述したように、被加工物11は、第1及び第2の送り出し部13A,13Bを介して送り出し方向へと5mmピッチにて間欠的に送り出される。そして、前段のピン受けプレート部15Bの小孔52と後段のピン受けプレート部15Bの小孔53とは、例えば、5mm離間して配置されている。この構造により、パンチング装置10の横幅方向におけるパンチ孔51の列では、2.5mmピッチのパンチ孔51が穿孔されている。尚、被加工物11の最前列では、前段のピン受けプレート部15Bのみを用いてパンチ孔51が穿孔されるため、5mmピッチのパンチ孔51が穿孔されている。
【0091】
尚、
図3(B)に示すように、被加工物11Aの先端部側は、第1の送り出し部13Aのみにて固定された状態にて、パンチ機構15にてパンチ孔51が穿孔されるが、特に問題なく、被加工物11Aには、位置精度良く、所望の形状のパンチ孔51が穿孔される。しかしながら、更に好適には、
図3(D)に示すように、被加工物11Aの前後方向を第1及び第2の送り出し部13A,13Bにて固定した状態にてパンチング加工を行うことで、被加工物11Aに対して、位置精度良く、所望の形状のパンチ孔51を穿孔することができる。
【0092】
上述したように、本実施形態のパンチング装置10では、被加工物11が、搬送機構13の第1及び第2の送り出し部13A,13Bを介して送り出し方向へと間欠的に送り出される。この構造により、パンチング装置10では、従来のパンチング装置のように被加工物を搬送するためのロール状に巻き回された搬送用の紙製ロール材が不要となり、製造コストを大幅に低減することができる。また、上記紙製ロール材が不要となることで、環境面にも優れたパンチング装置10が実現される。
【0093】
尚、本実施形態では、位置検出センサ24にて被加工物11の先端部を検出することで、パンチング装置10の第2の送り出し部13Bが、第2の載置部12Bの上面に対して上昇し、第2の送り出し部13Bと第2の載置部12Bとの隙間が広がり、被加工物11が、上記隙間内へと確実に入り込むことができる場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、第1の送り出し部13Aの手前側の第1の載置部12Aにも位置検出センサ24を配設し、更には、可動機構23を第1の送り出し部13Aの側方の第1の支持枠体25に対して配設する場合でも良い。この場合には、上述した第2の送り出し部13Bと同様に、第1の送り出し部13Aへと送られる被加工物11の位置を検出し、第1の送り出し部13Aが、第1の載置部12Aの上面に対して上昇する。そして、第1の送り出し部13Aと第1の載置部12Aとの隙間が、機械的に自動制御により広がり、被加工物11が、上記隙間内へと確実に入り込み、被加工物11が、弛んだり、捻じれたり、あるいは、寄れたりすることが防止される。
【0094】
また、第2の送り出し部13Bは、可動機構23が可動していない状態では、第2の送り出し部13B及び第2の支持枠体26の自重により、被加工物11を第2の載置部12Bへと押圧する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、第2の支持枠体26の支持棒部26Cの上方に、壁体部26A,26Bを架橋するように棒状の錘(図示せず)を着脱自在に取り付ける構造の場合でも良い。つまり、上記錘の重さにより、第2の送り出し部13Bによる被加工物11の押圧力を調整し、被加工物11をしっかりと押圧する状態を調整することができる。同様に、第1の支持枠体25に対しても上記錘を着脱自在に取り付ける構造の場合でも良い。
【0095】
また、第1の載置部12Aの手前にベルトコンベア等の被加工物11を自動搬送する機構を設け、第1の送り出し部13Aの手前側から自動搬送する場合でも良い。この場合には、被加工物11は上記ベルトコンベアに載置する際に位置合わせが成され、上記機械的な自動制御により、被加工物11は、位置精度良く第1の送り出し部13Aの下方に挟み込まれ、搬送されることで、被加工物11には、所望の形状のパンチ孔51が穿孔される。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
従来のパンチング装置では、被加工物を搬送するために、紙製ロール材が必要であり、製造コストを低減し難いという問題があった。本発明のパンチング装置10は、主に、載置部12の上面の被加工物11を送り出し方向に移動させる搬送機構13と、搬送機構13を支持するダイセット14と、搬送機構13上方に配設され、被加工物11にパンチ孔51を穿孔するパンチ機構15と、パンチング装置10の動作を制御する制御部16と、を有している。そして、搬送機構13には、被加工物11を間欠的に送り出す第1の送り出し部13A及び第2の送り出し部13Bが配設されている。この構造により、被加工物11は、搬送用の紙製ロール材を用いることなく、載置部12の上面を移動することができ、製造コストが大幅に低減される。