(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の無線通信部を用いて、前記第2の無線通信の通信エリアを検出した場合、前記表示部に、前記コンテンツ配信クライアントを示すアイコン、前記コンテンツ配信サーバを示すアイコン、及び前記コンテンツ配信サーバの方向を示すアイコン、を表示する、
請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
前記コンテンツ配信クライアントの前記表示部に、前記コンテンツ配信クライアントを示すアイコン、前記コンテンツ配信サーバを示すアイコン、及び前記コンテンツ配信サーバの方向を示すアイコン、を表示する、
請求項6に記載のコンテンツ配信方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面と共に本開示の実施の形態を説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、コンテンツ配信システム100の構成を示すブロック図を示す。コンテンツ配信システムは、配信サーバ101、配信クライアント102を含む。配信サーバ101は、制御部1011、低速通信部1012、高速通信部1013、ストレージ部1014、移動検出部1015、ユーザインタフェース(UI : User Interface)部1016、外部インタフェース部1017を含む。配信クライアント102は、制御部1021、低速通信部1022、高速通信部1023、ストレージ部1024、移動検出部1025、ユーザインタフェース部1026、外部インタフェース部1027を含む。
【0015】
配信サーバ101と配信クライアント102は、同様の構成であるが、配信するコンテンツを送出する側を配信サーバ、受信する側を配信クライアントとする。また以降では配信サーバ側を親デバイス(マスターデバイス)、配信クライアント側を子デバイス(スレーブデバイス)と呼ぶこともある。例えば配信サーバは店舗などに設置されるキオスク端末や電子サイネージなどで、配信クライアントはスマートフォンやタブレット、ノートPCなどの移動携帯端末などである。あるいは自動車内で利用する場合、配信サーバはカーナビゲーション装置、音楽や映像を再生する車内エンターテインメント装置、計器類の制御装置及び表示装置などであり、配信クライアントはスマートフォンやタブレット、ノートPCの他に、座席に取り付けたポータブルディスプレイや持ち運びができるモバイルディスプレイなどである。いずれも配信クライアント102は移動端末で持ち運びとバッテリー駆動を前提とし、配信サーバ101は固定端末で電源駆動を前提とする。このため配信クライアントのストレージ部1024の容量は、配信サーバ101のストレージ部1014よりも小さい。
【0016】
低速通信部1012、1022は、通信速度は低速だが広い通信エリアを持つ通信方式により互いに無線通信を行う。通信方式としては例えばZigbee, Bluetooth(登録商標), DSRC, IEEE802.11p, IEEE802.11/b/g/a/nなどのWi-Fi, 3G, LTEなどのセルラ方式などを用いることができる。ここで低速とは高速通信部1013,1023に対して低速という意味で数十kbps〜数十Mbps程度である。また広い通信エリアとは高速通信部1013,1023に対して広いという意味で数十m〜数km程度の通信エリアである。
【0017】
高速通信部1013,1023は、通信速度は高速だが狭い通信エリアを持つ通信方式により互いに無線通信を行う。通信方式としては例えばマイクロ波を用いるIEEE802.11ac, ミリ波を用いるIEEE802.11ad/WiGigなどを用いることができる。ここで高速とは低速通信部1012,1022に対して高速という意味で数百Mbps〜数Gbps程度である。また狭い通信エリアとは低速通信部1012,1022に対して狭いという意味で数m程度の通信エリアである。高速通信部1013、1023は複数のアンテナを備えビームフォーミングやMIMOにより指向性制御を行う。
【0018】
ストレージ部1014,1024はコンテンツを保存する記憶手段で、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などで構成される。配信サーバ側のストレージ部1014の容量は例えば数百GB〜数TB, 配信クライアント側のストレージ部1024の容量は例えば数GB〜数十GBで配信サーバ側のストレージ部の容量の方が大きい。
【0019】
移動検出部1015、1025は、通信エリアの移動(高速通信エリア内から高速通信エリア外へ、または、高速通信エリア外から高速通信エリア内へ)の有無を検出する。配信クライアント(子デバイス)102の移動検出部1025は、配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013の高速通信エリア内から高速通信エリア外へ、または、高速通信エリア外から高速通信エリア内へ、配信クライアント(子デバイス)102が移動したか否かを検出する。例えば配信サーバ(親デバイス)101からのビームフォーミングトレーニングや高速通信中の受信品質(電波受信強度やRSSI, SNR, SINR, パケットエラーレートなど)などが劣化したことから配信クライアント(子デバイス)102が通信エリアを移動したことを検出することによって、通信エリアの移動の有無を検出してもよい。
【0020】
なお、配信クライアント(子デバイス)102は、図示しない加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、GPS等自身の移動を検出できる手段を備え、これらの出力を用いて通信エリアの移動の有無を検出するようにしてもよい。
【0021】
配信サーバ(親デバイス)101の移動検出部1015は、高速通信部1013の通信エリア内から通信エリア外へ、または、高速通信部1013の通信エリア外から通信エリア内へ、配信クライアント(子デバイス)102が移動したかを検出する。例えば配信クライアント(子デバイス)102からのビームフォーミングトレーニングや高速通信中の受信品質(電波受信強度やRSSI, SNR, SINR, パケットエラーレートなど)などが劣化したことから配信クライアント(子デバイス)102が高速通信エリア内から高速通信エリア外へ、または、高速通信エリア外から高速通信エリア内へ、移動したことを検出するようにしてもよい。
【0022】
なお、配信サーバ(親デバイス)101は、配信クライアント(子デバイス)102が検出した移動結果の通知を受けて判定を行うようにしてもよい。
【0023】
ユーザインタフェース部1016、1026は、ユーザへの情報の表示やユーザの操作を行うものでディスプレイパネル、LED、タッチパネル、キーパッド、キーボード、スイッチ、音声入出力などを用いることができる。コンテンツ配信では、コンテンツの選択及び解除、配信の設定および配信されたコンテンツの操作や視聴などを行う。なお、映像データや音楽データなどのコンテンツ配信では視聴のためのディスプレイやスピーカが必要となるが、制御データやプログラムの更新などのコンテンツ配信では必ずしもディスプレイなどは必要としない。また配信サーバ(親デバイス)101と配信クライアント(子デバイス)102との間でユーザインタフェース部を共有してもよく、例えば低速通信を用いたリモートディスプレイ操作などにより配信サーバ(親デバイス)101側のユーザインタフェースを配信クライアント(子デバイス)102側のユーザインタフェース部で操作する、またはその逆に配信クライアント(子デバイス)102側のユーザインタフェースを配信サーバ(親デバイス)101側のユーザインタフェース部で操作するようにしてもよい。
【0024】
外部インタフェース部1017、1027は外部の機器と接続するインタフェースである。例えばEtherネットやPLC, あるいは車内CANなどのネットワークインタフェースやRS232C, USB, HDMI(登録商標), DisplayPortなどの周辺機器インタフェースを用いることができる。また有線に限らず無線接続のインタフェースを用いてもよい。
【0025】
制御部1011,10
21は、配信サーバ(親デバイス)101、配信クライアント(子デバイス)102の構成要素を制御し、コンテンツ配信サービスを行う。典型的にはCPUとソフトウェアプログラムで構成されるが、専用LSIやFPGAなどのハードウェアで構成されてもよい。
【0026】
図2にコンテンツ配信システムの構成の一例を示す。
図2において配信サーバ(親デバイスとして動作)101と配信クライアント(子デバイスとして動作)102が低速通信部1012、1022と高速通信部1013,1023で無線通信を行っている。
図2では、低速通信部の通信エリア201、高速通信部の
高速通信エリア202を示している。低速通信部1012、1022は無指向性に近いアンテナを用いて広い通信エリア201をカバーする。高速通信部1013,1023は指向性アンテナを用いて狭い
高速通信エリア202をカバーする。
【0027】
配信サーバ(親デバイスとして動作)101はユーザインタフェース部1016に配信クライアント(子デバイス)102に配信できるコンテンツの一覧を表示し、例えばユーザの操作によりコンテンツを選択し、配信の設定を行うことができる。また配信クライアント(子デバイスとして動作)102のユーザインタフェース部1026にも配信サーバ(親デバイス)101から受信できるコンテンツの一覧を表示し、ユーザの操作により受信したいコンテンツを選択し、受信の設定を行うことができる。ここでコンテンツの一覧の取得や配信の設定など制御情報に関わる通信は低速通信部1012、1022によって行われ、コンテンツ自体のデータ送信は高速通信部1013,1023によって行われる。
【0028】
図3は、コンテンツ配信システムで行われるコンテンツ配信のフローチャートの一例を示す。配信サーバ(親デバイス)101と配信クライアント(子デバイス)102の間で低速通信リンクが確立した後にコンテンツ配信フローが開始される。
【0029】
ステップS301では、配信クライアント(子デバイス)102は配信サーバ(親デバイス)101のコンテンツ一覧を取得する。ここでは配信クライアント(子デバイス)102のID(IDentification)に紐付けられた配信可能なコンテンツが配信サーバ(親デバイス)101で選択された後、配信クライアント(子デバイス)102に通知される。
【0030】
ステップS302では、配信クライアント(子デバイス)102は受信したいコンテンツを通知されたコンテンツ一覧から選択する。例えばユーザインタフェース部1026に表示された、コンテンツを表すサムネイルやアイコンをクリック、タッチ、または、タップなどすることにより選択する(
図5の(a)参照)。
図5の(a)では、ユーザインタフェース部1026において、選択されたコンテンツが太枠で囲われているが、選択されていることが判ればよく、例えば、選択されたコンテンツが、拡大して前面に移動したように表示してもよく、縮小して背面に移動したように表示してもよい。
【0031】
ステップS303では、コンテンツを選択した後、配信クライアント(子デバイス)102は、ダウンロードに必要な空き容量を計算する。選択されたコンテンツの合計容量を計算し、ユーザインタフェース部1026において、ユーザに提示する(
図5の(b)参照)。ここで、配信クライアント(子デバイス)102は、コンテンツの容量及びダウンロードに必要な推定時間の少なくとも1つを表示する。
【0032】
ステップS304では、配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024にステップS303で計算した空き容量が既に存在するか、または、一時的に移動させてもよいコンテンツが既に選択済みか否かを判定する。空き容量が確保できた場合(ステップS304のYES)、コンテンツ配信の予約が完了し、ステップS306に移る。空き容量が不十分である場合(ステップS304のNO)、ステップS305に移る。
【0033】
ステップS305では、ダウンロードに必要な空き容量を確保するため、配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024から一時的に移動させてもよいコンテンツをユーザに提示し、選択させる(
図5の(c)参照)。
【0034】
例えば一時的に移動させても良いコンテンツとして、アクセス日時が最も古いコンテンツのうちで、足りない空き容量に相当する容量のコンテンツを選択してもよい。またはアクセス日時が最も古いコンテンツから順に複数のコンテンツを選択し、その合計が空き容量に相当するコンテンツを選択してもよい。
【0035】
あるいはダウンロードしたいコンテンツと最も関連の少ないコンテンツ、例えばジャンルが異なる動画としても良い。あるいはダウンロードしたいコンテンツと最も関連の高いコンテンツ、例えばシリーズ化された動画でダウンロードしたいコンテンツの直前のシリーズの動画としてもよい。
【0036】
あるいはユーザのコンテンツ選択履歴や視聴履歴から最も関心度の低いコンテンツを選択してもよい。
【0037】
あるいは空き容量が所定の閾値(例えば全体容量の10%)未満になった場合に、上記のコンテンツの選択方法の動作を自動的に行うようにしてもよい。または、事前に、ユーザによって、一時的に移動してもよいコンテンツを選択しておいてもよい。この場合、ユーザへの提示を省略してもよいし、ユーザインタフェース部1026で、「事前選択済のコンテンツを一時移動する」と表示させ、ユーザに選択させてもよい。
【0038】
このように制御部1021が一時的に移動させてもよいと判断できるコンテンツを選択し、ユーザに提示することで、短時間で空き容量を確保することができ、ユーザの利便性が向上する。ユーザが一時的に移動させてもよいコンテンツを選択した後、ステップS304に戻り、再度空き容量を計算する。なお一時的に移動させてもよいコンテンツがない場合は、図示していないが、ステップS302に戻り、ダウンロードしたいコンテンツの選択をやり直させてもよい。
【0039】
ステップS306では、高速通信エリア202の検出を行う。配信クライアント(子デバイス)102は高速通信部1023を起動し、配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013が形成する高速通信エリア202を検出し通信リンクを確立する。高速通信エリア202の検出は、例えば配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013が送信するビーコンを受信することで検出してもよい。あるいは配信クライアント(子デバイス)102の高速通信部1023からビーコンや接続要求信号を送信し、配信サーバ(親デバイス)101からの応答を受信することで検出してもよい。あるいは低速通信で配信サーバ(親デバイス)101に配信クライアント(子デバイス)102のIDと高速通信要求を通知し、配信サーバ(親デバイス)101から位置情報や通信エリアIDを受け取ることで高速通信エリア202を検出するようにしてもよい。このとき
図5の(d)のように配信サーバ(親デバイス)101の存在する方向を表示してもよい。高速通信部1023は指向性アンテナを用いることからビーム方向の設定値なども一緒に通知し、ユーザインタフェース部1026に表示しても良い。配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013と配信クライアント(子デバイス)102の高速通信部1023とが通信リンクを確立した後、コンテンツデータの送受信を行う。
【0040】
ステップS307では、移動検出部1015,1025の検出結果に基づき、配信クライアント(子デバイス)102が高速通信エリア202内に留まっているかどうかを判定する。配信クライアント(子デバイス)102が高速通信エリア外に出た場合は以降のコンテンツデータの送受信はキャンセルし終了する。配信クライアント(子デバイス)102が高速通信エリア内にいる場合はステップS308に移る。
【0041】
ステップS308では、配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024からコンテンツを一時的に移動させるかどうかを判定する。ステップS305で選択された一時的に移動させてもよいコンテンツがストレージ部1024に存在する場合(ステップS308のYES)、ステップS309に移る。一時的に移動させてもよいコンテンツがストレージ部1024に存在しない場合、つまり、一時的にコンテンツを移動させなくても容量が十分確保できている場合(ステップS308のNO)、ステップS310に移る。
【0042】
ステップS309では、配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024から配信サーバ(親デバイス)101のストレージ部1014にコンテンツを一時的に移動させる。高速通信部1023から高速通信部1013に向かう上り通信によりコンテンツをアップロードする。このとき
図5の(e)のようにコンテンツがアップロードされていることを直感的にユーザに示すため、配信クライアント(子デバイス)102のUI部1026ではアップロードするコンテンツのサムネイルを画面上方に移動させるように表示し、
図5の(f)のように配信サーバ(親デバイス)101のUI部1016ではサムネイルを画面下方から中央に移動させるように表示してもよい。
【0043】
さらに、図示しないが、他のサムネイルの表示を邪魔しないように、他のサムネイルの背面に移動したように見せるため当該サムネイルを縮小(例えば80%)してから、他のサムネイルの背面を移動させるように表示しても良い。また進捗を表すプログレスバーや転送時間や転送速度を合わせて表示しても良い。
【0044】
アップロード完了後、配信クライアント(子デバイス)102はストレージ部1024から当該コンテンツを削除し、配信サーバ(親デバイス)101はストレージ部1014に当該コンテンツを保存する。これにより配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024に空き容量が確保される。
【0045】
ステップS310では、配信サーバ(親デバイス)101のストレージ部1014から配信クライアント(子デバイス)102のストレージ部1024にコンテンツを配信する。配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013から配信クライアント(子デバイス)102の高速通信部1023に向かう下り通信によりコンテンツをダウンロードする。このとき
図5の(g)のようにコンテンツがダウンロードされていることを直感的にユーザに示すため、配信サーバ(親デバイス)101のUI部1016ではダウンロードするコンテンツのサムネイルを画面下方に移動させるように表示し、
図5の(h)のように配信クライアント(子デバイス)102のUI部1026ではサムネイルを画面上方から中央に移動させるように表示しても良い。また進捗を表すプログレスバーや転送時間や転送速度を合わせて表示しても良い。ダウンロード完了後、配信クライアント(子デバイス)102はストレージ部1024に当該コンテンツを保存する。
【0046】
ステップS311では、ステップS302で選択されたコンテンツのダウンロードが全て完了したかを判定し、完了していなければステップS307に移り(ステップS311のYES)、完了していれば終了する(ステップS311のNO)。なお、
図3では、ステップS301は、高速通信エリア202外であることを前提に説明したが、高速通信エリア202内である場合は、ステップS306を省略してもよい。
【0047】
図4に配信サーバ(親デバイス)101および配信クライアント(子デバイス)102間のシーケンスの一例を示す。
図4において点線矢印は配信サーバ(親デバイス)101の低速通信部1012と配信クライアント(子デバイス)102の低速通信部1022の間の通信、実線矢印は配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013と配信クライアント(子デバイス)102の高速通信部1023の間の通信をそれぞれ示す。
【0048】
ステップS401では、配信クライアント(子デバイス)102から配信サーバ(親デバイス)101にIDを通知し接続要求を行う。IDは例えば低速通信部1022のMACアドレスやIPアドレスまたはユーザ認証に必要なユーザIDなどを含むことができる。
【0049】
ステップS402では、配信サーバ(親デバイス)101は配信クライアント(子デバイス)102のIDから接続可能かどうかを判定し接続許可を通知する。これにより低速通信リンクが確立される。
【0050】
ステップS403では、配信クライアント(子デバイス)102は配信サーバ(親デバイス)101が保持する配信可能なコンテンツ(親コンテンツ)の一覧を要求する。
【0051】
ステップS404では、配信サーバ(親デバイス)101は配信クライアント(子デバイス)102に配信可能なコンテンツおよび以前配信クライアント(子デバイス)102からアップロードされたコンテンツ(子コンテンツ)を含むコンテンツ一覧を取得する。
【0052】
ステップS405では、配信サーバ(親デバイス)101は親コンテンツ一覧を配信クライアント(子デバイス)102に通知する。
【0053】
ステップS406では、ユーザは親コンテンツ一覧からダウンロードするコンテンツを選択し、配信クライアント(子デバイス)102は必要な空き容量を計算し、十分な空き容量がなければ一時的に移動するコンテンツ(子コンテンツ)をユーザに提示して選択させる。ダウンロードする親コンテンツ及びアップロードする子コンテンツが決まるとステップS407、ステップS408で配信サーバ(親デバイス)101にそれぞれ通知する。
【0054】
ステップS409では、配信サーバ(親デバイス)101は配信クライアント(子デバイス)102が次回、高速通信エリア202に入ったときにダウンロードする親コンテンツおよびアップロードする子コンテンツの内容を確認し、コンテンツ配信の予約内容を配信クライアント(子デバイス)102に通知する。
【0055】
ステップS410では、配信サーバ(親デバイス)101は配信クライアント(子デバイス)102を高速通信エリア202に接続させるためのビーコン信号を周期的に送信する。
【0056】
ステップS411では、配信クライアント(子デバイス)102はステップS409の配信予約内容に基づき高速通信エリア202の検出を行う。
【0057】
ステップS412では、配信サーバ(親デバイス)101から送信されるビーコン信号を受信するなどして高速通信エリア202を検出した後、配信クライアント(子デバイス)102から配信サーバ(親デバイス)101にIDを通知し接続要求を行う。IDは例えば高速通信部1023のMACアドレスやIPアドレスまたはユーザ認証に必要なユーザIDなどを含むことができる。
【0058】
ステップS413では、配信サーバ(親デバイス)101は配信クライアント(子デバイス)102のIDから接続可能かどうかを判定し接続許可を通知する。これにより高速通信リンクが確立される。
【0059】
ステップS414では、配信サーバ(親デバイス)101の高速通信部1013と配信クライアント(子デバイス)102の高速通信部1023の間でアンテナ指向性を合わせるためのビームフォーミングトレーニングを行う。例えばミリ波通信ではIEEE802.11adのSLS(セクタレベルスイープ)やBRP(ビームリファインメントプロトコル)などのプロトコルに従い双方の指向性を一致させるトレーニングを行う。あるいはマイクロ波通信ではIEEE802.11acのプロトコルに従いMIMO伝送のための伝搬路トレーニングなどを行う。これらにより狭い通信エリアとなるがSNRを向上させ、より高速大容量な通信が行えるようになる。
【0060】
ステップS415では、低速通信によりステップS409で通知された配信予約内容が確認され、子コンテンツのアップロードが必要であればステップS416で高速通信により一時移動させる子コンテンツが親デバイスにアップロードされる。
【0061】
ステップS417では、配信サーバ(親デバイス)101はアップロードされた子コンテンツをストレージ部1014に保存する。
【0062】
ステップS418では、低速通信により子コンテンツの保存完了を通知する。
【0063】
ステップS419では、ステップS418により配信クライアント(子デバイス)102はアップロードした子コンテンツを削除することができ、ストレージ部1024の空き容量を確保する。
【0064】
ステップS420では、配信クライアント(子デバイス)102は、空き容量が確保できた後、親コンテンツのダウンロードを、配信サーバ(親デバイス)101に要求する。
【0065】
ステップS421では、配信サーバ(親デバイス)101は要求された親コンテンツを配信クライアント(子デバイス)102に高速通信により送信する。
【0066】
ステップS422では、配信クライアント(子デバイス)102はダウンロードされた親コンテンツをストレージ部1024に保存する。
【0067】
ステップS423では、配信サーバ(親デバイス)101及び配信クライアント(子デバイス)102は配信完了確認を行う。
【0068】
<第2の実施の形態>
図6にコンテンツ配信システム600の第2の実施の形態を示す。
図6では、エッジサーバ(上位サーバ)601は、配信サーバ101と配信クライアント102がそれぞれ低速通信部6012、10
12、1022および高速通信部6013、1013,1023で接続され、配信サーバ101は、配信クライアント102と低速通信部1012,1022および高速通信部1013、1023で接続される。
【0069】
エッジサーバ601は、制御部6011、低速通信部6012、高速通信部6013、ストレージ部6014、移動検出部6015、ユーザインタフェース部6016、及び、外部インタフェース部6017を含む。
【0070】
エッジサーバ601は配信サーバ101と同様の構成であり、エッジサーバ601の内部ブロック6011〜6017はそれぞれ、配信サーバ101の内部ブロック1011〜1017と同様の機能をもつ。なお、エッジサーバ601のストレージ部6014は配信サーバ101のストレージ部1014より容量が大きく、例えばストレージ部6014の容量は数TB〜数百TB程度である。
【0071】
第1の実施の形態で詳述したように配信サーバ101と配信クライアント102は親−子関係の接続をしているが、第2の実施の形態ではエッジサーバ601と配信サーバ101間でも親−子(マスター−スレーブ)関係の接続を行う。つまり配信サーバ101は配信クライアント102に対しては親デバイスとしての動作を行い、エッジサーバ601に対しては子デバイスとしての動作を行う。なお、このような階層化を何段重ねてもよい。
【0072】
配信サーバ101は配信クライアント102から一時移動するコンテンツをストレージ部1014に保存しようとするが、ストレージ部1014の空き容量が不足する場合がある。このような場合、配信サーバ101はストレージ部1014の空き容量を確保するためエッジサーバ601の子デバイスとして機能し、エッジサーバ601に配信クライアント102のコンテンツを一時移動してもよい。なお、配信サーバ101で行うステップS305(
図3)で行う一時的に移動させてもよいコンテンツの選択は、配信クライアント102から一時移動をされたコンテンツを優先的に選択させるとよい。
【0073】
図7にコンテンツ配信システムの第2の実施の形態の
コンテンツ配信システム700の構成の一例を示す。
図7において、コンテンツ配信システム700は、管理サーバ701、コンテンツサーバ702、インターネット703、車両704、エッジサーバ601の高速通信エリア705、配信サーバ101、配信クライアント102を含む。
【0074】
配信クライアント102は例えば車両704内に持ち込まれユーザが操作するタブレット端末、配信サーバ101は例えば車両704のダッシュボードに設置された車内エンターテインメント装置やカーナビゲーション装置、エッジサーバ601は例えば車両704の外、例えば店舗や駐車場、交差点などに設置されたエッジサーバである。
【0075】
管理サーバ701は、コンテンツ情報、ユーザ情報、ユーザ認証、コンテンツ課金などコンテンツ配信システム700の管理を行う。コンテンツサーバ702は配信される情報コンテンツの全体を格納しており、インターネット703を介して複数のエッジサーバ601と接続される。例えばエッジサーバ601の外部インタフェース部6017にEtherネットを用いてインターネット703に接続する。なおコンテンツサーバ702は、分散ストレージとして複数備えてもよい。なお、管理サーバ701は、コンテンツ毎に複数存在してもよい。
【0076】
エッジサーバ601の高速通信部6013は、指向性がありかつ通信エリアが狭いため、店舗、駐車場、交差点など、様々な場所に分散的に設置される。またエッジサーバ601はコンテンツサーバ702に格納されているコンテンツを、すべて格納しておく必要はなく、設置場所や対象となるユーザや時間帯などに応じて、場所、時間で必要なコンテンツをコンテンツサーバ702からダウンロード及びアップロードを行うことで、格納するようにしてもよい。
【0077】
エッジサーバ601の低速通信部6012は、通信エリアが広いため配信サーバ101と配信クライアント102との通信を行う。一方エッジサーバ601の高速通信部6013の通信エリア705は、指向性がありかつ通信エリアが狭いため、常に、配信サーバ101又は配信クライアント102と直接通信が行えるとは限らない。この場合、エッジサーバ601は配信サーバ101と高速通信を行い、配信クライアント102は配信サーバ101と高速通信を行うようなマルチホップ通信を用いてもよいし、エッジサーバ601は配信クライアント102と高速通信を行い、配信サーバ101は配信クライアント102と高速通信を行うようなマルチホップ通信を用いてもよい。
【0078】
エッジサーバ601と配信サーバ101とは、第1の実施例で説明した親−子関係の接続を行い、配信サーバ101と配信クライアント102とは、同様に親−子関係の接続、つまり、エッジサーバ601、配信サーバ101及び配信クライアント102は、親−子−孫関係の接続を行う。
【0079】
ユーザは、配信クライアント(タブレット)102を操作し、コンテンツ配信システム700にログインする。あるいは配信サーバ101のUI部1016を操作してコンテンツ配信システム700にログインしてもよい。さらにはエッジサーバ601のUI部6016を操作してコンテンツ配信システム700にログインしてもよい。このとき、配信クライアント102は、低速通信部1022を介して配信サーバ101とエッジサーバ601と通信リンクを確立し、ユーザIDを送信して管理サーバ701に対して認証要求を行う。
【0080】
管理サーバ701によってユーザ認証がされた後、配信クライアント102は、配信サーバ101およびエッジサーバ601に格納された、ユーザIDと紐付けられたコンテンツにアクセスできるようになる。
図3および
図4のシーケンスに従い、配信クライアント102から配信サーバ101、配信サーバ101からエッジサーバ601、エッジサーバ601からコンテンツサーバ702の順に低速通信もしくは外部インタフェースを介してコンテンツ一覧要求、配信予約要求などが通知され、コンテンツ利用のための処理がなされる。
【0081】
エッジサーバ601と配信サーバ101との間で高速通信リンクが確立した後、エッジサーバ601と配信サーバ101とは、一時移動コンテンツのアップロード、配信コンテンツのダウンロードをそれぞれ必要に応じて行う。また配信サーバ101と配信クライアントの間で高速通信リンクが確立した後、配信クライアント102は、一時移動コンテンツのアップロード、配信コンテンツのダウンロードをそれぞれ必要に応じて行う。
【0082】
<適用例>
上述した第1の実施例および第2の実施例は以下のような動作例に適用することができる。なおエッジサーバ(親デバイスとして動作)601と車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)、車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)とタブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)のように状況に応じて親子関係の振る舞いが変わる。
【0083】
・車内エンターテインメントとしての利用例
車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は自動で車内ストレージ(ストレージ部1024)の容量を確認し、空き容量が閾値(例えば10%)未満の場合、次回起動時にエッジサーバ(親デバイスとして動作)601へLTE/Wi-Fi(低速通信部6012、1012)または WiGig(高速通信部6013、1013)のいずれか通信状況が良好な通信方式を用いて一時移動可能なコンテンツをアップロードする。
【0084】
車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は、自家用の車両704に搭載されている場合、ユーザの指向に合わせた親コンテンツを選択し、公共交通機関の車両(電車、バス、タクシーなど)704に搭載されている場合は運行時間に合わせた親コンテンツを選択し、エッジサーバ601からダウンロードする。
【0085】
ユーザのタブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)が車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)からの所定の閾値(例えば-68dBm)以上のWiGig(高速通信)ビーコン信号を検出した場合、自動的にタブレットのストレージ(ストレージ部1024)の容量を確認し、車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)に通知する。
【0086】
車両704内の座席のヘッドレストに内蔵されたクレードルにタブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)を設置すると、タブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)と車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)は自動的にWiGig(高速通信部1013、1023)を起動して接続を確立する。
【0087】
車両704内の複数のタブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)と1台の車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)の間で低速通信および高速通信が接続されコンテンツが共有される。第1のタブレットが車内エンターテインメント管理装置にアップロードした子コンテンツを第2のタブレットが車内エンターテインメント管理装置から親コンテンツとしてダウンロードすることができる。
【0088】
車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は車両704のイグニッションがオフになったことを検出するとストレージ部1024内のコンテンツを確認し、エッジサーバ(親デバイスとして動作)601からダウンロードしたが視聴または利用に課金および認証が必要なコンテンツのうち、課金処理および認証処理がされていないコンテンツを削除する。
【0089】
車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は、課金処理および認証処理がされているコンテンツ、または、課金処理および認証処理が不要なコンテンツを、ストレージ部1024に保存する。あるいは、車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は、移動検出部1025が高速通信エリア705から外れたことを検出した場合、課金処理および認証処理がされていないコンテンツを削除するようにしてもよい。
【0090】
車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)は、ユーザが降車しタブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)を車両704外に持ち出すと判断できる場合、タブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)にダウンロードした親コンテンツを削除し、車内エンターテインメント管理装置(親デバイスとして動作する配信サーバ101)に一時的に移動した子コンテンツを再度ダウンロードさせるようにしてもよい。
【0091】
なお、タブレット(子デバイスとして動作する配信クライアント102)を車両704外に持ち出すと判断するには、例えば車両704のイグニッションがオフになったことを検出する、車両704のドアが開いたことを検出する、バスの場合は降車する停留所の到着予定時刻の所定時間前(例えば10秒前)を検出する、タクシーの場合は乗車料金の支払いを行っていることを検出する、電車の場合は降車する駅の到着予定時刻の所定時間前(例えば10秒前)を検出する、などを行えばよい。
【0092】
車内エンターテインメント管理装置(子デバイスとして動作する配信サーバ101)は、車両704のイグニッションがオフになったことを検出した後、ストレージ部1024の空き容量を確認し、所定閾値(例えば10%)未満の場合、次回イグニッションがオンになったときにエッジサーバ(親デバイスとして動作)601に子コンテンツを一時移動するよう配信予約を行うようにしてもよい。
【0093】
・カーディーラでの利用例
カーナビ(配信サーバ101)の目的地にカーディーラの店舗が設定されると、LTE通信(低速通信部1012)を介して事前に当該車両704の情報を目的のカーディーラの店舗に設置されたサーバ(エッジサーバ601)に送信し、当該サーバは自動車メーカのサーバ(コンテンツサーバ702)から当該車両704のECU(engine control unitまたはelectronic control unit)の更新に必要なデータコンテンツ、または、地図メーカのサーバ(コンテンツサーバ702)から最新の地図情報コンテンツ、をそれぞれダウンロードし、ストレージ部6014に格納する。
【0094】
当該ディーラのコンテンツ配信システム700へのユーザ登録の有無によらず、ユーザは、当該ディーラからの広告やセール情報等は配信サーバ101または配信クライアント102にダウンロードし利用することができる。
【0095】
当該ディーラのコンテンツ配信システム700へユーザ登録がされた場合、ユーザは、オイル交換サービス等の簡易サービスをうけることができる情報等を配信サーバ101または配信クライアント102にダウンロードし利用することができる。
【0096】
当該ディーラのコンテンツ配信システム700へユーザ登録がされた場合、ユーザは、当該ディーラへ来店しコンテンツ配信システムの利用した回数に応じて、新車購入割引サービスなどサービスレベルの高い情報等を配信サーバ101または配信クライアント102にダウンロードし利用することができる。
【0097】
ディーラのサーバ(エッジサーバ601)からのWiGig通信(高速通信部6013)の電波強度と方向を検出し、計器装置やカーナビ(配信サーバ101)またはユーザタブレット(配信クライアント102)のUI部1026にアイコン表示し、クリック、タッチ、タップなどすることにより高速通信部1023の接続を開始してもよい。
【0098】
当該検出したWiGig通信(高速通信部6013)の電波強度と方向に基づいて、当該車両704に搭載された計器装置やカーナビ(配信サーバ101)のUI部1016に、当該車両704の自動移動および自動駐車のために、誘導経路を表示してユーザに移動および駐車場所を提示してもよい。
【0099】
駐車時、WiGig通信が確立されている場合、ECUまたはコンテンツのアップデートモードへの移行、車両セキュリティレベルの低減、車両704のイグニッションオンを継続する。
ユーザがアップデート費用を支払い後、アップデート作業を開始できるよう、タブレットにアップデート開始および停止ボタンをUI部1016、1026に表示し、操作してもよい。
【0100】
車内サーバ(配信サーバ101)からアップデートに必要な空き容量を確保するため一時移動可能なデータをエッジサーバ601にアップロードし、車内サーバ(配信サーバ101)のストレージの空き容量を確保する。
【0101】
ディーラのサーバ内の一時保存データ(地図情報又は車両情報)をディーラ内の駐車スペースに駐車された車両704のストレージ部1014にWiGig通信にてダウンロードし一時保存する。
【0102】
シフトポジションがパーキングであることを確認後、車両704のストレージ部1014の当該一時保存データを用いて、車内ECUおよびカーナビの地図データをアップデートする。アップデート終了後に当該一時保存データを削除し、エッジサーバ601に一時移動でアップロードしたデータを、再度ダウンロードする。
【0103】
車両704内の配信サーバ101とWiGig、Wi-Fi及びLTEのいずれかで接続している状態において、アップデートデータの容量と通信速度から算出した、残りのアップデート時間のカウントダウンを、車両704外に持ち出したタブレット(配信クライアント102)のUI部1026に表示し、アップデート状態をユーザに通知してもよい。
【0104】
ディーラのサーバ(エッジサーバ601)がタブレット(配信クライアント102)からのアップデート状態信号を確認した後、タブレット(配信クライアント102)内の空き容量が所定値以上か否かを判断し、所定値以下の空き容量の場合、タブレット(配信クライアント102)の保存データの一部をディーラのサーバ(エッジサーバ601のストレージ部6014)に一時保存する。タブレット(配信クライアント102)内の空き容量が確保された後、ディーラのサーバ(エッジサーバ601)内に保管されたディーラオプションのカタログ、クーポン情報、一時的に無料レンタルするエンターテイメント情報(電子図書、映画)のリストをタブレット(配信クライアント102)に表示し、ユーザが選択したものに対してダウンロードを開始する。
【0105】
ディーラのサーバ(エッジサーバ601)と駐車している車両704がWiGig通信できなかった場合、車両704内から持ち出したタブレット(配信クライアント102)、もしくは、図示しない周辺の車両704−1の他のアクセスポイント(図示しないエッジサーバ601−1)をホップして、WiGig通信を実施する。
【0106】
車両704内の配信サーバ101は、別の車両704−1がWiGig通信状態の場合、車両704の電源をACC(アクセサリ電源) ONの状態で待機し、アップデート完了信号を別の車両704−1、もしくは、ディーラのサーバ(エッジサーバ601)から受信した後、車両704の電源を、イグニッションONの状態にし、シフトポジションがパーキングであることを確認した後、アップデート処理を実施する。
【0107】
ディーラのサーバ(エッジサーバ601)は、該当車両704の配信サーバ101からのWiGig電波の受信が一定期間以上途絶した場合、ディーラのサーバ(エッジサーバ601)内の一時保存データ(該当車両704に固有のデータ)を削除し、車両704に依存しないデータ(地図情報)は、ディーラのサーバ(エッジサーバ601)の空き容量に応じて、削除又は保存の判断を行う。
【0108】
車両704に一時保存したストレージデータは削除せずに、ディーラのサーバ(エッジサーバ601)によって、WiGig通信が再度確立された際にシフトポジションがパーキングであることを確認し、アップデート処理を再開する。
【0109】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0110】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0111】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には、入力端子および出力端子を有する集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0112】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0113】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0114】
本開示に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
【0115】
第1の開示に係るコンテンツ配信システムは、コンテンツ配信サーバとコンテンツ配信クライアントと含むコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツ配信クライアントは、第1の無線通信を行う第1の無線通信部と、第2の無線通信を行う第2の無線通信部と、第1の記憶部と、を備え、前記コンテンツ配信サーバは、前記第1の無線通信を行う第3の無線通信部と、前記第2の無縁通信を行う第4の無線通信部と、前記第1の記憶部の容量よりも容量が大きい第2の記憶部と、を備え、前記コンテンツ配信クライアントは、前記第1の無線通信部を用いて、第1のコンテンツのダウンロードに関する制御情報を前記コンテンツ配信サーバと通信し、前記第2の無線通信部を用いて、前記第2の無線通信の通信エリアを検出し、前記第1の記憶部の空き容量が、前記第1のコンテンツの容量よりも少ない場合、前記第1の記憶部に格納された第2のコンテンツを前記第2の無線通信部を用いて、前記コンテンツ配信サーバにアップロードした後、前記第1のコンテンツをダウンロードし、前記コンテンツ配信サーバは、前記第3の無線通信部を用いて、前記第1のコンテンツのダウンロードに関する前記制御情報を前記コンテンツ配信クライアントと通信し、前記第4の無線通信部を用いて、前記第2の無線通信の通信エリアを検出し、前記第2のコンテンツが前記コンテンツ配信クライアントからアップロードされた場合、前記第2の記憶部に前記第2のコンテンツを一時的に格納させた後に、前記第4の無線通信部を用いて前記第1のコンテンツを前記コンテンツ配信クライアントへダウンロードする。
【0116】
第2の開示に係るコンテンツ配信システムは、上記第1の開示のコンテンツ配信システムであって、前記第1の無線通信の通信速度は、前記第2の無線通信の通信速度よりも高速である。
【0117】
第3の開示に係るコンテンツ配信システムは、上記第1の開示のコンテンツ配信システムであって、前記第1の無線通信はマイクロ波通信である。
【0118】
第4の開示に係るコンテンツ配信システムは、上記第1の開示のコンテンツ配信システムであって、前記第2の無線通信はミリ波通信である。
【0119】
第5の開示に係るコンテンツ配信方法は、コンテンツ配信サーバとコンテンツ配信クライアントとを含むコンテンツ配信方法であって、前記コンテンツ配信クライアントおよび前記コンテンツ配信サーバは、第1の無線通信を用いて、第1のコンテンツのダウンロードに関する制御情報を前記コンテンツ配信サーバと通信し、第2の無線通信の通信エリアを検出し、前記コンテンツ配信クライアントは、前記コンテンツ配信クライアントの第1の記憶部の空き容量が、前記第1のコンテンツの容量よりも少ない場合、前記第1の記憶部に格納された第2のコンテンツを前記第2の無線通信を用いて、前記コンテンツ配信サーバへアップロードし、前記コンテンツ配信サーバは、前記第2のコンテンツが前記コンテンツ配信クライアントからアップロードされ、前記コンテンツ配信サーバの第2の記憶部に前記第2のコンテンツを一時的に格納させた後に、前記第2の無線通信を用いて前記第1のコンテンツを前記コンテンツ配信クライアントへダウンロードし、前記コンテンツ配信クライアントは、前記第2の無線通信を用いて前記第1のコンテンツをダウンロードする。
【0120】
第6の開示に係るコンテンツ配信方法は、上記第5の開示のコンテンツ配信方法であって、前記第1の無線通信の通信速度は前記第2の無線通信の通信速度よりも高速である。
【0121】
第7の開示に係るコンテンツ配信方法は、上記第5の開示のコンテンツ配信方法であって、前記第1の無線通信はマイクロ波通信である。
【0122】
第8の開示に係るコンテンツ配信方法は、上記第5の開示のコンテンツ配信方法であって、前記第2の無線通信はミリ波通信である。
【0123】
第9の開示に係る移動端末装置は、通信相手と第1の無線通信を行う無線通信部と、前記通信相手と前記第1の無線通信よりも高速な通信である第2の無線通信を行う無線通信部と、コンテンツを記憶する記憶部と、前記第2の無線通信を介して、第1のコンテンツを前記通信相手からダウンロードする前に、前記記憶部に保存してある第2のコンテンツを、前記通信相手へアップロードするか否かを表示する表示部と、を含む。
【0124】
第10の開示に係る移動端末装置は、上記第9の開示の移動端末装置であって、前記表示部は、前記記憶部の空き容量が、前記第1のコンテンツの容量よりも少ない場合、前記第2のコンテンツを前記通信相手へ前記アップロードするか否かを表示する。