特許第6792367号(P6792367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792367
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】枚葉状の光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20201116BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20201116BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20201116BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20201116BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20201116BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   G02F1/13 101
   B32B27/08
   B32B7/023
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-144849(P2016-144849)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2018-13729(P2018-13729A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 友徳
(72)【発明者】
【氏名】池嶋 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】三田 聡司
(72)【発明者】
【氏名】岸 敦史
(72)【発明者】
【氏名】徐 菁▲王番▼
(72)【発明者】
【氏名】宮井 恵美
【審査官】 池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−118776(JP,A)
【文献】 特開2010−121044(JP,A)
【文献】 特開2001−166132(JP,A)
【文献】 米国特許第7667804(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 7/023
B32B 27/08
G02F 1/13
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型フィルム、粘着剤層、光学機能フィルム、第1表面保護フィルムおよび第2表面保護フィルムがこの順に積層された枚葉状の光学フィルムであって、
前記第1表面保護フィルムが、粘着剤層を有する、あるいは自己粘着型であり、
前記第2表面保護フィルムが、粘着剤層を有する、あるいは自己粘着型であり、
前記第1表面保護フィルムと前記第2表面保護フィルムが、同じ構成であり、
枚葉状の光学フィルムにおける各層間の剥離力の大小関係が、離型フィルムと粘着剤層との層間剥離力A、粘着剤層と光学機能フィルムとの層間剥離力B、光学機能フィルムと第1表面保護フィルムとの層間剥離力C、第1表面保護フィルムと第2表面保護フィルムとの層間剥離力D、とした場合に、A<D<C<Bであり、
前記光学機能フィルムが、厚み60μm以下の偏光フィルムであり、前記偏光フィルムが厚み10μm以下の偏光子を有し、
前記第1表面保護フィルムの厚みが、10μm〜150μmであり、
前記第2表面保護フィルムの厚みが、10μm〜150μmである、
枚葉状の光学フィルム。
【請求項2】
前記第1表面保護フィルムが、第1基材フィルム及び第1粘着剤層を有し、当該第1粘着剤層を介して前記光学機能フィルムに積層されていることを特徴とする請求項1に記載の枚葉状の光学フィルム。
【請求項3】
前記第2表面保護フィルムが、第2基材フィルム及び第2粘着剤層を有し、当該第2粘着剤層を介して前記第1表面保護フィルムに積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の枚葉状の光学フィルム。
【請求項4】
前記第1表面保護フィルムの材料と前記第2表面保護フィルムの材料とが同じであり、かつ、前記第1表面保護フィルムの厚みと前記第2表面保護フィルムの厚みが同じである、請求項1から3のいずれか1項に記載の枚葉状の光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枚葉状の光学フィルムに関し、例えば、シート・トゥ・パネル方式の製造設備で使用される枚葉状の光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
離型フィルム、粘着剤層、光学機能フィルム(代表的には、偏光フィルム)および表面保護フィルムがこの順に積層された光学フィルムがロール状に構成されている。このロール状の光学フィルムから繰り出された光学フィルムを、離型フィルムを残しつつ粘着剤層、光学機能フィルム及び表面保護フィルムを幅方向に切断(ハーフカット)し、切断して得られた光学フィルムから離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を介して光学フィルムを光学セルに貼り合わせる方式(以下、「ロール・トゥ・パネル方式」ともいう。)がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
一方、ロール・トゥ・パネル方式とは異なる光学フィルムの貼合方式として、予め枚葉状態にしておいた光学フィルムを、離型フィルムを剥離して露出した粘着剤層を介して光学セルに貼り合わせる方式(以下、「シート・トゥ・パネル方式」ともいう。)がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−123208号公報
【特許文献2】特開2015−049115号公報
【特許文献3】特開2006−039238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示パネルをはじめとする光学表示パネルの製造現場では、ロール・トゥ・パネル方式だけでなく、シート・トゥ・パネル方式を併用して同じ構成の光学表示パネルを製造するケースが新たに発生している。例えば、特許文献2では、ロール・トゥ・パネル方式を用いて光学表示パネルを連続的に製造し、不良品と判定された光学表示パネルに対しリワーク処理を施すことが開示されている。不良品がそれほど多く発生しない場合には、かかるリワーク処理において光学セルに新たな光学機能フィルムを貼り合せる際には、シート・トゥ・パネル方式を用いることが考えられる。また、例えば、同じ構成の光学表示パネルを短期間で大量に生産しなければならない場合、ロール・トゥ・パネル方式では全ての供給量を賄えず、シート・トゥ・パネル方式を併用するといったことも考えられる。
【0006】
近年、光学表示パネルの薄型化が進むにつれ、偏光フィルムをはじめとして従来よりも薄い光学機能フィルム(例えば、厚み60μm以下の偏光フィルム)が開発されつつある。このような薄い光学機能フィルムは、腰(弾性率)が弱く、捻れ、カールなどが発生し易い。
【0007】
ロール・トゥ・パネル方式によれば、キャリアフィルム(離型フィルム)に積層させた状態で薄い光学機能フィルムを貼り合せ位置まで搬送し、当該貼り合せ位置でキャリアフィルム(離型フィルム)から光学機能フィルムを剥離し、光学機能フィルムを光学セルに貼り合せるため、捻れ、カールなどが発生するのを抑制しつつ、薄い光学機能フィルムを光学セルに連続的に貼り合せることができる。しかしながら、シート・トゥ・パネル方式においては、枚葉状態の光学機能フィルムの搬送、離型フィルムの剥離、光学機能フィルムの液晶セルへの貼り合せ処理などのハンドリングが難しく、貼り合せ不良が発生し歩留りの低下が懸念される。
【0008】
本発明は、薄い光学機能フィルムを光学セルに貼り合せるに際し、ロール・トゥ・パネル方式およびシート・トゥ・パネル方式を併用しても、同じ構成の光学表示パネルを好適に製造することができる枚葉状の光学フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、離型フィルム、粘着剤層、光学機能フィルム、第1表面保護フィルムおよび第2表面保護フィルムがこの順に積層された枚葉状の光学フィルムであって、
枚葉状の光学フィルムにおける各層間の剥離力の大小関係が、
離型フィルムと粘着剤層との層間剥離力A、
粘着剤層と光学機能フィルムとの層間剥離力B、
光学機能フィルムと第1表面保護フィルムとの層間剥離力C、
第1表面保護フィルムと第2表面保護フィルムとの層間剥離力D、とした場合に、
A<B、A<C、A<Dである。
【0010】
上記発明において、前記剥離力の大小関係が、A<D<C≦BあるいはA<D<B≦Cであることが好ましく、A<D<C<Bであることがより好ましい。
【0011】
上記発明において、前記光学機能フィルムが、偏光フィルムでもよい。
【0012】
上記発明において、前記偏光フィルムは、厚みが60μm以下でもよい。
【0013】
上記発明において、前記偏光フィルムが、厚みが10μm以下の偏光子を有する構成でもよい。
【0014】
上記発明において、前記第1表面保護フィルムが、第1基材フィルム及び第1粘着剤層を有し、当該第1粘着剤層を介して前記光学機能フィルムに積層されている構成でもよい。
【0015】
上記発明において、前記第1表面保護フィルムが、自己粘着型のフィルムでもよい。
【0016】
上記発明において、前記第2表面保護フィルムが、第2基材フィルム及び第2粘着剤層を有し、当該第2粘着剤層を介して前記第1表面保護フィルムに積層されている構成でもよい。
【0017】
上記発明において、前記第2表面保護フィルムが、自己粘着型のフィルムでもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の枚葉状の光学フィルムはシート・トゥ・パネル方式で使用される。第2表面保護フィルムが設けられている枚葉状の光学フィルムは、ハンドリング性が向上しているため、捻れ、カールなどが発生するのを抑制しつつ、シート・トゥ・パネル方式を用いて、光学セルに好適に貼り合せることができる。そして、光学表示パネルに貼り合わされた枚葉状の光学フィルムから第2表面保護フィルムを除去(例えば、剥離)することで、結果的に、ロール・トゥ・パネル方式で製造された光学表示パネルと同じ積層構成の光学表示パネルを製造することができる。すなわち、本発明の枚葉状の光学フィルムによれば、光学フィルムを光学セルに貼り合せるに際し、ロール・トゥ・パネル方式およびシート・トゥ・パネル方式を併用した場合であっても、同じ構成の光学表示パネルを好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1の光学フィルムセットを示す模式図
図2】ロール・トゥ・パネル方式の製造システムの概略図
図3】シート・トゥ・パネル方式の製造システムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<枚葉状の光学フィルム>
まず、本発明に用いられる枚葉状の光学フィルムとロール状の光学フィルムのセットについて説明する。図1は、枚葉状の光学フィルムとロール状の光学フィルムを示す模式図である。図1上部にロール状の第1光学フィルム1の側面、平面および一部断面拡大図を示す。図1下部に枚葉状の第1光学フィルム2の側面、平面および一部断面拡大図を示す。ロール状の第1光学フィルム1は、第1離型フィルム11、第1粘着剤層12、第1光学機能フィルム13および第1表面保護フィルム14がこの順に積層されている。
【0021】
ロール状の第1光学フィルム1は、ロール・トゥ・パネル方式で光学表示パネルを製造するのに用いられる。かかる場合に、ロール状の第1光学フィルム1から繰り出された、幅aの帯状の第1光学フィルム10は、切断手段Cで所定の間隔bで離形フィルム11を残して切断される。符号sは、第1光学フィルム10に上記切断で形成された切り込みである。
【0022】
また、枚葉状の第1光学フィルム2は、第1離型フィルム21、第1粘着剤層22、第1光学機能フィルム23、第1表面保護フィルム24および第2表面保護フィルム25がこの順に積層されている。枚葉状の第1光学フィルム2のサイズは、縦a、横bである。枚葉状の第1光学フィルム2は、シート・トゥ・パネル方式で光学表示パネルを製造するのに用いられる。
【0023】
本実施形態において、第1離型フィルム11と第1離型フィルム21は同じ構成である。第1粘着剤層12と第1粘着剤層22は同じ構成である。第1光学機能フィルム13と第1光学機能フィルム23は同じ構成である。第1表面保護フィルム14と第1表面保護フィルム24と第2表面保護フィルム25は同じ構成である。「同じ構成」とは、材料、厚みなどが完全に一致するのみではなく実質的に同じ(例えば、製造品質上同じ)であればよい。
【0024】
本実施形態において、第1表面保護フィルム14(または24)が、第1基材フィルム及び第1粘着剤層を有し、当該第1粘着剤層を介して第1光学機能フィルム13(または23)に積層されている。なお、別実施形態として、第1表面保護フィルム14(または24)が自己粘着型のフィルムであってもよい。
【0025】
本実施形態において、第2表面保護フィルム25が、第2基材フィルム及び第2粘着剤層を有し、当該第2粘着剤層を介して第1表面保護フィルム24に積層されている。なお、別実施形態として、第2表面保護フィルム25が自己粘着型のフィルムであってもよい。
【0026】
(相間剥離力の関係)
また、第1表面保護フィルム24と第1光学機能フィルム23との層間の剥離力が、第2表面保護フィルム25と第1表面保護フィルム24との層間の剥離力よりも大きい構成である。これによれば、第2表面保護フィルム25をより円滑に剥離することができる。剥離力の測定としては、例えば、引張試験機を用いることができる。剥離条件としては0.3m/分の180°剥離で測定する。剥離力は、粘着剤の組成や厚み等によって制御する。
【0027】
枚葉状の第1光学フィルム2における各層間の剥離力の大小関係は以下の通りである。
第1離型フィルム21と第1粘着剤層22との層間剥離力A、
第1粘着剤層22と第1光学機能フィルム23との層間剥離力B、
第1光学機能フィルム23と第1表面保護フィルム24との層間剥離力C、
第1表面保護フィルム24と第2表面保護フィルム25との層間剥離力D、とした場合に、
A<B、A<C、A<Dである。
好ましくは、A<D<C≦BあるいはA<D<B≦Cである。
より好ましくは、A<D<C<Bである。
上記の相間剥離力の関係によれば、第1離型フィルムが剥離される際に、第2表面保護フィルムが剥がれることを抑制できる。
【0028】
<光学機能フィルム>
第1光学機能フィルム13、23は、光学機能を有するフィルムである限り特に制限されず、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム等が挙げられるが、代表的には偏光フィルムである。
【0029】
(偏光フィルム)
本実施形態では、薄型化の観点から、厚み(総厚み)が60μm以下の偏光フィルムを用いることが好ましく、55μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのがさらに好ましい。偏光フィルムとしては、例えば、(1)偏光子の両側に保護フィルム(「偏光子保護フィルム」呼ぶことがある。)が積層されている構成(「両保護偏光フィルム」と呼ぶことがある。)、(2)偏光子の片側にのみ保護フィルムが積層されている構成(「片保護偏光フィルム」と呼ぶことがある。)等が挙げられる。
【0030】
(偏光子)
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いたものが使用される。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
【0031】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0032】
偏光子の厚みは、薄型化の観点から10μm以下であるのが好ましく、さらには8μm以下、さらには7μm以下、さらには6μm以下であるのが好ましい。一方、偏光子の厚みは2μm以上、さらには3μm以上であるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため熱衝撃に対する耐久性に優れる。一方、厚み10μm以下の偏光子を含む偏光フィルムは、フィルムの腰(弾性率)が顕著に低くなるため、シート・トゥ・パネル方式において、捻れ、カールなどが発生する可能性が高い。よって、本発明は、当該偏光フィルムに特に好適である。
【0033】
薄型の偏光子としては、代表的には、
特許第4751486号明細書、
特許第4751481号明細書、
特許第4815544号明細書、
特許第5048120号明細書、
国際公開第2014/077599号パンフレット、
国際公開第2014/077636号パンフレット、
等に記載されている薄型偏光子またはこれらに記載の製造方法から得られる薄型偏光子を挙げることができる。
【0034】
前記偏光子は、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、次式
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)
の条件を満足するように構成されていることが好ましい。前記条件を満足するように構成された偏光子は、一義的には、大型表示素子を用いた液晶テレビ用のディスプレイとして求められる性能を有する。具体的にはコントラスト比1000:1以上かつ最大輝度500cd/m以上である。他の用途としては、例えば有機ELセルの視認側に貼り合わされる。
【0035】
前記薄型偏光子としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、特許第4751486号明細書、特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。これら薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法によって得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
【0036】
(保護フィルム(偏光子保護フィルム))
保護フィルムを構成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
【0037】
なお、保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0038】
前記保護フィルムとしては、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム等も用いることができる。
【0039】
前記保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの機能層を設けることができる。なお、上記ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層などの機能層は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途、透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0040】
(介在層)
前記保護フィルムと偏光子は接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層を介して積層される。この際、介在層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。
接着剤層は接着剤により形成される。接着剤の種類は特に制限されず、種々のものを用いることができる。前記接着剤層は光学的に透明であれば特に制限されず、接着剤としては、水系、溶剤系、ホットメルト系、活性エネルギー線硬化型等の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。
水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。水系接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線、紫外線(ラジカル硬化型、カチオン硬化型)等の活性エネルギー線により硬化が進行する接着剤であり、例えば、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、光ラジカル硬化型接着剤を用いることができる。光ラジカル硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤を、紫外線硬化型として用いる場合には、当該接着剤は、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含有する。
【0041】
なお、偏光子と保護フィルムの積層にあたって、透明保護フィルムと接着剤層の間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格などを有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらには粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤などを用いてもよい。
【0042】
粘着剤層は、粘着剤から形成される。粘着剤としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0043】
下塗り層(プライマー層)は、偏光子と保護フィルムとの密着性を向上させるために形成される。プライマー層を構成する材料としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂などが用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
(表面保護フィルム)
第1、第2表面保護フィルムは、光学フィルムにおいて、偏光フィルムの片面(粘着剤層を積層していない面)に設けられ、偏光フィルム等の光学機能フィルムを保護する。
第1、第2表面保護フィルムの基材フィルムとしては、検査性や管理性などの観点から、等方性を有する又は等方性に近いフィルム材料が選択される。そのフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂のような透明なポリマーがあげられる。これらのなかでもポリエステル系樹脂が好ましい。基材フィルムは、1種または2種以上のフィルム材料のラミネート体として用いることもでき、また前記フィルムの延伸物を用いることもできる。基材フィルムフィルムの厚さは、10μm〜150μm以下であることが好ましく、さらには20〜100μmであることが好ましい。
【0045】
第1、第2表面保護フィルムは、前記基材フィルムを自己粘着型のフィルムとして用いることができる他、前記基材フィルムおよび粘着剤層を有するものを用いることができる。第1、第2表面保護フィルムは、偏光フィルム等の光学機能フィルムを保護する観点からは、粘着剤層を有するものを用いるのが好ましい。
【0046】
第1、第2表面保護フィルムの積層に用いられる粘着剤層としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。透明性、耐候性、耐熱性などの観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、必要とされる粘着力に応じて決定される。通常1〜100μm程度、好ましくは5〜50μmである。
【0047】
なお、第1、第2表面保護フィルムには、粘着剤層を設けた面の反対面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性材料により、剥離処理層を設けることができる。
【0048】
<粘着剤層>
粘着剤層12、22の形成には、適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に制限はない。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などがあげられる。
【0049】
これら粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0050】
粘着剤層12、22を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤を剥離処理した離型フィルム(セパレータなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に、偏光子(または透明保護フィルム)に転写する方法、または偏光子(または透明保護フィルム)に前記粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を偏光子に形成する方法などにより作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0051】
剥離処理した離型フィルムとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
【0052】
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜2
0分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
【0053】
第1粘着剤層12、22の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0054】
第1粘着剤層12、22の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0055】
<離型フィルム>
第1離型フィルム11,21は、実用に供されるまで粘着剤層を保護する。離型フィルムの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0056】
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0057】
第1離型フィルム11,21の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記離型フィルムの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0058】
(液晶セル、液晶表示パネル)
液晶セルは、対向配置される一対の基板(第1基板(視認側面)Pa、第2基板(背面)Pb)間に液晶層が封止された構成である。液晶セルは、任意のタイプのものを用いることができるが、高コントラストを実現するためには、垂直配向(VA)モード、面内スイッチング(IPS)モードの液晶セルを用いることが好ましい。液晶表示パネルは、液晶セルの片面または両面に偏光フィルムが貼り合わされたものであり、必要に応じて駆動回路が組込まれる。
【0059】
(有機ELセル、有機EL表示パネル)
有機ELセルは、一対の電極間に電界発光層が挟持された構成である。有機ELセルは、例えば、トップエミッション方式、ボトムエミッション方式、ダブルエミッション方式などの任意のタイプのものを用いることができる。有機EL表示パネルは、有機ELセルの片面または両面に偏光フィルムが貼り合わされたものであり、必要に応じて駆動回路が組込まれる。
【0060】
(ロール・トゥ・パネル方式の製造システム)
図2は、ロール状の第1光学フィルム1を用いたロール・トゥ・パネル方式の光学表示パネルの製造システムを示す。本実施形態では、光学セルとして液晶セル、光学表示パネルとして液晶表示パネルを例に挙げて説明する。
【0061】
ロール状の第1光学フィルム1は、第1離型フィルム11、第1粘着剤層12、第1光学機能フィルム13および第1表面保護フィルム14がこの順に積層されている。図1に示すように、ロール状の第1光学フィルム1は幅aであり、液晶パネルの長辺に対応した幅(液晶セルPの長辺より実質的には短い幅)を有する。
【0062】
本実施形態に係る液晶表示パネルの製造システムは、図2に示すように、液晶セルPを第1貼付部64へ搬送する第1搬送部81、液晶セルPの第1面P1にロール状の第1光学フィルム1を用いて光学フィルムを貼り付けた後の液晶セルPを搬送する第2搬送部82を有する。各搬送部は、搬送方向に直交する方向に平行な回転軸を中心に回転することで液晶セルPを搬送させるための複数の搬送用ローラRを有して構成されている。なお、搬送ローラの他に吸着プレート等を有して構成されていてもよい。
【0063】
(液晶セル搬送工程)
液晶セルPを収納する収納部91から、液晶セルPが第1面P1を天面となるように、第1搬送部81へ配置され、搬送ローラRの回転によって第1貼付部64へ搬送される。
【0064】
(第1光学フィルム繰出工程、第1光学フィルム切断工程)
ロール状の第1光学フィルム1から繰り出された帯状の第1光学フィルム10は、第1離型フィルム11側を吸着固定しながら、切断部61で第1離型フィルム11を切断せずに残して帯状の粘着剤層12、帯状の第1光学機能フィルム13、帯状の第1表面保護フィルム14を所定サイズ(液晶セルPの短辺に応じた長さ(短辺よりも実質的に短い長さ))に切断し、切込部sを形成する。切断部61による切断は、例えば、刃物を用いた切断(引き切りの刃物による切断)、レーザ装置による切断が挙げられる。切断された後の切込部sの一例を図2の矢印で示すが、説明容易にするために敢えて切込を大きく描いている。不図示のニップローラが切断部61の上流側または下流側に配置され、帯状の第1光学フィルム10を搬送する構成でもよい。なお、ニップローラが切断部61の上流側および下流側に配置されていてもよい。
【0065】
(張力調節工程)
帯状の第1光学フィルム10の切断処理と、後段の貼付処理において、長時間にわたり処理が中断しないように連続した処理を可能とすべく、かつフィルムの弛みを調整するために第1張力調整部62が設けられている。第1張力調整部62は、例えば錘を用いたダンサー機構を有して構成される。不図示のニップローラが第1張力調整部62の上流側または下流側に配置され、第1光学フィルム10を搬送する構成でもよい。なお、ニップローラが第1張力調整部62の上流側および下流側に配置されていてもよい。
【0066】
(剥離工程)
第1光学フィルム10は、第1剥離部63に巻き掛け反転され、第1光学フィルム10が第1離型フィルム11から剥離される。第1離型フィルム11は、第1巻取部65によってロールに巻き取られる。第1巻取部65はロールと回転駆動部を有し、回転駆動部がロールを回転させることで第1離型フィルム11をロールに巻回する。また、不図示のニップローラが剥離部63の上流側または下流側に配置され、第1光学フィルム10または第1離型フィルム11を搬送する構成でもよい。なお、ニップローラが剥離部63の上流側および下流側に配置されていてもよい。
【0067】
(第1貼付工程)
第1貼付部64は、液晶セルPを搬送しながら、液晶セルPの第1面P1に、第1離型フィルム11が剥離された第1光学フィルム10を、第1粘着剤層12を介して貼り付ける。第1貼付部64は、一対の第1ローラ64aと第2ローラ64bで構成される。いずれか一方が駆動ローラで他方が従動ローラでもよく、両ローラが駆動ローラであってもよい。一対の第1ローラ64a、第2ローラ64bで第1光学フィルム10と液晶セルPとを挟持しながら下流へ送り込むことで、第1光学フィルム10を液晶セルPの第1面P1へ貼り付ける。液晶セルPの第1面P1に枚葉状の第1光学フィルム10が貼り付けられた後の液晶セルPは、第2搬送部82で下流へ搬送される。
【0068】
(シート・トゥ・パネル方式の製造システム)
図3は、枚葉状の第1光学フィルム2を用いたシート・トゥ・パネル方式の光学表示パネルの製造システムを示す。本実施形態では、光学セルとして液晶セル、光学表示パネルとして液晶表示パネルを例に挙げて説明する。
【0069】
枚葉状の第1光学フィルム2は、第1離型フィルム21、第1粘着剤層22、第1光学機能フィルム23、第1表面保護フィルム24および第2表面保護フィルムがこの順に積層されている。図1に示すように、枚葉状の第1光学フィルム2は縦a、横bであり、液晶パネルの長辺に対応した幅(液晶セルPの長辺より実質的には短い幅)を有する。
【0070】
本実施形態に係る液晶表示パネルの製造システムは、図3に示すように、液晶セルPを枚葉貼装置164(第2貼付部に相当する)へ搬送する第3搬送部181、液晶セルPの第1面P1に枚葉状の第1光学フィルム2を用いて光学フィルムを貼り付けた後の液晶セルPを搬送する第4搬送部182を有する。各搬送部は、搬送方向に直交する方向に平行な回転軸を中心に回転することで液晶セルPを搬送させるための複数の搬送用ローラRを有して構成されている。なお、搬送ローラの他に吸着プレート等を有して構成されていてもよい。
【0071】
(液晶セル搬送工程)
液晶セルPを収納する収納部191から、液晶セルPが第1面P1を天面となるように、第3搬送部181へ配置され、搬送ローラRの回転によって枚葉貼装置164へ搬送される。
【0072】
枚葉状の第1光学フィルム2が収容された容器100から、枚葉状の第1光学フィルム2を枚葉貼装置164の吸着部164aで吸着させて、貼合位置へ供給する。枚葉状の第1光学フィルム2から第1離型フィルム21が剥離手段によって剥離される。吸着部164aの吸着面は断面円弧状である。剥離手段は、例えば、粘着テープを用いて、粘着テープを第1離型フィルム21面に貼り合せ、粘着テープを移動機構で移動させることで第1離型フィルム21を剥離してもよい。
【0073】
枚葉貼装置164は、固定面164bを有し、固定面164bが液晶セルPの第1面P1側を吸着固定する。第1離型フィルム21が剥離されて第1粘着剤層22が露出した状態の枚葉状の第2光学フィルム2を液晶セルPの第1面P1に吸着部164aを転がすようにして貼り付ける。
【0074】
(第2表面保護フィルム剥離工程)
枚葉状の第1光学フィルム2を貼り付けた後で、第2表面保護フィルム25を剥離する。剥離処理は、手作業で行ってもよく、剥離装置で行ってもよい。
【0075】
上記ロール・トゥ・パネル方式の製造システム(図2)において、液晶セルの一方面(第1面P1)に対しロール・トゥ・パネル方式で光学フィルムを貼り付けていたがこれに制限されない。液晶セルの他方面(第2面P2)に対してもロール・トゥ・パネル方式またはシート・トゥ・パネル方式で光学フィルムを貼り付けてもよい。
【0076】
上記シート・トゥ・パネル方式の製造システム(図3)において、液晶セルの一方面(第1面P1)に対しシート・トゥ・パネル方式で光学フィルムを貼り付けていたがこれに制限されない。液晶セルの他方面(第2面P2)に対してもロール・トゥ・パネル方式またはシート・トゥ・パネル方式で光学フィルムを貼り付けてもよい。
【0077】
上記記ロール・トゥ・パネル方式およびシート・トゥ・パネル方式の製造システムにおいて、光学フィルムをいずれか一方面または両面に貼り付けた後で、光学的検査を行ってもよい。光学検査の結果に応じて(例えば不良品判定された場合)に、液晶セル(光学セル)から光学フィルムを除去し、第2パネル製造部(シート・トゥ・パネル方式)で、光学セルを再び貼り付けて液晶表示パネル(光学表示パネル)を再製造してもよい。
【0078】
(変形例)
本実施形態では、ロール状の光学フィルムおよび枚葉状の光学フィルムの光学フィルムセットを、液晶表示パネルの連続製造方法に使用することについて説明したが、これに制限されず、有機EL表示パネルの連続製造方法に使用してもよい。
【0079】
実施形態では、ロール状の光学フィルムとして、上記の光学フィルムを用いたが、ロール状の光学フィルムの構成はこれに限定されない。例えば、離型フィルムを除いて、複数の切込線が幅方向に形成された帯状の光学フィルムが巻回されたもの(切り目入りの光学フィルム)を用いてもよい。
【0080】
実施形態では、帯状の光学フィルムを幅方向に所定間隔で切断(ハーフカット)していたが、歩留りを向上させる観点から、帯状の光学フィルムの欠点部分を避けるように帯状の光学フィルムを幅方向に切断(スキップカット)してもよく、欠点部分を含む光学フィルムを所定間隔(光学セルのサイズ)よりも小さいサイズで(より好ましくは、可能なかぎり小さいサイズで)切断してもよい。
【0081】
実施形態では、横長長方形の液晶セルおよび液晶表示パネルを例に挙げて説明したが、液晶セルおよび液晶表示パネルの形状は、対向するもう一組の辺と対向するもう一組の辺とを有する形状である限り、特に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1 ロール状の光学フィルム
11 離形フィルム
12 粘着剤層
13 光学機能フィルム
14 第1表面保護フィルム
2 枚葉状の光学フィルム
21 離形フィルム
22 粘着剤層
23 光学機能フィルム
24 第1表面保護フィルム
25 第2表面保護フィルム

図1
図2
図3