(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態に係る熱処理装置を備えた基板処理装置について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。
【0035】
まず、
図1〜
図5を参照しながら本実施の形態に係る熱処理装置を備えた基板処理装置について説明し、その後、
図6〜
図20を参照しながら本実施の形態に係る熱処理装置について詳細に説明する。
【0036】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【0037】
図1および
図2以降の図面には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0038】
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック11、第1の処理ブロック12、第2の処理ブロック13、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bを備える。洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bにより、インターフェイスブロック14が構成される。搬入搬出ブロック14Bに隣接するように露光装置15が配置される。露光装置15においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0039】
図1に示すように、インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。
【0040】
搬送部112には、制御部114および搬送装置115が設けられる。制御部114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。搬送装置115は、基板Wを保持するためのハンド116を有する。搬送装置115は、ハンド116により基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。
【0041】
第1の処理ブロック12は、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向するように設けられる。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1および後述する基板載置部PASS2〜PASS4(
図5参照)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送装置127および後述する搬送装置128(
図5参照)が設けられる。
【0042】
第2の処理ブロック13は、塗布現像処理部131、搬送部132および熱処理部133を含む。塗布現像処理部131および熱処理部133は、搬送部132を挟んで対向するように設けられる。搬送部132と搬送部122との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS5および後述する基板載置部PASS6〜PASS8(
図5参照)が設けられる。搬送部132には、基板Wを搬送する搬送装置137および後述する搬送装置138(
図5参照)が設けられる。
【0043】
洗浄乾燥処理ブロック14Aは、洗浄乾燥処理部161,162および搬送部163を含む。洗浄乾燥処理部161,162は、搬送部163を挟んで対向するように設けられる。搬送部163には、搬送装置141,142が設けられる。
【0044】
搬送部163と搬送部132との間には、載置兼バッファ部P−BF1および後述の載置兼バッファ部P−BF2(
図5参照)が設けられる。
【0045】
また、搬送装置141,142の間において、搬入搬出ブロック14Bに隣接するように、基板載置部PASS9および後述の載置兼冷却部P−CP(
図5参照)が設けられる。
【0046】
搬入搬出ブロック14Bには、搬送装置146が設けられる。搬送装置146は、露光装置15に対する基板Wの搬入および搬出を行う。露光装置15には、基板Wを搬入するための基板搬入部15aおよび基板Wを搬出するための基板搬出部15bが設けられる。
【0047】
(2)塗布処理部および塗布現像処理部の構成
図2は、主として
図1の塗布処理部121、塗布現像処理部131および洗浄乾燥処理部161を示す基板処理装置100の模式的側面図である。
【0048】
図2に示すように、塗布処理部121には、塗布処理室21,22,23,24が階層的に設けられる。塗布処理室21〜24の各々には、塗布処理ユニット(スピンコータ)129が設けられる。塗布現像処理部131には、現像処理室31,33および塗布処理室32,34が階層的に設けられる。現像処理室31,33の各々には現像処理ユニット(スピンデベロッパ)139が設けられ、塗布処理室32,34の各々には塗布処理ユニット129が設けられる。
【0049】
各塗布処理ユニット129は、基板Wを保持するスピンチャック25およびスピンチャック25の周囲を覆うように設けられるカップ27を備える。本実施の形態では、各塗布処理ユニット129に2組のスピンチャック25およびカップ27が設けられる。スピンチャック25は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。また、
図1に示すように、各塗布処理ユニット129は、処理液を吐出する複数の処理液ノズル28およびその処理液ノズル28を搬送するノズル搬送機構29を備える。
【0050】
塗布処理ユニット129においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック25が回転されるとともに、複数の処理液ノズル28のうちのいずれかの処理液ノズル28がノズル搬送機構29により基板Wの上方に移動され、その処理液ノズル28から処理液が吐出される。それにより、基板W上に処理液が塗布される。また、図示しないエッジリンスノズルから、基板Wの周縁部にリンス液が吐出される。それにより、基板Wの周縁部に付着する処理液が除去される。
【0051】
塗布処理室22,24の塗布処理ユニット129においては、反射防止膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室21,23の塗布処理ユニット129においては、レジスト膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室32,34の塗布処理ユニット129においては、レジストカバー膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。
【0052】
現像処理ユニット139は、塗布処理ユニット129と同様に、スピンチャック35およびカップ37を備える。また、
図1に示すように、現像処理ユニット139は、現像液を吐出する2つの現像ノズル38およびその現像ノズル38をX方向に移動させる移動機構39を備える。
【0053】
現像処理ユニット139においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック35が回転されるとともに、一方の現像ノズル38がX方向に移動しつつ各基板Wに現像液を供給し、その後、他方の現像ノズル38が移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。この場合、基板Wに現像液が供給されることにより、基板Wの現像処理が行われる。また、本実施の形態においては、2つの現像ノズル38から互いに異なる現像液が吐出される。それにより、各基板Wに2種類の現像液を供給することができる。
【0054】
洗浄乾燥処理部161には、洗浄乾燥処理室81,82,83,84が階層的に設けられる。洗浄乾燥処理室81〜84の各々には、洗浄乾燥処理ユニットSD1が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD1においては、露光処理前の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0055】
図1および
図2に示すように、塗布処理部121において塗布現像処理部131に隣接するように流体ボックス部50が設けられる。同様に、塗布現像処理部131において洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接するように流体ボックス部60が設けられる。流体ボックス部50および流体ボックス部60内には、塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139への処理液および現像液の供給ならびに塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139からの排液および排気等に関する流体関連機器が収納される。流体関連機器は、導管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器等を含む。
【0056】
(3)熱処理部の構成
図3は、主として
図1の熱処理部123,133および洗浄乾燥処理部162を示す基板処理装置100の模式的側面図である。
図4は、主として
図1の塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を示す断面図である。
図3および
図4に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302には、複数の熱処理装置PHP、複数の密着強化処理ユニットPAHPおよび複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0057】
熱処理装置PHPにおいては、基板Wの加熱処理が行われる。密着強化処理ユニットPAHPにおいては、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理が行われる。具体的には、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板WにHMDS(ヘキサメチルジシラサン)等の密着強化剤が塗布されるとともに、基板Wに加熱処理が行われる。冷却ユニットCPにおいては、基板Wの冷却処理が行われる。
【0058】
熱処理部133は、上方に設けられる上段熱処理部303および下方に設けられる下段熱処理部304を有する。上段熱処理部303および下段熱処理部304には、冷却ユニットCP、複数の熱処理装置PHPおよびエッジ露光部EEWが設けられる。
【0059】
エッジ露光部EEWにおいては、基板W上に形成されたレジスト膜の周縁部の一定幅の領域に露光処理(エッジ露光処理)が行われる。上段熱処理部303および下段熱処理部304において、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣り合うように設けられる熱処理装置PHPは、洗浄乾燥処理ブロック14Aからの基板Wの搬入が可能に構成される。
【0060】
洗浄乾燥処理部162には、洗浄乾燥処理室91,92,93,94,95が階層的に設けられる。洗浄乾燥処理室91〜95の各々には、洗浄乾燥処理ユニットSD2が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD2は、洗浄乾燥処理ユニットSD1と同じ構成を有する。洗浄乾燥処理ユニットSD2においては、露光処理後の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。洗浄乾燥処理室91〜95の各々には、上記の洗浄乾燥処理室81〜84と同様に、給気ユニッ
トおよび排気ユニッ
トが設けられる。それにより、処理室内に清浄な空気の下降流が形成される。
【0061】
(4)搬送部の構成
図5は、主として
図1の搬送部122,132,163を示す側面図である。
図5に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。搬送部132は、上段搬送室135および下段搬送室136を有する。上段搬送室125には搬送装置(搬送ロボット)127が設けられ、下段搬送室126には搬送装置128が設けられる。また、上段搬送室135には搬送装置137が設けられ、下段搬送室136には搬送装置138が設けられる。
【0062】
搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。上段搬送室125と上段搬送室135との間には、基板載置部PASS5,PASS6が設けられ、下段搬送室126と下段搬送室136との間には、基板載置部PASS7,PASS8が設けられる。
【0063】
上段搬送室135と搬送部163との間には、載置兼バッファ部P−BF1が設けられ、下段搬送室136と搬送部163との間には載置兼バッファ部P−BF2が設けられる。搬送部163において搬入搬出ブロック14Bと隣接するように、基板載置部PASS9および複数の載置兼冷却部P−CPが設けられる。
【0064】
搬送装置127は、基板載置部PASS1,PASS2,PASS5,PASS6、塗布処理室21,22(
図2)および上段熱処理部301(
図3)の間で基板Wを搬送可能に構成される。搬送装置128は、基板載置部PASS3,PASS4,PASS7,PASS8、塗布処理室23,24(
図2)および下段熱処理部302(
図3)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0065】
搬送装置137は、基板載置部PASS5,PASS6、載置兼バッファ部P−BF1、現像処理室31(
図2)、塗布処理室32(
図2)および上段熱処理部303(
図3)の間で基板Wを搬送可能に構成される。搬送装置138は、基板載置部PASS7,PASS8、載置兼バッファ部P−BF2、現像処理室33(
図2)、塗布処理室34(
図2)および下段熱処理部304(
図3)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0066】
搬送部163の搬送装置141(
図1)は、載置兼冷却部P−CP、基板載置部PASS9、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2および洗浄乾燥処理部161(
図2)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0067】
搬送部163の搬送装置142(
図1)は、載置兼冷却部P−CP、基板載置部PASS9、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2、洗浄乾燥処理部162(
図3)、上段熱処理部303(
図3)および下段熱処理部304(
図3)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0068】
(5)基板処理装置の動作
図1〜
図5を参照しながら基板処理装置100の動作を説明する。インデクサブロック11のキャリア載置部111(
図1)に、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送装置115は、キャリア113から基板載置部PASS1,PASS3(
図5)に未処理の基板Wを搬送する。また、搬送装置115は、基板載置部PASS2,PASS4(
図5)に載置された処理済の基板Wをキャリア113に搬送する。
【0069】
第1の処理ブロック12において、搬送装置127(
図5)は、基板載置部PASS1に載置された基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図3)、冷却ユニットCP(
図3)および塗布処理室22(
図2)に順に搬送する。次に、搬送装置127は、塗布処理室22により反射防止膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図3)、冷却ユニットCP(
図3)および塗布処理室21(
図2)に順に搬送する。続いて、搬送装置127は、塗布処理室21によりレジスト膜が形成された基板Wを、熱処理装置PHP(
図3)および基板載置部PASS5(
図5)に順に搬送する。
【0070】
この場合、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板Wに密着強化処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、反射防止膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室22において、塗布処理ユニット129(
図2)により基板W上に反射防止膜が形成される。続いて、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、レジスト膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室21において、塗布処理ユニット129(
図2)により、基板W上にレジスト膜が形成される。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS5に載置される。
【0071】
また、搬送装置127は、基板載置部PASS6(
図5)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(
図5)に搬送する。
【0072】
搬送装置128(
図5)は、基板載置部PASS3に載置された基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図3)、冷却ユニットCP(
図3)および塗布処理室24(
図2)に順に搬送する。次に、搬送装置128は、塗布処理室24により反射防止膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図3)、冷却ユニットCP(
図3)および塗布処理室23(
図2)に順に搬送する。続いて、搬送装置128は、塗布処理室23によりレジスト膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図3)および基板載置部PASS7(
図5)に順に搬送する。
【0073】
また、搬送装置128(
図5)は、基板載置部PASS8(
図5)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS4(
図5)に搬送する。塗布処理室23,24(
図2)および下段熱処理部302(
図3)における基板Wの処理内容は、上記の塗布処理室21,22(
図2)および上段熱処理部301(
図3)における基板Wの処理内容と同様である。
【0074】
第2の処理ブロック13において、搬送装置137(
図5)は、基板載置部PASS5に載置されたレジスト膜形成後の基板Wを塗布処理室32(
図2)、熱処理装置PHP(
図3)、エッジ露光部EEW(
図3)および載置兼バッファ部P−BF1(
図5)に順に搬送する。この場合、塗布処理室32において、塗布処理ユニット129(
図2)により、基板W上にレジストカバー膜が形成される。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wがエッジ露光部EEWに搬入される。続いて、エッジ露光部EEWにおいて、基板Wにエッジ露光処理が行われる。エッジ露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1に載置される。
【0075】
また、搬送装置137(
図5)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理装置PHP(
図3)から露光装置15による露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送装置137は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図3)、現像処理室31(
図2)、熱処理装置PHP(
図3)および基板載置部PASS6(
図5)に順に搬送する。
【0076】
この場合、冷却ユニットCPにおいて、現像処理に適した温度に基板Wが冷却された後、現像処理室31において、現像処理ユニット139によりレジストカバー膜が除去されるとともに基板Wの現像処理が行われる。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS6に載置される。
【0077】
搬送装置138(
図5)は、基板載置部PASS7に載置されたレジスト膜形成後の基板Wを塗布処理室34(
図2)、熱処理装置PHP(
図3)、エッジ露光部EEW(
図3)および載置兼バッファ部P−BF2(
図5)に順に搬送する。
【0078】
また、搬送装置138(
図5)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理装置PHP(
図3)から露光装置15による露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送装置138は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図3)、現像処理室33(
図2)、熱処理装置PHP(
図3)および基板載置部PASS8(
図5)に順に搬送する。現像処理室33、塗布処理室34および下段熱処理部304における基板Wの処理内容は、上記の現像処理室31、塗布処理室32(
図2)および上段熱処理部303(
図3)における基板Wの処理内容と同様である。
【0079】
洗浄乾燥処理ブロック14Aにおいて、搬送装置141(
図1)は、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図5)に載置された基板Wを洗浄乾燥処理部161の洗浄乾燥処理ユニットSD1(
図2)に搬送する。続いて、搬送装置141は、基板Wを洗浄乾燥処理ユニットSD1から載置兼冷却部P−CP(
図5)に搬送する。この場合、洗浄乾燥処理ユニットSD1において、基板Wの洗浄および乾燥処理が行われた後、載置兼冷却部P−CPにおいて、露光装置15(
図1)における露光処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0080】
搬送装置142(
図1)は、基板載置部PASS9(
図5)に載置された露光処理後の基板Wを洗浄乾燥処理部162の洗浄乾燥処理ユニットSD2(
図3)に搬送する。また、搬送装置142は、洗浄および乾燥処理後の基板Wを洗浄乾燥処理ユニットSD2から上段熱処理部303の熱処理装置PHP(
図3)または下段熱処理部304の熱処理装置PHP(
図3)に搬送する。この熱処理装置PHPにおいては、露光後ベーク(PEB)処理が行われる。
【0081】
搬入搬出ブロック14Bにおいて、搬送装置146(
図1)は、載置兼冷却部P−CP(
図5)に載置された露光処理前の基板Wを露光装置15の基板搬入部15a(
図1)に搬送する。また、搬送装置146(
図1)は、露光装置15の基板搬出部15b(
図1)から露光処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS9(
図5)に搬送する。
【0082】
なお、露光装置15が基板Wの受け入れをできない場合、露光処理前の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。また、第2の処理ブロック13の現像処理ユニット139(
図2)が露光処理後の基板Wの受け入れをできない場合、露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。
【0083】
本実施の形態においては、上段に設けられた塗布処理室21,22,32、現像処理室31および上段熱処理部301,303における基板Wの処理と、下段に設けられた塗布処理室23,24,34、現像処理室33および下段熱処理部302,304における基板Wの処理とを並行して行うことができる。それにより、フットプリントを増加させることなく、スループットを向上させることができる。
【0084】
(6)熱処理装置の構成
図6は
図3の熱処理装置PHPの斜視図であり、
図7は
図3の熱処理装置PHPの平面図であり、
図8は
図3の熱処理装置PHPの側面図である。
【0085】
図6〜
図8に示すように、熱処理装置PHPは、待機部510、加熱部520、筐体530、ローカル搬送機構(以下、搬送機構と略記する。)540およびシャッタ装置560を含む。待機部510、加熱部520、搬送機構540およびシャッタ装置560は、筐体530内に収容される。
図6ではシャッタ装置560の図示を省略する。また、
図7および
図8では筐体530の図示を省略する。
【0086】
図6に示すように、筐体530は直方体形状を有する。筐体530の一側面530aには、筐体530の内部空間と搬送室(例えば、
図5の上段搬送室125または下段搬送室126等)の内部空間とを連通する開口部531が形成されている。開口部531を通して熱処理装置PHPに対する基板Wの搬入および基板Wの搬出が行われる。なお、
図3の複数の熱処理装置PHPのうち洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理装置PHPにおいては、筐体530の洗浄乾燥処理ブロック14A側の側面にも開口部(図示せず)が形成される。その開口部は、筐体530の内部空間と洗浄乾燥処理ブロック14Aとの間で基板Wの搬入および搬出を行うために用いられる。
【0087】
筐体530の内部では、一側面530aからその一側面530aに対向する他側面530bに向かう一方向に沿って並ぶように待機部510および加熱部520がこの順で配置されている。
【0088】
図8に示すように、待機部510は、昇降装置511、連結部材512および複数(本例では3つ)の支持ピン513を含む。昇降装置511には、連結部材512が上下方向に移動可能に取り付けられる。
【0089】
連結部材512に複数(本例では3つ)の支持ピン513がそれぞれ上下方向に延びるように取り付けられている。各支持ピン513は円形状の断面を有する棒状部材である。昇降装置511が動作することにより連結部材512が上下方向に移動する。
【0090】
加熱部520は、加熱プレート(ホットプレート)524、昇降装置521、連結部材522および複数(本例では3つ)の支持ピン523を含む。加熱プレート524内にマイカヒータ等の発熱体が設けられる。
【0091】
昇降装置521には、連結部材522が上下方向に移動可能に取り付けられる。昇降装置521に取り付けられた連結部材522が、加熱プレート524の下方に配置される。連結部材522に複数の支持ピン523がそれぞれ上下方向に延びるように取り付けられている。各支持ピン523は円形状の断面を有する棒状部材である。昇降装置521が動作することにより連結部材522が上下方向に移動する。
【0092】
加熱プレート524には、複数の支持ピン523が通過可能な複数(本例では3つ)の支持ピン挿入孔525が形成されている。複数の支持ピン523は、複数の支持ピン挿入孔525にそれぞれ挿入可能に配置される。昇降装置521が動作することにより連結部材522が上下方向に移動する。それにより、複数の支持ピン523の上端部がそれぞれ複数の支持ピン挿入孔525を通って加熱プレート524の上方の位置と加熱プレート524の上面(加熱面)よりも下方の位置との間で移動する。
図7に示すように、加熱プレート524の上面には、複数(本例では8個)の突起部526が基板Wの外周部に沿うように形成されている。複数の突起部526により加熱プレート524の上面上で基板Wが保持される。この場合、基板Wの下面が加熱プレート524の上面に対向する。
【0093】
図6に示すように、搬送機構540は、上下方向に延びるように設けられた一対の長尺状の上下移動装置541を備える。筐体530内において、一方の上下移動装置541は筐体530の一側面530a側に固定され、他方の上下移動装置541は筐体530の他側面530b側に固定される。一対の上下移動装置541の間には、長尺状のガイドレール542が設けられる。ガイドレール542は、上下動可能に一対の上下移動装置541に取り付けられる。ガイドレール542に長手方向に移動可能に水平移動装置543が取り付けられる。水平移動装置543にローカル搬送アーム(以下、搬送アームと略記する。)550が取り付けられる。上下移動装置541がガイドレール542を上下に移動させ、水平移動装置543がガイドレール542に沿って移動する。これにより、搬送アーム550は、上下方向およびガイドレール542の長手方向(本例では、水平方向)に移動可能である。
【0094】
図7に示すように、搬送アーム550は、基板Wの
外径よりも大きい
外径を有する平板状部材である。搬送アーム550の外周部は、水平移動装置543との取り付け部分を除いて、基板Wの外周部に対応する円弧状を有する。搬送アーム550は、例えば、アルミニウム等の金属材料により形成される。搬送アーム550内には、複数の冷却水通路が形成されている。本実施の形態では、2つの冷却水通路553a,553bが形成されている。冷却水通路553aは、
図7に太い点線で示され、配管571,572を通して冷却水供給源570aに接続される。冷却水通路553bは、
図7に太い一点鎖線で示され、配管573,574を通して冷却水供給源570bに接続される。冷却水供給源570a,570bは、熱交換器、および冷却水の温度を調整する温度調整装置を含む。冷却水供給源570a,570bは、基板処理装置100の内部に設けられてもよく、基板処理装置100の外部に設けられてもよい。
【0095】
搬送アーム550の上面(保持面)には、複数(本例では8個)の突起部552が基板Wの外周部に沿うように形成されている。複数の突起部552により搬送アーム550の上面上で基板Wが保持される。このとき、基板Wの下面が搬送アーム550の上面に対向する。また、搬送アーム550には、待機部510の昇降装置511の複数の支持ピン513と干渉しないように、開口部として直線状の複数の切り込み(スリット)
が設けられている。本実施の形態では、搬送アーム550は、直線状の2つの切り込み551a,551bを有する。切り込み551a,551bはガイドレール542と平行に形成される。切り込み551bは切り込み551aよりも長い。本実施の形態では、切り込み551aには1本の支持ピン513が挿通可能であり、切り込み551bには2本の支持ピン513が挿通可能である。
【0096】
図8に示すように、シャッタ装置560は、待機部510と加熱部520との間に設けられる。シャッタ装置560は、シャッタ561およびシャッタ駆動部562を含む。本例では、シャッタ駆動部562は、搬送アーム550の上面および加熱プレート524の上面よりも上方の位置(以下、閉位置と呼ぶ。)と搬送アーム550の上面および加熱プレート524の上面よりも下方の位置(以下、開位置と呼ぶ。)との間でシャッタ561を移動させる。シャッタ561が閉位置にある場合、筐体530内の待機部510を取り囲む空間と加熱部520を取り囲む空間とがシャッタ561により遮断される。一方、シャッタ561が開位置にある場合、筐体530内の待機部510を取り囲む空間と加熱部520を取り囲む空間とが連通する。
【0097】
昇降装置511,521、搬送機構540、加熱プレート524、シャッタ装置560および冷却水供給源570a,570bは、
図7のローカルコントローラ580により制御される。ローカルコントローラ580は、例えば、
図3の上段熱処理部301,303および下段熱処理部302,304の各々に設けられてもよい。この場合、複数のローカルコントローラ580は
図1の制御部114により統括的に制御される。
【0098】
(7)搬送アーム550の構成
図9は搬送アーム550の内部の詳細な構成を示す水平断面図である。搬送アーム550が加熱プレート524の上方の位置に移動したときには、加熱プレート524からの熱が搬送アーム550の下面に伝達されるとともに切り込み551a,551bを通して搬送アーム550の上面でかつ切り込み551a,551bに近い部分に伝達される。そのため、搬送アーム550の切り込み551a,551bに近い部分の温度上昇は他の部分の温度上昇よりも大きくなる。この状態で、搬送アーム550上に基板Wが保持されると、基板Wの面内温度のばらつきが大きくなる。
【0099】
そこで、搬送アーム550は、加熱プレート524の上方の位置に移動したときの温度分布に基づいて複数の領域に区分される。
図9においては、領域Aにおける搬送アーム550の断面をハッチングで示し、領域Bにおける搬送アーム550の断面をドットパターンで示す。本実施の形態では、搬送アーム550は、2つの領域A,Bに区分される。領域Aは、搬送アーム550が加熱プレート524の上方に移動したときの温度が所定のしきい値以下の領域に設定される。領域Bは、搬送アーム550が加熱プレート524の上方に移動したときの温度が所定のしきい値よりも高い領域に設定される。領域Bは、切り込み551a,551bの周囲を取り囲む領域である。領域Aは領域Bを除く残りの領域である。2つの領域A,Bの境界554は、一点鎖線で示されるように、切り込み551a,551bの周囲の領域を取り囲むように湾曲する。
【0100】
冷却水通路553aが領域Aに設けられ、冷却水通路553bは領域Bに設けられる。この場合、冷却水
通路553aは、搬送アーム550の上面の領域Aに重なるように設けられ、冷却水
通路553bは、搬送アーム550の上面の領域Bに重なるように設けられる。冷却水通路553aには、
図7の冷却水供給源570aから第1の冷却水が供給される。第1の冷却水は、冷却水通路553aおよび冷却水供給源570aを循環する。冷却水通路553bには、
図7の冷却水供給源570bから第2の冷却水が供給される。第2の冷却水は、冷却水通路553bおよび冷却水供給源570bを循環する。第2の冷却水の温度は、第1の冷却水の温度よりも低い。本実施の形態では、第1の冷却水の温度は例えば約23℃であり、第2の冷却水の温度は例えば約21℃である。したがって、冷却水通路553bの冷却能力は冷却水通路553aの冷却能力よりも高い。第1の冷却水の温度および第2の冷却水の温度は、本例に限定されず、加熱プレート524の加熱温度、加熱プレート524から搬送アーム550までの距離および加熱プレート524の上方に搬送アーム550が存在する時間等の条件に基づいて予め設定される。
【0101】
(8)熱処理装置の動作
図6〜
図9の熱処理装置PHPの動作について説明する。
図10〜
図19は、熱処理装置PHPの動作を示す模式的側面図である。
図10〜
図19においては、
図8に示される複数の構成要素のうち一部の構成要素が示される。
【0102】
図10に示すように、まず、待機部510の複数の支持ピン513の上端部が切り込み551a,551b(
図9参照)を通過してそれぞれ搬送アーム550の上方の位置まで上昇する。また、加熱部520の複数の支持ピン523の上端部がそれぞれ加熱プレート524の上面よりも下方に位置する。さらに、シャッタ561が閉位置にある。この状態で、筐体530の開口部
531(
図6)を通して熱処理装置PHPに搬入された基板Wが待機部510の複数の支持ピン513上に載置される。
【0103】
次に、
図11に示すように、搬送アーム550が上昇するとともに、待機部510の複数の支持ピン513が下降する。それにより、基板Wが複数の支持ピン513から搬送アーム550に渡される。また、加熱部520の複数の支持ピン523の上端部がそれぞれ加熱プレート524の上面よりも上方の位置まで上昇する。さらに、シャッタ561が閉位置から開位置に移動する。
【0104】
次に、
図12に示すように、搬送アーム550が待機部510から加熱部520の加熱プレート524の上方の位置まで移動する。続いて、搬送アーム550が複数の支持ピン523の上端部よりも下方の位置まで下降する。それにより、
図13に示すように、基板Wが加熱部520の複数の支持ピン523上に載置される。その後、搬送アーム550が待機部510の複数の支持ピン513の上方の位置まで移動する。
【0105】
次に、
図14に示すように、加熱部520の複数の支持ピン523が加熱プレート524の上面よりも下方の位置まで下降する。それにより、基板Wが加熱プレート524の上面上に載置される。また、シャッタ561が開位置から閉位置に移動する。この状態で、加熱プレート524により基板Wに加熱処理が行われる。このとき、搬送アーム550は、第1および第2の冷却水により冷却されつつ待機部510で待機する。
【0106】
次に、
図15に示すように、加熱部520の複数の支持ピン523の上端部が加熱プレート524の上面よりも上方の位置まで上昇する。それにより、基板Wが加熱部520の複数の支持ピン523により支持される。また、シャッタ561が閉位置から開位置に移動する。
【0107】
次に、
図16に示すように、搬送アーム550が待機部510から加熱部520の加熱プレート524の上方の位置まで移動する。このとき、搬送アーム550の領域Bには、切り込み551a,551bを通して領域Aよりも多くの熱量が与えられる。しかしながら、領域Bの冷却水通路553bを循環する第2の冷却水の温度は、領域Aの冷却水通路553aを循環する第1の冷却水の温度よりも低いので、搬送アーム550の全体の温度がほぼ一定に保たれる。続いて、搬送アーム550が加熱部520の複数の支持ピン523の上端部よりも上方の位置まで上昇する。それにより、基板Wが搬送アーム550により受け取られ、基板W
が搬送アーム550の上面上に保持される。この場合、搬送アーム550の全体の温度がほぼ一定に保たれているので、基板Wの面内温度のばらつきが小さく抑えられる。その後、
図17に示すように、搬送アーム550が待機部510の複数の支持ピン513の上方の位置まで移動する。
【0108】
次に、
図18に示すように、搬送アーム550が下降し、シャッタ561が開位置から閉位置に移動し、加熱部520の複数の支持ピン523が加熱プレート524の上面よりも下方の位置まで下降する。最後に、
図19に示すように、待機部510の複数の支持ピン513の上端部が搬送アーム550の上面よりも上方の位置まで上昇する。それにより、基板Wが複数の支持ピン513により支持される。この状態で、複数の支持ピン513上の基板Wが、例えば
図5の搬送
装置127,128,137,138のいずれかにより受け取られる。
【0109】
(9)熱処理装置PHP内での基板Wの温度変化
図20は熱処理装置PHP内での基板Wの面内平均温度および基板Wの面内温度ばらつきを説明するための図である。
図20において、搬送アーム550に第1および第2の冷却水が供給されていない場合における基板Wの面内平均温度の変化が太い実線L1で示される。また、搬送アーム550に第1および第2の冷却水が供給されていない場合における基板Wの面内温度ばらつきが太い点線L2で示される。基板Wの面内平均温度は、基板Wの複数の部分の温度の平均値である。基板Wの面内温度ばらつきは、基板Wの複数の部分の温度のうち最高温度と最低温度との差である。基板Wの面内温度ばらつきが小さいほど基板Wの面内温度の均一性が高い。
【0110】
時点t0から時点t1までの期間には、基板Wが搬送アーム550により保持されている。このとき、基板Wの面内平均温度は一定であり、基板Wの面内温度ばらつきは小さい。時点t1において、基板Wが搬送アーム550から加熱部520の複数の支持ピン523に渡された後、加熱プレート524の上面上に支持される。それにより、基板Wの面内平均温度が上昇する。時点t1から時点t2までの期間では、基板Wが複数の支持ピン523に接触することにより、基板Wの面内温度ばらつきが一時的に増加した後、基板Wが加熱プレート524により加熱されることにより基板Wの面内温度ばらつきが減少する。時点t2から時点t3までの期間では、基板Wの面内平均温度がほぼ一定に安定し、かつ基板Wの面内温度ばらつきが小さく保たれる。
【0111】
時点t3において、基板Wが搬送アーム550により受け取られる。その後、基板Wの面内平均温度が低下する。搬送アーム550の複数の領域で温度のばらつきがある場合には、基板Wの面内温度ばらつきが増加する。これに対して、本実施の形態に係る熱処理装置PHPでは、搬送アーム550が加熱部520から基板Wを受け取る際に搬送アーム550の温度が均一に保たれているので、時点t3以降の期間で、熱処理後の基板Wの面内温度ばらつきが矢印Zで示されるように減少する。この場合、基板Wの面内温度ばらつきが予め定められた許容値Re以下になるように第1および第2の冷却水の温度が設定される。
【0112】
特に、基板W上の露光後熱処理(PEB)は基板Wの温度が下限処理温度値TR以上で進行する。
図20の例では、基板Wの面内平均温度が下限処理温度値TR以上となっている期間ΔTにおいて露光後熱処理が進行する。本実施の形態に係る熱処理装置PHPによると、熱処理後の基板Wの面内温度ばらつきが許容値Re以下に減少するので、熱処理後に基板Wの一部の温度が下限処理温度値TR以上になることが防止される。したがって、基板W上の露光後のレジスト膜の全体に均一にかつ一定時間の露光後熱処理を行うことができる。その結果、露光後のレジスト膜の線幅均一性が向上する。
【0113】
(10)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、搬送アーム550の2つの領域A,Bに対応するように2つの冷却水通路553a,553bが複数の冷却部として設けられるが、搬送アーム550が3以上の領域に区分され、3以上の冷却部がそれぞれの領域に対応して設けられてもよい。
【0114】
(b)上記実施の形態では、搬送アーム550内に複数の冷却部として複数の冷却水通路が設けられるが、搬送アーム550内に複数の冷却水通路の代わりに複数のヒートパイプが設けられてもよい。また、搬送アーム550内に複数の冷却部として冷却水以外の冷却液が循環する複数の冷却液通路が設けられてもよい。さらに、搬送アーム550内に複数の冷却部として冷却気体が循環する複数の冷却気体通路が設けられてもよい。あるいは、搬送アーム550内に複数の冷却部としてペルチェ素子が設けられてもよい。
【0115】
(c)上記実施の形態では、搬送アーム550が開口部として直線状の2本の切り込み551a,551bを有するが、搬送アーム550に他の形状の開口部が設けられてもよい。例えば、搬送アーム550に開口部として3本の支持ピン513,523が一体的に通過可能な単一の切り込みが設けられてもよい。また、搬送アーム550に開口部として湾曲する一または複数の切り込みが設けられてもよい。
【0116】
(11)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0117】
上記実施の形態においては、搬送機構540が搬送部の例であり、搬送アーム550が保持部の例であり、冷却水通路553a,553bが複数の冷却部または通路の例であり、冷却水通路553aが第1の冷却部の例であり、冷却水通路553bが第2の冷却部の例である。領域A,Bが複数の領域の例であり、領域Aが第1の領域の例であり、領域Bが第2の領域の例である。複数の支持ピン513が支持部または複数の第1の支持部材の例であり、複数の支持ピン523が複数の第2の支持部材の例であり、切り込み551a,551bが開口部または切り込みの例である。塗布処理ユニット129が塗布装置の例であり、搬送装置127,128,137,138が搬送装置の例である。
【0118】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
(11)参考形態
(1)本参考形態に係る熱処理装置は、基板に加熱処理を行う加熱部と、基板を支持する支持部を含む待機部と、基板を保持する保持部を含み、保持部を移動させることにより待機部と加熱部との間で基板を搬送する搬送部とを備え、保持部は複数の領域を有し、保持部内には複数の領域をそれぞれ冷却する複数の冷却部が設けられる。
その熱処理装置においては、保持部が基板を保持して待機部から加熱部へ移動する。加熱部において基板に加熱処理が行われる。加熱処理後、保持部が基板を保持して加熱部から待機部へ移動する。この場合、保持部内の複数の冷却部により保持部の複数の領域がそれぞれ冷却される。それにより、加熱処理後に保持部の複数の領域の温度を均一に保つことができる。その結果、基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。
(2)複数の冷却部は、加熱部による基板の加熱処理後に保持部により保持された基板の面内温度のばらつきが予め定められた許容値以下となるようにそれぞれ異なる冷却能力を有してもよい。
この場合、許容値を加熱処理が進行する温度の下限値に定めることにより基板の複数の部分の加熱処理の時間を等しくすることができる。それにより、基板の全体に均一な加熱処理を行うことができる。
(3)保持部は、基板の一面が対向しかつ複数の領域を有する保持面を有し、複数の冷却部は、保持部内で複数の領域にそれぞれ重なるように設けられてもよい。この場合、保持部の各領域内の温度をそれぞれ均一にすることができる。
(4)複数の領域は第1および第2の領域を含み、第1の領域が加熱部において受ける熱量は第2の領域が加熱部において受ける熱量よりも小さく、複数の冷却部は、第1および第2の領域にそれぞれ重なるように設けられた第1および第2の冷却部を含み、第2の冷却部は第1の冷却部よりも高い冷却能力を有してもよい。
この場合、より大きな熱量を受ける第2の領域の温度を第1の領域の温度に近づけるかまたは等しくすることができる。
(5)保持部は、加熱部における熱が通過可能な開口部を有し、第2の領域は開口部を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
この場合、保持部の開口部を熱が通過するので、第2の領域が受ける熱量は、第1の領域が受ける熱量よりも大きくなる。第2の領域は、より高い冷却能力を有する第2の冷却部により冷却されるので、第2の領域の温度が第1の領域の温度に近くなりまたは等しくなる。
(6)待機部の支持部は、基板の下面を支持しかつ上下動可能な複数の第1の支持部材を含み、加熱部は、加熱面を有する加熱プレートと、基板の下面を支持しかつ基板を加熱プレートの上方の位置と加熱プレートの加熱面との間で移動させるように上下動可能な複数の第2の支持部材とを含み、複数の第1の支持部材は、保持部が待機部に位置するときに開口部に挿通可能に設けられ、複数の第2の支持部材は、保持部が加熱プレートの加熱面の上方に位置するときに開口部に挿通可能に設けられてもよい。
この場合、待機部で複数の第1の支持部材が保持部の開口部を通過して基板の下面を支持しかつ上下動することができる。加熱部で複数の第2の支持部材が保持部の開口部を通過して基板の下面を支持しかつ上下動することができる。このとき、開口部を通過する熱による基板の部分的な温度上昇がより高い冷却能力を有する第2の冷却部により抑えられる。それにより、複数の第1の支持部材と保持部との間での基板の受け渡し動作および複数の第2の支持部材と保持部との間での基板の受け渡し動作を複雑化することなく、基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。
(7)保持部は、基板の外周部の一部に対応する外周部を有し、開口部は、保持部の外周部から保持部の内方に延びる一または複数の切り込みを有し、第2の領域は一または複数の切り込みに沿って延びてもよい。
この場合、待機部において複数の第1の支持部材が保持部の一または複数の切り込みに挿通された状態で保持部が移動することができる。また、加熱部において複数の第2の支持部材が保持部の一または複数の切り込みに挿通された状態で保持部が移動することができる。それにより、待機部および加熱部での基板の受け渡し動作を複雑化することなく、基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。
(8)待機部と加熱部とは一方向に並び、保持部は、待機部の複数の第1の支持部材の上方の位置と加熱プレートの上方の位置との間で一方向に移動し、一または複数の切り込みは、一方向に平行に延び、複数の第1の支持部材が一または複数の切り込みに挿通されている状態で保持部が一方向に移動可能かつ複数の第2の支持部材が一または複数の切り込みに挿通されている状態で保持部が一方向に移動可能であってもよい。
この場合、待機部において複数の第1の支持部材が保持部の一または複数の切り込みに挿通された状態で保持部が加熱部に向かって直線的に移動することができる。また、加熱部において複数の第2の支持部材が保持部の一または複数の切り込みに挿通された状態で保持部が待機部に向かって直線的に移動することができる。それにより、待機部と加熱部との間で基板を迅速に搬送するとともに、基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。
(9)複数の冷却部は、保持部内で互いに独立に設けられた複数の通路であり、複数の通路内に異なる温度を有する冷却液が供給されてもよい。
この場合、保持部の複数の領域が受ける熱量に基づいて複数の通路内を流れる冷却液の温度をそれぞれ設定することにより保持部の複数の領域の温度を等しくまたは一定の範囲内に保つことができる。
(10)複数の冷却部は、保持部内で互いに独立に設けられた複数のヒートパイプであり、保持部内における複数のヒートパイプの温度はそれぞれ異なってもよい。
この場合、保持部の複数の領域が受ける熱量に基づいて複数のヒートパイプの温度をそれぞれ設定することにより保持部の複数の領域の温度を等しくまたは一定の範囲内に保つことができる。
(11)本参考形態に係る基板処理装置は、露光装置に隣接するように配置される基板処理装置であって、基板に感光性膜を塗布する塗布装置と、基板に熱処理を行う上記の熱処理装置と、塗布装置、露光装置および熱処理装置の間で基板を搬送する搬送装置とを備えたものである。
この基板処理装置においては、感光性膜が塗布された基板が塗布装置、露光装置および熱処理装置の間で搬送装置により搬送される。この場合、熱処理装置において、加熱処理後における基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。
(12)熱処理装置は、露光装置による露光後の基板に露光後熱処理を行ってもよい。
この場合、基板上の感光性膜に露光後熱処理を均一に行うことができる。それにより、感光性膜の線幅均一性を向上させることが可能となる。
(13)本参考形態に係る熱処理方法は、基板に熱処理を行う熱処理方法であって、待機部で基板を支持するステップと、加熱部で基板を加熱するステップと、基板を保持する保持部を移動させることにより待機部と加熱部との間で基板を搬送するステップとを含み、搬送するステップは、保持部内に設けられた複数の冷却部により保持部の複数の領域をそれぞれ冷却することを含むものである。
その熱処理方法によれば、保持部内の複数の冷却部により保持部の複数の領域がそれぞれ冷却される。それにより、加熱処理後に保持部の複数の領域の温度を均一に保つことができる。その結果、基板の面内温度の均一性を向上させることが可能となる。