(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板を準備する工程は、前記機能素子を形成する工程の後、前記個片化工程に先立って、前記複数の部品形成領域のそれぞれに、前記機能素子と電気的に接続される複数の外部端子を形成する工程を含む、請求項10に記載のチップ部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品1を示す模式的な斜視図である。
図2は、
図1に示すチップ部品1の模式的な底面図である。
図3は、
図2に示すIII-III線に沿う縦断面図である。
図4は、
図3に示す二点鎖線IVによって取り囲まれた部分の拡大図である。
【0015】
チップ部品1は、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される小型の電子部品である。
図1を参照して、チップ部品1は、略直方体形状の基板2を含む。基板2は、第1主面3と、その反対側に位置する第2主面4と、第1主面3および第2主面4を接続する側面5とを有している。基板2の第1主面3および第2主面4は、当該第1主面3の法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において長方形状に形成されている。
【0016】
図2を参照して、基板2の第2主面4には、当該第2主面4に照射された光を拡散反射させるための光拡散反射構造6が形成されている。本実施形態では、基板2の第2主面4が粗面化されており、当該粗面化された第2主面4によって光拡散反射構造6が形成されている。基板2の第2主面4は、より具体的には、第1主面3に向かって窪んだ複数の凹部7によって粗面化されている。
【0017】
複数の凹部7によって基板2の第2主面4を粗面化する方法としては、エッチング、レーザ光照射、サンドブラスト等を例示できる。エッチングの場合には、基板2の第2主面4の一部をエッチングによって選択的に除去し、当該基板2の第2主面4に複数の凹部7を形成する。レーザ光照射の場合には、レーザ光の照射によって基板2の一部を溶融させて、当該基板2の第2主面4に複数の凹部7を形成する。サンドブラストの場合には、基板2の第2主面4に対して研磨剤を吹き付けて、当該基板2の第2主面4に複数の凹部7を形成する。エッチング、レーザ光照射、サンドブラストの順に、基板2の第2主面4に形成される凹部7の形状の不規則性が高くなる。
【0018】
図2では、粗面化法としてレーザ光照射が採用され、複数の凹部7がレーザ光による加工痕である形態が示されている。複数の凹部7は、本実施形態では、一方方向(基板2の短手方向)に沿って延び、かつ、当該一方方向の直交方向(基板2の長手方向)に沿って間隔を空けて形成されている。複数の凹部7によって、基板2の第2主面4にはストライプ状の凹凸模様が形成されている。複数の凹部7は、基板2の長手方向に沿って延び、かつ、基板2の短手方向に沿って間隔を空けて形成されていてもよい。また、複数の凹部7は、基板2の第2主面4に対して規則的なドット状に形成されていてもよいし、基板2の第2主面4に対して離散的、たとえばランダムなドット状に形成されていてもよい。
【0019】
図2を参照して、基板2の第2主面4には、複数の凹部7に加えて、複数の凹部7の内外に複数の凸部8が不規則に形成されている。
図3は、凸部8の図示を省略し、複数の凹部7だけを図示している。複数の凸部8は、レーザ光の照射によって溶融した基板2の材料の一部および/またはレーザ光の照射によって溶融して飛散した基板2の材料の一部が、複数の凹部7の内外で再度硬化した溶融再硬化層9によって形成されている。このように、本実施形態では、比較的に規則的に形成された複数の凹部7に加えて、不規則に形成された複数の凸部8によって、基板2の第2主面4の面粗さ(つまり、凹凸形状の不規則性)が高められている。
【0020】
図3を参照して、基板2の第2主面4には、当該第2主面4を被覆するように絶縁膜10が形成されている。絶縁膜10は、基板2の第2主面4が酸化することによって形成された自然酸化膜である。
図4を参照して、絶縁膜10は、凹部7の内壁を被覆する第1部分11と、凹部7外の基板2の第2主面4を被覆する第2部分12とを含む。絶縁膜10の第1部分11の厚さT1は、絶縁膜10の第2部分12の厚さT2よりも小さい。絶縁膜10の厚さT1,T2が凹部7の内外で異なる理由としては、レーザ光の照射に伴って凹部7の内壁を構成する基板2の材料の結晶状態が変質したことが挙げられる。したがって、図示はしないが、複数の凸部8(溶融再硬化層9)を被覆する絶縁膜10の厚さも、絶縁膜10の第2部分12の厚さT2よりも小さくなる。
【0021】
図1および
図3を参照して、基板2の第1主面3には、表面絶縁膜13が形成されている。表面絶縁膜13は、基板2の第1主面3の平面視形状と整合する平面視四角形状に形成されている。表面絶縁膜13は、酸化膜(SiO
2膜)を含んでいてもよいし、窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。
図3を参照して、表面絶縁膜13上には、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15が間隔を空けて配置されている。第1パッド電極膜14は、基板2の長手方向の一端部側に配置されており、第2パッド電極膜15は、基板2の長手方向の他端部側に配置されている。第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15は、基板2の短手方向に沿って延びる長方形状に形成されていてもよい。
【0022】
基板2の第1主面3側には、機能素子16が形成されている。機能素子16は、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15に電気的に接続されている。基板2の第1主面3側に形成された機能素子16には、より具体的には、基板2の第1主面3の表層部を利用して形成された機能素子16、基板2の第1主面3上に形成された機能素子16、基板2の第1主面3よりも上方の領域を利用して形成された機能素子16等が含まれる。
図2では、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15間の表面絶縁膜13上に、機能素子16が形成されている例を示している。また、
図2では、機能素子16をクロスハッチングによって簡略化して示している。機能素子16の具体的な構成については、後述する。
【0023】
表面絶縁膜13上には、第1パッド電極膜14、第2パッド電極膜15および機能素子16を被覆するように絶縁層17が形成されている。絶縁層17は、表面絶縁膜13側からこの順に積層されたパッシベーション膜18および樹脂膜19を含む。パッシベーション膜18は、酸化膜(SiO
2膜)を含んでいてもよいし、窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。樹脂膜19は、ポリイミドを含んでいてもよい。
【0024】
絶縁層17には、第1パッド電極膜14の縁部を除く領域を露出させる第1パッド開口20と、第2パッド電極膜15の縁部を除く領域を露出させる第2パッド開口21とが形成されている。第1パッド開口20内には、第1外部端子22が形成されており、第2パッド開口21内には、第2外部端子23が形成されている。
第1外部端子22は、第1パッド開口20内において第1パッド電極膜14と電気的に接続されている。これにより、第1外部端子22は、第1パッド電極膜14を介して機能素子16と電気的に接続されている。第2外部端子23は、第2パッド開口21内において第2パッド電極膜15と電気的に接続されている。これにより、第2外部端子23は、第2パッド電極膜15を介して機能素子16に電気的に接続されている。
【0025】
第1外部端子22および第2外部端子23は、いずれも、絶縁層17から突出するように形成されており、当該絶縁層17を被覆する被覆部22a,23aを有している。第1外部端子22および第2外部端子23は、複数の金属膜が積層された積層構造を有していてもよい。複数の金属膜は、たとえば第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15から順に積層されたNi膜、Pd膜、Au膜を含んでいてもよい。
【0026】
図1〜
図3を参照して、基板2の側面5には、当該基板2の側面5の全域を被覆するように側面絶縁層24が形成されている。側面絶縁層24は、基板2の側面5から絶縁層17側に向けて延び、少なくともパッシベーション膜18の側面を被覆する延部を有している。本実施形態では、側面絶縁層24の延部は、樹脂膜19の側面も被覆している。側面絶縁層24は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。複数の絶縁膜または単一の絶縁膜は、酸化膜(SiO
2膜)を含んでいてもよいし、窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。
【0027】
次に、本実施形態に係るチップ部品1が組み込まれた回路モジュール31の一例について説明する。
図5は、
図1に示すチップ部品1が組み込まれた回路モジュール31の一部を示す模式的な縦断面図である。
図5を参照して、回路モジュール31は、配線32が形成された主面を含む実装基板33と、当該実装基板33に実装されたチップ部品1とを含む。配線32は、チップ部品1の第1外部端子22と接続される第1パッド34と、チップ部品1の第2外部端子23と接続される第2パッド35とを含む。
【0028】
チップ部品1は、基板2の第1主面3が実装基板33の主面に対向した状態で当該実装基板33に実装されている。チップ部品1の第1外部端子22は、たとえば半田等の第1導電性接合材36を介して配線32の第1パッド34と電気的および機械的に接続されている。また、チップ部品1の第2外部端子23は、たとえば半田等の第2導電性接合材37を介して配線32の第2パッド35と電気的および機械的に接続されている。
【0029】
次に、
図6および
図7を参照して、本実施形態に係るチップ部品1の外観検査の結果、および、参考例に係るチップ部品41の外観検査の結果を説明する。
図6は、参考例に係るチップ部品41の外観検査の結果を示す画像である。
図7は、
図1に示すチップ部品1の外観検査の結果を示す画像である。
参考例に係るチップ部品1および本実施形態に係るチップ部品41の外観検査を実施するに当たり、参考例に係るチップ部品41が複数実装された第1評価用ボード42と、本実施形態に係るチップ部品1が複数実装された第2評価用ボード43とを準備した。参考例に係るチップ部品41は、基板2の第2主面4が鏡面であり、粗面化されていない点を除いて、本実施形態に係るチップ部品1の構造と略同様の構造を有している。参考例に係るチップ部品41の具体的な構成についての説明は省略する。
【0030】
参考例に係るチップ部品41は、基板2の第1主面3が第1評価用ボード42の主面に対向した状態で当該第1評価用ボード42に実装されている。また、本実施形態に係るチップ部品1は、基板2の第1主面3が第2評価用ボード43の主面に対向した状態で当該第2評価用ボード43に実装されている。第1評価用ボード42に対する参考例に係るチップ部品41の実装状態、および、第2評価用ボード43に対する本実施形態に係るチップ部品1の実装状態は、いずれも正常である。
【0031】
ここでは、撮像機および光源を備えた電子顕微鏡を用いて、参考例に係るチップ部品41の外観検査、および、本実施形態に係るチップ部品1の外観検査を実施した。参考例に係るチップ部品41の外観検査では、光源から第1評価用ボード42に光を照射した状態で、参考例に係るチップ部品41を撮像機によって撮像した。また、本実施形態に係るチップ部品1の外観検査では、光源から第2評価用ボード43に光を照射した状態で、本実施形態に係るチップ部品1を撮像機によって撮像した。これらの外観検査において取得された画像が、
図6および
図7に示されている。
【0032】
図6を参照して、第1評価用ボード42に実装された複数の参考例に係るチップ部品41には、白色、黒色または灰色に見えるものが含まれる。チップ部品41が白色に見えるのは、当該チップ部品41に照射された光の大部分が撮像機に向けて反射されたためである。チップ部品41が黒色に見えるのは、当該チップ部品41に照射された光の大部分が撮像機外の領域に向けて反射されたためである。チップ部品41が灰色に見えるのは、当該チップ部品41に照射された光の一部が撮像機に向けて反射されたためである。
【0033】
チップ部品41が異なる色合いや明るさに見えるのは、第1評価用ボード42の主面に対して基板2の第2主面4が僅かに傾斜した姿勢でチップ部品41が実装されていることや、光源に対するチップ部品41毎の配置位置が異なるため、照射された光がチップ部品41毎に異なる方向に反射されたこと等が原因として考えられる。第1評価用ボード42では、チップ部品41の実装状態が正常であるにもかかわらず、取得された画像においてチップ部品41毎の色合いや明るさにばらつきが生じているため、チップ部品41の良否判定を円滑に行うことができないことが理解される。
【0034】
これに対して、
図7を参照して、本実施形態に係るチップ部品1が実装された第2評価用ボード43では、チップ部品1毎の視覚的な色の変化が小さくなっている。これは、基板2の第2主面4に照射された光を当該第2主面4によって拡散反射させることができるから、光源に対するチップ部品1の配置位置に起因して第2主面4による光の反射方向に偏りが生じるのを抑制できるためである。
【0035】
特に、本実施形態に係るチップ部品1では、基板2の第2主面4に複数の凹部7が形成されているので、当該複数の凹部7の内壁を利用して光を拡散反射させることができる。また、本実施形態に係るチップ部品1では、不規則に形成された複数の凸部8を含むので、当該複数の凸部8の表面を利用して光を拡散反射させることもできる。
これにより、第2主面4による光の反射方向に偏りが生じるのを効果的に抑制できるから、撮像機によって基板2の第2主面4を良好に検出させることができる。また、基板2の第2主面4に複数の凹部7を形成することによって、当該基板2の第2主面4に光が照射されずに影になる部分を作り込むことができるから、取得される画像において基板2の第2主面4の色合いを調整できる。
【0036】
これにより、外観検査で取得される画像において、光源に対するチップ部品1の配置位置に起因してチップ部品1毎の色合いや明るさにばらつきが生じるのを抑制できる。その結果、外観検査において取得される画像において、視覚的な色の変化が小さいチップ部品1については正常であると判定でき、視覚的な色の変化が大きいチップ部品1については異常であると判定できる。よって、円滑な外観検査に寄与できるチップ部品1を提供できる。
【0037】
また、
図5を参照して、本実施形態に係るチップ部品1が組み込まれた回路モジュール31では、基板2の第1主面3が実装基板33の主面に対向した状態で、チップ部品1が実装基板33に実装されている。したがって、回路モジュール31に対して、および/または、回路モジュール31に組み込まれたチップ部品1に対して外観検査を実施する場合には、基板2の第2主面4に対して光を照射できる。よって、チップ部品1が組み込まれた回路モジュール31に対しても、外観検査を円滑に行うことができる。
【0038】
次に、
図8A〜
図8Kを参照して、チップ部品1の製造方法の一例について説明する。
図8A〜
図8Kは、
図1に示すチップ部品1の製造工程の一工程を示す模式的な縦断面図である。
まず、
図8Aを参照して、ベース基板52が準備される。ベース基板52は、基板2の第1主面3および第2主面4に対応する第1主面53および第2主面54を有している。ベース基板52の第1主面53には、チップ部品1が形成される複数の部品形成領域55と、複数の部品形成領域55を区画する境界領域56とが設定されている。ベース基板52に対して所定の処理を実行した後、境界領域56(つまり、部品形成領域55の周縁)に沿ってベース基板52を切断することにより、複数のチップ部品1の個片が切り出される。
図8Aでは、2個のチップ部品1の個片が切り出される領域が示されている(以下、
図8B〜
図8Kにおいて同じ)。
【0039】
ベース基板52が準備された後、ベース基板52の第1主面53に表面絶縁膜13が形成される。表面絶縁膜13は、熱酸化処理によりベース基板52の第1主面53を酸化させることにより形成されてもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりベース基板52の第1主面53に絶縁材料を堆積させることにより形成されてもよい。
【0040】
次に、
図8Bを参照して、表面絶縁膜13上において、複数の部品形成領域55のそれぞれに機能素子16が形成される。
図8Bでは、機能素子16をクロスハッチングによって省略して示している。次に、表面絶縁膜13上において、複数の部品形成領域55のそれぞれに機能素子16と電気的に接続される第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15が形成される。第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15は、たとえばスパッタ法によって第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15のベースとなる電極膜を形成した後、マスクを介するエッチングによって当該電極膜を所定形状にパターニングすることによって形成される。
【0041】
次に、
図8Cを参照して、たとえばCVD法によって、第1パッド電極膜14、第2パッド電極膜15および機能素子16を被覆するパッシベーション膜18が形成される。次に、パッシベーション膜18を被覆するように感光性ポリイミドが塗布されて、樹脂膜19が形成される。これにより、パッシベーション膜18および樹脂膜19を含む絶縁層17が形成される。次に、樹脂膜19が選択的に露光・現像されて、境界領域56、第1パッド開口20および第2パッド開口21に対応するパターンで開口する複数の開口57,58,59が樹脂膜19に形成される。
【0042】
次に、
図8Dを参照して、たとえば樹脂膜19をマスクとするエッチングによって、パッシベーション膜18の不要な部分が除去される。これにより、境界領域56を露出させる開口60、第1パッド開口20および第2パッド開口21が絶縁層17に形成される。
次に、
図8Eを参照して、部品形成領域55を被覆し、境界領域56を露出させる開口61を選択的に有するマスク62がベース基板52の第1主面53上に形成される。次に、たとえばマスク62を介する異方性エッチング(たとえば、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法)により、ベース基板52の不要な部分が除去される。これにより、部品形成領域55を区画する溝63がベース基板52に形成される。ベース基板52に溝63が形成された後、マスク62は除去される。
【0043】
次に、
図8Fを参照して、たとえばCVD法によって、溝63の内壁に加えて、部品形成領域55の全域を被覆するように絶縁材料が堆積されて絶縁層64が形成される。絶縁材料が堆積する工程が複数回(2回以上)実行されることによって、ベース基板52側からこの順に複数の絶縁膜が積層された積層構造を有する絶縁層64が形成されてもよい。
次に、
図8Gを参照して、たとえば異方性エッチング(たとえばRIE法)により、溝63の側面を被覆する絶縁層64を残存させるように、絶縁層64におけるベース基板52の第1主面53に平行な部分が除去される。これにより、絶縁層64における溝63の側面を被覆する部分が側面絶縁層24となる。このとき、絶縁層64の一部が、絶縁層17のうちの第1パッド開口20の内壁を形成する部分、および、絶縁層17のうちの第2パッド開口21の内壁を形成する部分を被覆するように残存してもよい。
【0044】
次に、
図8Hを参照して、たとえばめっき処理によって、第1パッド開口20から露出する第1パッド電極膜14上および第2パッド開口21から露出する第2パッド電極膜15上に、Ni膜、Pd膜およびAu膜が順に形成される。これにより、Ni/Pd/Au積層膜を含む第1外部端子22および第2外部端子23が形成される。
次に、
図8Iを参照して、ベース基板52を支持するための支持テープ65が、当該ベース基板52の第1主面53側に貼着される。支持テープ65は、樹脂製のテープであってもよい。次に、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法によって、ベース基板52の第2主面54が溝63に連通するまで研削される。これにより、溝63に沿ってベース基板52が切断されて、当該ベース基板52における部品形成領域55を含む領域が、基板2の個片として切り出される。ベース基板52において、第1主面53および第2主面54を成していた部分は、個片化された基板2の第1主面3および第2主面4となる。また、ベース基板52において、溝63の内壁を成していた部分は、基板2の側面5となる。
【0045】
次に、
図8Jを参照して、個片化された複数の基板2が支持板66の主面上に配置される。複数の基板2は、第1主面53が支持板66の主面に対向した状態で支持板66の主面上に配置される。
図8Jに示されるように、複数の基板2は、支持テープ65に貼着された状態で、支持板66の主面上に一括して配置されてもよい。
次に、
図8Kを参照して、複数の基板2の第2主面4が粗面化される。本実施形態では、基板2の第2主面4を粗面化する方法として、レーザ光照射が採用されている。この工程では、基板2の第2主面4の表層部に集光点が合わされて、基板2の第2主面4側からレーザ光が照射される。本実施形態では、基板2の第2主面4において、基板2の一方方向(基板2の短手方向)に沿って延びる複数のレーザ光照射領域67が、当該基板2の他方方向(基板2の長手方向)に沿って間隔を空けてストライプ状に設定される。そして、各レーザ光照射領域67に沿ってレーザ光が照射される。
【0046】
基板2の第2主面4においてレーザ光が直接照射された部分には、複数のレーザ加工痕が形成される。この複数のレーザ加工痕が、複数の凹部7となる。これにより、基板2の短手方向に沿って延び、かつ、基板2の長手方向に沿って間隔を空けた複数の凹部7が形成される。さらにこの工程では、レーザ光の照射によって、基板2の材料の一部が溶融し、または、基板2の材料の一部が溶融して凹部7内の領域または凹部7外の領域に飛散する。溶融した基板2の材料の一部は、凹部7内の領域または凹部7外の領域で再度硬化する。これにより、基板2の第2主面4上に複数の溶融再硬化層9が不規則に形成される。この複数の溶融再硬化層9が、複数の凸部8となる(
図2も併せて参照)。
【0047】
このようにして、複数の凹部7および複数の凸部8が各基板2の第2主面4に形成されて、当該基板2の第2主面4が粗面化される。その後、基板2の第2主面4を被覆するように絶縁膜10が形成されて、チップ部品1が製造される。
本実施形態では、短手方向に沿って延びる複数のレーザ光照射領域67が、基板2の長手方向に沿って間隔を空けてストライプ状に設定されている例について説明した。しかし、基板2の長手方向に沿って延びる複数のレーザ光照射領域67が、基板2の短手方向に沿って間隔を空けて設定されてもよい。このような複数のレーザ光照射領域67によれば、基板2の長手方向に沿って延び、かつ、基板2の短手方向に沿って間隔を空けた複数の凹部7を形成できる。また、複数のレーザ光照射領域67は、基板2の第2主面4に対して離散的、たとえばランダムなドット状に設定されてもよい。このような複数のレーザ光照射領域67によれば、基板2の第2主面4に対して離散的に配置された複数の凹部7を形成できる。
【0048】
また、本実施形態では、複数の凹部7によって基板2の第2主面4を粗面化する方法として、レーザ光照射を採用した。しかし、複数の凹部7によって基板2の第2主面4を粗面化する方法として、レーザ光照射に代えて、エッチングまたはサンドブラストが採用されてもよい。
エッチングによって基板2の第2主面4を粗面化する場合には、まず、複数の凹部7を形成すべき領域を露出させる複数の開口を選択的に有するマスクが基板2の第2主面4上に形成される。次に、マスクを介するエッチングによって、基板2の第2主面4の一部が除去される。このようにして、基板2の第2主面4に複数の凹部7が形成される。
【0049】
一方、サンドブラストによって基板2の第2主面4を粗面化する場合には、SiC、アルミナ、ジルコン等の公知の研磨剤が基板2の第2主面4に吹き付けられる。これにより、基板2の第2主面4に対して物理的なダメージが与えられて、基板2の第2主面4に複数の凹部7が形成される。
本実施形態では、基板2の第2主面4の粗面化工程に先立って、より具体的にはベース基板52の切断工程に先立って、第1外部端子22および第2外部端子23を形成する工程が実施される例について説明した(
図8H参照)。しかし、第1外部端子22および第2外部端子23を形成する工程は、基板2の第2主面4の粗面化工程(
図8K参照)の後に実施されてもよい。この場合、第1外部端子22および第2外部端子23は、バレルめっき法によって形成されてもよい。バレルめっき法では、バレルと称される複数の貫通孔を有する容器と、めっき液が貯留されためっき槽と、バレル内に配置された陰極と、めっき槽内に配置された陽極とを備えたバレルめっき装置が使用される。
【0050】
バレルめっき法では、まず、第1外部端子22および第2外部端子23が形成される前の複数のチップ部品1の中間体がバレル内に収容される。次に、めっき槽に貯留されためっき液にバレルが浸漬される。次に、めっき液に浸漬された状態でバレルを回転させながら、バレル内の陰極およびめっき槽内の陽極が通電される。これにより、第1パッド開口20から露出する第1パッド電極膜14上に第1外部端子22が形成され、第2パッド開口21から露出する第2パッド電極膜15上に第2外部端子23が形成される。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、チップ部品1が機能素子16を含む点について述べたが、機能素子16は、抵抗R、コンデンサC、コイルLおよびダイオードDを含む群から選択される少なくとも一種以上の素子を含むことができる。以下では、チップ部品1において、機能素子16として抵抗Rが採用された実施例(第1実施例)、機能素子16としてコンデンサCが採用された実施例(第2実施例)、機能素子16としてコイルLが採用された実施例(第3実施例)、および機能素子16としてダイオードDが採用された実施例(第4実施例)について具体的に説明する。
<第1実施例>
図9は、
図1に示すチップ部品1の第1実施例であって、機能素子16として抵抗Rが採用された場合の形態を示す模式的な縦断面図である。
図10は、
図9に示すX-X線に沿う横断面図である。
図9および
図10において、前述の実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0052】
図9および
図10を参照して、チップ部品1は、表面絶縁膜13上に形成された抵抗導電体膜71を含む。本実施例では、抵抗導電体膜71は、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間の表面絶縁膜13上に形成されており、かつ、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15と電気的に接続されている。
本実施例では、抵抗導電体膜71が帯状を成し、葛折り状に引き回されている例を示しているが、抵抗導電体膜71は、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間を直線状に延びていてもよい。抵抗導電体膜71は、銅よりも高い抵抗率を有する金属材料によって形成されていることが好ましい。抵抗導電体膜71は、Ti膜またはTiN膜によって形成されていてもよい。抵抗導電体膜71は、Ti膜およびTi膜上に形成されたTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0053】
本実施例に係るチップ部品1は、前述の
図8Bの工程において、機能素子16を形成する工程、ならびに、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15を形成する工程を、次のように変更することによって製造できる。
まず、たとえばスパッタ法により、抵抗導電体膜71、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15のベースとなる電極膜(たとえばTi膜)が表面絶縁膜13上に形成される。次に、たとえば抵抗導電体膜71、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、電極膜の不要な部分が除去される。これにより、抵抗導電体膜71、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15が表面絶縁膜13上に形成される。その後、
図8C〜
図8Kの工程が順に実行されて、機能素子16として抵抗Rが採用された構造のチップ部品1を製造できる。
【0054】
以上のように、第1実施例に係るチップ部品1は、抵抗Rを含むチップ抵抗器として形成されている。これにより、円滑な外観検査に寄与できるチップ抵抗器を提供できる。
<第2実施例>
図11は、
図1に示すチップ部品1の第2実施例であって、機能素子16としてコンデンサCが採用された場合の形態を示す模式的な縦断面図である。
図12は、
図11に示すXII-XII線に沿う横断面図である。
図11および
図12において、前述の実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11および
図12を参照して、チップ部品1は、表面絶縁膜13上に形成された第1電極膜72と、第1電極膜72上に形成された誘電体膜73と、誘電体膜73上に形成された第2電極膜74とを含む。第1電極膜72、誘電体膜73および第2電極膜74の積層構造によって、コンデンサCが形成されている。
第1電極膜72、誘電体膜73および第2電極膜74の積層構造は、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間の表面絶縁膜13上に形成されている。第1電極膜72は、第1パッド電極膜14と電気的に接続されており、第2電極膜74は、第2パッド電極膜15と電気的に接続されている。
【0056】
より具体的には、第1電極膜72は、第1パッド電極膜14から第2パッド電極膜15側に向けて引き出された引き出し電極膜として、当該第1パッド電極膜14と一体的に形成されている。誘電体膜73は、第1電極膜72に加えて表面絶縁膜13を被覆するように形成されている。第2パッド電極膜15は、第2電極膜74と共に誘電体膜73上に形成されており、第2電極膜74は、第2パッド電極膜15から第1パッド電極膜14側に向けて引き出された引き出し電極膜として、当該第2パッド電極膜15と一体的に形成されている。
【0057】
本実施例に係るチップ部品1は、前述の
図8Bの工程において、機能素子16を形成する工程、ならびに、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15を形成する工程を次のように変更することによって製造できる。
まず、たとえばスパッタ法により、第1パッド電極膜14および第1電極膜72のベースとなる電極膜が表面絶縁膜13上に形成される。次に、第1パッド電極膜14および第1電極膜72に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、電極膜の不要な部分が除去される。これにより、第1パッド電極膜14および第1電極膜72が表面絶縁膜13上に形成される。
【0058】
次に、たとえばCVD法により、第1パッド電極膜14および第1電極膜72を被覆するように誘電体膜73が表面絶縁膜13上に形成される。表面絶縁膜13側から酸化膜(SiO
2膜)/窒化膜(SiN膜)/酸化膜(SiO
2膜)の順に積層されることによって、ONO膜からなる誘電体膜73が形成されてもよい。
次に、たとえば、スパッタ法により、第2パッド電極膜15および第2電極膜74のベースとなる電極膜が誘電体膜73上に形成される。次に、第2パッド電極膜15および第2電極膜74に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、電極膜の不要な部分が除去される。これにより、第2パッド電極膜15および第2電極膜74が誘電体膜73上に形成される。その後、
図8C〜
図8Kの工程が順に実行されて、機能素子16としてコンデンサCが採用された構造のチップ部品1を製造できる。
【0059】
以上のように、第2実施例に係るチップ部品1は、コンデンサCを含むチップコンデンサとして形成されている。これにより、円滑な外観検査に寄与できるチップコンデンサを提供できる。
<第3実施例>
図13は、
図1に示すチップ部品1の第3実施例であって、機能素子16としてコイルLが採用された場合の形態を示す模式的な縦断面図である。
図14は、
図13に示すXIV-XIV線に沿う横断面図である。
図13および
図14において、前述の実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0060】
図13および
図14を参照して、本実施例に係るチップ部品1は、表面絶縁膜13上に形成された平面視螺旋状のコイル導電体膜75を含む。コイル導電体膜75は、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間の表面絶縁膜13上に形成されている。コイル導電体膜75は、螺旋の最外周に位置する第1コイルエンド76と、螺旋の中心に位置する第2コイルエンド77とを含む。
【0061】
第1パッド電極膜14および第1コイルエンド76の間には、第1パッド電極膜14および第1コイルエンド76を接続する第1接続電極膜78が形成されている。本実施例では、第1パッド電極膜14、コイル導電体膜75および第1接続電極膜78を被覆するようにコイル用絶縁膜79が表面絶縁膜13上に形成されている。
コイル用絶縁膜79には、コイル導電体膜75の第2コイルエンド77を露出させるコンタクト孔80が形成されている。前述の第2パッド電極膜15は、本実施例では、コイル用絶縁膜79上に形成されている。第2パッド電極膜15および第2コイルエンド77の間には、第2パッド電極膜15および第2コイルエンド77を接続する第2接続電極膜81が形成されている。より具体的には、第2接続電極膜81は、コイル用絶縁膜79上からコンタクト孔80に入り込むように第2パッド電極膜15から引き出されており、当該コンタクト孔80内でコイル導電体膜75の第2コイルエンド77と電気的に接続されている。
【0062】
本実施例に係るチップ部品1は、前述の
図8Bの工程において、機能素子16を形成する工程、ならびに、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15を形成する工程を次のように変更することによって製造できる。
まず、たとえばスパッタ法により、第1パッド電極膜14、コイル導電体膜75および第1接続電極膜78のベースとなる電極膜が表面絶縁膜13上に形成される。次に、第1パッド電極膜14、コイル導電体膜75および第1接続電極膜78に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、電極膜の不要な部分が除去される。これにより、第1パッド電極膜14、コイル導電体膜75および第1接続電極膜78が表面絶縁膜13上に形成される。
【0063】
次に、たとえばCVD法により、第1パッド電極膜14、コイル導電体膜75および第1接続電極膜78を被覆するようにコイル用絶縁膜79が表面絶縁膜13上に形成される。
次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、コイル用絶縁膜79の不要な部分が選択的に除去されて、コイル導電体膜75の第2コイルエンド77を露出させるコンタクト孔80がコイル用絶縁膜79に形成される。
【0064】
次に、たとえばスパッタ法により、第2パッド電極膜15および第2接続電極膜81のベースとなる電極膜がコイル用絶縁膜79上に形成される。次に、第2パッド電極膜15および第2接続電極膜81に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、コイル用絶縁膜79上に形成された電極膜の不要な部分が除去される。これにより、第2パッド電極膜15および第2接続電極膜81がコイル用絶縁膜79上に形成される。その後、
図8C〜
図8Kの工程が順に実行されて、機能素子16としてコイルLが採用された構造のチップ部品1を製造できる。
【0065】
以上のように、第3実施例に係るチップ部品1は、コイルLを含むチップインダクタとして形成されている。これにより、円滑な外観検査に寄与できるチップインダクタを提供できる。
<第4実施例>
図15は、
図1に示すチップ部品1の第4実施例であって、機能素子16としてダイオードDが採用された場合の形態を示す模式的な縦断面図である。
図16は、
図15に示すXVI-XVI線に沿う横断面図である。
図15および
図16において、前述の実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0066】
図15および
図16を参照して、チップ部品1は、基板2の表層部に形成されたp型の第1不純物領域82と、第1不純物領域82の表層部に形成されたn型の複数の第2不純物領域83A,83Bとを含む。本実施形態では、基板2として、p型のシリコン基板が採用されており、p型の第1不純物領域82は、基板2の第1主面3側の表層部から基板2の第2主面4側の表層部に亘って一様に形成されている。
【0067】
複数の第2不純物領域83A,83Bは、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の対向方向の中央部に配置されており、かつ、当該対向方向の直交方向(つまり、基板2の短手方向)に沿って互いに間隔を空けて配置されている。複数の第2不純物領域83A,83Bには、第1パッド電極膜14に電気的に接続された第2不純物領域83Aと、第2パッド電極膜15に電気的に接続された第2不純物領域83Bとが含まれる。複数の第2不純物領域83Aおよび複数の第2不純物領域83Bは、基板2の短手方向に沿って交互に配列されている。
【0068】
複数の第2不純物領域83A,83Bは、いずれも第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の対向方向に沿って延びる平面視長方形状に形成されている。複数の第2不純物領域83A,83Bは、それぞれ、ほぼ同一の深さおよびほぼ同一の不純物濃度で形成されている。
本実施例に係る表面絶縁膜13は、複数の第2不純物領域83A,83Bを被覆するように基板2の第1主面3上に形成されている。表面絶縁膜13には、第2不純物領域83Aを露出させる第1コンタクト孔84と、第2不純物領域83Bを露出させる第2コンタクト孔85とが形成されている。
【0069】
本実施例に係るチップ部品1は、複数の第2不純物領域83Aを1つずつ被覆するように、第1パッド電極膜14から第2パッド電極膜15側に向けて帯状に引き出された複数の第1引き出し電極膜86と、複数の第2不純物領域83Bを1つずつ被覆するように、第2パッド電極膜15から第1パッド電極膜14側に向けて引き出された複数の第2引き出し電極膜87とを含む。第1パッド電極膜14の第1引き出し電極膜86および第2パッド電極膜15の第2引き出し電極膜87は、互いに噛合う櫛歯形状に形成されている。
【0070】
第1パッド電極膜14の各第1引き出し電極膜86は、表面絶縁膜13に形成された第1コンタクト孔84を介して第2不純物領域83Aに電気的に接続されている。また、第2パッド電極膜15の各第2引き出し電極膜87は、表面絶縁膜13に形成された第2コンタクト孔85を介して第2不純物領域83Bに電気的に接続されている。
本実施例に係るチップ部品1は、第1不純物領域82および第2不純物領域83A,83Bのpn接合部によって形成されたダイオードDを含む。より具体的には、ダイオードDは、基板2の短手方向に沿って形成された複数の双方向ツェナーダイオード要素Delを一体的に有する1つの双方向ツェナーダイオードである。双方向ツェナーダイオード要素Delは、基板2の短手方向に互いに隣り合って形成された第1ツェナーダイオードDZ1および第2ツェナーダイオードDZ2によって形成されている。
【0071】
第1ツェナーダイオードDZ1は、第1不純物領域82(基板2)および第2不純物領域83Aのpn接合部によって形成されている。第2ツェナーダイオードDZ2は、第1不純物領域82(基板2)および第2不純物領域83Bのpn接合部によって形成されている。第1ツェナーダイオードDZ1および第2ツェナーダイオードDZ2は、第1不純物領域82(基板2)を介して互いに電気的に接続されている。
【0072】
本実施例に係るチップ部品1は、前述の
図8Aの工程および
図8Bの工程において、ベース基板52を準備する工程、機能素子16を形成する工程、ならびに、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15を形成する工程を次のように変更することによって製造できる。
まず、
図8Aの工程において、p型のシリコンウエハからなるベース基板52が準備される。次に、イオン注入マスクを介してn型不純物がベース基板52の第1主面53側の表層部に選択的に注入される。n型不純物の注入後、イオン注入マスクは除去される。次に、熱処理によって、n型不純物が拡散される。これにより、複数の第2不純物領域83A,83Bが、ベース基板52の第1主面53側の表層部に形成される。
【0073】
次に、複数の第2不純物領域83A,83Bを被覆するように、表面絶縁膜13が形成される。次に、マスクを介するエッチングにより、表面絶縁膜13の不要な部分が除去されて、複数の第2不純物領域83A,83Bを露出させる第1コンタクト孔84および第2コンタクト孔85が形成される。
次に、たとえばスパッタ法により、第1パッド電極膜14、第2パッド電極膜15、複数の第1引き出し電極膜86および複数の第2引き出し電極膜87のベースとなる電極膜が表面絶縁膜13上に形成される。次に、第1パッド電極膜14、第2パッド電極膜15、複数の第1引き出し電極膜86および複数の第2引き出し電極膜87に対応するパターンで開口するマスクを介するエッチングにより、電極膜の不要な部分が除去される。これにより、第1パッド電極膜14、第2パッド電極膜15、複数の第1引き出し電極膜86および複数の第2引き出し電極膜87が表面絶縁膜13上に形成される。その後、
図8C〜
図8Kの工程が順に実行されて、機能素子16としてダイオードDが採用された構造のチップ部品1を製造できる。
【0074】
以上のように、第4実施例によれば、チップ部品1がダイオードDを含むチップダイオードとして形成されている。これにより、円滑な外観検査に寄与できるチップダイオードを提供できる。本実施例では、ダイオードDが双方向ツェナーダイオードである例について説明した。しかし、ダイオードDが第1ツェナーダイオードDZ1および第2ツェナーダイオードDZ2のいずれか一方だけを含む構造のチップ部品1が採用されてもよい。
【0075】
以上、第1実施例〜第4実施例では、機能素子16が、抵抗R、コンデンサC、コイルLまたはダイオードDからなる構造のチップ部品1について説明した。しかし、機能素子16が、抵抗R、コンデンサC、コイルLおよびダイオードDを含む群から選択される二種以上の素子を含み、当該二種以上の素子が共通の基板2に作り込まれた構造のチップ部品1が採用されてもよい。
【0076】
たとえば、抵抗R、コンデンサC、コイルLおよびダイオードDを含む群から選択される任意の二種以上の素子が、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間の基板2の第1主面3において、当該第1主面3に平行な方向に互いに隣り合うように形成されていてもよい。また、たとえば抵抗R、コンデンサC、コイルLおよびダイオードDを含む群から選択される任意の二種以上の素子が、第1パッド電極膜14および第2パッド電極膜15の間の基板2の第1主面3において、当該第1主面3の法線方向に積層配置された構造のチップ部品1が採用されてもよい。
<変形例>
次に、
図17を参照して、前述の光拡散反射構造6の変形例について説明する。
図17は、光拡散反射構造6の変形例を示す模式的な縦断面図である。
図17において、前述の実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0077】
前述の実施形態では、基板2の第2主面4が複数の凹部7によって粗面化されており、当該粗面化された第2主面4によって、光拡散反射構造6が形成されている例について説明した。これに対して、本変形例では、基板2の第2主面4を被覆する絶縁膜88が形成されており、当該絶縁膜88に形成された複数の凹部89によって、基板2の第2主面4に光拡散反射構造6が形成されている。絶縁膜88は、酸化膜(SiO
2膜)を含んでいてもよいし、窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。
【0078】
このような光拡散反射構造6は、前述の
図8Kの工程を次のような工程に変更することによって形成できる。まず、たとえばCVD法によって、複数の基板2の第2主面4を被覆する絶縁膜88が形成される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、絶縁膜88の不要な部分が選択的に除去されて、複数の凹部89が絶縁膜88に形成される。このようにして、基板2の第2主面4に光拡散反射構造6が形成される。
【0079】
本変形例では、絶縁膜88に複数の凹部89が形成される例について説明したが、たとえばCVD法によって、基板2の第2主面4に絶縁性の粒子(たとえばSiO
2粒子やSiN粒子)を付着させてもよい。基板2の第2主面4に複数の絶縁性の粒子を付着させることによって、当該基板2の第2主面4に複数の絶縁性の粒子によって微細な凹凸構造を形成できる。基板2の第2主面4に付着された絶縁性の粒子を含む微細な凹凸構造によって、基板2の第2主面4に光拡散反射構造6が形成される。
【0080】
前述の実施形態において、基板2は、半導体基板(シリコン基板)であってもよいし、ガラス(SiO
2)や樹脂(たとえばエポキシ樹脂)からなる絶縁性基板であってもよい。基板が絶縁性基板からなる場合、側壁絶縁膜および表面絶縁膜を除くことができる。基板2が半導体基板(シリコン基板)からなる場合、前述の絶縁膜10はシリコン酸化膜である。
【0081】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。