【実施例】
【0010】
図1〜
図6は、本発明の実施例に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、シリンダ10、ピストン及びカバー20を有して構成される。
【0011】
図5及び
図6に示したように、シリンダ10は、周壁11、端壁12及び隔壁13を有する。周壁11は、油室30の周面30aを有し、端壁12は、油室30の底面30bを有し、隔壁13は、シリンダ10と一体に成形されている(
図5及び
図6参照)。
図5及び
図6に示したように、油室30は、シャフト40の外周面40a、周壁11の内周面11a、端壁12の一面12a、カバー20の閉塞部21の一面21a及び隔壁13の側面13aで囲まれた空間である。油室30の中にはオイルが充填される。
【0012】
シリンダ10は、低強度材料から成る。低強度材料とは、カバー20の材料よりも引張り強さが低い材料という意味である。シリンダ10の材料としては、樹脂のように精密な成形が容易な材料が選択されることが好ましく、例えば、ポリアセタール、ポリアミド等のように軽量な樹脂を採用することが好ましい。
【0013】
ピストンは、オイルを加圧する役割を果たすものである。本実施例では、シャフト40と一体に成形されたベーン50がピストンとして機能するようになっている(
図6参照)。但し、シリンダ10がシャフト40を中心として回転する場合には、隔壁13がピストンとして機能し得る。
【0014】
本実施例に係るロータリーダンパは、油室30に配置されたベーン50がシャフト40と一緒に回転することによってオイルを加圧し、それにより油圧が発生するようになっている。そして、シャフト40の回転速度は、油圧抵抗によって減速される。所望の特性を得るために、ベーン50及び/又は隔壁13にバルブを設けても良いし、オリフィスを設けても良い。
【0015】
図5に示したように、カバー20は、閉塞部21、被覆部22及び固定部23を有して構成される。閉塞部21は、油室30の開口部を閉塞する部分である。油室30からのオイルの漏洩を防止するため、所定の位置にOリング60が設けられている(
図5参照)。被覆部22は、周壁11を覆う部分である。油圧の上昇による周壁11の膨張を防ぐために、被覆部22は、周壁11に密着していることが好ましい。また、被覆部22の高さは、周壁11の高さと同じかそれよりも高いことが好ましい。固定部23は、カバー20をシリンダ10に固定するために設けられる部分であり、端壁12に接している。本実施例では、固定部23が端壁12に接しているため、周壁11の大部分が被覆部22で覆われるようになっている(
図5及び
図6参照)。
【0016】
カバー20は、高強度材料から成る。高強度材料とは、シリンダ10の材料よりも引張り強さが高い材料という意味である。カバー20の材料としては、金属のように樹脂と比較して引張り強さが高い材料が選択されることが好ましいが、ガラス繊維を含有する樹脂のように、強化材が複合された樹脂を採用しても良い。
【0017】
カバー20は、切削加工されたものであっても良いが、製造コストの低減を図るために、プレス加工されたものであることが好ましい。プレス加工で成形されるカバー20の材料としては、アルミニウム合金等のように加工性及び強度が高い金属材料を選択することが好ましい。
【0018】
本実施例に係るロータリーダンパは、油室30の周囲が低強度材料から成る周壁11と高強度材料から成る被覆部22で構成される二重構造となっているので、油圧の上昇による周壁11の膨張は、被覆部22で効果的に抑制される。したがって、この構成によれば、大きな制動力を発生するロータリーダンパを提供することが可能になる。
【0019】
次に、本実施例に係るロータリーダンパの好ましい製造方法について説明する。
【0020】
好ましい製造方法では、凹部71を有する治具70が用いられる(
図7参照)。凹部71は、周壁11に被覆部22を密着させ得る内径d及び深さを有することが好ましい。好ましい形態では、凹部71の内径dは、カバー20の外径D(設計寸法)よりも0.05〜0.15mm大きい寸法に設定される(
図6及び
図7参照)。
【0021】
好ましい製造方法では、カバー20がプレス加工で成形される。この場合、カバー20の材料は、アルミニウム合金等の金属の薄板である。そのような材料を用いることによって、完成品の外径寸法の拡大を最小限に抑えることができる。
【0022】
一方、シリンダ10は、ポリアセタール、ポリアミド等の樹脂を材料として成形される。そのような材料を用いることによって、油室30等を精密に形成することができる。
【0023】
油室30にオイルを注入した後、油室30の開口部をカバー20の閉塞部21で閉塞する。次いで、シリンダ10及びカバー20を治具70の凹部71に装填する(
図8参照)。プレス加工で成形されたカバー20は、被覆部22がテーパー状になっているが、凹部71に装填されることによりテーパー角度がほぼ0°に修正され、その結果、被覆部22が周壁11に密着する。
【0024】
次いで、カバー20の端部24に外力を加えて、端部24を塑性変形させる(
図8及び
図9参照)。それにより、端壁12に接する固定部23が形成され、それにより、カバー20がシリンダ10に固定され、ロータリーダンパが完成する。