(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触補助部は、前記マーキングが前記被マーキング部材に施されるマーキング位置に対応する前記マーキングヘッドの上面の部分に設けられ前記上面からみて前記被マーキング部材の設置位置に向かって突出した突出部であることを特徴とする請求項1記載の電解マーキング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的に、フェルトの弾性係数は、マーキングヘッドおよび被マーキング部材の弾性係数よりも低い。そのため、マーキングを施す回数が多くなると、フェルトが潰れて変形することがある。フェルトが変形すると、被マーキング部材のうちで電解液と接触しない部分が生ずる。そのため、マーキングを施し始めた初期の状態と比較して、マーキングの色が薄くなったり、マーキングの境界がはっきりしなくなるという問題がある。つまり、マーキングを施す回数が多くなると、マーキングが不鮮明になるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる電解マーキング装置および電解マーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明によれば、電解液を用いて金属製の被マーキング部材にマーキングを施す電解マーキング装置であって、交流電圧を制御し供給する電源制御部と、前記電源制御部の一方の電極に電気的に接続され、前記電解液が前記被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドに載置され、前記電解液が浸み込むとともに前記電解液を保持し、前記マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部と、前記保液部の上に載置され、前記電解液が通過可能な領域が前記マーキングの形状に合わせて形成されたステンシルと、前記電源制御部の他方の電極に電気的に接続され、前記被マーキング部材を前記ステンシルに押し当てる金属製のマーキングコテと、
前記マーキングヘッドに嵌まり前記ステンシルを固定するネットベースと、を備え
、前記ステンシルは、前記マーキングヘッドと前記ネットベースとの間に挟まれて引っ張られた状態で固定され、前記保液部は、引っ張られた状態で固定された前記ステンシルと前記マーキングヘッドとの間に挟まれて保持されたことを特徴とする電解マーキング装置により解決される。
【0007】
前記構成によれば、被マーキング部材は、電解液が浸み込んだ保液部の上に載置されたステンシルの上に設置される。そして、交流電圧が電源制御部からマーキングヘッドおよびマーキングコテに供給され、被マーキング部材がマーキングコテによりステンシルに押し当てられる。そうすると、マーキングが被マーキング部材の所定のマーキング位置に施される。このとき、マーキングヘッドは、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有する。
また、保液部は、マーキングヘッドとネットベースとの間に挟まれて引っ張られた状態で固定されたステンシルと、マーキングヘッドと、の間に挟まれて保持されている。そのため、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部がマーキング回数の増加につれて変形した場合であっても、
マーキングヘッドの接触補助部と保液部とがマーキング位置において互いに離れることを抑えることができる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。すなわち、接触補助部は、マーキング回数の増加につれて変形する保液部に順応し、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する。これにより、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。
【0008】
好ましくは、前記接触補助部は、前記マーキングが前記被マーキング部材に施されるマーキング位置に対応する前記マーキングヘッドの上面の部分に設けられ前記上面からみて前記被マーキング部材の設置位置に向かって突出した突出部であることを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、マーキングヘッドの上面からみて被マーキング部材の設置位置に向かって突出した突出部が、マーキングヘッドの上面に設けられている。突出部が設けられた部分は、マーキングが被マーキング部材に施されるマーキング位置に対応する部分である。そのため、ステンシルを引っ張った状態で固定することができ、保液部が変形した場合であっても、マーキングヘッドの突出部と保液部とがマーキング位置において互いに離れることを抑えることができる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることをより確実に補助することができる。
【0010】
前記課題は、本発明によれば、電解液を用いて、カテーテルの基部シャフトである金属製の被マーキング部材にマーキングを施す電解マーキング装置であって、交流電圧を制御し供給する電源制御部と、前記電源制御部の一方の電極に電気的に接続され、前記電解液が前記被マーキング部材に触れることを補助するため、前記被マーキング部材の設置位置に向かって突出している接触補助部を有するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドに載置され、前記電解液が浸み込むとともに前記電解液を保持し、前記マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部と、前記保液部の上に載置され、前記電解液が通過可能な領域が前記マーキングの形状に合わせて形成されたステンシルと、前記電源制御部の他方の電極に電気的に接続され、前記被マーキング部材を前記ステンシルに押し当てる金属製のマーキングコテと、を備え、前記マーキングコテは、前記基部シャフトを周方向に回転できるように前記ステンシルに押し当てるためのコテヘッドと、液溜め容器の側部に当たることで前記マーキングコテの後方向への移動を規制する規制部と、2つの側板部と、を有し、前記マーキングコテの前記規制部と、前記液溜め容器の前記側部と、の間に隙間が存在するように構成し、前記マーキングコテは、側方への移動が規制された状態で、前記液溜め容器に対して前後方向に移動することができる構成とするたことを特徴とする電解マーキング装置により解決される。
前記構成によれば、カテーテルの基部シャフトである金属製の被マーキング部材は、電解液が浸み込んだ保液部の上に載置されたステンシルの上に設置される。そして、交流電圧が電源制御部からマーキングヘッドおよびマーキングコテに供給され、被マーキング部材がマーキングコテによりステンシルに押し当てられる。そうすると、マーキングが被マーキング部材の所定のマーキング位置に施される。このとき、マーキングヘッドは、電解液が被マーキング部材に触れることを補助するため被マーキング部材の設置位置に向かって突出している接触補助部を有する。そのため、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部がマーキング回数の増加につれて変形した場合であっても、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。すなわち、接触補助部は、マーキング回数の増加につれて変形する保液部に順応し、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する。これにより、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。
また、マーキングコテは、コテヘッドと、規制部と、2つの側板部と、を有する。コテヘッドは、カテーテルの基部シャフトを周方向に回転できるようにステンシルに押し当てる。規制部は、液溜め容器の側部に当たることでマーキングコテの後方向への移動を規制する。そして、マーキングコテの規制部と、液溜め容器の側部と、の間には、隙間が存在する。さらに、マーキングコテは、側方への移動が規制された状態で、液溜め容器に対して前後方向に移動することができる。これにより、マーキングコテの移動を規制し、コテヘッドがカテーテルの基部シャフトから外れることを抑えつつ、マーキングを基部シャフトの外周面に安定的に施すことができる。
好ましくは、前記ステンシルは、前記電解液が通過可能な網目を有するステンシル基材と、前記ステンシル基材において前記
マーキングが前記被マーキング部材に施されるマーキング位置に対応する部分を除く部分に設けられた絶縁性を有する樹脂と、を有することを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、ステンシルは、電解液が通過可能な網目を有するステンシル基材を有する。また、ステンシル基材においてマーキング位置に対応する部分を除く部分には、絶縁性を有する樹脂が設けられている。そのため、電解液は、絶縁性を有する樹脂が設けられていない網目の部分を通過する。また、交流電流は、絶縁性を有する樹脂が設けられていない網目の部分を流れる。そのため、絶縁性を有する樹脂が設けられていない網目の部分に対応する位置にマーキングが施される。そして、網目の粗さ(網目の開口面積)を適宜変更することにより、網目の部分を通過する電解液の量を制御することができ、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。
【0012】
好ましくは、前記マーキングコテの材料は、チタンを含むことを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、マーキングコテの材料がチタンを含むため、例えばマーキングコテの材料がステンレスや銅である場合と比較すると、マーキングコテの摩耗を抑えることができる。これにより、マーキングコテの耐久性が向上し、被マーキング部材と保液部との互いの圧着が不足することを回避できる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。
【0014】
前記課題は、本発明によれば、電解液を用いて金属製の被マーキング部材にマーキングを施す電解マーキング方法であって、前記電解液が通過可能な領域が前記マーキングの形状に合わせて形成されたステンシル
を、交流電圧を制御し供給する電源制御部の一方の電極に電気的に接続され前記電解液が前記被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドに嵌まり前記ステンシルを固定するネットベースと、の間に挟んで引っ張った状態で固定するとともに、前記マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部を、引っ張った状態で固定した前記ステンシルと、前記マーキングヘッドと、の間に挟んで保持し、前記ステンシルに前記被マーキング部材を載置する第1工程と、
前記マーキングヘッドと、前記電源制御部の他方の電極に電気的に接続された金属製のマーキングコテと、に対して
前記交流電圧を供給する第2工程と、
前記保液部に前記電解液を浸み込ませ保持する第3工程と、前記マーキングコテを用いて前記被マーキング部材を前記ステンシルに押し当てる第4工程と、を備えたことを特徴とする電解マーキング方法により解決される。
【0015】
前記構成によれば、第1工程において、
電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドと、マーキングヘッドに嵌まりステンシルを固定するネットベースと、の間にステンシルを挟んで引っ張った状態で固定する。また、第1工程において、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部を、引っ張った状態で固定したステンシルと、マーキングヘッドと、の間に挟んで保持し、ステンシルに
被マーキング部材を載置
する。続いて、第2工程において
、マーキングヘッドと、金属製のマーキングコテと、に対して交流電圧が供給される。続いて、第3工程において
、保液部に電解液が浸み込み保持される。そして、第4工程において、被マーキング部材がマーキングコテによりステンシルに押し当てられる。このように、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドを用いて、マーキングが被マーキング部材に施される。
このとき、保液部は、マーキングヘッドとネットベースとの間に挟まれて引っ張られた状態で固定されたステンシルと、マーキングヘッドと、の間に挟まれて保持されている。そのため、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部がマーキング回数の増加につれて変形した場合であっても、
マーキングヘッドの接触補助部と保液部とがマーキング位置において互いに離れることを抑えることができる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。すなわち、接触補助部は、マーキング回数の増加につれて変形する保液部に順応し、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する。これにより、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。
【0016】
好ましくは、前記被マーキング部材は、カテーテルに用いられるチューブ状のシャフトであることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、カテーテルに用いられるチューブ状のシャフトのように細い径の被マーキング部材であっても、マーキングが不鮮明になることを抑え、マーキングをシャフトの外周面に施すことができる。
前記課題は、本発明によれば、電解液を用いて、カテーテルの基部シャフトである金属製の被マーキング部材にマーキングを施す電解マーキング装置における電解マーキング方法であって、前記電解マーキング装置は、交流電圧を制御し供給する電源制御部と、前記電源制御部の一方の電極に電気的に接続され、前記電解液が前記被マーキング部材に触れることを補助するため、前記被マーキング部材の設置位置に向かって突出している接触補助部を有するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドに載置され、前記電解液が浸み込むとともに前記電解液を保持し、前記マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部と、前記保液部の上に載置され、前記電解液が通過可能な領域が前記マーキングの形状に合わせて形成されたステンシルと、前記電源制御部の他方の電極に電気的に接続され、前記被マーキング部材を前記ステンシルに押し当てる金属製のマーキングコテと、を備え、前記マーキングコテは、前記基部シャフトを周方向に回転できるように前記ステンシルに押し当てるためのコテヘッドと、液溜め容器の側部に当たることで前記マーキングコテの後方向への移動を規制する規制部と、2つの側板部と、を有し、前記マーキングコテの前記規制部と、前記液溜め容器の前記側部と、の間に隙間が存在するように構成し、前記マーキングコテは、側方への移動が規制された状態で、前記液溜め容器に対して前後方向に移動することができる構成とし、前記電解マーキング方法は、前記ステンシルに前記被マーキング部材を載置する第1工程と、前記マーキングヘッドと前記マーキングコテとに対して交流電圧を供給する第2工程と、前記保液部に前記電解液を浸み込ませ保持する第3工程と、前記マーキングコテを用いて前記被マーキング部材を前記ステンシルに押し当てる第4工程と、を備えたことを特徴とする電解マーキング方法により解決される。
前記構成によれば、第1工程において、カテーテルの基部シャフトである金属製の被マーキング部材がステンシルに載置される。続いて、第2工程において、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドと、金属製のマーキングコテと、に対して交流電圧が供給される。続いて、第3工程において、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部に電解液が浸み込み保持される。そして、第4工程において、被マーキング部材がマーキングコテによりステンシルに押し当てられる。このように、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有するマーキングヘッドを用いて、マーキングが被マーキング部材に施される。そのため、マーキングヘッドの弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部がマーキング回数の増加につれて変形した場合であっても、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。すなわち、接触補助部は、マーキング回数の増加につれて変形する保液部に順応し、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する。これにより、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。
また、マーキングコテは、コテヘッドと、規制部と、2つの側板部と、を有する。ここで、第4工程において、コテヘッドは、カテーテルの基部シャフトを周方向に回転できるようにステンシルに押し当てる。規制部は、液溜め容器の側部に当たることでマーキングコテの後方向への移動を規制する。そして、マーキングコテの規制部と、液溜め容器の前記側部と、の間には、隙間が存在する。さらに、マーキングコテは、側方への移動が規制された状態で、液溜め容器に対して前後方向に移動することができる。これにより、マーキングコテの移動を規制し、コテヘッドがカテーテルの基部シャフトから外れることを抑えつつ、マーキングを基部シャフトの外周面に安定的に施すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マーキングを施す回数が多くなった場合であっても、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる電解マーキング装置および電解マーキング方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電解マーキング装置を表す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電解マーキング装置を表す分解図である。
図3は、本実施形態に係る電解マーキング装置を表す組立図である。
なお、
図2および
図3では、説明の便宜上、電源制御部21およびマーキングコテ28を省略している。
【0022】
本実施形態に係る電解マーキング装置2は、電解液を用いて金属製の被マーキング部材にマーキングを施す。被マーキング部材は、金属材料により形成されていてもよいし、絶縁体の表面に通電性を有するメッキ等の表面処理が施された構造を有していてもよい。被マーキング部材の例については、
図9に関して後述する。電解マーキング装置2は、電源制御部21と、中央部ベース22と、液溜め容器23と、マーキングヘッド24と、陰極フレーム25と、保液部26と、ステンシル27と、マーキングコテ28と、導電性ネットベース29と、ポンプ31と、を備える。
【0023】
電源制御部21は、第1ケーブル211および陰極フレーム25を介してマーキングヘッド24に電気的に接続され、第2ケーブル212を介してマーキングコテ28に電気的に接続されている。電源制御部21は、交流電圧を制御し、マーキングヘッド24およびマーキングコテ28に交流電圧を供給する。つまり、電源制御部21は、マーキングヘッド24とマーキングコテ28との間に交流電圧を印加する。
【0024】
中央部ベース22は、液溜め容器23の下に設置され、液溜め容器23を支持する支持台として機能する。中央部ベース22の材料は、特には限定されない。中央部ベース22の材料としては、樹脂や金属などが挙げられ、具体的には、ポリアセタール(POM:polyacetal)などが挙げられる。
【0025】
液溜め容器23は、中央部ベース22の上に載置され、底部231と、底部231の周りを囲む側部232と、を有する。底部231および側部232で形成された空間部は、液溜め部233として電解液を溜めることができる。側部232には、2つの第1溝234と、第2溝235と、第3溝236と、が設けられている。
図1に表した電解マーキング装置2では、2つの第1溝234は、前方の側部232に設けられている。第2溝235は、2つの第1溝234の間に設けられており、具体的には、前方の側部232の略中央部に設けられている。第3溝236は、前方の側部232に対向した後方の側部232の略中央部に設けられている。液溜め容器23の材料は、特には限定されない。液溜め容器23の材料としては、樹脂や金属などが挙げられ、具体的には、光透過性を有するアクリル樹脂などが挙げられる。
【0026】
マーキングヘッド24は、液溜め容器23の上に載置されている。具体的には、液溜め容器23の底部231の上に載置され、液溜め部233の内部に設けられている。マーキングヘッド24は、第1ケーブル211および陰極フレーム25を介して電源制御部21の一方の電極に電気的に接続されている。また、マーキングヘッド24は、チューブ311を介してポンプ31に接続されている。
【0027】
マーキングヘッド24は、第1マーキングヘッド部241と、第2マーキングヘッド部242と、を有する。第2マーキングヘッド部242は、第1マーキングヘッド部241の上に載置され、第1マーキングヘッド部241に固定されている。第1マーキングヘッド部241の材料は、特には限定されない。第1マーキングヘッド部241の材料としては、樹脂や金属などが挙げられ、具体的には、アクリル樹脂などが挙げられる。第2マーキングヘッド部242の材料は、通電性を有していればよく、特には限定されない。第2マーキングヘッド部242の材料としては、例えば、通電性を有する樹脂や金属などが挙げられ、具体的には、グラファイトなどが挙げられる。
【0028】
陰極フレーム25は、枠形を呈し、マーキングヘッド24の第2マーキングヘッド部242に嵌まっている。陰極フレーム25は、第1ケーブル211を介して電源制御部21の一方の電極に電気的に接続され、電源制御部21から供給された交流電圧を第2マーキングヘッド部242に伝達する。陰極フレーム25の材料は、通電性を有していればよく、特には限定されない。陰極フレーム25の材料としては、例えば、ステンレスなどの金属が挙げられ、具体的には、SUS304などが挙げられる。
【0029】
保液部26は、マーキングヘッド24の上面243に載置され、フェルト261と、メッシュ262と、を有する。保液部26には、電解液が浸み込んでいる。保液部26は、保液部26に浸み込んだ電解液を保持する。具体的には、フェルト261は、マーキングヘッド24および被マーキング部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有し、マーキングヘッド24とメッシュ262との間に設けられている。フェルト261は、電解液を含んでいる。つまり、フェルト261には、電解液が浸み込んでいる。一方で、メッシュ262は、フェルト261の上に設けられ、電解液を溜めておく機能を有する。すなわち、メッシュ262は、フェルト261に浸み込んだ電解液を保持している。また、メッシュ262は、フェルト261の表面を均す機能を有する。
【0030】
ステンシル27は、保液部26の上に載置されている。ステンシル27には、保液部26に浸み込んだ電解液が通過可能な領域がマーキングの形状に合わせて形成されている。本実施形態のステンシル27について、図面を参照してさらに説明する。
【0031】
図4は、本実施形態のステンシルを表す平面図である。
本実施形態のステンシル27は、マーキング用の原版として用いられる。ステンシル27は、網目を有するステンシル基材271と、絶縁性を有する樹脂272と、を有する。ステンシル基材271は、電解液が通過可能な網目を有するメッシュである。樹脂272は、電気的な絶縁性を有し、ステンシル基材271に設けられている。
【0032】
保液部26に浸み込んだ電解液は、ステンシル基材271のうちで樹脂272が設けられていない部分(ステンシル基材271が露出した部分)を通過することができる。また、交流電圧がマーキングヘッド24とマーキングコテ28との間に印加されると、交流電流は、ステンシル基材271のうちで樹脂272が設けられていない部分を流れる。つまり、樹脂272は、ステンシル基材271において、マーキングが施される位置(マーキング位置)に対応する部分を除く部分に設けられている。すなわち、ステンシル基材271が露出した部分は、マーキング位置に対応する部分である。
【0033】
例えば、ステンシル基材271のメッシュ数は、約#180程度である。すなわち、1インチ(inch)内に含まれる糸は、約180本程度である。糸の径(線径)は、約47マイクロメートル(μm)程度である。隣り合う糸同士の間の幅(オープニング)は、約94μm程度である。開口率(オープニングエリア)は、約44パーセント(%)程度である。ステンシル基材271のメッシュの厚さ(紗厚)は、約76μm程度である。但し、ステンシル基材271のメッシュに関する値は、一例であり、これだけには限定されない。
【0034】
図1〜
図3に戻って説明すると、導電性ネットベース29は、枠形を呈し、ステンシル27を介してマーキングヘッド24の第2マーキングヘッド部242に嵌まる。具体的には、
図3に表したように、ステンシル27は、第2マーキングヘッド部242の側面と、導電性ネットベース29の内面と、の間に挟まれて固定される。そして、ステンシル27の端部273は、陰極フレーム25と、導電性ネットベース29と、の間から外側にはみ出した状態になる。これにより、保液部26は、マーキングヘッド24と、ステンシル27と、の間に挟まれて保持される。導電性ネットベース29の材料は、ステンシル27を固定できればよく、特に限定されないが、通電性を有することが好ましい。通電性を有する導電性ネットベース29の材料としては、樹脂や金属などが挙げられ、具体的には、通電性を有する塩化ビニルなどが挙げられる。
【0035】
図1に表したように、マーキングコテ28は、マーキングヘッド24とは別に設けられ、第2ケーブル212を介して電源制御部21の他方の電極に電気的に接続されている。マーキングコテ28は、コテヘッド部281と、側板部282と、上板部283と、規制部284と、把持部285と、を有する。コテヘッド部281は、コテヘッド部281の両側に設けられた側板部282を跨いで側板部282に固定されている。コテヘッド部281は、例えば平板により形成され、被マーキング部材をステンシル27に押し当てる主面を有する。上板部283は、コテヘッド部281を介して側板部282の一方の端部に固定されている。規制部284は、側板部282の他方の端部に固定され、コテヘッド部281の主面に対して略垂直方向に延びている。把持部285は、上板部283に固定されている。例えば作業者は、把持部285を把持することでマーキングコテ28を操作することができる。
【0036】
コテヘッド部281の長手方向の長さは、ステンシル27の長手方向の長さよりも長い。マーキングコテ28は、コテヘッド部281により、被マーキング部材をステンシル27に押し当てる。言い換えれば、被マーキング部材は、マーキングコテ28のコテヘッド部281によりステンシル27に押し当てられる。
【0037】
側板部282は、液溜め容器23に対して摺動自在に第1溝234に嵌まることが可能である。また、把持部285は、液溜め容器23に対して摺動自在に第3溝236に嵌まることが可能である。この詳細については、後述する。
【0038】
マーキングコテ28の材料は、チタンやステンレスなどを含む金属である。マーキングコテ28の材料がチタンを含む場合には、マーキングコテ28の摩耗を低減し、マーキングコテ28の耐久性を向上させることができる。これにより、マーキングコテ28と被マーキング部材との間の圧着の不足や、被マーキング部材の移動(例えば回転など)の不足を解消することができる。
【0039】
ポンプ31は、チューブ311を介してマーキングヘッド24の第1マーキングヘッド部241に接続されている。ポンプ31は、チューブ311を通してマーキングヘッド24の内部に電解液を供給する。チューブ311の一部は、液溜め容器23に形成された第2溝235に嵌まっている。
【0040】
図5は、本実施形態のマーキングヘッドを表す平面図である。
図5では、説明の便宜上、第2マーキングヘッド部242の一部を断面図で表している。
【0041】
第1マーキングヘッド部241は、チューブ311に接続される内部流路245を有する。内部流路245は、第1マーキングヘッド部241の内部に設けられ、チューブ311を介してポンプ31から供給された電解液を第2マーキングヘッド部242に導く。
【0042】
第2マーキングヘッド部242は、第1流路246と、第2流路247と、を有する。第1流路246は、第2マーキングヘッド部242の下面248に設けられ、第2マーキングヘッド部242の下面248および第2マーキングヘッド部242の上面243の法線方向(上下方向)に対して垂直な水平方向に延びている。第1流路246の一端は、第1マーキングヘッド部241に設けられた内部流路245に接続されている。第1流路246の他端は、第2流路247に接続されている。
【0043】
第2流路247は、第2マーキングヘッド部242の内部に設けられ、上下方向に延びている。第2流路247の一端は、第1流路246の他端に接続されている。第2流路247の他端は、マーキングヘッド24の突出部244の上面に接続されている。つまり、第2流路247は、マーキングヘッド24を上下方向に貫通している。
【0044】
チューブ311を介してポンプ31から供給された電解液は、内部流路245、第1流路246および第2流路247を通り、マーキングヘッド24に載置された保液部26に導かれる。保液部26に導かれた電解液は、フェルト261に浸み込み、突出部244の上面の全体に行きわたる。つまり、フェルト261は、電解液を吸収し、突出部244の上面の全体に分配する。フェルト261に浸み込んだ電解液は、メッシュ262に溜まる。
【0045】
電源制御部21がマーキングヘッド24およびマーキングコテ28に交流電圧を供給し、被マーキング部材がマーキングコテ28によりステンシル27に押し当てられると、交流電流が、マーキングヘッド24とマーキングコテ28との間を流れる。このとき、ステンシル27の樹脂272が絶縁性を有するため、交流電流は、ステンシル基材271のうちで樹脂272が設けられていない部分(ステンシル基材271が露出した部分)を流れる。
【0046】
被マーキング部材が陽極になると、被マーキング部材の表面の金属イオンは、ステンシル基材271が露出した部分を通して保液部26に浸み込んだ電解液に溶け出し、化学反応により例えば黒色などに変色する。電極の極性が切り替わり、被マーキング部材が陰極になると、電解液中で変色した金属イオンは、ステンシル基材271が露出した部分を通して被マーキング部材に戻り被膜を形成する。これにより、マーキングが金属製の被マーキング部材に施される。マーキング位置は、電解液がステンシル27を通過する部分に対応する被マーキング部材の部分、すなわちステンシル基材271が露出した部分に対応する被マーキング部材の部分である。
【0047】
ここで、
図1〜
図3に関して前述したように、保液部26のフェルト261は、マーキングヘッド24および被マーキング部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有する。そのため、マーキングを施す回数が多くなると、フェルト261が潰れて変形することがある。フェルト261が変形すると、被マーキング部材のうちで電解液と接触しない部分が生ずる。そのため、マーキングを施し始めた初期の状態と比較して、マーキングの色が薄くなったり、マーキングの境界がはっきりしなくなることがある。つまり、マーキングを施す回数が多くなると、マーキングが不鮮明になることがある。
【0048】
これに対して、本実施形態に係る電解マーキング装置2によれば、マーキングヘッド24は、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する接触補助部を有する。具体的には、マーキング位置に対応する上面243の部分に設けられた突出部(接触補助部)244を有する。突出部244は、本発明の接触補助部に相当する。突出部244は、上面243からみて被マーキング部材の設置位置に向かって突出している。すなわち、突出部244は、上面243からみて上方向に突出している。
【0049】
そのため、マーキングヘッド24および被マーキング部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有する保液部26のフェルト261がマーキング回数の増加につれて変形した場合であっても、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。すなわち、接触補助部は、マーキング回数の増加につれて変形する保液部26のフェルト261に順応し、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることを補助する。
【0050】
具体的に説明すると、突出部244がマーキング位置に対応するマーキングヘッド24の上面243の部分に設けられているため、導電性ネットベース29は、ステンシル27を引っ張った状態で固定することができる。言い換えれば、ステンシル27は、引っ張られた状態で、第2マーキングヘッド部242の側面と、導電性ネットベース29の内面と、の間に挟まれて固定される。そのため、保液部26のフェルト261が変形した場合であっても、マーキングヘッド24の突出部244と保液部26のフェルト261とがマーキング位置において互いに離れることを抑えることができる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑え、電解液が被マーキング部材に触れることをより確実に補助することができる。
【0051】
また、ステンシル基材271のメッシュ数が約#180程度である場合には、ステンシル基材のメッシュ数が例えば約#300程度である場合と比較すると、ステンシル基材271に対する電解液の通過性がより良い。そのため、電解液に溶け出す金属イオンの量が電解液の不足により低減することを抑えることができる。また、ステンシル基材271のメッシュ数を適宜変更することにより、ステンシル基材271の開口部を通過する電解液の量を制御することができ、マーキングが不鮮明になることを抑えることができる。なお、ステンシル基材271のメッシュ数を適宜変更することは、ステンシル基材271の網目の粗さ(網目の開口面積)を適宜変更することと等価である。
【0052】
さらに、マーキングコテ28の材料がチタンを含む場合には、例えばマーキングコテの材料がステンレスや銅である場合と比較すると、マーキングコテ28の摩耗を抑えることができる。これにより、マーキングコテ28の耐久性が向上し、被マーキング部材と保液部26との互いの圧着が不足することを回避できる。これにより、被マーキング部材と電解液との間に隙間が生ずることを抑えることができる。また、マーキングコテ28の重さを適宜調整し、所定の重さに設定することにより、マーキングコテ28と被マーキング部材との圧着性をより高めることができる。
【0053】
次に、本実施形態に係る電解マーキング装置2を用いて、被マーキング部材にマーキングを施す具体例について、図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る電解マーキング装置および治具を表す平面図である。
図7は、マーキングコテが被マーキング部材をステンシルに押し当てた状態を表す上面図である。
図8は、マーキングコテが被マーキング部材をステンシルに押し当てた状態を表す側面図である。
図9は、被マーキング部材を有する拡張カテーテルの具体例を表す平面図である。
【0054】
図6に表したように、本具体例では、電解マーキング装置2は、略中央に設けられている。電解マーキング装置2の両側には、被マーキング部材の所定の位置にマーキングを施すための治具5が設けられている。両側の治具5のそれぞれには、対向する他方の治具5に向かって延びる溝51が設けられている。被マーキング部材にマーキングを施す際には、被マーキング部材が溝51に設置される。これにより、被マーキング部材がステンシル27に載置される。両側の治具5のいずれか一方の溝51の端部には、ストッパ52が設けられている。被マーキング部材の端部をストッパ52に当てた状態で被マーキング部材を溝51に設置することで、被マーキング部材の所定の位置にマーキングが施される。
【0055】
さらに、両側の治具5のいずれか一方の溝51の端部に設けられるストッパ52は、磁性を帯びる磁性体から形成されている。そのため、被マーキング部材を溝51に設置した際、ストッパ52は、被マーキング部材の端部を引きつけて、被マーキング部材の端部をストッパ52に対して当接した状態に維持することができる。これにより、被マーキング部材に対するマーキング位置がずれることを防止し、被マーキング部材の所定の位置に確実にマーキングを施すことができる。
【0056】
本具体例の被マーキング部材は、
図9に表した拡張カテーテル4に用いられる。拡張カテーテル4は、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルであり、ガイドワイヤWに沿って血管内に挿入される。拡張カテーテル4は、チューブ状のシャフト本体40と、シャフト本体40の基端付近に取り付けられたハブ46と、ハブ46の先端部に取り付けられた耐キンクチューブ47と、シャフト本体40の先端部に設けられたバルーン42と、を備える。
【0057】
シャフト本体40は、基端側から先端側に向かって、基部シャフト45(被マーキング部材)と、中間部分(言い換えれば、先端シャフトの基端側部分)44と、先端シャフト43と、を有する。本具体例では、基部シャフト45は、被マーキング部材に相当し、例えば「ハイポチューブ」などと呼ばれる。
【0058】
ハブ46には、例えばインフレーターなどの圧力印加装置と接続できるようにルアーテーパが形成されている。ハブ46には、金属などの比較的高い剛性の材料により形成された基部シャフト45が流体連通可能に接合されている。基部シャフト45の材料としては、例えばステンレスなどが挙げられ、具体的には、SUS304、SUS304L、およびSUS302などが挙げられる。基部シャフト45には、血管形成術中に拡張カテーテル4がガイディングカテーテル(図示せず)に挿入された深度がどのくらいかを容易に確認できるように、深度マーカ(マーキング)451が設けられている。本具体例では、深度マーカ451は、被マーキング部材に施されるマーキングに相当する。
【0059】
耐キンクチューブ47は、基部シャフト45の基端付近であってハブ46の先端側に設けられている。耐キンクチューブ47は、基部シャフト45の外側に載置され、ハブ46の先端付近における基部シャフト45のキンク(折れ曲がり)を防止する。
【0060】
基部シャフト45の先端側には、中間部分44が流体連通可能に設けられている。中間部分44の先端側には、樹脂などの比較的低い剛性の材料により形成された先端シャフト43が流体連通可能に設けられている。先端シャフト43の先端側には、バルーン42の基端部が流体連通可能に設けられている。
【0061】
先端シャフト43およびバルーン42の内部には、内管シャフト41が設けられている。内管シャフト41は、先端シャフト43およびバルーン42の内部を同軸状に貫通している。内管シャフト41の先端部には、先端チップ411が設けられている。先端チップ411は、バルーン42の先端部よりも先端側に延びており、バルーン42の先端部と液密を保った状態で内管シャフト41およびバルーン42に接合されている。一方、内管シャフト41の基端部は、中間部分44と先端シャフト43との間に設けられたガイドワイヤ開口部441まで延びており、液密を保った状態で接合されている。内管シャフト41の先端と、ガイドワイヤ開口部441と、の間に延びる管腔がガイドワイヤ用ルーメンとなっている。ガイドワイヤWは、先端チップ411の先端開口を入口とし、ガイドワイヤ開口部441を出口として、内管シャフト41内に挿通される。バルーン42の内部に位置する内管シャフト41の周囲には造影マーカ421が設けられている。
【0062】
バルーン42は、ハブ46に取り付けられた圧力印加装置から印加される圧力により拡張する。具体的には、ハブ46に取り付けられた圧力印加装置が圧力を印加すると、圧力媒体は、ハブ46から基部シャフト45の内部、中間部分44の内部、および先端シャフト43と内管シャフト41との間の隙間を経てバルーン42に流れ、バルーン42を拡張させる。バルーン42は、拡張しない状態では、内管シャフト41の外周に折り畳まれた状態になっている。バルーン42は、拡張した状態では、中央部がほぼ円筒状になり血管の狭窄部を容易に拡張できる。また、造影マーカ421は、血管形成術中、X線透視下で狭窄部位に対するバルーン42の位置決めを容易にするために設けられている。
【0063】
図6に関して前述したように、被マーキング部材(本具体例では基部シャフト45)を溝51に設置すると、基部シャフト45は、ステンシル27に載置される。続いて、
図7および
図8に表したように、マーキングコテ28のコテヘッド部281を用いて基部シャフト45をステンシル27に押し当てる。
図7に表したように、マーキングコテ28の2つの側板部282同士の間隔D2は、マーキングヘッド24の長手方向(
図7では左右方向)の長さD1よりも長い。そのため、マーキングコテ28の2つの側板部282は、マーキングヘッド24の両側に位置することができる。これにより、作業者は、2つの側板部282を跨いで設けられたコテヘッド部281を用いて、基部シャフト45をステンシル27に押し当てることができる。
【0064】
このとき、マーキングコテ28の2つの側板部282のそれぞれが、液溜め容器23の2つの第1溝234のそれぞれに嵌まるように、マーキングコテ28を設置する。また、マーキングコテ28の把持部285が、液溜め容器23の第3溝236に嵌まるように、マーキングコテ28を設置する。さらに、マーキングコテ28の規制部284が、液溜め容器23の外側に位置するように、マーキングコテ28を設置する。つまり、
図8に表したように、マーキングコテ28の規制部284と、液溜め容器23の側部232と、の間には、寸法D3の隙間が存在している。これにより、マーキングコテ28は、側方への移動が規制された状態で、液溜め容器23に対して前後方向に移動することができる。
【0065】
続いて、作業者は、把持部285を把持してマーキングコテ28を前後方向に移動させる。具体的には、作業者は、コテヘッド部281を用いて基部シャフト45をステンシル27に押し当てながら周方向に動かし回転させる。これにより、深度マーカ451が基部シャフト45の外周面に施される。
【0066】
ここで、マーキングコテ28が後方向に移動すると、やがて規制部284が液溜め容器23の側部232に当たる。そうすると、マーキングコテ28は、後方向に移動することができない。このようにして、規制部284は、マーキングコテ28の後方向の移動を規制することができる。
【0067】
また、把持部285は、例えばねじなどの締結部材(規制部)286により上板部283に固定されている。ここで、マーキングコテ28が前方向に移動すると、やがて締結部材286がマーキングヘッド24の側面に当たる。そうすると、マーキングコテ28は、前方向に移動することができない。このようにして、締結部材286は、把持部285を上板部283に固定するとともに、マーキングコテ28の前方向の移動を規制することができる。すなわち、締結部材286は、側板部282の端部に設けられた規制部284と同様に、マーキングコテ28の移動を規制する規制部に相当する。
【0068】
本具体例によれば、マーキングコテ28の移動を規制し、コテヘッド部281が基部シャフト45から外れることを抑えつつ、深度マーカ451を基部シャフト45の外周面に安定的に施すことができる。
【0069】
図10は、基部シャフトに深度マーカを施す工程の具体例を表すフローチャートである。
基部シャフト45に深度マーカ451を施す際には、まず、拡張カテーテル4を組み立てる前のステップS11において、作業者は、基部シャフト45を
図6に表した治具5の溝51に設置する。これにより、基部シャフト45がステンシル27に載置される。このとき、作業者は、基部シャフト45の端部をストッパ52に当てる。
【0070】
続いて、ステップS12において、作業者は、フットスイッチなどの所定のスイッチを押す。すると、ステップS13において、電源制御部21がマーキングヘッド24およびマーキングコテ28に交流電圧を供給する。また、ステップS14において、ポンプ31がチューブ311を通してマーキングヘッド24の内部に電解液を供給する。これにより、電解液は、マーキングヘッド24の内部を流れ、マーキングヘッド24に載置された保液部26に浸み込むとともに保持される。
【0071】
続いて、ステップS15において、作業者は、電源制御部21がマーキングヘッド24およびマーキングコテ28に交流電圧を供給しているときに、マーキングコテ28を用いて基部シャフト45をステンシル27に押し当てながら周方向に動かし回転させる。これにより、
図9に表した基部シャフト45のように、深度マーカ451が基部シャフト45の外周面に施される。続いて、ステップS16において、作業者は、深度マーカ451が施された基部シャフト45を治具5の溝51から取り出す。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、電解マーキング装置2がマーキングを施す被マーキング部材は、拡張カテーテル4の基部シャフト45には限定されない。治具5を適宜変更することにより、電解マーキング装置2は、金属製の被マーキング部材にマーキングを施すことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。