特許第6792381号(P6792381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792381
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】回転伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/18 20060101AFI20201116BHJP
   F16H 1/04 20060101ALI20201116BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20201116BHJP
【FI】
   F16H55/18
   F16H1/04
   G05G5/03 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-171928(P2016-171928)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-35925(P2018-35925A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010062047(DE,A1)
【文献】 実公昭56−12659(JP,Y2)
【文献】 特開平11−141623(JP,A)
【文献】 特開2003−139221(JP,A)
【文献】 特開平10−54449(JP,A)
【文献】 特開2011−34329(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第3114170(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/18
F16H 1/04
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転伝達装置であって、
前記回転伝達装置が、
第1の歯車と、
第2の歯車と、
前記第1の歯車と前記第2の歯車との間で回転を伝達する回転伝達部と
を有し、
前記回転伝達部は、
連結部と、
前記連結部の一端に設けられ、前記第1の歯車と噛み合う第3の歯車と、
前記連結部の他端に設けられ、前記第2の歯車と噛み合う第4の歯車と、
前記連結部を傾動自在かつ回転自在に支持する支持部と、
前記第3の歯車が前記第1の歯車に押し付けられ、かつ前記第4の歯車が前記第2の歯車に押し付けられた状態になるように前記連結部を付勢する付勢部と
を有し、
前記第1の歯車と前記第3の歯車との第1の組み合わせと、前記第2歯車と前記第の歯車との第2の組み合わせと少なくとも一方の組み合わせは、平歯車の組み合わせであり、
前記回転伝達装置が、前記連結部を取り囲で収容する収容部を備えた支持体を有し、
前記支持部が、前記支持体に一体成形されており、
前記収容部の内周面が、前記連結部と離間しており、
前記付勢部が、前記連結部の外周面を押圧し、前記支持体に一体成形されており、
前記回転伝達部が、複数の前記付勢部を有し、
複数の前記付勢部が、前記第3の歯車を前記第1の歯車に押しつける方向に前記連結部を付勢する第1の付勢部を含み、
複数の前記付勢部が、互いに対向した第2の付勢部と第3の付勢部とを含み、
前記連結部が、前記第2の付勢部と前記第3の付勢部との間に位置し、
前記第2の付勢部と前記第1の付勢部と前記第3の付勢部とが順に、前記内周面に沿って90度の角度間隔で設けられており、
前記連結部が、前記第2の付勢部と前記第3の付勢部とを結ぶ方向において、前記内周面から離間している、
回転伝達装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記支持部と係合して軸方向への移動を規制する係合部を有する
請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記連結部に一体成形された板バネである
請求項に記載の回転伝達装置。
【請求項4】
前記連結部は、それぞれ個別に形成された前記第3の歯車と前記第4の歯車とを組み合わせて構成される
請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項5】
前記第1の歯車は、回転操作が行われる操作体と一体となって回転し、
前記第2の歯車は、モータによって回転駆動されて前記操作体に力覚回転動作を行う
請求項1に記載の回転伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車間で回転を伝達する回転伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作装置には、例えば、回転操作される操作体と一体的に回転する歯車と、モータ駆動される歯車とが駆動力伝達機構を介して連結されているものがある。
このとき、回転伝達装置を構成する歯車間のバックラッシュを少なくするために、はすば歯車を用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−234072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、はすば歯車は平歯車に比べて歯車間のバックラッシュの量が少ないという効果があるものの、金型を回転させながら上下に移動させて成型する必要があり、金型が高価であるとともに、歯車の製造時間(ショットサイクル)が長くなり部品費が高価になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、安価な平歯車を使用したバックラッシュの少ない回転伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の回転伝達装置は、第1の歯車と、第2の歯車と、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間で回転を伝達する回転伝達部とを有し、前記回転伝達部は、連結部と、前記連結部の一端に設けられ、前記第1の歯車と噛み合う第3の歯車と、前記連結部の他端に設けられ、前記第2の歯車と噛み合う第4の歯車と、前記連結部を傾動自在かつ回転自在に支持する支持部と、前記第3の歯車が前記第1の歯車に押し付けられ、かつ前記第4の歯車が前記第2の歯車に押し付けられた状態になるように前記連結部を付勢する付勢部とを有し、前記第1の歯車と前記第3の歯車との第1の組み合わせと、前記第2歯車と前記第3の歯車との第2の組み合わせと少なくとも一方の組み合わせは、平歯車の組み合わせである。
【0007】
この構成によれば、前記付勢部により、前記第3の歯車が前記第1の歯車に押し付けられ、かつ前記第4の歯車が前記第2の歯車に押し付けられた状態になるため、前記第1の歯車と前記第3の歯車との間、並びに前記第2の歯車と前記第4の歯車との間を所定以上の押圧力を持って噛合される。そのため、前記第1の歯車と前記第3の歯車との第1の組み合わせと、前記第2歯車と前記第3の歯車との第2の組み合わせと少なくとも一方の組み合わせを、平歯車の組み合わせにしても、バックラッシュを少なくでき、操作性を高めることができる。
【0008】
また、この構成によれば、前記支持部が前記連結部を傾動自在かつ回転自在に支持するため、前記第3の歯車及び前記第4の歯車を所定の位置に規制して支持でき、前記連結部を安定した姿勢で回転させることができる。
【0009】
好適には、本発明は、前記連結部を取り囲で収容する収容部を備えた支持体を有し、前記支持部は、前記支持体に一体成形されている。
【0010】
この構成によれば、前記支持部を前記支持体に一体成形することで、部品点数を少なくでき、製造コストを抑えることができる。
【0011】
好適には、本発明の前記収容部の内周面は、前記連結部と離間している。
【0012】
この構成によれば、前記収容部の内周面と前記連結部とが離間しているため、これらの間に摩擦力は生じない。そのため、操作性及び耐久性を高めることができる。
【0013】
好適には、本発明の前記付勢部は、前記連結部の外周面を押圧し、前記支持体に一体成形された板バネである。
【0014】
この構成によれば、前記付勢部を前記支持体に一体成形したとで、前記付勢部の機能を一つの部品で実現でき、部品点数を増やすことなく小型で組み立て性が良い。
【0015】
好適には、本発明は、複数の前記付勢部を有する。
【0016】
この構成によれば、前記連結部を複数の付勢部で囲んで付勢することで連結部の姿勢を安定させることができ、優れた操作感触を実現できる。
【0017】
好適には、本発明の前記連結部は、前記支持部と係合して軸方向への移動を規制する係合部を有する。
【0018】
この構成によれば、前記連結部の前記軸方向の暴れを防止できるので高い操作感触を得ることができる。
【0019】
好適には、本発明の前記係合部は、前記連結部に一体成形された板バネである。
【0020】
この構成によれば、前記支持体に前記連結部を一体成形するため、部品点数を増やさない。また、前記係合部を前記支持部の支持位置に移動する過程で、前記連結部が半径方向に撓むので組み立て性が良い。
【0021】
好適には、本発明の前記連結部は、それぞれ個別に形成された前記第3の歯車と前記第4の歯車とを組み合わせて構成される。
【0022】
この構成によれば、成型時にスライド金型部品を使用することなく成型できるので、金型費および部品費が安価とすることができる。
【0023】
好適には、本発明の前記第1の歯車は、回転操作が行われる操作体と一体となって回転し、前記第2の歯車は、モータによって回転駆動されて前記操作体に力覚回転動作を行う。
【0024】
この構成によれば、回転体が所定の回転位置になると、前記モータによって第2の歯車に力覚回転動作が駆動され、その動作が前記連結部を介して前記操作体に伝達される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、安価な平歯車を使用したバックラッシュの少ない回転伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施の形態の回転操作装置を示す外観斜視図である。
図2図2は、図1に示す回転操作装置の内部構造を説明するための外観斜視図である。
図3図3は、図2に示す回転部材を取り外した状態の内部構造を説明するための外観斜視図である。
図4図4は、図2に示す回転部材の外観斜視図である。
図5図5は、回転伝達部及びモータの外観斜視図である。
図6図6は、支持体、回転伝達部及びモータの分解斜視図である。
図7図7は、回転部材と回転伝達部との噛合状態を説明するための斜視図である。
図8図8は、支持体をZ1からZ2方向に見た外観斜視図である。
図9図9は、図3に示す断面線A−Aにおける断面図である。
図10図10は、回転伝達部が支持体30に装着された状態で傾斜している姿勢を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る回転伝達装置について説明する。
本実施形態では、当該回転伝達装置を力覚付回転操作装置に適用している。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態の回転操作装置1を示す外観斜視図である。
図1以下の各図では、Z1方向が上方、Z2方向が下方、Y1方向が前方、Y2方向が後方、X1方向が右方向、X2方向が左方向である。
図2は、図1に示す回転操作装置1の内部構造を説明するための外観斜視図である。図3は、図2に示す回転部材20を取り外した状態の内部構造を説明するための外観斜視図である。図4は、図2に示す回転部材20の外観斜視図である。
【0029】
図5は、回転伝達部40及びモータ60の外観斜視図である。図6は、支持体30、回転伝達部40及びモータ80の分解斜視図である。
図7は、回転部材20と回転伝達部40との噛合状態を説明するための斜視図である。図8は、支持体30をZ1からZ2方向に見た外観斜視図である。
【0030】
図1及び図2に示すように、回転操作装置1は、支持体10と、支持体10に固定されている支持体30と、支持体30に回転自在に支持されている回転部材20と、支持体30のZ1方向の端部において回転部材20に固定される操作体2とを有している。
【0031】
支持体10は合成樹脂材料で形成されたハウジングである。図1に示すように、支持体10のZ1側は化粧カバー18に覆われている。
【0032】
操作体2と回転部材20は回転基準線O1を中心として一体となって回転する。操作体2と回転部材20は、図示しない回転角度センサーによって、中立位置(N)からの回転角度が検出されるようになっている。
例えば、操作体2と回転部材20は、後述するモータ80から常に操作方向と逆向きに一定の回転負荷トルクを与えられており、中立位置(N)を中心として一方への角度+α毎に操作者がクリック感を感じる様に強い回転負荷トルクで力覚を付与されて回転操作される。同様に他方へも角度−α毎に操作者がクリック感を感じる様に強い回転負荷トルクで力覚を付与されて回転操作される。すなわち操作者は、中立位置(N)から±αの角度毎にクリック感という力覚を感じながら回転入力操作が可能となる。回転部材20が支持体30に装着されると、操作体2と回転部材20が、モータ80にギア連結された状態となり、力覚を伴って回転操作される。
【0033】
各図では省略されているが、支持体10の内部には回転部材20の回転角度によって電気出力を切替える電気的切替え手段が設けられている。例えば、回転部材20の回転角度センサーによる回転角度検出結果が入力され、その結果を基に判断して所定の電気出力を信号として出力する制御ICが図示しない回路基板上に実装されており、回転部材20が回転するときに、回転角度±α毎にICからの電気出力が切替わる回転入力装置として構成できる。
【0034】
図2に示すように、回転部材20は、図4に示す内周面20aを図3に示す支持体30の外周面30fに合わせて、回転基準線O1を中心として回転自在に支持体30に挿着されている。
このとき、図4に示す回転部材20の第1の平歯車(内歯車)20aが、図3に示す支持体30の開口部30aから突き出た第3の平歯車61と噛合している。
【0035】
具体的には、図3及び図8に示すように、支持体30の回転部材20を装着する外周面30fには周方向に沿って開口部30aが形成さている。
開口部30aからは、回転伝達部40の第3の平歯車61の一部が突き出て現れている。開口部30aから外側に突き出た第3の平歯車61は、図7に示すように、操作体2と一体となって回転する回転部材20の内周に形成された第1の平歯車20aと噛合する。
【0036】
これにより、操作者が指等で操作体2を回転操作して回転部材20が回転基準線O1を中心として回転すると、回転部材20の第1の平歯車20aと第3の平歯車61との噛合により、回転伝達部40が回転基準線O2を中心として回転する。
【0037】
以下、回転伝達部40の構成について詳細に説明する。
図6に示すように、回転伝達部40は、第1の回転部材65と第2の回転部材75とを組み合わせて構成される。
第1の回転部材65は、第3の平歯車61と、第3の平歯車61が一端に位置する円筒状の第1の連結部63とを有する。
第1の連結部63は、第3の平歯車61が設けられた側とは反対側の端部に開口部63aを有する。
【0038】
第2の回転部材75は、第4の平歯車71と、第4の平歯車71が一端に位置する円柱状の第2の連結部73とを有する。
図2図3及び図5に示すように、第2の連結部73は、第1の連結部63の図6に示す開口部63aから第1の連結部63内に収容される。
第2の連結部73が第1の連結部63内に収容された状態で、図5に示すように第2の連結部73の外周面に設けられたフック73aが、第1の連結部63の外周面の開口部63bに嵌め込まれて固定されている。第2の連結部73の外周面には対向する位置に2つのフック73aが設けられ、それぞれが第1の連結部63の外周面の対向する位置に設けられた開口部63bに嵌め込まれて固定されている。
【0039】
図2図3図5及び図6に示すように、回転伝達部40が支持体30に装着された状態で、図2に示すように第1の連結部63の外周面に設けられたフック形状の係合部63cが、支持体30の外周面の支持部30bに引っ掛けられている。第1の連結部63の外周面には対向する位置に2つの係合部63cが設けられ、それぞれが後述する支持体30に備えられた略円筒状の収容部30cのZ2側の端部で対向する支持部30bに引っ掛けられている。係合部63cは、第1の連結部63に一体成形されている。支持部30bは、支持体30に一体成形されている。
【0040】
係合部63cは、支持部30bと係合して、回転伝達部40の第2の回転基準線O2方向の移動を規制する。これにより、当該方向における回転伝達部40を暴れを抑制できる。
【0041】
図2及び図5に示すように、第2の回転部材75の第4の平歯車71は、モータ80によって駆動される第2の平歯車83と噛合している。
【0042】
図8に示すように、支持体30には、Z1−Z2方向に貫通した略円筒状の収容部30cが設けられている。収容部30cには、第1の回転部材65の第1の連結部63の一部が収容される。
収容部30cのZ2方向の端部はZ方向の高さが一定で周方向に連続している環状面であり、前述した第1の連結部63の係合部63cと対向した状態で係合する支持部30bとなっている。
また、収容部30cに対してZ1方向には、収容部30cと一体となって収容空間を形成し、第3の平歯車61を収容する収容空間30dが設けられている。
第3の平歯車61は、収容空間30dに収容された状態で、開口部30aを介して支持体30の外側に位置し、回転部材20の第1の平歯車20aと噛合する。
【0043】
支持体30の収容部30c内の開口部30aと対向する位置には付勢部30e1が設けられている。また、付勢部30e1の両側には、付勢部30e2,30e3が設けられている。
Z1からZ2方向に見て、開口部30a、付勢部30e1,30e2,30e3は、約90度の角度間隔で収容部30cの内周に沿って設けられている。
【0044】
付勢部30e1,30e2,30e3は、支持体30と一体的に形成された板バネである。
図9は、図3に示す断面線A−Aにおける断面図である。図10は、回転伝達部40が支持体30に装着された状態で傾斜している姿勢を説明するための図である。
【0045】
回転伝達部40が支持体30に装着され、第1の連結部63が収容部30c内に位置している状態で、付勢部30e1,30e2,30e3が第1の連結部63の外周面に当接し、且つ当該外周面を回転基準線O2に向けて押圧した状態になっている。
これにより、図10に示すように、回転伝達部40が支持部30bで支持された状態で、付勢部30e1,30e2,30e3による付勢力Fにより傾斜した状態になる。このように回転伝達部40が傾斜すると、第3の平歯車61が第1の平歯車20aに向けて押圧されると共に、第4の平歯車71が第2の平歯車83に向けて押圧される。
【0046】
これにより、第3の平歯車61と第1の平歯車20aとの間、並びに第4の平歯車71と第2の平歯車83との間で、互いのギアの根元同士が常に隙間が無くなるまで近づいて当接するように、ギア間ピッチが狭くなる方向に自調しながら噛合するため、ギア間のバックラッシュを抑えることができる。すなわち、はすば歯車に比べて安価な平歯車を用いても、バックラッシュを抑制できる。
【0047】
次に、回転操作装置1の動作について説明する。
操作者が指等で操作体2を操作して操作体2が回転基準線O1を中心に回転すると、操作体2と一体となって回転部材20が回転する。
回転部材20の回転に連動して、図7に示すように回転部材20の内周に設けられた第1の平歯車20aと噛合する図5に示す回転伝達部40の第3の平歯車61が回転基準線O2を中心に回転する。
【0048】
これにより、第1の回転部材65が回転し、それと一体となって第2の回転部材75が回転する。
第1の回転部材65及び第2の回転部材75が所定の回転位置に達すると、前述した制御ICに回転角度センサーからの回転角度検出結果が入力され、これを基に判断した電気信号が出力される。
【0049】
上記電気信号が出力されると、例えば、モータ80の第2の平歯車83が駆動され、第2の平歯車83が力覚用の回転動作をする。
そして、当該回転動作が、第2の平歯車83と噛合する第4の平歯車71に伝達され、回転伝達部40が回転し、第1の平歯車20aを介して操作体2に所望する力覚用の回転動作が伝達される。
【0050】
モータ80は、操作体2に対する力覚として常に一定の回転負荷を付与するため、操作体2の回転操作方向とは逆方向に作用する一定の回転負荷トルクを操作体2に伝達している。
そして、操作体2ならびに回転部材20の中立位置(N)を中心とした回転操作角度(±α)毎に制御ICより所定の電気信号が出力され、前記回転操作角度(±α)毎に操作者が節度感として認識できる力覚用の回転動作がモータ80から操作体2に伝達される。
【0051】
このとき、図9及び図10に示すように、付勢部30e1,30e2,30e3が第1の連結部63の外周面のうち支持部30bに対してZ1側に位置する外周面に当接し、且つ当該外周面を回転基準線O2に向けて押圧していることで、回転伝達部40が回転基準線O2に対して傾斜している。そのため、第3の平歯車61が第1の平歯車20aに向けて押圧されると共に、第4の平歯車71が第2の平歯車83に向けて押圧されている。
これにより、第3の平歯車61と第1の平歯車20aとの間、並びに第4の平歯車71と第2の平歯車83との間で、互いのギアの根元同士が常に隙間が無くなるまで近づいて当接するように、ギア間ピッチが狭くなる方向に自調しながら噛合し、ギア間のバックラッシュなしに回転が伝達される。
【0052】
以上説明したように、回転操作装置1によれば、支持体30の支持部30bにおいて回転伝達部40の係合部63cを支持しながら、係合部63cに対してZ1側にて回転伝達部40を付勢部30e1,30e2,30e3によって回転基準線O2に向けて付勢するため、図10に示すように、回転伝達部40を傾斜できる。これにより、第3の平歯車61と第1の平歯車20aとの間、並びに第4の平歯車71と第2の平歯車83との間で、互いのギアの根元同士が常に隙間が無くなるまで近づいて当接するように、ギア間ピッチが狭くなる方向に自調しながら噛合するため、ギア間のバックラッシュなしに回転でき、高い操作感覚を実現できる。
すなわち、回転操作装置1では、回転伝達部40を、ある程度ガタを持たせて、一方向から押さえつけて、回転基準線O2に中心を合わせることができる。
【0053】
また、回転操作装置1によれば、支持部30bが回転伝達部40を傾動自在かつ回転自在に支持するため、第3の平歯車61及び第4の平歯車71を所定の位置に規制して支持でき、回転伝達部40を安定した姿勢で回転させることができる。
【0054】
また、回転操作装置1では、支持部30bを支持体30に一体成形することで、部品点数を少なくでき、製造コストを抑えることができる。
【0055】
また、回転操作装置1では、図8に示す支持体30の収容部30cに回転伝達部40を収容した状態で、収容部30cの内周面は回転伝達部40の第1の連結部63と離間している。
この構成によれば、収容部30cの内周面と第1の連結部63との間に摩擦力は生じない。そのため、操作性及び耐久性を高めることができる。
【0056】
また、回転操作装置1では、付勢部30e1,30e2,30e3は、第1の連結部63の外周面を押圧し、支持体30に一体成形された板バネである。
この構成によれば、付勢部30e1,30e2,30e3を支持体30に一体成形したとで、部品点数を増やすことなく小型で組み立て性が良い。
また、複数の付勢部30e1,30e2,30e3で第1の連結部63を囲んで付勢することで、回転伝達部40の姿勢を安定させることができ、優れた操作感触を実現できる。
【0057】
また、回転操作装置1では、回転伝達部40の係合部63cは、支持部30bと係合して、回転伝達部40の第2の回転基準線O2方向の移動を規制する。これにより、当該方向における回転伝達部40を暴れを抑制できる。
【0058】
また、回転操作装置1では、係合部63cは第1の連結部63に一体成形された板バネであるため、部品点数を増やさない。また、係合部63cを支持部30bの支持位置に移動する過程で、第1の連結部63が半径方向に撓むので組み立て性が良い。
【0059】
また、回転操作装置1では、第3の平歯車61を備える第1の回転部材65と、第4の平歯車71を備える第2の回転部材75とをそれぞれ個別に設け、これらを組み合わせて回転伝達部40を構成している。そのため、回転伝達部40の成型時にスライド金型部品を使用することなく成型できるので、金型費および部品費が安価とすることができる。
【0060】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、第3の平歯車61がモータ80で回転駆動される第2の平歯車83に噛合している場合を例示したが、モータ駆動されない歯車に噛合してもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、第1の平歯車20aと第3の平歯車61との組み合わせと、第4の平歯車71と第2の平歯車83との組み合わせとの双方の組み合わせが、平歯車の組み合わせの場合を例示したが、いずれか一方のみが平歯車の組み合わせでもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、3つの付勢部30e1,30e2,30e3を設けた場合を例示したが、3つ以外の数の付勢部を設けてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、第1の回転部材65と第2の回転部材75とを別個に形成して組み合わせて回転伝達部40を構成した場合を例示したが、第3の平歯車61と第4の平歯車71とを一体として備えるように回転伝達部40を形成してもよい。
また、操作体2の回転角度±α毎に節度感を発生するようにモータ80の力覚回転動作を行ったが、これ以外の力覚回転動作を行っても良い。例えば、操作体2の回転角度βを検出すると、それ以上同じ方向に回転ができないようにモータ80で強い回転負荷を発生して規制をかけるように力覚回転動作を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、歯車を用いて回転を伝達する回転伝達装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…回転操作装置
2…操作体
10…支持体
18…化粧ケース
20…回転部材
20a…第1の平歯車
30…支持体
30a…開口部30a
30b…支持部
30c…収容部
30d…収容空間
30e1,30e2,30e3…付勢部
30f…外周面
61…第3の平歯車
63…第1の連結部
63a…開口部
63b…開口部
63c…係合部
65…第1の回転部材
71…第4の平歯車
73…第2の連結部
73a…フック
75…第2の回転部材
80…モータ
83…第2の平歯車

図1
図2
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