特許第6792382号(P6792382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792382ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、及び画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792382
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/22 20060101AFI20201116BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201116BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20201116BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20201116BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C09J123/22
   C09J11/06
   C09J7/38
   C09J7/22
   G02B5/30
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-172710(P2016-172710)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-39863(P2018-39863A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 良平
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−066074(JP,A)
【文献】 特開2014−019777(JP,A)
【文献】 特開2013−022920(JP,A)
【文献】 特開2016−038580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
G02F 1/1335
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系ベースポリマーを含むゴム系粘着剤組成物であって、
前記ゴム系ベースポリマーが、重量平均分子量が100万以上であって、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が3以下のイソブチレン系ポリマーを含み、
前記ゴム系粘着剤組成物から形成した厚み50μmのゴム系粘着剤層の、40℃、92%R.H.における透湿度が、50g/(m・day)以下であることを特徴とするゴム系粘着剤組成物。
【請求項2】
粘着付与剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム系粘着剤組成物。
【請求項3】
前記粘着付与剤が、テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤、及びこれらの水添物からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与剤であることを特徴とする請求項2に記載のゴム系粘着剤組成物。
【請求項4】
前記粘着付与剤の軟化点が、90℃以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載のゴム系粘着剤組成物。
【請求項5】
水素引抜型光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム系粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゴム系粘着剤組成物から形成されたことを特徴とするゴム系粘着剤層。
【請求項7】
プラスチック基材からなる支持体、及び当該支持体の少なくとも片面に、請求項6に記載のゴム系粘着剤層を有することを特徴とする粘着フィルム。
【請求項8】
光学フィルム、及び当該光学フィルムの少なくとも片面に、請求項6に記載のゴム系粘着剤層を有することを特徴とするゴム系粘着剤層付光学フィルム。
【請求項9】
前記光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを有する偏光フィルムであることを特徴とする請求項8に記載のゴム系粘着剤層付光学フィルム。
【請求項10】
前記偏光フィルムが、偏光子の片面のみに保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムであって、
前記ゴム系粘着剤層、偏光子、保護フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする請求項9に記載のゴム系粘着剤層付光学フィルム。
【請求項11】
前記ゴム系粘着剤層付光学フィルムが、さらに位相差フィルムを含み、
前記ゴム系粘着剤層、位相差フィルム、偏光子、保護フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする請求項10に記載のゴム系粘着剤層付光学フィルム。
【請求項12】
40℃、92%R.H.における透湿度が、1g/(m・day)以下であるフィルム、及び当該フィルムの少なくとも片面に、請求項6に記載のゴム系粘着剤層を有することを特徴とする光学部材。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれかに記載のゴム系粘着剤層付光学フィルム、又は請求項12に記載の光学部材を少なくとも1枚含むことを特徴とする画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系粘着剤組成物、当該ゴム系粘着剤組成物から形成されたゴム系粘着剤層に関する。また、本発明は、光学フィルムに前記ゴム系粘着剤層を設けたゴム系粘着剤層付光学フィルム、及び低透湿フィルムに前記ゴム系粘着剤層を設けた光学部材に関する。また、本発明は、前記ゴム系粘着剤層を含む粘着フィルムに関する。さらに、本発明は、前記粘着剤層付光学フィルム及び/又は光学部材を含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の画像表示装置においては、軽量化、薄型化の要求が強く、画像表示装置において使用される偏光フィルム等の各種光学部材に対しても、薄型化、軽量化することが要望されている。
【0003】
例えば、偏光フィルムとして、偏光子の片面のみに保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムが知られている。このような片面保護偏光フィルムは薄型化、軽量化することができるものの、偏光子の片面が保護フィルムにより保護されていないため、水分等により劣化しやすいといった問題があった。また、両面保護偏光フィルムであっても、保護フィルムが薄膜化されている場合には、同様に偏光子が水分等により劣化する場合があった。
【0004】
また、有機EL(Electro Luminescence)表示装置に搭載された有機ELパネルは、大気中の水分や酸素に非常に弱いため、通常、有機ELパネル表面にはバリア層やバリア機能を持つ光学用フィルムが設けられており、これらを貼り合せるための粘着剤層にも水分等を透過させないこと(低透湿性)が求められている。
【0005】
このように画像表示装置に用いられる各種光学部材は、その素材によっては水分等により劣化しやすいものであり、当該光学部材を被着体に貼り合せるための粘着剤層には、水分等を透過させないこと(低透湿性)が要求されていた。
【0006】
このような低透湿の粘着剤層を形成する材料としては、ゴム系粘着剤が知られており、例えば、水素添加環状オレフィン系ポリマー及び重量平均分子量が50万以上のポリイソブチレン樹脂を含む接着性封入用組成物(例えば、特許文献1参照)、重量平均分子量27万〜48万のポリイソブチレン系樹脂と重量平均分子量10万〜25万のポリイソブチレン樹脂、及び軟化点90〜135℃の水素化石油樹脂を含む粘着組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−524705号公報
【特許文献2】特許第5416316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゴム系粘着剤を用いると粘着剤層の低透湿化をすることができるが、従来の光学用途に使用されてきたアクリル系粘着剤に比べて、高温環境下における剥がれや発泡が悪化する場合があった。このような剥がれや発泡等の不具合は、ゴム系粘着剤層の接着界面近傍の凝集力不足に起因するものである。この接着界面近傍の凝集力不足は、ゴム系粘着剤に含まれる分子量が小さく絡み合いの少ないゴム系ポリマーが粘着剤層の界面近傍に多く存在し、凝集力が低い層(脆弱層)が発生することに起因することが分かった。
【0009】
特許文献1、2では、ゴム系ポリマーに粘着付与剤等の添加剤を添加することによって各種課題の改善を試みているものの、そもそもの原因であるゴム系ポリマー自身の改善を行っていないものであり、耐久性の観点では十分なものではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、低透湿性であって、高温環境下においても浮きや剥がれ等の不具合の発生を抑制できる高い耐久性を有するゴム系粘着剤層を形成することができるゴム系粘着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該粘着剤組成物から形成されたゴム系粘着剤層、当該ゴム系粘着剤層が設けられた粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ゴム系粘着剤層付光学フィルム及び/又は光学部材を含む画像表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記ゴム系粘着剤組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ゴム系ベースポリマーを含むゴム系粘着剤組成物であって、
前記ゴム系ベースポリマーが、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が4以下のイソブチレン系ポリマーを含み、
前記ゴム系粘着剤組成物から形成した厚み50μmのゴム系粘着剤層の、40℃、92%R.H.における透湿度が、50g/(m・day)以下であることを特徴とするゴム系粘着剤組成物に関する。
【0013】
前記ゴム系粘着剤組成物が、粘着付与剤を含むことが好ましい。
【0014】
前記粘着付与剤が、テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤、及びこれらの水添物からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与剤であることが好ましい。
【0015】
前記粘着付与剤の軟化点が、90℃以上であることが好ましい。
【0016】
前記ゴム系粘着剤組成物が、水素引抜型光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0017】
本発明は、前記ゴム系粘着剤組成物から形成されたことを特徴とするゴム系粘着剤層に関する。
【0018】
本発明は、プラスチック基材からなる支持体、及び当該支持体の少なくとも片面に、前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とする粘着フィルムに関する。
【0019】
本発明は、光学フィルム、及び当該光学フィルムの少なくとも片面に、前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とするゴム系粘着剤層付光学フィルムに関する。
【0020】
前記光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを有する偏光フィルムであることが好ましい。
【0021】
前記偏光フィルムが、偏光子の片面のみに保護フィルムを有する片面保護偏光フィルムであって、前記ゴム系粘着剤層、偏光子、保護フィルムが、この順に積層されていることが好ましい。また、前記ゴム系粘着剤層付光学フィルムが、さらに位相差フィルムを含み、前記ゴム系粘着剤層、位相差フィルム、偏光子、保護フィルムが、この順に積層されていることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、40℃、92%R.H.における透湿度が、1g/(m・day)以下であるフィルム、及び当該フィルムの少なくとも片面に、前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とする光学部材に関する。
【0023】
さらに、本発明は、前記ゴム系粘着剤層付光学フィルム、又は前記光学部材を少なくとも1枚含むことを特徴とする画像表示装置に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のゴム系粘着剤組成物は、低分子量の少ないゴム系ポリマー、つまり多分散度(Mw/Mn)が小さいポリマーを用いることにより、低透湿性を保ちながら、高温環境下においても不具合(浮きや剥がれ等)の発生を抑制することができる(高い耐久性を有する)ゴム系粘着剤層を提供することができる。
【0025】
また、本発明は、高温環境下の耐久性に優れ、低透湿性に優れたゴム系粘着剤層付光学フィルムや光学部材や粘着フィルム、光学信頼に優れた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態である粘着剤層付偏光フィルムを模式的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態である粘着剤層付偏光フィルムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.ゴム系粘着剤組成物
本発明のゴム系粘着剤組成物は、ゴム系ベースポリマーを含み、
前記ゴム系ベースポリマーが、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が4以下のイソブチレン系ポリマーを含み、
前記ゴム系粘着剤組成物から形成した厚み50μmのゴム系粘着剤層の、40℃、92%R.H.における透湿度が、50g/(m・day)以下であることを特徴とする。
【0028】
(1)ゴム系ベースポリマー
本発明で用いるゴム系ベースポリマーは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーであり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が4以下のイソブチレン系ポリマーを含む。
【0029】
前記イソブチレン系ポリマーとしては、イソブチレンを構成単量体として含むものを挙げることができる。前記イソブチレン系ポリマーとしては、イソブチレンのホモポリマー(ポリイソブチレン、PIB)であってもよく、イソブチレンを主モノマーとするコポリマー(すなわち、イソブチレンが50モル%を超える割合で共重合されたコポリマー)であってもよい。このようなコポリマーとしては、例えば、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等を挙げることができる。これらの中でも、主鎖の中に二重結合を含まず耐候性に優れる点から、ポリイソブチレン(PIB)が好ましい。
【0030】
イソブチレン系ポリマーの多分散度は、イソブチレン系ポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)により算出することができる。本発明においては、イソブチレン系ポリマーの多分散度(Mw/Mn)が4以下であり、3.5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。多分散度の下限値は、特に限定されるものではなく、1以上であればよい。本発明においては、イソブチレン系ポリマーの多分散度が4以下であることにより、ゴム系粘着剤組成物から得られるゴム系粘着剤層の耐久性が良好になるものである。これは、多分散度が4以下であるイソブチレン系ポリマーを用いることにより、ゴム系粘着剤組成物中に低分子量成分が少なくなり、当該粘着剤組成物から形成されたゴム系粘着剤層中に低分子量成分から形成される脆弱層が形成されることを抑制することができるためと考えられる。
【0031】
前記多分散度が4以下のイソブチレン系ポリマーとしては、例えば、BASF社製のOPPANOL Nシリーズ等の市販品を用いることができ、具体的には、BASF社製のOPPANOL N50(Mw/Mn:2.3)、OPPANOL N80(Mw/Mn:2.4)、OPPANOL N100(Mw/Mn:2.9)等を挙げることができる。
【0032】
前記イソブチレン系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、50万以上であることが好ましく、55万以上であることが好ましく、70万以上であることがより好ましく、100万以上であることがさらに好ましい。また、重量平均分子量の上限値は特に限定されるものではないが、500万以下が好ましく、300万以下がより好ましく、200万以下がさらに好ましい。イソブチレン系ポリマーの重量平均分子量を50万以上とすることで高温保管時の耐久性がより優れる粘着剤組成物とすることができる傾向にあるため、好ましい。
【0033】
前記イソブチレン系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、20万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましく、40万以上であることがさらに好ましい。また、数平均分子量の上限値は特に限定されるものではないが、300万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、70万以下がさらに好ましい。イソブチレン系ポリマーの数平均分子量を20万以上とすることでポリマーの凝集力が向上し、高温保管時の剥がれ等の不具合を抑制することができるため好ましい。
【0034】
前記ゴム系ベースポリマーにおける、イソブチレン系ポリマーの含有量は、ゴム系ベースポリマー中、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%(すなわち、ゴム系ベースポリマーが、多分散度が4以下のイソブチレン系ポリマーのみからなる)が特に好ましい。また、上限値としては特に限定されるものではなく、例えば、100重量%以下であればよい。
【0035】
また、本発明のゴム系粘着剤組成物においては、前記イソブチレン系ポリマー以外のゴム系ポリマーを含むこともできる。具体的には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のスチレン系ブロックコポリマー等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、EPR(二元系エチレン−プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができるが、前記ゴム系ベースポリマー中、40重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましく、含まなくてもよい(すなわち0重量%)。
【0036】
前記ゴム系ベースポリマーの含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム系粘着剤組成物の全固形分中、40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。ゴム系ベースポリマーの含有量の上限は特に限定されるものではなく、100重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。
【0037】
前記ゴム系粘着剤組成物から形成した厚み50μmのゴム系粘着剤層の透湿度は、50g/(m・day)以下であり、30g/(m・day)以下が好ましく、20g/(m・day)以下がより好ましく、15g/(m・day)以下がさらに好ましい。また、透湿度の下限値は特に限定されるものではないが、理想的には、水蒸気を全く透過させないこと(すなわち、0g/(m・day))が好ましい。ゴム系粘着剤層の透湿度が前記範囲であれば、当該粘着層を偏光フィルム等の光学フィルムに適用した場合に、光学フィルムに水分が移行することを抑制することができ、光学フィルムの水分による劣化等を抑制することができるため好ましい。前記透湿度は、ゴム系粘着剤層の厚み50μmにおける40℃、92%R.H.条件下での水蒸気透過率(透湿度)であって、その測定方法は実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
(2)粘着付与剤
本発明のゴム系粘着剤組成物には、粘着付与剤を添加することができる。粘着付与剤としては、テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤、及びこれらの水添物からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与剤を含むことができる。ゴム系粘着剤組成物に粘着付与剤を含むことで、各種被着体に対して高い接着性を有し、かつ、高温環境下においても高い耐久性を有するゴム系粘着剤層を形成することができるため、好ましい。
【0039】
前記テルペン骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン重合体や、前記テルペン重合体を変性(フェノール変性、スチレン変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂(水素化テルペン樹脂)等が含まれる。ここでいう水素添加テルペン樹脂の例には、テルペン重合体の水素化物及び他の変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が含まれる。これらの中でも、ゴム系粘着剤組成物への相溶性や粘着特性の観点から、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が好ましい。
【0040】
前記ロジン骨格を含む粘着付与剤としては、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、ロジンフェノール樹脂等が挙げられ、具体的には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン)や、これらを水添化、不均化、重合、その他の化学的に修飾された変性ロジン、これらの誘導体を使用することができる。
【0041】
前記粘着付与剤としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製のクリアロンシリーズ、ポリスターシリーズ、荒川化学工業(株)製のスーパーエステルシリーズ、ペンセルシリーズ、パインクリスタルシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0042】
前記粘着付与剤が水素添加物である場合、水素添加は、部分的に水素添加されている部分水素添加物であってもよく、化合物中の全ての二重結合に水素添加がされている完全水素添加物であってもよい。本発明においては、粘着特性、耐候性や色相の観点から完全水素添加物であることが好ましい。
【0043】
前記粘着付与剤が、シクロヘキサノール骨格を含むことが粘着特性の観点から好ましい。これは詳細な原理は不明であるが、フェノール骨格よりシクロヘキサノール骨格の方が、ベースポリマーであるイソブチレン系ポリマーとの相溶性のバランスがとれるためと考えられる。シクロヘキサノール骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の水添物が好ましく、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の完全水素添加物がより好ましい。
【0044】
前記粘着付与剤の軟化点(軟化温度)は、特に限定されないが、例えば、90℃以上程度であることが好ましく、100℃以上程度であることがより好ましい。粘着付与剤の軟化点が90℃以上であることで、高温においても粘着付与剤が軟化せずに粘着特性を保つことができるため好ましい。粘着付与剤の軟化点の上限値は、特に限定されないが、軟化点が高くなり過ぎると、分子量がより高くなり、相溶性が悪化し、白化等の不具合を生じてしまう場合があるため、例えば、200℃以下程度であることが好ましく、180℃以下程度であることが好ましい。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K5902及びJIS K2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
【0045】
前記粘着付与剤の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、5万以下であることが好ましく、3万以下であることが好ましく、1万以下であることがより好ましく、8000以下であることがさらに好ましく、5000以下であることが特に好ましい。また、前記粘着付与剤の重量平均分子量の下限値は特に限定されるものではないが、500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、2000以上であることがさらに好ましい。前記粘着付与剤の重量平均分子量が前記範囲にあることで、イソブチレン系ポリマーとの相溶性が良く、白化等の不具合を生じないため好ましい。
【0046】
前記粘着付与剤の添加量は、前記ゴム系ベースポリマーの固形分100重量部に対して、40重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。また、粘着付与剤の添加量の下限値は特に限定されるものではないが、0.1重量部以上であることが好ましく、1重量部以上であることがより好ましく、5重量部以上であることがさらに好ましい。粘着付与剤の使用量を前記範囲にすることで、粘着特性を向上できるため好ましい。また、粘着付与剤の使用量が前記範囲を超えて多量添加となると、粘着剤の凝集力が低下してしまう傾向があり、好ましくない。
【0047】
また、本発明のゴム系粘着剤組成物には、前記テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤以外の粘着付与剤を添加することもできる。当該粘着付与剤としては、石油樹脂系粘着付与剤を挙げることできる。前記石油系粘着付与剤としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等が挙げられる。
【0048】
前記石油樹脂系粘着付与剤は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができるが、例えば、前記ゴム系ベースポリマーの固形分100重量部に対して、30重量部以下程度で用いることができる。
【0049】
(3)水素引抜型光重合開始剤
本発明のゴム系粘着剤組成物には、水素引抜型光重合開始剤を添加することができる。水素引抜型光重合開始剤とは、活性エネルギー線を照射することで、開始剤自身は開裂することなく、前記ポリイソブチレン等のイソブチレン系ポリマーより水素を引き抜き、ポリマーに反応点を作ることができるものである。当該反応点形成により、ポリマーの架橋反応を開始することができるものである。
【0050】
光重合開始剤としては、本発明で用いる水素引抜型光重合開始剤の他に、活性エネルギー線の照射により、光重合開始剤自身が開裂分解してラジカルを発生させる開裂型光重合開始剤も知られている。しかしながら、本発明で用いるイソブチレン系ポリマーに、開裂型光重合開始剤を用いると、ラジカルが発生した光重合開始剤によりイソブチレン系ポリマーの主鎖が切断されてしまい、架橋することができないものである。本発明においては、水素引抜型光重合開始剤を用いることで、前述の通りイソブチレン系ポリマーの架橋をすることができるものである。
【0051】
水素引抜型光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジクロルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等;アセトナフトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン化合物;テレフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド、メチルアントラキノン等のキノン系芳香族化合物が挙げられる。これらは1種単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、反応性の点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましく、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0052】
前記水素引抜型光重合開始剤の含有量は、前記ゴム系ベースポリマー100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、0.005〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜10重量部であることがさらに好ましい。水素引抜型光重合開始剤を前記範囲で含むことで、架橋反応を目的の密度まで進行させることができるため好ましい。
【0053】
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、開裂型光重合開始剤を前記水素引抜型光重合開始剤と伴に用いてもよいが、前述の理由により用いないことが好ましい。
【0054】
(4)多官能ラジカル重合性化合物
本発明のゴム系粘着剤組成物は、さらに多官能ラジカル重合性化合物を含むことができる。本発明において、多官能ラジカル重合性化合物はイソブチレン系ポリマーの架橋剤として機能するものである。
【0055】
前記多官能ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有するラジカル重合性の官能基を少なくも2つ有する化合物である。多官能ラジカル重合性化合物の具体的としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等を挙げることができる。これらを1種単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、イソブチレン系ポリマーに対する相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する3官能(メタ)アクリレートがより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0056】
前記多官能ラジカル重合性化合物の含有量は、前記ゴム系ベースポリマー100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、15重量以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。また、多官能ラジカル重合性化合物の含有量の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、前記ゴム系ベースポリマー100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。多官能ラジカル重合性化合物の含有量が前記範囲にあることで、得られたゴム系粘着剤層の耐久性の観点から好ましい。
【0057】
多官能ラジカル重合性化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば、1000以下程度であることが好ましく、500以下程度であることがより好ましい。
【0058】
(5)その他の添加剤
前記ゴム系粘着剤組成物には、希釈剤として有機溶媒を添加することができる。希釈剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘプタン、ジメチルエーテル等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、トルエンが好ましい。
【0059】
希釈剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ゴム系粘着剤組成物中に50〜95重量%程度で添加することが好ましく、70〜90重量%程度であることがより好ましい。希釈剤の添加量が前記範囲であることにより、支持体等へ塗工性の観点から好ましい。
【0060】
本発明のゴム系粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の添加剤を添加することもできる。添加剤の具体例としては、軟化剤、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、エポキシ化合物、アルキルエーテル化メラミン化合物等)、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。ゴム系粘着剤組成物に添加される添加剤の種類、組み合わせ、添加量等は、目的に応じて適切に設定され得る。ゴム系粘着剤組成物における前記添加剤の含有量(総量)は、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
【0061】
2.ゴム系粘着剤層
本発明のゴム系粘着剤層は、前記ゴム系粘着剤組成物から形成されたことを特徴とする。本発明のゴム系粘着剤層の製造方法は後述する。
【0062】
本発明のゴム系粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではなく、その用途に応じて適宜設定することができるが、250μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。また、粘着剤層の厚みの下限値は、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
【0063】
本発明のゴム系記粘着剤層の透湿度は、前述の通りである。
【0064】
3.ゴム系粘着剤層の製造方法
本発明のゴム系粘着剤層の製造方法は特に限定されないが、例えば、各種支持体等に前記ゴム系粘着剤組成物を塗布し、加熱乾燥等により溶媒等を除去することにより、ゴム系粘着剤層を形成することができる(製造方法1)。また、本発明のゴム系粘着剤組成物が、前記水素引抜型開始剤を含有する場合、前記ゴム系粘着剤組成物に、活性エネルギー線を照射して、前記イソブチレン系ポリマーを架橋することによりゴム系粘着剤層を製造することができる(製造方法2)。以下、それぞれの製造方法について説明する。
【0065】
(1)製造方法1
粘着剤組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0066】
前記加熱乾燥温度は、30℃〜200℃程度が好ましく、40℃〜180℃がより好ましく、80℃〜150℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分程度が好ましく、30秒〜10分がより好ましく、1分〜8分がさらに好ましい。
【0067】
前記支持体としては、例えば、剥離処理したシート(セパレーター)を用いることができる。
【0068】
前記セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0069】
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
【0070】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型、及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0071】
本発明のゴム系粘着剤層の厚みは、前述の通りである。
【0072】
(2)製造方法2
前記活性エネルギー線の照射は、通常、前記ゴム系粘着剤組成物を各種支持体等に塗布し、得られた塗布層に照射される。また、前記活性エネルギー線の照射は、塗布層に(他部材等を貼り合せることなく)直接照射してもよく、塗布層にセパレーター等の光学フィルムやガラス等の各種部材を貼り合せた後に照射してもよい。前記光学フィルムや各種部材に貼り合せた後に照射する場合は、当該光学フィルムや各種部材越しに活性エネルギー線を照射してもよく、当該光学フィルムや各種部材を剥離して、当該剥離した面から活性エネルギー線を照射してもよい。
【0073】
前記ゴム系粘着剤組成物の塗布方法としては、前記製造方法1と同様の方法が挙げられる。
【0074】
前記ゴム系粘着剤組成物の塗布層に活性エネルギー線を照射する場合に、前記ゴム系粘着剤組成物が、希釈剤として有機溶媒を含有する場合は、塗布後、活性エネルギー線照射前に、加熱乾燥等により溶媒等を除去することが好ましい。
【0075】
前記加熱乾燥温度は、特に限定されないが、残存溶媒を少なくする観点から、30℃〜90℃程度が好ましく、60℃〜80℃程度がより好ましい。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分程度が好ましく、30秒〜10分がより好ましく、1分〜8分がさらに好ましい。
【0076】
前記活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等を挙げることができるが、これらの中でも、紫外線が好ましい。
【0077】
紫外線の照射条件は、特に限定されるものではなく、架橋させるゴム系粘着剤組成の組成に応じて、任意の適切な条件に設定することができるが、例えば、照射積算光量が100mJ/cm〜2000mJ/cmが好ましい。
【0078】
前記支持体としては、前述のものを挙げることができる。
【0079】
前記製造方法により得られたゴム系粘着剤層の厚みや透湿度は、前述の通りである。
【0080】
4.粘着フィルム
本発明の粘着フィルムは、プラスチック基材からなる支持体、及び当該支持体の少なくとも片面に、前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とする。
【0081】
前記支持体上にゴム系粘着剤層を形成する方法としては、支持体上に前記ゴム系粘着剤組成物を塗布して、加熱乾燥等により溶媒等を除去するか、又は、活性エネルギー線を照射することにより、ゴム系粘着剤層を支持体上に形成することができる。
【0082】
前記ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層及びその製造方法については、前述の通りである。
【0083】
前記プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミド等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
【0084】
前記フィルムの厚みは、通常5〜200μm程度であり、10〜100μm程度が好ましい。
【0085】
プラスチック基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型等の静電防止処理をすることもできる。
【0086】
本発明の粘着フィルムは、各種表面保護シートとしても使用することができ、また、汚染の少ない再剥離シートとしても使用することもできる。そのような再剥離シートは、汚染されやすい反射防止フィルム、反射防止ガラス等に使用することで、汚染が極端に少ない再剥離シートとして好適に使用することができる。また多分散度が小さいゴム系ベースポリマーを用いて、さらに架橋することにより、より好適に使用することができる。
【0087】
5.粘着剤層付光学フィルム
本発明のゴム系粘着剤層付光学フィルムは、光学フィルムと、前記光学フィルム上に設けられた前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とする。
【0088】
前記光学フィルム上にゴム系粘着剤層を形成する方法としては、光学フィルム上に前記ゴム系粘着剤組成物を塗布して、加熱乾燥等により溶媒等を除去するか、又は、活性エネルギー線を照射することにより、ゴム系粘着剤層を光学フィルム上に形成することができる。また、前述の通り、支持体等上にゴム系粘着剤層を形成し、当該ゴム系粘着剤層を光学フィルム上に転写して、ゴム系粘着剤層付光学フィルムを形成することもできる。この場合、前記ゴム系粘着剤層付光学フィルムの作製にあたって用いた剥離処理したシートは、そのままゴム系粘着剤層付光学フィルムのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0089】
前記ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層及びその製造方法については、前述の通りである。
【0090】
前記光学フィルムとしては、液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光フィルムが挙げられる。偏光フィルムは偏光子の片面又は両面に保護フィルムを有するものが一般に用いられるが、本発明においては、薄型化の観点から、片面保護偏光フィルムであることが好ましい。
【0091】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0092】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0093】
また、薄膜化の観点から、厚みが10μm以下の薄型偏光子を用いることが好ましい。薄型化の観点から言えば当該厚みは、1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0094】
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特開2014−59328号公報や特開2012−73563号公報に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法により得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
【0095】
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特開2014−059328号公報や特開2012−073563号公報に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特開2014−059328号公報や特開2012−073563号公報に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
【0096】
前記偏光子の片面又は両面に設けられる保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は、前記ポリマーのブレンド物等も前記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いても良く、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いても良い。
【0097】
保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1〜500μm程度である。
【0098】
前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の他、偏光子と保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0099】
前記保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
【0100】
例えば、図1に示すように、偏光フィルム2が、偏光子4の片面のみに保護フィルム5を有する片面保護偏光フィルムである場合、本発明の粘着剤層付偏光フィルム1は、前記ゴム系粘着剤層3が、偏光子4の保護フィルム5を有さない側(すなわち、偏光子4側)に形成されていることが好ましい(すなわち、ゴム系粘着剤層3、偏光子4、保護フィルム5が、この順に積層されていることが好ましい)。この場合、前記偏光子4と粘着剤層3は必ずしも接触している必要はないが、本発明の効果を顕著に発現できる観点からは、これらが接触していることが好ましい。このような構成とすることで、偏光子への水分等の移行を抑制することができ、片面保護偏光フィルムの偏光子が劣化することを抑制することができる。
【0101】
また、前記粘着剤層付偏光フィルムに、さらに位相差フィルムを用いることができ、例えば、偏光フィルムとして片面保護偏光フィルムを用いた場合に、図2に示すように、ゴム系粘着剤層3、位相差フィルム6、偏光子4、保護フィルム5の順に積層することが好ましい。
【0102】
前記位相差フィルムとしては、λ/4板として機能し得るフィルムであることが好ましい。このような位相差フィルムの23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差Re(550)は、100〜180nmであることが好ましく、110〜170nmであることがより好ましく、120〜160nmであることがさらに好ましく、135〜155nmであることが特に好ましい。面内位相差Reは、Re=(nx−ny)×d(d:フィルムの厚み(nm))によって求められる。前記λ/4板として機能し得る位相差フィルムは、その遅相軸が偏光子の吸収軸に対して斜め方向(例えば、45°方向)となるようにして積層され得る。
【0103】
また、位相差フィルムは、代表的には、nx>ny=nz、又は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。ここで、nxは面内の屈折率が最大となる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。また、本明細書において、ny=nzは厳密に等しい場合のみならず、実質的に等しいものを含む。
【0104】
位相差フィルムのNz係数は、例えば、0.9〜2であることが好ましく、1〜1.5がより好ましく、1〜1.3がさらに好ましい。ここで、Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。前記、Rthは、厚み方向の位相差であり、Rth=(nx−nz)×d(d:フィルムの厚み(nm))によって求められる。
【0105】
前記位相差フィルムとしては、公知の位相差フィルムを使用することができ、逆波長分散特性を有する高分子や液晶化合物を用いた位相差フィルム、あるいはλ/2板とλ/4板を積層した位相差フィルムが好ましく用いられる。これらの位相差フィルムを用いることにより、広い波長範囲にわたって円偏光が得られ、優れた色味を実現することができる。
【0106】
λ/2板とλ/4板を積層した位相差フィルムを構成する材料としては、高分子、液晶化合物のいずれも使用できるが、薄層化の点で液晶化合物が好ましい。
【0107】
また、本発明においては、前記位相差フィルム(第1の位相差フィルムということもある)とともに、屈折率特性がnz>nx≧nyの関係を示す第2の位相差フィルムを用いることができる。このような第2の位相差フィルムを設けることにより、斜め方向から入射した光についてもλ/4板(第1の位相差フィルム)の機能を十分に維持することができ、結果として、非常に優れた斜め方向の反射色相を実現することができる。第2の位相差フィルムの厚み方向の位相差Rth(550)は、−260nm〜−10nmであることが好ましく、−200nm〜−20nmがより好ましく、−180nm〜−30nmがさらに好ましく、−180nm〜−60nmが特に好ましい。
【0108】
1つの実施形態においては、第2の位相差フィルムは、その屈折率がnx=nyの関係を示す。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、Re(550)が10nm未満であることをいう。別の実施形態においては、第2の位相差フィルムは、その屈折率がnx>nyの関係を示す。この場合、第2の位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、10nm〜150nmであることが好ましく、10nm〜80nmであることがより好ましい。好ましくは、第2の位相差フィルムは、その屈折率がnx>nyの関係を示す。このような位相差フィルムを用いることにより、斜め方向から見た場合の第1の位相差フィルムの遅相軸の幾何学的な軸ずれを好適に補償でき、斜め方向の反射防止機能を大幅に向上できるからである。なお、上記のとおりnxとnyが実質的に等しい場合及びnx>nyである場合には、第2の位相差フィルムに遅相軸が発現し得る。この場合、第2の位相差フィルムの遅相軸は偏光子の吸収軸に対して平行または直交となるようにして積層され得る。
【0109】
第2の位相差フィルムは、任意の適切な材料で形成され得る。好ましくは、ホメオトロピック配向に固定された液晶層である。ホメオトロピック配向させることができる液晶材料(液晶化合物)は、液晶モノマーであっても液晶ポリマーであってもよい。当該液晶化合物及び当該液晶層の形成方法の具体例としては、特開2002−333642号公報の[0020]〜[0042]に記載の液晶化合物及び形成方法が挙げられる。この場合、厚みは、0.1μm〜5μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。液晶層は極めて薄い厚みで所望の光学特性が得られるので、円偏光板の大幅な薄型化を実現することができる。
【0110】
別の好ましい具体例として、第2の位相差フィルムは、特開2012−32784号公報に記載のフマル酸ジエステル系樹脂で形成された位相差フィルムであってもよい。この場合、厚みは、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜35μmがより好ましい。フマル酸ジエステル系樹脂で形成された位相差フィルムは波長分散特性がフラット分散に近いので、色相変化が小さいという利点を有する。
【0111】
また、前記偏光板フィルム以外の光学フィルムとしては、例えば、反射板や反透過板、前記位相差フィルム以外の位相差フィルム(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらの中でも、輝度向上フィルムを光学フィルムとして好適に用いることができる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光フィルムに、実用に際して積層して、1層又は2層以上用いることができる。
【0112】
また、光学フィルムや偏光子の表面に、アンカー層や透明樹脂層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理等の各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
【0113】
6.光学部材
本発明の光学部材は、40℃、92%R.H.における透湿度が、1g/(m・day)以下であるフィルム、及び当該フィルムの少なくとも片面に、前記ゴム系粘着剤層を有することを特徴とする。
【0114】
前記フィルム上にゴム系粘着剤層を形成する方法、ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層は、前述の通りである。
【0115】
前記40℃、92%R.H.における透湿度が1g/m・day以下であるフィルムとしては、例えば、有機EL素子に用いられるバリア層等を挙げることできる。有機EL素子に用いられるバリア層としては、例えば、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリマー層、若しくはこれらの積層体、さらに前記ポリマー層にスパッタリング等の成膜法を用いて酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン等の無機薄膜が被覆されたもの等を挙げることができる。このような低透湿フィルムを有する光学部材は、有機EL装置に好適に用いることができ、具体的には、有機EL素子の封止部材として用いることができる。
【0116】
7.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、前記粘着剤層付偏光フィルム、及び前記光学部材からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。
【0117】
本発明の画像表示装置は、本発明の粘着剤層付光学フィルム又は光学部材を含むものであればよく、その他の構成については、従来の画像表示装置と同様のものを挙げることができる。
【0118】
本発明の画像表示装置は、前記粘着剤層付光学フィルム又は光学部材を含むため、高い光学信頼性を有するものである。
【実施例】
【0119】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。
【0120】
製造例1(偏光フィルム(1)の製造)
薄型偏光膜を作製するため、まず、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)基材に9μm厚のポリビニルアルコール(PVA)層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成した。次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65℃のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された4μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜(偏光子)を構成する、厚さ5μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。
【0121】
上記偏光子に係る上記光学フィルム積層体の偏光膜(偏光子、厚み:5μm)の表面に、接着剤層の厚さが0.1μmになるようにポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、保護フィルム(厚さ20μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムにコロナ処理を施したもの)を貼合せたのち、50℃で5分間の乾燥を行った。次いで、非晶性PET基材を剥離して、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルム(偏光フィルム(1))を作製した。
【0122】
製造例2(偏光フィルム(2)の製造)
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い、厚さ12μmの偏光子を得た。当該偏光子の片面に、片側にハードコード処理されており、逆面にケン化処理した厚さ25μmのトリアセチルセルロースフィルムを、偏光子の逆面に13μmのシクロオレフィン系樹脂フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて、両保護偏光フィルム(偏光フィルム(2))を作製した。偏光フィルム(2)の構成は、ハードコート/トリアセチルセルロースフィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/シクロオレフィン系樹脂フィルムであった。
【0123】
製造例3(第1の位相差フィルムの作製)
イソソルビド(ISB)37.5質量部、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)91.5質量部、平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG)8.4質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.7質量部、及び、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.594質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
【0124】
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反
応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/PEG=42.9モル%/52.8モル%/4.3モル%の割合でジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂Aを得た。得られたポリカーボネート樹脂Aのガラス転移温度は126℃であり、還元粘度は0.372dL/gであった。得られたポリカーボネート樹脂Aを80℃で5時間真空乾燥した後、単軸押出機(スクリュー径:25mm、シリンダー設定温度:220℃、いすず化工機(株)製)、Tダイ(幅:300mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、長さ3m、幅300mm、厚み120μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。得られたポリカーボネート樹脂フィルムの吸水率は、1.2%であった。
【0125】
得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、長さ300mm、幅300mmに切り出し、ラボストレッチャーKARO IV(Bruckner社製)を用いて、温度136℃、倍率2倍で縦延伸を行い、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は141nm、Rth(550)は141nmであり(nx:1.5969、ny:1.5942、nz:1.5942)、nx>ny=nzの屈折率特性を示した。また、得られた位相差フィルムのRe(450)/Re(550)は0.89であった(さらに、環境試験による位相差変動は5nmであった)。
【0126】
製造例4(第2の位相差層(第2の位相差フィルム)の作製)
下記化学式(I)(式中の数字65及び35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している、重量平均分子量:5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(商品名:PaliocolorLC242、BASF社製)80重量部及び光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム、商品名:ゼオネックス、:日本ゼオン(株)製)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、基材上に第2の位相差層となる液晶固化層(厚み:0.58μm)を形成した。この層のRe(550)は0nm、Rth(550)は−71nmであり(nx:1.5326、ny:1.5326、nz:1.6550)、nz>nx=nyの屈折率特性を示した。
【0127】
【化1】
【0128】
製造例5(位相差フィルムAの作製)
製造例3で得られた第1の位相差フィルムに、アクリル系粘着剤を介して、製造例4で得られた第2の位相差層(液晶固化層)を貼り合わせた後、上記基材フィルムを除去して、第1の位相差フィルムに液晶固化層が転写された積層体(位相差フィルムA)を得た。得られた位相差フィルムAは、第1の位相差フィルム/アクリル系粘着剤層/第2の位相差層から構成されていた。得られた位相差フィルムAのRe(550)は141nmであり、Rth(550)は70nmであった。
【0129】
製造例6(位相差フィルム付片保護偏光フィルムの作製)
製造例1で得られた片保護偏光フィルム(偏光フィルム(1))の偏光膜(偏光子)側に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、製造例5で得られた位相差フィルムAの第1の位相差フィルムを貼り合せた。ここで、位相差フィルムAの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して反時計回りに45°となるように貼り合わせて、位相差フィルム付片保護偏光フィルム(偏光フィルム(3))を作製した。偏光フィルム(3)の構成は、保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/位相差フィルムAであった。
【0130】
実施例1
(ゴム系組成物の調製)
ポリイソブチレン(商品名:OPPANOL N50、Mw:560,000、Mn:240,000、Mw/Mn:2.3、BASF社製)のトルエン溶液(固形分:13重量%)を調整し、ゴム系粘着剤組成物(溶液)を調製した。
【0131】
(ゴム系粘着シートの形成)
得られた粘着剤組成物(溶液)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を120℃で3分乾燥させて、粘着剤層を形成し、粘着剤層の厚みが50μmの粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、前記片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナー(セパレーター)として機能する。
【0132】
実施例2、3
実施例1で用いたポリイソブチレン(OPPANOL N50)を、表1に記載のポリイソブチレンに変更した以外は、実施例1と同様にしてゴム系粘着シートを製造した。
【0133】
実施例4
(ゴム系組成物の調製)
ポリイソブチレン(商品名:OPPANOL N50、Mw:560,000、Mn:240,000、Mw/Mn:2.3、BASF社製)100重量部と、粘着付与剤として、完全水添テルペンフェノール(軟化点:135℃、水酸基価:160である完全水添テルペンフェノール)10重量部を配合したトルエン溶液(粘着剤溶液)を固形分が13重量%になるように調整し、粘着剤組成物(溶液)を調製した。
【0134】
前記得られたゴム系粘着剤組成物を用い、膜厚を25μmにした以外は実施例1と同様にして、ゴム系粘着シートを製造した。
【0135】
実施例5〜7
ポリイソブチレンの種類、完全水添テルペンフェノールの添加量、及び膜厚を表1に記載のように変更した以外は、実施例4と同様にしてゴム系粘着シートを製造した。
【0136】
実施例8
(ゴム系組成物の調製)
ポリイソブチレン(商品名:OPPANOL N80、Mw:1,050,000、Mn:440,000、Mw/Mn:2.4、BASF社製)100重量部と、粘着付与剤として、完全水添テルペンフェノール(軟化点:135℃、水酸基価:160である完全水添テルペンフェノール)5重量部、多官能ラジカル重合性化合物としてのトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステルA−DCP、2官能アクリレート、分子量:304、新中村化学工業(株)製)5重量部、水素引抜型光重合開始剤であるベンゾフェノン(和光純薬工業(株)製)1部を配合したトルエン溶液(粘着剤溶液)を固形分が13重量%になるように調整し、ゴム系粘着剤組成物(溶液)を調製した。
【0137】
(ゴム系粘着シートの形成)
得られたゴム系粘着剤組成物(溶液)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を、80℃で3分乾燥させて、ゴム系粘着剤層を形成し、ゴム系粘着剤層の厚みが50μmの粘着シートを作製した。また、前記粘着シートの粘着面には、前記片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記ゴム系粘着剤層が接するように貼り合せた。ゴム系粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナー(セパレーター)として機能する。
【0138】
室温で紫外線を照射し、セパレーター/ゴム系粘着剤層/セパレーターからなるゴム系粘着シートを得た。前記紫外線照射は、UVA領域にて、光量1000mJ/cmであった。
【0139】
実施例9〜13
表1に記載の組成にした以外は実施例8と同様にして、ゴム系粘着シートを作製した。
【0140】
比較例1〜3
表1に記載の組成にした以外は実施例1と同様にして、ゴム系粘着シートを作製した。
【0141】
比較例4
(アクリル系粘着シートの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、モノマー成分として、ブチルアクリレート(BA)99重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチルを固形分が20%になるように投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。前記アクリル系ポリマー溶液(固形分100重量部)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)0.8重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学(株)製)0.1重量部を加えてアクリル系粘着剤組成物を調製した。
【0142】
得られたアクリル系粘着剤組成物を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を120℃で3分乾燥させて、粘着剤層を形成し、粘着剤層の厚みが50μmの粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、前記片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せて、アクリル系粘着シートを得た。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナー(セパレーター)として機能する。
【0143】
実施例、比較例で得られた粘着剤組成物、粘着シートについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0144】
<耐久性>
実施例、比較例で得られた粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させて、該粘着面により、製造例1で得られた偏光フィルム(1)の偏光子に貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプル1(片保護偏光フィルム)を得た。
【0145】
また、実施例、比較例で得られた粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シートを偏光フィルム(2)のシクロオレフィン系樹脂フィルムに貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプル2(両保護偏光フィルム)を得た。
【0146】
さらに、実施例、比較例で得られた粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シートを偏光フィルム(3)の位相差フィルムAに貼り合せた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプル3(位相差フィルム付片保護偏光フィルム)を得た。
【0147】
前記得られた測定用サンプル1〜3をそれぞれガラス板に貼り合わせ、これらを85℃の環境下に500時間投入後の状態を目視又はルーペ(20倍)を用いて観察した。以下の評価基準により評価した。
◎:ルーペで確認しても、不具合(発泡、剥がれ等)の発生がなかった。
〇:目視では不具合が確認できなかったが、ルーペで確認すると使用に問題ない程度の多少の不具合が生じていた。
×:目視で不具合が確認できた。
【0148】
<糊ズレ>
耐久性試験で得られた測定用サンプル1〜3を85℃の環境下に500時間投入後の端部の状態をルーペ(20倍)を用いて観察した。以下の評価基準により評価した。
◎:目視では糊ズレの発生が確認できなかったが、ルーペで確認すると使用に問題ない程度の多少の糊ズレが生じていた。
○:不具合が生じない範囲の糊ズレが目視で確認できた。
×:偏光板端部と糊端部にズレが発生し不具合が確認できた。
【0149】
<透湿度>
実施例、比較例で得られた粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚み25μm、コニカミノルタ(株)製)に貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプルを得た。
【0150】
次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:92%
測定時間:24時間
なお、測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
【0151】
【表1】
【0152】
表1中の表記は以下の通りである。
<ポリイソブチレン>
OPPANOL N50:ポリイソブチレン(Mw:560,000、Mn:240,000、Mw/Mn:2.3、BASF社製)
OPPANOL N80:ポリイソブチレン(Mw:1,050,000、Mn:440,000、Mw/Mn:2.4、BASF社製)
OPPANOL N100:ポリイソブチレン(Mw:1,550,000、Mn:530,000、Mw/Mn:2.9、BASF社製)
OPPANOL B50:ポリイソブチレン(Mw:535,000、Mn:111,458、Mw/Mn:4.8、BASF社製)
OPPANOL B80:ポリイソブチレン(Mw:1,150,000、Mn:239,583、Mw/Mn:4.8、BASF社製)
OPPANOL B100:ポリイソブチレン(Mw:1,680,000、Mn:365,217、Mw/Mn:4.6、BASF社製)
<それ以外のポリマー>
アクリル系樹脂:比較例4で得られたアクリル系粘着剤組成物
<粘着付与剤>
完全水添テルペンフェノール:軟化点が160℃、水酸基価が60である完全水添テルペンフェノール
<多官能ラジカル重合性化合物>
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステルA−DCP、2官能アクリレート、分子量:304、新中村化学工業(株)製)
DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、2官能メタクリレート、分子量:332、新中村化学工業(株)製)
<光重合開始剤>
ベンゾフェノン:水素引抜型光重合開始剤
【符号の説明】
【0153】
1 粘着剤層付偏光フィルム
2 偏光フィルム
3 ゴム系粘着剤層
4 偏光子
5 保護フィルム
6 位相差フィルム
図1
図2