(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハーフミラーを透過して前記導光部材に入射する前記第1の光の一部を前記ハーフミラーで反射される前記第1の光よりも上方に反射する反射部材が、前記第3凸レンズ部より上部及び下部の少なくとも一方に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用前照灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の車両用灯具では、ロービームに加えて、投影レンズを介してデイタイムランニングランプからの光の一部を出射することができ、デイタイムランニングランプの配光を調整することができる。しかし、延出部が投影レンズの外側に伸びているため、発光面積が増大して灯具が大型化するという懸念がある。
【0006】
そこで、本発明は、発光面積の増大を抑制しつつ異なる配光の光を出射することができる車両用前照灯を提供しようとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の車両用前照灯は、導光部材の前面の少なくとも一部にハーフミラーが形成されるリフレクタと、前記ハーフミラーによって配光を制御されつつ前方に反射される第1の光を出射する第1光源と、前記ハーフミラーを透過して前方に照射される第2の光を出射する第2光源と、を備え、前記導光部材は前記第2の光の配光を制御することを特徴とする。
【0008】
上記車両用前照灯では、第1の光がハーフミラーで反射され、第2の光が当該ハーフミラーを透過するので、同一の発光面から異なる配光の光を出射することができる。したがって、発光面積の増大を抑制しつつ異なる配光の光を出射することができる。また、ハーフミラー及び導光部材の形状等によって、第1の光の配光及び第2の光の配光を調整することができる。
【0009】
なお、本発明において「ハーフミラー」とは、入射する光のうち厳密に半分の光を反射するものに限定されず、入射する光のうち一部の光を反射するとともに他の一部の光を透過する金属膜を意味する。
【0010】
また、前記導光部材は、前面に前記ハーフミラーが非形成である非反射部を有し、前記第2の光の一部が前記非反射部から出射する形態とすることもできる。
【0011】
このような非反射部が形成されることによって、第2の光が前方に照射され易くなり、第2の光の利用効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記第2の光を拡散させる第1凸レンズ部が前記非反射部に形成されることが好ましい。
【0013】
このような第1凸レンズ部が形成されることによって、第2の光を広い範囲に照射することができる。したがって、例えば、第2の光をデイタイムランニングランプの光として利用し易くなる。
【0014】
また、前記第2光源が前記導光部材の上方に配置され、前記導光部材は、上面から入射する前記第2の光を内部反射する内部反射面を背面に有する形態とすることができる。
【0015】
このように第2光源が導光部材の上方に配置されると共に導光部材の背面に内部反射面が形成されることによって、車両用前照灯の前後方向の大きさを小さくしつつ、第2の光を前方に照射することができる。
【0016】
また、上記のように第2光源が導光部材の上方に配置されると共に導光部材の背面に内部反射面が形成される場合において、前記導光部材の上面に、前記導光部材に入射する前記第2の光の発散角を小さくする第2凸レンズ部が形成されることが好ましい。
【0017】
このように第2の光が発散角を小さくされて導光部材に入射することによって、第2の光を導光部材の上面から下面まで導光させ易くなり、内部反射面の広い範囲に第2の光を入射させることができ、第2の光を広い範囲に照射し易くなる。
【0018】
また、前記内部反射面が外側に膨らむように湾曲した面であることが好ましい。
【0019】
内部反射面が外側に膨らむように湾曲していることによって、内部反射面で反射された後の第2の光の発散角が大きくなり過ぎることを抑制できる。
【0020】
また、前記第2光源が前記導光部材の後方に配置され、前記導光部材の背面に、前記第2の光の配光を制御する第3凸レンズ部が形成されることが好ましい。
【0021】
このように第2光源が配置されると共に第3凸レンズ部が形成されることによって、導光部材を伝搬する第2の光の発散角が大きくなり過ぎることを抑制できる。
【0022】
また、前記ハーフミラーを透過して前記導光部材に入射する前記第1の光の一部を前記ハーフミラーで反射される前記第1の光よりも上方に反射する反射部材が、前記導光部材の背面に設けられることが好ましい。
【0023】
ハーフミラーに入射する第1の光の一部はハーフミラーによって反射されるが、ハーフミラーに入射する第1の光の他の一部はハーフミラーを透過する。このようにハーフミラーを透過する第1の光のうち一部の光を上方に反射することによって、ハーフミラーによって前方に反射されなかった第1の光の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。
【0024】
また、前記ハーフミラーを透過して前記導光部材に入射する前記第1の光の一部を前記ハーフミラーで反射される前記第1の光よりも上方に反射する反射部材が、前記第3凸レンズ部より上部及び下部の少なくとも一方に設けられることが好ましい。
【0025】
第3凸レンズ部は上記のように第2の光の配光の制御に供される。反射部材が第3凸レンズ部の上部または下部に設けられることによって、反射部材が第2の光の配光の制御を妨げることが抑制される。したがって、反射部材が第3凸レンズ部の上部及び下部の少なくとも一方に設けられることによって、第2の光の配光の制御が妨げられることを抑制しつつ、ハーフミラーによって前方に反射されなかった第1の光の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。
【0026】
また、前記第3凸レンズ部が複数形成され、前記ハーフミラーを透過して前記導光部材に入射する前記第1の光の一部を前記ハーフミラーで反射される前記第1の光よりも上方に反射する反射部材が、互いに隣り合う前記第3凸レンズ部の間に設けられることが好ましい。
【0027】
このように互いに隣り合う第3凸レンズ部の間に反射部材が設けられることによっても、反射部が第2の光の配光の制御を妨げることが抑制される。したがって、第2の光の配光の制御が妨げられることを抑制しつつ、ハーフミラーによって前方に反射されなかった第1の光の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、発光面積の増大を抑制しつつ異なる配光の光を出射することができる車両用前照灯が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る車両用前照灯を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
【0031】
(第1実施形態)
まず、本実施形態の灯具の構成について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態における車両用前照灯を備える車両の概略を示す正面図である。
図1に示すように車両100は、前方の左右方向のそれぞれに一対の車両用前照灯を備える。すなわち、それぞれの車両用前照灯1は、車両100の中心よりも左右方向の外側に配置されている。また、車両100に備わる一対の車両用前照灯1は、互いに左右方向に対称な形状とされる。本実施形態の車両用前照灯1は、灯具1a,1b,1cを備え、灯具1aが車両100の最も外側に配置され、灯具1cが車両100の最も中心側に配置され、灯具1bが灯具1aと灯具1cとの間に配置される。
【0033】
図2は、
図1の車両用前照灯1の拡大図である。
図2に示すように、灯具1aは灯具ユニットLUaを備え、灯具1bは灯具ユニットLUbを備え、灯具1cは灯具ユニットLUcを備える。それぞれの灯具ユニットLUa,LUb,LUcはリフレクタ50を備え、さらに、灯具ユニットLUaは第1光源41aと第2光源42aとを備え、灯具ユニットLUbは第1光源41bと第2光源42bとを備え、灯具ユニットLUcは第1光源41cと第2光源42cとを備える。灯具ユニットLUa,LUb,LUcは、互いに概ね同様の構成とされるため、以下では主に灯具1aを例に説明する。
【0034】
図3は、
図2のIII−III線における断面図である。なお、
図2は、理解の容易のため、概念的な図とされ、
図3に記載の部材が一部省略されている。
図2に示すように車両用前照灯1の一部である灯具1aは、筐体10を備え、当該筐体10内に上記灯具ユニットLUaが収容されている。
【0035】
筐体10は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成要素として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。また、ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。
【0036】
ランプハウジング11と、当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、当該ランプハウジング11の後方の開口を塞ぐバックカバー13とによって形成される空間は灯室LRであり、この灯室LR内に灯具ユニットLUaが収容されている。なお、
図2に示すように本実施形態では、灯具1a,1b,1cのそれぞれが筐体10を備えるが、それぞれの灯具1aと灯具1bとの間、及び灯具1bと灯具1cとの間には、筐体10の壁が形成されておらず、それぞれの灯室LRは空間的に接続されている。ただし、灯具1a,1b,1cのそれぞれの筐体10の間に壁が形成されていても良い。
【0037】
灯具ユニットLUaは、上記の第1光源41a、第2光源42a、リフレクタ50に加えて支持部材30を主な構成要素として備える。
【0038】
支持部材30は金属製の部材であり、トッププレート31と、バックプレート32と、係止部33とを有する。トッププレート31は概ね水平に延在する板状の金属部材であり、バックプレート32は概ね鉛直に延在する板状の金属部材である。トッププレート31の後端とバックプレート32の上端は互いに接続されている。また、バックプレート32の上端近傍には、係止部33が接続されている。係止部33はバックプレート32から後方に向かって延在しており、係止部33には後方側に開口するねじ孔が形成されている。このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ22が螺入され、係止部33がランプハウジング11に固定されている。また、バックプレート32の下方側にもねじ孔が形成されており、このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ23が螺入されバックプレート32はランプハウジング11に固定されている。こうしてバックプレート32は、概ね鉛直な状態で灯室LR内に固定され、バックプレート32に接続されるトッププレート31も灯室LR内に固定されている。なお、これらのねじ22,23が調整されることで、バックプレート32の角度を微調整することができ、これに伴いトッププレート31の角度を微調整することができる。
【0039】
トッププレート31の下面には、リフレクタ50が固定されている。リフレクタ50は導光部材51と導光部材51の前方側の表面に設けられるハーフミラー52とを有し、当該ハーフミラー52の表面が第1反射面52sとされる。こうして、第1反射面52sは導光部材51上に設けられる。また、導光部材51の前方側の表面は複数の凹部51aを有しており、第1反射面52sはこれらの凹部51aに追従した形状を有している。また、これらの凹部51aは、それぞれ前方側に向かって開く放物線を基調とする自由曲面から成る凹状の形状とされる。より具体的には、第1反射面52sのうちそれぞれの凹部51aに追従する部位における鉛直方向の断面形状は、放物線の頂点よりも下側の形状とされる。また、特に図示しないが、第1反射面52sのうちそれぞれの凹部51aに追従する部位の水平方向の断面形状は、放物線の頂点を含む形状とされる。ただし、第1反射面52sの鉛直方向の断面における放物線と、水平方向の断面における放物線とは互いに異なる放物線とされても良い。
【0040】
また、本実施形態では、導光部材51の背面は、後述の第2光源42aから出射する第2の光L
2が入射する入射面53とされる。本実施形態では、導光部材51の背面に、後述する第2光源42aから出射される第2の光L
2の配光を制御する第3凸レンズ部54が形成されており、当該第3凸レンズ部54の表面が入射面53とされる。
【0041】
また、本実施形態では、リフレクタ50は、導光部材51の背面のうち第3凸レンズ部54より上部及び下部に設けられる反射部材56を有する。反射部材56は、導光部材51側の面において入射する光を反射することができる。すなわち、反射部材56の導光部材51側の面は、第2反射面56sとなる。
【0042】
リフレクタ50は、導光部材51が光を透過し、前面の少なくとも一部にハーフミラー52が設けられると共に背面に反射部材56が設けられていれば、その材質は特に限定されない。例えば、導光部材51は、アクリルやポリカーボネート等の樹脂、或いは、ガラス等から成る。高い屈折率とされる場合には、例えばゲルマニウム等の屈折率を高めるドーパントが添加されたシリカガラスから成ることが好ましく、軽量化させる場合には、樹脂から成ることが好ましい。また、ハーフミラー52は、第1反射面52sで入射する光の一部を反射すると共に他の一部を透過する部材であれば特に限定されず、例えば、錫や銀のめっきや蒸着によって形成される薄い反射膜によって構成される。当該反射膜の厚さ等を調整することによって、ハーフミラー52に入射する光のうち反射光と透過光との割合を調整することができる。なお、ハーフミラー52の表面は透明な樹脂等によって保護されていても良い。また、反射部材56は、第2反射面56sで光を反射する部材であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属が導光部材51の表面上に蒸着等により形成されて成る。或いは、反射部材56は、鏡面加工がなされた薄板状の部材が導光部材51上に固定されるものであっても良い。
【0043】
なお、それぞれの灯具1a,1b,1cに備えられるリフレクタ50は、一体とされていても良く、別体とされていても良い。
【0044】
また、トッププレート31の下面には、第1の光L
1を出射する第1光源41aが配置されている。第1の光L
1の一部は、ハーフミラー52によって配光を制御されつつ前方に反射される。本実施形態では、この第1の光L
1の一部はハーフミラー52で反射後にロービームまたはハイビームといった夜間照明用の光となる光である。第1の光L
1の他の一部はハーフミラー52を透過する。ハーフミラー52を透過する第1の光L
1のうち一部の光は反射部材56に反射されて標識視認用の光(OHS:Over Head Sign用の光)とされる。このような第1光源41aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)とされる。なお、第1光源41aは、不図示の回路基板に接続されており、当該回路基板からの給電により第1の光L
1を出射することができる。また、第1光源41aの光の出射面は、第1反射面52sの形状が基調とする放物線の焦点上に配置されている。したがって、後に詳述するように第1光源41aから出射する第1の光L
1の一部は、広がり角を持って伝搬することで第1反射面52sにおける異なる部位で反射された後に互いに平行光とされる。
【0045】
また、バックプレート32の前面側には第2の光L
2を出射する第2光源42aが配置されている。第2の光L
2の配光は、導光部材51によって制御される。第2光源42aは、第1光源41aと同様にして、不図示の回路基板に接続されており、当該回路基板からの給電により第2の光L
2を出射することができる。第2光源42aは光の出射面が前方を向くように配置されている。また、第2光源42aは、導光部材51の後方に配置される。したがって、
図3に示すように、第2光源42aから前方に向かって出射する第2の光L
2は、入射面53から導光部材51に入射可能とされている。このとき、本実施形態では、導光部材51の背面に形成される第3凸レンズ部54によって、第2の光L
2の配光が制御される。導光部材51に入射する第2の光L
2の少なくとも一部は、ハーフミラー52を透過して前方に照射され、昼間照明用の光とされる光である。
【0046】
また、車両用前照灯1の一部である灯具1b,1cは、それぞれ灯具1aと概ね同様の構成とされため、特に断面図を用いて説明しない。灯具ユニットLUbは、第1光源41aの代わりに第1光源41aと同様の第1光源41bを有し、第2光源42aと同様の第2光源42bを有する。灯具ユニットLUcは、第1光源41aの代わりに第1光源41aと同様の第1光源41cを有し、第2光源42aと同様の第2光源42cを有する。また、特に図示しないが、第1光源41b,41cは、第1光源41aと同様にして、ハーフミラー52で反射後にロービームまたはハイビームとなる第1の光L
1を出射し、第2光源42b,42cは、第2光源42aと同様にしてハーフミラー52を透過した後に昼間照明用の光となる第2の光L
2を出射する。つまり、灯具1b,1cは灯具1aと同様の光を出射する。
【0047】
次に車両用前照灯1による光の出射について説明する。なお、上記のように灯具1b、1cはそれぞれ灯具1aと概ね同様の構成とされるため、主に灯具1aを用いて説明する。
【0048】
<夜間照明時>
夜間照明時には、第1光源41aから第1の光L
1が出射される。灯具1aにおける第1光源41aから出射する第1の光L
1の一部は、ハーフミラー52の第1反射面52sで反射され、フロントカバー12を介して出射する。このとき、上記のように本実施形態では、第1反射面52sの形状が基調とする放物線の焦点上に第1光源41aが位置するので、第1光源41aの出射部における同じ領域から出射した光は、広がり角を持って伝搬することで第1反射面52sの異なる位置で反射しても、反射後の光は互いに概ね平行光とされる。本実施形態では、上記のように第1反射面52sで反射される第1の光L
1はロービームまたはハイビームとされる。
【0049】
第1の光L
1がロービームとされる場合、第1光源41aが点灯することでロービームの少なくとも一部の配光が形成され、第1の光L
1のうち第1光源41aの出射部における最も前方側の領域から出射する光が、ロービームのカットラインを形成する。こうして灯具1b、1cからもロービームが出射されることで、
図4(A)に示すロービームの配光が形成される。また、第1の光L
1がハイビームとされる場合、第1光源41aが点灯することでハイビームの少なくとも一部の配光が形成され、灯具1b、1cからもハイビームが出射されることで、
図4(B)に示すハイビームの配光が形成される。
【0050】
一方、灯具1aにおける第1光源41aから出射する第1の光L
1の他の一部は、ハーフミラー52を透過する。また、ハーフミラー52を透過する第1の光L
1のうち反射部材56に達する光は、第2反射面56sによって、ハーフミラー52で反射される第1の光L
1よりも上方に反射される。本実施形態において、このように反射部材56によって上方に反射される第1の光L
1は、標識視認用の光とされる。
図4では、この標識視認用の光はその強度が弱いため記載されていない。
【0051】
なお、灯具1a,1b,1cの第1光源41a〜41cのうち一部の第1光源がロービーム用の光源とされ、他の一部の第1光源がハイビーム用の光源とされても良い。この場合、ロービーム照射時には、上記一部の第1光源からの第1の光L
1が出射してロービームの配光が形成される。また、この場合のハイビーム照射時には、例えば、全ての第1光源41a〜41cから第1の光L
1が出射してハイビームの配光が形成される。具体的には、上記一部の第1光源からの第1の光L
1によりロービームの配光が形成され、上記他の一部の第1光源からの第1の光L
1によりカットラインより上方の配光が形成され、一部の第1光源からの第1の光L
1による配光と他の一部の第1光源からの第1の光L
1による配光とが合わさり、ハイビームの配光とされる。このとき、それぞれの灯具1a,1b,1cの第2光源42a,42b,42cは点灯されても良く、非点灯とされても良い。第2光源42a,42b,42cが点灯される場合、ハイビーム照射時の全光束数を増加させることができる。
【0052】
<昼間照明時>
昼間照明時には、それぞれの灯具1a,1b,1cの第1光源41a,41b,41cが非点灯とされ、それぞれの灯具1a,1b,1cの第2光源42a,42b,42cが点灯とされる。灯具1aにおける第2光源42aから出射する第2の光L
2は、入射面53から導光部材51に入射する。このとき、第3凸レンズ部54において、第2の光L
2の発散角が小さくなるように、第2の光L
2は屈折する。入射面53から入射した第2の光L
2の少なくとも一部は、導光部材51を伝搬し、ハーフミラー52を透過して出射する。このようにハーフミラー52を透過して更にフロントカバー12を透過した第2の光L
2の一部は、ロービームのカットラインより上方にも照射される。このハーフミラー52を透過して出射する第2の光L
2の全光束数は、ハーフミラー52で反射される第1の光L
1の全光束数よりも少ない。つまり、灯具1aから出射される第2の光L
2は、灯具1aから出射される第1の光L
1よりも弱い。このように第2の光L
2が出射することで昼間照明の少なくとも一部の配光が形成される。こうして灯具1b、1cからも第2の光L
2が出射されることで、
図4(C)に示す昼間照明の配光が形成される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1は、それぞれの灯具ユニットLUa〜LUcが、ハーフミラー52で配光を制御されつつ前方に反射される第1の光L
1を出射する第1光源41a〜41cと、導光部材51の後方に配置され、導光部材51に配光を制御されつつハーフミラー52を透過する第2の光L
2を出射する第2光源42a〜42cと、を備える。このように、第1の光L
1がハーフミラー52で反射され、第2の光L
2が当該ハーフミラー52を透過するので、同一の発光面から異なる配光の光を出射することができる。したがって、発光面積の増大を抑制しつつ異なる配光の光を出射することができる。また、ハーフミラー52及び、導光部材51の形状等によって、第1の光L
1の配光及び第2の光L
2の配光を調整することができる。
【0054】
なお、上記のように第1の光L
1はハイビームまたはロービームとされ、第2の光L
2はハイビームまたはロービームよりも強度が弱い昼間照明とされることから、ハーフミラー52は、入射する光に対する反射される光の割合が入射する光に対する透過する光の割合よりも大きくなるように構成されることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、ハーフミラー52に入射する第1の光L
1の一部はハーフミラー52によって反射されるが、ハーフミラー52に入射する第1の光L
1の他の一部はハーフミラー52を透過する。このようにハーフミラー52を透過する第1の光L
1の一部を反射部材56によって上方に反射することによって、ハーフミラー52によって前方に反射されなかった第1の光L
1の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。また、反射部材56が第3凸レンズ部54より上部及び下部に設けられることによって、反射部材56が第2の光L
2の配光の制御を妨げることが抑制される。したがって、第2の光L
2の配光の制御が妨げられることを抑制しつつ、ハーフミラー52によって前方に反射されなかった第1の光L
1の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。
【0056】
また、車両用前照灯1では、正面視においてハーフミラー52が視認されるため、各光源の非点灯時においても各灯具に輝きを持たせることができ、意匠性を向上させることができる。また、各光源の点灯時と非点灯時における外観の印象を大きく変えることができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
図5は、本実施形態の車両用前照灯の一部を
図3と同じ視点で示す断面図である。本実施形態の車両用前照灯は、第1実施形態の車両用前照灯1と同様に3つ灯具からなる。ただし、これら3つの灯具の配置は、第1実施形態の車両用前照灯1と車両における配置が同様とされるため、正面図は
図2と同様である。以下では、本実施形態の車両用前照灯に備えられる灯具のうち車両における配置が灯具1aと同じとされる灯具2aについて説明する。
【0059】
灯具2aは、リフレクタ50にかえてリフレクタ150を有する点で灯具1aと異なる。
【0060】
本実施形態のリフレクタ150では、第2の光L
2の配光を制御する第3凸レンズ部54が導光部材51の背面に複数形成されている。また、反射部材56が互いに隣り合う第3凸レンズ部54の間に設けられる。
【0061】
このように互いに隣り合う第3凸レンズ部54の間に反射部材56が設けられることによって、反射部材56が第2の光L
2の配光の制御を妨げることが抑制される。したがって、第2の光L
2の配光の制御が妨げられることを抑制しつつ、ハーフミラー52によって前方に反射されなかった第1の光L
1の一部をオーバーヘッドサイン等として有効に利用することができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図6を参照して詳細に説明する。なお、第1または第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0063】
図6は、本実施形態の車両用前照灯の一部を
図3と同じ視点で示す断面図である。本実施形態の車両用前照灯は、第1実施形態の車両用前照灯1と同様に3つ灯具からなる。ただし、これら3つの灯具の配置は、第1実施形態の車両用前照灯1と車両における配置が同様とされるため、正面図は
図2と同様である。以下では、本実施形態の車両用前照灯に備えられる灯具のうち車両における配置が灯具1aと同じとされる灯具3aについて説明する。
【0064】
灯具3aは、リフレクタ50にかえてリフレクタ250を有すると共に、第2光源42aが導光部材51の上方に配置される点で灯具1aと異なる。
【0065】
本実施形態の灯具3aでは、上記のように第2光源42aが導光部材51の上方に配置される。したがって、導光部材51の上面が、第2の光L
2が入射する入射面55とされる。また、本実施形態のリフレクタ250では、導光部材51の上面に、導光部材51に入射する第2の光L
2の発散角を小さくする第2凸レンズ部57が形成される。したがって、第2凸レンズ部57の表面が入射面55とされる。第2凸レンズ部57によって第2の光L
2が発散角を小さくされて導光部材51に入射することによって、第2の光L
2を導光部材51の上面から下面まで導光させ易くなる。
【0066】
また、導光部材51は、入射面55から入射する第2の光L
2を内部反射する内部反射面53sを背面に有する。内部反射面53sは、第2の光L
2を内部全反射することが好ましい。このように第2光源42aが導光部材51の上方に配置されると共に導光部材51が内部反射面53sを有することによって、車両用前照灯の前後方向の大きさを小さくしつつ、第2の光を前方に照射することができる。また、上記のように第2の光L
2が導光部材51の上面から下面まで導光されることによって、内部反射面53sの広い範囲に第2の光L
2を入射させることができ、第2の光L
2を広い範囲に照射し易くなる。
【0067】
また、本実施形態のリフレクタ250では、導光部材51の前面にハーフミラー52が非形成である非反射部58を有し、第2の光L
2の一部が非反射部58から出射する。このような非反射部58が形成されることによって、第2の光L
2が導光部材51を透過して出射し易くなり、第2の光L
2の利用効率を向上させることができる。
【0068】
また、リフレクタ250では、第2の光L
2を拡散させる第1凸レンズ部59が前記非反射部58に形成される。このような第1凸レンズ部59が形成されることによって、第2の光L
2を広い範囲に照射することができる。したがって、例えば、第2の光L
2をデイタイムランニングランプの光として利用し易くなる。
【0069】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図7を参照して詳細に説明する。なお、第1から第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0070】
図7は、本実施形態の車両用前照灯の一部を
図3と同じ視点で示す断面図である。本実施形態の車両用前照灯は、第1実施形態の車両用前照灯1と同様に3つ灯具からなる。ただし、これら3つの灯具の配置は、第1実施形態の車両用前照灯1と車両における配置が同様とされるため、正面図は
図2と同様である。以下では、本実施形態の車両用前照灯に備えられる灯具のうち車両における配置が灯具1aと同じとされる灯具4aについて説明する。
【0071】
灯具4aは、リフレクタ50にかえてリフレクタ350を有すると共に、第2光源42aが導光部材51の上方に配置される点で灯具1aと異なる。
【0072】
本実施形態のリフレクタ350では、導光部材51の上面に凹んだ凹レンズ部55aが形成されており、当該凹レンズ部55aの表面が入射面55とされる。このように入射面55が凹んでいることによって、入射面55から導光部材51に入射する第2の光L
2を直進させ易くなる。
【0073】
また、リフレクタ350では、内部反射面53sが外側に膨らむように湾曲した面である。このように内部反射面53sが外側に膨らむように湾曲していることによって、内部反射面53sで反射された後の第2の光L
1の発散角が大きくなり過ぎることを抑制できる。
【0074】
以上、本発明について、第1から第4実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、車両用前照灯が3つの灯具を有するものとしたが、灯具の数は3つに限らず、4つ以上でも良く2つでも良い。また、上記実施形態では、灯具が左右方向に並べられたが、複数の灯具の並びかたはこれに限らず、上下方向に並べられても良く、斜めに並んでも良く、コ字状に並べられても良い。
【0076】
また、上記第1実施形態において、反射部材56が第3凸レンズ部54の上部及び下部に設けられる例を挙げて説明したが、反射部材56は第3凸レンズ部54の上部及び下部の一方にのみ設けられていても良く、反射部材56が設けられていなくても良い。また、第2実施形態においては、反射部材56は全ての第3凸レンズ部54の間に設けられる必要はなく、反射部材56は設けられていなくても良い。
【0077】
また、上記第1から第4実施形態のうち第3実施形態でのみ導光部材に非反射部が形成される例を挙げて説明したが、他の実施形態においても同様に導光部材に非反射部が形成されても良い。また、非反射部には、第1凸レンズ部が非形成であっても良い。
【0078】
また、第3実施形態や第4実施形態のように導光部材の上方に第2光源が配置される場合において、導光部材の上部に形成される凸レンズ部または凹レンズ部は、必須の構成要素ではない。
【0079】
また、上記実施形態では、複数の灯具にそれぞれ備えられる第1光源のうちいずれかがロービーム用の光源とされ、他のいずれかがハイビーム用の光源とされる例を挙げて説明した。しかし、本発明は当該形態に限定されず、それぞれの灯具において、ハーフミラー52で反射される光を出射する光源を第1光源とは別に設け、どちらか一方がロービーム用の光源とされる共に他方がハイビーム用の光源とされても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、それぞれの灯具において、リフレクタがトッププレート31に固定されて上方から下方に延在する形状とされた。しかし、本発明はこれに限らず、それぞれの灯具の少なくとも1つを上下反転させた形状とされても良い。