特許第6792392号(P6792392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792392
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20201116BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61M25/06 554
   A61M25/00 632
   A61M25/00 650
   A61M25/00 622
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-187679(P2016-187679)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-50722(P2018-50722A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 太輝人
(72)【発明者】
【氏名】羽室 皓太
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 祐八
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072562(JP,A)
【文献】 特開2016−123742(JP,A)
【文献】 特開2010−137095(JP,A)
【文献】 特開2012−228296(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0260219(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0177119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を有し、当該内腔に挿入されるガイドワイヤを支持するためのカテーテルであって、
遠位側に前記内腔が開口する先端開口部を備える管状の先端部と、
前記先端部の近位側に設けられる管状の中間部と、
前記中間部の近位側に設けられる管状の基部と、を有し、
前記先端部の少なくとも一部の内径は、前記中間部および基部の最少内径よりも小さく、前記中間部は、前記先端部および基部よりも柔軟であり、
前記中間部は、視覚によって識別できる識別部を有するカテーテル。
【請求項2】
前記識別部の近位側端部は、前記中間部と前記基部の連結部よりも遠位側に設けられる請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記先端部は、外径が先端開口部に向かってテーパ状に減少する先端テーパ部を有する請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
線材である補強部をさらに有し、
前記補強部は、前記カテーテルの軸方向において、前記中間部が設けられる範囲と異なる範囲に位置し、かつ前記基部が設けられる範囲に位置する請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項5】
線材である補強部をさらに有し、
前記補強部は、前記カテーテルの軸方向において、前記中間部が設けられる範囲および前記基部が設けられる範囲に位置し、
前記補強部は、前記基部が設けられる範囲で、前記カテーテルの軸方向に分断されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記中間部の内腔に位置するとともに、前記中間部から離れることが可能であって前記先端部に連結されている補助部を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記補助部は、外周面に周方向に延びる溝部を有する請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記先端部または中間部の外周面に、凸部が設けられる請求項1〜7のいずれか1項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔内へ挿入されるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の生体管腔の狭窄部を、経皮的に生体管腔に挿入する処置用デバイス(バルーンカテーテルやステント留置用カテーテルなど)により治療する方法が知られている。この方法では、狭窄部を貫通可能なガイドワイヤと、ガイドワイヤを支持するサポートカテーテルと、処置用デバイスを保護しつつ病変部まで運ぶガイディングカテーテルとを用いる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
サポートカテーテルは、ガイドワイヤを挿入可能な内腔の内周面と、ガイドワイヤとの間のクリアランスが小さい。このため、ガイドワイヤをサポートカテーテルに挿入すると、ガイドワイヤおよびサポートカテーテルが撓み難くなる。これにより、ガイドワイヤおよびサポートカテーテルは、貫通性能が高まり、狭窄部を貫通することができる。なお、ガイドワイヤとサポートカテーテルのクリアランスが大きいと、ガイドワイヤおよびサポートカテーテルは、狭窄部へ突き当てた際に撓みやすく、貫通性能が低下する。
【0004】
一方で、ガイディングカテーテルは、処置用デバイスを運ぶために広い内腔が必要である。このため、内腔の狭いサポートカテーテルをガイディングカテーテルとして使用することは困難である。例えば、内腔の内径が1.2mm以下のカテーテルに、処置用デバイスであるバルーンカテーテル等を通過させることは困難である。したがって、サポートカテーテルを用いてガイドワイヤを狭窄部に貫通させた後、サポートカテーテルを抜去し、ガイドワイヤに沿ってガイディングカテーテルを病変部まで挿入する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−87643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、狭窄部を治療するためには、通常、ガイドワイヤを支持するサポートカテーテルと、処置用デバイスを保護しつつ病変部まで運ぶためのガイディングカテーテルが必要である。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、1本でサポートカテーテルとガイディングカテーテルの機能を発揮できるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するカテーテルは、内腔を有するカテーテルであって、遠位側に前記内腔が開口する先端開口部を備える管状の先端部と、前記先端部の近位側に設けられる管状の中間部と、前記中間部の近位側に設けられる管状の基部と、を有し、前記先端部の少なくとも一部の内径は、前記中間部および基部の最少内径よりも小さく、前記中間部は、前記先端部および基部よりも柔軟であり、前記中間部は、視覚によって識別できる識別部を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成したカテーテルは、内径の小さい先端部を利用してサポートカテーテルとして使用した後、先端部の近位側に位置して先端部および基部よりも柔軟である中間部を切断して、内径の小さい先端部を切り離すことができる。これにより、本カテーテルは、柔軟な中間部を先端チップとするガイディングカテーテルとしても使用することができる。このため、本カテーテルは、1本でサポートカテーテルとガイディングカテーテルの機能を発揮できる。
また、前記中間部は、視覚によって識別できる識別部を有している。これにより、切断する位置を容易に識別でき、適切な位置を確実に切断できる。
前記識別部の近位側端部は、前記中間部と前記基部の連結部よりも遠位側に設けられてもよい。
【0010】
また、前記先端部は、外径が先端開口部に向かってテーパ状に減少する先端テーパ部を有してもよい。これにより、カテーテルを生体管腔内の狭窄部に押し込むことで、先端テーパ部の遠位側に位置する先端開口部が狭窄部の中心に誘導される。このため、カテーテルの内腔を通して先端開口部から遠位側へガイドワイヤを突出させることで、ガイドワイヤを狭窄部の中心に押し当てることができる。
【0011】
また、前記カテーテルは、線材である補強部をさらに有し、前記補強部は、前記カテーテルの軸方向において、前記中間部が設けられる範囲と異なる範囲に位置し、前記基部が設けられる範囲に位置してもよい。これにより、補強部により基部の剛性を高めて生体管腔内での押し込み性、耐キンク性、トルク伝達性を高めつつ、中間部を切断可能とすることができる。また、中間部は、補強部が位置しないため、中間部を切断後に切断面から補強部が露出しない。このため、切断後の中間部と接触する生体組織の損傷を抑制し、安全性を高めることができる。
【0012】
また、前記カテーテルは、線材である補強部をさらに有し、前記補強部は、前記カテーテルの軸方向において、前記中間部が設けられる範囲および前記基部が設けられる範囲に位置し、前記補強部は、前記基部が設けられる範囲で、前記カテーテルの軸方向に分断されていてもよい。これにより、中間部を切断した後、先端部側の中間部を基部から離すと、切断された中間部とともに、分断されて遠位側に位置する補強部が取り除かれる。これにより、中間部に補強部が設けられても、基部に連結される中間部の切断面から補強部が露出しない。このため、中間部と接触する生体組織の損傷を抑制し、安全性を高めることができる。また、切断前の中間部が、補強部により補強されているため、中間部が撓み難くなる。このため、カテーテルのガイドワイヤを支持する機能が向上する。
【0014】
また、前記カテーテルは、前記中間部の内腔に位置するとともに、前記中間部から離れることが可能であって前記先端部に連結されている補助部を有してもよい。これにより、補助部により中間部を支持しつつ中間部を切断できるため、中間部の切断が容易となる。また、補助部が、柔軟な中間部を支持するため、中間部が撓み難くなる。このため、カテーテルのガイドワイヤを支持する機能が向上する。
【0015】
また、前記補助部は、外周面に周方向に延びる溝部を有してもよい。これにより、中間部と接触する生体組織の損傷をさらに抑制し、安全性を高めることができる。
【0016】
また、前記先端部または前記中間部の外周面に、凸部が設けられてもよい。これにより、カテーテルを他の外カテーテルに挿入して使用する際に、凸部が外カテーテルの内周面に接触する。これにより、外カテーテルによって支持されるカテーテルの位置が安定し、カテーテルによりガイドワイヤを支持する機能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るカテーテルを示す平面図である。
図2】カテーテルの先端部を示す断面図であり、(A)は切断前、(B)は切断後を示す。
図3】カテーテルを血管内に挿入した状態を示す断面図であり、(A)は血管内にガイドワイヤを挿入した状態、(B)ガイドワイヤに沿ってカテーテルを血管内に挿入した状態を示す。
図4】カテーテルを血管内に挿入した状態を示す断面図であり、(A)はカテーテルで支持されたガイドワイヤを狭窄部に押し込んだ状態、(B)は中間部を切断したカテーテルを血管内に挿入した状態を示す。
図5】カテーテルを血管内に挿入した状態を示す断面図であり、(A)はカテーテルの内腔を介してバルーンカテーテルを血管内に挿入した状態、(B)はバルーンカテーテルにより狭窄部を広げた状態を示す。
図6】変形例であるカテーテルの先端部を示す断面図であり、(A)は第1の変形例、(B)は第2の変形例、(C)は第3の変形例、(D)は第4の変形例を示す。
図7】第5の変形例であるカテーテルの先端部を示す断面図であり、(A)は中間部を切断する前の状態、(B)は中間部を切断した後の状態、(C)は切断した部位を取り除いた状態を示す。
図8】変形例であるカテーテルの先端部を示す断面図であり、(A)は第6の変形例、(B)は第7の変形例である。
図9】第8の変形例であるカテーテルの先端部を示す断面図であり、(A)は中間部を切断する前の状態、(B)は中間部を切断した後の状態を示す。
図10】第9の変形例であるカテーテルの先端部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。以下の説明において、カテーテルの手元側を「近位側」、生体内へ挿入される側を「遠位側」と称す。
【0021】
本実施形態に係るカテーテル10は、ガイドワイヤを支持するサポートカテーテルとしての機能と、処置用デバイスを病変部まで運ぶためのガイディングカテーテルとしての機能を有している。サポートカテーテルは、血管(生体管腔)内の狭窄部(閉塞部を含む)を貫通するガイドワイヤを支持するためのカテーテルである。ガイディングカテーテルは、処置用デバイスを病変部まで運ぶためのカテーテルである。処置用デバイスは、特に限定されないが、例えばバルーンカテーテルや、収縮状態のステントを狭窄部まで搬送して拡径し、狭窄部を拡張して維持するためのステント運搬カテーテルである。
【0022】
カテーテル10は、図1、2に示すように、管状のカテーテル本体20と、カテーテル本体20の近位側に位置する線状のシャフト30と、シャフト30の近位側に位置する把持部40とを備えている。カテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)のカテーテル10である。カテーテル10は、一般的なガイディングカテーテルである外カテーテル80と組み合わせて使用される。外カテーテル80は、管状の外カテーテル本体81と、外カテーテル本体81の近位側に位置する外カテーテルハブ82と、外カテーテル本体81の遠位側に位置する先端チップ83を有している。外カテーテル本体81は、カテーテル本体20を挿入可能な内腔を有する。
【0023】
把持部40は、手技の際に体外に位置し、手技者が手で把持して操作する部位である。把持部40を把持して操作することで、血管内に挿入したカテーテル10を軸心に沿って進退させたり、軸心を中心に回転させたりすることができる。
【0024】
シャフト30は、把持部40とカテーテル本体20を接続する部位である。シャフト30は、把持部40に作用する力を、カテーテル本体20へ伝達する。シャフト30の先端部は、カテーテル本体20の近位側端部の外周面に固定される。シャフト30の構成材料は、例えば、ステンレス鋼、NiTi合金等の金属である。
【0025】
カテーテル本体20は、可撓性を有する長尺な管体である。カテーテル本体20は、そのほぼ中心部に、カテーテル本体20の全長にわたって、ルーメン21(内腔)が設けられている。カテーテル本体20は、遠位側に位置する先端部50と、中間部60と、基部70とを有する。
【0026】
先端部50は、カテーテル本体20の最も遠位側に位置する。先端部50は、ルーメン21に挿入されるガイドワイヤを支持する管状の部位である。先端部50は、遠位側にルーメン21が開放する先端開口部51を備える。先端部50は、遠位側の外周面に先端テーパ部52を有する。先端テーパ部52は、外径が遠位側に向かってテーパ状に減少する。先端開口部51は、先端テーパ部52の最遠位部で開口している。先端部50は、第1内周面53と、第2内周面54を有する。第1内周面53は、軸方向に内径が一定であり、先端開口部51に連通する。第2内周面54は、第1内周面53の近位側に位置する。第2内周面54の内径は、遠位側に向かってテーパ状に減少し、第1内周面53と連なる位置で、第1内周面53の内径と一致する。第1内周面53は、挿入されるガイドワイヤとの間のクリアランスが小さい。このため、第1内周面53は、ガイドワイヤを撓まないように支持することができる。第2内周面54は、テーパ状であるため、内部にガイドワイヤを挿入することが容易である。
【0027】
先端テーパ部52の中心軸に対する傾斜角度は、適宜設定されるが、例えば30〜60度である。先端部50の軸方向の長さは、適宜設定されるが、例えば3〜10mmである。
【0028】
第1内周面53の内径は、使用するガイドワイヤの外径によって適宜設定されるが、例えば0.5〜1.0mmである。第1内周面53と挿入されるガイドワイヤとの間のクリアランスは、適宜設定されるが、例えば0.05〜0.15mmである。
【0029】
先端部50の構成材料は、ガイドワイヤを支持できる剛性を備えることが好ましく、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)が好適である。
【0030】
中間部60は、先端部50の近位側に設けられる管状の部位である。中間部60は、一定の内径および外径を有している。中間部60の内部の第3内周面61の内径は、第2内周面54の近位側の内径と一致する。第3内周面61の内径は、第1内周面53の内径よりも大きい。
【0031】
中間部60は、先端部50および基部70よりも柔らかい材料により構成される。材料の硬さは、例えば、ISO868に準じて測定されるデュロメータ試験のショアA硬度またはショアD硬度である。このため、中間部60は、中心軸と略直交する面で、基部70よりも容易に切断可能である(図2(B)を参照)。また、中間部60は、柔軟であるため、切断された後に、接触する生体組織を傷つけない。中間部60の外周面には、切断可能な位置を視認可能とするための識別部62(図1の網掛け部を参照)が設けられる。識別部62は、例えば、周囲と異なる色で表示される。識別部62は、中間部60の外周面の全体に設けられてもよいが、一部に設けられてもよい。なお、中間部60は、切断される際に、基部70に連結された部位が部分的に残る必要がある。中間部60の基部70に連結されて残される部位は、生体組織に柔軟に接触する先端チップとなる。このため、識別部62は、中間部60の近位側の外表面に設けられなくてもよい。これにより、切断した後に、中間部60の基部70に連結される部位を確実に残すことができる。識別部は、視認可能であれば、周囲と異なる色でなくてもよい。例えば、識別部は、溝や凹部のような視認できる形状であってもよい。識別部は、外周面に360度にわたって設けられる溝であれば、刃を導きやすく、切断も容易となる。
【0032】
中間部60の外径は、適宜設定されるが、例えば1.3〜2.0mmである。中間部60の内径は、適宜設定されるが、例えば1.2〜1.8mmである。中間部60の軸方向の長さは、適宜設定されるが、好ましくは1〜20mm、より好ましくは3〜8mm、さらに好ましくは4〜6mmである。中間部60が長すぎると、中間部60でカテーテル本体20が撓みやすくなり、サポートカテーテルとしての機能が低下する。中間部60が短すぎると、切断が困難となる。また、中間部60が短すぎると、切断後の先端チップが短くなり、接触する生体組織を傷つけやすくなる。
【0033】
中間部60の構成材料は、切断しやすく、かつ接触する生体組織が損傷しないように柔軟性に富む材料であることが好ましい。中間部60の構成材料は、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが好適である。
【0034】
中間部60は、X線不透過材料(X線造影剤)を構成材料中に含んでもよい。X線不透過材料を含むことで、X線透視下で位置を確認できる。X線不透過材料は、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等である。X線不透過材料を構成材料中に配合する比率は、例えば、30〜80wt%である。
【0035】
基部70は、中間部60の近位側に設けられる管状の部位である。基部70は、近位側の端面にルーメン21が開放する基端開口部71を備える。基部70は、一定の内径および外径を有している。基部70の内径および外径は、中間部60の内径および外径と一致する。基部70の内部の第4内周面72の内径は、第1内周面53の内径よりも大きい。なお、基部70の内径は、中間部60の内径と一致しなくてもよい。また、基部70の外径は、中間部60の外径と一致しなくてもよい。例えば、基部70の内径および外径は、遠位側に向かって減少してもよい。基部70は、内層73と、外層74と、補強部75とを有している。内層73は、ルーメン21を形成する第4内周面72を備える。外層74は、内層73の外側に、内層73と同軸的に設けられる。補強部75は、内層73および外層74の間に位置する。
【0036】
内層73の構成材料は、ルーメン21内で処置用デバイスやガイドワイヤ等の医療器具を移動させやすいように、低摩擦な材料であることが好ましい。このため、医療器具の通過性が良好となり、操作性が向上する。内層73を構成する低摩擦材料は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂材料が挙げられる。なお、内層73の構成材料は、低摩擦材料に限定されず、各種樹脂材料を適用できる。
【0037】
外層74の構成材料は、可撓性を備えることが好ましく、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)を用いることができる。
【0038】
補強部75は、基部70を補強する部位である。補強部75は、複数の補強線を有している。補強部75における複数の補強線の隙間には、外層74あるいは内層73の材料が入り込んでいる。補強部75は、例えば、補強線をらせん状や網状にしたものである。補強線の構成材料は、例えば、ステンレス鋼、NiTi合金等の金属、または樹脂である。補強線は、例えば線材を平板状に潰し加工した平板である。補強線が平板であれば、基部70の径方向の肉厚を薄くできる。なお、補強線は、平板状の線材に限定されず、例えば、丸線、楕円線でもよい。また、各補強線は、二本以上の補強線を束にされたものでもよい。
【0039】
なお、基部70を構成する層の数や各層の構成材料、補強線の有無等は、基部70の軸方向に沿って異なっていてもよい。また、基部70は、補強部75を有さなくてもよい。また、先端部50や中間部60も、複数層で構成されてもよい。
【0040】
カテーテル本体20は、少なくとも一部が湾曲していてもよい。カテーテル本体20が湾曲していると、回転させることで押し込む方向を選択可能となる。これにより、湾曲する血管での通過性が向上する。また、カテーテル本体20は、湾曲していると、血管の壁面に係合(エンゲージ)しやすくなる。
【0041】
次に、本実施形態に係るカテーテル10の使用方法を、血管内の狭窄部Nをバルーンカテーテル100(処置用デバイス)により押し広げる場合を例として説明する。カテーテル10は、当該カテーテル10を挿入可能な外カテーテル80とともに使用される。なお、カテーテル10は、外カテーテル80とともに使用されなくてもよい。
【0042】
まず、血管内へ経皮的にイントロデューサシース(図示せず)を挿入し、このイントロデューサシースを介して、図3(A)に示すように、ガイドワイヤ90を血管内へ挿入する。次に、ガイドワイヤ90を押し進め、狭窄部Nまで到達させる。
【0043】
次に、外カテーテル80の内部にカテーテル10を挿入して貫通させる。次に、体外に位置するガイドワイヤ90の基端部を、カテーテル10の先端開口部51からルーメン21に挿入する。続いて、ガイドワイヤ90に沿って、カテーテル10を外カテーテル80とともに遠位方向へ移動させ、イントロデューサシースを介して血管内に挿入する。この後、カテーテル10を外カテーテル80とともに遠位方向へ押し進め、図3(B)に示すように、狭窄部Nの近くに到達させる。中間部60がX線不透過材料を含んでいれば、中間部60の位置をX線透視下で容易に確認できる。
【0044】
次に、把持部40を操作して、カテーテル10を遠位方向へ移動させる。これにより、先端テーパ部52が狭窄部Nに押し込まれる。これにより、テーパ形状の先端テーパ部52の最遠位側で開口する先端開口部51が、血管内腔の中心(狭窄部Nの中心)に位置決めされる。次に、カテーテル10をこの状態で維持しつつ、ガイドワイヤ90を遠位方向へ押し込む。これにより、図4(A)に示すように、狭窄部Nの中心に位置決めされた先端開口部51からガイドワイヤ90が突出し、狭窄部Nの中心に押し当たることができる。この後、さらにガイドワイヤ90を遠位方向へ押し込む。このとき、先端部50は、中間部60よりも硬く、かつ先端部50の第1内周面53とガイドワイヤ90の間のクリアランスが小さいため、ガイドワイヤ90が撓み難く、押し込み力が逃げ難い。また、外カテーテル80に支持されるカテーテル10により、ガイドワイヤ90を支持するため、さらにガイドワイヤ90が撓み難く、押し込み力が逃げ難い。このため、狭窄部Nを通過するのに十分な押し込み力を、手元からガイドワイヤ90の先端部50に良好に伝達できる。したがって、ガイドワイヤ90が、狭窄部Nを容易に貫通することができる。このように、カテーテル10は、ガイドワイヤ90を支持するサポートカテーテルとして機能する。
【0045】
ガイドワイヤ90が狭窄部Nを貫通した後、ガイドワイヤ90を残して、カテーテル10を外カテーテル80から引き抜く。これにより、カテーテル10は、体外に位置する。次に、図2(B)に示すように、ハサミ、メス、ナイフ、または電熱線等の切断手段により、中間部60を、その中心軸と交差する断面で切断する。このとき、中間部60の外表面に識別部62が設けられているため、中間部60の適切な位置を容易に切断できる。これにより、カテーテル本体20は、基部70の遠位側に、柔軟な中間部60の一部が連結された状態となる。切断面よりも遠位側の先端部50および中間部60の一部は、破棄される。これにより、カテーテル本体20は、内径の小さい先端部50が取り除かれる。
【0046】
次に、体外に位置するガイドワイヤ90の基端部を、カテーテル10のルーメン21に挿入する。次に、ガイドワイヤ90に沿って、外カテーテル80の内部にカテーテル10を挿入する。続いて、カテーテル10を遠位方向へ移動させ、図4(B)に示すように、狭窄部Nの近くに到達させる。このとき、カテーテル10の最遠位側に位置する中間部60は、先端部50および基部70よりも柔軟な材料により構成されている。このため、湾曲、屈曲、分岐した血管内でカテーテル10を押し進めても、柔軟な中間部60が血管に接触する。このため、カテーテル10を、血管内で円滑かつ安全に移動させることができる。また、中間部60がX線不透過材料を含んでいれば、中間部60の位置をX線透視下で容易に確認できる。
【0047】
次に、外カテーテル80の基端開口部からバルーンカテーテル100を挿入する。続いて、外カテーテル80の内腔に位置するカテーテル本体20の基端開口部71から、ルーメン21にバルーンカテーテル100を挿入する。このとき、カテーテル10は、ガイディングカテーテルとして機能する。したがって、カテーテル10は、バルーンカテーテル100を、ルーメン21を通して狭窄部Nの近くまで容易に導くことができる。カテーテル10は、内径の小さい先端部50が取り除かれているため、ルーメン21の遠位側の開口部から、バルーンカテーテル100を血管内へ導出させることができる。この後、図5(A)に示すように、バルーンカテーテル100を狭窄部Nに挿入する。この後、図5(B)に示すように、バルーン101を拡張させて、狭窄部Nを押し広げることができる。
【0048】
次に、バルーン101を収縮させる。続いて、バルーン101をカテーテル10のルーメン21内に引き込み、近位側へ移動させ、血管から抜去する。この後、カテーテル10を血管から引き抜き、処置が完了する。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るカテーテル10は、内腔を有するカテーテル10であって、遠位側に内腔が開口する先端開口部51を備える管状の先端部50と、先端部50の近位側に設けられる管状の中間部60と、中間部60の近位側に設けられる管状の基部70と、を有し、先端部50の少なくとも一部の内径は、中間部60および基部70の最少内径よりも小さく、中間部60は、先端部50および基部70よりも柔軟である。上記のように構成したカテーテル10は、内径の小さい先端部50を利用してサポートカテーテルとして使用した後、先端部50の近位側に位置して基部70よりも柔軟である中間部60を切断して、内径の小さい先端部50を切り離すことができる。これにより、本カテーテル10は、処置用デバイスを搬送するガイディングカテーテルとしても使用することができる。このため、本カテーテル10は、1本でサポートカテーテルとガイディングカテーテルの機能を発揮できる。ところで、カテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型であり、オーバーザワイヤ型よりも押し込み力を作用させ難い。しかしながら、ラピッドエクスチェンジ型を採用することで、血管への挿入および抜去が容易となり、中間部60での切断が容易である。
【0050】
また、先端部50は、外径が先端開口部51に向かってテーパ状に減少する先端テーパ部52を有する。これにより、カテーテル10を生体管腔内の狭窄部Nに押し込むと、先端テーパ部52の遠位側に位置する先端開口部51が狭窄部Nの中心に誘導される。このため、カテーテル10の内腔を通して先端開口部51から遠位側へガイドワイヤ90を突出させることで、ガイドワイヤ90を狭窄部Nの中心に押し当てることができる。
【0051】
また、本カテーテル10は、線材である補強部75をさらに有し、補強部75は、カテーテル10の軸方向において、中間部60が設けられる範囲と異なる範囲に位置し、かつ基部70が設けられる範囲に位置する。これにより、補強部75により基部70の剛性を高めて血管内での押し込み性(プッシャビリティ)、耐キンク性、トルク伝達性を高めつつ、中間部60を切断可能とすることができる。また、中間部60は、補強部75が位置しないため、中間部60を切断後に切断面から補強部75が露出しない。このため、切断後の中間部60と接触する生体組織の損傷を抑制し、安全性を高めることができる。
【0052】
また、中間部60は、視覚によって識別できる識別部62を有する。これにより、切断する位置を容易に識別でき、適切な位置を確実に切断できる。
【0053】
また、上記のカテーテル10の使用方法は、ガイドワイヤ90をカテーテル10の内腔に挿入し、先端部50でガイドワイヤ90を支持するステップと、ガイドワイヤ90をカテーテル10から引き抜くステップと、カテーテル10を中間部60で切断するステップと、カテーテル10の内腔に近位側から処置用デバイスを挿入するステップと、を有する。上記のように構成したカテーテル10の使用方法は、ガイドワイヤ90を先端部50で支持してガイドワイヤ90を操作した後、中間部60を切断し、処置用デバイスを搬送するために使用することができる。このため、本カテーテル10を、ガイドワイヤ90を支持するためだけでなく、ガイディングカテーテルとしても使用できる。
【0054】
また、ガイドワイヤ90を支持するステップにおいて、カテーテル10を他の外カテーテル80に挿入し、外カテーテル80によりカテーテル10を支持しつつ先端部50でガイドワイヤ90を支持してもよい。これにより、外カテーテル80によって支持されるカテーテル10の位置が安定し、カテーテル10によりガイドワイヤ90を支持する機能が向上する。このため、ガイドワイヤ90の狭窄部Nに対する高い押し込み力を得ることができる。
【0055】
また、本発明は、上記のカテーテル10を用いた処置方法(治療方法)をも含む。当該処置方法は、生体管腔内でガイドワイヤ90をカテーテル10の内腔に挿入した状態とするステップと、先端部50を生体管腔内の狭窄部Nに押し付けつつ、ガイドワイヤ90を狭窄部Nに押し込むステップと、カテーテル10を生体管腔内から引き抜くステップと、カテーテル10を中間部60で切断するステップと、カテーテル10を生体管腔内に挿入するステップと、カテーテル10の内腔に近位側から処置用デバイスを挿入するステップと、を有する。上記のように構成した処置方法は、ガイドワイヤ90を狭窄部Nに押し込むために使用したカテーテル10の中間部60を切断し、カテーテル10を処置用デバイスを搬送するために使用することができる。このため、本処置方法は、1本のカテーテル10でガイドワイヤ90の支持と処置用デバイスの搬送を行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0057】
例えば、図6(A)に示す第1の変形例のように、先端部110の内径が小さい第1内周面111が、先端部110の全体にわたって位置してもよい。なお、前述の実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。これにより、先端部110のガイドワイヤ90を支持する範囲が広がり、サポートカテーテルとしての機能が向上する。そして、内径が遠位側へ向かってテーパ状に減少する第2内周面121は、中間部120に位置する。このように、中間部120の遠位側の内径が、中間部120の近位側の内径よりも小さくてもよい。
【0058】
また、図6(B)に示す第2の変形例のように、先端部130の外周面131および内周面132が、カテーテルの径方向外側へ向かって凸となる曲面であってもよい。これにより、先端部130の第1内周面53が設けられる位置が肉厚となり、ガイドワイヤ90を強固に支持することができる。このため、サポートカテーテルとしてガイドワイヤ90を支持する機能が向上する。このため、ガイドワイヤ90の狭窄部Nに対する高い押し込み力を得ることができる。また、先端部130の外周面131が滑らかとなるため、生体組織の損傷を抑制でき、安全性が向上する。
【0059】
また、図6(C)に示す第3の変形例のように、先端部140の最も遠位部は、内径および外径が一定の筒状であってもよい。これにより、先端開口部51が設けられる位置に、外径が一定の範囲が設けられる。このため、ガイドワイヤ90を支持できる長さ(第1内周面141の軸方向の長さ)を任意に設定でき、設計の自由度が向上する。
【0060】
また、図6(D)に示す第4の変形例のように、先端部150は、最も内径の小さい部位である第1内周面151が、カテーテルの軸方向に長さを持たなくてもよい。また、テーパ状の第2内周面152の傾斜角度が、外周面153の傾斜角度と異なってもよい。
【0061】
また、図7(A)に示す第5の変形例のように、中間部60の内腔に、中間部60に連結されていない補助部160が設けられてもよい。補助部160は、略円筒形状であり、遠位側の端部が先端部170に融着または接着により固定されている。補助部160の外周面には、周方向に360度にわたって溝部161が設けられている。中間部60の外周面の溝部161に対応する位置には、溝部161の位置を視覚により識別できるように、識別部62が設けられることが好ましい。補助部160は、柔軟な中間部60を支持するため、中間部60が撓み難くなる。このため、ガイドワイヤ90を支持するサポートカテーテルとしての機能が向上する。中間部60を切断する際には、図7(B)に示すように、補助部160により中間部60を支持しつつ中間部60を切断できるため、刃の押圧力により中間部60が逃げ難くなり、切断が容易となる。また、溝部161に沿って中間部60を切断できるため、適切な位置で確実に切断が可能である。また、中間部60を切断する際に、中間部60が溝部161に入り込み、中間部60の切断面の外縁が鋭利でなくなる。このため、中間部60と接触する生体組織の損傷をさらに抑制し、安全性を高めることができる。補助部160は、中間部60に連結されておらず、中間部60から離れることができる。このため、中間部60を切断後、図7(C)に示すように、先端部170を取り除くことができる。なお、図7(A)では、補助部160の外周面は、中間部60の内周面に接触していないが、接触してもよい。補助部160が中間部60に接触することで、柔軟な中間部60をより強く支持でき、ガイドワイヤ90を支持するサポートカテーテルとしての機能が向上する。なお、図6では、溝部161の形状は、切断する刃が沿いやすいように、カテーテル10の中心軸を通る断面において、深さ方向に鋭角となっている。しかしながら、溝部の形状は、これに限定されない。したがって、溝部161の縁部162が、滑らかな曲面で形成されてもよい。
【0062】
また、図8(A)に示す第6の変形例のように、中間部180は、基部70よりも薄いことで、基部70よりも柔軟であってもよい。この場合、中間部180の構成材料は、基部70と同じであってもよい。すなわち、中間部180は、構成材料により柔軟となるのではなく、構造的に柔軟であってもよい。
【0063】
また、図8(B)に示す第7の変形例のように、中間部190は、基部70と同じ内層73および外層74を有してもよい。中間部190は、補強部75が設けられないことで、基部70よりも柔軟とすることができる。
【0064】
また、図9(A)に示す第8の変形例のように、補強部200は、カテーテル10の軸方向において、中間部60が設けられる範囲および基部70が設けられる範囲に位置してもよい。なお、補強部200は、カテーテル10の軸方向において、先端部50が設けられる範囲に位置しても、位置しなくてもよい。補強部200の各々の線材は、基部70が設けられる範囲に位置する分断面Dで、カテーテル10の軸方向に分断(切断)されている。これにより、中間部60を切断した後、先端部50側の中間部60を基部70から離すと、図9(B)に示すように、切断された中間部60とともに、分断されて遠位側に位置する補強部200Aが取り除かれる。これにより、中間部60に補強部200が設けられても、基部70に連結される中間部60の切断面から線材が露出しない。このため、中間部60と接触する生体組織の損傷を抑制し、安全性を高めることができる。また、切断前の中間部60が、補強部200により補強されているため、中間部60が撓み難くなる。これにより、ガイドワイヤ90を支持するサポートカテーテルとしての機能が向上する。なお、中間部60を切断する際に、中間部60の補強部200よりも内周面側の部位は、刃が通らず切断が困難である。しかしながら、中間部60は柔軟であるため、切断した部位から切断面が進展し、中間部60の全体を切断できる。または、中間部60の補強部200よりも内側(内周面側)に、切断を促すための切り込みが、360度にわたって、または部分的に設けられてもよい。なお、中間部60に位置する補強部は、引き抜きやすいように、例えば軸方向に直線的に延びる線材であってもよい。したがって、中間部60に位置する補強部は、基部70に位置する補強部と異なる構造を有してもよい。
【0065】
また、図10に示す第9の変形例のように、先端部210の外周面に、径方向外側へ突出する凸部211が設けられてもよい。凸部211は、外周面の周方向に360度にわたって設けられるが、部分的に設けられてもよい。これにより、カテーテル10を他の外カテーテル80に挿入して使用する際に、凸部211が外カテーテル80の内周面に接触する。このため、ルーメン21に挿入したガイドワイヤ90を押し込む際に、カテーテル10を他の外カテーテル80の内腔に挿入し、外カテーテル80によりカテーテル10を支持しつつ、ガイドワイヤ90を狭窄部Nに押し込むことができる。これにより、外カテーテル80によって支持されるカテーテル10の位置が安定し、カテーテル10によりガイドワイヤ90を支持する機能が向上する。なお、カテーテル10の外周面の凸部211は、先端部ではなく、中間部に位置してもよい。
【0066】
また、カテーテル10の用途は、生体管腔内へ挿入されて使用されるものであれば、特に限定されない。生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。
【0067】
また、カテーテルは、オーバーザワイヤ型(Over the wire type)のカテーテルであってもよい。
【0068】
また、カテーテル本体の先端開口部が設けられる遠位側の端面は、テーパ状に突出せずに平坦な平面であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 カテーテル、
20 カテーテル本体、
21 ルーメン(内腔)、
50、110、130、140、150、170、210 先端部、
51 先端開口部、
52 先端テーパ部、
60、120、180、190 中間部、
62 識別部、
70 基部、
71 基端開口部、
75、200 補強部、
80 外カテーテル、
90 ガイドワイヤ、
100 バルーンカテーテル(処置用デバイス)、
160 補助部、
161 溝部、
211 凸部、
N 狭窄部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10