特許第6792393号(P6792393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

特許6792393部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム
<>
  • 特許6792393-部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム 図000002
  • 特許6792393-部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム 図000003
  • 特許6792393-部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム 図000004
  • 特許6792393-部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム 図000005
  • 特許6792393-部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792393
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20201116BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H05K13/08 Z
   G05B19/418 Z
   G05B19/418 P
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-188226(P2016-188226)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-56231(P2018-56231A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利也
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−181174(JP,A)
【文献】 特開2001−134865(JP,A)
【文献】 特開2013−258255(JP,A)
【文献】 特開2014−049029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に部品を実装するための部品実装ラインを構成する複数の装置の稼働を地震発生時に緊急停止させる部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムにおいて、
外部機関から発信されるS波予測到達時刻情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信機と、
前記緊急地震速報受信機で受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記部品実装ラインの各装置の現在の稼働状態を判定して前記残り時間内に前記各装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行う緊急停止手段と
を備え
前記装置が部品実装機である場合、前記停止後の復旧が容易な状態とは、部品実装動作が終了して吸着ノズルが上昇した状態であることを特徴とする部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【請求項2】
回路基板に部品を実装するための部品実装ラインを構成する複数の装置の稼働を地震発生時に緊急停止させる部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムにおいて、
外部機関から発信されるS波予測到達時刻情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信機と、
前記緊急地震速報受信機で受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記部品実装ラインの各装置の現在の稼働状態を判定して前記残り時間内に前記各装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行う緊急停止手段と
前記部品実装ラインの各装置とネットワークで接続された生産管理コンピュータと
を備え、
前記生産管理コンピュータは、前記残り時間算出手段及び前記緊急停止手段としても機能し、前記生産管理コンピュータから前記部品実装ラインの各装置に前記即時緊急停止又は前記非即時緊急停止の指令を送信する、部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムであって、
前記部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)を記録又は記憶した基板ID記録部が設けられ、
前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板ID記録部から基板IDを読み取って前記生産管理コンピュータに送信する基板ID読取り手段を備え、
前記生産管理コンピュータは、前記緊急停止手段が前記部品実装ラインの各装置を緊急停止させたときに前記部品実装ラインの各装置内に搬入されている回路基板の基板IDを各装置の識別情報と緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報としてデータベースに保存して管理することを特徴とする部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【請求項3】
回路基板に部品を実装するための部品実装ラインを構成する複数の装置の稼働を地震発生時に緊急停止させる部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムにおいて、
外部機関から発信されるS波予測到達時刻情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信機と、
前記緊急地震速報受信機で受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記部品実装ラインの各装置の現在の稼働状態を判定して前記残り時間内に前記各装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行う緊急停止手段と
前記部品実装ラインの各装置とネットワークで接続された生産管理コンピュータと
を備え、
前記生産管理コンピュータは、前記残り時間算出手段としても機能し、算出した前記残り時間の情報を前記部品実装ラインの各装置に送信し、
前記部品実装ラインの各装置の制御部は、それぞれ前記緊急停止手段としても機能し、各装置毎に前記生産管理コンピュータから受信した前記残り時間に基づいて前記即時緊急停止か前記非即時緊急停止かを判定する、部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムであって、
前記部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)を記録又は記憶した基板ID記録部が設けられ、
前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板ID記録部から基板IDを読み取って前記生産管理コンピュータに送信する基板ID読取り手段を備え、
前記生産管理コンピュータは、前記緊急停止手段が前記部品実装ラインの各装置を緊急停止させたときに前記部品実装ラインの各装置内に搬入されている回路基板の基板IDを各装置の識別情報と緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報としてデータベースに保存して管理することを特徴とする部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【請求項4】
前記部品実装ラインの各装置とネットワークで接続された生産管理コンピュータを備え、
前記生産管理コンピュータは、前記残り時間算出手段及び前記緊急停止手段としても機能し、前記生産管理コンピュータから前記部品実装ラインの各装置に前記即時緊急停止又は前記非即時緊急停止の指令を送信することを特徴とする請求項1又は3に記載の部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【請求項5】
前記部品実装ラインの各装置とネットワークで接続された生産管理コンピュータを備え、
前記生産管理コンピュータは、前記残り時間算出手段としても機能し、算出した前記残り時間の情報を前記部品実装ラインの各装置に送信し、
前記部品実装ラインの各装置の制御部は、それぞれ前記緊急停止手段としても機能し、各装置毎に前記生産管理コンピュータから受信した前記残り時間に基づいて前記即時緊急停止か前記非即時緊急停止かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【請求項6】
前記部品実装ラインの各装置の制御部は、それぞれ前記残り時間算出手段及び前記緊急停止手段としても機能し、各装置毎に前記残り時間を算出して前記即時緊急停止か前記非即時緊急停止かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品実装ラインの地震発生時緊急停止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装ラインを構成する複数の装置の稼働を地震発生時に緊急停止させる部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2014−49029号公報)に記載されているように、ワークを加工する工作機械の分野では、地震発生時に、気象庁等の外部機関から配信される緊急地震速報を工場で受信して工作機械の稼働を緊急停止させるシステムが提案されている。この工作機械の地震発生時緊急停止システムでは、緊急地震速報によって工作機械の稼働を緊急停止させる際に、機械軸、工具、ワークが損傷しない位置で停止させることを目的として、ワーク加工中か、ワーク交換中か、工具交換中かを判定して、ワーク加工中の場合は、機械軸を逆移動させて工具をワークの非加工位置まで戻してから機械軸を停止させ、ワーク交換中の場合は、ワーク交換終了後に機械軸を停止させ、工具交換中の場合は、工具交換終了後に機械軸を停止させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−49029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板に電子部品を実装する部品実装ラインの分野においても、工作機械と同様に、地震発生時に部品実装ラインの各装置の稼働を緊急停止させるシステムの開発がユーザーから要求されるようになってきている。
【0005】
上述した特許文献1の工作機械の地震発生時緊急停止システムでは、緊急地震速報を受信したときに、ワーク加工中の場合は、機械軸を逆移動させて工具をワークの非加工位置まで戻してから機械軸を停止させ、ワーク交換中の場合は、ワーク交換終了後に機械軸を停止させ、工具交換中の場合は、工具交換終了後に機械軸を停止させるようにしているが、緊急地震速報を受信してから地震の揺れが到達するまでの時間が短い場合は、上述した緊急停止の準備動作を行う時間的な余裕がなく、緊急停止前に地震の揺れが到達してしまう可能性がある。
【0006】
一般に、部品実装ラインには、ワークを加工する工作機械は含まれないため、特許文献1の工作機械の地震発生時緊急停止システムの技術思想を部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムにそのまま適用できるものではない。部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムの開発にあたっては、部品実装ラインを構成する部品実装機等の装置特有の事情を考慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気象庁等の外部機関から発信される緊急地震速報には、地震による強い揺れを発生させるS波(Secondary Wave:第二の波)の予測到達時刻の情報が含まれる点に着目して、部品実装ラインを構成する複数の装置の稼働を地震発生時に緊急停止させる部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムである。具体的には、外部機関から発信されるS波予測到達時刻情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信機と、前記緊急地震速報受信機で受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記部品実装ラインの各装置の現在の稼働状態を判定して前記残り時間内に前記各装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止し、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行う緊急停止手段とを備えていることを共通の特徴とし、更に、後述する特徴を備えている。
【0008】
この構成によれば、緊急地震速報の受信後に地震による強い揺れを発生させるS波が到達するまでの残り時間が短く、その残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止するため、S波が到達する前に当該装置を緊急停止させてS波の到達(地震による強い揺れ)に備えることができる。一方、緊急地震速報の受信からS波が到達するまでの残り時間が比較的長く、その残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については、緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行うため、S波が到達する前に当該装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させてS波の到達に備えることができ、緊急停止後の復旧が容易になる。
【0009】
本発明の実施態様としては、部品実装ラインの各装置とネットワークで接続された生産管理コンピュータを、前記残り時間算出手段及び前記緊急停止手段としても機能させ、前記生産管理コンピュータから前記部品実装ラインの各装置に前記即時緊急停止又は前記非即時緊急停止の指令を送信するようにしても良い。
【0010】
この場合、生産管理コンピュータが、残り時間算出手段と緊急停止手段の両方の機能を持ち、残り時間の算出から各装置の緊急停止方法の判定までの全ての処理を一括して行うことになるため、生産管理コンピュータの処理能力に余裕が少ない場合には、処理速度が遅くなる可能性がある。
【0011】
従って、生産管理コンピュータの処理能力に余裕が少ない場合には、生産管理コンピュータが、残り時間の算出のみを行い、算出した残り時間の情報を部品実装ラインの各装置に送信して、部品実装ラインの各装置の制御部が、それぞれ生産管理コンピュータから受信した前記残り時間に基づいて前記即時緊急停止か前記非即時緊急停止かを判定するようにしても良い。このようにすれば、生産管理コンピュータの処理能力に余裕が少ない場合でも、部品実装ラインの各装置の制御部で、即時緊急停止か非即時緊急停止かを速やかに判定することができ、残り時間の算出から各装置の緊急停止方法の判定までの処理速度が遅くなることを防止できる。要するに、残り時間は、部品実装ラインの全ての装置に共通するデータであるため、生産管理コンピュータで残り時間を算出して部品実装ラインの各装置に送信するようにすれば、部品実装ラインの各装置の制御部で残り時間の算出処理を重複して行わずに済み、その分、部品実装ラインの各装置の制御部の処理負荷を軽減できる利点がある。
【0012】
但し、本発明は、部品実装ラインの各装置の制御部が、残り時間の算出から各装置の緊急停止方法の判定までの全ての処理を行うようにしても良い。或は、部品実装ラインの複数の装置のいずれか1つの装置の制御部でのみ残り時間を算出して、その残り時間の情報を他の装置の制御部に送信するようにしても良く、この場合は、当該他の装置の制御部では、残り時間を算出する必要はない。
【0013】
部品実装ラインを構成する装置は、主に部品実装機であるが、その他、半田印刷機、フラックス塗布装置、接着剤塗布装置、検査装置等、部品実装に関連する作業を行う実装関連装置もある。部品実装機では、地震発生時に吸着ノズルが下降した状態で緊急停止すると、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機内の回路基板、電子部品や他の物体と干渉してそれらが損傷する可能性があり、緊急停止後の復旧に手間がかかる。従って、部品実装機では、緊急停止後の復旧が容易な状態とは、部品実装動作が終了して吸着ノズルが上昇した状態である。この状態は、部品吸着から部品実装までの1サイクル分の動作を終了して吸着ノズルが上昇した状態であり、この状態であれば、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機内の回路基板、電子部品や他の物体と干渉してそれらが損傷することを防止できる。
【0014】
尚、緊急地震速報を受信したときに部品実装機が部品吸着動作中である場合に、残り時間内に部品実装動作を終了する時間的余裕はないが、残り時間内に部品吸着動作を終了して吸着ノズルを上昇させる時間的余裕があれば、部品吸着動作を終了して吸着ノズルを上昇させてから緊急停止させるようにしても良い。この場合、緊急停止により吸着ノズルに吸着した電子部品が脱落する可能性があるが、脱落した電子部品を復旧時に回収すれば良く、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機内の回路基板、電子部品や他の物体と干渉することを防止できる。
【0015】
また、部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)を記録又は記憶した基板ID記録部を設けると共に、前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板ID記録部から基板IDを読み取って生産管理コンピュータに送信する基板ID読取り手段を設け、前記生産管理コンピュータは、前記緊急停止手段が前記部品実装ラインの各装置を緊急停止させたときに各装置内に搬入されている回路基板の基板IDを各装置の識別情報と緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報としてデータベースに保存して管理するようにしても良い。このようにすれば、生産途中で緊急停止した各装置内の部品実装基板を再稼働により完成させて製品として出荷する場合に、将来、その製品に何らかの不具合が発生したときに、データベースに保存されている基板トレーサビリティ情報に基づいて不具合の発生原因を容易に究明できると共に、地震発生時に生産途中であった製品を追跡調査して回収等の適切な措置を講じることができる。
【0016】
また、部品実装ラインの各装置の稼働を非常停止スイッチの操作により非常停止させるライン非常停止システムが設けられている場合は、緊急地震速報受信機が緊急地震速報を受信したときに、緊急地震速報受信機から緊急地震速報をライン非常停止システムに送信して、そのライン非常停止システムは、前記緊急地震速報を受信したときに前記部品実装ラインの各装置を非常停止させるようにしても良い。このようにすれば、既存のライン非常停止システムを利用して、部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムを低コストで構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施例1における部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は実施例1の生産管理コンピュータが実行する地震発生時緊急停止プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は実施例2の生産管理コンピュータが実行する残り時間算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は実施例2の各部品実装機の制御部が実行する地震発生時緊急停止プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は実施例4の部品実装ラインの地震発生時緊急停止システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した4つの実施例1〜4を説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1を図1及び図2に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて部品実装ライン10の構成を説明する。
【0020】
回路基板11を搬送する搬送ライン12には、回路基板11に電子部品を実装する複数の部品実装機14と、部品実装に関連する作業を行う実装関連装置(部品実装機以外の装置)が配列されている。ここで、実装関連装置は、例えば、半田印刷機13、検査装置15、フラックス塗布装置、接着剤塗布装置等である。以下、説明の便宜上、部品実装ライン10を構成する半田印刷機13、部品実装機14、検査装置15を、部品実装ライン10の各装置13,14,15と略して表記する場合がある。
【0021】
各部品実装機14のフィーダセット部(図示せず)には、それぞれ電子部品を供給するフィーダ17が交換可能にセットされている。各部品実装機14の実装ヘッド18には、各フィーダ17から供給される電子部品を吸着して回路基板11に実装する1本又は複数本の吸着ノズル(図示せず)が交換可能に保持されている。
【0022】
搬送ライン12に搬入する回路基板11の上面のうちの部品実装領域の外側に、基板識別情報(以下「基板ID」と表記する)を記録又は記憶した基板ID記録部19が設けられている。この基板ID記録部19は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶する電子タグ(RFタグ、無線タグ、ICタグ、電波タグ等とも呼ばれる)や、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。
【0023】
一方、搬送ライン12の入口側(回路基板11の投入側)には、回路基板11の基板ID記録部19に記録又は記憶された基板IDを読み取る基板ID読取り手段としてリーダ20が設けられている。
【0024】
部品実装ライン10の生産を管理・監視する生産管理コンピュータ31は、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25とネットワークで接続され、搬送ライン12の入口側に配置したリーダ20で、搬送ライン12に投入された回路基板11の基板ID記録部19から基板IDを読み取り、搬送ライン12から搬出される回路基板11の実装部品情報等を当該回路基板11の基板IDと関連付けて基板トレーサビリティ情報として記憶装置32(データベース)に保存するようにしている。
【0025】
更に、本実施例1では、後述する緊急地震速報の受信により部品実装ライン10の各装置13,14,15が緊急停止したときに、各装置13,14,15に搬入されている回路基板11の基板IDを各装置13,14,15の識別情報と後述する緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報として記憶装置32に保存するようにしている。
【0026】
各部品実装機14の制御部24は、生産管理コンピュータ31から送信されてくる生産ジョブ(生産プログラム)に従って、実装ヘッド18を部品吸着位置→部品撮像位置→部品実装位置の経路で移動させて、フィーダ17により供給される電子部品を実装ヘッド18の吸着ノズルで吸着して当該電子部品を部品撮像用のカメラ(図示せず)で撮像して部品吸着位置のずれ量等を認識して当該電子部品をその吸着位置のずれ量分だけ位置補正して回路基板11の実装位置に実装するという動作を繰り返して、当該回路基板11に所定数の電子部品を実装して部品実装基板を生産する。
【0027】
次に、部品実装ライン10の地震発生時緊急停止システムの構成を説明する。
部品実装ライン10を設置した工場内に、緊急地震速報受信機34が設置され、この緊急地震速報受信機34がルータ35を介してネットワークで気象庁等の外部機関の緊急地震速報発信用のコンピュータ(図示せず)に接続され、気象庁等の外部機関の緊急地震速報発信用のコンピュータから発信される緊急地震速報が緊急地震速報受信機34で受信されるようになっている。この緊急地震速報には、地震による強い揺れを発生させるS波(Secondary Wave:第二の波)の予測到達時刻の情報が含まれる。
【0028】
緊急地震速報受信機34は、生産管理コンピュータ31に接続され、緊急地震速報受信機34で受信した緊急地震速報が生産管理コンピュータ31に送信される。本実施例1では、生産管理コンピュータ31は、後述する図2の地震発生時緊急停止プログラムを実行することで、緊急地震速報受信機34で受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段として機能すると共に、部品実装ライン10の各装置13,14,15の現在の稼働状態を判定して前記残り時間内に各装置13,14,15を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、その判定結果に応じて「非即時緊急停止」と「即時緊急停止」のどちらか一方を選択して緊急停止する緊急停止手段としても機能する。例えば、部品実装ライン10の各装置13,14,15のうち、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については、当該装置の稼働を即時緊急停止する。一方、前記残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については、当該装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行う。
【0029】
この際、生産管理コンピュータ31は、部品実装ライン10を構成する複数の装置13,14,15の各々について、残り時間内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定し、その時間的余裕があるか否かの判定は、残り時間内に装置13,14,15の緊急停止が完了するように、緊急停止に要する時間も考慮して判定する。
【0030】
ところで、部品実装機14では、地震発生時に吸着ノズルが下降した状態で緊急停止すると、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機14内の回路基板11、電子部品や他の物体と干渉してそれらが損傷する可能性があり、緊急停止後の復旧に手間がかかる。従って、部品実装機14では、緊急停止後の復旧が容易な状態とは、部品実装動作が終了して吸着ノズルが上昇した状態である。この状態は、部品吸着から部品実装までの1サイクル分の動作を終了して吸着ノズルが上昇した状態であり、この状態であれば、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機14内の回路基板11、電子部品や他の物体と干渉してそれらが損傷することを防止できる。
【0031】
以上説明した緊急地震速報受信時に部品実装ライン10の各装置13,14,15を「非即時緊急停止」又は「即時緊急停止」で緊急停止する処理は、生産管理コンピュータ31によって図2の地震発生時緊急停止プログラムに従って次のように実行される。
【0032】
図2の地震発生時緊急停止プログラムは、部品実装ライン10の稼働中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう残り時間算出手段及び緊急停止手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まずステップ101で、緊急地震速報受信機34が緊急地震速報を受信したか否かを判定し、緊急地震速報を受信していないと判定されれば、以降の処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
【0033】
その後、本プログラムを起動したときに、上記ステップ101で、緊急地震速報受信機34が緊急地震速報を受信したと判定されれば、ステップ102に進み、受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間Aを算出する。
残り時間A=S波予測到達時刻−現在時刻
【0034】
この後、ステップ103に進み、部品実装ライン10の各装置13,14,15の現在の稼働状態を判定して緊急停止後の復旧が容易な状態に到達させるまでに必要な稼働時間Bを算出する。この必要な稼働時間Bの算出は、各装置13,14,15の各々について別々に行う。
【0035】
この後、ステップ104に進み、残り時間A内に各装置13,14,15を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があるか否かを判定する。この判定は、残り時間Aから上記必要な稼働時間Bを差し引いた時間(A−B)が各装置13,14,15の緊急停止に要する時間Cよりも大きいか否かで判定する。
A−B>C
この判定も、各装置13,14,15の各々について別々に行う。
【0036】
上記ステップ104で、A−B>C、つまり残り時間A内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定された装置については、ステップ105に進み、当該装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行うように当該装置に指令して、ステップ107に進む。
【0037】
これに対し、上記ステップ104で、A−B≦C、つまり残り時間A内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定された装置については、ステップ106に進み、当該装置の稼働を即時緊急停止させるように当該装置に指令して、ステップ107に進む。
【0038】
このステップ107では、部品実装ライン10の各装置13,14,15に搬入されている回路基板11の基板IDを各装置13,14,15の識別情報と緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報として記憶装置32に保存して、本プログラムを終了する。
【0039】
尚、本実施例1では、部品実装ライン10の稼働中に図2の地震発生時緊急停止プログラムを所定周期で繰り返し実行するようにしたが、部品実装ライン10の稼働中に緊急地震速報受信機34が緊急地震速報を受信したときに、割り込み処理により、ステップ102以降の処理を実行するようにしても良い。
【0040】
以上説明した本実施例1によれば、部品実装ライン10を構成する複数の装置13,14,15のうち、緊急地震速報の受信後に地震による強い揺れを発生させるS波が到達するまでの残り時間Aが短く、その残り時間A内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕がないと判定した装置については稼働を即時緊急停止するため、S波が到達する前に当該装置を緊急停止させてS波の到達(地震による強い揺れ)に備えることができる。一方、緊急地震速報の受信からS波が到達するまでの残り時間Aが比較的長く、その残り時間A内に緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働する時間的余裕があると判定した装置については、緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させる非即時緊急停止を行うため、S波が到達する前に当該装置を緊急停止後の復旧が容易な状態になるまで稼働してから緊急停止させてS波の到達に備えることができ、緊急停止後の復旧が容易になる。
【0041】
しかも、本実施例1では、緊急地震速報の受信時に部品実装ライン10の各装置13,14,15を緊急停止させたときに各装置13,14,15に搬入されている回路基板11の基板IDを各装置13,14,15の識別情報と緊急停止の種別と関連付けて基板トレーサビリティ情報として記憶装置32に保存して管理するようにしたので、生産途中で緊急停止した各装置13,14,15内の部品実装基板を再稼働により完成させて製品として出荷する場合に、将来、その製品に何らかの不具合が発生したときに、記憶装置32に保存されている基板トレーサビリティ情報に基づいて不具合の発生原因を容易に究明できると共に、地震発生時に生産途中であった製品を追跡調査して回収等の適切な措置を講じることができる。
【0042】
尚、本実施例1では、部品実装機14の場合、「緊急停止後の復旧が容易な状態」とは、「部品実装動作が終了して吸着ノズルが上昇した状態」としたが、緊急地震速報を受信したときに部品吸着動作中である場合に、残り時間A内に部品実装動作を終了する時間的余裕はないが、残り時間A内に部品吸着動作を終了して吸着ノズルを上昇させる時間的余裕があれば、部品吸着動作を終了して吸着ノズルを上昇させてから緊急停止させるようにしても良い。この場合、緊急停止により吸着ノズルに吸着した電子部品が脱落する可能性があるが、脱落した電子部品を復旧時に回収すれば良く、地震の揺れにより吸着ノズルが部品実装機14内の回路基板11、電子部品や他の物体と干渉することを防止できる。
【実施例2】
【0043】
次に、図2及び図3を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については、説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0044】
上記実施例1では、生産管理コンピュータ31が残り時間算出手段と緊急停止手段の両方の機能を持ち、生産管理コンピュータ31が、残り時間Aの算出から各装置13,14,15の緊急停止方法の判定までの全ての処理を一括して行うことになるため、生産管理コンピュータ31の処理能力に余裕が少ない場合には、処理速度が遅くなる可能性がある。
【0045】
そこで、本実施例2では、生産管理コンピュータ31は、図3の残り時間算出プログラムを実行することで、残り時間算出手段としてのみ機能して、緊急地震速報の受信時に残り時間Aの算出のみを行い、算出した残り時間Aの情報を部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25に送信する。そして、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25は、それぞれ図4の地震発生時緊急停止プログラムを実行することで、それぞれ緊急停止手段として機能して、生産管理コンピュータ31から受信した残り時間Aに基づいて即時緊急停止か非即時緊急停止かを判定して、どちらかの方法で緊急停止するようにしている。以下、図3の残り時間算出プログラムと図4の地震発生時緊急停止プログラムの処理内容を説明する。
【0046】
図3の残り時間算出プログラムは、部品実装ライン10の稼働中に生産管理コンピュータ31によって所定周期で繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201とステップ202の処理により、緊急地震速報受信機34が緊急地震速報を受信したときに、受信した緊急地震速報のS波予測到達時刻情報に基づいて現在時刻からS波予測到達時刻までの残り時間Aを算出する。
残り時間A=S波予測到達時刻−現在時刻
【0047】
この後、ステップ203に進み、算出した残り時間Aの情報を部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25に送信して、本プログラムを終了する。
【0048】
尚、本実施例2では、部品実装ライン10の稼働中に図3の残り時間算出プログラムを所定周期で実行するようにしたが、緊急地震速報受信機34が緊急地震速報を受信したときに、割り込み処理により、ステップ202以降の処理を実行するようにしても良い。
【0049】
一方、図4の地震発生時緊急停止プログラムは、部品実装ライン10の稼働中に各装置13,14,15の制御部23,24,25によって所定周期で繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ211で、生産管理コンピュータ31が算出した残り時間Aの情報(つまり残り時間A経過後にS波が到達すること)を受信したか否かを判定し、残り時間Aの情報を受信していないと判定されれば、以降の処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
【0050】
その後、本プログラムを起動したときに、上記ステップ211で、残り時間Aの情報を受信したと判定されれば、ステップ212〜216の処理を実行する。このステップ212〜216の処理は、実施例1で説明した図2のステップ103〜107の処理と同じである。
【0051】
以上説明した本実施例2では、生産管理コンピュータ31は、緊急地震速報の受信時に残り時間Aの算出のみを行い、算出した残り時間Aの情報を部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25に送信して、各装置13,14,15の制御部23,24,25が、それぞれ生産管理コンピュータ31から受信した残り時間Aに基づいて即時緊急停止か非即時緊急停止かを判定するようにしたので、生産管理コンピュータ31の処理能力に余裕が少ない場合でも、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25で、即時緊急停止か非即時緊急停止かを速やかに判定することができ、残り時間Aの算出から各装置13,14,15の緊急停止方法の判定までの処理速度が遅くなることを防止できる。要するに、残り時間Aは、部品実装ライン10の全ての装置13,14,15に共通するデータであるため、生産管理コンピュータ31で残り時間Aを算出して部品実装ライン10の各装置13,14,15に送信するようにすれば、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25で残り時間Aの算出処理を重複して行わずに済み、その分、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25の処理負荷を軽減できる利点がある。
その他、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0052】
次に、本発明の実施例3を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については、説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0053】
本実施例3では、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25が残り時間算出手段及び緊急停止手段として機能して、各装置13,14,15の制御部23,24,25で、それぞれ、実施例1で説明した図2の地震発生時緊急停止プログラムと同様の地震発生時緊急停止プログラムを所定周期で繰り返し実行することで、緊急地震速報の受信時に残り時間Aの算出から各装置13,14,15の緊急停止方法の判定までの全ての処理を実行するようにしている。
【0054】
この場合、緊急地震速報受信機34で受信した緊急地震速報は、生産管理コンピュータ31を経由して部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25に送信するようにしても良いし、或は、緊急地震速報受信機34を部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25にネットワークで接続して、緊急地震速報受信機34で受信した緊急地震速報を、生産管理コンピュータ31を経由せずに、直接、部品実装ライン10の各装置13,14,15の制御部23,24,25に送信するようにしても良い。
【0055】
また、部品実装ライン10の複数の装置13,14,15のいずれか1つの装置の制御部でのみ残り時間Aを算出して、その残り時間Aの情報を他の装置の制御部に送信するようにしても良く、この場合は、当該他の装置の制御部では、残り時間を算出する必要はない。
以上説明した本実施例3でも、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0056】
次に、図5を用いて本発明の実施例4を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については、説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0057】
本実施例4では、部品実装ライン10の各装置13,14,15の稼働を非常停止スイッチ41の操作により非常停止させるライン非常停止システム42が設けられている。このライン非常停止システム42に設けた緊急地震速報受信用の端子に緊急地震速報受信機34の出力端子が接続され、緊急地震速報受信機34で受信した緊急地震速報がライン非常停止システム42に送信されるようになっている。そして、ライン非常停止システム42は、緊急地震速報を受信したときに部品実装ライン10の各装置13,14,15を非常停止させる。この場合、緊急地震速報を受信したときの非常停止は、非常停止スイッチ41が操作されたときの非常停止と同じ動作となる。
【0058】
以上説明した本実施例4では、既存のライン非常停止システム42を利用して、部品実装ライン10の地震発生時緊急停止システムを低コストで構成できる利点がある。
尚、本発明は、上記各実施例1〜4に限定されず、部品実装ライン10の各装置13,14,15の台数や配列順序を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
10…部品実装ライン、11…回路基板、13…半田印刷機(装置)、14…部品実装機(装置)、15…検査装置(装置)、19…基板ID記録部、20…リーダ(基板ID読取り手段)、23,24,25…制御部、31…生産管理コンピュータ、32…記憶装置(データベース)、34…緊急地震速報受信機、35…ルータ、41…非常停止スイッチ、42…ライン非常停止システム
図1
図2
図3
図4
図5